白銀の少女は
誤字の指摘をしてくださった皆様に感謝!!
誤字は無くす様に気を付けますが、もし誤字があったら報告お願い致します!
ていうか誤字って気づくとスッゴい恥ずかしいー(*/□\*)
(なんなんだ、この痛みは)
頭を抱え、ベティーは人混みの中心に向かう。
(今日の僕は何か可笑しい、知らない人の名前の筈なのに、わからない筈なのに)
ずっと冒険者ギルドから出て頭の痛みが引かない。
(糞ッ!なんだ、なんだ、なんなんだ!?この感情は!?)
顔を痛みに歪ませ胸を抑える。
「勇者様ー!!」
「我らの国の英雄達よ!」
人混みの中心に進むにつれ掛け声が多くなる。
(近い……寒い寒い寒い、体が可笑しい)
「ありがとう!皆!」
若い青年の声が聞こえ、ベティーの顔は怒りに歪む。
(何故、僕は怒っている!僕は何に怒っているんだ!!)
ぶつける所のない怒りの感情が胸の中で渦巻く。
「すいません、どいてください!」
声を荒げ、強引に人混みを進む。
「あ、ああ……あ、あああああ……」
彼の目に映ったのはなんだったのだろうか、
歓喜する民衆か、
華やかな馬車か、
エルフの姫君か、
魔王を倒す英雄だ、魔王を倒す英雄を見ていた。
金髪碧眼の勇者ではない、美しい白銀の少女だ、少女を彼は見ていたのだ。
「思い……出した……」
曖昧な記憶のピースがピタリと綺麗に合わさる。
「アイリス……なんだね……」
ただ一人、優麗に佇む彼女の姿を見て彼は涙を流す。
「そうか……母さんは死んだのか……」
涙を流し、膝から崩れ落ちる。
「君は彼と結婚をするんだね……」
「お、おい兄ちゃんどうした!?」
突如、泣き崩れるベティーに男が心配そうに話かける。
「いいえ、ただ感動しているだけです。心配いりませんよ」
男にはベティーの顔は感動で涙を流す顔に見えず、悔しさのあまり涙を流す男の姿に見えた。
♢
「んー?どうしたのー?アイっち?」
「いえ、何でもないわ」
エメラルドの様な緑色の光沢を放つ髪を持つ幼女がアイリスに話かける。
「むー、本当かなー?」
「本当よ」
「むー!嘘を付く子は僕の魔法でお仕置きしちゃうぞー!」
緑髪の幼女かどこからか杖を出す。
「やめなさい、貴方はそれでも『賢者』でしょう?ニャールさん」
緑髪の幼女が杖から妖しく発光すると法衣姿の女性が止めにかかる。
「“それでも“ってどういう事かな?教会では会話の初めに相手を貶すように教わっているのかな?『聖女』のアリアスさん?」
「貶してなんていませんよ?もしかして自分が貶されているって、勝手に被害妄想してましたか?」
「へえー……これはぷっつんだ、ぷっつんしちゃったよ。僕ぷっつんだよ」
「何ですか?私とやるんですか?」
「望むところだよ」
「やめろ、お前ら周りには民衆の目がある。痴話喧嘩は後にしろ」
緑髪の幼女ニャールと法衣姿の女性アリアの衝突に金髪碧眼の青年、『勇者』レオールが止めにかかる。
「「はーい」」
「敵か?」
「違うわ、ただ何となく振り返っただけ」
「そうか……」
勇者一行は王が待つ王城へ向かう。
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