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第四十八話 神の使徒

さばの缶詰にあたった感じです...

もうダメだぁぁぁ

「結局いつもどおりで...ごめんなさい」


薄暗い裸電球が連なる細い廊下を出た先,簡素な円形シャンデリアが並ぶホールへ降りる階段の途中で『しまかぜ』は含み笑いをしながら粉川に謝った


「いいえ,それより『こんごう』ちゃん大丈夫ですかね?」


不用意な粉川の手がまさぐって締まった豊かな胸に対する迎撃の拳の行く末は


まさかのリフレクト,自分が放った渾身の一撃が『いかづち』のフライパンにより自分に戻るという大ダメージ

『こんごう』の右手はニブイ大音響の下真っ赤になり,本人は言いようのない痛みの中で真っ青になっていた

さすがに気の強さが悲鳴を上げることを拒んだか...

しかしそれ故に余計に滑稽にみえる悶絶の図


思い出すに粉川も顔が緩んでしまった


「『こんごう』ちゃん...自分の一撃の強烈さをやっと知ってくれたかな?」


声なくその場に崩れ,涙目のまま唇を噛んで真っ直ぐに結んだ『こんごう』は数分の悶絶の後,結局食事を食べることなくそのまま部屋に退場していた


そんなに我慢しなくても?と声をかけたくなるほどに....


哀愁に満ちる空間の中

誰もが声のかけようがなかったが

今までは躊躇無く他人に食らわせてきたであろう一撃の痛みを知るのはいい勉強だったかも知れないと


そんなニュアンスを含めた粉川の笑みに


「きっと良い勉強になりましたわ」


意図を汲むように柔らかい言葉と笑みを返す『しまかぜ』

ショートボブの髪を揺らしながら階段の足もとを月明かりがてらす


「しかし...彼処まで意地を張らなくてもいいと思いますけどね」


粉川は顔を笑いに緩ませながら正直な感想を告げた

そのぐらい『こんごう』の涙目にだんまりの姿は子供が意地を張りすぎて泣くにも泣けず,戻る場所を無くしてしまったようにも見えた


十分に夜の闇がおりた,冬を近づける透明度の高い闇の下

艦魂達の寄宿舎,見本となる江田島に習った作りの壁に細い指先を走らせながら

小さくく笑い頷きながら『しまかぜ』は


「意地っ張り...そうだったかもしれませんね,『こんごう』は」


降りる階段の途中足を止めて

何度もこの道を行き来した思い出と目の下に,図書室のドアを見ながら


「でも,意地を張らせてしまったのは私達なんですけどね」


物憂げな瞳を顔に浮かべ,自分の中に強烈な思い出として残ったあの日を思い出していた


自分ではない「自分」「金剛」を欲していたのでしょ!と泣き崩れた『こんごう』はそれでもこの国の護りの船として生きる道を歩むしかなかった

逃げ場の無い場所に生を得た事に従い

自分の感情を押さえ込むことで他者との関わりにラインを引いて歩く姿は,姉の『しまかぜ』の目から見ても無用の意地を張り通しているようにしか見えなかった


そうする事で自分が「金剛」であるという思い込みを完遂するかのように



「僕,『ちょうかい』ちゃんから聞いたんですが」


そんな『しまかぜ』の心にある思い出を察したのか粉川は『こんごう』誕生の時起こった事件の話しをした


「聞いたんですか...その話し」


深い溜息

根の深い問題に粉川という「人」が踏み込んで締まった事を理解しながらも,知られたくはなかったのか瞳はくもる


それにも注意を働かせる粉川はいつもの言葉を投げた


「僕は皆さんの力になりたいと思ってます...だから『ちょうかい』ちゃんも僕には教えてくれたんだと思うんです」


先を歩るこうとしていた足がまた止まり

窓際からの

月の青い光と,ホールを照らす乳白色の柔らかい光を半分に受けた『しまかぜ』俯き手すりに寄りかかった

仄かに酔って赤くなった頬に手を置き


「あの子達は本当はみんな傷ついてるのかもしれませんね」

「あの子達...『こんごう』ちゃんも...『ちょうかい』ちゃんも,ですか?」

一歩先に行った彼女と同じ位置に進んだ粉川は反対側の壁に添うように立った


「名前を引き継ぐ者...栄光の帝国海軍の魂を受け継ぐ者....」


『しまかぜ』の口から漏れる記譜のような言葉

本当はそれを三笠に問いただしたかったが答えを聴く前に語られた艦魂の驚愕の正体に聞きそびれていた


「魂の引き継ぎ?」


2人の間を静かな沈黙が流れる

聞くことが憚られる,彼女達現代を生きる艦魂達にとって心に刃物を指すような質問だったのかも知れない...

そう思いながらも粉川は前を見て進む事を選んでいた


断絶を追っているのが現在の艦魂の側にもいるのならば「絆」を導き出す答えを求める方法も増えるというもの

粉川は艦魂達の間にある古い伝承の言葉を静かに投げ,面前で沈黙している『しまかぜ』の持つ,答えをさぐり出すように聞いた


「魂の.....」

「わかりません...ただ私達は栄光を担う次の世代として,その名を頂く...だけど」


仄かな酔いの中にいても『しまかぜ』の気持ちに滑りはなく

聞かせて良い答えを吟味して話す

だが,表情には曇ったものが腫れる事がない...嘘の余裕などない程に根の深い問題である事をわからせてしまう程に


栄光の名前...それが起こした悲しい事件の記憶


イージス艦の姉妹達に付けられた名前はわかりやすい「帝国海軍」の名前が多い

もちろん

『しらね』の姉妹である姉達なども『はるな』『ひえい』と帝国海軍が誇った戦艦の名前を持っているし

『しまかぜ』だって帝国のもった艦の名を頂いてはいたが...




「金剛」ほどの期待を寄せられた艦はなかった



その期待が対岸の大国に「軍国主義」の復活と大きく取り上げられるほどに

それ程の非難を受けることが艦魂達にとっての期待の大きさにも比例していた


往年の「戦艦」に匹敵する現代の護りの要として産まれる艦『こんごう』に特別な期待を全ての艦魂が持っていた


途切れてしまった糸を懸命に辿るように


何度もその想いが達せられなかった事を知りながらも

募る思いを蓄積してしまっていた

結果

叶えられたいという願いの重さが....真っ白な心で産まれた『こんごう』を傷つけた




廻る脳裏の思い出に区切りを付けた返事

顔を見せないように背中を向けた姿は言う


「私達は...探しているんです,かつてこの国を護った姉達の意志が私達につながっているという証拠を」


辛い思い出だった事に,答えを探しているという『しまかぜ』


「私達ってホントに帝国海軍の末裔なのかな?なんて思うときもあるんですよ...だから..かな...」


探している者

三笠との間に作られた「断絶」を現代の艦魂達も探しているという事を再度確認した粉川はとりあえずその事にはふれず

自分たちも同じく,仮初めの平和の中で弓を引き続ける立場を...国民の理解の得られない国防で彼女達に辛い想いをさせているという事を告げた


「僕たちも同じですよ...かつてこの国を護った者達にならい,この国を護ろうと思っています...なのに国防が護るべき国民に理解してもらえないのは辛いし,それで皆さんの力になれないのが現状ですけど」


悲しそうに目を伏せてしまった『しまかぜ』態度が『こんごう』が自分を押さえつけた生き方,乏しい感情表現しか出来なくなった原因の一つである自分達の絆を見つけられない事に不安を感じている事が良くわかった


同時に,そんな心を抱えままでも国防に徒事する彼女たちに労いの言葉も与えられない自分たちにも責任がある事を思い出していた


「情けない事ですけどね,私達って...この国の生きて,お役に立てているのかなって?....」


止まっていた足を粉川より一歩前に進めた『しまかぜ』は見せない顔のままで

それ故に細い背中が語る寂しさが伝わる


粉川は顔の見えない背中に答えた

「当然です,皆さんがいる事で「力」の均衡を保っているのですから」


言い訳のような返事をしながら粉川の頭には,三笠の言葉が頭をよぎっていた



「断絶の原因はオマエ達「人」にあるのでは?」


確固たる態度で「国防」を示せない現状に日本に

小さな島国でありながらも独立した国家としての権威を護る事に誇りを持って生きてきた三笠


「妾達と今の艦魂では生きている意味が違いすぎる」



ただのDDであっても何故か国を護る事に対して反対を受ける

不可思議国家日本


そんな国にあってDDGというミサイル誘導を可能とした迎撃の盾を持つ艦艇

イージス艦の姉妹達

国を護る最先端のシステムを搭載するのにかかった費用は600億といわれ

ソビエト崩壊以降無用で過剰な装備である高級艦艇は色々な方面から叩かれていた

「人」を,

この国を護るという国家にとって一番の仕事をこなす備えを持って産まれたのに...祝福も労いも頂けない魂の気持ちはどんなものか


感情を殺し

自分を押さえつけてる事で自分であろうとする『こんごう』姿はそのまま自衛隊の姿でもあった

そのうえで


期待された名前


期待された絆を得られず...艦魂達の希望に添うことの出来なかった彼女



「なんか..色々スイマセン」


振り返り階段の手すり側という不安定な場所に立つ『しまかぜ』の姿

壁にもたれかかった粉川は自分がおかにへばりついたつまらない「人」であり

現状,心までもを不安定な場所に追いやられている海自艦魂達の事を思って頭を下げてしまった


「粉川さん!!いつもあやまってばかりですよ!!」


粉川の隊員のお手本のように起立から静かに下げられた頭に『しまかぜ』は慌てて手を取った


「粉川さんは...良くしてくれてますよ!!私達粉川さんに会えて良かったと思うもの」


『しまかぜ』は畏まってしまった粉川に明るい笑顔を取り戻すと

50年...「人」と出会うことのなかった日本の艦魂達にとっても奇蹟の出会いを本心から喜んでいる事を告げた


「50年ぶりか....」

「私...粉川さんが私達と会ってくれる事で私達が少しずつ変わってきた事に,私気がついてるんですよ。『こんごう』も少しずつだけど変わってきているて感じられるんですよ」


優しき艦魂達

どれほどに自分たちが立場を悪くしている国民がいたとしても...国に尽くし今まで「人」に会えなかった時間をどれほど葛藤してきたのか?

『しらね』のように問題に立ち向かってくれた司令がいて

みんなの良き姉である『しまかぜ』がいてくれる事に粉川は


「いいえ僕の方こそ,ホントに感謝してます」と顰めた眉の下で笑って見せた


そう言うと近づく玄関の前でカバンの中から写真を出した


「一群の皆さんと撮ったんです!!『くらま』司令に渡してあげてください」


しんみりたお別れは粉川の苦手とする所だった

そういう意味では良い手土産である写真

封筒を開いて

並び笑顔で写る一群艦魂達の姿を見せた


「たくさん撮ったんですよ!!集合写真!!今度二群でも撮りましょう!!」


急だが場を和ます術はよく知っている粉川のノリと,手渡された写真に『しまかぜ』は吹き出した


「こんなの見せたら『くらま』が怒っちゃいますよ!!」

あれこれとポーズをとって写真に写る公称「クリエイティブ集団」の一群の写真はファッションションショーの裏側を覗いたような騒がしさを十分に伝えていた


「あら...『しらね』まで...」


今まで曇っていた顔に一気に明るさを取り戻す


「びっくりしてませんでした?写真に写ることに」

『しまかぜ』はかなりの数ある写真の束を手早く覗きながら聞いた


「びっくりしてましたよ...それにスゴイ話しきいちゃいました」


自分たちは写真に写らない

そういって妹『くらま』を思い出に残そうとした『しらね』の話しを粉川はした

その話しに『しまかぜ』は目を丸くして


「『くらま』が...三つ編みのおさげをしてた...初耳です」


粉川以上に長い付き合いのある相手が産まれたばかりの頃...そんな「女らしい」姿をしていた事は『しまかぜ』も初めて知った用で思わず大笑いしてしまいそうな口を必死に抑えて


「今度聞いてみます」


静かすぎる講堂に響いてしまいそうな笑い声を堪えながら


「そう言えば粉川さん...三笠には行かなかったんですか?」

急な話題の転換に粉川は思わず顔が固まってしまった

「なっ...なんでですか?」


笑いを堪えた口のまま『しまかぜ』は不思議そうに首を傾げた


「いえね,私達が見える「人」にとって横須賀に行ったのならば戦艦三笠に興味はなかったのかな?と思って」

「と...言いますと?」


重厚な扉の前に立った2人、やっとで笑うお腹を止める事が出来た『しまかぜ』は真面目な顔をして


「私、あそこに行ったことがあるんです」


わざとらしかったのかも知れないがそれでも三笠との約束で存在を告げる事が出来ない粉川は背伸びしながらも驚きの目を泳がせていた


三笠からは

何人かの現代艦魂が来たことはある程度の話しは聞いていたが目の前の『しまかぜ』がその1人であるという事実は初めて知った


「いるんですか?三笠...さん?」


取り繕うようにだが平静を装う笑顔の前

『しまかぜ』は真面目な目で


「私もそうですけど『しらね』も行ったことがあるんですよ...私達が日章旗がある基地以外で足をおろせる場所は同じ魂を持つ船の上だけです...そういう意味ではあそこに艦魂は生きているのだと考えられます」


「つまり...入る事が出来たという事ですか?」


無闇に話しを断ち切れば怪しまれると考えた粉川は『しまかぜ』がどこまで三笠との接触を持っているのかを聞き出そうと考えた




「感じました...彼処に三笠様がいらっしゃることを」




輝いていた目を伏せてきつく胸の前に手を当てる姿

「会えたんですか?」


「いらっしゃるんです....そこに、なんて言うか直ぐ近くに...なのに姿も声も...どうしてでしょうか?」

弾むように会話していた声が深く沈む


「どうして...会ってくださらないんだろうって...」

自分たちに会おうとしない三笠....それが意味するものは


「私達が...海自の艦魂は不甲斐ない魂だから...誇り高き帝国海軍軍艦の魂である三笠様は...姿を見せて下さらない?そういう事なのかなって...」



「今度,僕行ってみますよ!!」


『しまかぜ』の胸を押さえる姿

意味するもの

断絶によって帝国海軍の血統と認められていないのではという不安がわかる


でも

ホントは違う

三笠だって会いたいと思っているという事を,今は伝えられないけど...確かにそこにいて日々海自の艦艇の行く末を心配しているという事を


少しでも気持ちを和らげてあげたいという思いは

無理にでも明るく『しまかぜ』の肩を叩いて


「楽しみが増えました!!今度横須賀に行ったら,見てきます!!」


心苦しいのはお互い

粉川は言い訳だったが明るくある事に努めた


ドアの外まで送った『しまかぜ』が姿を消した時

江田島をまねた寄宿舎は姿を消しいつもの煉瓦倉庫に変わった

月は高く

闇の高い部分までに冷たい空気が入っている事を示す澄んだ黒を遠くの宇宙まで繋げている



「三笠...みんな会いたがってるよ...」



ドアの向こうに消えていった『しまかぜ』の背中は酔っていたせいもあるのか本当に寂しそうだった

粉川は何度か拳を握り替えして

自分がやろうとしていることの意味,間違うことなく大事な事であると確信して


「絶対に君たちをつなぐ絆を見つけてやる」と自分の胸に向かって誓った






「クリスマスカード...ありがとうございますぅ」


払暁,朝日が海の上を1つの矢のように走る時間は空気までをクリアに変えた静止画像のような世界だが

明日より始まる演習海域に向けての今日より出港する佐世保艦艇達は忙しく.....あるハズの時間...


旗艦『くらま』のヘリデッキには演習参加組として揃った『こんごう』『いかづち』『はるさめ』

基地待機と見送りに並んだ『しまかぜ』を前に後ろに『むらさめ』と『なみ』姉妹達に『ゆき』姉妹


そして...アメリカ第七艦隊,軍服の女


絵に描いたような外国人描写ができる青い瞳とパッキンさん,アメリカンだが身丈は『しまかぜ』と同じぐらいで,なのにバディはスゴイ!出るところバッチリのミニーグラマラスな彼女は『くらま』の前で胸を寄せ揚げのポーズでクネクネと腰を揺らしてカードのお礼を言うという

出港間際に何かおかしな光景が広がっていた


「良いクリスマスを過ごすために今年最後の演習に励みたいと思います。エセックス司令」

「まあ.リーバと呼んで下さってかまいませんのに」

「そうはいきません...司令し職の方を愛称で呼ぶなど」


落ち着いた返事の『くらま』とは対照的なエセックス,どこかのぼせ上がった雰囲気でココに他の艦魂がいる事などお構いなしなのか


「じゃあ二人きりの時には呼んで下さい...リーバと!」


エセックス艦魂リーバは上目遣いに『くらま』を見ながら遠慮のないアタックをかましつつ,背中には威圧感を醸し出していた

時より海を見るように振り返る目は明らかに『しまかぜ』を睨んでいて....

『しまかぜ』の後ろに並んだ海自艦魂達は,何とも言えない気持ちになっていた



そんなやり取りを『くらま』の後ろに立った演習出港側の艦魂である『はるさめ』が嬉しそうに揺れて


「すごぉぉ〜〜い」


『いかづち』の隣に並んだ『はるさめ』はトロントした口調に付随する寝ぼけた目で熱い司令職達のやり取りに


「『いかづち』も,あのぐらいやらないとぉ〜〜〜」

両手をハワイアーンとフリしながら顎をさする


「だまってぇな!!!」


出港のための敬礼の待ち,起立の姿勢のまま見物人にさせられている自分たちの前

遠慮のないエセックスのセックスアピールに恥ずかしいという思いを募らせていた『いかづち』は少し声を尖らせて近づく姉の顔を押し返した


本気の恋愛も時と場所ってものがあるハズだが...見ていて恥ずかしくなるほどの恋愛ビームを発するエセックスのクネクネに習うように『はるさめ』はフラフラと妹を嗾ける『いかづち』の耳元にもう一度顔を寄せると


「粉川さんにアタックぅぅ〜〜はるちゃん手伝うよぉ〜〜」


自分の事を「はるちゃん」という姉に呆れつつも隣の『こんごう』に聞かれなかったかと警戒する


『いかづち』は粉川の事が好きになってしまった事を前にラウンジで...つい口に出してしまった事を今更ながら後悔しつつも

メガネを触って目だけを動かす

既に『こんごう』に乗艦し艦橋に姿が見える粉川をチラリと見た


「ダメよぉぉ〜〜『こんごう』ちゃんになんて遠慮しちゃぁぁ〜〜」


妹の目線の先をぼんやりした顔が追いながら

笑っている目が笑えない目の光りのままイタズラに光る


「何が?」


さすがに耳が良い

というか整列の端と端はそんなに遠くもない

自分の名前が間近でささやかれた事に『こんごう』は2人の方に向いた


「なんでもあらへんで!!」


ずり落ちそうになったメガネを抑えつつ

慌てて両手を問題無しと振る一人慌てる『いかづち』の後ろから『はるさめ』は顔を出して


「『こんごう』ちゃんに演習でも「実戦」でも負けないぐらいがんばろ〜〜って,何事も遠慮しないでねぇ〜〜〜」

どこまで本気かワカラナイ『はるさめ』は緩く笑った


そんな3人にエセックスに捕まってなかなか離れられない『くらま』の代わり『しまかぜ』が前に出て注意をした


「3人とも,慣れた訓練だとは思うけど冷静に勤めるのよ」


そう言うと『こんごう』の手を取った

「痛い?そんなイタイ思い粉川さんにさせちゃダメよ」

昨日のリフレクトで赤くなった手の甲の腫れは引いている

艦魂の....魂事態が持つ自然治癒は艦体である自分に物理的な怪我が無ければ素晴らしい再生力で治る...でも

痛かった記憶が消えるわけじゃない


『しまかぜ』は『こんごう』の手をさすりながら

「『ちょうかい』にも言われたでしょ....仲良くするのよ」

まるで子供を教える母のように

そんな注意に『こんごう』は恥ずかしそうに顔を背け自艦の艦橋に目を走らせた


粉川は艦魂達が並んでいる姿を見ていたのか大きく手を振っている


「別に...普段通りやる...べつに『ちょうかい』との約束だからなんて...関係ない」

送別会の時...『しまかぜ』に言われた言葉が『こんごう』の心の中に引っかかっていた


「粉川さんに会いたくないの?」


『ちょうかい』の事件の時に溜まっていたモヤモヤが未だ『こんごう』には理解出来ていなかったが,あれ以来どうしてもまともに粉川を見られない自分には気がついていた

手を振る粉川を無視して


「普通にやるよ...大丈夫」


その会話を『いかづち』は聞かないふりをしていたが

メガネの奥の目は...眉間に少しの険があるのは見えていた

そんな妹の肩を軽く叩く『はるさめ』は


「強敵〜〜〜でも大丈夫ぅ〜〜『いかづち』にはあたしがついてるからぁ〜〜」

イタズラに笑わない目は口だけを笑わせて舌をペロリと舐めて見せた




いよいよ出港となった甲板の上

基地待機組との敬礼も終わった中で相変わらずエセックスは頑張っていたが

一応第七艦隊に置ける佐世保の司令職という建前上少し距離をとったところに立って


「無事のお帰りをお待ちしてますわ!」

と敬礼をしてアメリカ基地に戻ろうとしたが,つま先をピンと揚げたところで思い出したように『くらま』の袖を引いて足を止めた


「あの今回の」


袖を引いたエセックスの口に人差し指で沈黙と合図『くらま』は仄かな笑みで

「演習の中身については何も言わない...約束ですよ」


演習は艦の心である者達にとって修練の場...

不測の事態に備えるための大事な時間と捉えている『くらま』は「人」が実戦する演習行程は確認していても艦魂からの情報は決して耳に入れないようにしていた


「ちがいますぅ...ただ、気を付けて下さい神の使徒の名を持つ者が貴女を試すかも知れませんから」


それだけ言うとトドメの人睨みで『しまかぜ』を見て『くらま』の指にキスをすると光の輪の中に消えていった


『くらま』は風に飛ばされぬように帽子を押さえると....

冬をよりいっそう近づけた風が海の上を走る中

全ての艦魂達は目標水域までの時間を静かに過ごしていた


明日からは対潜訓練が始まる


カセイウラバナダイアル〜〜スケールキット〜〜


ヒボシが資料として集めている艦艇のスケールは一律700/1なんですが...


今欲しいのは定遠,鎮遠ですwww

厳島たんと並ばせてみたいのですよぉぉぉ

調べたら...日本のメーカーでは販売してなくて

怪しい中国のメーカーが一つあったのですが....


これがホントに怪しい

全然写真の定遠ににてないんですよwww

何次の資料つかったらこんな船にぃぃぃって感じ

しかも戦艦なのに赤いんですw

これいかにですよ!!

遣唐使とか遣隋使とか...元寇の時の朱塗り船じゃあるまいし...何故って感じです


もう一つ見つけたのがポーランドかなんかのメーカーで

なんでポーランドかって言うと

フルカンの造船所ってドイツがポーランドを占領していたとこにあったからだそうなんですが

なんかプラモじゃないんです

スケールはなんとなくなあってるらしいのですが...

真っ白な固まりでつくってある「レンジ」というモデルらしく...さすがにそれはヒボシに作るのは無理という感じなのですが

某サイトではこれをきれいに作っている人とかいて....

売ってくれって感じですwww



そんな色々な希望があるヒボシですが一番欲しいのは

250/1ぐらいになった厳島たんです!!!

プリンセスぅぅぅラビュぅぅぅって感じ

大木なのにして飾りたいの....誰かつくってください


てか

市販では絶対に出なそうで...ふぅです



それではまたウラバナダイアルでお会いしまょ〜〜〜


うぅぅさば缶詰...ロシアの罠かぁぁぁ

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