魔法幼女?
諸事情により長期間投稿するのが難しい状況であったため、かなり久々に投稿しましたぐっさんです。
1ヶ月に何個か投稿するとか言っといてかなり時間を置く事になり、すみませんでした。
これからはのんびりできると思うのでゆっくり投稿していこうと思います。
「き、君は……?」
突如、声を掛けられたギールは困惑した様子で目の前でふわふわ宙に浮く少女に声を掛けた。
「―――まずはその手で触れそうになってる本から離れろ」
少女はギールが触れようとしていた真っ黒の本に視線を注いだ。
「ご、ごめん!別に盗もうとした訳じゃないんだ!ただ、何故かこの本が気になっちゃって……」
「全く……ズカズカと人の家に入ったうえに……勝手に物を触るとは………一体どういう神経をしているんだ?」
心底呆れた様子で少女は溜息を洩らしていた。
「その……すいません………」
「はぁ……で?何の用だ?本か?本だったら売ってないぞ?」
「え?ここは古本屋じゃないの?」
「合っているが合っていない」
「?」
少女の言葉を理解できないギールは首を傾けた。
ギールの側にあった黒い本が妖しい紫色のオーラを纏いフワフワと浮いた。
「なっ!?」
突然の事態に困惑が隠せないでいたギールであるが、対面する宙に浮かぶ少女はピクリとも反応せず、手をかざし指で本を招くような仕草をした。
それに呼応するように本は宙に浮かび、少女の側で動きを止める。
「ここは古本屋だが、他人に貸したり売るのではなく…………」
何処からか本が少女に寄せられ、少女の手元で動きを止めた。
「――俺だけが、ただ単に本を読むだけの場所に過ぎん……」
手元に寄せた本を手に取り、ペラペラと本を捲った。
一部始終を見ていたギールは最初から最後まで口を大きく開け、呆けた様子で目の前で読書を始める少女を見ていた。
「で?」
「え?」
読書を続ける少女が唐突に声を挙げるものだからギールは上手く反応できず、腑抜けた声を漏らした。
「まさか、何の用事もなくこんな廃れた古本屋に来たのかお前は?」
「!」
終始呆れた様子でいた少女の言葉に自分の目的を思い出したギールは目を剥いた。
「ここに行きなさいと言われ……訪れたんだ……」
「……誰に」
全く興味がないのか、少女は欠片ほども興味を示した様子がない声でギールが説明しようとする中、読書を続ける。
「……司祭様だよ」
「……!」
先程まで全く興味を示さなかった少女がピクリと揺れ、顔を隠す程の本の上から顔を覗かせた。
「……なんてやつだ…………」
「え、えーと……確かフトゥールム・ウィデーレ様だった……はず…………」
「はぁ……」
ギールの口から出た名前を聞いた瞬間、大きな本で顔が半分隠されていても分かる程、少女は大きなため息を吐いて嫌そうな顔を浮かべる。
「――名前は……?」
「ギール・ファタリテ」
ギールの名前を聞くと少女はおもむろに大きな音を立てて本を閉じた。
「――ニャールだ……話を聞いてやろう…………」