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第五十二話 神の右腕

今回からちょっととんだ話になってしまうかもしれませんが優しい目でみてやってください!!

色々勉強はしているのですが

色々と足りていないことを反省しつつも前に向かってダッシュ!!ダッシュゥゥ!!!

合同演習最終日の空模様は間宮達『こんごう』乗組員と粉川の気持ちを代弁するように

どす黒く雨脚の強い日になっていた

晴れ間を期待させる雲の流れはどこにも見えずただひたすらに打ち付ける雨


「予定されていた「ハイライン」の訓練が3日続けて中止となったかわりとして」


指示要項に書かれた最終日の訓練項目はまるで見たことのないものだった事が,間宮達の考えを黒く塗っている原因である事にはかわりなかった

すでに波を切り今まで連れ立っていた艦隊から別れ訓練海域に向かっているのは『こんごう』と『いかづち』のみ


間宮は何度も手元の指示要項を睨んだ


「護衛艦隊総合運営計画に基づくオペレーションを行う」


味けのない印刷された文字の向こうに石上の存在は見え隠れしている

どんな演習だってこんなギリギリになってオーダーが回ってくるという事はない


朝一番の交信で『くらま』に乗艦していた柴田海将補に石上一佐との交信を打診したが無理であるという報告を受けていた

風こそ強くはないが雨脚は早い海の上を先頬度まで並んで走っていた『くらま』はすでにずいぶんと後方にいる中

今一度の交信わ間宮はとっていた


「今回のミッションはアメリカ艦隊の協力の下,海自の現在抱えている問題に則した作戦行動をプランニングするためのものである」


柴田海将補の返事はお手本のようなものだったが

どこか歯切れの悪い口調....声色に間宮は何件かのディベートをしかけてみた


「米空母に飛んだ石上一佐は内容について何か話してませんでしたか?」

「彼は最初の日以来『くらま』に交信はしてきていない」


今度は簡潔な答えは切り返しを十分に知っている司令官としては合格点なものだった

「ではこの「軍事衛星」による誘導ならび連携については」

「紙面に書いてあるとおりだ」


紙面にあるもの


「軍事衛星を使ったよりコンパクトな艦隊活動」


従来でもそういう活動内容はあった

というか

現在の護衛艦隊の動きの中に衛星による連携は十分に組み込まれている

けして革新的に演習ではない

ハイラインのように人をつなぐための有線による作業のかわりに無線の衛星によるコンタクトをするにしても


アメリカ軍との連携が入らないのならば....

何も目新しい事ではないハズの演習に「レーダー研究と戦略」の専門家がどう関わっているのかが見えないという不安


「何故『こんごう』なんですか?」


間宮は不満である一点を簡潔に聞いた

ファーストミッションなら艦隊のもっとも中核をなすものたちで行う方が良い

つまり

本来なら『いかづち』『はるさめ』でやった方が良いだろうと暗に聞いたのだ


「基本はアメリカ艦隊の形で始めたいからだそうだ」


柴田の声に少しの怒りが混ざり始めていた

それはしつこく自分を試す間宮に対してでない


演習と称した実験的訓練に海自を使う事に

さらにそれを「自分たちの規格」に合わせているという事に立腹である事は間宮には手に取るようにわかった


現在アメリカの中核をなすイージス艦達

これに空母打撃群が加わって艦隊活動をするが,先行する艦艇の中心となるのは絶対の防空能力を持つイージス艦というのが米国でのセオリー

それを基準にこの演習をしたいという事は現在4隻しかイージス艦を持たない日本の規格からは程遠いものだ


「わかりました」


間宮は程度の事しか知れなかったこの会話をこれ以上引っ張る事が自分たちにとって「得策でない」という考えにいたり交信を切ろうとしたが


「間宮艦長.....他に質問はないか?」

以外な返答を返したのは柴田の方だった


「天気が悪い事が気になりますが」

「私も気になっている」


通信は傍受されているかも知れない

米艦隊は共に演習をする程に仲間ともいえるが,かつては敵であり今は政治の上での敵でもある

安穏と軍務に着いていてはいけない

背中にあるものが「安保」であってはいけない自衛官


「目が霞みますね....「メガネ」が必要になる...歳かもしれません」

「君の歳でそれはないだろう」


緊張を和らげた柴田司令は

「耳はどうだね?そっちの方が年寄り扱いされるだろう」

柴田は少しの笑い声と一緒に手早い返事を返した


「ですね...「耳は大事」ですよ聞こえなくなったら「補聴器」でもお願いするしかないですかね?」

「そういう便利な物が出来て良い時代になったものだ。第一京浜道沿いに良いストアが合る,ココは24時間営業らしいからいつでも開いてる使うと良いよ」


間宮は相手に気を遣って受話器を離して笑うと

「きっといつかお世話になりますよ。耳が聞こえなくなったら直ぐにでも」

「そうすると良い」

柴田は低い笑い声,趣味をコーラスという子気味のいい笑い声の中

間宮は受話器をおろした


「楽しそうでしたね,柴田司令とそれほど面識があるとは思いませんでしたよ」

全ての指示が終わった和田は間宮のシート後ろに立っていたがいつものような勢い一点の聞き方ではなかった

むしろ気味悪いほどの小声で


「目処はたったんですか?」

チェックボードで顔を隠した和田は聞いた


「そうだな目暗になってからじゃ事は遅すぎるし....あるいは目暗のふりをする必要もあるかもしれんしが,保険はかけたれたというところだ」

「合図は」


「心配ない,後は粉川くんだな」


尖った目のまま振り向くことなく和田に指示をした間宮は荒れる波模様と暗い影を惜しむことなく落とし続ける空に向かってつぶやいた


「いつから不正活動なんて洒落たことができるようになったんだ....俺たちは(海自は)」


苦言のようなその言葉とは別に間宮の顔には挑戦的な笑みがあった







「行っちゃったぁ」


アイゼンハワー事アイクは自分のグループルームから水平線の向こうに形を小さくしてゆく『こんごう』の姿に一息ついてみた


デッキ上には未だ忙しく働くデッキオペレーター達,「EA-6B」なども離陸の準備を始めているという状況で休憩に入ってよいかは微妙とも思えるが

マイペースなアイゼンハワーはすっかり御気楽ムードに浸り随伴艦であるカーティスとカウペンスにも休憩を言い渡していた


ガラス窓の前から消えた艦隊とは別に自分の横を併走する『くらま』...ヘリ甲板に立ったままでいる麗人を見ながら

「お堅いお方....」と溜息


白を基調とした部屋は真横に長方形の大ガラス窓を持ち,テラスこそないが空間を大きく見せ採光を取り入れている

真ん中に置かれた木目調のテーブルを囲むようなコの字型のソファーセット

ソファーはベージュとブルーのツートンカラーで一見するとどこかファミリーレストランのようなつくりに

ソファーの一番端には大きな「くまのプーさん」が座っていたりとかでそのカラーをより強めている


壁に備え付けられたトイモデルタイプのキッチンいわゆるプラスチックを多用したおもちゃのようなカラー配色のキッチンに向かい

木目のラックに掛けてあった名前入りのマグカップを取り出したアイゼンハワーは頬をふくらますと


「私の失点につながらない事を願うのみだわ」

そういうとフリフリと体を揺らして

「それにしたって佐世保に寄港!!エセックスになんか絶対に負けないんだから!!素敵な夜にするわ!!」


幼い舌足らずな声で自分の上着を預かるために後ろを歩きながら

神妙な顔になっているカーティスに聞いた


「ダニエルは?.....引きこもってるの?」


広すぎる部屋の中に2人だけの艦魂,アイゼンハワーは黒の上着を脱ぐとカッターシャツの姿でネクタイを弛めながらつまらなそうに座り直す


カーティスもまた自分の上着を脱ぎ入り口近くにあるハンガーにかけながら答えた


「彼女のところに,交信をしてました。軍務に関わることは一切話さない事は誓っております」

「彼女....マリアのところに?ダニエルってマリアの信奉者だったっけ?」


テーブルの中程に置かれたガムシロップを2つを可愛らしい茶色のマグに注ぎながらアイゼンハワーは小さな手で隣に座るよう促したカーティスに「いる?」と聞いたが


「いいえ私はブラックで」


相手の素っ気ない返事に掴んでしまったシロップをそのまま自分のマグにさらに投入したアイゼンハワーは

「ミルクが切れちゃいそうだから帰港までに補充しておいてくれない?」と開いた蓋を小さな舌で舐めながらイタズラっぽく頼んだ


「了解です」

「ねぇクーンは日本は詳しいんでしょ!色々と教えてね!」


テーブルにべったりと手を伸ばして頭まで擦りつけた状態でとなりに座ったカーティスに愛嬌良く笑うアイゼンハワーはこれまで多くの海で活動してきたが日本には寄港した事がなかった


テーブル下から取り出した「海の麗人倶楽部」を取り出すと


「ああっ!!やっぱり写真以上に美しい方だったわぁ!!」

手をばたつかせて『くらま』の写真にキスをしてみせた


「ねぇ『くらま』司令はこんなにキレイな方なのに恋人とかいないのかしら?」


雑誌には驚くほどの個人情報が載っているが割と憶測で書かれたものも多いし

恋人の有無などは書かれていない

アイゼンハワーは運良くであった相手のデータを長く日本に駐留するカーティスから仕入れたかったのか,慌てた口調で聞いた


「さあ良くはわかりませんが,同じ佐世保にいる護衛艦『しまかぜ』という者と恋仲ではという噂は聞いたことがあります」

「誰それ!!聞いたことない!!」


あっけなく口に上った恋人候補の名前に雑誌を片手に怒った顔


「私達でいうならばダニエル姉さんより前の世代型の駆逐艦に住まう妖精ですね」

「プロビデンスみたいなの?年寄りじゃない」

「そんな事ないですよ日本の妖精はどちらかといえばみんな若いです,彼女には何度が会ってますがキレイな人ですよ」


うまい嘘は言わないカーティスの言葉に頬をいっぱいにふくらませたアイゼンハワーは


「いいの!どうせずっと一緒にいられる訳じゃないから,たった一夜の思い出にでもなれば!!」


幼い容姿とは関係なく大人びた思考が大胆な言葉を返しながらも

ズルズルと音をたてて甘くなりすぎているハズのコーヒーを啜る


どう見ても幼女なアイゼンハワーに比べるとカーティスは女らしい出るとこの出た体格,170近い長身イージス艦特有の透き通る水色の瞳は物憂げな思いのまま,はしゃぐ司令艦をみつめていたが

押しとどめていた思いに堰を切って乗り出した


「アイゼンハワー司令,質問してよろししいですか?」

「そんなに堅くしゃべらないで!任務以外ではアイクと呼んでくれて結構よ!」


アイゼンハワーはいつもそうだった

相手が必死の思いで話しに踏み切ろうとしているのは顔を見なくても声に宿るトーンでわかっているハズなのに軽くかわしてしまう


小さな司令艦....

どちらかといえば大きな姉である「エリー大将」と似た緩すぎる態度は

彼女の幼い容姿がよりいっそうそういうルーズさを際だたせていて軍務に真面目ではないのか?という不安を感じる

何しろ初めて随伴する司令でもある


「最後の実験演習の事を日本軍(海自)におしえなかったかった理由が聞きたいの?」


そんなカーティスの不安を察したように

相手の言いたかった事をアイゼンハワーはミルクもいっぱいに入れたマグを両手でもちながらさらりと返した


「いいえ,でもそれもありますが」


見抜かれた悩み,少しの驚きに目を見開きながらも

カーティスは自分達が常々疑問に思っている事を一度に話し続けた

途中で止まってしまったら司令艦は答えを濁らせ話題から逃げてしまうという思いがあったからだ


それは

今回の演習という名の実験が「痛みを伴うもの」である事に端を発していた


同じ妖精(艦魂)が傷つくのは心の痛むものであり

そういう思いを持ちながらも

常に軍務に携わる事に忠実であるのに...なのに現実的には「何も出来ない存在」という自分たちの悲しい思いを


近すぎる相手の顔,懸命の訴えを宿す目線に


「心配なのね」


カーティスにくっつく程近くに座ったアイゼンハワーの目もどこか悲しそうに伏せられる


「私達は軍務に忠実であり常に規律を守り合衆国のために尽くしております..ですが」


「そうね,私達は国に尽くしている。でもただ船の魂であって作戦を知っていたからといって何ができる訳でもないのという事が辛いのね」


そういうと生粋のコーヒーとはほど遠くなった甘み香る乳白色の飲み物を一口のどを通して

今までふざけていた口調を改めた,舌足らずのままに


「知っていても自分を「護る」事などできない....なのに存在している事に迷っている?」

「何も出来ないのに何故私達は軍務に」

「国を護るという勤めを持つ軍艦に産まれた者の道よ」

「ですが」

小さな指が流行るカーティスの口に黙してと触れる


「変わる物と変わらない物があるとするならば,変わったのは私達における軍務という体制であって変わらないのは私達が「ただの魂」である事よ」

アイゼンハワーの目は優しく揺れる


「私達は何時だって「人」に恋する船の魂,海という世界をつなぐ冒険と新たな道を開こうとする「人」を愛する魂.....だけど世界は1つじゃないから私達のように軍務に着かなくてはいけない魂もいる」


小さな彼女はそれでも司令艦

妖精(艦魂)が何であるかという事は提督コンスティチューションに聞き及んでいる


心優しき艦魂達は戦いを望まない妖精である

しかし戦いがあれば海を隔てて争いの場に参ずる船も産まれ

戦いに徒事するために一線を越えなくてはならない....だがそれは並大抵の思いではなく心を切るほどの思いの末に越えるラインだ。だから自分たちが軍人であるという思い込みが必要になっていた「人」のマネをして規律をつくり軍属たらんという規則の中に己を押し込め

国をゆく数多の船達の先頭に立って戦うという気持ちで心を満たす


戦争という無情の海を走る魂の支えとするために



しかし残念な事に世界は未だ「平安」を手にしていない

弓を引き続ける使命を持つ魂は未だに必要とされている

それでも....夢を見る


「クーン,ダニエルも私達も本当はいつの時も心優しき魂だわ,争いを望まず生きていたい。きっと相手もそうなのでしょうに,いいえ全ての船の魂がそれを望んでいる....ヴェネチィアを行くゴンドラのように春の日を滑る自分でありたいと」


カーティスは泣いていた

灰色の船に産まれた自分,その長たるアイゼンハワーの言葉に自分の願いはあったから


「ダニエル姉さんは苦しんでます.....私にはどうしていいか」

「今はどうする事もできない,ただの船の魂である私達が自分を動かすことが出来ないのと同じように「人」もまた争いを望まないという心をもちながらも,それに添うことが出来ない分裂し啀み合う世界の潮流の中にいるのだから」


涙に暮れるカーティスは俯いたまま


「そのために私達「魂」が傷ついて,「人」が力の均衡を手に入れる手伝いをしなくてはいけないのですか」

アイゼンハワーはカーティスの肩を抱いた

小さな腕は回りきらなかったが温かく彼女を包み


「優しいのねクーン,日本海軍のあの子達の事を心配しているのね」


泣き崩れ声も出ないカーティスの頬をアイゼンハワーの手が拭う

魂達にはそもそも敵も味方もなかった

「人」の世界には分裂している言語が溢れているが妖精達にはそれはない

帰属する国によって言語を改めたりするが実際にはそんなものがなくても話しは通じる

だからこそ争いたくない「人」とも


そして


同じ魂が傷つく事が恐ろしい

それがために泣いたカウペンス事ダニエルに怒鳴ってしまったカーティス事クーン

だけれどもどちらも同じぐらい軍務というものと自分たちのありかたに疲れ,姉を怒鳴ったあの場所で本当はクーンも心に涙を降らせていた


「私達はどの船よりも国と密接な恋愛をしているのよ,だからこそ「人」の苦しみに添い遂げましょう。そして何事もなく無事に帰ってこられる事を願おう!これが終われば佐世保でパーティーよ!クーン!元気だして」


自分の膝で泣くカーティスを抱きしめたままアイゼンハワーは姿が見えなくなった『こんごう』達が向かった灰色の海を見つめていた







「300秒にて演習海域到達します」


冷気を満たし青白い光を輝かした部屋の中で石上はパソコンとのデータリンクを終了させていた

隣に座ったダニーは一足は行く終わった作業にパソコンの蓋を落とし

いつものように拳銃をテーブルに置いていた


「Corona2起動,正常に運行中」


機械の耳障りな雑誌をめくるような音は周りを囲む他の音と重なって一つの砂を噛むような音となっている

その中を並んだ技術者階級を付けた物達が淡々と仕事を続けている

効き過ぎぐらいの冷房のせいなのかみな薄手の手袋をして長袖の姿


「MIRACLEと兼任じゃみんな疲れるだろうに」


石上はスタッフジャンパーのに袖に手をとおしながら卓上の拳銃に指を滑らせているダニーに聞いた


「そんなことはない,実戦ができるのならばどこえでも行くよ。寝る時間などいらないさ,君もそうだろう」

目をあげず手入れするように拳銃を触る太い指の彼は

リアクションだけは体を振るわらて見せる


わかっていた言葉だったが石上もまた息をつきながら

「寝るのは死んでからでいい」と皮肉った


「僕もそのくちさ,それより君の方こそこの日にこぎ着けるのが大変だったんじゃないかい?例の事件で演習自体がお流れになりかねなかったんだろ?」


スーツの上にジャンパーを羽織ってイスに座った石上にダニーは実際に片目をつぶって行った

彼が演習に向かうアイゼンハワーに乗船する日程の頃に海自では例の「不審船事件」があり世論の逆波の中では演習は不可能か?という疑問さえあったのだ


「交渉したよ,実験項目も開示して」

「ほお,この実験項目を開示した上で演習を許すとは,なかなかに日本も鋭くなってきたものだね」

「僕たちだって伊達で「軍人」をやっているわけじゃない,羽村局長には1つ「貸し」だと釘を刺されてしまったけどね」


迫る時間に合わせファイルを開き項目の再チェックに目を通しながらダニーは口から仄かに白い息を吐いて笑った


「局長か,秀才の上司がいて助かったな....それにしたってFTGが乗っていると聞いたがそれはどうなってるんだい?」

「問題ないと言い切られたよ,局長の目が届く人物を配置してあるらしいからと」

「all right」ダニーは手を打つと


「国防は何時だって無駄飯食いで素人には理解の及ばぬ世界だが,理解のある上司がいればそれだけで国の命綱は太くもなるというものだ!!」


石上と並んだ二人はカウンターの入ったパネル型の大型モニターは全面に4枚並びに目を走らせた

衛星軌道をアイコン化した図面に

東シナ海域の図と天気図,頭脳の全てがココに集まっている



「Corona2開閉作業に入ります」

衛星のアイコンからボリュームの図式が発生する

全面真正面に位置した技術技官の声にダニーは注意を入れた


「アイザック少佐....我らの呼び名で行こう!記録に残るならなおさらにだ」

「了解!!今より衛星Corona2の呼称を「ハ・シェム」と改める以後このコードネームにて発令す!!」


一つの指示で冷えた部屋の士気は温度を上げる

並んだ技官達の目の輝きがそれを表す


様子を満足げに見つめるダニーに石上は


「一本良いかな」とタバコを挙げて見せた

精密機械の並ぶ部屋だ通常なら許可が下りるとは思えなかったが

「それが君の願掛けなら構わないよ」とダニーは手にしていた拳銃をあげて


「僕の魂はココにあるからね」

石上はタバコに火を着け目を細くして見つめ煙を流した


「Jericho941か」

「祖国の弾丸である僕の器だ」


拳銃を撫でる手,青の光の照り返しの輝きの下,メガネの奥にある目がどれほど尖っているかを表す一言


石上とダニー事,デビッド.タボル大佐はリンカーン以前からの旧友だった

お互いが国を護るという仕事に徒事しながらも

実情としての国の護りに疑念と憤りを持っていた事が2人を近づけるものとなっていた


どうしてもアメリカの庇護の元にしか自国を護る備えを持てない....というか持とうとしない国民に石上は腹を立てていたと同時にそういう者の顔色をうかがっている「防衛庁」の姿が勘弁ならなかった


しかし現実はやはりアメリカ軍ありきの日本であり

常に後追いのような軍事開発は企業でいうのならば3流としか言いようがない状態に甘んじていた事で何度も上官と電話を会して揉め事を起こしていた中で2人は出会った


「軍を動かすのにアメリカを使わない手はないよ」


苛立ちで心をすり減らしていた石上に声を掛けたのはダニーだった

既にアメリカ軍の中枢にて新兵器の開発を担当していた彼は石上のように頭が良くそれでいて「国を思う者」を快く欲していた



「君の一声に目を覚まさせられた....今は良い思い出だ」


深くタバコを吸い込み細く吐く煙に浮かぶ顔は嬉しそうに

「局長は沈黙を守ってくれると約束してくれたし....」

八割を吸ったタバコを指先でヒネリ消す


「君の国は秀才が多いのに,国民は大多数が国が嫌いという変わった者も多いからね,一苦労といったところだろうね」

わかりやすい嫌味だったが石上の顔は笑っていた


「だから交渉術も巧くなっただろ」


隣に来ていた自分の部下に吸い殻を手渡すと

「敵も見方も欺き,心行くまで自分の求めたものに没頭するのは....そんなに悪くない」

「清々しいだろう」

「まったくだ」


席を並べた2人の前,青のモニターの中にあったカウントは300秒のリミットを切った


「ハ・シェムは交信を開始しました」


忙しく動き出す部屋,交信の確認をした者が次の声を挙げる

「マーシアハ受信開始」

「ルーアハ受信開始」


メインのモニターに映し出される図式キレイに整った三隊の図にダニーは満足そうに笑う


「少しは形になったな,よろしい!!「テトラグラマトン」計画実行開始!!」


座ったままの姿勢それでも興奮が冷めやらないのか銃に手を掛けたまま

「弾は入ってないんだろうね」

銃口が自分に向いている事に石上はちょっとばかりふざけて見せた


「弾は僕だよ,祖国を守るための弾.....これには入ってないよ」


そういうにふさわしいのか

拳銃はただ磨き上げられた美しくもニブイ光を返していた

一度も発砲された事がないかのような拳銃


「7度の行軍の果てに壁は崩れるか?エリコのごとく?はたまたそこまでMiss.diamondが持つか?」

ダニーは喜びを言葉にして続けた

「これが人の作り出す「神の右腕」足らんことを願うよ」と


科学を共通の主とする2人は自分たちの手がけた実験に心を躍らせていた






「精霊を感知しました」


ドラムロールが延々と鳴り響く柱の間に3人の妖精が立っていた

灯りのない柱達が乱立する間は狭く息苦しい圧迫感を紛らわすような赤い照明

息を吐けば白くくもるほどに冷たい中

皆黒い髪を目深に目の光りだけでお互いを確認するように頷く


「それでは各々が任務を達成する事を願う....エィメン(そうなりますように)」


真ん中に立った少し小柄な少女に傅いたまま挨拶を交わした2人は光の輪を作りその中に静かに消えていった

残された泡沫の粒は床に少しばかり転がりあとはそのまま消えていくと

残っていた彼女は手に十字架を持ったままどこにも見えぬ祭壇にむかって両膝をついた


その間にもより音を大きくした濁音が渦巻くようにこの空間を押しつぶし狭くしてゆく圧力を上げる

それに乗じてわざとらしいほどの音響が広東語を流れだし

耳の痛くなる合唱の中にあって少女は薄く開いた目のままで祈りを捧げていた


「天にまします我らが神「YHWH」貴方が我らの近くにいらっしゃる事を感じさせてくださいませ迷える魂を導いてくださいませ,そのための苦難の道を甘んじてうける我らを導き給え,貴方の御子である主Jesus.Christの名において心より深くお頼み致しますエィメン」


深い信心の下,目の色に赤と青を宿した彼女は闇に埋まってゆくように静かに姿を消した





海域に到達した『こんごう』はいつものように艦首部分に立っていた

波は高く結局小雨になったとはいえ雨はやまない黒の緞帳の世界はきもちを曇らせていたが

先の見えない空の下,雨に濡れることわ厭わない青服の姿で

髪をひっつめてはいるが風に揺らしながら

凛々しく立ち姿は艦橋から彼女を見ている粉川には実に頼もしいものに見えていた


「いつ始まるんですか」


間宮のとなりに立った粉川は艦橋部に叩きつける雨の音を聞きながら腕時計を確認した

演習の定刻にすでに入っている状態なのに指示はない


「全方位に注意」

静かな指示の元

間宮の顔は厳しく

「実戦形式....すでに始まっているのかもな」と粉川に告げた


粉川は自分がしばらくそういうものから遠ざかっていた事に恥ずかしくなって再び『こんごう』の立っている艦首に顔を向けたが


そこには驚く光景が広がっていた

先ほどまでは雨に負けぬ勢いで立っていた『こんごう』が倒れているのだ

それも

波の激しさに尻餅をついたという感じではなく頭を抑えたまま甲板を転がる姿はいつもの彼女からすると尋常ならざる事態としかいえない

思わず粉川は声を出てしまった


「『こんごう』!?」

「艦橋!!こちらCIC!!海域全体にジャミングが発生してます!!現在の段階での正確な測定は不能,通常の規模をはるかに上回るものでる事だけがわかっています!!」


粉川の叫びはCICからの交信でかき消され同時に艦橋に詰めた者達の顔色が変わった


「落ち着け!!現状の把握を!!」

なんの予告もなく始まった「実戦形式の演習」にあわてふためく艦橋に渇を入れる間宮は続けて冷静に


「いいか!ここはもう戦場だ!実戦形式という仮の名前を持っているだけのな」

和田の肩を叩き各部の調整を急がせながらまだ見ぬ敵の形に目を尖らせた


「やったな石上!!」


一方艦橋の騒ぎとは別のところで艦魂『こんごう』は甲板を転がり

頭を抑えながら歯を食いしばっていた


「頭が.....割れる....」


ローレライの歌のように脳を直撃する鐘の音の前に目を回して


それは初めて経験する戦いで

どの護衛艦も経験した事のない実戦という世界の幕開けだった

カセイウラバナダイアル〜〜トンデモかも2〜〜



今回は少し軍事的なアプローチをしてみました

とはいえ素人の書く者ですからなんともいえない部分はたくさんあるとおもいますがそこは暖かい目でみてやって頂きたいと願っております


いやあ

さすがに軍事機密の塊イージス艦

理論や理屈がわかってもそれを立証するロジックが見あたらないというか

欠損部分を自分の想像力で埋めつつ

色々な方面からの助言をミックスしてゆくという作業はなかなかにつかれました

なので

努めて皆さん優しい目でみてやってくださいまし




ところで最近メッセで

作品がおもしろくないから速く終わってくださいというのがきました

できるだけ頑張って速く最終回を迎えたいと思います

希望にそえるように頑張るとしか言えませんが

巻いて行きますので


それと

先生の艦魂は可愛くないというのもありましたが

すいません

もう可愛く書けてないことはわかってます

努力はしているのですが足りてない事も認めます

ですが希望に添える可能性はこれからも低いと思います

そういう方にも申し訳ないと思うのですが


他に可愛い艦魂を書いてらっしゃる先生はたくさんいらっしゃるので私のは諦めてください


他の先生を見習って勉強というのもさせて頂いてますがいざ自分が書くとなるとなかなかうまくいかないものというものですから


とにかくしばらくは頑張ってかくつもりなので

どうしても私の作品は好きになれないという方は読まない方向でお願いします


そんなこんなな事があった人生山ありゃ谷ばっかの渓谷行進軍なヒボシですがwww



でわまたウラバナダイアルでお会いしましょ〜〜〜

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