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第五十四部 流星の空

次回はハチャトゥリアンwww

くどいようですがイージスシステムや機械の概要は全然想像の産物ですからご注意は無しの方向で

もし理論的にまちがっているぅ!!という事を教えてくださる方はメッセください!!

勉強は好きですからそちらでご教授くださいませ

天気は変わららない


薄いグレイのカーテンを引っ張ったままの雨のデコレーション模様

波に亀裂を走らせる風の中にあって艦はそれほど揺れてもいない

なのに『こんごう』に勤める全ての隊員に嵐が去来していた

予告のなかった訓練

正体のわからない「影」


全てが初めての経験と状態の中で「実戦」の発令だったが

艦内に混乱はなかったスピーカーを通して発された揺るがず静かな声に納得していた

『こんごう』艦長間宮の実戦的で冷静な姿は隊員の心を引き付けるものがあったし...この海にはそれ以上の想いもあった事で誰もが顔に真剣さを表していた



粉川が走り去ってから

部外者が艦橋に居座る事で漂っていた「別の緊張」から解かれた艦橋要員達もまた

間宮の指示の元で濁りのない流水のように速やかに動いていた


「粉川一尉は本当に現状については何も知らないのでしょうか?」


厳しい目つき

太い眉毛の下に仁王のへの字口で間宮の隣に立った「副長」兼任船務士の和田は、慎重な中でも手早く各々の仕事をこなしていく艦橋の中

水の勢いを止めてしまわぬように小さな声で尋ねた


「彼は緊急事態と判断し「戦場」だと口にしている....」


粉川には疑いがかかっていた


本人がいつの間にか他に類を見ないほど「背広組」の人であるにかかわらず現場との親密になり挨拶さえ気安い程になっていた事で各科の長を除いて「仲間」と認識されてはいたが


実際に現場を仕切る者達はそれほど親密に心までをオープンにしていた訳ではなかった

だから和田のように「本当のところ」で粉川が自分たちに訓練の中身を教えていなかったのではという疑いはあったのだ


「粉川くんはそんなに器用な人間じゃないさ....むしろ」


吊り上がった警戒を解かぬ鷹の目線

和田の視線に軽く手を振ると


「むしろ?なんですか?」


大きな図体どの角度から見ても体育会系で「根性論」をもっとも信奉していそうに見える和田の中身は見た名状に冷徹で計算の速い男


自艦艦長の言葉の先に何がある?それを聞き逃さず


「訓練に...実験をするヤツがいるという事が....気に入らなくてね」


顔こそ合わさないが和田には間宮の声に笑みが含まれている事を感じていた

自分達の身の上に起こった不測の事態を楽しみに変換し始めている不敵なトーン


「試されてますか....我々は」

「さあな」


自分の心の奥底にある愉悦を隠すように言葉を切り上げる

シートに座ったままの間宮は深く長い息を艦橋部から婿上にみる海原に向けて



「まずはこっちの中身がどうなっているかを徹底的に確認する必要があるな、CIC!そつちの結果は出たか?」


切り返し素早く指示を出す


「CIC、現状を報告します」


指示から2分弱

艦の頭であるCICに詰める安藤二佐は艦長の応答を待っていたように返事すると項目別に調べられた現在の頭脳の調子を読み上げた


「Aシステムの側で制限を受けているものが多数あります。また干渉の開始は全てジャミングに合わせたように行われています」


Aシステム(指揮決定側)の

項目1から9までを上げた安藤は自分のデスク前に置いた割り図をボールペンでなぞりながら間宮の「何番が?」という質問に続けて答えていった

通常でも小寒いCICの中、白い息を吐きながら目の前のオレンジのモニターを睨むと


「1、空との交信は大きく制限を受けています...これに伴い4.5.6.9.10.11に規模の差が有りますが電波の干渉による障害が発生しています。こちら側で干渉が無いのは7だけです」


安藤の手元にあるイージスシステムの要項は間宮の手にも渡っていた。そしてお互いが冷徹な視線の奥にある頭脳をフル回転させて会話の中に符丁を使って話しをしていた


電子戦略におけるもっとも初歩なものに盗聴があるからだ

訓練とはいえ中身のわからない得体の知れない事態に対する警戒....

艦長の持つ注意深さは十分に幹部達にも伝わっている。言われなくても注意をし、符丁をつかうあたりはお互いの信頼と訓練が出来上がっている証拠


「という事は14の信頼性にかかってくるな、干渉の規模はどれに寄っている?」


閉じられた要項の前曇る空に敵を探す

見えるものにも見えないものにも神経の糸をピンと張った間宮

「対水空監視」の命令を和田に出した後、額をなぞりながら会話を続けた


「1に伴い重度の干渉を受けているのは5.6、次に3.4になります」


沈黙の相手

間宮は繋ぎをそのまま自分に聞こえるだけの声で

「文字通り軍事衛星が動いてるって事か....」


軍事衛星を使った訓練.....通常ならば自分たちに有利に動くという訓練としてあるべきものは

間逆のものとして使われている

衛星を使った電波攻撃という実験をともなった訓練である事に変わった事実を「干渉」によってなされているという事実で確信しながら


「3.4.5.6の信頼度は?」と瞬時で整えた頭で聞き返した

「4.5は50%、3.6.は20%」


間宮は回線をつないだまままたも短時間で頭に整理を付けるために黙した

雨を叩きつける艦橋ガラス窓の前

目視では海にはまだ何も見えない


3.4.....

電子戦における4.見方識別装置、この場合に重きがあるのは3の方で僚艦については1隻『いかづち』だけしかいないのだから4は無視しても問題にはならないそう言う意味では5.航法装置も現段階で操船精度を除いては問題は少ない


問題.....


それは著しく信頼度を落としているもの

3.水上レーダーと、6.電波探知装置

レーダー系と電探の信頼度が低いのは電子の城であるイージス艦にとって大きなダメージである


顎に手を置き考える間宮に安藤の交信が続く

艦長が各箇所の事程度で行動を滞らせるような事があってはいけないし

問題はまだある事を伝えなくてはいけない事を安藤は良く知っていた


「これら以外のもので9.10は現在復旧してます.....」


黙っていた間宮は目を大きくして聞き返した


「復旧してる?復旧にかかった時間は?」

「4分22秒で回復してます。しかしジャミングが広範囲に及ぶもののためかノイズが断続的に入る状態ではあります」


9.10、リンク4と16

「海域に入って一度は途絶したという事か?」確認はYES

片手で顔を押さえたまま今まで走ってきた海を見返すと

手早く


「回線はそのままでいい、追加で「15J」を開く事を信号灯で『いかづち』に指示、『こんごう』えの返信もそのようにおこなえ」

和田に指差し確認


「了解」


最初の指示を飛ばし次に入る

「Bシステムは問題なしか?」

「ありません。ただ補助Vの信頼度は想定で50%以下の状態「何が」干渉しているのかを現在も追うことができません」

「だろうな」


想定される信頼度

機械の見ているものが何かわからないがレーダーには写っているという意味

近くで会話をしっかりと聞いていた和田にも理解のできる判断


「総じてレーダー....フェイズド.アレイ.レーダーも信頼度が下がっているという事ならば、武器管制側(Bシステム)が必ずしも無事であるとは言い難い....」


厳しい見解を示す船務士

楽観的な意見が必要とされない真っ正面の現場にとって「危機感知」の方が大切な事

自艦の四方をはるか遠くまで見渡せていたレーダーは現在封じ込められた海域の中にある上に

限られた海域に見えるまとが何かを判別する事が出来ないという事実は重い


「マニュアルの方は大丈夫なんだろ?」


外の荒れた風とは別のに嵐の下に沈黙を守り

顔を厳めしく歪めたまま付き合わせる士官達に間宮の声は緩く聞いたが

つめた者達はどこか冷めた表情で

その思いを代弁するように和田が


「まともな訓練とはおもえません。こちらが何を要して攻撃をしていいかさえもわかりません。」


大きく両肩を挙げて突然起こった火急の事態でコリを覚えた肩をほぐすしながら

相変わらず不機嫌に曲げた口から



「向こうが何がしたいのかもわかりませんし」


和田の返事に背中で笑う間宮

灰色の緞帳小刻みな揺れ、荒れ模様の海の上で電子の目は「何か」に釘を刺されているが、態度には落ち着きを戻し口元を笑わしたまま思っていた


「レーダー戦略....か」



「間宮艦長!!」


艦橋につめたすべての人間がこの訓練にどう対処してよいのかを考えあぐねていた所に駆け足の粉川は戻ってきた


艦魂『こんごう』達のグループルームは艦尾に近いところにあるせいか全速力で艦橋まで走り登った粉川だったが息があがって終うことはなかった

ただそれがかなりの運動である事を示す汗を拭いながら間宮に駆け寄ると


「訓練を中止しましょう」


行き詰まっていた場にいきなりの進言をすると

「得体の知れない実験に付き合わされる事はありません。この事については正式に抗議の準備もあります...『こんごう』の機械機能に対する準備が...」




「それでいいのか?」


早口な粉川の言葉に最初に応じたのは声は尖っていた

今まで艦長として指示とは別に誰もに「動揺」をさせない緩い声を発していた間宮の態度は急変し怒りを匂うほどの目に変わったまま


「粉川一尉は、僕たちにはこの訓練はクリア出来ないと判断したという事かい?」


詰問のような口調に粉川は

相手がそういう勘違いをしている事を宥めるように泡立っていた自分を抑えて


「そういう事ではありません」と相手の顔を真剣に見据え否定した


だが

粉川の本音は「人」には理解の出来ないところにあった

実際には「何を」目的にした訓練かわからない事に対する怒りや、反する挑戦的な気持ちもあったが

目の当たりにした『こんごう』の姿にそんな悠長な気持ちではいられなくなっていた....自分の脳や目に相当する部分に電子の攻撃を受けて立つことも出来ない『こんごう』を直ぐにでも苦しみから解放したいという思いが走っていた


「意味不明な試験に付き合う事は海自にとって有益な事はなにもないという事を言っているのです」


あくまでも自分たちのせいでなく、向こうの意図不明を強調するが


「有益?」


粉川の言葉を間宮は鼻で笑った


「粉川一尉.....訓練する事の意味には変化する戦場に振り回されず即時の対応力を身につけるため、ちがうかい?」

「もちろんです」


自分に対して改まり尉官を並べてしゃべる相手

いつもと変わらないハズなのに間宮は変わらない口調の中に存分の怒りを投げこむ


「だったら、この不測の事態という訓練から僕たちが逃げる事は出来ないという事だ」

「訓練の仕方さえわかからないのに」


粉川は食い下がった

言い分はわかるが現実的には対処にマニュアルさえないのに

こうしている間にも『こんごう』は息を荒げ苦しんでいると思うと黙ってはいられなかった


そんな焦りや若さに気がついているのか間宮はゆっくりとした態度で


「現実の戦争はシナリオ通りになんて絶対にいかない。こんにな素晴らしい訓練はないと僕は思うが......訓練なのに逃げるのか?」


逃げる.....

間宮の言葉に周りの空気が堅くなる

隊員達には顔を見せないが「逃げる」という意味を背中が雄弁に語る


闇雨の海のの記憶

重い口調


「この海から.....また逃げる?「前は」実戦だったのに僕たちは見るだけに甘んじた。今度は不測を伴ったというだけで訓練にまで白旗を揚げろというのか?」



「前」

この言葉に艦橋にいた全ての隊員の背筋に稲妻がごとき記憶、痛い想いが蘇る

この海で....

たった一月と少し前に「不審船」を逃がした.....


最新鋭の目は消えて行く不審船の前に涙を流した


色を変える艦橋の雰囲気に粉川は言葉を失っていたが思い出してもいた


厳密に言えばココからそんなに距離のない海域に

同じように降り続いた雨の下で、国の領海を侵した不審者を取り逃がした日「涙を飲んだ」....



「僕たちはさ、この国の防衛を担うプロのケンカ屋なんだよ。訓練にまで白旗あげちゃったら恥ずかしくて丘には帰れないよ」


荒れた波に怒りの鼓動が同期するのがわかる

何かをへし折るような亀裂が聞こえるほどに隊員達の顔は厳しく...同時に冷静さの中に炎を宿した目で粉川を見ている

シートの前全艦放送を入れたまま自分の本音を語った間宮は背中を向けたまま手ほ振って見せた


「まだやることやってないんだよ。違うか?」

自分の背中に燃える視線をくれる隊員達を煽る声に粉川は制止を口走ったが


「ヤル前から白旗なんて御免だろ!」


「はい!!!」


狭い艦橋に響き渡る男達の声は艦長の心に応じる返事を声を合わせたように返した

「やりましょう!!艦長!!」

焚きつけられた火と心に残った痛みは艦に乗る全ての隊員達に届いていた

もはや反論や中止を叫べる状態ではなくなった粉川に間宮は初めて振り返ると、いつものイタズラっぽい目で


「さあ!やろう!!」

困惑に表情を曲げたままの粉川はそれでも


「やるならぼくも参加しますからね!!」


止められないなら少しでも早く終わらせる方に走るしかない

そういう風に頭の中を切り替える。同時に粉川は自分が昔からこういう熱血な炎に心を躍らせてしまう自分に参ったと思っていた

だけどそうする事だけが『こんごう』を痛みから解放する唯一の道

きつく睨んだ粉川の顔に間宮はリラックスの笑みで


「もちろん!君の意見も聞いて、この馬鹿な実験をした奴らに一泡吹かせてやろう」


全てを見透かしたように間宮は立ち上がると

熱くなった男たちの顔に頷いた


「海自なめんなよ.....石上」


正体のしれぬ実験それを楽しむように、しかし冷徹に熱い男達は声を挙げて戦う道に走っていった







「レーザーの高結晶化質量による残像という事か?」


メインの青いモニター2つが鮮やかな発行で示す海域の図を見ていた石上は半面の側で忙しく発生、消滅を繰り返す「まと」に目を痛めたのか鼻頭を指でつまみながら

隣で楽しげに自分のパソコンに映し出される情報を見ているダニーに聞いた


「そうだよ。簡単なカラクリでがっかりしたかい?前にも見せたしね、何も新しい事をやってるわけじゃないんだよ」


前にも

そもそもデビッド.タボル大佐事ダニーはアメリカ軍が弾道ミサイルの攻撃を到達前にいかに破壊するかという過大に前向きな回避方法の1つとして選ばれた「レーザー兵器」の開発をした第一人者で、今はMIRACLEというチームリーダーでもある


彼が自分の従来もっている分野から、自分をはじき出して作ったイージスシステムに対抗するものを持ってきているのは当然とも言えた


「誘導放出の原理をね...ちょっといじってみたら面白くなったのでね」


ライブで行われる実験のデータは流れるように画面を駆ける中

メガネに帰る反射に口だけが笑う


冷蔵庫のように冷えた暗闇の部屋の前を陣取る4枚のパネルモニター

その真ん中2つに写る『こんごう』のアイコンは若干の艦速を落としているようにも見える


開始から10分膨大なデータがこの実験の大がかりさを示すように

言葉を洪水のように記したものを吐き出し続けている中で

石上は手元のタンブラーに入れた湯気香るブラックを口にしながら


「それほどの質量を持たせる事ができるとは思わなかったよ」


感心したと何度か頷きながら

ダニーと同じようにモニターを睨んだまま話し合いを続けた


「照射を重ねるために3箇所にポイントを置いたのはそのためか」


口から熱い湯気を白く吹く石上に、ダニーは自分の考えを理解するものに答える

「あと衛星でね海域範囲を区切るカーテンを作ったというところかな」

実験に夢中になりながらも時間を惜しむように会話も楽しむ2人



「ABLプロジェクトでの実験では弾道ミサイルを落とすのに最長12秒だそうだね、それほどのエネルギーならレーダーに残る残像も大きいのだろうね」

「そんな事はない、せいぜい鳥程度だよ」


顔をあげ手元に置いたコーヒーを捜しながら自分の研究を誇るダニー

「だけどその影にレーダーは騙されれる」

鳥の大きさつまりレーダーの目に見えるのは戦闘機ぐらいという比喩、十分に計算された質量


パソコンに釘付けだった顔を起こし首を鳴らすと

「特にフェイズド.アレイ.レーダーを持っている艦に見える景色は、ほれあれだ君が僕の娘にプレゼントしてくれた「万華鏡」だったけか?あれを覗くと見えるステキな流星の空が広がっているようだと睨んでるんだけどね」


「なるほど、固定したレーダーではそれだけ残像が「見えてしまう」という事か」

顔を上げたダニーの子供のように輝く目

メガネの下に笑みを浮かべた顔に石上も顔をつきあわせた


「試作だからね全部のレーダーに完全に作用しないところが泣きどころだけど」

「補助はポイントにあるんじゃないのか?ALTを持ってきてるだろ」


「それは企業秘密だよ」

「残念だな」


お互いが口だけの笑みを交す

タンブラーをデスクに戻したダニーは自分の手元に置いてある拳銃を眺めて


「だからさ.....騙されるんだよ「人」は見える兵器を脅威と認識するけどね、今や見えないものの「力」なしにはそれが動く事も難しいという真実を無視し過ぎているよ」


「神の見えざる手?」

「そう、見えざる力だ」


信心

愛する祖国の弾丸たるダニーの信じる神は決して人には見えない神(YHWH)であり

それ故にBabylonの虚像のような見える力を全てとしないという態度

今や人の生活には見えない力は数多に使われているが、それがいかに強力なものであるかを理解するものは少ないだけ


電気に始まる見えざる力の巨大さにダニーが魅せられるのも神への信心と自分の生き方を重ねているようにも見えた



「そういうものをね、彼らがMiss diamondの感じている事を理解するようにしてくれたら、実験はさらにエキサイトする事だろうけど、無理だろうね。機械が食らっているダメージを人間は機械の(イージスシステム)のはじき出す数字でしか追えないんだから。彼女の見ている景色がわかれば打開策もあるかもしれない....なんてね」


順調に起動し続ける衛星の図を見る顔は、自分の話しをおそらく注意深く聞いているであろう石上に話題を変え顔を近づけた


「なんでMiss diamondに乗艦しなかった?僕的にはそうしてくれた方がアッチのライブデータもとれて助かったのに」

「乗っていたら今頃タコ殴りにされているよ」


隠した笑みは軽快に言い返す


「それはジョークだが、表向きでもFTGが既に乗っている艦だからね。いけば胡散臭いヤツと最初から実験を勘ぐってきたてだろうから「注意」したんだよ」

「そんなに勘の良い艦長なのかい?」


細く静かに白い息を吐く石上の目は、この時初めて心底笑っていた


「あいつは......」





「大佐!!」


顔をつきあわせていた男2人にアイザック少佐の声が間を割った

インカムを付けたままの細面の少佐は声こそ甲高くなってはいたがモニターに顔を向けたまま振り向くことはせずに


「2番のモニターを、Miss diamondの動きに変化あり!」


級に慌ただしく動き始めた部屋の中

ダニーはモニターを見ながら自分のパソコンのデータも見合わせる

石上は海域を突破せず囲いの中で「回避運動」を開始した『こんごう』のアイコンを見ていた


「回避運動....対潜.....まさか....」


唸る顔なのに口に持つにはあふれ出るような笑いの形

ダニーは画面から顔を話すと石上の方に向き直った


「勘の良い艦長というのは立証されたな...正直おどろいたよ」

「海域を強行突破したら君の勝ちだったのにな」


耳にほどよい嫌味「やってくれたな」という表情の返事。ダニーの丸い目をサラに大きく開かせて口までに戯けをオマケした


モニターに映っている『こんごう』と『いかづち』のアイコンは規則正しい回避運動を開始している

キレイに整った円弧のラインは何もモニター画面の映像として作られているだけではない

まるで真円を描くかのような軌跡


ダイアルを回る二隻の呼吸は、ぴったりと合っている事に部屋に詰めた技術兵員達は驚き口に呆けを登らせている者さえ見える中

ダニーにも驚きはあったがその驚きに値するものを心が欲して情報を探すようにアイザックに聞いた


「レーダーの方はどうなってる?回避運動にしたって僚艦がいるんだ、なんらかの交信を取っているハズだろう?」


真ん前の図と手元のデータを見合わせながら少佐は答えた

「現在リンク16の回線は我がアイゼンハワーとオープンの状態ですが交信を取った形跡はありません」

「こっちの障害で飛んでるって事は?」

「あり得ません。ハ・シェムはレーザーの照射制御のために正常に働いてます」


慌ただしくデータの整理をしながらも冷静さを欠くこともないアイザック少佐に続き

右側のモニターを監視していた鷲鼻の兵も状況を挙げる


「マーシアハ、ルーアハ共々正常に運行しています。リンク事態は一度途絶しましがこちらで復旧はしているので....」


「つまりレーダーへの干渉は完璧だしリンクも無線も完全に手の中にあるということだな?」

「はい、同様に「全て」をモニターしてます。形跡があれば追うことはできるのですが.....そういう跡はココまでの間ではありません」


「いや完璧はない....追えなかった「もの」があると見た方がいいな」


素早い否定

ダニーは自分にわかる事を纏めていた

おそらくレーダー兵器の制御はこちらの手の中に50%はあるが無線などを完璧に抑えられるほど兵器の完成度は高くなかったと


だからどこかに穴があったのではと考えながらも


それでも何らかの干渉を受けているのか?この実験に参加していなくても米艦隊との回線はつながっている『こんごう』だが『いかづち』とデータリンクした形跡も無ければ更新した後もない...なのに艦隊運動を開始した事....


秀才は楽しみながらつぶやいた


「交信も取らずに二隻同時に回避運動.....どうやってるんだ?」


顎に手をあてて考え込んだまま隣の石上にダニーは覗き込むように聞いた


「僚艦が見えてるなら出来ることだろう?そのぐらい」


明らかに、すかした返答にダニーは顔を両手で覆うと

大声で笑った



「諸君!喜べ!Miss diamondは僕たちの実験に真っ向勝負をしてくれる気らしい!」


目をランと輝かせ青白い光で満たされている部屋の中にいるのに彼の顔が上気している事がわかる

饒舌な演説は笑いと共に


「フェイズ2へ、実験を移行!」


高笑いの大佐に従う部下達もまさかこれ以上を望めるとは思っていなかったのか、最初は困惑の顔を示していたが直ぐに喜びの笑みに表情が切り替わり

各部署は新たな段階に進むための声を挙げた


「了解!!」


号令に従い激しく彩りを動かすモニターの前

ダニーは石上に確認を取った


「いいんだろ....徹底的にやらせてもらって」

「いいさ、僕は君の実験に付き合わせて貰っているだけだから」

「all right」


太い指は楽しげにデスクの銃を触る

「不測の事態など折り込み済み....それにしても....」

新しい事に入り込める喜びに目を輝かせるダニー

隣の石上は顔色を変えることなくモニターを睨む、ただ静かに

カセイウラバナダイアル〜〜木工な日々〜〜


だいぶん間があきましたが元気です

鯖の缶詰にやられそうになったりな日もありましたが元気ですwww


そんなヒボシは現在外伝の三笠様と共に主人公でもある「厳島」たんの住処である二等巡洋艦厳島を.....



木工制作してますwww


前にウオーターラインのシリーズで700/1を買ったんですが....これが

ホントに小さいんですよ

同じスケールの『おおすみ』に二隻のるという話は前にもしたとおもいますが、これってイコール部品もちっさいって事ですよね


これがもう....無理なんです

どうしてもうまく作れないという予感しかしないんですよ

小さな部品ってすぐこわれるじゃないですか....

とにかく12インチ砲とかつけられなくなるし...


そういう困難な思いをしてひらめきました

だったら

大きいのつくったらええやんwww


マジでそうおもってお試しサイズの350/1の作成をしたんですよ

バルサ材っていうめっちゃ柔らかい木材使って700/1から倍プッシュwで

で....意外と簡単に艦体とかつくれたのですが...ココで木工の弱点現る〜〜〜


木工ってめっちゃ細かい部品を作る事が困難なんですよ

なのにいい加減につくるとアラが目立つ

350/1はサイズアップしたし見栄えもそこそこよかったのですが

最初の段階で一体成形の方法を使ったため木の目からそれたところががたがたになって補修がきかない(正確には木パテで直せるのだけどそうするとバランスが崩れたり後の取り付けがむずかしくなる)


そこでいつものヒボシだったら諦めてしまうのですが...


何故か今回は燃えていたw

きっと厳島タンに背中刺されるぐらいの心境になっていたのかもw


「キレイな妾を作れ!!!」


細かいところまで正確につくったらええやん

という事になりさらに倍プッシュwwwされ


現在175/1を制作してます!!

なんと

最初のプラモデルから4倍の大きさ

艦体の長さ50センチを超えるものになりましたw

でもおかげで色々な部分がわかりやすくなって作りやすくなりました


写真を見たい方は艦魂同盟の掲示板に展示してますからどうぞ〜〜〜


これに成功したら次は戦艦金剛を作って見たいなどとも思っているヒボシですが

そういう作業にかまけで外伝も本伝も止まってますから程々にしておきますぅ〜〜〜


それではまたウラバナダイアルでお会いしましょう


次回は艦魂の紹介を後書きにかいてみます〜〜〜

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