いらない
扇子がいるのかどうかは
わからなかった。
明日も明後日も、風流には縁など
ないのだから、
扇子はいらないと言っても
いいぐらいだった。
そんなもんいらーんでも良かった。
何を求めているのかなど、
誰にもわかりようはないのに、
わかってもらいたいなどと。
いつでも文字を送れるようになって、
ほんとうの文字には、
たどり着けなくなったのに、
何かを書いてみようなどと。
誰もが気ままに活字を生み出して、
活字が服を来て歩き出している。
決められた正解なら、
得意げに語れるようになっている。
扇子を持って過ごしてみたい。
それぐらいの時に出逢えるなら。
答えの見当たらない町中で、
体の震えが汗になっている。
扇子だってあればいい。
ほんとうにあれば、
それはそれでかまわない。
ただ、明日も明後日も、、
たぶんいらない。