紅い"龍"
書くの頑張ります。
「ゴオオオオオオオオ!」
紅き龍の咆哮が森の中に響く。
雷が落ちるような爆音ととてつもない衝撃がベティー達を襲った。
ただ、叫んだだけだというのに、ベティーは表現しがたい謎の威圧感を感じた。
「ッ!」
今まで戦った生物とは一線を画す存在、オーガとは比べ物にならないほどの圧。Sランク相当の怪物を前にベティーは心の底から"震えていた"
「『熔鉄の衣』」
震えているベティーを余所にレイアは何かを唱え、紅く粘着質の液体を身に纏う。
紅い液体はレイアの体に纏わりつき形を変え、次第に紅き鎧へと形を変えた。
「そして……『紅蓮の剣』」
レイアが手に持つ短剣に手を重ねると先程と同じように粘着質な紅い液体が短剣を覆う。
刀身の部分を飲む込みと液体は伸び、刃の形に変わり、やがて短剣から直剣へと姿を変えた。
「レイア、準備は終わったか。まずは相手の行動を観「うおおおおおお!」っておい!馬鹿!なに突っ込んでるんだあいつ……」
ギールの提案を無視してレイアが単身で紅き龍に向かう。
「クソッ……おい、お前いつまでそこにいるつもりだ?」
「……えっ……あ、はい、すいません」
「ちっ……一応、お前もパーティーに入っているんだから役に立ってもらうぞ」
「はい、何をすれば……」
「まずはあの龍を見るんだ」
「はい」
ギールの発言に従い紅き龍を見る。
龍は噛みつきや爪、尻尾などを使いレイアを殺そうと攻撃をしようとするが、レイアは次々と攻撃を避け、紅蓮の剣で斬撃を浴びせる。
その姿は踊り子の舞のように見え、美しくも見えた。
「ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
攻撃が当たらない事に憤りを感じたのか龍は先程よりも大きく重い咆哮を叫ぶ。
「どうやら基本的な攻撃は噛みつきや爪の引っ掻き、鋭利な尻尾での突き刺しばかりだな。恐らく離れた場合は灼熱の息を放つ龍の息吹などを使うかもしれん……」
ギールが龍の行動をじっくりと観察し、その動きから作戦を考える為、熟考する。
「ははっ!凄いや!飛竜と全然違う!凄く強いね!」
次々と殺意が籠もった龍の攻撃を避けるレイアが楽しそうに笑う。
「レイアー!そいつに剣は通るかー?」
離れてるレイアに呼びかけるようにギールが大きな声を掛ける。
「んーとね……ギリギ…ッ!リかなー!」
白熱とした闘いの中、迫りくる攻撃を避けなんとか返事をするレイア。
「変異した影響により通常の飛竜よりも鱗が硬質化しているのか?いや……変異によって飛竜という存在ではなく、龍へと……別の種として近づいているのか……」
ギールがブツブツと独り言を喋り更に熟考する。
「おい、あの龍の胸辺りの鱗で変なのがないか?」
「え?んー……」
龍の胸元辺りを意識して凝視する。
「何か……小さい物が胸に付いていますね」
「やはりか……」
ベティーの回答にギールは満足とした様子になる。
「それが何か?」
「これから奴を討伐する。力を貸せ」
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