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アマゾネス2

遅れて申し訳ないのです。


仕事が忙しくて書く暇が・・これもいつもより1000文字ぐらい少ない。


時間が欲しい!!

「これで1勝1引き分けでリーチだな」


ヒルマさんが戻ってきてそう言った。


「流石です、ヒルマさん」


「お、おめでとうなのです」


僕とハレンちゃんがそれを迎えた。


「どうだハレン、こうやって勝つんだ」


「ふ、ふん!なのです」


ヒルマさん容赦ないな。


「美紅様、美紅様が次勝っていただければハレンは次の決勝で必ず先ほどの失敗を塗り替える勝利を贈りますので頑張ってほしいのです。なのでデザート抜きはなしでお願いするのです」


「いや・・そもそも別に気にしてないし、デザート抜きも僕は別にしようと思ってないからね。は気にしてないでよ」


「じゃあ私は次も勝ったらハレンのデザートは私が貰うことにする」


「ヒルマさんはこれ以上太らなくてもいいのです!」


「子猫前から言っているが私は太ってなどいないぞ!」


「ハレンより重いのです!」


「鎧のせいだろ!」


「はいはい!喧嘩中止!ヒルマさんは太ってないのも知ってますし、ハレンちゃんのデザートの件もなしです。喧嘩をするならこの試合が終わったあとです」


「わーい!なのです」


「美紅、本当に私は太ってないぞ!」


「知ってますって・・ヒルマさんの鎧をとった姿は夜毎日見てますし。その体型で太ってるとか言ったら世の中の他の女性に刺されますよ」


「そ、そうか・・美紅は私の体型が好きなのか・・良かった」


そこまでは言ってないような・・たしかに理想の・・いや、もういいや・・。


「次の者前へ!!」


「呼ばれたので行ってきます」


「美紅様、ハレンのせいで戦わせてしまってゴメンなのです」


「それはもういいって、それにみんなで頑張ってるんだから誰のせいとかないよ。じゃあ行ってくるね」


「美紅、ハレンと戦った奴がたぶん一番強い奴と思ったが今から出てくる奴も気をつけろ。大事な場面で出てくる奴は実力者というのが相場だ」


「わかりました」


武舞台上にあがると先ほど試合形式を提案してきた布を被っているアマゾネスさんだった。


「貴方と戦いたかった」


「え?なんでですか?」


「深い意味はないです」


僕が不思議に思っていると目の前のアマゾネスさんが被っていた布を取りそれを放り投げた。

そして隠れていた姿が観衆に晒される。


うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


今日一番の歓声。

それは男達の野太い声だった。

それもそのはず、目の前の女の人はアマゾネスさん達の中でも一際際どい服装。

これぞビキニアーマーとでもいうのか世情的な格好だった。

露出も他の人よりす凄いのがついている金属も他とは違うと感じさせた。

何よりも美と高貴さが感じられた。

だが会場の女性の方々からは罵声が・・・。


「美紅気をつけろ!そいつは危険すぎる!」


「美紅様逃げて下さい!」


ヒルマさんハレンちゃん何を持って忠告してるのかな?

あと逃げたら負けだから・・。


「これだからこの格好はあまり種族以外の者には見せたくないのですけどね。まったく下衆な男共は・・」


「じゃ、じゃあ着なきゃいいのでは?」


「そうも行かないのです。私達種族にも決まりと言うのがありまして、この私の格好は種族で一番強い者が着る防具。長になる者の証なの、だからこういった戦いの場合は着ないとうるさくて」


「ああ・・そうですか」


「それとも貴方も戦いにくい?」


「いーえ・・まったく」


正直戦いにくいです!


「そう良かった」


「そろそろいいかな?両者とも」


審判が気を使って始める前に聞いてきた。

ていうか審判目がアマゾネスさんに釘付けだね。


「いいですよ?」


「私も問題ないわ」


「で、では始め!」


目の前の露出的なアマゾネスさんの武器は2本の剣。

背中にクロスさせるように背負っている2本の金色の剣だった。

雰囲気でわかる!あれは魔道具だ。


「そちらからどうぞ?」


相手は2本の金の剣を抜いて構えると挑発するようにそう言った。


「断固遠慮します!」


「え?そんな凄い拒否されると傷つくんだけど・・来ないならこっちから行っていいの?」


「ど、どうぞ」


まず目のやり所に困るからあんまり積極的に行きにくいんだよ。


「なんか調子が狂うな。じゃあ行くね」


こっちのセリフなんだけどね。


露出的なアマゾネスさんは黄金の双剣を振りかぶり突っ込んでくる。

僕を狙って双方を同時に振りぬいた。


「なにこれ!!」


「驚いた?」


僕は右のステップしてそれを避けた。

明らかに様子見で振りぬいたらしく速度もそんなになかったのに・・。

僕が避けた場所の地面は剣の形以上の深さでえぐれていた。


「これはその魔道具の力ですか?」


「凄いでしょ?使い手の剣撃の威力を数倍に上げる魔法が込めてあるの。かすったら致命傷ね」


「2本あるってさらに倍??」


「単純にそうとは言えないけど片方ずつが相当な威力だから重ねるとたぶん?」


「ソウデスカー」


駄目だ・・これ普通に戦って勝てない。

あんまり使いたくないけどこっちも魔道具を使わないと。

僕は腕輪を装備すると避けるのに全力を注ぐために魔道具を起動する。


「1回戦で見た魔道具ね。それって速さを上げる奴?綺麗な腕輪ね」


後ろでハレンちゃんの声が聞こえる。

ハレンのお婆様が渡した嫁入り魔道具なのですーとか聞こえたような気がする・・・。

やめてその言い方。


僕はそれを聞かなかった事にして目の前の敵に集中する。

露出的なアマゾネスさんもこちらを警戒しているようだがあまり気にせずにゆっくりと歩を進めてきた。

たぶん余程自信があるか戦い慣れしているかだ。


お互いの距離が縮まると向こうがやはり先に責めてきた。

僕は1撃目を避けると残った片手の1撃を剣で受け止める。

そのまま互いの剣を交差する形になった。

剣と双剣の攻防が始まった。


「わ~、なかなかやりますね。我流ですか?見たことない剣の型なんですけど私の双剣の連撃をここまで捌く人は部族でもなかなかいませんよ?」


「そ、そうなんですか?」


ふざけるな!精一杯だ!

ヒルマさんこの人強いです!たぶん剣の腕ならヒルマさんと互角かもしれません!

つまり僕じゃ敵いません!


「美紅!距離を取って戦えー!今の美紅ではまだそいつの対処は手こずる!」


そう思ってるんですけど逃がしてくれないんですよ!

ちゃんと真剣にやってるんです!ヒルマさんの教えで相手の足捌き、手元の動きや目線で次の手がわかるって言われたんでちゃんとそれを行使してるんですけど・・この人の格好が目のやり場に困るんですよ!胸とかめっちゃ揺れているし!


「どうしたの?たまに目なんかつぶっちゃって!怖いの?」


卑怯者!初めて女の人が卑怯って思ったよ!


「何か凄い失礼な事思ってない?」


「気のせいですよ」


思ってました、ゴメンなさい。


「いい加減にして本気で戦わないと怒るわよ?」


「いや、僕は結構本気だと思うんですけど・・理由がありまして」


「理由って何!意味のわからない事で誤魔化して本気を出さないなんて失礼よ!私達種族にとって戦いに手を抜かれる事は屈辱以外何者でもないの!」


「そ、そう言われてもですね」


「もういい!!」


どうやら逆鱗に触れたらしくさらに乱撃が激しくなる。

なんて理不尽なんだ・・・。

しかも避けるたびに地面が抉れている。

僕の速さなら本気の速度を出さずに避ける事も可能だがこれ以上地面を抉られると足場的に危険だった。

ヒルマさんとハレンちゃんの試合での岩の破片も大量に転がっておりもう武舞台上が原型を留めてない。


「逃げ場がなくなってきたようね」


うん、向こうもそのつもりで攻撃してたみたいね、さすが戦闘の種族。

仕方ない・・こっちの剣のダンジョン石も起動して一気に・・。

そして僕は隙を突いて彼女の剣を潜り抜けて横一線の一撃を繰り出す。

なにか雰囲気が変わった?やっとやる気になっ」


僕が一撃を放ったと同時に大きく後ろに飛びのいた。


「何・・その剣・・私の剣がちょっとかすっただけなのに刃こぼれしたんだけど・・キャッーーー」


「え?ええええ」


あっという間の出来事だった。

アマゾネスさんが両手の剣を手放してしゃがんでしまったのだ。

理由は1つ・・ビキニアーマーの胸の部分・・ブラ・・胸の部分が外れたのだ。

てか僕の剣が当たってたらしく切っちゃった!えへ!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


「いいぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


「チャンスだああああああ!下も頼むぞ赤いのおおおおおおおお」


会場から男達の熱い歓声が僕に飛ぶ。

そういう大会じゃないから!それどころじゃないし!あとチャンスって叫んだ奴出て来い!


「み、美紅何をやってるんだ!そんなに見たかったのか!」


「み、美紅様見たかったのなら言ってくれればハレンのを見せたのです」


後ろの仲間からは違った意味で勘違いな言葉が飛ばされる。

しゃがんだまま胸を隠すようにして身動きをとらないアマゾネスさんはこっちを見て涙目になっている。

僕はそこに急いで走っていった。


「ご、ゴメンなさい。悪気はなかったんです!許して下さい!」


「卑怯者!見ました?見たよね?」


「一瞬だったので見てません!」


「一瞬見たのね!」


「・・・・・・・」


言い訳の仕方を間違った。


「・・・角度的に観客の人達には見えてないのでご安心を」


僕はそう言い訳して目を逸らした。

そして僕は指輪から布出すと彼女にかける。


「え・・あ、ありがとう」


「い、いえ。それよりあの・・降参してくれます?流石にもう戦えないと思いますので」


「くっ・・戦士としては不本意ですが私も女です。これ以上下衆な男共を喜ばすのは嫌なのでそうさせてもらうわ。審判、私は棄権します」


「あ、あ、あ、蒼のチームの勝ち!」


おい審判、今お前仕事忘れてただろ?


「大丈夫ですか?向こうまで送ります」


「平気よ、敵の手は借りません。私のアーマーはアレでも大抵の剣なら跳ね返す金属で出来ているのに一体なんだったのよ」


「ご、ごめんなさい」


「まったくよ。貴方が男なら見られた責任とって貰うところよ」


男とバレたら責任取らされるってこと!?


「さっきも言いましたけど一瞬だったのでちゃんと見れてませんから!」


「一瞬じゃなかったら見てるって意味?あと今ちゃんとって言わなかった?一族の者や夫になる者意外に見られるなんて屈辱だわ!」


「いや・・そんな格好で戦う時点で・・」


「正装って言ったでしょ!これは種族の掟なの!決まってる事なの!」


「ソウデシタネ」


「とりあえず勝利おめでとうと言っておくわ、だけど・・これから夜道には気をつけなさい!」


こわっ!それって暗殺とか通り魔のセリフだよ!刺すの刺されるの僕!

怖いセリフを残してアマゾネスさんは仲間のところに戻ってすぐに消えてしまった。


「お、終わりました。意外な決着でしたけど勝ちました」


「美紅~!見たいならこんな方法取らなくてもいつでも私のを見せたぞ~!」


「美紅様!ハレン達は美紅様とどれだけ一緒にいると思っているのです!」


そうくると思ったよ。

僕は襟首を二人に掴まれて左右交互と揺らされる。


「だ、だから~あれは不慮の悲しい事故でぇえぇえぇえ」


「あれほどの剣の使い手をピンポイントに胸の部分だけ斬るなんてどれだけの不慮の事故だ!」


「美紅様は大きいほうが好きだったのです?ハレンは悲しいのです!確かにアレほどではないにしてもハレンもその・・・結構あると思うのです」


「命を賭けた試合の最中でそんな器用な事が出来るわけないでしょ!あと僕は胸の大きさで人を判断しません!」


なんで僕は決勝進出を決めたのにこんな事で責められてるんだろう・・。


「本当なのです!?ハレンだってもっと成長する予定なのです!お婆様やお母様もあのアマゾネスさんぐらいあったのであれぐらいならすぐ追いつくので見捨てないで欲しいのです!」


ハレンちゃんとりあえず君は胸の大きさの話から離れようか。


「美紅!私はあいつと同じ位の大きさはあるつもりだぞ!確かにあんな露出的ではないが、もしかして露出的なほうがやっぱり良かったのか!?」


「違いますって!良いって言ったらやるんですか!?もしあの格好で一緒に歩いたら距離取りますかね!やめて下さいよ!」


ヒルマさんの大きさは知って・・て違う!

てかこの話を終わりにしたい。


「二人共いい加減にして下さい!あと揺らすのを止めて下さい。酔いそうですから」


「はぁはぁ・・すまない取り乱した。しかしあのアマゾネスめ・・あんな方法でくるとは」


「何が戦闘種族なのです。ただの露出種族だったのです」


「まったくだ」


「いや、あれは僕のせいですから・・確かに戦闘服は露出的でしたけど」


「美紅、庇う必要はないんだぞ?」


「美紅様、やっぱり・・」


「違うからね!それより次の試合始まるよ!」


どうやら進行役の将軍が出てきた。

よかった、この話を切る事ができそうだ。


「それでは準決勝第2回戦を始めます!と言いたいところですが準決勝で勝ったチームが先での戦いでのチームメンバーの負傷を理由に棄権した為に決勝には緑チームの進出が決定致しました!!戦いが見られないのは残念ですがこれも大会の醍醐味なのでご了承下さい!!決勝は蒼チームと緑チームの対戦となります!先に3位決定戦をやらせて頂きます!3位が決まり次第決勝戦を行いますので楽しみにお待ち下さい!!」


「完全に故意の棄権だな」


「ですね」


「元々仲間っぽいので当然の棄権なのです」


「別にあいつ等さっきの試合で対した怪我もしてなかったしな」


「それもそうですけど3位決定戦って行なわれるんですか?準決勝棄権しておいて3位決定戦出るとか厚かましくないですか?」


「どうやらそれもすぐわかるらしいぞ?」


先ほどの進行役が再び現れた。


「皆様度々申し訳ありません!!3位決定戦ですが準決勝を棄権したチームがやはり戦える状態ではないとの事ですので3位はアマゾネスチームとなります!!つまり次の試合は決勝戦となります!大幅に予定が早まりましたので決勝は蒼チームが連戦してる事を考えて2時間後にさせて頂きます!では後ほど!!」


「どうやら休めるらしいですね」


「そうらしいな」


一息つけると思っていたのに意外な人物から声をかけられた。


「突然失礼、少しだけでよろしいのでお時間をいただけませんか?できれば人目の突かない場所で」


後ろから声をかけてきたのは商会の副支部長のナッハガイムさんだった。


「こんな場所に何の用だ?そしていきなりすぎないか?」


「それは申し訳ないですがとりあえず時間がないのでこちらに来ていただけますか?」


「美紅様どうします?」


「何か理由があるみたいですし行きましょうか」


案内された場所は会場の控え室のさらに奥だった。


「あの~、それで何か用でしょうか?」


「率直に言います。決勝戦を棄権しませんか?」


「却下だ」


「即答ですね。そして相変わらずの辛辣な対応ありがとうございます」


「いきなり馬鹿な事を言われたら辛辣にもなるだろう。こんな馬鹿な提案をする為にここに呼んだなら私達はもう行くぞ」


「ヒルマ・・さんでしたか?貴方は3人の中で一番気が短い感じですね。私としては美紅さんとお話をつけたいのですが宜しいでしょうか?」


いきなり現れてわけのわからない提案をしてきてさらに仲間に対して失礼な事を言う人とはあまり話したくはないんだけどこのあとに決勝も控えているし。


「僕ですか?別にいいですけどまず僕の大切な仲間のヒルマさんは気は短くないので失言を訂正したらでお願いします」


「美紅・・・そんなに私の事を」


「美紅様ヒルマさんはその辺の荒くれ者並みに気が短いのです」


ハレンちゃんせっかく庇ったのにここぞとばかりヒルマさんを貶めるのは止めようか・・。


「大切なお仲間さんが私と同意権を言っておりますが失言を認めないとお話を聞いていただけないらしいので謝罪させて頂きます。申し訳ありませんでした」


ほらまともに謝ってくれないじゃない、あんまり心もこもってないしー。


「それで理由をお話してもらっていいですか?僕たちあんまり時間がないので」


「了承していただくには話すしかありませんね。理由は貴方達のこれからの実用性と次の相手の存在ですよ」


「もっと詳しくお願いします」


「まずは貴方達の事をこの数日見ていた感じ非常にお強い3人組という事ですね。冒険者になれば相当良い暮らしが出来るのに商会に入っている事実。なにやら難しい理由でもあるのでしょうが強者が商会に所属して頂けるのはこちらも嬉しい限りなのでここで失うのは惜しいかと思いまして」


商会に所属してるのは冒険者として目立ちたくないという変な理由なんですが。


「失うとは??」


「それが2つ目の理由です。貴方達は支部長に情報を求めてらっしゃった。時間がないようなのであまり調べれませんでしたが僭越ながら私も情報を集めた者です。次の対戦相手は分が悪すぎるのですよ。死にたくないでしょう?だから危険していただけるとこちらも利を失わずに済むのですよ」


「つまりこれから商会にとって僕達は役に立つかもしれないので決勝戦で戦って僕達全員、もしくは誰かが死んで商会にとって不利益になるかもしれbないので貴方はそれを止めに来たと?」


「その通りです。やはり美紅さんは理解がお早い」


この人に言われても褒められてる気がしないのは何故だろう。


「ん~、でも貴方の言ってる事だと決勝の相手がどれ位危険かをまるで全部把握してるかのように聞こえるんですけど何故ですか?」


「その質問は当然ですね。しかしお答えできませんね」


「ふざけているのか?その答えで棄権をしろとか矛盾してるだろう」


ヒルマさんが我慢できずに答えた。


「そう思われて当然ですが私は商人です。先ほども言ったとおりまず利益になるかどうかを考えて行動しております。その私がわざわざここまで来て貴方達に相手の危険度を忠告しに来たというのを真剣に考えていただければ賢明な貴方達ならあの緑のチームがどれほどの相手かお分かりになるかと思いまして」


「すみませんが分かりません。貴方の言ってる事は自分の利益だけを考えた末の提案であって僕達の心配をしているわけではないですよね?それに僕達の利益を無視してますし」


「ふう・・無駄に知恵が回ると命を落としますよ?たまには何も考えず忠告に従うのも悪くはないと思うのですが」


「それは貴方も同じでは?」


「これはこれは痛いところを突かれましたね。では棄権はしないととっても?」


「悪いですけど僕達にも目的がありますので棄権はできませんね」


「はあ・・仕方ありません。せめて再起不能にならないことを祈っておりますよ。貴方達ならこれからも良い関係を気づけると思っての提案でしたのに」


「良い関係を気づくにはお互いのお腹の中を見せ合うべきでは?信頼って知ってます?」


「もちろん知ってますよ。私も信頼を気づいている顧客を大勢抱えておりますので」


「・・そうですか。で?お話は終わりですか?」


「提案を飲まれないなら非常に残念ですが終わりになりますかね」


「じゃあ、僕達も準備があるので失礼しますね」


「わかりました。ああ、最後に1つだけ」


しつこいな・・この人。


「なんですか?」


「緑の鎧チームに非常に危険な人がいるの気をつけてください」


「言えないって言ってませんでした?」


「これは独り言と思ってください」


何なのこの人?信じていいかまったく不明なんだけど。

言いたい事をいったのかナッハガイムさんはスタスタと去っていく。


「ハレンはあの人やっぱりあんまり好きじゃないのです!」


「私もだから気にするな」


「僕は嫌いまでは行きませんが性格的に合わないかもですね。なんて言うか決して全部を見せない感じです」


「あの作り笑いが怪しいのです」


「営業スマイルっぽいよね」


「大体次の相手が危険なのはあいつより美紅に聞いた私達のほうがわかっていると思うしな。戦闘で相手の装備、魔法、戦い方がわからないなんて事は当たり前だが、今度の相手は『風』というのが正解ならまさに未知と言っていい」


「ですねー。チートですしねー」


自分で言うのもなんだけど。


「チートってなんなのです?」


「ああ、ゴメンね。気にしないで、僕の元いた世界で反則みたいな感じって意味かな」


「おー!ではヒルマさんはチートなのです」


「どういう意味だ!」


「たまにヒルマさんはハレンに胸の大きさで勝っていると無言で伝えてくるのです。チートなのです」


ハレンちゃんそれは使い方が間違っているよ・・。


「そんな事か、事実だ」


冷静に返されたハレンちゃんがヒルマさんにかかっていたが僕はナッハガイムさんが言った事が気になった。あの人は何を知っているんだろう。

支部長すら日数が足りなくてあんまり対戦相手の事は調べれなかったと言っていた。

ん?もしかしたら最初から知っていた?・・そんなわけないか!


「決勝開始1時間前になります!選手の方は準備をしてくださるようにお願いします!観客の皆様は早目にお席に戻るようにお勧めします!」


あの人のせいでずいぶん時間を取られた。


「では美紅、ハレン装備の確認をしておいたほうがいい。ナッハガイムの忠告みたいで勺だが次の相手は危険だ、何が起こるか分からない」


「そうですね、まず命を大切にしましょう。無理せず危なくなったら降参しちゃいましょう。優勝賞品は欲しいですけど、命のほうが大切なのは間違いないので」


「了解なのです」


「そうだな、だが言っておくぞ。今回の相手はもしかしたら私も殺める事になるかもしれない。二人も覚悟をしておいたほうがいい」


「ハレンは平気なのです。お婆様が言っていたのです、相手が命を取りに来た場合は取られても文句は言えないと!」


ハスさん可愛い孫になんてことを教えてるんですか・・正論だけど。


「僕も平気ですよ。あんまりそういう事は難しく考えないタイプですし」


「美紅は優しいから正直心配なんだがな」


「僕は優しくないですよ?」


「美紅様はお優しいのです!」


「あ、ありがとう」


二人はああ言ってるけど本当に優しくないんだけどなー。

僕がもし優しいとしたらそれは・・・。


そんな話をした後に僕達は会場に向かった。

会場にはさらにお客が詰め掛けて溢れかえっている印象を受けた。

そして回りを見渡すと豪華な服を着た人達もかなり増えていた。


「皆様!決勝戦のお時間が近づいてまいりました!これで我が国10周年の記念すべき催しの優勝者が決まります!それでは決勝戦の前に国王様から一言ありがたいお言葉を頂きたいと思います!!」


やはり大歓声があがった。

その歓声に答えてふくよかな大柄な国王が初日とは違うが贅沢の極みという服装で現れた。

その後ろには何人も同じ様に豪華な服装を着た人が着いて来ていた。

若い男性、若い女の子、あとはあれは、ん?・・奥さんかな?


「我が愛する国民達、そして他国からの賓客や来訪していただいている人々よ!我が国の一代行事も本日の決勝で最後で・・ある!少しやりすぎな催しもあった・・かもしれないがそれでも皆が楽しんでくれたと思っている!余はこの国がこれからも繁栄していくと確信している!他国と手を取り、また助け合う!そういった理想の国を国民と目指して行きたい!その為には国の者だけではなくここにいらっしゃって下さっている皆の協力が必要不可欠で・・だ。だが今はその為に皆で祝おうじゃないか!それではここにキューベレ10周年記念大会の決勝開催を宣言する!」


再度大歓声。

初日も思ったけどあの国王カンペ見てない?度々何かを確認するように下向くんだけど・・。


「それではすでに決勝進出チームは試合場にスタンバイできております!そして~決勝のルールを説明させていただきます!!!」


「え?勝ち抜きじゃないの?」


「私もそう思っていたが違うみたいだな」


「この大会結構意地悪なのです」


本当にそう思う。


「決勝戦のルールは勝ち抜きではなく1対1で順番に戦って頂きます!先に3勝したほうが勝ちでございます!」


ん?おかしいぞ?そこルール。


「先に3勝!!おかしいと思われたと思いますがその言葉通りです!最大4人ですので例えば2勝ずつで引き分けになった場合は戦える選手が再度戦ってもらい代表戦をしてもらいます!全て引き分けな場合ももしかしたらあるかもしれません!そう言った場合も戦える選手がいる限り3勝するまで終わりません!しかし3勝しなくても試合が決まる場合があります!それは戦える選手がいなくなった場合です!簡単に言えば~3勝するか降参!もしくは全滅させるかなのです!ちなみに勝ち抜きではございませんので同じ選手が連戦する事はできませんが戦える選手が残り1名になった場合に限り連戦は認めるものをさせていただきます!」


ふざけるな・・こっちは3人なんだけど・・。


「残念ながら決勝で戦って頂く2チームは人数構成が違いますがそれも大会のルールに乗っ取った醍醐味!最大4人補充は1回のみというルールなので仕方ない事です!蒼チームは3人ですがここまで勝ち抜いた猛者なのです!頑張っていただきましょう!それでは最初の方は試合場にお願いします!」


進行役・・お前は敵か!


「はぁ・・まさかここで人数の不利が出るとは思いませんでした」


「そうだが私達は3人だったからいつも不利を感じさせなかったのでそういった間隔がなくなっていたのかもな」


「平気なのです美紅様とハレンで3勝するのです」


「子猫・・ハスさんに酔っ払った事を手紙で送りつけるぞ?」


「にゃっ!!!!ヒ、ヒルマさん2勝ぐらいしちゃってください!ハレンは信じているのです!」


「それでいい」


嫌味を言ったのに思わない反撃を食らって手に平を返すハレンちゃん。

そんなにお婆様のハスさんが怖いのね。


「まぁルールを愚痴っても仕方ないですしとりあえず誰から行きましょうか?また僕から行きます?」


二人共、私が!ハレンが!で喧嘩しそうだしね。


「それだがな美紅、私が先に行く事に決まった」


「あれ?すんなり決まったんですか?珍しいですね」


「ぐっ、確かに多少揉めたがさっきの試合でハレンから行ったので次は私の番という理由だ」


「あ、なるほど」


「文句は言わないのでなにとぞお婆様にお手紙だけはやめて欲しいのです」


ハレンちゃんの鎧を掴んでヒルマさんにお願いしている。


「・・・そこまで怖いのか・・正直悪かった。アレは冗談だ」


さすがのヒルマさんも悪いと思ったのか素で謝っている。

ハレンちゃんに至っては胸に撫で下ろして安心していた。

まぁ・・二人共気づいていないかも知れないけど隠れ里の幻獣村に手紙を送る方法はないと思うんだけど。

それとも僕が知らないだけでもしかしたらあるのかな??


「それでは両選手前へ!!」


審判が選手を促す。


相手のチームから選手が前に出てくる。

出てきたのは町で見かけた女の子。

地味で真面目という感じな子だった、こっちの世界の服装が似合ってるけどたぶん『風』なんだよね。


「それじゃ行って来る」


「ヒルマさん無理はしないで下さい」


「頑張ってなのです」


「任せておけ」


武舞台上の丁度真ん中から数メートルの位置でお互いが止まる。

そして少しの睨み合い。



「始め!!!」



決勝戦第一試合が始まった。



「ソウちゃん今の話って脚色はないよね?全部本当の話だよね?」


「女神・・いやスィーニー様とこれからは呼んだほうがいいのか?あと我は頭が良いがはわからないが今話した事だけは鮮明に覚えているので脚色などはない。我の人生を狂わした出来事だぞ、そんな出来事をそんな簡単に忘れるわけがないだろ」


「なるほど・・。あ!あと呼び方はご主人様とかがいいかな!一度呼ばれてみたい呼び方トップ3にに入ってるし!」


「そう言われると呼びにくいんだけどわかった。ではご主人様、我は嘘は言ってない。信じてくれ」


「わかった、ソウちゃんはもう私の物だし信じるよ!」


「物扱いか・・」


ソウちゃんの話を簡単にまとめるとこうだ。

女神が来た、そしてソウちゃんの心臓を奪っていた。

そしてソウちゃんは死にはしなかったけど、ほとんど瀕死の状態で隠れるように潜んで回復を怯えながら長い月日を過ごした。

ここまでは最初に会った時聞いた話だったんだけど、問題はその詳細だった。


現れた女神との会話。

女神は最初にソウちゃんに優しい笑みで近づき騙した。

女神を警戒していたソウちゃんの心臓の琴線を奪って消えた。

その話を聞いて私はソウちゃんに女神は名乗ったと聞いたのだ。

ソウちゃんの話はこうだ。


「名乗ったというか名乗らせた。いきなり出現したので只者ではないと思ったが、名を名乗らないものなど信用できないと言ったら名乗ったのだ。女神マヴェーラといった」


ここで私は驚いた。

ソウちゃんを騙した女神、それは当然フレアナだと思っていたからだ。

ソウちゃんが騙された時の、このラザルカーナの女神はフレアナがやっていたはずなのだ。

なのにフレアナじゃない?違う名前を名乗った?でもなんでだろう。

不思議に思った私はソウちゃんにその女神の容姿を聞いた。


「我はあまり人というのか?小さき人種(ひとしゅ)というのを見たことがなかったが、ご主人様もそうだがあの女神も姿形は人種(ひとしゅ)だったな。髪の色が印象的だった。長いウェーブ、淡い緑と水色が混ざったようなそんな不思議な色だった。見ていると吸い込まれそうな色だった。そして今考えればご主人様と同じ様な雰囲気だったな。まぁ同じ女神だからか?とりあえず思い出したくわないが神秘的だったのは確かだ」


淡い・・緑のような水色のような・・。

違う、カナじいに見せてもらった映像・・フレアナの髪の色じゃない。

名前も偽名を名乗って、姿形まで変えていた?そこまですることなのかな?なんでその女神がソウちゃんを騙したのかはわからないけど・・確かに女神なら姿形を変えることが出来る・・はず。

あたしもその気になればたぶんできると思うし・・でも気になるのはその髪の色。

調べる必要があるかもしれない。

さらにそのあと詳しい話を聞いて考え込んだので私は無言になってしまっていた。

そして目の前いる者の声で現実に戻される。


「どうしたのだご主人様?話をしてからもうかなり黙っているぞ?も、もしや我何か気に障ることでも言ったか?もしそうなら謝る!ごめんなさい、すいません、申し訳ありませんでした!」


・・・長い時間考えちゃったみたいだ。

で・も・!そんなことよりなんでそこまで卑屈に謝るの!これから良い関係を作っていく使徒になんか怯えられてる!?おかしい・・最初からここまで完璧に優しくしたはずなのに。


「待って待って!別に怒ってないし!そんな謝られても困るし!言ったよね?あたしソウちゃん気に入ってるって!もっとこう二人の時は自然な感じでいてよ。あたし別にソウちゃんに酷い事するつもりないししてないし!使徒の仕事の時はしっかりした言葉使いとかはしてもらうけど、あたし実は気軽に話せる人と会話するの久しぶりで嬉しいんだからね。だからそういうのはやめてね」


「わ、わかったご主人様、あと酷い事してないってのは本当にそう思ってるなら我ちょっと驚いたぞ」


「え?してないよ?だってソウちゃんこれから幸せな人生?竜生過ごすし。絶対損はさせないから!」


「あの、それって我が決める事じゃない?」


「そうとも言うけど、ソウちゃんはもう一人の体じゃないからね?あたしの使徒!つまりあたしの物!将来の幸せもあたしと一緒に考えよう!」


「我の人生って・・一人の体じゃないか・・我いっぱい混ぜられたからな・・色んな意味で」


そんな可愛い事を呟いている目の前の使徒を見ながら、あたしは考える。

女神についての事を・・。

あたしはもっとこの世界、というよりこの世界の過去について調べる必要があるようだ。





ソウちゃんの幸せを祈る会を結成しようと思う( ー`дー´)キリッ


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