第二話
「はぁはぁ………何とか間に合ったな…………」
息を切らしながら講堂の中に入り指定されている自分の席に着く。
なにやら男子が騒がしい……まぁ先ほどの事じゃない様だから気にしなくてもいいか。
にしてもまったく……御影の馬鹿のせいで遅刻するところだった。
少しすると入学式が始まる。どうせつまらない話を永遠とするだけだ、聞き飛ばして適当に凄そう。
「新入生代表の挨拶、アリス・レーベルさんよろしくお願いします」
受験成績トップが挨拶をするが、日本人ではないとはまた悲しい気もする、まぁこの学校は超能力者なら
何処の国籍のものだろうと受験できるためにこういうとが起こっても不思議ではない。
はい、と小さな声と共にゆっくりと新入生代表が立ち上がり歩き出す。
ステージに上がりマイクの前に立った少女を見て俺は視線を外せなくなる。
腰まで届きそうな白金の長髪、ステージの照明に当たり煌びやかに輝いているようだ。
色素が抜けてしまったような白い肌。幼さは残るものの整った顔つき、襟から覗く細い首筋と胸元の危うい魅力が
男子達を釘付けにする。
(綺麗だ……)
そう思わずには居られない風貌をした美少女、誰もが熱い視線を送っている、
だが少女の目には何も映っていないようにしか見えない、透き通っているようで濁っている様なものを感じる。
「新入生代表のアリス・レーベルです」
そこから短い挨拶が始まり、アリスに気を取られている間に颯爽と終わった。
アリスがステージから降りた後も俺はぼけっとしていた。
何時の間にか入学式は終わり、生徒俺も含めては全員教室に戻り始める。
「おーい、幸やん、お前さっきアリスちゃんにみほれったやろ〜?」
ニコニコと満面の笑みを浮かべながら暁が耳元で囁いてくる。
「そ……そんなことないぞ、談じてない!」
「なーんや、折角いいネタ有ったのに聞かなくていいってこったな」
「良い情報って何だ?」
「なーにアリスちゃんに興味が無いお前さんには関係あらへんことよ」
「そんなこといわず教えやがれ」
「ほな有料な」
手の平をこちらに向けて現金を催促してきやがる、こいつまさか此処まで計算してカマかけてきやがったか……。
「いいさ、そこまでして欲しい情報じゃあない、どうせアノ人とは話す機会だって無いだろうからな」
「そうとも限らんかもなぁ」
にたにたといやらしく笑いながら俺をじっとみてくるが、無視して俺は教室に早足で向かった。
まだ真新しい教室の中に入り自分の席を探して座る、席は名簿順かと思ったが違うらしく規則性無く並んでいる。
俺の席は教室の後ろの隅っこ、まさに端だ。俺の隣の席はまだ来ていないのか開いている。
「やほー、席近いね」
不意に声をかけて来たのは御影だ、どうやら俺の前の席らしい。
「神は俺に安息を与える気は無いらしい」
「どーゆぅいみ?」
「気にするな、それよりもさっき暁が御影はつるぺったんだって広めてたぞ」
「シバいたいる!」
速攻で御影は消えていった、俺の安息の為にすまないが暁よ犠牲になってくれ。
「着席しなさーい!」
またも前方から声が聞こえる、どうやら担任教師が来たらしい。
教師は最低でも二十歳は過ぎている為に無能力者だ、能力者に囲まれてすごさないといけないなんて不憫だなぁ。
「着席してってばぁー!」
………どうやら着席を命令している人物は教師では無かったらしい。
小さい……御影も小さいがそれよりも幼い。
「早く着席しなさーい!」
高校生かすら疑う容貌の少女が声を張り上げて叫んでいる。
それを哀れに思ったのか生徒達が次々に着席していく、御影も戻ってきて席に座る。
右手をハンカチで拭いているが、ハンカチが真っ赤な血の色をしているのはきっと元々赤かったのだと思うことにしよう、
にしても暁がまだ教室に居ないな………トイレだと信じよう。
「えーと、まだ来ていない生徒も居ますがホームルームをはじめたいと思います」
なにやらさっきの幼児が教卓に座って教師の様な物言いをしている。
「今日から皆さんの担任になったミーナ・エーデルです、ミー先生って呼んでねー」
嘘だ――だって椅子に座ってるけど足が地面に届かずぷらぷらしているし、何か声も幼児っぽいし、
こんな人が教師だなんてありえない!
クラスに沈黙が流れる。
「ミーナちゃんは本当に教師なんですかぁ〜?」
クラスメイトの一人がとうとう真実を確かめに特攻を仕掛けたが、教師と名乗る謎の幼女はその質問に答えない。
「ミー先生って皆さん呼んでくださいねー」
ミー先生って呼ばない限り反応しないとういうことだろうか、先ほどの生徒がミー先生と言い直し同じ質問をする。
「そーですよぉー、ミー先生はアメリカで飛び級で大学卒業してきたのでまだ幼いですが立派な先生です!」
「ちなみに年齢は?」
「女性に年齢は聞いちゃいけないんですよー幸也君」
とっさに質問してしまった俺に優しく答えるミー先生、顔は笑っているが少し殺気を感じるのは気のせいだろうか。
「遅れやしたぁー」
そこに暁が遅れてやってくる、顔がちょっとはれているが何も無かったことにしよう。
教卓の方を向き、驚いたように目をぱちくりさせながら、呆然とする。
「何やこのつるぺったんの少女は? まさか教師とか冗談いわへんよなぁー」
暁が再起動しへらへら笑いながら言う、それを聞いた瞬間にミー先生のニコニコした表情が崩れ泣き出しそうになる。
「先生はつるぺったんじゃありません! でっかくなるもん! うぅー……」
「でっかくなるって、今はつるぺったんってことやろ〜?」
叫びながら泣き出してしまう、それと同時に右手を暁の方に向ける。
「うぅ……暁君なんてだいっ嫌いです!」
叫んだ瞬間にミー先生の右手がバチバチと音を立てながら青白いものを纏い――暁に向けて発射する。
「ほぇ?」
暁は理解不能と言いたさそうな声をあげた瞬間、青白いものを受けて――全身の骨が見えた。
「うへぁ……」
暁がぷすぷすと音を立てながら黒焦げになっている、どうやらミー先生の手から出たのは電撃――それも雷並の電力だろう。
まだ半泣きのミー先生は黒焦げの暁は放っておいてなきながらホームルームを再開する。
「皆さんは暁君の様に私を小さいなんていわないでくださいね」
『………はい』
集まったばかりのクラスメイトの心が早速一つになった気がした。
「遅れました」
淡々とした口調で一人の女子生徒が教室に入ってくる。
「うぉ……同じクラスだったのか」
入ってきたのはアリス・レーベルだ、暁の言ってた良い情報とはこれのことだったのだろうか?
「校長先生達と話してきたんですよね、話は聞いているので席に座ってください」
ミー先生がゆっくりと言う、やっぱり先生というよりも小学生のようだ、そんなこと言ったら
どうなるか解っているので決して誰もいわな――
「誰ですかこの少女は? 先生は何処へ?」
言ってしまった……、アリスさんは悠然とかつ自然に言っている、クラス全員がアリスさんを凝視する。
それを不思議に思っているのか少し首を傾げている、その姿はとても可愛らしい、この異常な殺気さえなければだが。
「アリスちゃんまでそんなこと言うんですね……」
ミー先生がふるふると震えている、そして暁を屠った様に右手に電撃を溜める。
「アリスちゃんも、暁君みたいになっちゃえばいいんだぁ!」
泣きながら右手をアリスに向け、電撃を放出する――が、アリスも両手をミー先生に向け
「ま……わ………てよ」
何かを呟いた――その瞬間、アリスの両手の前まで迫っていた電撃が何かに阻まれる。
「不可視の盾?!」
今まで楽しそうに見ていた御影が驚きで声をあげる、
此処に知っているの者は俺を含めて何人いるだろう、不可視の盾を持つ者の二つ名を、強さを。
「くぅ……やりますねアリスちゃん」
電撃を完全に防がれたミー先生が悔しそうに呟く、だが能力に関して驚いている素振りは無い。
もしかしたら生徒全員の能力を予め知らされているのかもしれない、俺の能力も含めて。
「今の電撃、貴方が神童と噂される雷神ですね? 噂以上に小さいお方です」
平然とアリスさんが言う、雷様? 何処かで聞いたことがあるような二つ名だ。
だが、あれほどの電撃を放って対して疲れた様子も無い、あれが全力ではないのだろう。
かなりの力があることは確かだ、神童には確実に賛同できる。
「また小さいって……、こ……今回は許してあげますから早く席に着いてください、私が先生です」
ようやく納得? したのかアリスさんは歩き出す、アレ? 空いてる席って二つしかないな……、
ゆっくりと一つ目の空席を通り越してるし……、ドギマギしながらアリスさんを見ていると、ちょうど俺の隣の空席まで来る。
そしてアリスさんはゆっくりと俺の隣の空席に座る、暁よ良い情報ってのはこれか……。
「よ………よろしく……」
し……自然にだ、自然に挨拶しよう顔は嬉しさと驚きで引きつってたりしてない……よな?
「よろしくお願いします」
あちらも自然に挨拶を返してくれた、良かった……これで無視られていたら多分しばらくショックで動けなかった。
「それでは今度こそホームルームをはじめます」
ミー先生の合図と共に隣に意識を向けながらの長い長いホームルームが始まった。
感想にありがちと書かれていたのですが
第二話もありがちなお話になってます………。
ですが、まだまだ物語りは始まったばかりなので
がんばっていきたいと思います。




