生死の境
翌日。
朝起きるとウバルドとフェルは既に起きて外に出ており、剣の素振りをしていた。フランはまだ寝ているようだ。
「おはよう。父さん、フェル兄さん」
玄関を出て素振りをしている2人に声をかける。
明日からとは聞いていたが何時からとは聞いていなかったので取り敢えず声をかけたのだ。
「おはよう。レオ」
僕に気が付いたフェルが挨拶を返す。その声で父も気が付いたらしい
「お、レオか。早起きだな。昨日のことがあったから来るか心配してたんだが」
昨日の反応を見て来ないかもと思ったのか?いや、まぁ、現実を見ない僕が悪いのは事実だしあれはほぼお巫山戯で剣術を受けないとは言ってないんだよね
「うん。昨日のあれは巫山戯ただけだし、アルセンブルク学園に行くためにも剣術を習って父さんを打ち負かさなきゃだからね!」
最低でも5年以上はかかりそうだが。そんな遠いい目をする僕とは違い父は息子が張り切っていることが嬉しいようだ。
「そうかそうか!なら早速始めよう。ほらっ」
そう言って投げ渡されたのは1本の木剣。木にしては重いので重りか何かが入ってるのだろう。父も同じ木剣を構えている
「よし!打ち負かすと言っても俺に剣を当てるだけでいい。だが、俺は全力で行くからな」
え、もしかして最初から本番?打ち方とか振り方とか見たりしないの?
「え、あ、うん。じゃあ行くね」
やはり、6歳児の体なので木の剣でも十分に重いので動きがゆっくりになる。
まぁそれは、魔力操作の【魔力纏】の応用である【身体強化】を使っていない場合だが。
「なっ!?」
ガンッという重い音が響く。父さんの驚く声が聞こえるがやはり、スキをついた位では打たせてくれないか
「くっ…これならどうだっ!」
体ごと跳ね返されて上に上げられた剣を体重をかけて振り下ろす。それと同時に剣に【魔力纏】を使って重さを付与する。これは【付与魔法】の基礎中の基礎だ。
ガッっと言う音とはするが防がれているので父には全く効いていないようだ。同じ攻撃をさせないようにかさっきとは違い地面に叩きつけられる。
「くっ…なんのっ!」
父が起き上がろうとする僕に剣を振り下ろすとそれを剣で受け流す。さすがの父さんも僕がこの状態から受け流すと思わなかったのかバランスを崩して倒れたのでその隙に起き上がって距離を取る。
「一筋縄じゃいかないか」
「すごいな。レオはこんなに強かったんだな」
父も思う所があったのだろう。それもそのはずまさか、6歳児の息子にここまで追い詰められるとは思わない
「さてと、そろそろ本気出さなきゃね」
2人はその言葉に驚きを隠せないのか口が空いたままだ
「れ、レオ?今ので本気じゃないのか?」
堪らず父が僕に聞いてくる
「え?ああ、さっきのはほんの準備体操だよ。始めっから飛ばしてたらあとが持たないからね。んじゃ、行くよ父さんっ!」
剣に【魔力纏】を使い威力向上を試すがあまり効果は無いようだ。他にもフェイントをかけてり、死角から攻撃したりするが全く当たる気がしない
「くっ!」
振り下ろした父の剣を【身体強化】で腕力を上げて力ずくで上に弾き返したあと【身体強化】で脚力を上げて父の懐に潜り込む…が、それを見切っていたように懐に潜り込む瞬間僕の横から父の剣が見える。あ、ヤバい
「っ!父さん!!!」
流石にヤバいと思ったのかフェルが止めに入ろうとする。父も同じように思ったようで自らの動きを止めようとするが時すでに遅し僕の剣が父に触れる瞬間僕は父が振った剣をモロに喰らい剣が当たる音とは明らかに違うゴキっと言う音と共に吹っ飛ぶ。6歳児である僕の体はこれでもかと言うほど吹っ飛びそのままドンッと言う音と共に家の壁に叩きつけられて滑り落ちる。家から100メートル位は離れてたはずなんだけど
「ゴホッゴホッ…」
ギリギリで腕で防御態勢を取ったので腕一本で済んだだろうが防御していなければ確実に肋の何本かをやられていただろうし、木の剣ではなく鉄の剣ならば腕一本は使い物にならなくなっていただろう
「レオっ!大丈夫か!?」
フェルが駆け寄ってくる。父は回復魔法が使える母を呼びに行ったようだ
「に…さん?」
腕で防御したとは言えそれでも衝撃が強かったのか、壁に叩きつけられたからなのか分からないがちゃんと息を吸えなくてはっきり喋れない。
「喋るな。今父さんが母さん呼びに行ってるからな」
あ、なんかデジャブを感じる。
「だいじょ…ぶ…」
「おい!レオ!?レオ!」
やばい。意識保てなくなってきた…ショタ神が言うには不老不死らしいけど…まぁ、死んだら死んだでいっ…か