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第四十二話 名誉の刀

<要注意事項>

この小説における「艦魂」という存在は筆者である火星明楽が諸説とは別に創作したものです

ですので

原初正しい艦魂設定を愛する方には不快な部分が多々ありますのでご注意下さい

誤って読んでしまったとしても一切の責任はとれません

今章「艦魂編」で艦魂そのもの「正体」探る部分が出てきますが

以降書かれる「艦魂」の設定は 

私,火星明楽の個人史家としての研究の元に書かれております

故に,この設定は私個人の物であるため,他所で使うことを厳重に禁止します

(私の著作,権利とします)

理由としましては

個人レベルで調べられた「民俗学」を基本とした仮説で話しを構築しているため,本来あるべき民俗学や考古学の発展の妨げとなってはいけない事,不必要な誤訳,誤解を世に広めてはいけないと,考えているからであります

また,これから艦魂小説を書こうとされる方に無用な混乱をさせないための処置と理解してたください

けして占有を目的としての禁止事項でない事をご理解ください


これはあくまでこの「艦魂物語」内での設定としての存在でありますから,事実とは一切の関わりはなく,実在の民俗学にも考古学にも一切関わりはありません

あくまでこの小説内における仮説に基づいた設定である事をご理解ください


また

設定の作成に関わった「民俗学」等々の資料に関するご質問にはお答えできません

それらを元に誤解,誤訳を増やすことを望んではいないからです

色々と堅苦しい注意書きとなりましたが

純然に物語として楽しんで頂ける事を心から願います


艦魂物語,魂の軌跡〜こんごう〜

筆者

火星明楽


新章は災害派遣編と平行時間ですから〜〜〜〜

粉川くんふたたび〜〜〜〜忘れられてる?

長浦の港をぐるりと回って横須賀の町に灯り始めた街灯の星を眺めながら,粉川は小柳から借りた深緑のBMを走らせていた

道に少しの渋滞と車の揺れるテールランプ


海を向けば

その多くは米軍のために眠らず機能する輝きが見える


かつては帝国海軍の代表的な港だったこの地は,未だ大半の基地を「占領」という屈辱を受けている

だがしかし

この「占領」から日本が本当に解放を願うのならば,かつての帝国海軍のように港をフルに使うだけの艦艇を揃える必要がある

空母を含め自国でシーレーンの全てを護るだけのものを作らなくてはならない

先人達が腹を切る覚悟で作り上げたものを,一から作り上げなくてはならない


それだけ今の日本を防衛する「海自」の艦艇の数は脆弱なのだ


アメリカの力を失ってしまえばすぐにも隣の国は攻め込んでくる可能性がある


この事実を日本国民は正しく理解しいない


「征服」されるのがお望みであるなら

無知な基地反対もありだろう


今はまだアメリカにとって極東の最大の基地としての利用価値と最大の「金産み国家」として機能しているが故に守られているだけなのだから


アメリカの眠らぬ光が基地の中を動く

日本政府と国民以上に周辺諸国に目を尖らせている艦隊は黒山の影を見せている

ココにはアメリカ第七艦隊空母打撃軍「キティホーク」を始めとする艦艇が連なるように寄港している

本来ならば日本が,自分たちでやらねばならぬ「防衛」をアメリカしている事を意味いるものは。。。



あの日から。。。。。今現在まで。。。。



鋼の要塞を思わす艦艇群の姿を

見ながら粉川はウインドーを少し下ろし風を車内に取り込みした

国道16号から向こう「横須賀本港」をぐるりと囲む米軍基地が見える

横須賀地方総監部の正面は米軍の基地しか見渡せない

祭りはココで開催されていたが粉川は一度16号で東京方面に戻り,隊司令部に挨拶をして戻ってきたところだった

例の祭りの写真をデータで本庁に送ってきたのだ



開けたウインドー越し夜の色に染まった空に白い月の影

昼間から曇っていた空はそのまま夕暮れも隠し続けた

夜もまた深い青色にはならず,薄墨の中に浮かぶ月を見せるだけ。。。潮風は緩く流れていた




新港のパーキングに車を入れた粉川は背中には四本入りの一升瓶ケース

両手にはビールにおつまみという,宴会の買い出し部隊のような姿で海に向かって歩いていた


「もう全部飲んじゃったかな?」


2週間前

特務でイージス艦に乗り込む事になった時に彼女の所に行った

大酒飲みの彼女のために,今もっているのと同じぐらいの量の酒を運んだが運んだその日のうちに半分は飲んでいた事を考えるに。。。


「なくなってるだろうな」


荷物を一度下ろし

ネクタイをはずした

中途半端に弛めた姿で会いに行ったら鉄拳制裁を受ける事になる

だったら最初から無い方がましだからだ





街灯の光の下

小寒くなった公園の真ん中に「東郷平八郎」の銅像

21時を回ったこの時間ココを通る人はほとんどいない

ココは海に近すぎて。。。そして「人」から遠い

潮風を直接浴びることのできる場所にその艦は静かに止まっている

艦隊の周りをがっちりと固めて締まったため直接海に触れられるところにはいないが。。。遠景で見るのなら横須賀の海に浮かぶようにも見える


「現存唯一の日本の戦艦」


猛き砲塔を持つ軍艦

今の時代に戦艦はいない

かつて日本の海に現れた巨大なる敵であるバルティック艦隊と戦った名誉の刀


粉川は艦を背に公園の周りを一通り見回しした

公園は小学校の近くにある。。。でもこの時間はさすがに子供もいないし

近づく寒さから丘に向かって服波風の手伝いもあってか人影もない


周りを確認した顔が目の前の艦に戻ると


「三笠!!いるかい!!」


粉川は艦首の方に向かいながら大声ではなく普通に,尋ねるように聞いた

居るのは当たり前なのだが,突然踏み入るのは「レディーに対して失礼」と踵落としを食らったことがあるからキチンと一声


おそらく気がついている。。。粉川は顔をほころばせる

彼女は耳が良い

というか「何か」が自分に近づく事に非常に敏感で。。。。「常に臨戦態勢の女」だ

返らない返事はそのままに,艦首に向かって移動したところに



妖精は立っていた



「人」の目に映ることのない輝きは甲板の上,髪を白く輝かせている

彼女はゆっくりとした動作で伏せていた目を開け自分を下から仰ぎ見ている粉川の顔を見ると


「特務は首になったのか?」と落ち着きのある声で嫌味を飛ばした

「特務は続いてるよ!臨時で一度返ってきただけだよ!!」


変わらぬ顔の彼女に粉川は苦笑いをすると手に持った酒をあげて見せた

「お土産もあるよ!!」

「それはけっこうだ」


満足気な笑みは,手を上げ泡沫の光を現したが,粉川は首を振って断った

「光は止めて。。。酷い目にあうから。。。自分でそこまで行くよ」

そう言うと記念艦三笠へ上がる階段に向かって走った




柔らかいソフトフォーカスの月の影の下

甲板に土産を広げた粉川に,三笠と呼ばれた彼女は品定めするように並んだ酒を見ていた

粉川に比べると身の丈はずっと小さい

むしろ『こんごう』よりも小さい160センチ台の身長,肩も細く体の全てのつくりが繊細に見えるが。。。話す言葉に態度は『こんごう』以上に強そうだ


それでも総合した容姿はとても美しい

細いながらも女らしいふくよかさを持つ体に長い手足

深い紫を奥に秘めた髪

同じ色を持つ長い睫毛。。。。そして透き通った湖水のような水色の瞳


「おおっ,梅ヶうめがえではないか」


ケースから取り出した日本酒に喜びの声

乾き物のつまみを紙皿に出しながら粉川も嬉しそうに応えた


「佐世保の酒が欲しいだろうと思ってさ」

「気が利く歳になったな」

手の光の中にどぶろくの器を取り出した三笠は遠慮無く酒を注ぐと,まだビールも手にしていない粉川の前でグイと飲み干した


「たまらぬ!!」


染みいる酒に親父のような台詞

慣れた日常に粉川は苦笑いしながら

「僕だってもう31だよ,三笠が長くいた港ぐらいは知ってるよ」


自分を良いおじさんになったと言う粉川の前,三笠は片目で笑った


「海に落っこちて泣いてた小僧がよく言う」

「あれは。。。」


咄嗟の

痛い思い出に粉川は複雑な表情を浮かべた




それは

初めて三笠と会ったときの事。。。固められて動かない戦艦三笠の向こう側で溺れていた日のことを思い出した


あの日

母親は横断歩道を渡っていた途中であっけなく世を去ってしまった

学校から帰った目の前

肌を土気色に変えた母の姿に最初は冗談の好きな母の悪ふざけかと思っていたが。。。。

冷たい頬に絶望が心を支配した


父親不在の母親の死。。。

たくさんの自衛官が官舎を出入りする景色の中,母の死を受け入れられなかった小学4年生の粉川は


父のいる海に行こうと走った

外洋演習に出払っていた父に母の死を告げる術はなかった

どの自衛官の袖を引いても苦い表情で,父との連絡は取れないという返事を貰い続けた彼は不安の沸き立つ心のままに。。。。走った

走って

走って。。。。。三笠の前で海に転落した


海の向こうに。。。。何度も手を伸ばせど。。。。父に届く事はない

わかっていても

押し寄せる波を切って前に進もうとした


切ない限りの挑戦。。。。



悲しみに打たれた心が

波に奪われる力が。。。子供の手で何が出来る分けでもないという無情に粉川は泣いた



「お母さん!!お母さん!!」


沈んで行く夕日に「嘘」だと言ってと。。何度も高く手を伸ばし母を呼んだ

だが

子供の願いは虚しく波の間に彼の命も奪われようとしていた時


三笠は粉川を見つけた


夕闇時,自分の真下で幼い声が聞こえて甲板に顔を出した三笠の下

今にも沈もうとする粉川は何度も潮を飲みながらも叫んでいた

「お母さん」と



三笠は波に押され自分の近くにまで戻される子供の姿を確認すると周りを見回してみた

公園の中にチラホラと大人の姿は見える

誰かが早く気がついて手を差し伸べてやらなければ自分の下で人死にという縁起でもない事が進行している事に苛立った

夜も近づく時間に子供を防止柵の向こう側で遊ばせるなど非常識も極まりないともう一度周りを見回した


「親はどこだ?」


その時

悲痛なる声は真っ直ぐに三笠の耳に届けられた

それは

伸ばされた手が自分に向いているという事の証だった


「お母さん。。。。お母さん。。。」


目を見る

三笠は何度も周りを見回した

粉川の手は,目は明らかに自分を見ている


わらわが見えるのか?」


自問自答

ココに自分がくくりつけられて以来少なくとも30年近くは「人」と会ったことはない

なのに

目の前の小さな手は一生懸命に「三笠」の救いの手を待っている


海に沈もうとする小僧の目に今一度


「見えるのか?」と聞く

その答えは



「お母さん!!置いていかないで!!!」



心は素直に海の潮に晒された彼を救った

救われた腕の中

粉川は泣き続けていていた「お母さん」と連呼し力無く眠るまでの間を三笠は強く抱きしめ続けた

以来,母の変わりを無理矢理粉川に押し付けられた形で続け

今では飲みの友とまでなっていた





「はな垂れ小僧が良くも大きくなったものだ」


ケースの中の日本酒に満足な笑みを見せながら,気まずく頭を掻く粉川をからかうと

なみなみに注いだ酒に口を付けた


「名水の味だ」

17歳ぐらいという若輩な容姿とは異なる精神が酒を語る


「吟醸でもよかったんだけど。。予想外の買い物があってね,でも数があった方が良いでしょ」


躊躇なく次の一杯を注ぎながら三笠は笑った

「酒はいくつあってもかまわん,上等で少ない酒などケチな男のしみったれた嗜みだ」

顔に似合わない豪放な台詞と共に次の一杯を流し込んだ

そんな彼女の顔を見ながら缶ビールを封切った粉川は乾杯の手を近づけながら


「佐世保の酒はうまい?」

「もちろんだ」

二人はお互いの存在を確認するように乾杯をした


「懐かしい味わいだ。。。。まあ,あの頃はこんな上等な酒は飲めなかったがな」

「そうなの?でもこれは江戸時代からある酒でしょ」


がっちり三笠の側に確保された「梅ヶ枝」のラベルを見ながらスルメに手を伸ばした粉川はビールを口につけながら聞いた


「いつの時代であっても殿様の相伴にあずかるようなものは,庶民には飲めないものだ」


酒好きの三笠

社会人になって大盤振る舞いでビールを山ほど持って彼女を訪ねた

いつも酒より多めの酒は2時間ともたず

結局朝までの間に財布をからにするほど飲んだ事を思い出す

防大の時も,出世したときもアルだけのお金をはたいて三笠と酒を飲んできた


最近は一緒に飲み明かす事が1年に1度ぐらいになっていたから

久しぶりの三笠の飲酒姿に


「でもホドホドにしなよ酒。。。今は沈むことはないだろうけど」


早いピッチで杯を重ねる三笠にニヤケた顔の粉川は釘を指した


「たわけ!!アレは妾のせいではないわ!!」


粉川と三笠は,この事については何度も話しをしているが。。。。

「三笠爆沈」

日本海海戦後,三笠は佐世保で沈没した事がありその時の話しを聞くに


「いきなり下っ腹に「ドチン」と衝撃が走って,気がついたら一年も潮に浸かっていた」


この「気がついたら」というのが,くせ者で

三笠の経歴には絶対に「酔っぱらってただろ」ってものが多くついて回る

ウラジオストークで座礁してみたり

関東大震災の時に岸壁に激突してみたり

これらの事件と大なり小なりの事件で必ず「妾のせいではない」と言い切るが,必ず会話の中に「気がついたら」というのが入るのも事実


おそらく帝国海軍一の酔っぱらいだった三笠は,今もそのあたりだけば現役続行中だ


粉川のにやけた顔にさらにピッチを上げた三笠は

「フン!酒も飲めぬヤツは出世もせんわ!!」と杯を煽った


その勢いを止めるために粉川は今日ここに来た本題に入った



「会えたよ。。。。艦魂達に」と



電気の供給が止まってしまったかのように,注ぐ手の止まった三笠は目を見開いて聞き返した

「会えたか。。。。。本当にか?」

一口のビールを頂きながら粉川は強く頷くと


「三笠の言ったとおりだったね。。。いずれ僕には多くの「艦魂」が見られるようになるって。。。。見られたよ,そして会えたよ」


三笠は注いだ酒を下におろすと立ち上がった

夜に光を届けていた薄墨の月に目を向けると


「そうか。。。。そうか。。。」


確かめるようにつぶやいた

「写真もたくさん撮ってきたよ!見て!!」

粉川は手持ちのカバンから今日までに獲った艦魂達の写真を整理したファイルのものから,未整理の束までを出して見せた

振り返った三笠の顔は曇っていた

喜んで貰えると思った粉川の顔も一瞬にして硬くなった


「見えん。。。。。」


広げられた写真

粉川の目には映っている『こんごう』達との集合写真をつまみ上げた彼女はじっくりと隅々までを探すように目を動かしたが同じ言葉を返した


「見えんな。。。。」

「写真も。。。見えないんだ」


甲板に広げた写真の束には,たくさんの艦魂達が写っている「人」にはただの乱雑な風景写真にしか見えないだろう,そこに写る彼女達の姿を。。。。

同じ艦魂である三笠も見ることが出来ない



「。。。これが「断絶」。。。。。って事かなのかな?」

「そうだな」

落胆の溜息と共に三笠は甲板に置いた杯をとると注いだ酒を煽った

横目で

何度も広げられた数多の写真を見るが

彼女の目には誰の姿も映らなかった

言葉を無くした粉川

自分以上に気落ちしている姿に


「まぁ最初から巧く事が運ぶとも思ってはおらなんだから,気にするな。。。それよりどんな艦魂に会った?」


横座りのまま早い飲酒を続ける三笠は,ほんのりと赤くなった頬で努めて明るい声で聞いた

広げた写真をかたしながら粉川は自分の顔に残ったダメージをさすりながら

相手の作ってくれた明るい雰囲気に乗りながら


「『こんごう』『しまかぜ』『むらさめ』。。」


2週間の間で出会った艦魂達の名前を黒の手帳でチェックした順に挙げていった

たかだか14日程度でかなりの艦魂達に出会っていたことに自身も少し驚いた様子で


「いっぺんに見られるようになったから僕がびっくりだよ!」

三笠は思い出すように指折りしていたが,気になった名前に目を輝かせた


「『こんごう』てのは。。どんなヤツだ?」


一本目の酒瓶をカラにすると新しい梅ヶ枝を開封し目の前に座る粉川を指差した


「ちょっと凶暴な子かな。。。」


自分に当てられた鉄拳の痛みを思い出しながら粉川は顎を掻いた

思い出すと,やはりすくむ

イージス艦は伊達じゃないという威力を十分に味わった末の結論は,見立ては可愛い『こんごう』を思えばちょっとばかり酷い感想にも聞こえた


だが三笠は顔に笑みを浮かべるという珍しい反応を示した


「凶暴か。。。だろうな」


左頬に残る打撃跡を指した指は満足そうに揺れる


「だろうって。。。。なんで?」


写真も見られない三笠にそんな風に言われる筋合いはないハズの粉川は突っかかったが

彼女の脳裏は思い浮かぶ姿がしっかりとあるった


「その『こんごう』ってヤツは金髪,碧眼じゃないのか?」

と聞き返した


「目は青いけど。。。髪は栗色の赤毛っぽいかな?。。。見えたの?」


片手で締まった写真

三笠は横に首を振った


「見えないがわかる気がする,前の金剛もかなり凶暴な女だったからな」

「前の。。。。金剛。。。。」

不意に黙り込む粉川の前で彼女は赤くなった顔のまま続けた


「凶暴というか規則にうるさく「帝国海軍軍人」である事を徹頭徹尾守るために自分を律し他に厳しい女だった」


思い出を愉快に語る三笠と反し黙ってしまった粉川は手帳を開くと聞いた




「「魂の引き継ぎ」って。。。。知ってる?」




手帳の中程に赤丸と共に書かれた重要な事項

『こんごう』の誕生に際して大きな傷を作った出来事の中核をなす「逸話」


「戦艦金剛の魂を引き継ぐ者『こんごう』」


願いなのか

思いなのか

そして現代を生きる艦魂達の中に今も残るこの言葉の意味を粉川は,目の前

帝国海軍の栄枯盛衰の全てを見てきた艦魂三笠に尋ねた


「なんだそれは?」


簡単に酔っぱらうことのない彼女だが

赤く染まった頬のまま聞き慣れない言葉を聞いたという反応


「いや!だから,同じ名前,同じ業務につく船の魂は引き継がれるっていう話しを聞いたんだ」

「聞かない話だな」

三笠の反応はあっけないもので

早くも開けた2本目の酒瓶を転がすと挑戦的に輝く目で質問しかえした


「他にどんな問題があった?」


黒の手帳を指差して

粉川は困った顔でもう一度聞いた

「いや。。。これが一番大事な質問だと思うし。。」


三笠は静かに首を振った

落ち着いた表情はゆっくりと返事をする


「突然降って湧いたような主語のない質問などに答えられるか?色々な疑問,問題を総じてそこに至るものを見極める。。。。敵は目の前だけにいるわけじゃないぞ,そう教えなかったか?」


物事のありかた

粉川の幼少を教育した三笠は,戦いの中で学んだ「物事のあり方」を教えていた

それは一歩間違えれば多くの命を無くすという危険な世界にあって

一方通行で物事を見てはイケナイという大切な教えだった

酔っぱらっていない水色の瞳が「小僧」の精神的成長を期待するように光る


「ある限りの問題を提示せよ。。。。って事だよね」


粉川も思い出したように閉じた手帳を開きなおした


「じゃ提示するよ。。。あまり多くはないけど」

「2週間で小僧,オマエの気がついたことも上げろよ」


甲板を照らす小さな照明の下,粉川は今までの中で見つかった「艦魂」の持つ問題と

自分の気がついた事を上げていく事にした

だが明確に問題とされているのは1つしかない


「魂の引き継ぎ」これは現代の護衛艦達にとって広く浅く広まっている問題


「では小僧が疑問に思ったことと。。。。艦魂が持っている疑問は?」

まだ三笠以外の艦魂に出会って日が浅い中から上げられるもの


「艦魂はどうやって産まれるのか?艦魂はなんで「女」ばかりなのか?。。後,艦魂はなんで「姉妹」ばっかなのか?」

光る眼差しの前手帳を閉じた粉川は繰り返した

「この中でもやっぱり「魂の引き継ぎ」ってのが本論だと」

「それはいい,とりあえず後の3つの質問から行こう」


何かを避けるように手で話しを割る


「質問だが,艦魂は姉妹しかいない事を不思議と思っていたのはだれだ?小僧か?」

「うん。。。僕の見た限りでそう思ったよ。みんなそうでしょ」


「目の付け所はいいな」

一升瓶を持ったまま立ち上がった三笠は微かに見える月に髪を白く輝かせながら

「何故だと思う?小僧の見解は?」と振り返り聞いた


粉川は『たちかぜ』と出会ったことで艦齢というものを如実に感じていた

長くても30年しか生きない彼女達はそのせいか年齢差があまりない

産まれたときにはすでに最低でも10代前半の姿であるし,成長の速度も人の5分の1ぐらいしかないのなら

年齢差という「人」の仕組みは適応されない


「艦魂が姉妹ばかり。。という事は全体を見るに個体差はあるけど双子とか三つ子みたいな関係なのかなと」

「そうだな。。。なかなかいいぞ」


上甲板,主砲の前でヒラリと身を返した三笠は「次」と指示した


「艦魂が実際に女ばっかなのかは僕にはわからないよ」

「艦魂は女しかいない」

2つめの審問に三笠は素早く答えたが粉川には不足な返答だった


「なんで女しかいないの?」

「「人」に愛されるためだ」


分厚かった雲をわって現れた月に照らし出される三笠の髪はみるみる白銀の色に変わる

神秘の姿を纏った彼女の言葉に粉川は真面目な顔で聞き返した


「三笠。。。。大切な事なんでしょう,三笠と今を生きる艦魂達の「絆」が何故途絶えて。。「断絶」してしまったのかを探し出しだしたいんでしょ。。。。茶化さないで」


頼まれたこと「今を生きる「艦魂」を見てきて欲しい」いずれ見られるようになると言いつつ母親の変わりをし続けた三笠の願いを忘れてはいなかった


何故か同じ日本を生きる艦魂でありながら「今」の日本を守る艦魂達を見ることの出来ない三笠

大日本帝国滅亡と共に取り残された日本最古の「戦船いくさぶねの魂」長い孤独を救うことが恩返しだと信じていた

きつく結んだ拳と本気の顔は,目の前で瞳を曇らせている三笠に念を押したし


「僕はそのために全力で協力するよ」


「。。。。わかっている。。。。。」


真剣なまなざしの粉川に。。。三笠は眼を伏せた

長く,この子供を手元に置いた

雨の日も晴れの日も学校が終われば自分の元に通った「人」に,三笠は躊躇いながら口を開いた


「長い話しになるぞ」

部屋に向かう足取りに粉川は広げた酒とつまみを包み従った


「大丈夫そのつもりで来てるから」

高く輝く星は雲の谷間に光りを届ける

月の下


「では艦魂が「何者か?」からいこう」


三笠は何かに踏ん切りを付けたように自室に粉川を導いた


カセイウラバナダイアル〜〜〜何色だ編〜〜〜




とりあえず新章「艦魂編」スタート!!!

三笠様の絵はみてみんに掲載中ですからよろしかったらみてやってください!!!


さて

プラモに没頭しているヒボシです

あれは。。。一度買ってしまうと燃えますね!!!

特に書いてるキャラのプラモを中心に集めているのですが(つまり海自オンリー)

ヤスリがないのでネイルケアの磨き棒をつかったりして楽しんでます(藁)


ところで

比較尺の艦艇も欲しいと思って大和以外(藁)の艦をさがしていたのですが

(何故大和以外かというと。。。あの対空気銃を全部組み立てられる自信がないからです(爆死))


特に狙っているのは空母なのですが

(ペタンとしてて簡単そうだから)

ちょっと気になる事がありまして。。。。。

ウォータラインのシリーズで空母は結構数はでているのですが。。。赤城とか加賀の船体カラーが緑色。。。。

灰色じゃない?


なんかどっかの量産型のような色になっているのですが。。。

帝国海軍初期の艦艇は緑色のペイントだったのでしようか?

激しく疑問です

個人的にはどちらの色でもいいのですが。。。

気になったので写真を探してみたりしたのですが。。。基本モノクロの写真しかないのでphotoshopなどを使って退色処理などをしてみたりしたのですが。。。(暇人(?))

どうも

薄い灰色か薄い「何色」にしかなりません

光合成の復元をしないとわからない感じです


逆に戦艦の方は間違いなくnavyでそれも初期の頃。。

新章で出た三笠様などは「黒い灰色」なのですが姉上の「敷島」様は白いんです。。。。どういう事なのか?

あまり色にタイする規則はなかったのでしょうか?

ちなみに「朝日」様Britishnavyで三笠様より明るいカラーです

「初瀬」様は。。。。これまた不思議なのですが艦体自体は「三笠」様に準ずるカラーなのですが,艦橋構造物だけが白なんです?!!何故!!!


知人いわく

何度も色を塗り替えているから写真だけでは判断出来ないという事らしいのですが。。。摩訶不思議です(藁)




そんなヒボシ初の帝国海軍艦艇として三景艦の厳島様を買いました(爆)

友達はコアすぎてわからんと笑ってました

大砲1つに命とプライドかけちやった間違った戦艦「厳島様」。。。。かわいいと思うのになぁ



それではまたウラバナダイヤルでお会いしましょう

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