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解き放たれた獣  作者: ぐっさん
獣が産声をあげる
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憤怒の化身

遅れました。

「……………………」


業火の炎で燃やされている地獄の中、赤龍は悠々と居た。

その身を猛々しく燃え上がらせ目の前にいる人間をただ何も言わず眼に捉えていた。


「……なんで……?…」


驚愕か恐怖か足をわなわなと震わせレイアは赤龍の目の前にいた。


確かにギールが倒した。倒したはずだった。

ギールの蒼炎の竜は確かに赤龍の逆鱗を噛み喰らうのを確実にこの目で見たはずだ。


赤龍は倒した。奴は倒れた


はずだ。


至る所にあった傷口からは火が吹きあれ、先程いた龍とは別のものに変わっていた。


ズシン


赤龍が一歩踏み出す。


その一歩は重く。地鳴りのように音が鳴り響く。


ズシン


赤龍が二歩目を踏み出す。


ただ歩いているだけだというのにとてつもない威圧感に襲われていた。


ズシン


赤龍が歩く。


それにともないレイアも後ろへ下がる。


絶対に勝てない。

そう身体がレイアに告げていた。


先程の赤龍だったら全員で協力して倒せたが、目の前にいる存在は絶対に倒せないと身体が信号を送っていた。


生存本能か浅い冒険者の勘か


否、


そんな曖昧なものではない。


一目で分かる圧倒的強者を見てレイアだけではなくその場に居たものは察知していた。


逃げろ逃げろと危険信号を鳴らす。


ズシン


一歩、一歩と確実に距離を縮める。


ズシン


心臓の鼓動が聴こえる。


鼓動は赤龍が近づく度に速くなる。


ズシン


「…ハァハァハァハァ………」


呼吸が荒くなり鼓動が高まる。


「ΕωΖκΖΕπΖΙ……!!」


遠くで何かが聞こえるが心臓の鼓動が煩く何も聞こえない。


ズシン


「ハッハァ……スゥー……ハァハッ……」


上手く呼吸が出来なくとても息苦しい。


肺の中が何もない感覚がした。


ズシン


「あっ!?」


後ろに後退ろうとした所、何かが引っ掛かり尻もちをついた。


ズシン


赤龍が目の前に立つ。


「ハァハァハッ……ハッハッハッ…………」


これまでにない緊張感に襲われ呼吸がまともにできなった。


赤龍はレイアの顔を舐めまわすように見る。


「………………………」


心臓が飛び出るのかと錯覚してしまう程、レイアの心臓は高鳴っていた。


やがて赤龍はレイアの顔を見るの止め辺りを見回す。


左から右へと見回すと、ふと止まる。


「…………………!?」


視線が止まった瞬間、赤龍の顔が怒りに染まる。


先程と様子が更に変わり赤い身体が発光しているように赤く輝く。


レイアは赤龍の視線の先を見る。


「ギ…ール……?」


赤龍の視線はギールに止まっていた。狙い定めたのか、だが、それならば何故レイアを狙わなかったのか。


「!?」


赤龍は気付いたのだ。

蒼炎の竜の主はギールだと、その瞳で蒼炎の竜の主の魔力を視ていたのだ。


「グゥゥゥウウウウウウオオオオオオオオオ!!!」


耳が割れる程の雄叫びを赤龍があげる。


先程まで静かだった赤龍が雄叫びを上げ怒り狂う。

まるで地団駄を踏むように赤龍が踏むしめると地面が抉れ破壊される。


完全に理性が飛び辺りの物をところ構わず破壊する。


「ΖΙππΕπΖろ!!」


ギールが遠くから何かを叫ぶが途中しか聞こえなかった。


「!?グオオオオオオオオ!!!」


ギールの声に反応したのか赤龍が更に暴れ狂う。

その様は生きる大災害だった。


「…………!!」


赤龍がレイアを見つけ視線が止まる。


「πκκπれろ!!…………離……れろ!!離れろ!!!」


ギールの言葉がハッキリと耳に届く。


「!!……グアアアアアアアアア!!!!」


赤龍がギールの声に反応をし暴れ鋭利な尻尾の尖端がレイアを捉え飛んでくる。


「レ………イア!!……!?」


近距離から放たれた攻撃を絶対に避けられないと悟り、咄嗟に腕を前に出し目の前を隠す。


グサッ!!


()()が刺さる音がした。


痛みは感じない。


レイアではない何か物が赤龍の尻尾に貫かれたのだ。


ゆっくりとレイアは腕を下ろす。


「………!?……え……」


レイアは腕下ろし、ただ目の前の光景に驚くしかなかった。


「……ゴホッ!…………だい…丈夫…で……すか………レイア…ざん…………」


そこにあったのは吐血し赤龍の尻尾によって腹を貫かれ、赤く染まるベティーの姿があった。

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