第五十話 嘘の報告
今言うべき事はなし...
強い日本という国を作り直すために必要な事を模索する日々です
対潜訓練のアドバイザーとして二等海士長先生ありがとうございます!!
小雨と少し波の高い事をのぞいて海域の視界はおおむね良好な状態
「当海域には『J10』6機,『ソブレメンヌイ』級駆逐艦2隻が確認され,『漢』級潜水艦2隻が展開していると思われる」
開示された目標情報を目にした間宮は,自分の前で気を引き締めている和田に
「他に何も言ってこなかったか?」
相変わらず壁に寄りかかった姿勢で聞いた
「他にとは?」
「ずいぶんとスタンダードなメニューだ...「例の事件」の事で揉めた経緯で他に何かをのぞんでたんじゃなかったのかな?あっさりし過ぎてないか?」
壁に軽くつくリズムを頭で打っている間宮の前
和田はあっさりとは間逆の男臭さ満点のこってりして面構え,太い眉をしかめて合流により併走の状態に入った米空母を見る
アイランド側を走っているとはいえ中身がわかるという事はない
巨大な空母の姿は荒れた波をものともせずに進んでいる
「訓練ですよ?何か企むって訳にはいかないのでわ?」
自分の声の大きさを良く知っている和田は間宮に近づくと
むさ苦しい顔を寄せるが,それを避けるように,前に進んだ間宮は
「気になるんだよ..さっき『くらま』からヘリが飛んだのも含めて...」
演習の該当海域に入ってすぐDDH『くらま』から搭載ヘリが飛びそのまま米空母ドワイト.D.アイゼンハワーに降りた
演習指揮の挨拶をしているという分けでもなさそうだが,以降ただ併走を続ける艦艇に何の音沙汰もない
その間に配されたのは味も素っ気もない演習の項目...伝えられた項目の前待たされている状態だった
灰色の緞帳で南海に近い水面は曇った面を晒していたが
間宮の心境もそれと同調していた
考えるに『くらま』から米空母演習指揮旗艦に飛んだのは「石上一佐」であるとしか思えなかったし
それが良い方向の予感には働いていなかった
アイゼンハワーを見たままキャプテンシートに向かう足で間宮はつぶやいた
「何やるつもりだ?石上....」
「今回の演習旗艦『くらま』であります」
小幅に遅れているミッション前,アイゼンハワーの飛行甲板の上には日米両艦魂が揃っていた
「人」には見えない彼女達ではあるが
演習前の挨拶を交わしたりするという儀礼は「人」がするそれとなんら代わりのないものだった
集まったアメリカの艦魂達よりはるかに背の高い『くらま』は,相手の感情に十分に心配りをしているのか,いつも着用している帝国海軍の黒の詰め襟ではなく海自のダブルスーツを着ている
着慣れないハズの制服,もちろん男物でネクタイ姿も美しく決まっている
「はぁ,初めまして!第八空母打撃軍所属,今回の演習司令艦ドワイト.D.アイゼンハワーです!!演習旗艦をつとめさせていただきますぅ!」
目の前
整然と並んだアメリカ艦魂にしては小柄な艦魂,身の丈は『くらま』の2周りは小さな彼女は顔を真っ赤にしたまま握手に伸ばされた手に飛びつくように手を伸ばした
「アイクと呼んで下さってかまいませんよ!!フレンドリーに行きましょう!」
栗色の髪
薄いブラウンの猫の目は「噂」の麗人に会えたことに小躍りしてみせる
「作戦中はご勘弁を」
紳士な手が握手の手をがっしりと握った相手を諭すように美麗で狐目ではあるが切れ長の美しい眉を備える顔で微笑む
「ああっそうですね!私ときたら...すいません」
司令艦という役職にあるにしては若々しい姿のアイゼンハワー
見た感じは『くらま』より年下16歳ぐらいに見えるが実は『くらま』より4つは年上
艦魂はの姿は生きた年齢とは比例しない
艦魂は発祥の年齢から歳とってゆく事になるが,その流れは「人」とは大きく異なるらしく実例的にいうのならば米軍艦魂にとって魂の支柱である旗艦提督(flag admiral)コンスティチューションなどは産まれて100歳以上という高齢になるが姿は未だ20代で
現在アメリカ第七艦隊の旗艦であるキティホークの方が年上に見える20代後半の容姿であるが誕生から見るとずいぶん年下であるから
どこかチグハグではあるが
その時産まれた姿とは関係なく付けられる階級に文句を付ける者はほとんどいない
それぞれが役目を持って産まれたと落ち着くからだそうだし
これまでもこれからもずっとそういう産まれだと全体を通して船の魂達はそう認識していた
しかし....
自分より年上のハズで
戦歴も華々しいアイゼンハワーが目の前で小娘のように(実際16歳といったら小娘ですが)『くらま』との握手に喜ぶ様子は痛い姿のようで
後ろに控えるイージス艦の2人は目を反らすようにしている
そんな二人の部下などお構いなしの舞い上がりぶりは...どこか佐世保のエセックスにも似ている
「あっ!でもこの演習が終わったら佐世保に寄らせて頂くので...その時はアイクって呼んでください!」
一部例外もあるが東シナ海域での演習が終われば空母などは大抵佐世保に寄港する
横須賀と同じぐらい海外の艦魂が帰港する有名な港
いうなれば横須賀が紳士な挨拶の場であるとすれば佐世保は演習によって手を握り合う「友」としての社交場とも言えた
「演習が終わりましたら,食事会を会しましょう」
アイゼンハワーの可愛らしく揺れるおしり
またもそんな光景の後ろに立たされる『こんごう』達の一歩後ろに今回参加の潜水艦『うずしお』一群から参加の『なるしお』
この面子の中で一番幼い容姿の『なるしお』は,今まで一群では見ることのなかった海外艦魂の揺れる姿に口を半開きにしたまま事の成り行きを見ている
どちらかと言えば一群にくる艦魂は表敬訪問みたいなもので,あまり砕けた態度を見せる者はいない
同じく一群から硫黄島演習にでる時に挨拶したキティホークなどはかなり硬いイメージで近寄りがたものさえ感じていたのに...
「モテモテやあ...さすが司令やあ」
呆然と司令を見つめる妹の隣で酒焼けのような声で目まで被った前髪の主『うずしお』は整列起立のままで
「やっぱ...艦魂として産まれた限りにゃ数多の女を惚れさせてナンボよぉ!」
変な感心をしている姉に
「姉さん...モテる事って艦魂にとって大事なの?」
プルプルと手を奮わせて聞く背丈も一番小さな妹,姉と同じように前髪で目を隠している姿は何故か潜水艦艦魂姉妹達の伝統
このままいけば11人姉妹になる『しお』姉妹,今は9人姉妹の6女に当たる『なるしお』は腕組みして感心している姉,3女の『うずしお』の顔を横目で見ながら聞いた
「モテモテはいいよぉ〜〜〜」
「ワシもなりたいわぁ〜〜」
感心に顎を上げてニヤリとする姉の前
まだ幼く,恋愛も良くわからない『なるしお』に答えたのは前列に立っていつも通り揺れていた『はるさめ』
笑顔の混乱誘発者である『はるさめ』に親指を立てた河内弁モドキの男前艦魂,(注.女です)『うずしお』は声も大きく,(もちろん脳内通信会話の中で)
「おうよ!!モッテモテになってあらゆる女いわしたんねん!!」
「バカかオマエは!」
思わず突っ込んだのは『こんごう』一応整列起立の姿勢を保ったまま背中の方で変な話題に盛り上がりだした仲間に注意した
「なんやて!ワシはな将来潜水艦艦魂における「麗人」としてデータブックに載るんが夢ぞ!!」
「アホやな」
同じ関西弁モドキの突っ込みを入れたのは『いかづち』
「麗人って....何?」
とりあえず整列の体勢は崩さず脳内会話の声で『なるしお』は首をかしげて聞いた
妹の問いに『うずしお』は自慢げに「麗人倶楽部」という素っ気ない文字の表紙を持つ雑誌のようなものを取り出した
「....これ....マジでこんなん出回っとたんや....」
「うそだと思ってた」
横目で取り出された雑誌を見る『いかづち』と『こんごう』は目を丸くした
「海の麗人倶楽部〜軍艦編〜」
世界中の軍事に関わる艦魂達の姿を掲載しているデータブック
といっても誰が始めたのかとかはまったくわかってなく,むしろアングラな情報誌のように流れているものだが
何故か年に1回は発行されているらしい....多分アメリカの艦魂達が暇つぶしで始めた物ではないかと現在は考えられたり
これの姉妹紙であると考えられる
「海の麗人倶楽部〜客船編〜」がある事から
世界中を就航する豪華客船の船魂達が始めたとか色々と言われているが
どこで入手するのかがまったく不明なデータブック
どこからともなく流れ着く...
まるで恐怖新聞のような雑誌
しかも
データブックと題しているのに艦艇スペックとかは,まったく載っていない
載っているのは艦魂の写真....
それも見目美しい者達という....まったく軍にとって役に立たないもので
特に日本の代表として『くらま』は何度も雑誌に載っていた
ちなみに編集後記の署名は両雑誌とも『E』となっているが誰かはわからない
でも
船の魂が制作しているという事だけはわかっている
そうじゃないお互いを映し出す写真を掲載できないから
『うずしお』はアジアでもJapanと指したページで大きく扱われている『くらま』の写真を見せながら
「ジャンル別が出来たらワシも載れんねん!!」
そこには,おそらくリムパックなどで撮られた『くらま』の写真が大きく掲載されている
「かっこいい....」
思わず本音の『なるしお』は頬を染める
南国の日差しの下,制帽の鍔に手をかけた少しの笑顔を浮かべた顔写真を中心にカラー2ページに渡る「日本海軍代表麗人」の姿
中には普段,佐世保で来ている帝国海軍の制服姿の写真もあったりでびっくりだが
キャプションには
「帝国海軍の制服姿は一段と素敵」と書かれていたりで,実は海自の制服より受けが良いことが見るからにわかる
「ロッキンならぁ〜〜100万円コースねぇ〜〜〜」
噂の倶楽部本を見ながら『はるさめ』はフワフワと浮いた感じで
ロッキン事,ロッキンジャパンでカラー宣伝を2ページに渡って掲載したら俗に100万と言われている事を例に挙げた
以外と音楽好きな一面と共に「すごいぃぃ〜〜」と笑う
「どうやって撮ってるんだ?」
自分たちの目の前相変わらずアイゼンハワーに張り付かれてどう手を離そうかと困っている『くらま』を見ながらも『こんごう』もびっくりしたように雑誌を何度も見て驚きを示す
「ワシもこれに載るんや!!」
息巻く『うずしお』の隣,雑誌をめくっていた『なるしお』が飛び上がる
「『こんごう』一佐載ってます!!」
一同の顔が固まる
「うそぉぉ!!」
『くらま』のページの直ぐ後ろに敬礼した顔を真正面からとった図
「誰が?」
まさしく自分なのだが,なんでこんな写真を?何時撮られた?という顔の『こんごう』
いつもの厳しい目線の自分の顔を真正面を撮った写真
書き込まれたキャプション
「日本のイージス」
「目で殺す系,将来に期待!」
自分が軍事以外の所で訳のわからない評価をされている上に
スリーサイズが載っているという驚愕の事態に顔が真っ赤になる
しかも隣のページには『きりしま』と『ひえい』司令が写っている
「こんなの!!どうして!!」
慌てる『こんごう』だったが
「くぅぅぅ!!!悔しいでぇ!!ワシは!!海の上のやつはええのぉ!!」
そんな事知らぬの態度で
雑誌を丸め思わず拳を握りしめる『うずしお』
「早う潜水艦のコーナーも作って欲しいねん!!」
そういうと『こんごう』を指差した
「まったくイージス艦はどの国でも人気者やぁ!!「人」もイージス艦に乗りたがるしなぁ!!潜水艦なんてしょっちゅう定員割れやで!!」
「いいなぁ〜〜〜イージスぅ〜〜」
雑誌を覗き込んでいた『はるさめ』は揺れながら笑い目で『こんごう』を見る
「「人」にも好かれるなんてうらまやしぃ〜〜」
「バカ言うな!!」
指差す二人に怒鳴った『こんごう』
その頭に『いかづち』の声が入る,メガネにかかった小雨は真意を読み取らせない表情で
「実際そうやで,イージス艦は何時だって乗りたがる「人」がおるけど,わてらはいつも定員割れでるんかもしれんてぐらい人気ないでなぁ」
どこか棘のある言葉に目を尖らせ反論しようとした『こんごう』より先に
寂しい声が
「私達....人気ないの?」
小さな肩をさらに小さくすぼめて顔まで落としてしまった『なるしお』
「人気ないねぇ〜〜〜真っ黒だしぃ〜〜〜ピカピカのレーダー持ってる『こんごう』ちゃんとはくらべられないよぉ〜〜〜」
「じゃかしぃ!!!」
妹の気落ちた顔に近づき
耳元に嬉しそうにささやく『はるさめ』の顔を『うずしお』が手で押しのけると妹を抱き寄せた
「妹いじめんな!!ワシらは真っ黒なドレス着とんねん!!海の中じゃピカピカやわ!!」
姉の胸に抱かれた『なるしお』は震える声で
「人気ないんだ...だからお祭りでも誰も見てくれないんだ....」
一群勤務
クリエイティブを公称とする集団にあってフェスティバルの時でも水の上に黒い背中しか見せない潜水艦は眺める程度の人しかいない
自分の船体に興味を示してくれる人などホントに一握りである事を実感していた所にこの発言
元来気の弱い『なるしお』は人気のない艦だと小さな胸を抉られる気持ちで悲しくなって,姉の胸で小声で震えて泣き出した
妹をあやすように『うずしお』は男前に言う
「ちゃうで!!ワシらは国家機密をぎょーさん持ってんねん!!そやから「人」が近寄れへんのよ!!人気かんけーないで!!」
「でも...乗ってくれる人もイヤなんでしょ...」
「ちゃう!!そないな事アラン!!「人」がたりひんのは海自はどこいっても一緒や!!」
しょぼくれてすすり泣きの妹に両手を挙げて
「オマエは可愛いからな!!潜水艦のコーナー出来たら,日本の可愛い潜水艦って載るで!!絶対!!」
必死に妹をたしなめる『うずしお』の頭に重い拳が落ちたのはこの瞬間だった
「静かにしろ」
手に持った雑誌は一瞬で消えて『うずしお』はその場に糸が切れたように崩れる
いつの間に列に戻っていた『くらま』
「何をしている?」
怒りに痙攣を起こしている目のまわりのまま
「演習で下らぬ話しなどをしたらただではおかんぞ!!!」
そう言うと振り返って正面に並んでいるアメリカ艦魂と司令のアイゼンハワーにお辞儀した
「申し訳ありません!部下の統率に至らぬ点,見苦しい姿を」
「いいえぇぇ,大丈夫ですよぉ!!」
深く頭を下げる『くらま』の姿にアイゼンハワーは笑って
「変に緊張しているよりもずっとよろしいですわ!!リラックス!!」と軽い手振りをして見せながら
「怒った顔も素敵....」
クルリと背中を向けて独り言に身もだえる
彼女の後ろに並んだカウペンスとカーティスには自分たちの司令の気持ち悪く緩んだ顔だけが見える
そして
またもそんな事はそっちのけで拳を強く握って胸に当て
「佐世保に着いたら....素敵な夜が待っているわ」
カウペンスの艦魂ダニエル大佐は,にやけたまま自分たちに聞こえる独り言を言う司令艦であるアイゼンハワーを注意するために前に出ると
「顔に出てますよ司令...」
そう言って背中合わせで入れ替わるように前に出ると
並んだ海自艦魂をゆっくりとした視線で見て敬礼をした
「今回の演習に参加するアメリカ合衆国海軍ミサイル巡洋艦カウペンスです,イージス駆逐艦『こんごう』の艦魂はどちらか?」
正面にたった茶色の髪
短く切りそろえた襟足に同じ水色の瞳を持つ顔
緊張した顔といつものキツイ目に改まった『こんごう』は一歩前に出た
「海上自衛隊,イージス艦『こんごう』であります」
風に揺れる長い髪の『こんごう』の前にカウペンスは進むと目を付き合わすように敬礼し
「気を引き締めて....頑張ってほしい」
それは不思議な物言いだった
合同の演習においても名目上でもお互いが同盟者であるにもかかわらず
一見すると上から物を言うような態度だった
が...カウペンスの目は何かを語ろうとしていながらも言葉を押さえているように唇を振るわしている様子で『こんごう』は意見はせず
「はい!」
真面目な顔で返事した
その姿に念を押すようにカウペンスは
「困難な時こそ...自分の持つ力を信じて」と敬礼をし直した
「言い過ぎじゃないですか?ダニエル大佐」
アイゼンハワーの飛行甲板から演習配備のために帰っていった海自の艦魂を見送ったカウペンスの背中にカーティスの声が掛かった
少なく断続的だった雨は止まない勢いに変わり空は灰色の度合いを強め
彼女の気持ちと同じようにどんよりとした
暗い気持ちをもたげている
「言いたくもなる....」
振り向くことなく
視線を落とし
どこか苛立った様子の彼女にカーティスもまた背中を向けた形で
「私達合衆国のための「実験」でもあるのよ...日本が実験台をかって出てくれるって言うんだから」
「だまってて...クーン」
手のひらに雨粒を浴びながらカウペンスは溜息を落とし
「私は...あの子達に比べればずっと戦ってきたわ,合衆国のためにだから痛い思いもたくさんあるけど....実戦以外でそんな思いをするのも,させるのもイヤなのよ」
カウペンスはイラク戦争においてトマホークを30発以上発射した事で名を馳せていたが..
自分の撃ったミサイルがゲームの画面にあるようなピンポイント爆撃だけですむと信じていた
だが終わった戦争の中身は嘘の報告であふれていた
何発かのミサイルは誤射,誤爆を起こして民間人を多数巻き込んだ画を見たとき
体の奥にある心を割る痛みが走り気を失った
頭を自分の甲板に打ち付け泣いた
こんな事のために生きてきた?.........
自分が合衆国に尽くす軍属である事はわかっていたが
わかっていても理解が出来なかった
それ以来,模擬的でも痛みを伴う事を嫌い
軍が有効である大手を振る作戦も実験も嫌悪していた
カーティスは震える両肩の姉であるカウペンスを見ながら,両手で空からの涙を受け取りながら
「過保護よそんな思い...彼女達も戦いの痛みを知るべきだわ」
平然とした態度で姉の沈んでゆく気持ちに歯止めをしようとしたが
「クーン!!」
その態度が,心の傷にさわったのか大きな声で会話を断ち切ろうとした
だがそれが今度はカーティスの心にさわり
「戦いたくないのはお互い様よ!!私だって戦うのはイヤ!戦わなくて良い方法探すために...そのための方法をさぐるために日本の艦魂も努力に加わるべきだと私は思う!!だから」
「クーン.....」
反論ではない涙の声にカーティスは自分も苛立つ心で吐き出してしまっていた意見を止めた
「どうして...私達こんな思いして生きてるんだろう」
振り向かずただ泣く姉の背中にカーティスは額をつけて
「わかんないよ...でも司令艦達は言うじゃない,生きている意味も死ぬ意味もあるって」
「うん」
「演習だし,「あの実験だから」少しは怪我はするかもしれないけど,その時は助けてあげよう...ねっダニエル姉さん」
「そうね...私達,魂はそんな事ぐらいしかしてあげられない」
「違うわ,そういう事がしてあげられるのが大事なんだよ...きっと」
アメリカのイージス艦姉妹は自分たちと共に併走を続ける海自の艦艇を見た
「平和を維持するためには,未だ痛みを伴うほどの武器が必要なのよ....許してね」
その頃アイゼンハワーのアイランドでは演習司令であるボビー.マレス少将がタバコの煙の中で苦い表情を浮かべていた
一通りの説明と,目の前に置かれた合衆国軍事研究部付けの手紙に目を通すと
「それで責任は海自でとれると言えるのかね?」
アイランドの頂点ではなく島の根っこあたりに位置するCATCC
青い光で包まれた部屋の中で少将の前に立つ痩せた男は流暢な英語で
「そのことも含め何も問題ありません」
凹凸の少ないハズの東洋人なのに
研究に没頭し過ぎた結果なのか落ちくぼんだ目元には暗い闇
なのに持論が素晴らしいものであるという主張を口よりも雄弁に表す目の輝き
「すでに我々は同盟国の艦長に嘘を付いてしまっている事になる....これは私の不名誉である,その上でこの実験をする意味はあるのかね?」
美しい揃った白髪をオールバックに纏めたマレス少将は半分しか味わう事のなかったタバコを灰皿に押し付けながら,睨む目で押すように問いただした
「少将に不名誉などありえません,この実験で少将は良い結果だけを合衆国に持って帰る事ができます....また実戦形式の現場で得られる実験ほど効果的なデモンストレーションはありません....赤い国もさぞおどろく事でありましょう」
納得のいかないという顔
青く光るモニターを見つめる厳めしい顔
海を生きる男の額には苦悩が描かれている
笑うようにスーツ姿の男は続けた
「あの国もイージス艦に匹敵する艦の建造を進めています...今はまだ追いつきませんが,追いつかれてから新しい艦を作るのでは意味がありません....新たな艦艇には今までの艦艇を無力にするだけの実力が必要です。ズムウェオルトの為にも必ず良い結果を出せると信じています」
「わかった」
ドスのきいた返事は席を立つと痩せた男の胸に指をつけた
「だがな海自からの責任追及が合ったとき貴様に従ってやったなどという情けない回答はしない,これは私の判断でやった事であり結果は貴様の首であり人生だ....わかったか?」
「了解です」
怒れる巨体のマレスとは対照的に骨のような男は満面の笑みを浮かべている
立ち上がったマレス少将は自分の前に並ぶオペレーターに怒鳴り声にも近い声で聞いた
「潜水艦はどうなっている!!」
「確認,商型原子力潜水艦.....1隻,我が艦方から後方に」
モニターを確認したマレスはいまいしそうに
「ミスター石上,後は貴様でやれ,通常演習の指揮は私のものだから邪魔はするなよ」そういうと激しい音と共にドアを蹴破る勢いで出て行ってしまった
大きな足音が残す響きが通路から消えた頃石上は自分のパソコンを立ち上げながらほくそ笑んだ
「最高の結果をだしてあげますよ....あんた達ヤンキーには理解出来ないでしょうけどね」
薄い唇はパソコンの画面を色取りの算式に舐める舌の色まで変えながらめまぐるしく動く
「よろしい!!オペレーションを開始しましょう....」
そういうとreturnキーを叩いて笑った
「『こんごう』を破壊します」と
カセイウラバナダイアル〜〜これから編〜〜
とにかく
危機管理の意識の低い国民
そして
それを良いように助長している政府に対して意見書をまとめたいとおもっています
出来る事を
出来る戦いで....
ところで予定どおり11日にひゅうがの一般公開に行ってきます
写真もいっぱいとろうとおもってますし
そのためにカメラを新調しようかと計画してます
もしかして欲しい方がいたらご連絡ください!!
イヤでなければ住所など送ってくだされば
プリントアウトして三笠様の写真共々送ってあげます!!
でわ
またウラバナダイアルでお会いしましょ〜〜〜