表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ちょっとだけオチのある短編集(ここを押したら短編集一覧に飛びます)

もったいない国

作者: よっきゃ

 とある国はミサイルによる世界制圧を企んでいた。‬ただし、ミサイルはちらつかせて他国との交渉を効率よく優位に進めるためのものであり、実際に他国に落とす予定などは初めからなかった。


 そのため、他国を攻撃するためという仮面を被ってミサイルを開発していた。そしてミサイルは既にできていた。


 威嚇のつもりでミサイルを発射する。他国に落としてしまっては戦争となり、交渉どころではなくなるので、ミサイルを落とす場所については慎重だった。


 そしてミサイルは海へと着弾。成功だ。


 ミサイル発射はこれまで幾度か行われてきたが、現在までミサイルは無事にどこの国のものでもない海に落とせている。


 こうして近場の海から徐々に遠くの海へとミサイルを落としていき、そして順調に飛距離を伸ばしていった。


 飛距離を伸ばせば伸ばすほど、その射程内にいる国に圧力をかけられる。それで交渉‬をすると上手くいく。

 そうして来る日も来る日も、ミサイルを飛ばしては飛距離を伸ばしていった。


 しかし、国の財力と人力を使い果たすほどの実験でもある。‬いつも膨大な材料費と手数と時間を使い実験を行う。

 これらのことから、いつしか『もったいない』という思想が国中を支配していた。『もったいない第一主義』なんて言葉も生まれていた。



 ある日。‬

 ついにミサイルが世界一周するまでの技術に達した。‬


 そして今日は、世界一周できる技術を得て初めての発射。早速ミサイルを飛ばす。見事成功。ミサイルはぐんぐんと飛距離を伸ばしていく。‬あっという間に地球を半周。あと少しで世界一周だ。‬


「みんないいか。もったいないからミサイルが帰ってきたらしっかりと全部回収するのだぞ」


 誰かの号令がかかる。

 ミサイルの材料回収による材料費削減、社員による材料回収までの無駄な時間の削減、そして社員のみでの回収、つまり人員コストの削減。

 そう、今の全てを効率よく行うため、もったいないの思想で自国のミサイル研究施設へ照準を合わせていたのだ。なんとももったいない国であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ