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第三十五話 涙の雨

猫さんは霊感の強い生き物だそうです。。。。可愛いのに〜〜〜

夕日が面影も残していない時間になった海

南の島々の海は暖かさも手伝ってなのか水面の色合いが淡い水色に輝いている


でも

闇の帳に飲み込まれつつある時間である事に変わりはなかった

風邪の生ぬるい感触を蹴飛ばす勢いで『きりしま』は陸自の「疾風」の間を走っていった

甲板の先へ


「あそこに!!船がいるんだ!!」


『おおすみ』は『きりしま』は後を追って艦首から沈んだばかりの太陽の見えた方角を指差した

見渡す海原に何の光も見えない

「どんな船なの?」

差された先に目を凝らすが『おおすみ』には何も見えなかった


「いるんだ!!あそこに船が!!」


見えないという『おおすみ』の前『きりしま』の目は輝きを変えていた「フェイズド.アレイ.レーダー」の八角の輝き

赤いラインを走らせた目の玉は必死に訴えた


艦首から受ける波風に視界を確保するため手で髪をのける

「どうしよう」

「とりあえず。。。。レーダーに感はないの?」

護衛艦隊が陣形を組んで航行しているのだから,全方位にレーダーをまわしている

艦魂である『きりしま』が感じる事のできる物体ならば写っているハズ


「誰も。。。気がついてない」


レーダーに敏感に映る規模の物では無いのかも知れない

『おおすみ』の艦橋に向かって目を向けるも何かに気がついている様子はどこにもみられない


「どうしよう。。。。どうしよう。。。」

焦る気持ちが空回りを始めているのか,「疾風」の周りをグルグル頭を抑えながら回る『きりしま』


「待ってよ!!その。。見えるっていってもアレがホントに難破船なのか?遭難者なのかなんてわからないでしょ。。。ただのボートピープルかもしれないし」

両手をきつく結び祈るように震えている『きりしま』に『おおすみ』は肩を揺すって聞いた

事実この海域はボートピープルも多い,それ故に海賊もいたりもする場所だ

だが『きりしま』は違うと確信していた


「違う!!あれはボートピープルなんかじゃない!!感じるんだ!!救いを求めてる!!ボクは被災地を見たんだ!!」


天変地異の真下『きりしま』はどんな小さな声も見逃さぬ覚悟いで被災地の捜索をした

目に見える地獄の前で

最後の助けを求めた声に生者はなかったが思念が残り「木霊」になって聞こえていた。。。。

あの悲痛な叫びと同じものを感じる

それも「生きた声」で


「どうして。。どうして「人」は気がついてくれないの。。。」


一心に願う手に手を置いた『おおすみ』はうろたえた

イージス艦ほどりレーダーを有しない彼女には,見えないもので,聞こえもしない

でも。。目の前懸命にその事を訴える『きりしま』が嘘を付いているなんて考えられない

小さな手を一生懸命に重ねる姿を見て

思い出した


「あの。。。陸の「人」に。。なんとか伝えられないかな?」


『きりしま』は顔上げた

「あの人に。。。。」

鈴村の事,自分達の存在に気がついた彼に,この非常事態をなんとか伝えれば?


「ボク行ってくる!!」


思いついたら最後あっという間に『きりしま』は光の中に消えた

『おおすみ』もびっくりしてしまうほどの早さで

自分の手が触れていた彼女の肩が消えた後,もう一度海難と示された海を見つめた『おおすみ』も急いで後に続いた


やっとで追いついた『はまな』の前で。。。。


「置いてかないで。。。」

少し走っただけ,肩で息した作業青服の『はまな』はまた陸自の男達のところに行くのは怖かったが,このままココに置き去りにされるのも怖くて2人の後を追って消えた





眠れなかった鈴村はベッドに仰向けになって小説を読んでいた

目暗がりな部屋であまり「写真」以外の本を見るのは感心されないが文字を見ていればそれなりに眠くもなるというものだ

近づく被災地の状況に動悸が速まっているのを感じて胸に手をおく


遠足の前日に高鳴った気持ちに似てもいるが。。。

向かう先はお楽しみの場所じゃない

これから数ヶ月は続く「人死にの世界」に自分を慣らす必要がある

死体と対面しながらの被災地での活動がどれほどの心の負担になるかはわからない

だから

些細な幽霊探索までしたくなるってものだろうと仲間達のベッドに目を向けた


あんだけ「幽霊」と騒いでいた仲間の2人は鼻の頭に「いびきストッパー」を貼り付けて眠りに入っていた

「いい気なものだ」と


本を下ろした鈴村は「真昼の幽霊」の事を少し考えていた

「また来るんだろうな」と思いながらも

いささかおかしな出来事にペラペラのシーツを被りながらほくそ笑んだ

昼には活発に動いてたのに,幽霊という存在にとって舞台本番の夜には動かないなんて。。。。意外と人の心を理解した良心的な幽霊だったのかもしれないと

大きく息を吐いた


明日からは被災地支援の本番に入る自分のためにと


その時

鈴村の体に重量物が落ちた。シーツ越しに人間と形のわかる物体は落ちただけでは飽きたらずか何度も跳ねる

部屋に響くだろうかなり大きな音と共に遠慮なく

陸自の中にはイタズラ好きなヤツは多い,やっと眠りに入ろうとした自分にこんな事をするヤツは?

シーツから顔を出そうとした瞬間,物体が増えた。。。。

今まで1つだったものが2つになって交互に自分の上を跳ねる


鈴村の顔は青くなった。。。。

「まさか。。。」

そんな事はあって欲しくない。。。そう思いながらシーツを少し開き顔を覗かせる


隣のベッド。。。。

いびきストッパーを付けているのに,もれる音をさせながらぐっすり寝ている梅酢の顔

音は鈴村にしか聞こえていない証拠


「きやがった。。。。やっぱり本番にきやがった!!」


霊感の高い鈴村は自分の上を跳ねるものが。。。おそらく「幽霊」だと言うことに気がついた

それにしても凄まじい攻撃だ。問答無用ではね回る物体

深くシーツを被る。。。これはもう行きすぎるのを待つしかない

下手に目なんか合わせたら取り殺される勢いに,手足を丸め背中だけに幽霊を乗せる形にした


「朝まで。。。我慢かよ」


それもかなりしんどい。。。明日からはオペレーションが始まるってのに

鈴村はもう一度シーツのスキマから梅酢を呼ぼうと思った

「騒霊」は聞こえない他の者が横から突れば消える可能性があるからだし,梅酢も霊感はそれなりに高いかにら。。。。あわよくば梅酢の方にこの幽霊を押し付けようと思ったのだ

小さくシーツを開く


「梅酢。。。」


そこにあったのは白い幽霊の。。。。黒いアイホール。。。。

目が合ってしまった


鈴村は跳ね起きた

起きると同時に策敵の目で周りを見回すと。。。やはり自分の前にいた2人の白い幽霊に両手を挙げて聞いた


「何が望みだ。。。出来るだけはするけど。出来る事は少ないぜ」


相手の注文を聴く前に,無理難題には対処できない事を告げた鈴村は自分のバッグに入っていた手帳を素早く出した

「日本語オンリー,後は英語少々だけ。声による呪怨は勘弁だから。。。要望はココ書いて」




差し出された手帳にボールペン

光と共に鈴村の上に落下した『きりしま』には,どうやってこの「人」に進行している事態を知らせて良いか方法が浮かばなかったが,まさか相手からその方法を知らされるとも思っていなかった


解決のために

『きりしま』は手帳を受け取ると,まず簡単に一言書いた


「助けて欲しい」


規律正しい海自の任務に徒事する『きりしま』の字は鈴村がその姿を明確に見えていたなら驚くほどの可憐少女が書いた物とは思えないほどキレイでしっかりとした字だった

その流麗な字を眺めた鈴村は

自分の前に浮かぶボールペンとそれを持つ白い幽霊に聞いた


「助けろって。。。事か。。。。どうすればいい?言っとくがマジで出来る事は少ないぞ」


事実,助けるにしたって陸自の誰かを殺して欲しいなんて願いは叶えられない

白い霊に見える『きりしま』達に囲まれた鈴村は逃げ腰のまま続けた


「殺しは無しだ。。。それがあんたの願いでも出来ないからな」


幽霊に対する恐れがどういうものかが理解出来ない『おおすみ』は困った顔で『きりしま』に

「物騒な事言う人だな」とつぶやいた,それを横目に

『きりしま』は手帳の方に返事を書いた


「難破船を見つけた,みんなに知らせて欲しい」

「難破船。。。?難破船の幽霊なのか?」

『きりしま』は続けて書いた。のんびりとココで筆談を続けている時間はないから


「早くしないと見失っちゃう」


鈴村はベッド脇にかけてあった迷彩の上着を掴むと階段に向かった

その後を手帳を持ったまま『きりしま』と『おおすみ』が追いかける

手帳に質問を書きながら


「どうするの?」

甲板へ上がる階段を走る鈴村は答えた

背中に着いてくる白い霊と自分の手帳に,相変わらず顔色は悪いが答えた


「突然艦橋に行ったって陸自のオレの言うことなんか信じて貰えないぜ!この目で見てそれを言わなきゃよ!!」


鈴村の言うことはもっともだった

海に詳しくない陸自の隊員が「難破船」発見を主張したって何処にいるかもわからないではただのバカ騒ぎの扱いで笑われるのがオチだ

とにかく自分たちの言い分を聞いて走ってくれている鈴村の後を『きりしま』達は追いかけていった


鈴村と『きりしま』『おおすみ』が甲板に向かって激走していた頃。。。

『はまな』は居なくなった鈴村のベットの上にちょこんと落っこちていた


「ふぇ。。。置いてないでよぉ〜〜」


もぬけの殻になったベッドの上で寂しくて泣きだしながら

またも置いていかれた後を必死に追い始めた





その頃,補給艦『おおすみ』の甲板に上がった鈴村は手帳に向かって聞いていた

夕暮れの時にくらべると風が強くなっていて

艦艇にぶつかる波も高くなっていた


「どっちだ?」


暗闇の空と海が手をつないだ時間

陸自の鈴村の目には見渡す四方の海に灯りなど,どこにも見えなかった

いや

正確には近くを巡航する護衛艦の光だけが見える

それ以外はまるで見えない闇の海


「こんな中で,難破船なんて見えるのかよ?」


昼でも大海原しか見えない世界だったのにとアチコチと見回す

そこにコンパスの表示と座標を入れた図を書き留めた手帳が前に出された

宙に浮く手帳の白い霊の手も同じ方角を示す


「だめだ。。。オレには全然見えねぇよ。。。」


それは鈴村で無くても一緒だった

海自の人間だったとしても『きりしま』が示した方角を見ただけでは船を見つける事は不可能な位置

鈴村はそれでも何度も手帳を照らし合わせながら目を凝らして海を見つめたが

自分の足もとにつく2つの霊に振り返った


「無理だ。。。見えねえよ。。。見えねえものをどうやって知らせるんだよ。。。何にもねーとこ指差したって誰も信じちゃくれねーってもんだ」


鈴村は顔に上がった汗を袖で拭うと手帳を霊に返した

「悪い。。。。力になれない」

肩を落とした


「『きりしま』。。。「人」には見えない距離なんだよ」

見えないを連呼しながらも。。。それでも必死に海の上を探してくれた鈴村の前『おおすみ』が諦めたように言った


「そんな。。。あそこ助けを求めてる人がいるんだ。。。」


少しの奇跡は起こった

「人」までを繋ぎに起こす事が出来たのに,あっけない幕切れ。。。助ける事が出来ないなんて。。。『きりしま』は自分がいかに無力かを「もう一度」知る羽目になった

そして自分が見えすぎる目を持つ事が悲しくなって手帳に涙を零した

地震が起こりたくさんの「死」が流れたあの海で

少しでも人を助けたいと願った彼女にとって。。。今,目の前で苦難に遭っている声を誰にも届けられない事実に泣いた




「泣いてんのか?」




浮かぶ手帳にこぼれた雫を見た鈴村は「雨」なのか?空を見上げたが煌めく星空しか見あたらなかった事で,目の前に並ぶ2つの霊に聞いた

ただ手帳を濡らす「雨」の正体は涙


「なんとかして欲しい」


涙の事は言わず『きりしま』はただ救いが欲しい事を書いた

ココにくるまでの間にたくさんの死を見た瞳は止めどなく涙を零し続けた

黒髪をがっくりと落とし俯いた彼女の止まることのない涙は,雫となって手帳に雨を降らせてゆく


「助けて欲しい」


ボールペンの文字を滲ませる涙の雨

満天の星空の下

艦の魂はただ祈っていった



「おーい!!陸自の人!!そろそ艦内に戻ってくれ!!」


次の手が浮かばない鈴村の後ろで大きな声が呼んだ

時間外で甲板に上がっていれば問題になる

なんたって旅行でココまで来ているわけじゃないのだ


「言えば良い」


手帳の涙に。。。難破船の存在を信じた鈴村は振り返ると大きな声で返事した


「難破船を見つけたんだ!!助けてくれ!!」

「何?」


海風が走る甲板の上を鈴村は,年配の伍長と思われる海自の隊員に向かって怒鳴った

「ココから!!この方角に見えたんだ!!」

階級章を見ながらも敬礼もしない鈴村の姿に怪訝な顔をした伍長だったが,示された方角に目を凝らした

「どのアタリだ?」

暗い波間を見ても変わらぬ響きが返るだけ


「この辺を通る船舶だろう。。。。けっこういるんだ」


一緒に見回りに来ていた若い隊員も手をかざして方角を見つめるが「光」を見つけられない

「地震の影響でいろんな物が流れてるんだと思うよ。人とはかぎらんだろう」


いくら南海の澄んだ海といっても暗闇の中に有れば天地もわからない世界

生ぬるい風の中,伍長は海の顔をさらう波を何度も見てみたが。。。。当然そんな距離に見える物でないためか諦めた顔で

「みえんな」と肩をすくめて見せた

その隣で若い隊員が鈴村の肩を叩いて


「陸じゃわからないだろうと思うけど,波のうねりってのがあってね。。それがたまに大きく上がったりすると月の光で大きく反射して。。」

「馬鹿野郎!!!人の命がこの海に彷徨ってんだよ!!!くだらねーウンチク語ってんじゃねー!!」


自分の前で自慢げに海の話しをし始めた彼の襟首を掴むと,鈴村は怒鳴った


「じょーだんで!!こんな事言うかよ!!」

「テメエ!!」


荒々しい男たちの取っ組み合い

掴まれた襟首を引き寄せた若い隊員は,自分の持論を突き飛ばした鈴村を無礼とばかりに殴った

だが襟首を掴んだ大男鈴村は殴られながらも続けた


「オレ達は人助けに来たんじゃねーのかよ!!小さな命は取りこぼしてもかまわねーのか!!」

「やめろ!!!」


伍長が間を割ると両人の顔を押さえた

「暴力は止めろ!!まだ任務の前なんだぞ!!」

上陸前の不祥事は御法度

下士官の間を取り持つ大任の伍長は自分の目の前で起こった暴力を蹴飛ばした


「一度確認すれば済む事にいちいち手を挙げるな!!!」


そう言うと2人に「起立!!」と指さし確認をした

「そこで立ってろ!!今,艦橋と連絡を取ってくるから。。。反省してろ!!」

「待ってください!!ココに方位が」

鈴村は自分の後ろに浮いていた手帳を伍長に差し出した

(正確には『きりしま』が手に持ったまま立っていて「第三者」から見ると浮いて見える)


「。。。。。こんな正確に方位まで?」

それは海自では当たり前の書き込みなのだが,陸自の鈴村が書き込んだとは思えないほどの正確なものだった

それに流麗な字は,粗暴を絵に描いたような鈴村の物とは思いがたかったのか

顔をしかめた


「オマエが。。。書いたのか?」

「正確にわかってます」


殴られた口を拭う事さえしない鈴村の眼差しに伍長はこれがただ事でない事を確信したのか頷くと「着いてこい」と呼んだ




「あ,艦橋,聞こえますすか?先任伍長の初芝です。今から言う方角を確認してほしいのですが?」

甲板から艦橋をつなぐ受話器を取ると鈴村に手帳を返す

「こちら艦橋,何も見えないが?どうした?」


艦橋に詰める士官らしい声は状況の確認のための返事をよこした

「その方角に難破船らしき影。。。または救難信号は出てませんか?」

返事は早かった

「確認されていない」



「そんな。。。。」

鈴村の足もと

ついて回っていた『きりしま』は首を振った

未だ見えている「救難者」の姿を何故人が気がついてくれないのか

もう手だてはないのかと顔を下ろしてしまいそうになった時だった


「艦が進んでるんだズレたんじゃねーのか?」


それは正解だった護衛艦隊のスピードは落ちているとはいえ漂流している物体にくらべれば確実に前を進んでする

最初に提示された海域より動力を持たず漂う難破船の位置がズレているのは正解だった

直感だったが鈴村は手に持った手帳を自分後ろをついて回る白い幽霊に差し出した


「教えてくれ。。。。助けたいんだろ!!」


自分たちを「幽霊」と恐れていたハズの鈴村は真剣に,この事態に取り組んでいた

涙を振り払った『きりしま』は

ごつい大きな手が差し出したボールペンに急いで手を伸ばした

2人の手がその媒体に触れたとき鈴村の視界が急に開けた


自分の半分に満たない背丈の少女。。。。

海自の制服に身を包んだ彼女の涙の目と輝きの向こう

暗闇の海を頼りなく漂う,筏とも船とも言えない遭難者の姿がはっきりと見えた



「助けて。。。。命を。。。。」



『きりしま』の何度も泣いた涙の顔に。。。鈴村は強く頷いた


目に映った情報を素早く書き取ると,艦橋との対応をしている伍長の肩を揺さぶって手帳を渡した

受話器をにぎり「誤報」という対応に窮していた伍長は驚いた顔をしたが鈴村の言葉に即時に対応した


「ココに!!命が漂っている!!助けてくれ!!」

「艦橋!!もう一度確認してくれ!!方角は!!」



「確認。。。。確かに何かいるな。。。」

艦橋はレーダーに映る物体を確認した事を下に告げた

鈴村は伍長から受話器を奪うと叫んだ


「命を助けてくれ!!オレ達はそれをしにココに来たんだから!!」

その返答は心強いものだった


「了解!後は任せろ!!」


目標が決まれば海自の動きは速かった

即時に護衛艦『ひえい』から目標のポイントにヘリを飛ばした

『きりしま』の紡いだ命の糸はやっと「人」に紡がれた瞬間だった




鈴村は甲板に座り込んでいた

幽霊のお願いのために,こんなに汗をかくとは思わなかった事もあり

ぐったりした様子で隣を見た


手帳はしまったが。。。自分の隣に浮くボールペンがまだ何かを言いたそうに待っているのが見える


「願い叶えるのは1つだけだぜ」


そう言いながらもボールペンの端を掴んだ

入れ替わる景色

短い黒髪を揺らし横にちょこんと座る少女に鈴村は聞いた


「船の幽霊ちゃん?」

「ううん。。。ボクは護衛艦きりしまの魂『きりしま』。。。。信じてくれてありがとう」


『きりしま』はやっと自分の姿を見られ,話も出来るようになった鈴村にお礼を言った

ボールペンを通してでしかお互いを認識できない2人だったが鈴村は明確に見える幽霊に苦笑いを見せた

護衛艦の魂と言われてもピンとこなかったが,護衛艦の幽霊が「人」を助けたいと懸命になっていた事は理解が出来た

そしてその魂。。。。

あまりに幼くも可愛らしい少女が「人」を救おうと必死になっていた事に頭が下がる思いだった

だから礼を言われるのがくすぐったい


「助けたかったんだろ。。。。それでいいじゃねーか」


一仕事をこなした男は,けして鼻にかける事なく言った


「オレたちゃ「人」助けに来たんだ。当然の事をしたまでだろ」

「はい」


鈴村の照れた顔に『きりしま』は手を伸ばした


「本当にありがとう」


その顔は少女と女の中間。。。。

優しい眼差しは細い指で切れた口から溢れていた血の後を拭いた

危うい感情を抱いてしまうほど近い距離に,鈴村はボールペンを離すと立ち上がった


「今度,頼みがある時は。。。ゆっくり起こしてくれ。。。急に上に乗られるとビビルからよ」


そう言うと素早く背中を向け救難の活動で騒がしくなった海自の隊員の間を縫って戻っていった

鈴村の背中を『きりしま』は感謝の瞳でずっと見つめていた


海風から遠ざかった中

甲板を降りる階段で鈴村は,ぼやいた


「。。。。幽霊確保か。。。。アブねえアブねえ。。。」


思い出しても可愛かった『きりしま』の姿に自分の理性を守れたことにOKと手を挙げてついでに大きく欠伸をした


それは長い夜の始まりにあった,一大救出劇だった





その頃

1人『きりしま』達から置いてけぼりを食らった『はまな』はやっと『おおすみ』と合流して。。。。案の定泣き崩れていた


「1人にしないでよぉ〜〜〜」と

かなりお味噌な存在になっていた


カセイウラバナダイアル〜〜霊感の生き物〜〜



ヒボシの友達で猫さんを飼っている人がいるのですが。。。

猫さんは人間以上に霊感の強い生き物なんだそうで

たまに虚空をジーっと見ていたりします

ヒボシはたまに尋ねてみるのですが


ヒボシ 「ニャアさん。。。そこに何かいますかね?」

ニャア 「。。。。。。(上の方を見ている)」



決して何がいるかは答えてくれないのですが(当然)

何かがいる事を人間以上に知っているうえに。。。それが人の考えるような脅威ではない事を理解しているようです

むしろ猫さんにとって「猫空間」における共存者のような感覚です

ある一定の時間コミュニケーションをとると後は知らんぷり

たまにその空気のような霊は降りてくるみたいで猫座りのニャアさんと睨めっこしていたりもしますが

お互い「ココにいる」という関係以上に突っ込んだりはしませんね。。。。


真剣になにを論じているかヒボシ(藁)


そんなヒボシは人間という区分けで言うのなら霊感の強い「女」にはいる(男より女の方が霊感は強いと言われる)のですが。。。。

全然霊感ありません(爆)

女として終わっているという事なのでしょうか(悲)


古来より

女は霊を受信するアンテナとして「巫女」という存在になったりしています

これは「受ける体」というところから来ているそうで

それにより魂という人の形を

体内に宿すという力を古代の人達は豊穣に結びつけるほどに崇めたからとも言われます


という事は元々神社と称される社の森には「神主」という存在はいなかったという事になります

神の社の守りの元締めが男であるわけがないからです


事実

古代日本において有名な王は基本「女」です

天照大神はじめ(神功天皇(女帝)がモデルではないかと言われていますが)

国産みをした女神,伊弉諾尊

これまた天照大神のモデルと言われた卑弥呼は女王として君臨し国を治めるために「火の巫女」という集団の上にたった霊元者でした

(この火の巫女という集団を称して卑弥呼と呼ぶのではとも言われる


自然と人が近かった頃

霊を身近に感じる女のもつ「感性」は侮れないものだったのです


しかし

戦の世が続くようになり

「女達」だけでは治世を司る事が難しくなります

武力という血の力の前に女は屈し

男達の統治が始まり

神の社も「神主」という元締めが産まれます




現在コレが正しい神の国としての状態なのかは怪しいものですが

歴史の解明は日々進んでいるので

新しい発見を心待ちにしているヒボシでした!!



色々脱線しましたがまたウラバナダイヤルでお会いしましょ〜〜〜

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