第三十七話 夜の子供
みてみんに絵をupしてみたりな日々〜〜
一度会えれば『きりしま』達にすぐに気がつく。。。。
という都合の良いことはないようで,鈴村はさっきまで幽霊(艦魂)達と話し込んでいた「疾風」の周りを右左と顔を動かし捜しながら,控えめなトーンで呼んだ
「オイ!幽霊!!いるか?」
車の下を覗き込む
「そんなところにいませんよ。。。どうしました?」
まるで猫でも探しているかのような鈴村の背中に,借りたままになっていたボールペンを軽く刺すように繋げる
自分たちを未だ幽霊と呼ぶ鈴村の大きな背中に向かって呆れた声で聞く
「こっちです」
背中に刺さったペン先で後ろに存在を確認した鈴村は後ろ手にペンを掴まえたまま振り返った
「これがないと話しができねー。。。ってか」
「みたいですね」
どうやらこのボールペンがないと鈴村には『きりしま』達の姿は見えないらしい
いや
正確に言えば「少女」の姿で話が出来る形として見えるようにするに,ボールペンが何らかの繋ぎになったようで
何もないとただの白い子供の影のように見えるだけで話しはできない
「めんどくさいな」
鈴村は端と端を持ったままのペンを見ながら
坊主とまではいかない短めの頭を掻いた
とりあえずこの「繋ぎ」がある事で目の前にいる3人とは会話が出来る
というか
ココにきて初めて『きりしま』以外の艦魂を見て少しばかり驚いてた
「そういや。。。。いたよな,他の白いの」
食堂で見た時にいた影は3人だったのだから。。。居るわけだと
『おおすみ』とその背中に隠れている『はまな』を見た
霊感が強いといっても
日に何人も明確に見える幽霊に,鈴村は自分がとこか別の世界にトリップした気分になったのか言おうとしていた言葉が止まってしまった
そんな鈴村の様子に動じることなく並んだ『きりしま』は笑顔で2人を紹介し始めた
「こっちの背の高い方が『おおすみ』この艦の魂だよ。で後ろにいるのが補給艦の魂『はまな』。。。。ボク達は「艦魂」っていう艦の魂なんですよ」
目の前で自分たちを紹介し始めた『きりしま』に『おおすみ』は先ほどから感じていた違和感の正体を探していた
『おおすみ』は輸送艦の魂という生い立ちから
自分の中に乗っている物に常に興味を持っていた,その事が艦魂の持つ「予知」に近いものである事には気がついてはいなかったが
微妙な変化がある物があれば「それが」自分にとって良いことなのか?悪いことなのか?を知るために「虫の知らせ」をよく使い「警報」としてきたくちである
だからいちいち「何か」に踏ん切りを付けるように自分を奮わせる『きりしま』の様子に違和感を感じ取っていた
つい先ほどまで司令の『ひえい』に頑張ったハズの人命救助を「無駄なこと」と罵倒された時。。。
あきらかに『きりしま』の顔は曇って。。。負けそうになっていた
本来なら,そこで会話は終わったハズだったのに
言い逆らうことなく黙ってしまうようなところで落ちた自分の顔を起こして意見した。。。。
今までなかった姿に
それを振り切るように鈴村と会話する姿に「不可思議」と眉をしかめていた
「人」の前で
50年ぶりの「人」という存在
佐世保でも横須賀でも。。。どの基地に勤務する艦魂たちもが,初めての出来事に困惑し色々と問題を起こしたり(問題を起こしているは大抵『こんごう』である)あらぬ情報ばかりがとびかったりしている中で
空気の存在だった「人」と初めて出会う
「噂」されていた「人」とは違う。。。。つまり2人目の存在を前に『きりしま』には,まったく動揺が無いのも何かに無理をしているようにも映った
もちろん
自分の背中にぴったりくっついた
『はまな』程に驚かれるのはさすがに「めんどくさい」が『きりしま』は自分が驚いたら「変」だと思いこんでいるかのような様子にも見えたのだ
パンツスーツ姿という海自艦魂の中では珍しい姿で現れたときにも驚いた
それまでずっとスカートだった彼女
「人」に見られるわけでもないのに「任務にふさわしいから」と男物の制服に変わったのもそれを強調していたが
とにかく『おおすみ』は『きりしま』の細かい変化をしっかりと確認していた
「ほら2人とも」
その『きりしま』が手を差し伸べて鈴村に挨拶する事を促す
『おおすみ』は右手に絡みつく『はまな』をぶら下げたまま前に出ると鈴村に挨拶した
「初めまして,『おおすみ』です」
鈴村は目の前に出てきた海自の制服姿の。。。。女子高生ぐらいの女の子に笑えない顔のまま
「どうも」と言うと言うだけで顔に嫌気が登っていた
実際女子高生という人種が彼は非常に苦手だった事もあるが。。。
『きりしま』ぐらいハキハキしているタイプは実はそれほど苦手でもないが
『おおすみ』はともかく『はまな』のような「いかにも女の子」という存在はココにいるのが不自然を通り越し不快に成りかねないと感じていた
任務直下の自分たちの前に「女」は不必要な存在すぎて。。。。
もちろん
この災害派遣において隊員にまったく女がいないわけでもない
事実
輸送艦おおすみには少ないながらwave(海自女性自衛隊員)が乗っているし
陸自からも救護,看護のために部隊の一員としてwac(陸自女性自衛隊員)も乗ってはいるが。。。。
海外勤務という事も手伝ってか割と年上が多いし
化粧っ気もない女(自衛隊では女性は化粧はしないそうです,規則で)は童顔の新隊員みたいなんだが
変な色気がなくてその方が鈴村達的にも落ち着く
なのに。。。目の前にそれなりに形の整った美少女達がいる
幽霊ではあるが。。。。。これはどう扱っていいのか微妙な存在
落ち着かない目線の鈴村に『きりしま』は自分たちの存在を説明していった
「艦魂」と言う者らしいが,鈴村にしてみたら相変わらず「幽霊」で
共にいるには苦痛を覚える年齢層である事に困ったと天を仰いだが,そこには深く突っ込まず
思い出したように切り返した
「そんな事やってる場合じゃねーんだった。。。幽霊,ちょっと力貸してくれ」
「自己紹介したのに幽霊なんて言わないでください」
素早い話題の転換に,これまた素早い突っ込みの『きりしま』
「ボクの名前は『きりしま』です」
「わーった。。。えっと『きりしま』ちゃん。。」
「『きりしま』と呼び捨てて頂いて結構ですよ」
規則に忠実な言葉
職務に習い自分を「ちゃん」という扱いを嫌っているという意志を強く表明する声は正しい判断をしていたが
気を遣ったつもりの鈴村は困った顔で
「いや女の子呼び捨てにはできないって」
「ボクは女として扱ってくれなくていいから」
「いや。。。。でもよ」
キツイ否定,尖った目は
あきらかに「ちゃん」を付けて呼ばれる事に怒っている事に鈴村は戸惑った
同士的には扱えないほどに『きりしま』は美形だから
「ところで何しに来たんですか?」
二の句に困ったままの鈴村は自分が持ってきた問題に気がついた腰をかがめた
「そうだった。。。あのよ,さっき収容した遭難者おぼえてるか?」
後甲板では『ひえい』から来ていたヘリが戻りのために準備に入り
旋回する羽根の風と,海風
ヘリ誘導のためのオペレーションも始まり大きな音となっていて鈴村達は顔を寄せ合って会話を続けた
「あんなかに子供がいただろ?」
「いましたね,2人」
『きりしま』はヘリが筏からの救助者をココに連れてきた時に真っ先に遭難者を見に行っていた
自分に助けを求めた人を確認したかったからだ
要救助者は3人で1人は。。。。『ひえい』にも言われた「日本軍来た」とカタコトでしゃべった老人で,残りの2人は子供だった
「あの子供達が艦内でにげちまったんだよ」
「なにやってるんですか?」
切り返しの声には呆れたというニュアンスが十分に含まれていて
鈴村も参ったと言う顔で
「爺さんの方はすぐに集中治療室に入ったんだけど。。。。子供の方は元気そうだったんで,注射だけしとこうって事になって部屋に連れてったら。。。。」
救助者に注射をするのは「点滴」と一緒の要素であり
後は検疫をするために血を抜く作業もあったが
その間を縫って子供達が逃げてしまったという事らしい
医務室ではwaveが厳しく検疫の準備をしていたのに,子供を怖がらせたくないという子持ちの一隊員の緩い配慮が徒になり逃げられたという事らしい
「明日には上陸だし,手分けして探してもらってんだけど。。。手伝ってくんねーか?」
明日にはタイ国領海に入る派遣隊は色々な部署が準備に追われている
『きりしま』は心に刺さったものを確認した
『ひえい』に言われた事
「明日から仕事がある隊員の睡眠時間を削った」。。。。
無駄な仕事をさせたという自責
「もちろん!!手伝うよ!!」
少しでも早く子供を見つける為にはあらゆる場所に出入りが出来る幽霊の方が早いと鈴村に賛成した
『おおすみ』は何度も自分を叩き前に向かおうてしている『きりしま』の姿を見ながらも手伝いには賛成した
こうして4人は眠れぬ夜の子供捜索を開始した
2つに別れた捜索隊
1つは鈴村と『きりしま』残りは『おおすみ』と『はまな』
『きりしま』は鈴村の後ろを歩いていたが一本のペンで自分たちを繋げるという方法とは別の案を編み出していた
鈴村のペンを『きりしま』が持ち
『きりしま』の万年筆を鈴村が持つという形でお互いが認識できたのだ
子供は発見次第,鈴村のところに知らせるという取り決めをして別れた2班は艦内の捜索を開始していた
通路を通横に配される水密扉の中を陸自の鈴村が見て回るわけにいかない
そういう所に『きりしま』が首を突っ込んで探索するという方法で,鈴村は内部コンタクト用のレシーバをぶら下げての道中
「どこまで探しに入れますか?陸自の人?」
艦艇の中を陸自の鈴村では行ける範囲が決まっているのでどこかで待ち合わせの形式になる事を『きりしま』は聞いた
相変わらず硬い口調の少女に振り返ると,通路を歩く他の隊員に変な目で見られる事がわかった鈴村は背中越しに
「陸自の人って。。。。オレの名前は鈴村良平っての」
「良平さん?」
「よせよ。。。。鈴村って呼べ」
作戦に入れば名前を呼ばれる事なんて滅多にないし
こんなところで親しく名前を呼ばれると変な気分になりそうで鈴村は手をふって「ヤメヤメ」と合図しながらチラリと『きりしま』を見た
幽霊の3人の中,1人だけパンツスーツに「青い目」短く襟足まで整えた髪はギリギリ女の子の髪になっている程度だが
顔は硬い言葉を並べるのを不自然と思うほどに美しい
「なんで「ちゃん」付けはイヤなんだよ?」
自分の後ろを歩く少女が,こだわった言葉に鈴村は質問した
「別に。。。ボクは子供じゃないから」
変な答えだった
鈴村は人気の少なくなった通路に立ち止まると振り返った
「子供だぜ。。。そういう事にこだわるってのはよ」
「そんな事は。。。」
「なんか無理してるよーに見えるぜ。。。。『きりしま』ちゃんよ」
「無理。。。。なんか」
真正面で場分の顔を見据えた鈴村から顔を背けると『きりしま』は止まらず彼の前を歩いていった
「言ってみろよ。。。聞くぐらいなら今でも出来る」
鈴村の言葉は軽口だったがそれ故に『きりしま』は憶えのある男達の口調を思い出して,初めて自分の心を語った
「ボクは。。。。。男みたいになりたいと思ってる」
自分の前を歩いて背中を向けたまま止まった『きりしま』の言葉は意外というか。。。しかし鈴村にとって予想内のものだった
他の艦魂少女達が自然体であるのに『きりしま』の姿は不自然なほどに任務の中にいたからだ
美少女でそれを自慢していいくらいの彼女の不似合いな海自の男物の制服姿,最初に見たときから感じていた違和感の正体
「どうして?」
華奢な肩は止まったまま,自分の心根を了解,話せといった相手に続けた
「男は強いから。。。。ボクは強くなりたいから」
ペルシアの記憶
灼熱の大地に起こった戦争に続く「テロ対策特別措置法」に基づき『きりしま』はアメリカ軍と,その他の国の艦艇を護るためにレーダー支援をし,シーレーン防衛の仕事を1年半にもわたり続けた
支援という仕事は後ろにいるだけと思われがちだがそういう訳でもない
この借地法にはもっと大きな意味があった
だが国民のほとんどが無知なマスコミに踊らされ自衛隊は「戦争の後方支援」をすると騒ぎ立てるという事件になる
武力を持つ艦艇を海外に派遣する事に対する理由に紛糾する国民
だがその実,答えは簡単だった
自分たちで自分たちの国に運ぶエネルギーの道を守れというものを十分に包括していた事
世界が示した当たり前の責任に難色を示す日本は異様な国にすぎなかった
99.9%もの石油を戦争があった近隣国から買い上げている日本が
自国にエネルギーを運ぶ船の防備まで「金」で他国に頼るなど恥だという事に気が付けない程の平和ボケを堂々と路程したマスコミは
お門違いな非難を自衛隊にぶつけていた
仮初めの平和を謳歌し過ぎて勘違いな自由を振りかざした国民の罵声に『きりしま』は一度心をへし折られていた
港に溢れる「派遣反対」の横断幕に野次と罵倒の嵐
何故。。。。自分の国のエネルギーを護るために他国と共同戦線をはる事が「罪」と断じられるのか理解が出来なかった
それまでも自分たちへの風当たりが優しかったわけでもなかったのに
憎しみの目で「平和」が全てと砂の城を声高く叫ぶ人の目がただ怖かった
出港の日。。。。『きりしま』は艦の前に立つことが出来ず
悲しくて膝を抱えたまま部屋から出なかった
「どうして。。。こんな思いして,1年半も外国に行かなければならないの?どうして。。自分の国のために必要な事をするのに。。みんなして「戦争反対」って。。」
立ち止まった『きりしま』は自分の胸を手で強く押さえていた
あの日の。。。港にあった「罵倒」を思い出すだけで息がつまる。。鈴村は小さな少女が味会わされた悲しみに気がついた
「オレ達が出る日もそうだったぜ」
ゆっくり鈴村に向いた『きりしま』の前
口をへの字にした彼は,うんざりと両手を挙げて
「戦争反対!!憲法違反!!。。。。オレのせーで身内に肩身のせめー思いをさせたよ」
「そうなの?」
トラウマを背負って小さくなってしまった少女の前,軽口の大男は笑って
「毎日,基地の前じゃ演説してるヤツもいたし,署名運動してるヤツもいた。しまいにゃ家まで押しかけてきて「憲法違反」についてどう思うってテレビ局のインタビューまでしてったってヤツもいたぜ」
驚く事だった
海自の一般人が立ち入る事の出来ないバースに居たときに目に映った「罵倒」に心を挫かれた『きりしま』にとって,自宅まで押しかけてそれを叱責する人がいたなんて恐ろしい事だった
「辛く。。。なかった?」
「ツライ。。。。辛いってよりもな。。。。呆れたよ」
そういうと人目を忍んでタバコに火を着けた
『きりしま』は禁煙を指摘する余力はなかった。鈴村達,陸自の人達もそんな思いを背負ってココに来ていた事に。。。
自分の出港の日に味わった痛みを思い出してしまったから
俯いてしまった小さな少女の頭に大きな手が
髪に触れる
「だけど。。。オレは自分の仕事を誇りに思ってるから,他人がどう思っていようが「日本」が好きだから,右から左に聞き流してやった」
自分を撫でる大きな温かい手には,強さと優しさを笑って示す
「故郷を護る仕事は,どんな仕事よりも「愛」がいるからな!!」
「愛?」
水密扉の脇にそっと腰掛けた鈴村は照れくさそうに
「誰よりも故郷を愛せる仕事なんて他にないだろ?」
優しい目
鈴村の心にある故郷は『きりしま』にはわからなかったが
彼の言葉がその「愛」を十分に示していた
良いことも悪いこともココに産まれて始まった自分の祖国を護るという仕事には「愛」が必要だと
「大事な事です」
座ってやっと顔をつきあわせる事のできる鈴村に『きりしま』は微笑んだ
「海自の隊員もそういう気持ちで働いてました。。。。」
へし折れた心のままペルシアに向かった『きりしま』の思いを変えた者達
それを態度で示してくれた者達がいた
自分に乗艦している隊員達だった
出港の日
反対運動の人並みの間に見えた家族に手を振った男達
1年半も家族と別れて,その間もあらぬ非難を浴びながらも日本が自分達のエネルギーの道を守れる強い国である事をその態度で示し続けた
日本に残った無責任なマスコミと,自国の置かれている現状を理解を働かせない者達の罵倒に
彼らは志は揺れなかった
灼熱の海の上,黙して任務つく隊員の姿が『きりしま』の折れた心に光を与えた
「お国の経済を護るデケエ仕事だからなぁ」
重労働を背負った男達
軽口が日焼けした黒い顔から白い歯を見せて笑った時
『きりしま』蟠りは涙とともに無くなった
自分の居場所を教えてくれた「男」達に感激して流した涙に誓いを立てた
ちゃんと役にたてる,と同時に彼らのようになりたいと
「みんな1年半も頑張りました」
「胸張れる仕事だな。。。。外野がなんと言おうと誰よりも国を愛してなきゃできねー事を頑張った。かっこいいじゃねーか」
煙の向こう自分を見つめる男は羨ましそうに本音をはいた
「国を愛するってのは普通じゃできねー仕事だ。。。こんなに愛してるのに住んでる住人にゃ罵倒されたりもするわけだからよ」
鈴村はそう言うと指でタバコの火を消して立ち上がった
ゆっくりと話しはしたくとも
逃げた子供の捜索も大事な仕事だ,歩を進めながら一番大事な質問を思い出した
「それで?なんで男になりたいの?」
議題の最初にあった『きりしま』の思い
自分の直ぐ後ろを歩く事になった鈴村の質問に『きりしま』は笑顔で答えた
「だから!そういう重要な任務をこなせる心を持つには「女」のような弱い存在ではイケナイと思ったからです。。。どんな時も強くいられる「男達」のようにありたいと思ったから」
「それが男になりたい理由?」
鈴村にしてみれば幽霊の心残りが自分が男に生まれてこなかった事という何か変な会話のようにも感じられるものだったが『きりしま』は大まじめに
「そうです。。。というか。。。僕たち艦魂は男で有るべきなんだと思う」
艦魂
幽霊は自分の事を船の魂と言っていた事を鈴村は思い出して聞いた
「て事は現行の船に憑いている幽霊は「女」しかいないって事か?」
「幽霊じゃありません!!艦魂です!!」
即答の切り返し
自信を取り戻して『きりしま』は止まった鈴村の背中に向かって声も大きく注意した
背かを向けたまま
邪な考えをめぐらした鈴村は畏まった態度で聞き返す
「ああ〜〜その艦魂ってのは「女」しかいないの?」
「そうです。。。。護衛艦の魂は男でいいと思うんですけどね」
溜息まじりの回答
強くなりたいと願う『きりしま』の方向性を良く現してはいるが,鈴村は別の楽しみに素早く心が動いていた
「全員「女」なら。。。。過酷な任務の間を縫ってお近づきになりたい人もいるかも」と
あの日「呪われるぞせ」と罵った班長顔負けな思いを芽生えさせていた
「『はーちゃん(はまな)』休もうか?」
『おおすみ』は班分けの結果は当然のものだっと思いながらも,暗がりはイヤだ,「人」が多いのはイヤだと,一行に前に進まない『はまな』との組み合わせに疲れてきていた
なにせ気の弱い『はまな』だ
自分たちが姿が見えない存在とわかっていても「人」の中に入っていく事を拒み続けた彼女は,能力を活かした捜索活動の足を大いに引っ張っていた
そのせいで『おおすみ』も疲れココにて小休止をとる事にした
場所は甲板から下の輸送車両を揃えたデッキ
もう少し進むとLCALが見える所だ
間接照明的光の中
大きく溜息をつくき
顎に手をおき考え事に入って,眉間に皺を寄せた『おおすみ』に『はまな』は自分の我が儘のせいかと心落ち着かずウロウロとしていたが
『おおすみ』は別の事を考えていた
「。。。。。『きりしま』ってさ。。。。前は自分の事「私」って言ってたよね?」
『おおすみ』は進まない捜索に中,ずっと心に残っていた違和感を探していた
それを先に知る事のほうが大切なように思えていたからだ
顎をさすりながら。。。。過去にさかのぼって
「絶対そうだ!!変な感じがしてたんだけど,前は自分の事「私」って言ってたハズなんだよ」
「それがどうしたの?」
真顔で覗き込む『はまな』に聞かれた『おおすみ』は苦笑いしながら聞いた
「わかんないけど。。。なんか堅苦しくなったって感じだったでしょ?」
「イージス艦の姉妹は『みょうこう』を除いてみんな堅苦しいよ」
『はまな』のもっともな返答
イージス艦の姉妹は確かに揃いもそろって堅苦しい艦魂が多い
出生の時に騒ぎを起こした『こんごう』と言い佐世保では仲良しの『ちょうかい』と言いどこか角のあるキャラが多い
唯一舞鶴に勤務する『みょうこう』だけが緩い
それは司令職の艦魂『はるな』の指導がそういうものだからとも言える
「でも。。。なんで急に「ボク」なんだ?」
『はまな』の言い様から『きりしま』が1年半体験したペルシアの出来事が大きく彼女に関係している事はわかったがそれ以上の事はわからない
「私」が「ボク」に変わるプロセスはなんだったのか?
薄暗く光る艦内灯を見ながら首を傾げていた
「変といえば。。。。『ひえい』司令もおかしかった」
自分1人で考え続けると壁にすぐにぶち当たる
こういう謎解きは人と話し合うと見えなかったものも以外な角度で見えるもの。。。
自分の周りをフラフラと見回す『はまな』は悲しそうな顔で
「酷い事言うよね。。。。人を助けたのに無駄だなんて」
「確かにDDGの事がキライで有名な人だったけど。。あんな事を口に出す感じの人じゃなかったのになぁ。。。。」
「。。。。。まだ。。。そういうのって残ってるんだね」
『はまな』は一瞬。。。『はるさめ』の言葉を思い出した
「『こんごう』ちゃんキライだし。。。」
それはかつてあった護衛艦達の溝のなごり。。。。
「それだけじゃないような。。。感じなんだよ」
しなだれる『はまな』に無理して微笑む『おおすみ』
知っている人の変化
『おおすみ』は『きりしま』と相対するように睨み合った『ひえい』の事も『はまな』より知っていた
普段は無口で誰とも話しをしない人
でも職務に怠惰という事はなく,演習でも優秀な成績を残している旗艦。。。。なのに
「何かに」引っかかって。。。。『きりしま』に激怒?静かな苛立ちをぶつけていたようにも見えた
「司令も。。無理してる感じだったな」
2人が互いの顔をスレスレにして対峙していた時『おおすみ』はメガネに隠れていた『ひえい』の目が。。。怒っているというようには見えなかった
何かを。。。黙らせようとして
何かに。。。困っているようにも見えた
「でもさ。。。『きりしま』にハアハアしようとしてるんだよ。。。」
問題。。。。泣きそうな顔の『はまな』の顔を見た『おおすみ』は両手を挙げて
「それ。。。。嘘かもしれないよ。。。本気で言ってないと思うんだよね」
「でも。。。。」
問題が目前に迫っているという圧迫感からか俯いたまま話し続けていた『はまな』は何かの気を感じて離れていた『おおすみ』元に走った
「『おおすみ』!」
「何?」
「なんかいるよ。。。。」
素早く『おおすみ』の後ろに隠れた『はまな』の指す先はトラックの荷台。。。
「子供?かな?」
考え事でいっぱいになっていた頭を自分で小突きながら
どうせ見えない存在と堂々と荷台を覗き込む『おおすみ』の前
小綺麗に纏められた陸自の荷物の間を走る影が見えた
小さな影2つはお互いを隠し合うようにしているが『おおすみ』の目には十分に見えるものだった
逃亡した夜の子供達の姿が暗闇の中にあった
後ろに自分より年下の妹を隠すように立つ彼の姿を確認した『おおすみ』は,重荷がおろせた気持ちで背中にへばりつく『はまな』に振り向き「安全」と手を振ると
鈴村を呼ぼうと電信しようとした
その時
「チカヨンナ!!」
影であった「人」の子は叫んだ
他国の言語であったが艦魂である『おおすみ』に言わんとせん事は伝わり
自分の後ろに視界を戻していた体が固まった。。。彼の発言が自分たちを認識している事に素早く気がついたからだ
なぜならココには『はまな』と自分しかいないからだ
「波長かな。。。。『はまな』。。この子,私達が見えるらしいよ」
子供達を背中に,目の前で怯える『はまな』に『おおすみ』は引きつった笑いのまま聞いた
そのまま混乱する事なくこの状況を考えた
50年目の奇跡?
あるのかもしれない
神経の太い『おおすみ』は鈴村に続き自分たちを認識できた子供に向かって挨拶した
「初めまして。。。。探してたよ」と
カセイウラバナダイアル〜〜Pixivに入ってみた編〜〜
招待制になったと聞いて諦めていましたがPixivに入ってみました
イラストテクニック講座についていたCDを入れた事で入会できたのか?
それとも招待制はガセだったのか?知りませんがすんなり入れました
しかし
pixivの絵師さん達はみんなうまい。。。。
参ったって感じです
ヒボシはその昔趣味で絵を描いていましたが
それこそホントに趣味だったので途中で止める事も出来たのです。。。。
ところが挿絵解禁が近づくにつれて自分の手で生み出したキャラ達に肉体をあげたくなった
で
鈍っていた指を叩き
久しぶりに絵を描き
調子に乗ってpixivにまで登録してしまった。。。。
今のところシャープペンシルで描いた絵にphotoshopで色を付ける程度しかできない上に。。。。
タブレットのペンツールが新しいパソコンに対応してくれなくてマウスで色塗りわしているという次第ですが
いずれ
ペンを使って書き直しをしたいと思ってます!!
ちょっと世界が広がってお得な漢字の絵描きも楽しいです!!
それではまたウラバナダイヤルでお会いしましょ〜〜