表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義兄さんと呼んで  作者: スズキ
第四章 怖気つく男
PR
32/101

1・侵入者は誰だ



 炎天下の日光が地表をチリチリと照らす午後、いつものようにおれと未菜は一緒に学校から家への帰り道を歩きながら足を動かすと同時に口を動かしていた。


「ウソ! 愛梨さんそこまで本気なの」昨夜の出来事を一通り聞いた未菜がおれの方を見る。未菜の方がおれより身長が若干高いので、傍から見たら見下しているように見える。


「何があっても諦めないんだと。あいつの決心はかなり硬いみたいだぜ」


「念のためにもう一度確認するけど、本当にその話、ユージの妄想とかじゃ無いんだよね?」


「妄想するならもっと楽しいこと考えるよ」


「ふーん。可愛い女の子を侍らせてハーレム作るとか?」


「おまえはおれを何だと思っているんだ」


 会話の報酬を続けていると、家の前まで辿り着いた。玄関のロックを開けようと、おれはポケットから家の鍵を出して玄関の鍵穴に差し込んで開けようとした。


「……ん?」


「どうしたのよ」未菜がおれの後ろから声を掛けた。


「いや、鍵の調子がおかしいんだよ」


 何度かガチャガチャっと鍵をひねらせようとするが、一向に回ろうとしない。


「鍵間違えてるんじゃない? 金庫の鍵か何かと」


「何をどうしたら金庫の鍵なんか持ち出しちまうんだよ。それに鍵はきちんと鍵穴に入っているぞ」


「あれ、本当だ」


 もしかしたら、と思っておれは一度鍵を鍵穴から出して玄関のドアノブをひねった。すると玄関の扉がすんなりと開いた。どうやら鍵はかかっていなかったらしい。


「あれ、鍵はかかっていなかったのか?」


「朝、鍵を閉めるのを忘れていたんじゃない?」


「いや、そんな事無いはずだ。最後に家を出たのはおれだし、きちんと鍵を閉めた覚えがあるから」


「じゃあ……誰が鍵を開けたのよ?」


「まだ母さんが帰ってくるには早い頃合いだ」


 すると未菜がハッ、となって口を開いた。


「泥棒がこの家に入って来たとか。ユージん家、金持ちだし」


 それを聞いてまさか、とは思ったものの否定はできない。


「……ちょっとここで待ってろ」


 おれは玄関の片隅に置かれている護衛用金属バットを携えた。

まさかこのバットが役に立つ日が来ようとは……おれは未菜を玄関へ待機させて、ゆっくりと家の中へ入る。


 ひんやりと冷えているバットを両手で握りながらリビングへ恐る恐る入った。部屋の中を見るに、どうやら荒らされていないようだ。


「考え過ぎだったかな」


 おれはそう呟いて構えていたバットを下ろして「ふーっ」と息を吐いた。


 しかしどうして玄関の鍵は開いていたんだろうか? と思ってその場で突っ立って考え込んでいると、後ろの扉の方から「キャーッ!」と悲鳴が聞こえた。


「何だっ」声に驚いて振り向くと、巨大な影がおれに向かって「あいやーっ!」と叫びながら飛びかかってきた!


「ぐはあッ」影はおれの胸部に向かって激突し、そのままおれは地に伏してしまった。


 床に倒れながら、おれに飛び蹴りをかましたヤツの乱れた呼吸が聞こえた。


「はあ……はあ……はあ……アレ!? 優司さん!?」


 ……この声は、まさか。声の主に見当がついた時、外から未菜の声が聞こえた。


「ねぇ、大丈夫? 乙女の悲鳴が聞こえて来たけど」


 そう言って未菜がリビングへ入って来た時、未菜は顔を青くして「うわあっ!」と悲鳴を上げた。


「あ、あなた愛梨さん!? 一体何やってるの!?」


「ち、違うんです! これには訳が……って、何であなたわたしの名前知っているんですか!?」


 腰を抜かした未菜は愛梨にそう問われたもの、ロクに話を聞かずに制服のポケットから携帯を取り出した。


「と、とにかく一一〇番……」


「違うんです! わたしの話を聞いてください!」


「それより理不尽な暴力を受けたおれをいたわってくれないかな!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ