1、コエダのお喋り
キィ、キッ、キィ~!
キ! キィ、キッ!
キィィ、キッ♪
※コエダ視点のお話ですが、残念ながらこのままでは何一つ内容をお伝えする事が出来ないので、今回に限り特殊な翻訳機能を通してお送り致します。
※コエダが普段、どのような思考回路で行動しているのかを含めてお楽しみ下さい。
◇
ボクコエダ。
いまマオーしゃんの剣の持つトコにいるの。
マオーしゃんが歩くとゆっさゆっさ揺れて楽しいよ。
頭の葉っぱもゆっさゆっさするの、おそろいなの。
「えぇっと、た、た……『竜巻』! 次、マオーさん、『き』ですよ」
「ふむ。き……き……」
しりとりだ!
「き」ならボクも言えるよ!
「キィ!」
「ほう、『木』か。その歳で己のアイデンティティーを理解しているとは、流石コエダだな」
「キィ?」
よく分からないけど、マオーしゃんはいつもボクをほめてくれるから大好き。
「相変わらずマオーさんは全肯定してくれますよねぇ」
カロンもたまにむずかしいこと言うけど、今みたいに頭ナデナデしてくれるから大好き。
「では『木』の次だな。俺のターン、『キツツキ』!」
「あら、『き』が続くわね。なら私は……『喜劇』」
エーヒーも優しいから好き。
でも今のことばはよく分からないや。
「キキッ!」
「ほう、『危機』か。一巡する前に答えられるとは、素晴らしい手数の多さだなコエダ」
「しかもまた『き』攻めとは、やるわね」
「キィ?」
よく分からないけどまたほめてもらえた!
うれしいなぁ。
ボクはぴょんとマオーしゃんから飛び下りて地面に着地した。
だって踊りたくなっちゃったんだもん。
ワサワサ、チョコチョコ、フリフリ。
「わぁ、今日のコエダはご機嫌ですね!」
「フフ、元気そうで何よりだわ」
「え、ちょっと可愛すぎない? うちの子天使かよ」
わぁ、皆がよろこんでくれてる!
うれしいなぁ、うれし……
「無駄話はその辺にして下さい。さっさと進まないとまた野宿になります」
「ハッ!? それは困る!」
出たなせんせぇ!
マオーしゃんは慌ててボクをつまみ上げると、ソッとカロンの帽子にのせてくれた。
むぅ。
この場所も好きだけど、もっと踊りたかったなぁ。
しょんぼりしながら帽子の飾りにしがみついていると、せんせぇの冷たい目がボクを見下ろしていた。
こわいよぅ。
「……魔王様」
「なんだ?」
「いざとなったらコエダの踊りでチップを稼ぐという手が……」
「いや今のほのぼのとした流れで見世物扱いを思い付くとか鬼畜の所業かよ」
???
やっぱりよく分からないけど、カロンが「心配いらないからね」ってギュッてしてくれたから良いや。
あーあ。
ボクもみんなとむずかしいお話ができたらなぁ。
早くおっきくなりたいなぁ。
ふぁ~あ。
抱っこされてる内に眠くなってきちゃった。
ボクはワイワイと騒ぐみんなの声を子守唄に、うとうとと目を閉じた。
そうだ、おっきな木になってみんなと踊る夢をみよう。
きっと、すごく、楽しい……よ……
「キ……」
「あ、コエダ寝ちゃいましたぁ」
「なんか枝揺らしてるわね」
「踊ってる……のか……?」
「呑気なものですね」
寝ている間も意外とガッツリ見られている事を、コエダ自身は何も知らない──




