第十三話
「遅いやん」
目的の場所に着いた俺を出迎えたのは暁だ、御影に気づかれないように小声で喋っている当たり気を使っているのだろう。
俺達が居るのは街角に有る寂れた公園だ。ブランコに座っている。
怒って公園に来てブランコに座っているとは何歳なのか問いただしたかったが今はそれど頃ではない。
「お前も少しは機嫌直るように手伝えよ……」
「いやや、俺の仕事や無い」
手助けを求めたがすぐさま断られた。危険なのか? そんなに今の状態は危険なのか?
お前が断るほど御影の機嫌は悪いのか?
「それじゃ俺は帰るから後頼んだで」
そういって足早に去っていく、俺は諦めて一人で御影の下に行く。
「何のよう?」
不機嫌極まりない声で御影が言ってきた。もしかしたら暁と居た時から気づいていたのかもしれない。
「何でそんなに怒ってんだよ?」
「……怒ってない」
嘘だ。御影は俺と眼をあわせようとしない。体すらこちらに向けていない。
長い付き合いだ、怒っているか、怒っていないのかなどすぐにわかる。
「怪我したの黙ってたのは悪かったけど、怒るほどのもんじゃないだろ?」
「だから怒ってない!」
「じゃぁ何でいきなり飛び出してったんだよ?」
「な――なんだっていいじゃん!」
理由になってないとつい叫びそうになったがこちらまで怒鳴り始めては、一向に話が進まなくなる。
俺はなるべく落ち着いて話す。
「心配させたくなかったから黙ってたんだよ、お前だって怪我したらどうせ黙ってるだろ?」
「…………そうだけど」
「なら機嫌直せよ」
「…………………………………」
御影が黙りこくる。俺も何もいえない。多分俺が今何か言うべきではない、勝手にそう思った。
「幸也はさ」
「ん?」
「いつも荒事なんて嫌いだって言うわりには、何か有るとすぐに首を突っ込むよね」
「そんなことねぇよ」
「生徒会もそうだし、どうせ今回の事も結構乗り気なんでしょ?」
「それは」
―――生徒会の事とかは……と言い訳をしそうになり、俺は口を閉じる。
確かに少し俺は行動と言動が矛盾しているかもしれない。
「………私は幸也が荒事に巻き込まれるのは嫌、巻き込むのが好きなの」
「それは俺の意志を無視するのが好きだと?」
なんともまぁ、唯我独尊な発言だ。
でも、そこが御影らしい。
「……我侭だよね」
「我侭だけど…………お前だしな」
俯く御影に俺は御影の頭にポンッと手を置く。コイツは昔から何のも変わらないなぁ……。
でも、俺も変わってないのかもしれない。
「たまには俺の荒事にお前が巻き込まれるのもいいだろ?」
「たまにはね……」
「今日はもう帰ろうぜ?」
「………うん」
多分、こんなことで機嫌が直るのも俺と御影がガキだからだ。
俺と御影は二人で帰路についた。
「おっはよー!」
次の日、御影はいつも通りになっていた。
「朝から顔が暗いよ!」
その言葉と共に俺の背中を思いっきり叩いてくくる。
………以前よりも元気かもしれない。
「その調子やとうまくいったみたいやね」
「まぁな」
暁といつも通り校門付近で落ち合う。
「良かったな」
後ろから声が掛かったと思うと剣が居た。
俺と御影の様子を見てホッとしている。
無駄に心配をかけてしまったか? でも、勝負を挑んでくるぐらいだったし
さほど心配していなかったのかもしれない。
「昨日は付き合ってもらってすまなかったな」
「適度な運動になってよかったよ」
御影が何の話? と聞いてくるが、はぐらかした。
御影が少し拗ねるが、また変なことしてると思われるのも嫌だったので言わなかった。
(こういう態度が御影を怒らせているのか?)
そうかもしれない、そうじゃないのかもしれない、解らないけどすぐには自分を変えられない。
俺達は教室につき、ホームルームが開始される。
ホームルームが終わると俺は昨日と同じくアリスさんに生徒会室に来るように呼ばれた。
昨日と同じく俺達は生徒会室に向かう。
…………これ以上授業をサボっても大丈夫だろうか? 主に俺の学力面で………
「失礼します」
生徒会室に入ると、珍しく真剣な顔をした杏会長が居た。
「あぁ、まっとたよ」
その声に少しばかり焦りが入っていたことに俺は言い様の無い不安を覚えた。




