第七十話 知の高み
ああ…心に愛がなければ…
「騒がしい客人達だな…」
一人である事を確認した『くらま』は煉瓦倉庫寄宿舎の最上階に構えた執務室内、自室のイスに座ると首を左右に動かしコリの音を響かせ少し前の時間にあった出来事を思い出していた
快晴に恵まれた静かな波の上
昼を少し回った時間、定刻通り1400に護衛艦『こんごう』は佐世保に帰還した
あのに演習からしばらくメインのバースである立神T-1に姿がなかった国防の盾は、復旧の間に磨き上げられた艦体を輝かせ久しぶりのホームに戻った
顔役的艦艇の帰還に合わせ基地の方も昨日から慌ただしく動き
隊員達は昨日の昼過ぎから、艦艇の移動や配置直しなどに走り回った
現在佐世保基地のメインバースは『はまな』が出払って空きになっているT-2の側に『ゆうだち』『いかづち』間の桟橋を挟んで『はるゆき』とメインDDの二隻が移動し
T-1の半分、丘に向かって左側に『くらま』『まきなみ』と並ぶ
快晴の青空に生えるように立つ赤白の鉄塔の前、開かれた帰還の場所には多くの隊員と共に基地司令の宗像も姿を見せているが、演習での大金星を祝うという雰囲気ではなく額に濃い影が残る程の皺と顔には厳めしさが立っている
同じように艦魂達は司令旗艦『くらま』の向かい側に空けられた伯地の前に並んでいる
「ヤーイ、ヤーイ」
青空に負けない元気のかたまりタグボート達は声を合わせて艦体を押していく
他の護衛艦よりひときは大きな艦橋を持つ『こんごう』艦はゆっくり水面を押して桟橋に擦りつけられて行く中
人,艦共にそれらが停止の体制に入ったところを見計らったように、『くらま』を先頭に並ぶ艦魂達の列の前に光りの輪は開かれ
流星を髪に纏った『こんごう』は正しく手をあげ敬礼の姿を現した
一同に並んだ艦魂達の中、大仰な返礼を見せるアメリカの客人達、演習の殊勲艦である『こんごう』を迎える笑みは『くらま』に言わすのならば悪趣味な祭りのための嘘笑いでしかない
目的のために手段選ばずの彼女達の姿に基地司令艦という職務にある『くらま』の肩にかかる負担の象徴がコリの音につながっていた
アメリカからの珍客が限られた日本滞在と帰港時間の全てを曰く「有効に使って」使って『くらま』との一夜を狙うおふざけの延長に組み込まれてしまった『こんごう』の帰還
企みがわかっていても、同じ演習をした者「同志」であるから是非にと頼まれれば拒否は難しいもの
お国柄も手伝うのか、彼女達の懇願ぶりは身振り手振りも相まって激しいうえに普段なら佐世保基地をアメリカ軍側の重鎮として座るエセックスまでもが、アイゼンハワーに張り合う為大騒ぎという始末には参ったと短く切り撫で躾た髪の前、頭痛を引き起こしそうになった額を軽く叩く
結局同盟国家のお客達の願いを聞き入れた『くらま』だったが
それが無用な出来事にならずに済んだことには感謝していた
『こんごう』と最初に交わした帰還の挨拶で違和感を感じとる事が出来た、そこからは持ち前の話術と責務で難を避ける事に終始した
夜に会されるパーティーまでの間までを彼女達にひっ張り回されるのもやむなしかとうんざりしてしいた心に、確かめねばならぬ事ができ電気針を刺されるような直感が動いたからだ
「『こんごう』とは個人的に今回の演習についての話し合い、反省会を持ちたいと考えておりました故、夜までご容赦を」
自分の手を引こうと陽もある港でしがみつく助走をしていたアイゼンハワーに毅然とした態度で
申し立てると執務室に帰りココに座っていた
近代的で角の立った調度はここには一切ない
昭和という時代よりもさらにモノクロの写真が浮かび上がらせていたであろう家具が並ぶ
執務に使われる大型のテーブルも茶色にしてニスの程よくニブイ輝きを持つ古い時代の優しい遺物
出入り口の大きな扉の上に飾られる金板を打ち出して作られた「佐世保鎮守府」のき章の元、帝国海軍華やかなりしの時代をそのまま移築したような部屋
目の前のペン立てに高さを揃えて並べられた筆記物を静かに、流すように眺めていた切れ長の目の主は背筋をあげ天井に、そして窓のある側に身体を返すと
ついさっきまで呼びつけていた『こんごう』が煉瓦倉庫の寄宿舎を出て自艦に向かってを歩いて行く姿を見つけ、その背を追うように見つめていた
「緊張?違うな…」
窓の外いつもと同じ背中は、いつも以上にしっかりとした足取りで堂々して見える
港に入ってすぐの挨拶で瞬間的に感じた違和感
今までの『こんごう』ならば、演習で倒れた事を恥たうえで気むずかしい顔で声の通りの悪い返事を俯きながらした事だろう
それを窘めながら、反省を促すという役を担うのが『くらま』の立ち位置であり
そうやって基地に勤める魂達の様子をくまなく見てきた司令であるからこそ、微妙な変化にも即座に気がつくことができた
光の輪をくぐり並ぶ艦魂達の前に出た彼女は
「修復を終え、帰還致しました」
張りのある声を青天の午後に程よく響かせると
出迎えの桟橋に並んだ仲間達の顔を確かめるように動いた微かに目線が走る
鋭いばかりで刺々しい印象が第一だった目が、仲間を確認するという小さな動作の中に温かなものを秘めていた事
一歩前に立つ司令艦の前で止まった目
直立の姿勢、一文字に結んだ唇
水色の瞳は瞬きの一つもせずに『くらま』の「ご苦労だった」という言葉に返礼すると
「長く休みを頂ました。休んだ分を返せるように演習で得た事を糧とし、より励みたいと思います」
不器用の代名詞だった『こんごう』いつもならココで不器用な反省を零すか、自虐するような戒めを吐露するであろう若い盾は間逆のバイタリティーを示した
というか
言葉ならば今までだってそういうふうに返していただろう
だが今回は態度に出るものが違った。真っ直ぐに顔を上げしっかりと根を据えた返事に
『くらま』の後ろに並ぶ、佐世保に詰める魂達はもとより
同列に並び、演習の主役と褒めてパーティーへの助走にしようなどと考えていたアイゼンハワーさえも安易でふざけた笑みを消して『こんごう』を見つめざる得ないほどに芯の通った声で違和感は確信に変わっていた
『こんごう』の持つ空気が明らかに違っていた
変化を、その根元を突き止めるために執務室に呼んだ『こんごう』との話しに『くらま』は目を細めた
いつもなら自分の問いを、問いつめと勘違いする程に警戒心を前に立てていた『こんごう』はどこにも居なかった事に驚きつつ
窓の下、秋風の吹く基地港を歩く燃える魂が放った一言を思い出していた
「演習で得た経験でお前はどこか変わった気がするが、何を感じた?」
深く腰掛け、重鎮として構えた『くらま』の前
入室前から毅然とし、引き締まった顔が答えた
「変わる事はないと思います。今までも国の楯であるという使命を持って来ましたが、それを自分の艦生として認めていきたいと思っただけです」
「変わらぬ思いを改めるという事か?」
たどたどしく、慣れない質疑に答えを探すように答える『こんごう』だが、姿勢は崩れる事なく真っ直ぐにして美しき起立を保っている
自分の心を、反省と戒めで縛るような無理強いをしている感じは何処にもなかった
ただ変わらぬ思いを、国の楯として争いの海が開かれれば面前に立つという覚悟を
今までは言葉だけで捉えていたそれが「深化」したと言わんばかりに『こんごう』は目を輝かせていた
「私は、私に与えられた仕事を十分に発揮するために、励んで行きたいと、それを思い直す事のできた演習でした」
演習の中身や心象の多くを語ろうとはしない『こんごう』だったが『くらま』にはそれでもよかった
答えはそれで十分だったと感じられた
絶対はない、ミサイル防衛の要となる艦であっても現実の不安はある
だが、不可能だの無理だのと後ろを向いた発言を決してせぬ変わりに、自分を戒める為に心の奥に閉じこもったままで無理に前を向き続けていた『こんごう』が呪縛から解かれ
絶対に近づく為の努力を、口に出して目を輝かせて見せられる程に方向性を変えられたのは喜ばしい事だった
「演習は無駄では無かったな」
デスクの飢え重ねた手の向こう、隠した唇に少しの笑みを浮かべた『くらま』は
それだけを告げると、下がる事を許した
去って行く『こんごう』遠くない未来に新たな司令職、または指導の任を担う事にもなるであろう妹の背中
立ち上がっていた自分の背を深くイスに下ろし長い息を吐いた
「国の守りとして変わらない思いのために自分を変える、思いへの道を見つけたのか…な…」
そう言うと普段昼時には決してふかすことのなかったタバコを唇に運んだ
「今はまだ言葉だけで見えないが、結果をだしてくれ…強くなっていってくれればそれで良い」
浮かぶ一息の煙
先を焦がしたタバコを口から離した『くらま』は、苦い笑みを浮かべながら指で火を握りつぶした
「強くか…」と、そのまま目を閉じ深くイスに身を沈めた
冬の午後
テラスに差し込む光は水平線近くから太陽の輝きを差し込んでいた
秋を彩った燃える色の葉達は地面の色に同化し、自然摂理に従って返って行く
図書室、『あまつかぜ』の残したデスクに『しまかぜ』は顔を押し付けるように伏せていた
出迎えの後、司令艦からの呼び出しに合った『こんごう』の事は十分気になってはいた
普通ではなかった演習で、すぐに佐世保に戻れないほどのダメージを追った事も確認していたのだから妹が正常でいられるか?また艦隊勤務で破綻をきたしたりしないか?
色々な心配も募っていた
集会が終われば率先して『こんごう』に挨拶を交わしいつもどおりの世話を焼き、彼女の心持ちを心配する『しまかぜ』だったが今日はそんなに気持ちになれなかった
胸の中にざわつく想いが渦巻き続けていた
整列に並んだコーパスクリスティーの顔を恨めしく自分が睨んでいた事に気がつけば、頭に昇る闇を振り払いたいという気持ちでいっぱいになるというもの
「『あまつかぜ』姉さん…どうして…」
擦りつけた額、落書きのような走り書きの残る『あまつかぜ』のデスク、ココで多くの話しをした憧れの姉
目を閉じれば今でも姿を思い出す事ができる
小さかった背中、短い黒髪、いつも笑っていた口元
だれよりも一緒にいた
その姉の艦生の幕引きまでした、自分の手の中にリングを残していった人なのに
何故に自分に希望が託されなかったのかと、古びた机に願うように額を何度も擦りつけた
「何かの間違い」
コーパスクリスティー、アメリカから来た原子力潜水艦の魂は黒髪を揺らしながら笑っていた
『あまつかぜ』の想い、希望を授けられたのは自分であると。それを進化させるために、彼女の願いを叶えるために自分が使わされたと公言した事が心に刺さり動きを鈍くしていた
悲しく下がった瞳の下で思い出を何度も反芻する事でなんとか自分を保たせようとしていた
「いたぁ〜〜〜いた!」
静かな部屋に緩い声が響く
在泊勤務の基地ならば午前の課業が勤めでそれが終われば後の時間は自由
だれが使う事も許されている図書室に入ってきた者は、スキップを踏むよりも危うく見える歩で『しまかぜ』の前に進んできた
『こんごう』のお迎えを米軍艦艇としたため黒の制服姿の『はるさめ』は講堂から続く扉を開けて対面のイスに座った
「『しま』ね〜〜お話よろしいぃ〜〜」
毛羽だった心を抱く『しまかぜ』には逆撫でにも聞こえる声の主は茶色の髪を揺らして隣の席に座った
日本国を護る護衛艦の中では中堅どころである『むらさめ』型護衛艦、長女である『むらさめ』の次に位置する次女『はるさめ』は首に内巻きに入る軽めのカールを持った髪と性格が一致しているかのようにフワフワとしている
背丈は『しまかぜ』と変わらないぐらい170センチほど
だが体つきは基地勤務のどの魂達より豊かだ、実った大きめの果実を二つ揺らしながら歩く
出るとこたっぷり、引っ込むところもしっかりのナイスバディーの『はるさめ』は性格穏やを通り越しどこか抜けたところも多いと言われる艦魂
そんな彼女の事だからまた何かなくした程度の話しか?軽めの溜息を落とし
「どうしたの?」
自分の事に没頭しながらも、基地内では年長の姉にあたる『しまかぜ』は顔を起こし相手をした
「あのねぇ〜〜来週からクリスマス月間になるでしょ〜〜それで〜〜お願いがい?かな〜〜お頼みかな?を言いにきたの〜〜」
「パーティーナイトの提案の事ね」
手元にあったファイルをかたし、別のノートを『しまかぜ』は取り出した
毎年のイベント月間、パーティーの趣向には色々な意見を漏らさず聞く、飽き足り退屈させたりしないように配慮するのも年長の姉である者の仕事の一つであり、多くの意見が必要とされるイベント月間ではお馴染みの光景
胸に挿した黒の万年筆を取り出し「どんな催事?」と『はるさめ』に聞く
そもクリスマス月間とは
まだ十一月に入ったばかりだが、ココ佐世保では月中から十二月の本命日からそれ、時としては新年までを毎週大なり小なりのパーティーが開かれる
何故かといえば彼女達の勤務が本命日に掛かってしまう可能性もあるという事と、日本の要軍港である横須賀と佐世保は海外からの艦艇の出入りの多くなるシーズンにもなるからだ
クリスマスは今や多くの国にまたがる習慣になったイベント日
アメリカやイギリスの艦魂達は当然親愛を示す大切な日として捉えているし
同盟国の艦魂達は自分が籍を置く国の日付に習ってクリスマスを楽しむ、当然その期間は日本が基準として取り入れている十二月二十四日、二十五日だけではない
アメリカは二十五日が公休で軍もお休みの完全なるクリスマス本番
ドイツは十二月の六日になればクリスマスに入なるし
カトリックの影響力が色濃く残るスペインなどは十一月には町を挙げてお祝いの助走に入り、祝いが終わるのは年をまたいだ一月六日という長きにわたるものもあるのだ
この時期、横須賀も佐世保も夏季の夏休み入れ替えによるイベントと同じぐらい忙しく海外の艦艇が出入りする
軍属にも密接に関係するイベントとして『しらね』と『くらま』は同盟各国の船達を迎えるために一週間に一度はパーティーナイトを開く
これは遊びではなく一つの礼儀、多くの同盟国を持つ国の義務
だからこそマンネリ化したイベントを開催しないよう、同盟国に開かれた港である横須賀や佐世保では毎年派手ではないがそれなりに趣向を凝らしたイベントを催す
お祭り上手で外交も巧い横須賀基地司令の『しらね』はそれ程苦もなくこなしているが、伝統墨守の硬さそのままである佐世保基地司令『くらま』社交はそれなりにこなしすが引き続きのイベントや騒がしいのは得意ではないようで、下の者達からの多く意見を募る。その取りまとめ窓口を『しまかぜ』が行っていたりもした
「どんな提案?書き留めるから言って」
「提案?提案とも言うよねぇ〜〜」
ペンを取った相手の姿を『はるさめ』の愛嬌の良い嬉し目が、どこか見下すように見つめながら両肘をデスクにのせて、ほおづえのまま顔を寄せると
「私〜〜『いかづち』と粉川さんの恋愛を押すから〜〜邪魔しないでね〜〜」
付き合わせた顔
笑みの目の中に悪意を宿し、突然の宣戦布告をした
手に持ったペンが書き物の上で時間を止める
「何言ってるの?『はるさめ』?」
自然体の明るく笑い続ける顔も『しまかぜ』の驚きで見開かれた目に遭わせるように突然止まる。時間をとめた笑顔の中、目の玉だけが鋭い意志を現し
「ハッキリ宣言しただけよぉ〜〜」
デスクの上、合わせていた顔は嘲る唇を光らせて顎を揚げると視線を反らす
「何言ってるの?そんな事で「人」と関わるなんて良くないわ!私達全体の問題に対する解決のためにもそんな事は」
五十年、おそらく出会う事のなかった人との奇跡の遭遇
『あまつかぜ』の日記の事、その生き方を介し『しまかぜ』が自分達の前を歩いた大戦の姉達を追っている事は周知の事実だった
日本の盾として産まれた魂達の誰もが諦めた絆への探求者である『しまかぜ』の言う、人との出会いをどういうふうに見てイイかはこの二ヶ月という時間の中では誰もが計りかねていた
だが、横槍を入れようとする者もいなかった
自分たちでは出来なかった事を、もしかしたらと言う一縷の望みを思い黙認していた中で
絆への探求以外の目的で人とつながろうとする、深慮を踏み倒し恋愛をすると言いはなった『はるさめ』の態度は驚きでしかなかった
「なんて事言ってるの?『はるさめ』、『いかづち』に頼まれたの?」
「何言ってるってぇ〜〜?そんな大仰な事話してないよ〜〜私〜〜」
もちろん『はるさめ』も直接ではなくとも姉になる『しまかぜ』が絆を求めて日々研究や調べものをしている事は知っていた
だが
返された声は、それらを蚊帳の外どころか投げ捨てた態度を示しながら、驚きの顔から距離をとると上体を反らし立ち上がって相手の鼻筋に向かって指をさした
「恋愛しましょ〜〜〜って『いかづち』に言ったのよ〜〜だから恋愛を頑張る事にしただけよ〜〜」
「何が恋愛なの?どうしてそういう事になってるの?」
『しまかぜ』は立ち上がった相手を追うと、揺れる肩を掴んだ
「粉川さんに迷惑をかけるような事はやめなさい!私達にとって人との出会いは奇跡の出来事なのよ。だからココから」
「奇跡の出会いから何か変わった?」
声が尖る
揺れる標的だった『はるさめ』、口だけは笑っているが後の全てが硬く強張ると自分の肩を掴んだ手を振り切る
「何も始まってないし、何も変わってないよ。自分だけが特別に努力しているから邪魔しないで〜〜みたいな事いわないでよお」
「それは、まだ出会って二ヶ月だし」
どんなにあしらわれる言葉を投げられても、意識をしっかりと持っている事が大切、理路整然と事を語ろうとする『しまかぜ』だが、それをかわす『はるさめ』は
クルリと一回転して見せると、刺したままの指で
「そうやってのんびりしているとぉ〜〜今度は『たちかぜ』総司令が死ぬよねぇ〜〜〜」
揺れながら刺す瞳は続けた
待ち続けた奇跡に爆発的な解決を望んでいる魂がいる事を、人の存在を知っているからこそ今も横須賀で、絆への解決を待ち堪えている『たちかぜ』
人との繋がりを失った後の時代を支える司令艦『しらね』も不安を抱き続けている、この出会いによるなんらかの結果を欲している事
護衛艦の魂達は「奇跡の出会い」から自分達のルーツと、救いを求めているという事実
「自分の中だけで解決できればいいから、ゆっくりしてるんでしょ〜〜『しまかぜ』さん〜〜」
「違うわ!!」
「you are a liar」
ぶれることなく発された流暢な罵倒の前『はるさめ』は、いつものように笑っていた
『しまかぜ』は自分の視界が揺れ答えに戸惑っている事に気がついたが、追い撃つように彼女は続けた
「本当は「絆」を見つける、真実への道なんてどうだっていいのでしょう。そうやって『あまつかぜ』姉さんの追ったものを追うことで自分が絆への第一人者として苦労しているようなふりを見せているのだけでしょ」
「貴女は本気で絆を探していたあの人とは違う」
『しまかぜ』の脳が痺れ揺れる
いつも揺れている『はるさめ』の方が闇の中にしっかりと根を据えて立ち、姿は銀色の目を輝かすマリアの肖像と重なって見える
「違う、私は」
目を反らし俯き歩を止めた『しまかぜ』に、身を翻し近づいた『はるさめ』は息をかけるように耳元で
「だって貴女は寂しさを紛らわせるための胸を持ってる。狡い魂だもの」
「貴女は敬愛する姉の意志を踏みにじっている」
『はるさめ』の言葉に連なるように重なって木霊するコーパスクリスティーの諫言
されど
長すぎた途絶の期間、それを探すという作業は難航を極めていた
DDGとDDHの確執は『あまつかぜ』の死の時まであった。そこから『しまかぜ』が受け継いで十年近くが過ぎていたが、十年でその溝が完全に埋まったわけでもない
さまざまな思いを抱いている護衛艦達の中で、深く入った亀裂の間を縫うように遅々とした歩みで作業を続けてはいたが、疲れていたのも事実だった
最愛の姉を撃った自分に課せられた十字架の中で、姉の意志を追うのは苦痛でもあった
だから、自分を休ませる心と体を癒せる場所を必要とした
『くらま』との関係を
愛でなくとも自分を慰める手を欲した
「汚らしいよね『くらま』司令もそうだけど、情熱のない恋愛をする貴女が大嫌いよ。『しまかぜ』さん、貴女が大嫌いなの」
知られていた関係を、卑下する声に『しまかぜ』の抵抗はなくなっていた
反らした目を覗き込む『はるさめ』の笑い目と相対する茫然自失の目
夕日を浴び白く輝く書棚の部屋で黒く渦巻く二人の影
固まり動けなくなった相手の肩を、言論の勝者である『はるさめ』が軽く押すと静かに離れていった
「ちゃぁ〜〜んと宣言したからね〜〜〜」
背中越しの台詞は振り返って
「『いかづち』の恋愛を邪魔したら『はる』ちゃん絶対に貴女を許さないから」
返せる言葉無く、立ちつくしている『しまかぜ』の姿に、勝利の笑顔を見せ続ける相手は扉を閉めながら
「心配しにないで〜〜〜『こんごう』ちゃんにもぉ〜〜ちゃんと話しつけておくから〜〜」
閉じたドア、講堂に少しの足音が耳に残る
パーティーに続く夜までの時間を行き交う魂達の笑い声
上がってしまった息を整えながら『しまかぜ』は姉のデスクに手をついた
「『こんごう』…」
「再びお会い出来て光栄です」
演習組全員が揃っての帰還パーティーへの時間が迫る海に、姿を没した太陽が最後の煌めきで水面を広く細く輝かせているのを突堤から見ていた『こんごう』の背中に挨拶をしたのは
変わらぬ司教服、赤のスータンに身を包んだコーパスクリスティーだった
佐世保港から向こう山間を越えた向こう
大戦を戦った姉たちの終の棲家を思っていた『こんごう』は振り返ると、正しく敬礼した
「こちらこそ、再びお会い出来たことを嬉しく思います。コーパスクリスティー大佐」
海の御座と呼ばれた場所では、青白過ぎて不健康というよりも幽界の住人のように見えた肌は変わらず白すぎる陶器のようで生気を感じにくいものだったが、夕日の残り香を顔に写している事で生きた魂であり
自分と変わらぬ船の妖精であるのはわかっていたが、灰鉄の目に黒目が浮かぶ様子など
変わらぬ神秘の存在に見えるコーパスクリスティーは、『こんごう』の硬い挨拶に軽い会釈をして
「マリアで結構です。貴女とは名を呼べる友になりたいのですから」
白銀の眉と灰鉄の目、まるで瞳の輪郭だけが顔の上部に見える彼女は、どこか不器用そうな感じで薄い唇に笑みを見せた
相手に合わせた返事を貰った『こんごう』だったが、いくら名前でと言われても踏み切れない様子で
敬礼の手を下ろすと
フレンドリーという態度に慣れないのか、尖り目を反らして
「でわ…マリア大佐」と取って付けたかのようにこたえた
どうにも縦社会の住人過ぎる『こんごう』階級は一佐である自分と同じ佐官なのに、どこか下がった態度で、子供のように握りしめた拳は仮面の女コーパスクリスティーにも笑いを誘うものに見えた
「マリアのみで結構ですよ」
目を泳がせ、口を尖らせながら返事を待つ姿
思わず小さな笑い声が出たコーパスクリスティーは口元を押さえながら
「relax」と、少し肩の力を抜くというゼスチャーをして見せた
夕日の消えた海は紫の中間色を浮かべ、二人の影を長く伸ばしている
南から服風もめっきり肌に冷たいものとなった
「Miss diamond…私は」
「まって、私も『こんごう』で」
思わず改まってしまったが水の記憶の中ではけんか腰にまでなった相手
思い返せば気恥ずかしいもの、『こんごう』は手を挙げて名前で呼び合う提案を態度で承認しながら
「お互い名で呼ぶと言う事で」
話しの続きをと促し二人は桟橋を歩き、『こんごう』艦の甲板に場所を移していた
凪いだ風の中で黒髪を流す麗人と、茶色の髪を揺らす『こんごう』
一等星の瞬きが透明度の高い闇の中にあって際だって見える冬の空
その下でパーティーまでの少しの会話をする事にした
「本当に、貴女ともう一度出会う機会に恵まれた事を感謝しています。貴女とならばきっと真理を隠した闇に近づけると確信していたから」
「私も近づきたいと思っていた」
迷いのない声が返した言葉にコーパスクリスティーの目は輝いた
静かに右へ首を傾げ
手を広げ港を指すと
「やはり貴女ならば共に高みを望む事が出来る。貴女は強い魂」
指される先を見る『こんごう』は制止した視線のまま
自分が強いか弱いかについてはわからないと告げた
強いならば、戦った姉たちの姿に涙を流さなかったのかもしれない。自分もそれが故の船であるのだから
戦場という海において、有るべき当然結果だっと心を落ち着けていたのかもしれないという思いもあるが、それ以上に
現実には戦場に立つこともままならなかった自分、心の弱さ省みる事で、強く自分を立たせ先を歩いた姉達が縋った真実へと近づきたいという思いを隠すことなく言うと
「私は、死への戦の果てに姉さん達が願った思いを知りたいと考えている」
「わかりますよ、その思い。私ならば、いいえ私と貴女ならばそこにたどり着けるかもしれません」
手を緩やかに『こんごう』の前に伸ばす
「どうぞ私に力を貸してください、貴女の、日本海軍(日本国海上自衛隊)の魂である貴女の力を得る事によって、かつて日本を護った者達の残した記憶に手が届きます。共にまいりましょう」
神秘の雫を操る神の使徒マリアの力は『こんごう』にとって必要なものとなっていた
自分には出来なかった業を繰る者の協力に静かに、力を宿した目で頷いた
「よかった貴女との合意が得られた事で、私は更なる知の高みに至る道が開かれました」
「私は、姉さん達の魂のために出来ることが知りたい」
「大変に重い使命ですね」
輝く目は無機質な表情の中に喜びを浮かべ、伸ばしていた手の人差し指を立てると
「ただどうか聞いてください、重い使命にはそれと同等の思い責任が伴います。約束してください、この旅の結末まで、答えが出るまで、この事は私達二人だけの秘密としていきたいのです」
コーパスクリスティーの言いたいことを『こんごう』は良く理解していた
現在アメリカ合衆国海軍でこの問題がどう扱われているかは暗黙のものでもある
だがコーパスクリスティーのように「求めている者」がいる事からも、知られざる部分の多いデリケートな問題である事は想像できたと
合衆国海軍の原子力潜水艦大佐という彼女の立場も考えれば提案は飲まざるえないし
自分たちの側にも事がデリケートであるのもわかっていた
日本の盾たる船達にとって触ることを恐れる問題として長く残っている傷
大戦の姉達への道、帝国海軍との魂の絆
かつては『しまかぜ』の敬愛する姉である『あまつかぜ』が、それを追う事に没頭したがためにDDHとの間に溝を作り護衛艦隊を二つに分断するところまでいったとも言われていた
現在でもそれは尾を引いているのか『あまつかぜ』の後を継ぎ探求者となった『しまかぜ』が大手を振って探しているところなど見たこともない
それを今更自分が絆への道を探す事に参入したいなどと口に出すのは、不安定の中にある護衛艦隊の中では不用心極まりない事である
意を決した口が強く結んだ唇を開く
「わかっている。誰にも言わない、マリアにも迷惑をかけたくないからな」
もう一つ
粉川との約束を考えれば、やはり隠密に事を進め確証を見いだしてから『しまかぜ』の協力を仰ぐのがベストとと考えついた
「覚悟は決まっている、まず一人で戦う。マリアの力を借りて」
伸ばされていた手を取ろうとした
記憶を追い、真実へ向かうのは戦い、『こんごう』らしい言葉にコーパスクリスティーも手を取ろうとした
「『こんごう』!!」
各々の答えを求める者同士として決意の握手を交わそうとした間を割ったのは『しまかぜ』だった
その目は嫌悪を現してコーパスクリスティーを見ると『こんごう』の伸ばしていた手を引き離すように勢いよく自分の側に引いた
「何を話していたんですか?変な事を吹き込まないで!!」
最初の出会いの日から、敵対者であるという認識を惜しむことなく見せているコーパスクリスティーを『しまかぜ』は危険な存在と認識していた
『いかづち』の恋心をそそのかした者
『はるさめ』に強硬手段を取らせるほどにした者
この上『こんごう』までをも巻き込めば…
余裕のない態度が、いつもの出来る姉の姿を霞ませたまま強く『こんごう』を引き寄せると、自分の背中で不敵な相手を隠して
「『こんごう』?何話してたの?」
額をぶつける程の近くで吐き出すように問いつめた
睨むように尖った目、姉の形相の前で『こんごう』は沈黙の中で口をつぐむ
「最初の決意が滞る事のない事を願います」
『こんごう』を隠す『しまかぜ』の背中にゆるく祈るような荘厳な声が響く
必死の形相の『しまかぜ』とは対照的過ぎる、静かで冷徹で無を見せる銀色の目
頭に響く声は『こんごう』は必死すぎる姉の態度に呆けていた目を怒らせ顔を引き締めた
「何も、何も話してません」
「『こんごう』?!」
毅然とした目は姉の質問にこれ以上扉を開かないというのを現していた
いつものきつく結んだ口が微かに震えている
呆然とした目が、首を微かに拒否とふるのを見届けたように
いつも以上に尖った目が告げた
「挨拶をしていただけです」
そう言うと引かれていた手を振り切り真っ直ぐに歩いていった
『しまかぜ』は振り払われた手の痛みを胸で押さえるとコーパスクリスティーを見つめた
「彼女は振り向かない」
声を無くした相手に、聖者の妻を自負する魂は笑うように言う
「貴女では届かない。貴女はココで待ってる方が似合う」
無機質を彩る銀の瞳は月の光の下、ブルネットを銀色に変えた髪を逆巻きながら
「彼女が希望になる。貴女はただ待っているだけで、それでいい」
月が照らし出す二人の淡い影
優しい夜の中で限りない孤独の闇に『しまかぜ』は立っていた
カセイウラバナダイアル〜〜ヤマト〜〜
宇宙戦艦ヤマトに新作が出来ていた事を最近知ったヒボシですwww
そういえば草薙先生が後書きで復活編を見て来たと書いていたのを見てぐらいな感覚なのですが
なんとヤマトが実写になるという驚愕の情報
たぶん皆さんは知ってましたよね
ヒボシは宇宙戦艦ヤマトって見た事ないんです
ただ偉大な作品なのでイメージとされるキャラなどはそれなりに知ってます
スターシャにテレサ
アナライザーに酒を飲ます佐渡先生とかミー君とか
「こんなこともあろうかと」の真田さん(ちなみに実写では柳葉敏郎さんがやります。東北弁でなまったままこの台詞言ってください「こんな↑こともぉあろっかぁ↑とぉ」って)
何故かキャラクターの方はそれなりに知っています
特に子供の頃はテレサの裸体に萌えました
祈りを捧げる形で宙に浮かぶ彼女の憂いをおびた切れ長の目、長いまつげは憧れでした
ところで実写の古代進はキムタクだそうですが…
なんかがっかりです、そういうちょっとおしゃれな人にやってほしくないキャラです
むしろ時代逆行するかのように眉の太い無駄にきまじめな姿を見せられる人にやってほしかったです
沖田十三が山崎努というだけで私の周りは見に行こうとしている人が多いですが
ヒボシはデスラー総統が伊武雅刀だったら確実に行きます
真っ青になって出てください伊武さんwww
そんな希望いっぱいの?宇宙戦艦ヤマトですが
ゲームになったりパチンコになったりでCGを多用した画像がたくさんあって色々みました
中でも、心奪われたのは
http://www.youtube.com/watch?v=2BhvLvQ08RM&feature=related
これ
なんか凄い、宇宙に向かうために飛ぶという描写がかなり本格的
真っ直ぐ飛んでゆく巨体
パチンコのCGらしいのですが、最近のものは良く出来ているなあと感心しつつ
あの海から出てくるヤマトの大きさはおかしいと突っ込み
周りを飛んでいる戦闘機の比率から計算するとあのヤマトは600メートルはある
いやそれ以上あるかもしれない
11秒から13秒の間に見えるヤマトすぐ横を飛ぶ戦闘機の大きさから考えるにそういう事になる
この戦闘機の大きさが、名称はブラックタイガーというらしい…エビ?
とにかく全長17メートルで二人乗り
これの大きさから画面を測っていったら600メートルぐらいになった
ものすごい単純比率の出し方だったが…
言えば過剰演出?
宇宙戦艦ヤマトってウィキによると265.8メートルとなっている
戦艦大和の殻の下から脱皮するように出てきたヤマト
戦艦大和はココでの先生方もご存じのように全長263.0メートル
あきらかに宇宙戦艦ヤマトの方が長い
ただこれは艦尾に付いている波動エンジンの長さにもよるものではと推測している
現在では本物の大和がどんな姿で海の底にいるかはわかっているのでそこにはふれないけど
宇宙戦艦ヤマトは戦艦大和に比べるとかなりシェイプされた艦体とタンブルしているボディを持っている
宇宙という海を行くには現代科学的に割と優れたデザイン
ただ
あの真っ直ぐ飛んでゆゆくのはテレビ版より嘘だと思う
真っ赤ぐ飛んでいるように見えたのかもしれないが、衛星軌道と引力の関係から真っ直ぐ重力を振り切るにはあの巨体では飛ばない
俗にロケットは宇宙に落ちるという風にもゆうのでもっと低い姿勢から徐々に弾道ミサイルのように飛んでいる姿が正しいと思う
ただそうするとシートベルトもしない艦橋ではてんやわんやになる
すいません夢のない話しでwww
ああっ実写のヤマト
撮影や組みはリターナで才能を披露した山崎貴監督率いる白組
総制作費20億という金を出す側の無用な意見に負けず、良い作品に仕上げてくれる事を期待する
しかし佐渡先生が高島礼子だなんて…アナライザーが可哀想だよ
そんな悲喜こもごもなヒボシでした
それではまたウラバナダイアルでお会いしましょ〜〜