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第四十五話 原初の心

ひさしぶりに本伝です。。。

いゃあ

何本も小説かかえてやっていける人の精神構造を覗きたい。。。

ヒボシは結構限界だよぉぉぉん

まだ朝日が低く水面に反射する光は目の痛い


「おはようございます。三笠元帥」


秋が中程に入ったヒンヤリとした空気の中,長身の艦魂は三笠に優しい顔を向けた

プラチナブロンドの中に深みのあるグリーンを輝かせた髪

日本の秋空にも似たスカイブルーの瞳は優強い眼差しを向ける


「ホーク大将,妾を「元帥」と呼ぶのはやめよ」


口元を卑屈に歪ませた顔を三笠は朝日の側に立つ彼女に見せたが


「では,私の事をキティと呼んで下さいませ」

緩やかな声は,やんわりと否定

長い付き合いの相手のように三笠も肩をすくめ


「そう呼んでも「元帥」をはずさないではないか」


達者な口運びで言い返した三笠に微笑みの女は自分の胸に光るき章を見ながらも


「外すなどと,無理な注文ですわ,提督に怒られてしまいます「アメリカ人は礼儀も知らない人種になったのか」と」


嬉しそうに否定

そのまま手に持ったタンブラーを差し出した

「コーヒーは如何ですか,いい豆が入ったので」

アルミ製のタンブラーには「アメリカ軍」の国有財産通しナンバーが入っている。銀のラベルは目にいたい朝日をニブイ光に変えている


「頂こう。。。調度いい」


三笠は酒で鈍った舌を洗うようにコーヒーを口に注いだ

その間,彼女は粉川の去った後を静かに見つめていた


「キティ。。。今日はどうしした?」


目線を意識しながら三笠は聞いた


「何故,本当の事をおっしゃらないのですか?」

慎重さを湛えた水色の瞳は自分に向かない三笠を見つめて

「ご子息はきっと元帥の願いを叶える力となりましょう」


「妾は嘘はつかない」


感情を抑えた声


青眼の姿は緊張を纏っていた

海からの生暖かい風と。。。秋の冷たく透き通った空気の中

声には威厳が戻っている


キティホークは隣にいる三笠に目線を戻し,真面目な顔で隠すことなく聞いた


「ならば何故,我らは女神。。」

「あれは。。。小僧がそう解釈したのだから。。。妾は何も言っていない」


素早く口の前に手を出し沈黙を迫った三笠は厳しくした目で


「妾は決して嘘はつかぬ。。。」


硬い態度をとる三笠にキティホークは眉をしかめた


「では真実を正直に教えるべきです。ご子息は立派な「人」です必ずや「断絶」を繋げるパイプ役となってくれましょう」


「それは出来ん」


キティを睨む瞳

だが瞳の中にあるのは怒りではなく,深い悲しみ

三笠は自分の砲塔に腰掛けると肩をすぼめた


「小僧には。。。小僧の人生がある,コレは我ら日の本の艦魂が背負った「戦い」なのだ」

小さな背中が揺れて見える

風に攫われそうな小さな魂の姿にキティは


「元帥,私達は元帥の薫陶を頂いたおかげで生きる意味,死ぬ意味を知りました。。。今の日本の艦魂達に早くそれを伝えたいのです。。差し出がましいと思っています,それでも貴女様の力になりたいのです」


背中を向けたまま三笠は首を振った

揺れる姿には色々な思いがつまっていた

自分の砲身,夜の間につけた朝露のかざりの中に指を滑らす

「薫陶」。。。。つぶやく声は一度確かめるように言うと


「オマエ達にそれを伝えたのは「長門」だ。。。妾の高妹こうまい。。。」


キティホークから隠した顔は悲しみに言葉を震えさていた

今は昔。。。自分を慕った妹「長門」。。。。彼女が自分を生きながらえさせ,そしてアメリカの悲しき艦魂達を連れてきた


「長門様がサラ様と,ワイツ氏に伝えてくださったおかげで,アメリカの艦魂は死ぬ意味を知り,恐れを克服しました」


キティホークがこの話しをするのは初めての事ではなかった

何度も「この事」で三笠を説得しようと思って通っていた


日本に実戦配備が決まった時に真っ先に旗艦提督(flag Admiral),事「コンスティチューション」に報告した

「魂に安らぎがあるよう元帥によろしく」

提督の言葉を胸に抱きこの海を渡ってきた


自分の艦齢を考えれば最後の実戦配備

最後の寄港地となる横須賀にキティホークは喜びと共にやってきた

自分の前に横須賀に身を寄せたバグジーや,親友のエリーが話していた元帥三笠に会う事は夢だった


そして


深い難問の前にいる事を知ったときどうしても力になりたかった

僚艦の空母達は三笠の意見を尊重し誰も日本の艦艇に「内訳」の事を話しはしなかった


特に「エリー大将(Fleet Admiral)」は,その事を全アメリカ空母打撃群艦艇に命令として通達していた

命令が成されている以上,この事を他所でしゃべる者はいない


それ故に

「艦魂」の真実を知る艦魂は主に「空母打撃群」の空母および「司令職」の者しかおらず

他の艦艇は「噂」程度にしか知らない

現在のアメリカ艦隊における大将格の者にのみ限られているという事だ


何故そうなっているのかは軍事的な意味合いもあった


それ程に世界は複雑に分裂し緊張をまとったままの図式になっているのだから


それでもアメリカの艦魂達は「言わない」という礼儀をきつく守っていた

日本が。。。日本の艦魂が自分たちの「原初の心」を取り戻し三笠元帥の姿を見る事が出来るように成らない限り,自分たちがそれを広める事もしない


戦後,初めて三笠とあったアメリカ艦魂達が決めたルール

提督もそれを良しとし「礼儀を守ろう」と誓約を立ていた


「私ゃね。。。元帥の事が好きだから意見を尊重したいんだよ。。。日本の妖精(艦魂)達の事はそれ以外で面倒みれるとこをみてやればいい」


葉巻を銜えvanilla巻く中で笑ったエリーの顔を思い出しながらキティホークは言葉を待った


そこまで色々な指令が成さされていても

いち早く力になりたいという思いで日本に来た自分に。。。元帥三笠の一言が欲しかった


登りだした陽の下で立ち上がった三笠は悲しみに歪んだ眉のまま顔を向けた


「キティホーク大将,心遣いはありがたく思うが,これぞ妾の戦いなのだ。。。。もう何も言うな」


いつもの言葉が緩やかに最後の釘を刺す

と同時に笑って聞いた


「エリーはどうしている?元気か?」


大戦の後,三笠の元には空母打撃群の艦魂達が多く訪れた

日本の艦魂を見ることの出来なくなった三笠の前に

色々な者達が来た

中でも三笠は忘れる事の出来ない存在がいた,エリー大将


「相変わらずですが,元気そうですよ」

キレイに話題を切り替えられたが曇る事なくキティは返事した


「日本の食事が忘れられないらしくて,向こうの物は食べないそうです」


困った顔に三笠も困った笑いで答えた

「では酒と葉巻の日々が続いているという訳だな」

呆れたように


「元々食べ物には淡泊な人でしたからね。。。。こないだも通信で元帥と飲みたいと言ってました」

「よく飲んだ。。。アイツは。。。本当に良い魂となって受け継がれた」

「もう一度,日本来る事は叶わないと思いますが。。。」


何度か帰港のたびに日本に物議を醸していた原子力空母の彼女は半永久的なエネルギーを持ってしまった事の引き替えか食事に対してはかなり淡泊だったが

三笠と飲み,食べる「なめろう」を,こよなく愛していた

残念な事に日本を寄港地とする事が出来なかった彼女だったが事あるたびに三笠の事を気遣いキティやブルーリッジとは特に密に連絡を取っていた


「残念だな。。。もう一度飲みたかった」

「伝えておきます。。きっと喜びます」


そこまで言うとキティホークは絵はがきのような封筒を出した

「クリスマスの誘いです」

三笠は毎年の事と困った顔をしながらも笑った


「ブルーリッジ司令も昨日の朝持ってきたが。。。12月はな。。。。」

「まあ,サイファったら。。。負けましたわ」


アメリカの艦魂達は毎年クリスマスカードを届けにくる

西洋社会における親愛なる「家族」ともいえる者に必ずおくる特別なカード

もちろん三笠は元がイギリス生まれなので「親愛」を示される事を悪くは思っていないのだが


数多の大戦を日本の魂として戦った彼女にとって「西洋」の親愛に大きな意味は無くなっていた

日本における12月は,めでたい事など1つもない


特に大日本帝国の時代。。。。12月8日は大東亜戦争の最大の山となった「太平洋戦」が始まった日

アメリカとの激突が目に見える形になった日であり

負けた後には「A級戦犯」と現実的な効力無き裁判の犠牲となった者達の処刑日もあり。。。

もの悲しい冬にふさわしいかのように冷たく悲惨な時が綴られていた


三笠は12月と8月は「喪に服す月」と決めていた


キティホークはもちろんブルーリッジもその事は知っていたが

クリスマスカードは「親愛なる者」に送るもの。。。いらないと言われて止めてしまうような無礼は働かなかった


「元帥。。。いつか来てくださると願っております」


キティホークは願いを込めた笑みを三笠に向けた

三笠は何も言わずただカードを受け取った






粉川は写真を手渡すために祭りの2日目に出かけていた

昨日の曇り空とはうって変わった青天の海

満足げに歩を進め,護衛艦達の元に向かった粉川は

またも腫らした顔を『しらね』に指摘され目を泳がせていた


「いやぁ。。プロレス好きの友達がいてね」

「そんな友達ばっかなんですの?」


初日にココに来た時は「『こんごう』とケンカした」と笑った腫れた顔の主は

さらに付け加わった新たな被弾顔のひどさは知っていたが頭を掻きながら笑いを零してばを繕った


鼻筋の真ん中を赤くした傷は三笠が投げた日本書紀の跡だったが,口が裂けても三笠の事は言えない


約束なのだ


三笠自身が見る事の出来ない日本の艦魂達

それは今を生きる日本の艦魂にも共通していた

護衛艦となった日本の魂達は三笠を見る事が出来なかったのだ


粉川は一度自分の口から言おうかと意見した事があったが三笠の答えはNOだった


「見えないのに「居る」という事はわかっているヤツはいる,だからこそ混乱を招きたくない,沈黙を守れ」と


見えないのに居る事がわかる

それは戦艦三笠に飛んできた艦魂がいたという事を示していた

艦魂は艦魂のいる場所,生きている船には足を降ろす事が出来るらしい


よほどの拒否ならび軍隊においては僚艦の認識が出来ない者には降りられないが

三笠は誰の訪問も拒否していないので来ることが出来る。。。。

だが見えないのは事実らしい


思い出の中,聞いた話で三笠は何人かの「日本の艦魂」が自分のところに来たことを挙げていたが


曰く,相手の声は聞こえるらしいのだが

相手には三笠の姿はもとより声さえ聞こえないという状態なのだそうで


この状態のまま混乱を引き起こしたくないという三笠の願いを聞き入れ粉川は秘密としていた

そのあたりは約束をしっかり守る粉川

何があっても言わないで「プロレス好きの友達」の正体は笑いでごまかしてみた




「はぁ。。。困りましたわね。。今日は特別なお客様が来て,粉川さんにも是非お会いしたいという事でしたのに」


『しらね』は指を顎にあてて眉をしかめた

客に紹介するにはあんまりな顔になっているのを粉川も鏡で確認しながら


「いやあ,写真届けたかっただけですから。。。気になさらず,もう帰りますし」


『しらね』の後ろでは自分たちの集合写真を各々楽しげに眺める護衛艦の魂達,当初の予定は達成できたと粉川は苦笑いして見せると手早くカバンを持ち上げた

元々長くココにいる予定はなかった

夜には本庁に戻ってフェスティバルの写真を整理して広報に持って行くという仕事ものこっていた


「『しらね』さんに迷惑かけられませんから今日はこれで」

手早く彼女達のグループルームを出ようとした粉川の背中に



「こんにちわ」


柔らかい声が流暢な英語で足を止めた

今まで女子高生のように騒いでいた護衛艦達は固まり姿勢を正し,敬礼した


「ホーク大将」


『しらね』の気まずい顔

今までだらけきってしまった自分たちのところに突然アメリカ第七艦隊の顔役ともいえる大将が訪れてしまったのだからそうもなる

みんな写真を背中に隠す形で立っていたが


「今日はお休み。。。楽にして」

祭りである事

休暇である事に理解を示した優しさが

見回して護衛艦達に微笑むが。。。。相手は大将である誰も姿勢を崩せない


振り返った粉川も遅まきながら敬礼をした

「粉川一等海尉であります」


威厳ある黒の制服

襟章と,き章

腕をまわる大将を示す黄色のライン,日米で多少の差があったとしても自分より上位階級であり

それもアメリカ空母打撃群のメイン艦魂であるキティホークであるならば失礼なマネは出来ない


「不躾な顔でありますが。。。申し訳ありません」


顔の怪我など相手にあやまる必要はなかったのだが

『しらね』の弁からすると「会いたい」と言ってくれてた人に対するには失礼と考えた粉川の物言いにキティホークは笑った


「プロレスが好きなら。。。仕方ない事ですね」


フランクな態度に大人の微笑みはテーブルに置かれた艦魂達の集合写真に目をとめながら

「さあ,お茶にしませんか?『しらね』司令」と銀色に輝く髪を揺らした






護衛艦しらねにあるグループルームのテラス

通常「人」の目には見ることの出来ないプロムにガラスに彫刻の入った羽目板の小さなテーブル

イギリス式の鳥籠型ドルチェセット


秋の日差しは少しばかり肌に痛いのか,ラウンジパラソルがかけられた場所に

粉川と『しらね』,キティホークというかなり異例な顔合わせの面子が小さなイスに各々腰掛けていた


第七艦隊,空母打撃群の長である彼女の姿は成人女性的で『しまかぜ』にも似た雰囲気がある


そんな彼女の横顔に

『しらね』は少し困った顔になりながら

「言って下さればお迎えに行きましたのに」と頭を下げた


キティホークから自分達を見られる「人」と会いたいと申し出が会ったのは早朝の6時ごろだった

第七艦隊の総司令であるブルーリッジが衛星での定期通信事項でワシントンとの回線を開き,一仕事を終えた時間に

ミサイル巡洋艦カウペンスの艦魂ダニエル大佐が,同じように執務に就いていた『しらね』を尋ねてその旨を伝えに来ていたが

あまりに急な用向きだったので驚き。。。。勘ぐってもいた


どこで自分たちを見られる「人」がいるという情報が漏れたのか。。。。


『しらね』は冷や水をかけられた気分だった


アメリカ軍が持つ情報網に最早,日本が追いつく事は不可能ではと悲しい気持ちなった矢先

問題の「人」である粉川の顔面負傷の拡大を見つけ,これを理由に粉川と会わせる事を断ろうと考えていたのだ

「気になさらないで『しらね』司令。。。。」


そんな相手の心を見透かしながらも

決して顔には出さない不敵な大将ホーク


「もっと早くに言えばプロレスも避けられたかも知れませんわね」


引きつる笑みの『しらね』の顔に面目を潰したか?という失念で粉川は居心地が悪かったが

目の前,初めて見た海外の艦魂にも興味はあった


「本当に普通に私達を「見る」のね」


自分の顔を覗き込んでいた粉川に気がついたキティホークはショートボブの前髪を払って「人」を指差した

「驚いたりはしないのね」

挑戦的な光を宿す目の奥にある意味

粉川はキティホークのおかしな質問に少し引っかかったが


「慣れちゃったって感じでしょうかね」

笑って返した


「そんな粉川一尉にお聞きしたのですけど。。。。「妖精(アメリカの艦魂は自分達の事をTinkuと言うが日本では艦魂,船魂と固有名詞があるというだけの事)」はいったい何者だと思います?」


キティホークは薄いブルーを張ったネイルの指でティーカップのへりを触りながら聞いた

視線を合わせる事こそなかったが

昨日の今日で「同じ質問」をされるとは思っていなかった粉川は。。。

自分が最初に引っかかったものが,自分を「試している」という危機と察した

あくまで正面を向いた顔のまま


「わかりません。。。「妖精」は,なんでしょうか?」


曖昧な返事と同時に逆に

相手が「艦魂」について何か知っているのならば引き出したいという気持ちになった


「合衆国海軍では認識されているのですか?妖精は」

「認識とは?」


あくまで優しい物腰の声

「軍人が存在を確認しているか?という事ですが。。。聞いてよろしかったですか?」


琥珀色のティーに少しのミルクを流した螺旋の中

ともすれば軍事機密を聞き出すに近い質問を粉川は笑顔でした


「いませんよ。。。。船乗り達の伝説ですから,mermaidか?tinkerbellか?」


自分に返された挑戦的な質問に戸惑いを見せる事のない返答

スカイブルーの瞳の奥に深い輝きは,軽く息を落とすと


「私達は。。。。探しています」

意味深な笑みとともに少し大人の女の目は粉川の目の中の純然な挑戦に語りかけた


「日本では妖精の「起源を知る者」がいると聞いていたのですが?貴方ですか?貴方は知っていますか?」

「そうなんですか?」


口調の変わったキティの質問に返事をしたのは『しらね』だった


相手の目をしっかりと理解した上で揺れを見せてしまった粉川の前

起源という深い川を探る会話に思わず口を挟んでしまった


粉川は驚いた

司令という立場にありながらも

いままでにないような目の色を見せる彼女に


同時に思い出した


自分達という存在を知りたいと思っているのは艦魂自身であるという三笠の言葉を

昨日の話からすれば「艦魂」が原初のあり方を求めるのは「異常」な事態が発生している時にありがちな事だ言っていた


「粉川さん。。。。ご存じなんですか?」


『しらね』の目は真剣にそれを求めている

気がついた

今,その「異常な事態」が海上自衛隊の艦魂達に少なくともあるという事実に

キティホークの質問で気がつかされたが。。。

それを話して良いという事ではない


目の前に迫った『しらね』の顔に粉川は肩をすくめて見せた


「いやぁ,僕は何も知りません」


声の中に少しのブレ

自分も残念であるという顔とは別に,この質問をオブラートに包むことなく

それでいて重大な事項ではないかのようにやんわりとしたキティホークが実は危険な存在ではないかとも気がついた


心の中を騒がせ

頭の回転を速めて

アメリカの艦魂も「原初」というものをさがしているのではと考えながらも口には出さず

飛び出してしまった『しらね』の肩を軽く押した


「どおしたんですか?落ち着いてくださいよ『しらね』さん」


粉川に肩を押された『しらね』はキティホークの側に向くと恥ずかしそうに顔を赤くして

「すいません。。。つい。。」と深くお辞儀した

と同時にホーク大将が自分を見る視線に苛立ちを持っていた事に気がついた


それでも決して面にそれを出さない

感情は空気に漂う匂い程度の震え。。。。鍛えられた琴線は素人には見えず,軍人ならばこそ感覚的に香る


キティは気にもしなかったように会話を続けた


「粉川一尉。。。貴方は妖精を見ることが出来るのに,その正体を知らないままでいるなんて。。。おかしくないですか?」

明らかに挑戦的に「何か」を探している質問だったが

粉川は別の思いを返した


「何者かなんて「今」知りたいと思ってません,今は仲良くしていられる事の方が大事だと思ってますから」


鋭利に尖り始めていたキティホークの質問に柔らかい本音を


「特別だなんて,考えずにやっていきたいんです。僕は」


あまり

軍人としては感心出来ない返答

不確定要素を潰して行く事も軍人には必要な能力のハズなのに


粉川は無理に知りたくないという「自分」の本音をそのまま返した

三笠と話しをして色々名事を知ってはいたが

それが今まで知り合った艦魂達との間で「重いもの」になってしまう事はなかったのだ

かの女達が「女神の末裔」であったとしても

普通に話しが出来て,悩み事も持っている可愛い存在である事にも変わりがなかったから


目の前,返された返事に少しばかり驚いた表情をしたキティホークに告げた


「共に国を護る職務につく,大事な友人達だと思ってます。。。ちょっと期待はずれな答えかも知れませんが」


「いいえ,素敵な答えでしたわ」


それまで『しらね』が「質問」する事を躊躇わせるほど尖った感覚を浮かび上がらせていたキティホークは一転したように声を少しだけだして笑った


「日本には素敵な「人」がいて,うらやましい!」


『しらね』の方を向くと

「悩み事も色々と相談できるでしょ」と手を軽く叩いて聞いた

キティの柔らかな中にあった闇の気配が消えて『しらね』も気持ちを解いた様子で


「でも毎回来るたびに,顔に怪我してるんですのよ」

「それは仕方がないでしょうけど」

意味深な笑みも嫌味ではない顔


艦魂の2人に顔を覗き込まれた粉川は頭に手を当てながら

「すいません。。。。もうちょっと顔には気を遣ってみます」と笑った


「私が日本にいる間はお付き合いをさせて頂きたいわ」

ティーカップを自分の前から除けたキティは少し乗り出して,粉川に顔を近づけた

「僕のほうこそ。。。どうぞよろしくお願いします。。。」


仄かな色香

つい『しまかぜ』の時みたいに鼻の下をくすぐる香りに顔が緩む

十分に成熟した実りを持つ胸のライン

ネイルも整えられた指先が顔に触れる


「貴方は良い男。。。。」


粉川の頬にキティホークは軽くキスをした

『しらね』は固まった

というか

突然尋ねてきた第七艦隊顔役の艦魂の動向をテラスの影から見守っていた海自の艦魂達も。。。

壁の後ろで固まってしまった


「日本で(軍人として)大成しなかったら是非,我が合衆国海軍にいらっしゃってくださいませ!」


満面の笑みの優しい唇は再び顔を近づけると小さな声で

「心からお待ちしておりますわ」と告げた

カセイウラバナダイアル〜〜過去,現在編〜〜



おひさしぶりですぅぅヒボシです

といっても外伝やっていたり

あっちいったりこっちいったり絵書いたりで色々や理過ぎでパンクしそうな状態ですが(藁)



三笠様のキャラが外伝と違う。。。というメッセありまして


なんていうか

当然違いますよ

本伝の三笠様は人にしたら実年齢100歳ちょいの方ですから(しかし永遠の17歳である事をわよすれてはいけません(藁))

積み重ねた経験値が外伝の産まれたバッカの15歳(実際は1歳)本伝みたいに大人じゃないんですよ

外伝の三笠様は「責任」の重さというものをまだ知らない

だから松島がおかしいとか責める事もできるし

人の聞かれたくない過去も聞く

プリンセスの持つ「義務」というのも理解できてない


まったくの三笠様の初めて物語であり

最終的に「失敗」する話しなんです



そして

ヒボシが決して書くことのない太平洋の戦いを経て,現在の知識と教養と経験によって人の心を理解し

自分の行きすぎた薫陶を後悔しながらも先に死んだ「妹」達を思って生きているという姿になります



人には歴史があります

同じように三笠様もたくさんの失敗をして今日を生きる姿になります

だから

外伝の三笠様は若くて

マジに迷いがら生きる姿しかないのでキャラは違ってきます



そういう

成長の過程の一つとして見て頂きたいと思ってます〜〜〜



それではまたウラバナダイヤルでお会いしましょ〜〜

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