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襟足伸びた

作者: 三堂いつち

「髪ってさ、どうしたら切る?」


向かいから、なんてことのない質問が飛んでくる。髪の長い彼女は毛先を弄りながら私の答えなどお構い無しに喋り続ける。


「アタシ髪長いでしょ。で、毛先が傷むと切らなきゃなって思うんだけどさ、わざわざ美容室行くんだからバッサリと切ってみよっかなーって思ったりするの。でも長いと5cm10cmなんて結構印象変わるじゃん。で、悩んで結局毛先だけ切って終わるんだよね、アタシって慎重派だから」


髪の話から自分の話をする向かいの彼女は口を閉じて髪を弄っている。彼女が口を閉じた時、私は発言を許されるのだ。


「私は襟足が伸びたなって思ったら切ってる。シャツの襟に届いたら、とか?」


私の発言権はここまで。お喋り好きの女の子は自分が話せる隙間を逃しはしないのだ。


「襟足ねー。アタシずっと伸ばしっぱなしだからわかんないなー」


なんだそら。


「るーちゃんマッシュだもんね。カッコいい」


へー、マッシュって言うんだ。私の髪型。


「るーちゃんは髪伸ばさないの?似合うよきっと」


希望的観測ありがとう。


「るーちゃんが髪伸ばしたらー、清楚系?それともクール系?どっちがいいかな?」


それはどう違うんだい。


「ポニテ、ツインテ、三つ編み、フィッシュボーン、お団子いっぱいアレンジ出来るね」


私が髪伸ばすの確定か。私は髪伸ばさんぞ。


「ね、るーちゃん髪伸ばさないの?」

「伸ばさないよ。今のままでいい」

「かっくいいー」


なにがだ。


「るーちゃんはるーちゃんのなすがままなんだね」


髪はお母さんのなすがままなんだけどね。


「アタシも短くしよっかなー」

「いいんじゃない。似合うよ、きっと」


あ、前髪伸びたなー。

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