第六十一話 私達の魂
新章突入〜〜〜
佐世保争乱編www
少しずつ巻いて頑張っていきま〜〜〜す
後書きは外伝の外伝ではなくアメリカ艦魂の紹介と用語集です!!
1800を回った東シナの海は先ほどまでの慌ただしい出来事が全て嘘であるかのように凪いでいた
南に近いこの海でも太陽は波間に残り香の光を広げ
跳ね返る煌めきで海に訪れるご馳走の絶景を魅せていた
朝から1700まで続いていた雨がまるでない、それでいて雨上がりの柔らかな潮の香りの中に日米合同訓練、終日を迎えた艦隊の影が映っている
艦隊の列
『くらま』の後ろに戻った『こんごう』に最初の挨拶をしたのは柴田海将補だった
『くらま』のヘリ飛行甲板上、柴田司令は自ら手に持った旗で手旗信号を送っていた
「キカンノケントウヲシュクス」
艦橋から双眼鏡で手旗を確認した和田は大きく息をつき、やっと艦隊の本に戻れた安堵感と自分たちの活躍を認められた事に涙もろい部分をみせ目頭を押さえ
司令自らの手旗信号による「祝いの言葉」を素直に受けて
「柴田司令...我らの活躍を喜んでくださっているようです」
大男の和田の背中がデッキから艦橋に詰めた士官達に笑顔を咲かせた
その顔に艦橋に詰め緊迫の演習をやり遂げた隊員達も心を解いた様子で、演習終了でわいた歓声とは別の達成感に満ちた落ち着きのある笑いが勤務に支障のない程度の笑みとなって艦橋を温かく包んだ
全体が祝辞にわくムードの中
艦長間宮は口元では笑いながらも冷徹な目のまま別のを考えていた
「あの狸親父...知っててやったな...」
爪を噛むように顎をさする中、今回の演習での出来事を頭の中で整理した
おそらく柴田司令は石上徳治一佐の行おうとしている実験を知っていた
だから自分に
「間宮艦長、他に質問はないか?」と尋ねた
間宮にはどういう原理の攻撃が自分たちに行われていたのかを正確に把握する事はできなかったが、その攻撃に対するものとして絶対に必要となったH.link 15.Jと、実験を成功させるためには「ヘリ」が必要だった事
現実的にヘリを動かすために柴田海将補という高位階級の男が命令をする必要があった事
「僕の性格を知っていて...ふっかけたわけだ」
手に持ったタンブラーの中、少し冷めたブラックは苦みを通り越した鉄さびのような安っぽい味わいを間宮の喉にしみこませる
自分が計りに賭けられていたという滑稽さを心によりしみこませるように
間宮が石上の事を良く思っていない事
それ故に相手の出方をいつも以上に警戒していた事を理解し「ヘリ」の要請を隠れ符丁によってするであろうという事までも計算していた「者達」
間宮という人間を良く知った者が、この演習における結果までを演出し
動けぬ国防の中から、動く国防を模索している者達が計った実験を実行した
目に見える
艦隊同士の戦いとは違うもの
「国を護る」という野太い意志が水面下の潜水艦達よりも深く熱くマグマのように一本の強い志を通した結果を欲していた
おそらくこの実験は防衛庁の上層部がしっかり一枚噛んでいたという答えに行き着いていた
「羽村局長かな....」
見え隠れする国防族の名前
だが現行それがこの国を護る盾達の今出来る努力
口に残る苦みをかみ殺すように歯がみする間宮に和田からの声がかかった
「艦長、返信しましょうか?」
声に間宮はシートから腰を上げ艦橋のガラス窓の前に立つと敬礼した
「とりあえず....ありがとうございましたってとこだな」
回りの雰囲気とは別の方向へ走る思考
尖った思いのまま間宮は『くらま』のヘリデッキにて手旗を続ける柴田司令を睨んで敬礼すると自分の胸に刻むように
心にこの日を忘れぬようにと
「ええ、がんばらせて頂きますよ...ぼくは負けるのは大嫌いなんで」と笑わぬ目のまま笑ってみせた
「ふ〜〜お堅い方だったわ」
アイゼンハワーは長い溜息をつきながら演習を終えた全てのアメリカ艦艇の魂達を連れて自艦にあるグループルームに戻ってきていた
少し前、夕闇の降りる時間にアイゼンハワーの飛行甲板の一角で、海自の艦魂達と演習終了の挨拶を交わしてきたのだが
やっと終わったのだから自分のグループルームで少しの談話などいたしませんか?と『くらま』を誘ったのだが...
「佐世保に帰港するまでが任務でありますから」と、あっさり断られていた
しつこく言い寄ると印象の問題もあるし
明日には佐世保に寄港するという手前素直に引き下がったアイゼンハワーだっがやはり未練が口に登る
「エセックスの方が居続けだしアドバンテージ高いんだから...良いとこ魅せておきたかったのにぃ〜〜」と両手を揉みながら揺れる
別れてからずっとこの調子だ
「演習終わったのだから...ちょっとぐらいねぇ...」
口を尖らせた司令艦であるアイゼンハワーの席となりにはカーティスとカウペンス、わざとらしい木目調テーブルを挟んで向かい側に潜水艦の魂達2人
部屋の照明は空母内にある食堂のブースと変わらないぐらい明るく、横広がりの大きなガラスの向こうにはシルエットになった『くらま』の艦影が見える
「久しぶり各隊群の歴々、ニコラ(コロンバス)中佐は哨戒にでたままなのま?ミラー(シカゴ)?」と不真面目な笑みの元で真面目な台詞を並べた
ミラーと呼ばれた魂はどこか申し訳なさそうに赤毛のショートボブの頭に手を当てながら
「顔は出しづらい状態でしたので...よかったのではと...」
原子力潜水艦コロンバス(艦魂愛称ニコラ)は実験演習で最初の被弾を受けてしまった潜水艦
本人にも乗務員にも実験からきた結果による責任はないのだけど...
実験演習の指揮所の命令より先に魚雷を発射してしまった事がまずかった
「彼女の気短なところが艦の人達にも伝染したのかしら?」
意外と顔の広いアイゼンハワーの言葉には刺すではなく茶目っ気がいっぱいでコロンバスが忍耐力の必要な実験には不向きな艦魂だった事を「気の毒ね」と付け加えた
結局自分が放った一発は命令違反という原点になり
実験とは関係ないところで罰直に当たっていた。実験は成功も失敗もなかったのだから
そんな事はしなくても良いようにも思えるが、誰も責任をとらないという解決は軍的にはありえない事で、結局落としどころ的な存在になってしまい
現在哨戒任務という罰直のようなものを受けていた
もちろん海自側でも一隻の潜水艦を出しているのだから当たり前の対応なのだけど、実験から向こうの時間を考えるとさすがに気の毒な延長任務に入り
この夕暮れ時になっても実験海域を目指し進んできていた件の「商級潜水艦」に対する警戒任務を続けていた
「演習なんだから、仕方ないのにねぇ」
カーティス事クーンがみんなに入れたコーヒーにアイゼンハワーは遠慮無くガムシロップとミルクを投げ込みながら苦笑いしてみせると
終わったことに興味はないようにと全体に明るい雰囲気を作って見せたたが、隣に座ったカウペンス事ダニエルは浮かない表情のままで
「海自の...『こんごう』は無事だったのでしょうか?」
手元のマグカップの中、揺れて溶けるミルクの螺旋を見る目がその時の状況を聞くのを恐れているのがわかる
演習終了後の挨拶に『こんごう』は顔を見せなかった。司令艦『くらま』曰く
「情けなくも疲労にて倒れました」といかにもな返答だったが実験の中身を知っていたダニエルにはそんな簡単な事だったとは思えなかった
事実『こんごう』と共に実験演習に出ていたMiss lightning事『いかづち』は押し黙ったように下むいたままで敬礼以外では自分たちと目を合わせようとはしなかった
張りつめた表情、メガネの彼女の目が...一度は涙で濡れた事は見ればわかる事だった
そんな思いをさせた...なのに...
ダニエル(カウペンス)は唇を噛む
クーン(カーティス)はそんな姉を気にしながらも沈黙を守った
細い指先がカップの耳に手触れる前で震えるまま
目の前に座る艦魂に乞うようにもう一度聞いた
「教えてください、マリア?彼女は無事なんですか....」
「無事ですよ、彼女は強い魂ですから」
赤のスータン、軍属でありながらも軍服とは違う衣装
長い黒髪と銀色の瞳の彼女
膝に置いた黒塗りの分厚い本、落ち着きのある声
実験演習の旗艦「マーシアハ」を努めたマリアはダニエルの目を見て答えたが
「怪我はしなかったのですか?」
小さく息を落としたダニエルはそれでも無傷ではなかったと考えていた
「多少は怪我したのでは」
口を挟んだのはシカゴ艦魂のミラーだった
彼女は実験艦艇として「ルーアハ2」というコードネームの元、イージス艦『こんごう』と実験から模擬戦闘までを戦った
赤毛の髪に準ずる同じ色の眉をしかめ、悲しい目のカウペンスを伺うように
「電子の攻撃は...体を表向き痛めるという事は少ないのですが、中身は...かなり痛めます。特に今回はその攻撃による「破壊の程度」も調べる必要があったので実戦と変わらない程の出力を持って...戦いましたから」
ミラーも言いにくかったに違いない
カウペンス事ダニエルがそういう事を死ぬほどに嫌っている事はよく理解していたが「人」が行う実験を止める方法など「虫の知らせ」を使うぐらいしかないし、それを使ってまでの妨害を良しとは合衆国海軍の艦魂は誰も思わない
だから隠し事はしなかった
隠して自分のした事を非難される事から逃げようとはせず
現場で起こった事、相手に起こりえた状況を途切れながらも淡々と語っていく
手を前に重ね少しばかり体を丸めた懺悔の姿勢のまま
その出来事に耳を傾けながらも
ダニエルは目頭を押さえ、ただ項垂れ沈痛な想いに沈んでいった
電子の攻撃はミサイル飛び交う戦いとは違う、似ていても違うもので未知の戦い
ワカラナイ恐怖に向かい戦い傷ついた『こんごう』を思って顔を背けて涙した
「でも!!」
ダニエルの震える肩、支えるカーティス事クーン、その姿にミラーも心を痛めたが
「彼女は強かったです!本当に強かった。私だったらあんな状態で自分の機能をフルに使う戦いに...「人」の意志を尊重して戦うなんて出来なかったと思います。信じられない程の強さでした...私達は負けましたから」
傷ついても血反吐に苦しんでも、ついに負けなかった『こんごう』
ミラーは浮上した時に戦いの勝者であり護りの盾という誇りに全てを尽くした『こんごう』に挨拶をしたかっと言い、一目でも見ようと思ったが見られなかった事を残念だったと言った
「強い魂にお会いしたかったです」と最後の言葉をくわえた
それでもダニエルの心が晴れる事はなかった
結局同じ魂を苦しめるというう実験を傍観したという自責の念に返す言葉は浮かばず、場は静まってしまった
「彼女とは会話をしました」
重い沈黙が空気に伝わるほどの場の中、ダニエルとの対面に腰掛けていたマリアが口を開いた
「海の御座にて魂の道を遡り、共に多くを知り学びました」
「彼女と話をしたのですか?」
マリアの教えに追随する者でもあるダニエルは涙の顔を上げた
その苦しみを拭うように頷き柔らかく優しい眼差しを向けるマリア
「少しの時間でしたが、十分な力を感じました。日本の艦魂達が探す絆に誰よりも早くに手を伸ばす事の出来る人だと」
緩やかな口調
けして慌てない姿勢は静かに伏せた目を透明の輝きに浮かべたまま
「今回の演習は彼女にとって「苦難の道」への入り口であったと思います。それは大戦以降帝国海軍との繋がりを探す彼女にとっても必要であった出来事になったハズです」
ダニエルは涙に曇った瞳を手で拭いながら
「必要な「痛み」であったという事ですか?」
敬愛するマリアに質問した
「そうです必要な痛みを得るための儀式でした」
自分に心の支えを求める彼女にマリアは会釈した
どれほどに強力な船として産まれても心は市井にある船達と変わらぬ優しい心を持つ魂達
それでも「戦」を仕事としなければならなかった彼女には痛みの伴う演習が苦痛だけではないという事を知る機会だった
マリアはゆっくりとした口調で続けた
「私達は船の魂の中においては不自然な程の絶大な力を持ち、その頂点に立つことで起源の姿を見失いました。あまりにも自然の海に存在するにはかけ離れた私達の形、なのに魂の使命は変わらず、船の大小にかかわらず「人」に寄り添い生きる事です。特に私達は「人」だけでは背負えぬ深き業の闇を共に行かねばなりません..どの船よりも苦しみ悲しみの道を通ると言う責務。今回はその深い部分をかいま見る事ができました」
細く繊細な指が天を差し海をすべる
神秘を語る声には不思議な力が宿っているのかも知れない
集まった魂達は瞬きする間を惜しむほど静かに彼女の目をみつめ次の言葉を待つ
「答えに一番近い者、大日本帝国海軍の意志を継ぐ魂のとの会話はとても有益な時間でした」
ダニエルは詰め寄る
「答えを求めるために...苦難を行く者となる?」
「私達は「人」の業と共に苦難を行くもの、そのためには痛みを伴う道を歩く。今回の演習もそのための一つの試練だっと思います」
「そう」
誰もが沈黙し、マリアの言葉に耳を傾け出されたコーヒーを冷まして締まっている中で唯一アイゼンハワーはコーヒーを飲み干しクーンにお代わりを請求すると
「それで苦難の道に立った彼女は無事だったの?」
幼い瞳を持つ司令艦は質問した
「艦が生きている内は死にません、むしろ苦難と痛み知ることで己の行く道を見つけられたとするのならば今回の演習は「宝」になったと考えます」
同じく無機質な銀の瞳は平然とした顔で答える
「コーパスクリスティー大佐、それでJacobs ladder(ヤコブの梯子)は見つかった?」
目の前のマリアにアイゼンハワーはあえて軍属である艦艇名で呼び尋ねた
司令艦という存在の前で「真理」につながる話しを聞いてしまった者達は背筋に冷たい汗を感じ
少し緩んでいたミラーは身を正した
ダニエルは驚きと同時に自分たちが司令艦達のみがしる真理の話しに突っ込み過ぎてしまっていた事に気がつきアイゼンハワーを恐る恐ると見た
原子力潜水艦ザ・シティー・オブ・コーパスクリスティー事M・マリアは艦魂の真実を探すために「人」が縋り敬愛する宗教を知り「人」と魂のあり方を探す求道者であり
異端者だった
真実を簡単に広める事を許されていない現在
それ故に司令艦達は口を塞ぎ、それ以外の艦魂達の苦しみを諭す別の方法を使ってきたアメリカ海軍
その中で独自の道を切り開こうとするマリアを煙たがる上官も少なくはない中で、アイゼンハワーは軽い態度で今回それにて「真実」に近づけたのかと聞いたのだ
司令艦の問いにゆっくりとした動作、小首をすこし傾げて太陽の残した平らな光と流れて行く海の景色を見つめながら
「私に佐官名は必要ありません。名前のみでお呼び下さい」
聖者の花嫁を自負するマリアはアイゼンハワーの視線に自分の顔を向けて
「ほんの少し...輝きの御足を見ました。やはり日本の艦魂が見せる世界が一番答えに近かったと実感しました」
「そう、よかったわね」
クーンが入れ直したコーヒーをまたも乳飲料のように白くして啜るアイゼンハワー
態度は緩やかそのもので緊張をまとう事はない
正面に座ったマリアは微笑みながら
「お叱りはしないのですか?司令艦アイゼンハワー様」
「アイクでいいわよ。演習も終わったんだし」
相変わらずの緊張の間の中であっさりとした態度
人差し指を立てた軽い合図をすると
ずいぶんと踏み込んでしまった会話に緊張している部下達の顔にきょとんとした目で答えた
「叱ってどうなるのよ。いずれ誰かがそれに気がつき答えを知るもの、かつて三笠元帥が独りで答えに至ったよう」
そう言うと
ピンクの唇に指を当てて、悪戯な目で
「誰かが答えを見つけてしまったのならばそれは「自然の成り行き」であり探し求めた者の勝利というものでしょ。叱る理由なんてないわ」
幼い容姿とは別の高い思慮を持つ司令艦アイゼンハワーは
態度では決して不安も怒りも見せない、それが司令職の任につく者の度量
そこまで語っても答えを口することのない笑みの中にある毅然とした態度に、マリアは深く会釈すると相手の配慮に感謝を表した
「そんな事よりぃ...どうやって『くらま』様とステキな夜を過ごすことができるかを一緒に考えてちょうだい!!」
2人の会話によって静まってしまった時間が苦痛なのかアイゼンハワーは変わらぬ態度のまま頬をふくらませ終わった演習の事よりも
これからくるしばしの佐世保停泊の事が大事とテーブルに手を軽く叩きつけた
パタパタと
「ニコラとダニエルはこのまま帰っちゃうのよね、残念だけど」
テーブル下から例の雑誌「海の麗人倶楽部」をおろむろに出すと
しおりを挟んだページを開いた
「クーンとマリアにミラーは私に協力するのよ!!絶対にエセックスに負けないんだから!!」
意気も高く挙げた姿で『くらま』のページに激しく頬を擦りつける
「うわさの麗人とステキな時を過ごせるなんて...もう一生に一度のチャンスなんだから!!」
一生に一度
アイクが次に日本に来られる予定はまったくなかった
これを逃したらリムパックに代表される大演習のメイン空母になってしか日本の艦魂に合う事は出来ないだろうし
その時の日本艦魂の司令艦が『くらま』である保証はどこにもない事などを考えれば...今回が最後のチャンスとも言えた
「だいたい日本の艦魂は短命なんだからぁ...これを逃したら二度とお会い出来ないかもしれないのよ!!」
帝国海軍の軍服姿を写した『くらま』の写真に全力で顔面を擦りつけるように頬ずりを繰り返す司令艦
緊迫の間から放たれ過ぎたフリーな姿に、逆に言葉を失ってしまう一同の前
アイゼンハワーは本気の瞳を輝かせて演説する
「この日のために「炎の七日間」をくぐり抜け!!今日の演習を頑張ったんだから!!」
拳に魂と言わんばかりにズイと前に乗り出し
感慨深く目をつぶる
「あの試練をくぐり抜けてきた私への最大のご褒美のために!!みんな強力しなさい!!」
アイゼンハワーはこの演習に参加する前に復帰第一弾として七日間に渡る猛演習を行っていた
何故そうなったかというと
前年まで全身を整形する程のオーバーホールを受けてドックにいたからだ
原子力という無補給のエネルギーを得た船達は、通常動力の艦艇とは違い多くの仕事と長期の任務をより率先して行う任にある中で重宝する艦艇だからこその処置
新しい時代に合わせた兵装をそなえ、理論的には無限のエネルギーによって海の上の城として戦いの場に進むため
アイゼンハワーもそのための改修をした
国防費から25億ドルと4年にわたる大改修によって延命され、すくなくとも2025年までは第一線に立って戦えるように
そういう意味で彼女達は長生きな艦魂でもあった
原子力の長女でもあるエンタープライズなどはすでに40年を生きる大ベテラン
同じく原子力系の姉妹にあたるアイゼンハワーも前序のごとくで、容姿こそ幼い10代の姿を持っているが艦歴としては30の大台に入るベテランであるし
さらに言えば長寿である事はなにも原子力に限った事ではなかった通常動力艦としても長生きな空母で「fast navy Jack」を掲げるキティホークも40年を越す大年増がいるアメリカ艦魂
日本の艦魂達が短命であると思ってしまうアメリカ、事空母の艦魂が多いのもうなずける事
事実、日本の艦魂で30年を生きた者は現代では少ない
理由は色々ある第二の人生としての「売却」が無いため自国で除籍になったらそこで終わってしまう日本艦魂の流星のような生き方
かつてならば長寿艦として「金剛」に代表される艦や、明治からの老朽艦などむやみに消える事なく国に尽くし長く働いたのに
現代の護衛艦は実に短命
だからこその願い
アイゼンハワーが延命した事で『くらま』と出会うチャンスが広がったか?
そんな事はけしてない
延命したアイゼンハワー...生まれだって『くらま』より早いのにさらに生きる
後で生まれたハズの『くらま』の艦生は悲しいかなもう末期に入っているのだ
「次のチャンスなんて...あてにできないもの」
そんな思いがさらに拳を強く振り上げさせる
「弛まぬ努力を続け、ステイツ(アメリカ)に尽くす空母の魂である私が、ほんの少しの休息として「愛」に溺れてもだれも文句はないハズよね!!」
あっけにとられる空間
愛に溺れるとまで公言してしまう司令艦はそのままテーブルに足をかけんばかりの勢いだが
炎の大演習事七日間を共にしたミラーが気まずそうな横目で
「炎の七日間って....司令、飛行甲板にビーチパラソルさして水着になってませんでしたか?」
「そうよ新しいシーズンに合わせた新作のビキニだったわ」
言われている事を素直に認めさらにそれを押し通す発言
ビキニを着るほど豊かでない体つきのアイゼンハワーだが、何故そこで自信満々なのかがワカラナイ一同はマリア以外全てが呆然とした目でアイクを見ていた
「試練の演習という話しではなかったのですか?」
炎や試練の名を冠した演習の中で新作水着の話しが出るのはどう理解していいのか悩むもの、生真面目なダニエルはつい突っ込みを入れてしまった
「そうよ!!とても辛い演習だったわ!!」
「じゃあなんで水着だったんですか?」
チグハグな会話からやはり共に炎の七日間を過ごしたミラーはさらに突っ込んでしまった
参加した時からおかしな光景だと心に思っていても、退院したばかりの司令艦だから少しだけ茶目っ気を見せたのかと考えていたのだが....
「司令...七日間ずっと水着でしたよね...パラソルも水着も毎日新しいのに変わってましたし...どこが辛かったんですか?」
演習中まるでリゾート地に来た成金女のようにゴールドあしらったアクセサリーを煌めかせながらビーチパラソルの下、デッキチェアーに寝そべり
挨拶に伺った者に
「サンオイル塗ってちょうだいって言われましたよ...自分」となんともな思い出にわなわなするミラー
驚愕の演習の実態にダニエルもクーンも目が点になっている
唯一マリアだけがゆったりとした笑みを浮かべる中、アイゼンハワーは質疑に声高く拳を振るって
「バカ!!何バカな事言ってるのよ!!艦の魂である私が健康で健やかな精神状態である事が艦を問題なく運営するために必要な事なのよ!!私がリラックスしてなかったら沈んじゃうんだから!!」
言い得て妙........
アイゼンハワーの言うことには一理あるようにも聞こえるが...だとして七日間もビキニでリラックスっていうのはどうなの?
言いようのない意見、気まずい空気と沈黙
「だいたいね、あんた達は軍属だからってやたら張りつめすぎなのよ!!日常には緩急って必要でしょ!私やエリーを見習って欲しいものだわ!!」
もっとも見習ってはいけないといわれる合衆国海軍最大の変人エリーの名前に一同肩をおとす
.....あの姉にしてこの妹.....
全員がため息と共に
空母打撃郡においてまともな司令艦は少なかった事を再び思い出した
「そうですね健全な魂を維持するには休息は必要ですからね」
あまりの力説に二の句も無くなった空間で、美味しくブラックを頂きながらマリアが答えた
「羽目を外すのもたまには必要としておきましょう」と聖職者を自負する者らしい釘も刺しながら
しかしそんな事はどこ吹く風のアイクはイスの上に立ち上がって
「だから!!今回も私の休息のためにみんな頑張るのよ!!ステキな夜へレッツゴーだわ!!」
アメリカ艦魂達は久しぶりの停泊地にて波乱が待っている事にげんなりしつつ
明日の入港する佐世保での事を考えながら夜の海を走っていた
静まった海の音が
押しては引くというリズムで流れる
鉄板むき出しの部屋の真ん中、大きく構えたベッドの中で揺れる裸電球を『こんごう』は虚ろな目で見つめていた
数時間前の演習から誰がどうやって自分をココに運んでくれたのかはわからなかったが
おそらく『いかづち』だったのだろうと考えた
キレイにたたまれた制服
先ほどまで着ていた青服はココにはなかった
ゆっくりとした視線で自分の回りを見回したがココには自分しかいないとわかると
意識が有るのか?無いのか?と勘ぐりたくなるほどに力の無い姿のまま
「私達の魂...」
血反吐によって潤いを失った喉から、掠れた声が覚えている言葉を漠然と...自分に復唱してみた
「姉さん...姉さん達の魂」
今、ココを走る自分
この海に沈んだ姉達....その想いは...たしかにあった
今まで感じられなかった存在である姉達の姿は、今は目に焼き付いていた
この海を戦った姉達の姿
ゆるみ鉛のように重くなった体は寝返りをうつことを拒み、ただ天井を眺める中で『こんごう』は少しの涙を零した
手のひらの中に光る姉の託した想い
「心は...三笠様のところに....」
疲労に沈む『こんごう』は自分の走る海の下に眠る姉たちが願った想いを探す事を小さく誓い再び眠りに落ちた
カセイウラバナダイアル〜〜米海軍艦魂紹介と用語〜〜〜
長かったのか短かったのか....
とりあえず対潜訓練編が終わって新章に入りました
今回は佐世保にアイゼンハワー達が来て...ちょっとドタバタしてくれるといいなぁ的な話しを描こうと思ってます
コメディ面がめっきり弱いヒボシもここいらで頑張ろうという次第ですがそれ以外にも
政治的な話しとかも少しあります
実験やったらやりっ放しってわけにいきませんからね
それがいったいどういう事につながっているかという部分も少し書きます〜〜〜
さて
艦魂の紹介!!
アメリカ合衆国海軍第八空母打撃群 空母 ドワイト・D・アイゼンハワー
艦魂 アイゼンハワー、愛称アイク
艦魂流見た目年齢は16歳ぐらい...でも実年齢はけっこういってて30代www生まれたときから姿が変わらないとして計算するなら...45歳代www
あんまりやると殺されそうなので年齢の話しはこのあてりで
髪は栗色 目は薄いブルーで身長155センチ
グラマーじゃなくて平均的なボディなのにビキニをこよなく愛するw
オーバーホールからはるばる日本に演習参加でやってきました!!
発言からするにかなりライトな性格な人
司令艦なのに大演習でビーパラやってサンオイル...どうなんだろう
逆説的な真実の形として描いた人で
何も出来ないのに戦う艦の魂、どう生きるかをわざわざ地でやってもらったらああなった
健やかな心でいる事が艦を保たせる大事な事とするならば彼女のやり方もあながち間違ってはいないハズ
尊敬する姉、エリーの小型版とも言われている
前章ではあまり活躍はしなかったが、ここぞという時にはちゃんとした発言をしていたりで中身はしっかりしたところのある人。だけどちょっとネジが緩いw
今章ではどんな騒ぎを起こしてくれるのか作者的にも楽しみ!!
原子力潜水艦ロサンゼルス級フライト2 シカゴ、愛称ミラー
髪は赤毛の短髪 目は黒い 身長166センチ
実験演習のためにわざわざパールハーバーからやって来た潜水艦
演習時のコードネームは「ルーアハ2」
これ以前のアイゼンハワー復帰第一弾炎の七日間という演習にも参加している
愛称の由来は、シカゴブルズのセンター、ブラッド.ミラーから
アメリカ艦魂は比較的スポーツ観戦が好き、というか基本ローズボウルやバスケは外せない程好きだしシカゴという名前を持って生まれた彼女が自分の愛称にそのチームの独りを選ぶのも必然ともいえる
ミラー選手の寡黙なところが気に入って自分の愛称にした
佐世保にも寄港する彼女...どんな問題が待ち受けて居ることやら
原子力潜水艦改ロサンゼルス級フライト3 コロンバス、愛称ニコラ
今回の演習で不名誉賞を獲得した損な役回りな人
詳しい情報はあまりないwww
ってか今回名前だけの出演になりそうなので
とりあえず金髪碧眼というおきまりのコースなんだけど
名前の由来はけっこうまじめ
コロンバスはオハイオ州の町の名前なんだけど。オハイオ州の有名人といえば
ジャック・ニクラス!!タイガー・ウッズ以前ゴルフ界の帝王として君臨した男から略称名みたいな形で自分の愛称にした
現在わかっている性格は短気だという事ぐらいだけど、帝王もたいがい短気だったからよく似ているともいえます
原子力潜水艦ロサンゼルス級フライト2 ザ・シティ・オブ・コーパスクリスティ、愛称マグダレナ・マリア
髪は黒長い髪を海の中で揺らす姿がよく見られるらしい 目はシルバー 身長165センチ
今回の実験演習の旗艦を勤めた彼女は『こんごう』にとって重大な出会いとなった人物
現在真実に箝口令を敷いている合衆国海軍の中、別の方法で真理にアプローチをしている人で
その考えの中に宗教があり、船の魂達の心を支える者として活動している
彼女の教えには多くの信奉者がいてカウペンスのダニエルなどもそうだし実はキティホークも師事している
名前からわかるように彼女の探求の元になっているのはキリスト教
だけど人間が考えるような教義とはちょっと違う
それはそのうちわかるかもwww
名前の由来
彼女の艦艇名コーパスクリスティとはキリストの遺骸という意味がある。元はアラム語だったか?ヘレニスト(ギリシャ語を話すユダヤの民)だったがが言った言葉に由来するらしいけど今は語源はわからない(ひまみて探しますw)
とにかくそういう名前からして何かシンパシーみたいなものがあったのかも知れない
故に彼女は聖者の花嫁たる女の名前マグダレナ・マリアを名乗る
一般的にはマグダラのマリアといわれる人の名前で近年ではダビンチコードなどでキリストの妻などと拡大解釈されたりもした人だけど本伝の聖書にある彼女の活躍は極端に貶められていてそういう解釈が生まれたのもうなずける。
外典や神聖語訳の中でもそれ程目立った活躍はしてないけれど
キリストが杭にかけられたとき恐れずその最後を見守ったのは、彼女とキリストの母マリアだけだった事からも強い信仰心の女だった事がわかる。後の有名な12使徒は何をやってたかというと....恐れて逃げていたんですよ。
なぜならローマによる公開処刑はユダヤ人たちのねたみによって発生したもので実際キリストを死に追いやったのは同族のユダヤ人でそれを執行したローマ人からなる刑場に駆けつけるのは並大抵の胆力でできる事ではない、彼女はそれを実行した勇気ある女だ
後に使徒と威張るようになったもの達から「不貞の女」にまでさげすまれたが、勇気のない男達のねたみがそうしたのではと考えられる
とにかく彼女はキリスト=「人」という関係から教義を解釈し真理に近づこうとしている世にも珍しい艦魂である
対潜訓練編の用語
たいていのものはキリスト教の関係と聖書から来ている
52話、ダニーが持つ拳銃の名前はJerichoでこれは聖書の中、ヨシュア記から引用
Jerichoは出エジプト記から放ろうを続けたイスラエル人が神から約束された地に行くに従い、行く手を立ちはだかった城壁の名前
現在はパレスチナにあるが史跡はない
神の命に従い城壁の周りを7度行軍しラッパを吹いたとたんに城壁は崩壊したと聖書に記録されている
ダニーのいう見えない力はラッパという言い方にもなっていたという事
ちなみに拳銃のJericho941はイスラエル製で9ミリのパラベラム弾と41AE弾を撃てるというところから941という
人によってはベビーイーグルなどと呼ぶ人もいるけど...それは明らかにアメリカ読みってやつですねw
攻殻機動隊でバート君が使っていたりする
けっこう威力のある銃なのでダニーが射撃訓練をしていないと推測するならばまともには撃てないと考えられる。
同じく52話から「ハ・シェム」「マーシアハ」「ルーアハ」四文字語エィメン
とりあえず「ハ・シェム」「マーシアハ」「ルーアハ」から
これらは三位一体における「父」と「子」と「聖霊」を意味する
「父」とは文字通り天にまします父なる神の事、これが今回は衛星兵器のコードネームとなった
「子」とはキリストの事である。よくキリスト教の神はイエス・キリストだと思っている人がいるがそれは間違い、キリストは父なる神への道を示した人であり、曰く神の長子にあたる者であるから彼を祀っている宗教ではない今回「マーシアハ」としてコーパスクリスティのマリアが演じた
「聖霊」とはかなり誤解された解釈が世に流れているが正解は「神の活動の力」を意味するだから決して天使とかじゃない。ちなみに新訳の聖書の中では天使の名はせいぜい2つぐらいしか出てこないし、階級も3つしかないだからすげーたくさんの名前があって階級も数があるって書いた根拠のない本を見たときにびっくりした「誰これ」ってwww
古イスラエルでは「油注がれた者」が王になった、この油が神の聖霊を比喩していたともいわれる
とにかく活動の原動力という意味合い
今回の演習ではコロンバスのニコラとシカゴのミラーがそれぞれ「ルーアハ1.2」を演じた
四文字語とは神の名前
直接の名前ではなく、名前を表す文字の事
モーゼの十戒における10の戒律を作るとき神の稲妻が石版を掘って字をなしたとされているが
この時光の中に浮かんだ神の名をマリアが引用している
エィメン(アーメン)とは祈りの言葉の語尾につくもので本来は祈り、祈った事の成就を願う記譜で、意味は小説内にあったように「そうなりますように」と言う事
なんの事かわからない人は日本人ならびアメリカ人にも多いwww
同じく52話からYHWH
これは神の名前でなんて読むかは実は不明
古代ヘブライ語は母音を文字として表さないためこれは子音のみの表記となっているから
読みようもないw
アラム語などに受け継がれた語訳もあるが正確に名前の発声はわからないのが実状
最近の意訳では「ヤハウェ」または有名な「エホバ」などと訳されている
58話から ビアドロローザ
キリストが杭にかけられたときまず最初に見せしめとして日本で言う「市中引き回しの刑」になり自分が杭打たれる木を引きずって歩いた道のことを言う
「悲しみの道」といわれ現在キリストのコスプレをしてこの道をあるくという荒行があったりもする
ちなみにキリストが十字架にかけられたというのはローマカトリック最大の嘘で、本当はただの一本の杭に打たれた
どこで十字架になったかといえば...正確に思い出せないのだけど
どこぞの神話から拝借したものらしい
どうしてそんな事をしたかというと正式にローマの国教に昇格したキリスト教にシンボルや逸話が必要となったからイコンとして十字架というわかりやすい形を掲げた
そのほか「不滅の太陽祭」などがクリスマスになったりしているのだからそういう原理だったと思えばわかりやすい
さらにキリストの生まれた日はクリスマスではないwww
イエスの誕生の時のくだりを読めばそんな事はすぐにわかる
イエスは誕生の時馬小屋で生まれているのだけど、この時牧童たちは外で羊の世話をしていたとされている
イスラエルの冬は外で羊の世話ができるほど優しくない
むしろものすごく寒くて凍死にストレートなコースにあたるw
聖書の記述からイエスの誕生はおそらく4月か5月ぐらいと推測される
59話から Hekatonchires
H.systemの正式名称
機械的な中身については..まあ小説にあったとおりの事として意味は
「百目、百手の巨人」でギリシャ語
この名称はけっこうアニメにもでているらしいから説明は不要だと思うwww
実は三人兄弟の巨人で「コットス」「ブリアリウース」「ギィォゲス」という一応神の子なんだけど、どいうもこいつもそろいもそろって不細工だったせいで父神(たしかウラノスだったか?)に嫌われ幽閉されたりもしたけど神々の戦争の時に徴用され大きな戦功をあげて神の名に列席する事になる
神様はけっこう自分勝手www
61話からJacobs ladder(ヤコブの梯子)
旧約聖書創世記(聖書の一番最初の章)に登場する人物で全ユダヤ人の始祖と言われる男の名
現在もユダヤ人は自分達の大いなる祖先としてヤコブの名を挙げ自分達は彼の子孫であると称する
生まれがけっこう不自然な人で双子の兄を出し抜くためにかかとをつかんで兄を追い落とし「長子の祝福」を頂き、当然兄から恨まれ放浪の旅にでる羽目に...
なんか聖書の中は争いごとが多いのです
逃亡中の夢の中に「天国に至る階段」というものを見て
神から「祝福を得る」「国を与えられる」という約束をされる
ちなみにこの聖書のくだりの部分が未だにイスラエルとパレスチナの争いの根源になっている...神の地上における王国は争いまみれで遠すぎるよ〜〜
後に兄と和解しイスラエル12部族の子達を作り始祖となりイスラエル王国の建国の礎となり
バビロンに滅ぼされるまでの間、全盛を極めた王国を作る始まりの人となった
このことから天に至る階段
ヤコブの梯子は大いなる祝福に至る道とされる
アイゼンハワーが見つかったか?と聞いてのは真理への道をそれになぞらえたからというのと
マリアの教義について知識を持っているという事を示したため
書いてたら朝になってた....わぁぁぁぁん
肌に悪いよぉ
そんなこんなでこれからもほにゃららな言葉が出てくるかもしれないのでチョコチョコ楽しんでで頂くために用語補則を書いたりしてみます〜〜〜
それではまたウラバナダイアルでお会いしましょ〜〜〜