小さき龍
遅れて申し訳なーい!お許しをー!
ベティー達は鬱屈とした森の中、会話を挟みながらも進み目的の場所に辿り着いた。
「ここは………何かの巣?」
暗闇の森を進んだ先には先程の暗く陰鬱な森とは違った景色がベティーの目の前に広がっていた。
暗闇の森を進む途中にあった木とは比べものにならない程の巨大な大樹が真ん中にそびえ立っていた。
大樹の太く長い枝には何かの巣があり、巣の中にはオーガと引けを取らない大きさの生物がいた。
「あれが君の獲物さ」
巣の生物に指を差しレイアは楽しそうに笑う。
「あれが………龍?なんですかね?」
巣からは離れていて肉眼では良く確認できないが、ベティーの目に映った生物は鋭い牙、二つの翼、紅く煌めく鱗を持つ怪物であった。
「正確に言えばあれは飛竜が………変異した姿だ……」
ベティーの疑問をギールが答える。
「変異……ですか?」
「生物とは進化する。だが、進化には長い時をかけ行うものだ。変異した生物とは普通の生物と異なる環境や経験を得て、生存本能により"生きたい"という生物の本能が爆発的に上がり、適応しようと進化した姿のことだ」
「通常、ワイバーンの討伐できるランクはだいたいBランクぐらいだけど〜……見誤ったな……Aランク……いや、それ以上あるなーこれ……」
先程までの雰囲気とは違いレイアは巣に鎮座する小さな龍を見てより楽しそうに笑う。
「なんで笑っているんですか?」
「なんでって、今からアイツと戦うのが楽しみで仕方ないからだよ。感じないかい?このピリピリとした感じ……ワクワクが止まんないよ!」
レイアは腰の刺している短剣を取り出す。
「気をつけろお前ら、こいつはもう飛竜と見ていい存在じゃない。龍レベルだと思え」
ギールがそう言うと右手に長剣を持ち、左手に蒼い炎を灯し。
「これはこれは……凄く楽しくなってきたなぁ……」
ポキポキと音を鳴らし、レイアとギールに聞こえない程度の声で呟く、不気味に嗤う男の姿があった。
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