猛り狂う炎
「ゴガガガガガガアアアアアアア!!??」
赤龍は今までにない程の声を挙げる。
自分の弱点である逆鱗に蒼炎の竜が噛みつき最後の力を振り絞り蒼炎の竜を引き離そうとするが蒼炎の竜はその牙を収めない。
蒼炎の竜はただ噛みつくのではなく身に纏う蒼い炎で逆鱗を焼き尽くそうとした。
「グ"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!」
赤龍は瀕死だというのに最後の抵抗とばかりに必死に抗っていた。
「……ぐっ……しぶとい奴だ、これで終わりにしてやる!」
ギールは苦しそうに声を挙げ更に魔力を込める。
魔力を込めた影響か蒼炎の竜は大きくなり蒼い炎は更に色鮮やかになった。
「はあああああああ!!」
蒼炎の竜は咆哮をあげるように口を大きく開き赤龍の逆鱗を噛み砕く。
「グウウウウウウオオオオオオオォォォォォォ…………!!」
逆鱗を噛み砕かれると赤龍は苦しそうに咆哮をあげ弱々しく倒れるのであった。
「終わった……?」
最初に口を開いたのはレイアであった。
「いやぁ〜そのようですね〜」
「魔力の反応はない……終わった……」
レイアに続き次々とほかの者達も声をあげる。
「っ!……ありがとみんなー!!」
レイアは泣きながら二人に抱きついた。
「っ!おい!離せ!なに泣いてんだ!おい!」
「だっでぇ……僕、本当に死んじゃうがどおぼっだげど……みんなのお蔭で助かったんだもん」
先程、赤龍と戦っていた『紅水』のレイアではなく少女レイアとして泣いていた。
「もとはお前が俺の話を聞かなかったからだろーが!!何回も何回も言っているのに事あるごとに無視しやがって……」
「あ"あ"あ"あ"あ"本当にごめん!!僕が悪かったです!調子に乗って本当にすいません!!」
「わかったから!抱きつくな鬱陶しい!離せ!コラ!顔を胸に押し付けるな!涙とか鼻水とかで汚れるだろ!!」
(………私の事、忘れてません?………)
ギールと共に抱きつかれていたベティーは心の内に思っているのであった。
「ごめんみんな取り乱しちゃったりして、迷惑かけたね」
先程から時間がたち落ち着きを戻し冷静になったレイア。
落ち着いているがまだ目元は泣いた後が残っており赤みが残っていた。
「……自業自得だろ……」
ギールが小さく呟く。
「っ!……悪かったって言ってるだろ!もう次はこんな事しないから!!」
「……とか言ってまたおんなじ事をして俺に泣きついてる姿が容易に想像できるぞ……」
「んもぅ!うるさいなぁ!さっきから謝ってるじゃないか!!そんなにしつこいから女の子にモテないんだよギールは!」
「な!?今、モテるとかそういう話じゃなかっただろ!元はお前の自業自得だって事の話をしてるのに話題を変えるな!!」
レイアとギールの口論が更にヒートアップする。
「だーから!その事はさっき嫌ってぐらい謝っただろ!今はギールのそのネチネチとしたしつこい性格を僕は言っているの!」
「だからってモテるとか関係ないだろ!?しかもさっきの話、俺はまだ許してないから!!」
「そこ!それだよそれ!前の事ばっか気にして前を向かないとこが悪いって言ってるんだよ!!」
「はぁ!?だったら俺も言ってやる!お前はいつも何も考えないで前へ突っ走り過ぎなんだよ!!俺だけじゃなくてほかの奴に迷惑がかかっているのがわからないのか!?」
「なんだと!?」
「なんだよ?」
「はい!ストップ!痴話喧嘩は結構ですが、まずは目の前の龍の事を考えましょうか」
バチバチと火花散らすレイアとギールに制止をかけたベティー。
「「ふん!!」」
同時にそっぽを向く二人であった。
「……はぁ……そうだな悪い、少し熱くなり過ぎた。赤龍は……どこの部位も素材として使える………三人がかりで手分けして剥ぎ取るか……そうだな、お前は尻尾あたりでレイアは……あっ!おい!」
レイアはギールの指示を無視し赤龍の元へ駆ける。
「ギールの指示なんて受けないもんね!べー!」
ギールのほうへ振り返り子供の様に舌を出し赤龍の元へ駆けるレイア。
「待て一人で行くな!クソッ!」
レイアはギールの言葉を無視しどんどん近寄る。
「骨格は飛竜なのに全然違う……」
変異した飛竜を初めて見たレイアにとって赤龍の構造は興味深いものであった。
骨格は飛竜の物だが体の大きさや通常の飛竜が持たぬ驚く程硬い鱗が生え揃っていた。
だが、真に驚くべき事は飛竜種には持たぬ逆鱗がこの赤龍は持っていた事だ。
特殊の環境による進化の影響かこの赤龍は下位種の飛竜と上位種の龍の中間の存在へと異形の進化をへていたのだ。
変異が起こった理由は誰にもわからない。特異な環境に適応として進化したのか、幾度の戦いを重ね進化したのか、それとも魔王の登場により魔物が活性化し進化したのか。
今だに変異とは何なのかが明かされていない。
「………まあ!難しい事はギールに任せてとりあえず剥ぎ取るか!」
先程まで赤龍を観察し難しい顔をしていたレイアだがあっけらかんとした様子に変わり腰に携えていた剥ぎ取り専用のナイフを出す。
レイアがナイフを取り出し剥ぎ取ろうとした時、"ありえない"驚きの出来事がおきた。
「え?………なんで?……」
怒り狂う程の激情に駆られ、赤き龍は我を忘れ猛々しく炎は
その身を深紅に染め業火が燃ゆる
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