僕は何度も恋に落ちる(200文字小説)
「なんだろう…」
「どうしたの?」
「久し振りだからかも知れないけれど、雰囲気が変わったね」
「そう? 何も変えていないけど」
秋色に染まった風が彼女の髪をなびかせる。
「あっ!」
「なに?」
「髪を切ったでしょう!」
「ああ、ちょっとだけね」
そんな彼女の少しの変化に僕は何度も恋に落ちる。
「だからだ」
「なにが?」
「雰囲気」
「大袈裟よ」
「やっぱり君はきれいだ。また好きになる」
「バカね…」
照れる彼女の顔も秋色に染まる。