第五十三話 覚悟の証
イージスシステムの概要については頑張って勉強した部分と「とんでも」が混在している事をご理解ください
軍事に詳しい方は不愉快に思う点も多々あると思いますから
読まないという方法もあります
そのあたりを理解の上で読んでくださいまし
「イージスシステムの根本は,いかにも人間の脳を模倣しましたという感じのものだ」
冷房の効き過ぎた底冷えのする部屋の中
モニターから帰る青色の光をメガネに映したダニーはフェイズ1の状態に入った『こんごう』を囲む海域図のアイコンをを見つめながら隣に座って石上の真剣な眼差しに嫌味の混ざった声で続けた
「アメリカ人はこういう物を「真面目」に作るのが得意だ」
テキストと予定表をデスクの上に両方開き
その前にさらに並べるように小型のパソコンを開いたダニー
最初の項目にチェックを入れる動きと同期するかのように大型の四面モニターの前をツーマンセルで陣取る技術部隊隊員達の指先がキーボードを叩く音が途切れず響く
「事「現行の」イージスシステムは脳との接続である体の関係に置いてシナプスの部分を割り振りを「人」の力に依存しているとぼくは思ってるんだけど」
「それはよくない事なの?」
静まった部屋の中
進行状況を読み上げるオペレーターの声と
機械の音,間を縫うように聞き返す石上の声
「悪くはない,このあり方は新しいタイプにも受け継がれる事が決まっているからね」
無言の返答に話しは続く
「ただね,先に言ったように結局「人」の模倣系として船自体をそれに準じて作ったからシステムにかかる負荷は並大抵のものじゃなくなった」
「それは込みの設計じゃないのかい?」
銀のタンブラーを自分のパソコンから遠ざけた石上は少しの笑みを浮かべて続きをと促す
「もちろん!タイフォンの頃から蓄積された実験結果から作られているのだからそうなんだけど.....結局そこが隙があるハズなんだね....ぼくの理論ではね」
そういうと簡単な図式を見せた
描かれた図式
人をかたどったものの頭にイージスと書かれた紙にボールペンを向けて
「アメリカ人は「人」が高性能な生き物である事を理解した結果としてイージスシステムの根を作り上げた。例えば右手を動かすとすれば....右手を動かすために何が必要になる?」
「脳は右手に動かすシグナルを出す.....そのために体の各所を動かすための計算をし指示を含めて運動する」
指を鳴らしダニーは続ける
「その通りだ!話しが早くて良い。右手を動かすという動作にかかる各所の連動率から運動のエネルギーの計算....これらはこの動作一点について少なくとも30の指示が成されるという状態になる」
「同じようにイージスシステムも計算する」
「YES」
ペンを紙に叩いて喜びの返事を返す
軍人であり技術者である彼は科学にも医学にも精通していた
自分の持っている考えを遠慮無く話せる事は学者や知識者にとって楽しい一時でもある
ましてや目の前自分の考えの中身を知って理解が出来る人がいるのならうれしさも跳ね上がると言うものか
すっかり石上に体を向けたダニーは弾む声で続けた
「問題はそこだ,イージスシステムは「人」を模倣した結果全体を動かし,攻撃を見渡し自分を守るという神経は抜群に良くはなったが,見た目の「人」の原理をそのまま取り入れた結果各々で起こっている情報の重さを認識するのにタイムラグができた」
「右手を動かすための指示に付随する筋肉の加重や減退の情報が必要であるという考えには至らなかったという事か?」
「違う,そこは理解できたのだけど,それほどまでに多岐にわたる指示を人と同じ「1つの脳」で解決しようとした事に問題があった」
「つまり脳に一極集中する情報量の処理とは別に起こっている状況への対応が甘くなったという事か?」
「....おしいな....まあ似たようなものだ。これによって隙に漬け込む事ができるか....あるいは脳は「騙される」事もあるという現象があるかといったところだ」
自信に満ちた目はメガネの奥で子供のように輝きながら進行中のプログラムに目を走らせた
「さすがはイージスシステム.プログラムチーム参加者だな。中身を良くわかっている」
石上は自分の手持つにあるパソコンに写る数値を確認しながら相手の顔を見ずに返事を返したが
ダニーもそれで自分の顔色が変わったのを見られずにすんだこと良しとしたように答えた
「ぼくは最終段階の一歩手前で外されたよ」急に弾みを失った素っ気ない声で,そのまま
両肩をわざとアメリカ人がするオーバーアクション風にして見せると
「知ってただろ」と,石上に向きメガネを少し下にズラした茶色の目がイタズラな顔で
「United statesを護る秘密兵器の開発がジューの知識によって作られるのはお断りだそうでね。上院議員からの圧力もあってチーム追い出された」
「KKK顔負けな判断だね,未だにそんな事があるんだ」
ダニーは自分の膝に置いた拳銃に目を細めながら
「アメリカは今も昔も変わらずそういう差別国家だよ,上に行けば行くほどにね。結局現行のイージスシステムの開発は「teamAmerica(純血米人同盟を皮肉った言葉)」で作られたものになった」
膝の上の拳銃に手を下ろし
モニター上にて展開される図式を睨む
「じゃあ今日そのイージスシステムに自分の「新兵器」を当てられるのは,さぞうれしかろうね」
石上は口が寂しいのか持たぬタバコの指先で唇をさする
「新兵器か....」
ダニーは首を揺らして愉快であると示すと
「ミサイルや銃器を強大化,強力化していくことだけで戦いを計るなんてナンセンスだよ。ユングのアレじゃないが大きい=強いだなんて,米人=正義と言っている見たいなものだ」
石上よりは幾分年寄りなダニーは
短く刈り込んだ頭に塩の柱のように点在する白髪頭を何度も左右に揺らしながら
「核という絶対の力を別に,現実的な戦闘に必要とされる兵器を作ることにおいて目に見える大きさがや威容が大事だという思い込みは捨てるべきだ」
持論に絶対の自信がある事を
青い光を反射するメガネが伝える
「だが目に見えない兵器に理解を得るのは難しいだろう?」
「たしかに,難しいねキミはどう?そう言う物は認められないくち?今更そんな事はないとおもうけど」
あくまで口調は陽気なダニーに石上も口から白い息を吐いて
「君ほど苦労が多くないからなんとも言えないが少なくとも「電気」の偉大さを認めているのつもりだよ」
石上の返事にダニーは鼻から息を飛ばした
「苦労か....」
横に座った男の言う苦労
「信心に似ていて,アメリカ人には理解が難しい事だっだろう?」
石上はダニーが軍用レーザーの研究でも一度煮え湯を飲まされている事をよく知っていた
スターウォーズ計画の中核を成した
軍事衛星に対するレーザー攻撃の実験は1989年に一度,予算の関係で打ち切られた
理論上わかっていても
やはり雲を掴むような兵器の開発に政府が難色を示したのだ
ホワイトサンズに実験場まで作った末の撤廃だった
目前に迫っていた完成からチームの解散に追い込まれるという苦渋の後に,イージスシステムのチームに入り
その手腕と頭脳を奮ったが
結局,イージスシステムの根本が軌道に乗った頃にまたも席を追われた
だけどダニーの理論はいつも天才的な成功にたどり着く
先進のシステム工学からはじき出されたからと言ってくさる事もなく
黙して研究に打ち込み,かつての研究を蘇らせる
長く放置されていたハズのレーザー兵器だったが
イスラエル政府の強い意向も彼の背中を押し再開された時には成功を確約していた
再開をしてほどない1997年レーザー対人工衛星兵器としての実験に「上向き」な結果を出すことにみごと成功する
以後ローコストな迎撃システムの一つとして現在も実験を続けている
「teamDanny」
「戦術高エネルギーレーザー」開発の第一人者であるデビッド.タボル大佐
いつでもアメリカ軍にとって有用な兵器開発に携わっていながらも....
ユダヤ人...イスラエル人であるという「人種差別」から何度もの苦労を重ねた男だが
決して心を折ることなく邁進し続ける。チームも一丸となり作り上げてきた功績は軍内部に置いても認めざる得ないほどの実績を持つ
彼は石上の言葉に目を細めシステムで満たされた部屋の天井を仰ぐと
溜息にも近い白い息をゆっくりと糸のように吐きだして
「そうだな....人は常にそうなのだが「目に見えないもの」に信心するのが苦手だ」
「信心?」
「似ているだろ,見える兵器には頼れるが見えない兵器は不安だという態度」
天井に挙げていた顔を降ろすと
「神は見えざる存在である「YHVH」であるがCatholicのように十字架を祭壇に飾らねば祈りは届かないとする者も多いだろ....そんな事はないのさ,いつだって神の目は我らを見ている。それを見えないと加護を得られないという不安から偶像を作って逃げているだけさ」
そう言うと前方に正面のモニターの前に座ったアイザック少佐に声をかけた
「どうだい,Miss.diamondの様子は?」
「混乱しているようです,このまま対空戦闘用意に入るか,海域を強行離脱すれば実験の半分は成功した事になりますね」
チームの要として働く少佐は安定した展開に軍人特有の尖った声ではない慣れた返事
始まった実験の前ダニーは嬉しそうに頷くと
「実験の成功は地味な活動を続けデータを集積していく事でえられる,例えるならば努力の結果の大賞のようなものさ」
「そういう努力をかかさぬ事が金星につながるというものだね」
石上もまた向かって右側の大型モニターに映るアイコンの『こんごう』を見つめた
広範囲に広がったジャミングに混乱している様子と言われながらもいまだ速度を落とさない姿に目を尖らせて
「どうなってる?」
キャプテンシートに座ったまま
海域情報の集積に当たっていたCICに声を掛けた間宮はただ海を睨んでいた
波は中程,打ちかける海の上を走る『こんごう』の艦橋は一時の混乱が沈下し隊員は各所での情報収集に徒事していた
ジャミング自体は戦闘行動の中では比較的ありうる攻撃ではあったが急に起こった事態に対応する事に時間が掛かっていた
「海域全体に高周波と思われるジャミングが掛かっています,ですが距離は.....それでも150岐路100マイル弱程度ですが....」
「ですがなんだ!」
迅速に自体を理解する必要がある
間宮は言葉が滞る事に苛立ちを感じていた
「どう表して良いかわかりませんが」
「何をだ?」
CICのオペレーターである近藤の声は明確に物体を表現する方法を失っていたが間宮の問いに出来うる限りの説明をした
モニターに映っているものは強弱を別とした無数の物体
オレンジ色に光る海域図の中に八角の囲いのように出来上がっているジャミングされた海域の中に浮かぶ「物体」の点が「何か」がわからないのだ
「八角の囲い......」
手元にあるチェックボードの裏に同じ図を書きなぐる
「その囲いの中に「艦隊」が見えるのか?」
「そんな大きさじゃありません,大きくても『はやぶさ』程度で小さい物はF2程度の大きさとしか確認出来ないのですが....」
「無数にいるんだな」
「飛行体とも艦艇ともいえないんです....ですが...居るんですこの囲いの中に」
「三次元モニターにF2が写っているという事か?」
早い質問
「いいえ,それならばすでに接敵範囲に入っているハズです....」
「囲いの向こうに艦隊が見えるのか?」
「見えません」
「なんだこれは?」
聞き出しの通信を終えた間宮は味わったことのない「攻撃」に頭の回転を速めていた
隣に立つ和田船務士もまた「目視」による索敵を開始し
粉川は艦首にいる『こんごう』を追い続けていた
最初の衝撃が走った時,甲板に転がり頭を抑えていた『こんごう』だったが
今もまだ立つことはできず波打ちを避けたスプロケットに手を掛けたまま苦悶の表情を浮かべていた
波を被った顔を空に上げ何かを探すように
「星......なんで?」
艦橋には聞こえない声だが
粉川は目で懸命に姿を追っていた,拳を握り倒れた『こんごう』に尋常ではない自体が起こっていると判断していた
願うように心で繰り返す
「部屋に戻ってくれ....『こんごう』.....」
同時に艦の魂である『こんごう』が苦しむ程の何らかの攻撃が,見えない攻撃が加えられている事に直感的に気がついた
現状では艦橋,CICとも何事もなく稼働している
どこかに被害状況が出ている訳でもない,なのに魂は苦痛の中にあるという事態は
何かが確実に護衛艦『こんごう』を蝕んでいるという事しか考えらにれない
だがそれに至る答えを冷静に出せる状態にもいなかった
どうにか『こんごう』を部屋に戻す方法で頭がいっぱいになっていた
艦橋部の窓から必死に『こんごう』を見守る粉川の後ろでは和田が間宮に向かっての進言をしていた
「撹乱から小型艦艇による攻撃では?」
双眼鏡を構えたまま今まで目による索敵を続けていた彼は眉間に双眼鏡の跡をつけたまま
「もしくは小型の無人艦艇という新型兵器では?」
既に空における無人兵器は実践投与されている事からそれも考えられなくはないものだったが間宮はそれには納得はしなかった
「新型機雷では?」
2人の意見を聞いていたCIC近藤が自分の考えを申告したが
「それはないだろう」
間宮はCICと艦橋に海域図をアップするよう指示すると首を振った
こんな狭い海域で機雷をつかう?それが不可能である事を海の男はよく知っていた
ココを流れる潮流は足が速い
そうでなくても秋雨を伴う暗雲の雨が海に力を与えている状態の中で機雷を敷布したとしたらば『こんごう』がココに到着する前にぶち当たっているハズだし,演習後に回収しようにも九州南岸に向かって流れてしまう,それも屋久島河岸を通り種子島にわざわざ迂回するというルートを通って太平洋に向かって
そんな恐ろしい事が出来る訳がない
新型機雷や無人攻撃艦艇が最初からフローまたはスタビライズをしているのを隠すためにジャミングを入れていたとしても.....
「回収できない,こんな量」
CICから計上されている捕捉できた物体の数は半端なものではなかった
だが危機要素の小さい動かない物体をどういう物と判断すればいいかという解決がない
海域図を睨んだ思い沈黙
雨と波の音だけが響く焦りの空間に元気だけは人一倍だった男の声が響いた
「間宮艦長!!」
考えあぐねている指揮官達の前を粉川は自分のタフノートを手に挙げて見せながら
「緊急事態と判断します!!以後は打ち合わせ通りに.....ココは戦場です!」
そう言うと足早く艦橋を出ようとした
「おい!作戦行動中だぞ!!」
「かまわん!!和田船務士!!」
粉川の背中に向かって怒鳴る和田の肩を間宮が掴んで
「彼には彼のやるべき事がある」
そういうと全艦放送に切り替えたままインカムを通して宣言した
「艦長より達する!現時点を持って「演習」を終了,これより実戦に入る!」
間宮の啖呵に合わせたようにCICからも艦内全てに通達が回る
「水上戦闘用意!!これは演習ではない!くりかぇす!!これは演習ではない!!」
響き渡る実戦という緊張の火線
よりいっそうに忙しく動き始める艦内の中
けたたましい足音を後に粉川はグループルームに走った
「粉川はん.....」
走る勢いのまま
部屋に入った粉川の前『いかづち』と後ろに倒れた『こんごう』の姿があった
艦橋から事の成り行きを見ていたのだが
『いかづち』が自艦から転移しそのまま光の輪に消えたことでグループルームに入ったと予想していたとおりだったが
思った以上のショックは目の前の『こんごう』の姿にあった
いつもなら強気一点の彼女が息も不規則に昏倒する様は想像の出来ない図,肩に背負った荷物を観葉植物の並ぶコーナーに投げ走りよる
「粉川はん!!どうなってんの!!」
同じように泡を食っている『いかづち』は近寄った粉川の前で叫んだ
「それは,ぼくたちもまだわからないんだ....とりあえず『こんごう』は無事なの?」
イスのない部屋
テーブルを除けた広がったスペースに雨と波で余すことなく体を濡らしたまま痙攣を起こしたように体を動かす『こんごう』を抱き上げた
「『こんごう』!『こんごう』!しっかりして!」
真っ白な顔に唇に添ってこぼれ落ちる黄白色の泡
歯を食いしばり過ぎたのか少なからずの血も混ざった状態で目を見開いた『こんごう』は口もきけない状態で自分を起こした粉川に目を動かす
「『こんごう』.....」
いつもより大きな声相手の意識が遠のいているという直感
荒げた表情で自分を覗き込む粉川に開かれた目のまま
「星.....星が落ちてくる」
途切れる言葉と荒い息を平井た口から吹き出す泡と血
両手で耳を塞ごうとしながらも
「頭が割れる.....」
「耳....粉川はん!!」
悶絶で頭を揺らす『こんごう』の耳から血が出ている
人で考えるならば痛みでココから血が出るのヤバイ傷に入る
驚いた声を挙げながらも急いで腰に用意していたタオルで耳を押さえる『いかづち』
「頭か!!頭痛が?」
頭痛程度で耳からの出血とは考えられないダメージ
「どないなってんの!!これ!!怖い......」
頑張ってはいるがすでに『いかづち』は半泣きの状態だった
いつもなら冗談の一つでも言って相手の様子に突っ込みの一つでもいれよう元気娘の彼女は
歯まで震える姿のまま粉川の手をつかみ『こんごう』を囲むように座り込んで叫んだ
「『こんごう』!!『こんごう』!!返事してーな!!」
目は開いているのに光りの見えない曇った焦点,まるで昏睡状態になってしまったかのように揺れる姿に打つ手のない粉川と言った事で
恐怖ばかりが心を暗くしていた
目の前で最新鋭と言われる仲間が物理的攻撃以外で倒れてしまった事は物理的衝撃を受ける異常の恐怖でしかない
懸命に『こんごう』の肩を揺らす
「なんで!!なんでこんな事になってんの?わても目がチカチカする.....怖い...怖いで...ミサイルもなんも飛んでへんのに.....何が起こってんの!!」
震えすくんだ手は粉川の袖を強く引こうとするが掴む手にさえ既に力が入らないという震え
「なんでだ.......」
粉川はこの艦が何に攻撃されているかを考えていた
艦魂が倒れる理由は艦体に何らかの攻撃が銜えられているからだ
なのに艦橋をはじめCICも現状では支障なく動いている.....
それでも
魂である彼女は立つこともままならない姿なのは
どこかが既にダメージを食らっている証拠
「頭........」
『こんごう』の頭を支え目をみる......
「フェイズド.アレイ.レーダー......」
作戦行動に入れば例外なく輝く『こんごう』の目の中,八角の輝きが見えない事に粉川は答えを求め始めていた
「『いかづち』ちゃん!!キミは頭は痛くないの?」
粉川は自分の縋ったままになっていた『いかづち』の顔を真面目に見つめた
目の光り顔色
些少な事が全て自身の分身でもある艦の全てにつながっている彼女達だが
『いかづち』の目は今のところ曇っているという事はない
「わては目がチカチカするだけ.....痛ないで....」
見つめられる真剣な眼差しにたどたどして返事
「艦魂にとって頭は艦のどの部分に該当する?.....」
粉川は『こんごう』の頭をさすりながらに聞いた
身振り手振りで自分の顔をさわりながら『いかづち』は説明する
「それは目や鼻や耳はきっとレーダーやったりセンサーやったりとちゃうのかな?....わてらは自分が自分の艦のどこに直結しているかまではわからへんねん....せやけど」
不足の事態に冷静さを保とうとしながらも経験もなく予想もできない恐怖に震える『いかづち』は巧く言葉が走らない
だが対する粉川は冷静に考えをまとめる続けていた
「レーダー....じゃあ『いかづち』ちゃんのレーダーにも多数の的が見えるって事?」
『こんごう』のCICでは八角を囲む海域に強力なジャミングが,かかっておりその中に多数の「的」が見えているという状況だった
「わてのでは電波が揺れてる線しか見えへんけど.....通信で『こんごう』からは「何か」見えるって言うてたやろ?」
以外な答えだった
つまり『いかづち』のレーダーは「ただ」ジャミングを受けているだけという状態
なのに『こんごう』は重傷でそれが及ぼしている標的は....粉川の頭の中に気がついたラインがつながる
昏睡の『こんごう』目の中に輝かない八角.....答えは
「狙いはイージス艦それも....フェイズド.アレイ.レーダーって事か.......でもどうやって?そんな機能を限定して攻撃はできるのか?」
粉川は『こんごう』を抱き上げたまま考えをまとめた
現在,
イージス艦を狙ってこのジャミングが行われ
高性能な八角の目「フェイズド.アレイ.レーダー」を会してシステムに何らかの干渉と「混線」を起こさせているという状態
それが例の標的の多数の出現であり
モニターに映る機械ではわかっていても頭での処理の出来ない物質でありさらにアクティブである事により処理が追いつかない....
だがそれが答えとは言いがかったのか粉川は首を振った
イージスシステムは無敵の楯である
それは色々な実験で実証済みだし指揮決定システムと武器決定システムもそれぞれに別れていながらも特にフェイズド.アレイ.レーダーが頼る部分と攻撃を受ける理由が一致しない
あの八角のレーダーが主に使われる部署は武器管制システムであり実際に誘導を行うのは2つ
VLSとMS-2....色々な考えがめぐるが,この他にこのレーダーが大きな仕事をしている事は見落とさなかった
「レーダー....大きく見るまでもなく周辺海域全部を四方の目で見ているわけで.....だけど」
追いつかない考え
「粉川はん....『こんごう』のレーダーが攻撃されてるから頭ん中が痛いんか?せやったらどうして敵は攻撃してこんの?」
「まって!どうしてだ?レーダーに敵は攻撃をしている...なのにシステムは動いてる、でも『こんごう』は倒れていて....レーダーは.....無事?」
錯綜の線.....無敵の楯の魂はすでに重傷であるのにイージスシステムは稼働している?
この状態で攻撃を受ければ.....混乱している『こんごう』はちゃんと的を見つける事ができるのか?
眉間に寄せる皺、フル回転で解決の糸口を探す粉川
「『いかづち』ちゃん.....『こんごう』は倒れてる....そんな状態でレーダーは正しく稼働するの?」
至らない答えに首をかしげたまま粉川は『いかづち』の顔を見つめたが
『いかづち』は恐怖で鳴き声混じりで叫んだ
「頭ん中がおかしなってたらシステムが動いてたって何も信用できへんやん!!」
「やっぱり!それだ!!!」
涙の返答に粉川は自分の頬を打った
迷いはあった
だが迷ったまま何も言わず手をこまねいたまま時間が過ぎるなど合っては行けない事,粉川は『いかづち』に『こんごう』の体を預けると走った
グループルームでは艦橋への交信が出来ないからだ
「粉川はん!!待って!!」
「待ってて!!『こんごう』を頼むよ!!」
そういうと揺れる通路を一目産に走っていった
「『こんごう』.......『こんごう』......怖い...わて怖い.....」
残された『いかづち』は自分の震えを止める事が出来なかった
正直に言えば護衛艦とはいえ戦争など皆無の国に生まれた者で事実「戦争」を知らない魂である彼女は戦わない他の船魂となんの変わりもなかった
気構えや心得なんてものはやはりそれそうとうの緊張とストレスによって培われるものであり
普段訓練でしている程度のものでは届かないものという事を確信せざる得なかった
だから泣いている自分が情けないとも思えず
震える手が1人になってしまった自分を支えられず
「なんでこんな....演習やろ...なんで体痛いの?いつ実戦になったんよ?どうしてよ?」
突然,聞いたことも見たこともない演習.....そして実戦という発令に心を凍らせ抱き起こしている身動き叶わぬ昏倒と戦っているもっとも非常事態の『こんごう』に縋りつくしかなかった
「怖い.....どうしたらええねん.....」
「『いかづち』......」
『いかづち』は,いきなり抱きしめられていた
「『こんごう』?」
跳ね起きた体
目の玉に光のない姿,心身を走る痙攣の動き,なのに強い力で抱きしめる腕の『こんごう』は息も絶え絶えの中にあっても叫んだ
「心配するな!!!絶対に護る!!私が護る!!」
自分に言い聞かすような怒声,でもそれが仲間を護ろうという覚悟の証
「『こんごう』.....」
痺れたように震える唇からそれでも強い意思を叫び続ける
「私は金剛.....絶対に護ってみせる」
二人はお互いを支えるように抱き合った
『いかづち』は震える自分の体を擦りつけるように目の焦点の合わない『こんごう』にただしがみついて
今はそれだけしか自分を守れるものがなかいという思いで
「がんばるよ....がんばる」と泣いていた
カセイウラバナダイアル〜〜aegissystem〜〜
はっきり言うと....
全然わかりませんでしたwww
いゃあ
たくさん本を読んだし図形に書いて見たりもしたんですけどね(自分の手でシステム概要を書くと色々な事に気がつきますから)
複雑すぎて考えが追いつきませんでした
ただ
中身についてはけっこうおもしろいものが多かったので勉強になりました
今話の冒頭でダニー事デビッド.タボル大佐がいっていように「いかにも人間の脳」というのは図式に書いて見てわかった事なのですがあながち間違ってもいないと思います
果たして無敵の盾はどうなってしまうか
色々な方法を考えた凡人にとって
REDCLIFFの張飛のキラキラ大作戦はなかなかにいい発想をくれました
ところで
最近メッセで
「アメリカの艦魂もそうですが名前が色々あって混乱しています。一話使って艦魂の紹介をしてくださいませんか」
という要望があったのですが
書いた方が良いでしょうか?
出来るだけ後書きでかこうかとも思っているのですが
なかなかそろえる事ができないし
後書きだといつか確かめる時に見たいとおもってどこかわからないという意見もあるので....
どうしようかと迷ってます
それではまたウラバナダイアルでお会いしましょ〜〜〜