第十二話
投稿直後に誤字脱字を見つけたため修正。
「ここは?」
目の前に建つのは少し寂れた感じもするが大きな道場だ。
看板などが無いところを見ると経営はしていないようだ。
剣は鞄から鍵を取り出し扉を開ける。
「私の家がやっていた道場だ、今は何もしていないがな」
俺も中に入る、中は意外と綺麗にされている。
剣が時折使っているのかもしれない。
中は広く、二人で居るにはかなりスペースが余る。
竹刀等も大量に立てかけてある、昔は大人数でやっていたのだろうか。
「それでは始めようか」
「ルールは?」
竹刀を手渡され俺は確認と取る。流石に立てなくなるまでとかは無いだろう。
それに女性を竹刀で叩くことには抵抗が有る。
「どちらかが参ったというか、決定的な打撃を与えるか、寸止めかでいいだろう、能力の使用は任せる」
「了解した」
なら、俺がするのは寸止めか気は引けるが腕を狙って竹刀を握れなくするぐらいだろう。
とはいっても勝てるのかどうか解らないが。
能力も比較的使うつもりも無い。
見たところ構えた剣は素人目で見てもしっかりしている。
威圧感も半端じゃない。
気を引き締めて俺も構える。
「それでは始めようか」
「――勝てる気がしないな」
開始宣言と共に剣が距離を詰めてくる。
上段から鋭い振りと共に竹刀が俺の頭部目掛けて振り下ろされる。
右に軽く移動しそれをかわし、すぐさま剣の竹刀を持つ右腕目掛けて竹刀を振り下ろす。
なるべくモーションを小さくして、到達速度を上げ、威力を落とす。
剣は右腕を後方に回す、同時に裏拳の様に竹刀を振り、俺の後頭部を狙う。
すぐさま俺はしゃがみ、空打った剣の腕目掛けて下段から切り上げる。
剣は大きく後ろに下がり距離を取る。
「……やるではないか」
「それはどうも」
剣の振りは鋭く速いが、それだけなら何とかなる。
常時よりも高い身体能力が何とか反応、迎撃まで可能にしている。
長く戦えば少しずつ経験の差で押し切られるだろう。
(女性に負けるのもごめんだし、勝つには短期決戦か……)
「本気でいかせて貰おう」
剣が宣言する、それと共に空気が引き締まる感じが俺の肌を圧迫する。
多分能力を使う気なのだろう。
(正攻法では勝てないだろうなぁ)
どんな能力かは知らないが、まともにやりあって勝てそうに無い。
なら、俺は俺らしく戦わせて貰う。
「俺が勝っても卑怯なんて言うなよ」
臨戦態勢に俺も入る。普段なら本気になるなんて馬鹿らしいと思うのだが、
既に本能的に戦おうとしている。
今更衝動を抑えるつもりなど無い。
「いざ――参る」
言い終わった瞬間、先ほどよりも速い速度で、一瞬で俺との距離を詰める。
鋭い横薙ぎの一閃が腹部目掛けて襲ってくる。
即座に俺は後ろに下がる、ギリギリで横薙ぎの一閃を回避し、
反撃に移ろうとした瞬間―――――俺は即座に行動を中止し顔を右に傾ける。
鋭い風を切ると音と共に俺の頭の横を竹刀が駆け抜ける。
俺はすぐさま距離を取る。
「そりゃ無いぜ……」
確かに横薙ぎの一閃を剣は放っていた、そして腕は左から右への移動でまだ体の右側に有るはずだ。
だが、戻す動作も構える動作も無く俺の顔面に突きを放ちやがった。
「これが拙者の能力でござる」
そういえば、学園での扉を切った時も同時に切り刻まれていた。
そして、今のござる口調。
「腕を阿修羅みたいに瞬間的に増やしてるのか……代償はござる口調か?」
「その通りでござるよ」
嫌な能力だ、代償含めて何か嫌だ、本人はさほど嫌がっている様には見えない。
侍に憧れているとか言っていたが、そのせいでなんとも思わないのだろうか?
「参るでござる」
またも剣が距離を詰めてくる、少し能力を模倣してやろうかと思ったが
まだ能力を模倣するのには条件が満たされていない。
上段からの斜め切り、俺が身をかわして避けると同時に、右から薙ぎ払いが襲ってくる。
鋭い一閃をしゃがんで交わし、反撃に写る。
何でも有りで負けることなど考えていない。
(路地裏喧嘩なら常勝無敗だ)
下段からの切り払い、確実に腕を狙う、それを剣は竹刀で防いだ。
俺はそのまま竹刀を剣の竹刀とぶつけたまま、右足で剣の足を払う。
寸での所でそれを交わした剣に、体勢の整っていないうちに更に薙ぎ払いを繰り出す。
それを剣は能力で増やしたのであろう腕が一緒に増えている竹刀で防ぐ。
(――やりにくいな)
手数で押しても勝てない。
なら―――意表を突くしかない。
竹刀を引き戻し、もう一度薙ぎ払う、またも防がれるも、そのまま力任せに剣の竹刀ごと地面の方向に押す。
多少体勢が崩れた剣目掛けて、上段蹴りを繰り出す。
それも増えた腕で防がれる。だが俺はすぐさま竹刀を無理やり剣の体目掛けて振る。
だが、更に腕は増え防がれる瞬間―――俺は竹刀を離した。
離した瞬間、それを防いでいた腕を無視して剣の胸倉を掴む。剣が驚いている。
その驚いた顔の額に思いっきり俺の額をぶつかる。
――頭突き。
想像以上に聞いたのか剣は後ろに倒れる。
俺もぶつけた痛みで額を押さえてしゃがむ。
「たぁー、まじいてぇ……」
「ぐぅ……頭突きなど卑怯でござる……」
「卑怯言うな……、それに竹刀だけで戦えなんて聞いてない」
「……屁理屈でござる」
剣も額を押さえて立ち上がる、俺もやはり額を押さえながら立ち上がる。
(我ながら無茶をしたもんだ……)
「まぁいい、噂の贋者殿の実力確かめさせて貰った」
「能力使ってないんだけどな」
「………勝者の余裕を見せたいのか―――まぁいい、今日はもう帰って御影殿に謝るといい」
「そうさせてもらうよ」
俺は痛む額を押さえながら鞄を持って、帰路に着く。
家に帰って御影に謝らなければいけないらしい。
心配かけたのだから謝らなければいけない、激怒したことに対してはまだ理解できていないが。
何故あそこまで怒ったのか、その理由を考えているうちに家に着いた。
………そういえば、謝ると言っても何処に居るのかがわからない。
暁が探しに行ったはずだ、見つけたかどうか聞こうと思い携帯を開いたところでメールが来ていたことに気づく。
どうやら暁からのようだ。
内容は聞こうと思っていたことと一致し、俺は家に入ろうとしていたところを急転換して、メールに書いてあった場所に向かった。
雨月さんからメッセージをいただきました。
ありがとうございます。
これからもがんばって更新して行きます。




