小さな番人
ども、私です。
不定期気味ですが、月に何回か投稿するようにしようと思います。
宜しくお願いします。
「ここ……かな?」
本当に目的の場所に着いたのかとギールは周りを見渡す。
周りには寂れた店がたくさんあり、物寂しい雰囲気を感じられる。
そんな中、ギールの目の前にある店の看板に「ライブラ」と書かれた店があった。
辺り一帯を見渡しても「ライブラ」という看板が書かれた店は無く、恐らく目的地はここだろうと決心してギールは扉を叩いた。
「…すみませーん……誰かいませんか?」
扉の先には誰もいないのか、誰からの返事も無く扉を開いた。
「ギィ!」と年期を感じさせる軋む音を鳴らし扉を開くと、その先には人が生活していると思われる明るい灯火を灯した図書館が広がっていた。
「…すごい……」
目の前に広がる光景に驚くあまり、心の中に秘めていた感嘆の言葉が漏れ、キラキラと目を輝かせ端から端を見渡す。
どこから、どんなとこを見ても、本、本、本とびっしりと本棚に本が綺麗に詰められている。
天井にはシャンデリアが飾られており、玄関の様子から察するに長年使われており、相当古いシャンデリアだろうと思ったのだが、シャンデリアは綺麗に手入れされており、図書館の暗闇を照らす美しい照明としての姿を保っていた。
「あれは………?」
図書館を見渡している最中に何かを発見したのかギールが困惑の声を挙げる。
「……本………?」
ギールが見ている方向に恐らく、この図書館の私物であろう本が本棚に収まれておらず、乱雑に地面に数冊置かれていた。
良くその先を見てみると更に本は乱雑に置かれており、本の道ができていた。
「…………………」
本の道の奥からゴニョゴニョと何が呟いているような声が聞こえギールは本の道を気を付けながら奥へと進む。
「あれ?」
しかし、奥に辿り着くとそこにはバラバラに机に置かれた沢山の本と飲みかけのコーヒーが置いてあった。
先程まで誰かの言葉が聞こえたと思ったのだが、人一人の影も見えず首を傾げる。
誰かいたであろう部屋の中を見渡す最中、ふと目に入った本に手をさし伸ばす。
それは図書館に置かれた本棚の中にある本の中でも派手な装飾と真っ黒に染まった本であった。
本の厚さは分厚く、手に持った瞬間何故か急に手に持つ本が読みたくなる衝動に駆られる。
まるで本能がその本を読め!と言わんばかりに身体が反応し、つい真っ黒な本に手を掛けようとする。
「―――おい、ガキ……盗むだったらもっとまともな本を盗みな――」
突如、上のほうから幼い少女の声が聞こえ、振り返ると
そこにはフワフワと本と共に宙に浮かぶ、エメラルドの様な美しい碧色の光沢を放つ緑髪の幼女の姿があった。
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