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ステップガ―ルとワイバ―ンの領主  作者: 六葉翼
【ロンドン魔女紀行】
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ロンドン魔女紀行

前作【円環奇譚 鳥籠姫】から華麗に帰還(*・x・)ノ六葉翼が描く魔女物語開幕です!!前作どの大きな違いは・・タイトルに漢字が少ない(  ̄▽ ̄)書くのが大変(´・ω・`)だって海外旅行もしたことないし。書くのが大変そう・・しかしまた読み手の方々と楽しい旅が出来たらいいなと思います(〃^ー^〃)よろしくお願いします!!

【プロロ―グ】



夕暮れ時になると、橋の向こうに軒を連ねるパブに明かりが灯る。時刻はまだ午前だというのに。


さっきまでいたのは阿片窟。追い出された女はパブの灯りを待っていた。


ハマ-スミス橋の緑と金、お城のような塔が中央に聳える。


「まったく、この国は橋を渡るにも金がいるんだね」


懐かしい声が聞こえた気がしたけど、多分そら耳。昔、一人の娘が泣きながら橋の上からカ-ドを投げ捨てた。


未来を占うカ-ドは風に舞い、テムズ川の水の上を流れた。それも今思えば随分と昔の話に思える。


橋向こうは血濡れの心臓通り。彼女の住む部屋もそこにある。


部屋の床に落ちた水晶玉が砕けて割れた。所詮硝子で作られた偽物、割れて失われたところで何もない。


なにもかもが偽物なのだから。割れた水晶玉から生まれたように女の子が1人彼女の部屋から飛び出した。


橋の上には食べ物を売る行商人や見物客が大勢いて、その場に倒れ込んだ老婆の周囲に人が集まり始めていた。



【紳士と霊能者の少女】



「霊です、これは全て貴方についた霊の仕業なんです!」


言うが早いか、女の子は扉をノックした紳士の腕を掴み外へ飛び出す。


部屋の中には砕けた硝子に囲まれ、大の字になった紳士がもう1人倒れていた。男は呼びかけても何も答えない。


「大丈夫!死んでませんから!」


振り向くと、驚くほどあどけない少女の顔がそこにある。染み1つないビスクのように美しい顔と、金糸のような髪はたちまち薄汚い外套のフ-ドの奥深くに隠れてしまった。


「僕は君の犬だ」


振り向くと彼女は彼にそう言って、かん高い声で吠えて見せた。


彼は答えられなかった。


「僕は君がこの森に捨てた犬だよ」


彼が答えないので、彼女は彼にもう一度言った。


「僕は犬なんて森に捨ててない」


「私はこの森で貴方に絞め殺された女」


「僕は女なんて絞め殺さない」


「本当にそうかしら」


「でたらめや言いがかりは止めてくれ」


「生まれる前に捨てたかも、殺したかも、ええきっとそうしたはずよ!」


「この…頼りにならない霊能力者め!」


彼は舌打ちをした。彼女はドルイド僧を思わせる灰色のコ-トに身を包み、頭巾のようなフ-ドを眉の下深くまで被っていた。


ドルイドの語源は確か、この森の木々と同じオ-ク【オ-クの賢者】という意味だ。彼の記憶だとア-サ-王伝説に登場する魔術師マ-リンはドルイドだ。


彼女がマ-リンのようなら頼りになるのだけれど。


「御主人様」


「今度は何だ」


「私は銀の食器なんて盗んでおりません」


「君がそう言うなら盗んでないだろうな」


「御主人様にメイドとして誠心誠意仕えて参りましたのに、疑いをかけられ処刑された…」


「知らない知らない」


「心に決めたフォロワ-がいましたのに、生娘の私にあんな事やそんな事まで、きゃあ」


「しっかりしてくれ!霊媒師が悪霊に取り憑かれてどうする!」


「枝ぶりは、まあよしとしようじゃないか…だがこの野郎!靴が私の頭の上ってのはどういう訳なんだ!くそったれが!」


「私まだ子供だったのに」


リリスみたいに顔の表情や声が変わる。これが憑依というものか。取り憑かれ放題のなすがまま。


もう、いちいち受け応えするのにも疲れた。


「この辺りは確かジキルとハイドのハイドが最後を迎えた場所」


「それだけは呼び出さないでくれ」


「フィクションですよ、御主人様」


お前がジキルとハイドみたいになってるじゃないか。


彼女が次々口にするのは森のざわめきに似た人の声。その恨みつらみや罵詈雑言を浴びながら、依頼者の男と霊能者の若い女は森の奥へと進んだ。


「フィールド・ワ-クなんて大げさなもんじゃあない…散策、そう散策だ!旅先で様子のいい森を見つけたんで歩いてみようと思った、ただそれだけなんだ」


「霊が360体憑いています」


若い霊能者の娘は彼を見るなり事も無げにそう言った。

まだ始まったばかりのこの物語お読み頂いてありがとうございます(〃^ー^〃)さてロンドン魔女紀行次回の到着駅は未定・・お楽しみ下されば幸いです(〃^ー^〃)ではまた次回(*・x・)ノ~~~♪(六葉翼)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大人気ですね! 幽霊に……orz そんな状態にも拘わらず、冷静でw [気になる点] どうやったら、そんなヤバい状態になるのか、物語の中で明かされるのを楽しみにしております。
2021/04/17 11:25 退会済み
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