孔(あな)から溢れ出る白濁の液体
「大丈夫かい?」
「……大丈夫」
問い掛ける男性に対し、女性はおぼつかない声で応えた。
とあるホテルの一室に、一組の男女。
しっかりとした、筋肉質の肉体を持つ片方は微笑みを浮かべているが、細く蠱惑的なもう片方は小刻みに震えている。
そんな揺れを抑える様に、男性が肢体に指を滑らせる。
「いいんだよ、無理しなくて」
「無理なんかしてないわ」
呼吸の度に、熱く籠もった吐息が漏れる。
火照った頬を、薄明かりが静かに照らす。
男性は困った様に首を傾げ、ビクンと跳ねた孔に目を遣る。
「出してもいいんだけどね。そんな君も綺麗だから」
「やっぱりあなた、変態ね。──ッ」
女性の躰は、何かを我慢する様に膨らんだり縮んだりする。その都度『はっ……ぁっ……』という声も同時に発せられる。
生まれたときから備え付けられたその孔。その内側はヒクリ、ヒクリと動き、ピンク色の肉感が妖しげな色香を醸し出す。
其処からは透明で蕩けた水、そしてそれに混ざり存在する白濁の液体が、其処から射出されることを今か今かと待ち構えている。
「あぁっ……ぁ……」
「さあ、出しなよ。遠慮は要らない。思う存分に噴き出させると良いさ。心配ない、此処には二人しか居ない」
女性は顔を歪める。もどかしさと迷い、そして羞恥心とが心中にて交錯する。葛藤に溺れていた女性だが、とうとう限界なのか、ふっと躰から力が抜ける。
魅惑なる誘惑が、直ぐ其処まで押し寄せて来る。そして男性に見られているという事実も相俟って、自らの状態を意識させることとなり、女性の赤面を加速させる。
刹那にして頂点まで高まる感度が、本能に身を任せろと耳元で囁く。
余りの強大さに、最早逆らう意思も起こらない。女性は欲望の奔流に全てを委ね、そして──
「──ぶうぇっくしょんぅぅぅっ!!!!」
──遠慮すること無く盛大に、透き通った物と白く濁った物が同居した鼻水を射出する、すなわち嚔を放ちきった。
耐え忍んだ時間から開放された女性は、放心したように顔周りを掃除するための物を探し始めた。
「嗚呼……今日は風が強かったからね。植物も繁殖日和だったんだろう。花粉症は辛いね」
男性は一人、気の毒そうな表情でポケットティッシュを差し出した。
※この小説は全年齢対象です。