第三話
「はふぅ………」
「どーした幸也、ホームルームしか終わってないよ?」
俺は机に突っ伏す、ホームルームの最中ずっと緊張のせいで精神が疲れた……。
アリスさんはホームルームが終わると何処かに行ったが、授業中も先ほどと同じ状態だと考えるとかなりきつい……。
「美少女過ぎるってのも問題やねぇ」
ひょっこりと暁が現れる、お前大丈夫だったのか。
まぁ今までにも散々酷い目にあってきてる奴だ、あの程度では全く苦に感じないのかもしれないな。
いいや――ただのマゾなのかもしれない。
「そうだな……、しょーじきつらい」
「何贅沢な悩み言ってるんだか……、美少女ならここにいるんだから慣れてるでしょ?」
「何処にそんな美少女がいるんだ?」
キョロキョロとワザとらしく周りを見る、だが視界に入るのは無理やり俺の視界に異常な速度で割り込んでくる御影だけだ。
「わざわざ能力使って俺の視界に無理やり入るなよ」
「幸也がワザとらしく視線を動かすからだもんね」
「そーっすか……、お前は能力ちょっとは自粛しろよ……」
「ふーんだ、幸也のように能力知られるの嫌いじゃないもんね」
「俺のは知られるといろいろと面倒なんだよ……」
「カッコイイ二つ名だって持ってるくせにぃ」
「ふん……二つ名つっても素性ばらしてないから通称みたいなもんだ」
はぁ……不本意ながら俺の能力にも二つ名が付いてる……、まぁ俺がその二つ名の持ち主だと知っているのは極少数だが。
ちなみに暁にも二つ名がある、あぁ、完璧に問題児三人衆だ、こいつらと一緒にされたくはないが。
「にしても幸やん、さっきのミーちゃんとアリスちゃんの能力どうやった?」
「……いきなりその話題か、ミー先生の能力は発動条件もリスクもなさそうだな、アリスさんの方はわからん」
「そかそか、お前さんの能力の足しになるといいな」
「俺は別にいらねえよ、使う気なんて無い、馬鹿みたいなことなんてしたくないからな、馬鹿にはなりたくねぇし」
能力使って暴れる馬鹿になんてなる気は無い、目立ちたくもない。
「はーい、授業を始めるので席に座ってくださーい」
ミー先生の掛け声と共に生徒が集まり座っていく、当然アリスさんも席に座る。
また、気疲れする時間がやってきたな……。
ミー先生が担当するのは化学だ、小さいのに良く理解できるもんだ、隣のアリスさんは黙々とノートを取っている。
一時はどうなるかと思ったが、慣れるのは意外と早かった。
授業中に会話なんてしなければ良い、休み時間はまず話さないだろう、俺と優等生の美少女が話すなんてありえない。
更に他の生徒とも話す機会はあまりなさそうだ。
「はぁ……御影のやろぉ……」
小さく一人呟く、どうやら既に朝の出来事は広まったらしい、御影が旋風であることがバレた以上、仲良くしている
俺や暁も結構な問題児に見られているようだ、完全否定できないことがまた悔しい。
「幸也君ー、聞いてますかぁ?」
「聞いてます」
ミー先生が俺が真面目に受けてないと気づいたのか注意してくるが適当に流す、能力者はだいたい頭が良い、
だが俺は違った、どうしても勉強はダメなのだ、やる気が起きない。
だから能力者というだけで入れるこの学園にしか入れないような頭の悪い奴になってしまった。
(御影や暁もあれで結構勉強できるからな)
御影の場合は勉強はできても性格上かなりのアホな為に知性が全く感じられない。
せめてもう少し賢くなって問題を起こさないでくれればいいが。
(せめてこれ以上現状が悪化しないことを願うしかないか)
俺は窓から澄み切った青い空を見ながら授業が終わるまでただ呆けて時間を潰した。
「おーい幸也ー、昼飯どーするの?」
「あ〜?」
入学式初日の授業は午前中で終わりだ、俺は一戸建てに親が海外を飛び回っているために一人暮らし、
御影と暁は両親と住んでいるが、基本的に俺に合わせて昼飯を食べる。
「そーだな、適当に食って帰るか」
「おっけ〜、駅前のファミレスいこ〜」
「そやな、いこかぁ」
鞄をもって俺たちは教室から出る、そのまま校門に向かい学園を後にし制服のままファミレスに向かった。
(どーせこの制服着てれば大人に注意されることなんて無いし、制服でもいいよな)
黒羽学園は能力者だけだ、そのために学園の制服を着ていると、能力者だと怖がられる。
無能力者の大人たちにとっては畏怖の存在でしかない。
「私オムライスね〜」
ファミレスに着いたとたんに御影はメニューを決める、暁はカレーライス、俺は何にしようかと悩んでいる間に
勝手にラーメンに決定され注文された。
少しすると注文したものが来て、それを喋りながら食べ終えた。
「はぁ〜ぁ、つまんなーい」
「特にやることもないしな」
「ん〜、適当に暴れるか幸やん」
「馬鹿な事を言うな」
すぐ暴れたがる暁と御影をなだめながら適当に街中をぶらついて行く。
(確かに暇だ)
別に平和だからっていう訳ではない、やる事が無いから暇なだけだ、荒事を求めているわけじゃない。
「お! アレ可愛くない?」
「あ〜取ったるわ」
クレーンゲームのぬいぐるみに興味を惹かれたらしい御影が颯爽とゲーム機に飛びつく。
暁がゆっくりと向かい、ぬいぐるみのゲットに精を出す。
「しばらくはアレで暇つぶしか」
御影も暁も俺も誰一人としてクレーンゲームはうまくない、ぬいぐるみをゲットするまでそれなりに時間がかかるはずだ。
俺もクレーンゲームを楽しんでいる御影たちのもとに向かう。
歩き出した瞬間に大音量のクラクションが道のほうから聞こえてくる。
驚き瞬間的に音のしたほうを振り向く。




