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ありふれた報告書  作者: マンボウ紳士
第五章 不平等な時計
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番外編 裏側の人達

大会議が終わり富国をしつつ強兵を望むとマオ皇帝陛下により交付された、解放された市民や今までの者達は歩みを止めない姿勢にもろ手を挙げて歓迎した。その光景を見ながら不機嫌そうにアーニャとメーニャに睨まれているフォルナスは居心地の悪い思いを未だにしていた。


「市民は何時だって前を向きたいもんな」

「陛下が宣言している限りは前進いたしますからね」

「そうだね・・・・・・」


口では穏やかだが未だにフォルナスを許していませんと言う目線の二人はどうなさるのでと言わんばかりに口をはさんでくる。メルティアは流石にフォローできる手段がありませんと俯き加減である。ローフルは現在治療中と称して表に出てこないので抑える手段が存在しない。


「あの・・・不機嫌ですよね?」

「そんなことないよ宰相様」

「まぁ、そんな事はございませんよ?宰相様」


実際に不機嫌ですオーラを隠そうともしない状況で敬語で答えられても非常に怖い、実際にこの二人は従う人間を階級で見ておらず能力で見ている節がある、だからこそローフル大将やその他の名将の言う事はあっさり聞く、今回も警護してとローフル大将が頼んだからこそしぶしぶついてきているのだから。


「本来私らが守る人が今病院だから暇だし」

「ローフル閣下はご自愛中なので仕事がございませんから」

「お兄様、何を言っても地雷です」


さらに氷点下になる空気に耐えきれない様にメルティアが呟く、フォルナスも解っているのだが黙っているのが耐えられないほど空気が重いのだ。ローフル大将に今回の反省を踏まえて陛下の公式発表会場をしっかりと見て勉強してくるようにと言い渡されているのでしぶしぶ来ている、当事者のフォルナスも本当は逃げ出したい気持ちでいっぱいなのである。この場で意欲的に色々調べているのはメルティアだけなのかもしれない。


「そういえばローフル大将が此方をお二人にと」


ローフル大将がもし雰囲気に耐えらえなくなったらこれを渡すようにと、小さな袋を渡してもらっていたので二人に差し出す。受け取った二人が怪訝そうな顔で袋を開けると入っていたメモを読む。


「・・・仕方ないか」

「もう、しょうがない方ですね」


メモを読んだ二人がいそいそと中からペンダントと髪飾りをそれぞれ取り出すと今までの重い空気が一気に霧散する。やはりここまで仕込んでいるあたりローフル大将は名将ですねとメルティアはさらに認識を深める事になる。


「さて、フォルナス宰相如何いたしますか?」

「見る者が終わったなら次の工程に移らないとね」

「そ・・・そうですか?解りました」


突然の上機嫌で華でも振りまきそうな空気に変わった二人に若干の違和感を覚えながら、次のローフル大将のメモ通りにディア局長の生産工場に向かうのであった、ただ一人メルティアだけは用事があると言うと向きを変えて病院の方に向かうのである。



・・・病院兼臨時執務室・・・


既に大量に運び込まれた書類を溜息をつきながら処理を続ける部屋の住人を診察しながらディア局長がちょっかいを掛ける。珍しい光景なのだが最近は割と見る光景になっている。遅まきながらディア局長がねぇと微笑ましく見ている人間も多いのが不思議な話であるが。


「さて、不本意な噂もバラまいたのであるな」

「仕方あるまぃ、お互いに閣下に忠誠を誓う身、いらん話は防ぐに限る」


書類を片付けながら面白く無さそうに書類に判子を押し続ける。大体この腹黒二人組が揃うと碌な会話をしていないのだが仕方ないと言えば仕方ない。アルゲインから暗部を無理やり引き継がされているローフルとアース王からほとんど諜報と開発を丸投げされている二人が揃っているのだ、何か起こらない方がむしろおかしい。


「取り合えず黒幕陛下からのご要望を優先するのですな」

「此方はフォルナス宰相を使い物にしなきゃいかんのぉ」


お互いが現状を確認しているのを扉の外で中を伺う人物がいた。


「今後の為・・・・だよね」


メルティアは何を話しているか廊下でそっと聞き耳を立てる。残念と言うか幸いと言うか二人とも病院と言う事でそこまで気を張って居なかったので気付くことはなかった。


「計画の段階を引き上げるのですな」

「全ては王の為だからのぉ」

「・・・王の目的の終着点は何処なのですかな」

「自分の粛清だろうなぁ」

「やはり・・・ですな」

「功臣になり過ぎて平時では陛下の邪魔と思っておられるだろうなぁ」

「でも陛下は望んでいない」

「その間をどうとるかが最大の問題なんだろうが」


最大のスポンサーの意向と直属の上司の意見が真っ向から分かれている為、流石に二人とも頭を抱える。アース王は最後は自分を粛正させたい、マオ閣下は最後はアース王を国父に祭りたい、何方も望みは真っ向から反対意見である。しかもお互いに何とかしろと此方に丸投げしてくる、二人にしてみれば絶望案件であった。


「間を取ることは可能ですかな?」

「出来たら一生その人に仕えてやる」

「ですな・・・」


帝国で一、二を争う腹黒二人組をもってしても妙案など浮かぶはずもない。頭を抱えつつ思案を重ねていると扉がノックされる。一拍置いたのち許可を出すと青白い顔をしたメルティアが入室してくる。


「失礼します」

「顔色が悪いなぁ、疲れておるのかの?」

「あ・・いえ、大丈夫です」

「それとも聞いてはいけない話を聞いたのですかな?」


そう言うとディア局長が部屋の扉に鍵をかける。慌てたように後ろを振り返るメルティアにまぁ、座っては如何ですかのぉとローフルがベットから体を起こして着席を進める。諦めたように椅子に座るとローフルの方を恐る恐る向いて出方を待つことにする。


「聞かれたなら知ったのでしょうが困っておりましてなぁ」

「御主君の御息女なら何かいい案は無いですかな?」

「え?」


てっきり口止めをされるものと思っていたのに虚を突かれた様に目が泳ぐ、前の二人はどう見ても真剣そのものでメルティアを見つめている。この二人が困ると言う事は現状父様以外は妥協案が見つからないと言うのであろう


「父様は・・・・その・・」

「残念ながら決心は固い様ですのぉ」

「まぁ、黒幕陛下は守れ一辺倒で命令しておりますな」


相容れない命令の板挟みで余程苦労したのか二人とも眉間に深いしわが寄っている、ディア局長のそんな姿を見るのが珍しいので思わずまじまじと見つめてしまうと向こうから何か御用ですかな?と首をかしげて聞いてくる。


「現状はまだ問題ないのですよね?」

「まだ敵も居れば領土も切り取らねばなりませんので」

「御主君もまだ動きませんな」


頭の中で整理を始めるが追いつかない、二人にお願いしてテーブルの上でノートを開いて図を書いていく。途中ローフル大将やディア局長が足らない部分を書き足してくれるのでそれを参考に描き上げていく。書きあがったのを見たときにこのノートは処分しなきゃだめだなというほどのものが出来上がった。


「まぁこのように図解するとですな」

「この敵が消えたときが危ないのですのぉ」

「目標があるうちは大丈夫なんですね」


そうすると目標を作り続ければ取り敢えずのその場しのぎは出来ると言う事が解る。問題は父様が関係するほどの目標を作らなければいけないと言う事にあるのだが。やり方としては父様の身内関連の目標を作る、フォルナス兄様の結婚とかならなおいいだろう。


「取り合えず考えられる事は王の仕事を絶やさない事だと思います」

「ふむ、常に仕事状態にして行動を阻止するのですな?」

「となると身内関連の仕事を増やさねばなりませんなぁ」


やっぱりローフル大将は凄いなと思わず微笑みが漏れる。正確に父様のか買わざる得ない仕事を算出している。問題は何処まで父様が騙されてくれるかというのが最大の焦点になる。


「あ~その宜しいですかのぉ」

「何でしょうかローフル大将」

「一つだけそのなんですかな?策がないわけでもないのですがのぉ」


これはどうなのだろうなぁと呟きながら眼鏡を拭いてまた思案気に考えを纏めている。いったいどんな策なのだろうと期待して待っているとローフル大将の口から出た言葉は私を固まらせるには充分なインパクトを持っていた。


「メルティア様の婚約相手を探すのが一番でしょうなぁ」

「えええええええええええええ」

「ふむ、確実に歩みは止まるのですな」


二人が名案とばかりに深く頷く、でもそれは私はまだ考えてない話だし、そんなに気になる相手もまだ居ない。でも父様の歩みを止める為ならそれも間違いない策なのかもしれないしと、ずっと考えがまとまる事もなくぐるぐると考え込むのであった。傍に居る二人がずっと笑っているのに気付かない程に。

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