自宅警備員を甘やかすな
甘い物も食べてみたくなりました(笑)
拙い文書では御座いますが、多くの人に読んでいただれば幸いです。
藤沢ののか、二十一歳、職業«自宅警備員»。
ののかはうつらうつらでテレビを見ていた。人気バラエティ番組が流れる夜のゴールデンタイムに、ののかの家のテレビに映されているのは、もう何巡目か分からない深夜アニメ。放映されたのは三年前で、ののかはアマ〇〇で見ている。
脳内に染みつくせる程見てきたのに、それでも時間を持て余すと、つい見てしまう。
「...作画、綺麗。やっぱり神アニメだな。」
ぽそっと呟いて、亀のようにゆっくりテレビの上にある掛時計へ視線を移す。
「って、やっば!!!!もう帰ってくる時間じゃん。今日こそは洗濯物全部畳むって決めてたのに。」
ののかは急いで立ち上がり、だらしなく着てきたルームウェア直しながらベランダへ向かう。
ーと、その時、ガチャッと玄関の方でドアが開く音がした。
ああ、彼が帰ってきてしまった。まだ家事も中途半端なのに、仕事を終えた柳田空太が帰ってきてしまった。
「のんたん、ただいまー!一人で寂しかったかい?あ、お昼ご飯のポトフはどうだった?自信作だったんだよね、のんたんの口に合うかは心配だったけど。わあ、偉いぞのんたん、ちゃんとお皿洗いしてくれてる!...って、ゲーム受け取ってくれたんだね!一人暮らしだと、なかなか荷物受け取れないし、のんたんが受け取ってくれると助かるな。」
寂しかったのはお前だろ、と言いたくなるほど矢継ぎ早に喋る空太を見て、ののかは優しい笑みを零す。
彼が帰ってきてしまったら、私はもう頑張ることを許されない。私はお姫様か、とツッコミたくなるようなあまっあまな世界へ連れていかれてしまう。
「今日も自宅警備、ご苦労さまでした。これからご飯作るね。今日はのんたんの好きなハンバーグです。ソースはトマト系にしようと思ってるよ。さ、時間が掛かるから、のんたんはお風呂に入ってさっぱりしておいで。」
自分で言うのは可笑しいかもしれないけど、言わせてください。これ以上、自宅警備員を甘やかすな!