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第十四話

「これ見てみ」


 急に杏会長から手渡された資料をみて見る。

そこには人の名前、場所、そして――――死因。

 それも大量に………、それに気づいた瞬間、杏会長に視線が集まる。


「見ての通り、昨日一日での殺人件数や、約12件」

「………………犯人は能力者ですか」


 資料に載っている死因は、首を刎ねられたり

焼死や大量に切り刻まれ大量出血かショック死など通常では無理な死に方ばかりだ。


「風を使う能力者が居たって報告があるし、まず間違いないやろね」

「能力者の集団?」

「多分やけどね、二つ以上の能力を稀にもっとる奴も居るけど、三つは報告されてへん」

「私達が遭遇した風と焼死からして炎、後は何か威力の高い能力やな」


 風の能力者は首を刎ねたりするほどの威力は無かったし、炎にも首を刎ねるのは無理だろう、

なら第三者が居ることになる。


「それに最近、怪しい奴の目撃情報も増えてるンよ」


 そういえば、この間変な奴とすれ違ったな。

…………暴君? 二つ名なのだろうか、聞いたことなのない名だ。

主…………もしかしたら俺が見かけたのが犯人集団の一人だった可能性が高い。


(何を目的としている?)


 何かをあの男は呟いていた「…………だ、………そ、せ……を、能力者………にするのだ」とまでは聞き取れた。

だが重要な何かを聞き逃している。


「どうかしましたか?」

「あ……いいや、何でもない」


 悩んでいる俺に気づいたのかアリスが声をかけてきたが、はぐらかす。

まだ推測の域を出ない、無駄な意見を出して思考を固めてしまわないようにしなければ。


「今日は今からちと街をうろついて貰うで、これ以上被害を出すわけにはいかん」

「賛成です、早めに対処しなければ」


 無表情みたいだが異様にやる気のあるアリスさん、何故そこまで積極的なのだろうか。

………いいや、寧ろこんな事件を早急に解決しないといけないと思わない俺のほうがおかしいのか。


「今日は索敵範囲広げるさかい、二人一組な、暁と御影、私と剣、アリスと幸也や」

「りょーかい」


 俺達はそれぞれ二人一組となって街に向かった。




「とりあえず余り人気の無いところに居ましょう」

「そうだな、路地裏や、目立たないところでの犯行が多い」


 着いて早々俺達は歩き回る場所を決める。

もしかしたら今も何処かで犯行がおこなわれている可能性は高い。


「足早に行きましょう」

「あ……はい」


 物音は余り立てないように、かつ素早く移動していく。

常に臨戦状態、神経が磨り減っていく。


(何でこんなことしてるんだろ)


 疲れるたびに俺はそう思ってしまう。

理由何てたいしたものじゃない、ただ流されただけだ。

 それに後で御影たちもやるからいいかと、更に理由を後付した。


(別に俺がやらなくても)


―――誰か他の奴がやってくれる。


………何て他力本願な……。

でもそうは行かない。やると言ったのだ、少なくとも多少のやる気を見せなくては……。

 一度言った事を無しにするのは性分じゃない。


(俺が行動してるのはどうせそんな下らない理由だ)


……なら――――アリスさんは?

 入学式の時点で生徒会へ入ることが決まっていた?

何故? 成績が一番だったから?

 いいや、強さこそ求められているのだ、成績は関係ない。


なら――――何故?



(下らない……今はそんなこと関係ないじゃねえか)


 今、アリスさんは俺の前で必死に捜索している。

なのに俺は何だ? 下らない考えが頭を支配している。


(らしくないな)


 その考え一つで俺は今までの思考を停止させる。

考える必要はない、考えるにしても今じゃなくたっていい。

 今やるべきことはいち早く犯人を捕まえることだ。


 俺がやる気を出した瞬間、目の前のアリスさんが急停止する。


「……どうかしましたか」

「前を見てください」


 俺はすぐさま前方を確認する。だが特に何も無い曲がり角が有るだけ。


「ありゃー? 気づかれちった?」

「私は防御型の能力のオマケで少しばかり感覚が鋭いので」


 曲がり角から出てきたのは赤い髪をした青年。歳は俺と同じぐらいだろうか、背丈も同じぐらいだ。

格好はラッパー気取りかちゃらちゃらとした服装が目立つ。


「そっかそっか、君が噂のアリスちゃんかぁ〜! ラッキー! さっさと始末させてもらうよーん♪

 後ろの男は誰か知らないけど一緒にあの世へレッツゴー☆」

「狂ってるな、コイツ」


 男は右腕を振りかぶったと同時にこちらに向けて振りかざす、

それと同時に男の手の先から炎が出現する。


「も・え・ち・れ♪」


 男が満面の笑みで言うと、炎が増幅され――こちらに向かって動き出す。


「私の能力では炎自体は防げても熱は防げません、囲まれたら干乾びるまで熱せられます」

「了解」


 なら、俺がアリスさんを抱えて避けるしかない。


(模倣イミテーション旋風)


「捕まっててくださいね」


 俺はアリスさんを抱えると少し広めの路地裏を駆け回る。

炎が迫ってくれば避け、更に追ってくれば壁を蹴り移動し、避ける。


「ちょこまかとにげてんじゃねぇーよ☆」


 男に近づこうにも、うまく炎を捜査され近づけない。

だがこちらは掠める炎の熱で徐々に体力を奪われていく。


(能力の限界時間も有るし早めにやらないと)


 力をセーブせず、全速力で駆け抜けて男に近づけば近づけるが、その後が問題だ。

俺が倒れると防御力には定評が有るアリスさんも、攻撃面では心もとない――というよりも無理だろう。


 どうする? 逃げるか? 危険を冒して戦うか?


 俺がそんな焦りを覚えているな中、アリスさんの視線は常時あの男へ注がれている。


(逃げる気はなさそうだな)


 俺は腹をくくり、追いついてきそうな炎を避ける為、速度を上げた。

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