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決勝戦

仕事が忙しくて更新が(´;ω;`)ブワッ


なんとか頑張るのでよろしくお願いします(*゜ω゜)

僕はヒルマさんとハレンちゃんに緑色の鎧の人のメンバー、そばかすの男の子が『風』ではないかと話した。


「あのそばかすの人が美紅様以外の『風』の方なのです?」


「そうか『風』なのか」


「あれ?ヒルマさんやけにあっさりと受け入れたのです」


「私は美紅の言う事は無条件に信じると決めている、ハレンと違って!!」


「な、何て事を言うのです!ちょ、調子がいいのです!ハレンも信じているのです!一応確認の為聞き返しただけなのです!」


なんだが最近この二人が揃うと真面目な会話が出来なくなりつつあると思います。


「あの~」


「美紅様、ハレンはしっかりと聞くのです。どうぞ続きを」


「わ、私も聞くぞ」


「じゃあ話しますね。なんで気づいたかというと正直確信はありません。最後のあのそばかすの人が僕の元世界の言葉を言った気がしたのとあとはなんとなく・・としか言い様がないです」


「グラスと言う単語か?」


「それです」


「それが美紅様の世界の言葉なんですか?」


「たぶん?でもそれだけじゃ確信はないですけどね」


「他にはないわけか、こう一緒にこっちの世界に来たときに顔を見たとかはないのか?」


「うーん、ないですね。二人には話しましたけど僕だけ1人で全然違う場所に飛ばされたみたいですし、実はこっちの世界に来る時も他の人はいたみたいですど僕は会ってません。いや・・会っているんですけど顔を確認できたというか知ってる人は数人だと思います」


僕は恐らくこっちの世界に飛ばされているかもしれない幼馴染の顔お思い浮かべた。


「その中にあの人はいなかったのです?」


「いないと思う。でも雰囲気というか僕だけかも知れないけどあのそばかすの人はこっちの人じゃないって感じたんだ」


「なるほどな、美紅の言う通りに『風』なら同じ世界から来た美紅には悪い言い方かもしれないがあのそばかすはちょっと危険だな。能力的にも人格的にも」


「気を使わなくていいですよ?僕元の世界の未練とかそういう話ならもう結構希薄な感じですし、そもそも知り合いじゃないので親近感すらないですし」


「美紅様・・クールでカッコいいのです」


ハレンちゃん嬉しいけどそこは結構薄情者的な反応してくれないと。


「しかしあの能力、ギフトか。同じギフトが使える者として美紅はなにかわからないか?」


「うーん、ゴメンなさい。実はさっぱりでした。ガラス飛ばしてるな~ぐらいです」


「魔法と言う可能性はもうないのです??」


「ゼロとは言い切れないが私はそばかすとオス(メン)の会話をしっかりと聞こえていたしな。魔法だと言う事を否定していたし、それにあんな魔法は見たことも聞いた事もない」


「そうですか、あの人と戦う事になったらちょっと怖いですね」


「問題ないな、攻撃される前に倒せばいい」


「ガラスが飛んできても全部避ければいいのです」


・・・そうですか~出来るんですか~二人共簡単に答えるね~。


「まぁ、一概にはそう言えないがな、戦いは何があるかわからない。そばかすが出来る事がガラスを飛ばすだけじゃないかもしれないしな。両腕を斬り飛ばしたガラスの大きさは異常だったしな」


「最初に飛ばしてた破片等ではなく槍のように尖っているガラスを2枚ほど凄い速さで飛ばしていたのです。そしてすぐにガラスが消えたのです」


「自由自在か・・」


決勝が行なわれるのは3日後。


「美紅明日はどうする?」


「それなんですけど商会にもう一度行きませんか?」


「何か用があるのです?」


「使えるものは使って思うと思いまして」


「なるほどな、そう言う事か」


「はい」


「ハレンにもわかるようにお願いしたいのです!」


次の日3人で商人組合、通称商会に向かう事にした。

キューベレ支部一度宿を教えてほしいと初日来たがそんな事で商会を利用するなと追い返されるようにかえって来た場所だ。

確か~眼鏡の生真面目そうな若い副支部長のナッハガイムさんだったかな?非常に辛辣で追い返された記憶がある。

というわけで・・。


「支部長さんに話があるので呼んでいただけますか?」


僕は受付の人に商会の証明書を見せてそう言う。


「し、支部長ですか?」


はい、副支部長さん苦手なので飛ばして一番偉い人にコンタクトをとる!


「失礼ですがお約束はありますか?」


「ないです。ないと呼べませんか?」


「その様な事はありませんが・・少しお待ち下さい」


そう言うと受付の人は後ろに下がってしまう。

だがすぐに戻ってきた。

なんて者を連れて来るんだ、受付のお姉さん。


「いらっしゃいませ、支部長に会いたいとか。蒼の商店の皆さん」


副支部長ナッハガイムが現れた。

貴方は呼んでないんですけど・・日を改めたい。


「ええ、呼んでもらえますか?」


「どういったご用件でしょうか?」


ナッハガイムさんは営業スマイルでこちらに問いかけてくる。


「お前には用はない。さっさと支部長を呼べ」


ヒルマさん、ストレートすぎます。


「物騒言い方ですね、ですがこちらも予定がありまして。いきなり呼べと言われても困るんですよ」


「僕達も用があって言ってるのでお願いします、それとも支部長ともなると新米商人ぐらいが会いたいと言っても門前払いするほど偉いんですか?」


「実に嫌味な言い方ですね、もちろん正当な理由があればお会いできますが貴方達はまだ信用がない。初日のふざけた理由で商会を利用しようとしたもの含めて」


「そっちも嫌味な言い方ですね」


「お互い様でしょう?」


ナッハガイムさんは終始ニッコリと笑いながら話してくる。

ちなみにその笑顔は僕はいいけど後ろの二人の琴線に触れるので止めていただきたい。

僕はヒルマさんとハレンちゃんが文句を言い出す前に穏便に済ませたいのに。


「ナッハガイムさんは確か副支部長ですよね?」


「ええ、まだ若輩ですがこの支部で2番目に偉い副支部長の位を勤めさせていただいております。見えませんか?」


ドヤ顔で言うな。


「見えませんね」


「そうですか、厳しい意見ありがとうございます」


笑ってはいるが額に血管が浮き上がりピクピクしている。

そうそうそういう顔がちょっと見たかったの。

そして僕は妥協する事にした、ダッシムさんの言葉を思い出して。


『これを副支部長以上のお見せ下さい』


思い出した言葉と共に懐からコインを出すと受付に出す。


「支部長を呼んでください」


ナッハガイムさんは僕が叩き付けたコインを見ると眼鏡の奥の目が大きく広がって丸くなるのがわかる。

しかしその表情をすぐに元の胡散臭い笑顔に戻る。


「畏まりました。すぐに支部長に会えるように手配いたします。君、部屋に案内して」


僕達にそう言った後に受付のお姉さんにそう命令してナッハガイムさんはどこかに行った。

そしてそのままソファーのある部屋に通された。


「凄いですね、このコイン。あのナッハガイムさんが何も言わずにこれですよ」


「本当なのです」


「あれ以上に美紅に失礼な態度をとるようだったら私はあいつに何をしていたかわからないがな」


それを止める為にコインを出したんです。


暫く待っていると部屋のドアからやたら豪華な服装の男が入って来た。

しかし佇まいはよく紳士っぽ雰囲気が醸し出されている。


「お待たせしました。初めまして。この支部の支部長を勤めさせていただいておりますキャングスです。蒼の商店皆さんですか?大変珍しい物を示して私を呼び出したとか」


「始めまして、僕は一応代表になってる美紅と申します。なんか無理に呼び出したみたいですみません」


「美紅謝る必要はないぞ。普通に呼んでくれと頼んだのにナッハガイムとか言う奴が何を言っても理由を教えないと会わせないと言い張るからだ。どう考えてもこの支部の体制が悪いんじゃないか?」


ヒルマさん初対面でなんて失礼な事を!これからの雰囲気の為にそこまでに!


「これはこれは大変貴重なご意見を、ナッハガイムは仕事面では大変優秀なのでが少しだけ融通が利かない面がありますので申し訳ありません」


「き、気にしてないので別にいいです、それよりも」


「そうでしたね、まさかそのコインを見る事になるとは思いませんでしたので実は非常に焦っております」


「え?どう言う事ですか?」


このコイン貴重なの?ねえ?


「ふむ、その反応だと知らないのですね、まあいいでしょう。それで本日はどういったご用件で?」


いや良くないから!まぁいいか。


「調べてほしい事がありまして」


「どの様な事でしょうか?」


「その前に確認したい事が、このコインを使うと商人組合とは別に情報網が使用できるらしいのですけど本当ですか?」


「そうなってますね、一部の商人達が作った情報網ですので商会には関係ありませんので貴方達が知りたい情報は組合には洩れません、私と必要な場合副は支部長のみに留める事を約束しましょう」


「なら安心です、知りたい事は2つです。1つはこの大会がどういう意図で行なわれているかについて、あと1つは調べてほしいのは決勝参加者の情報です」


「なるほど・・貴方達は決勝参加者でしたね。私も大会は拝見しているので存じております。確かに相手の情報は知りたいでしょうね。ですが大会の意図と言うのは不思議な事を聞くのですね」


「そうですか?まぁただの興味本位ですよ。できれば明日までに知りたいのですが出来ますか?」


「出来ますか?と聞かれて出来ませんと答えるのは商人としてはプライドが許しませんね。貴方達がどういう理由でこの情報が知りたいのかはわかりませんが調べさせていただきます。ですが明日までだと手にはいる情報も限られますがよろしいでですか?」


「構いません、お願いします」


「そう言う事なら調べておきましょう、また明日来てください。今度はお名前さえ仰っていただければ私に話が通るようにしておきますので」


「わかりました」


話が終わったので僕達は商会の外に出た。


「あの、何故あんな事を頼んだのです?」


ハレンちゃんが不思議に思って僕に疑問を聞いてくる。


「うん実はね、2つ聞いたけど1つ目大会の意図とかが実際どうでもいいんだよ。本当に聞きたいのは緑の鎧の人の事とそのメンバーなんだけどね。この情報網使うのって初めてだからどの位凄いのかを試そうと思って2つ聞いたんだよ」


「そうなるとなぜ大会出場者の情報なんて大まかに聞いたのです?普通に緑の人の事を調べてほしいと聞いた方が詳細な情報が集まるのではないのです?」


「ちょっとは自分で考えろハレンそんなことをしたらそいつだけを私達が警戒していると思われてしまうだろ」


「それってどういうことなのです?」


ヒルマさんが指を立ててシッと静かにしろというポーズを取る。


「おい、そこにいる奴出てこい・・・ばれてないと思っているのか?・・反応がないな。ハレン誰だかわかるか?」


「たぶん副支店長さんだと思うのです。その建物の角にいると思うのです」


そういうと観念したのかナッハガイムさんがすっと建物と建物の間から現れる。


「貴方達は本当に商人ですか?冒険者に転職した方がいいのでは?」


「そっちは覗きと盗み聞きですか?ストーカーにでも転職したほうが良いんじゃないですか?」


「辛辣なアドバイスありがとうございます。ですが今のところ商人として成功しておりますのでそのつもりはありません」


かなり酷い口調で言ってやったのに営業スマイルが消えない、図太いのかな?


「それで何のようだ?覗き魔。美紅が狙いか?」


なんで真っ先に僕が狙われてるんですか?ヒルマさん。


「聞きたい事がありまして」


「聞きたい事があるなら盗み聞きをする必要はないのです」


「・・・貴方達3名は非常にいいチームですね」


「それはどうも」


「嫌味で言ったのですが?」


「受け取る人が嫌味と思わなきゃ嫌味じゃないので喜んでおきます。それで何が聞きたいんですか?素直に答えるとは限りませんけど」


「先ほどお見せに頂いたコインはどこで手に入れたのですか?」


「なんだ思った質問と違ったな。てっきり何を頼みに来たのかと聞かれると思ったが」


「それは別に知らなくて結構です。どうせ支部長は私に話して下さるでしょうし」


「信頼されてるのですね」


「そういうわけではありませんけどね。で?私の質問には答えていただけるのでしょうか?」


「却下です」


僕は即答した。


「理由をお聞きしても?」


「ナッハガイムさんに言わなきゃいけない理由をお聞きしても?」


「まぁ、良いでしょう。ですが親切心で助言をさせていただきましょう。貴方達はもう少し細かい事に気を使ったほうがいい」


一方的にそう言うとナッハガイムさんは店のほうに向かって歩いていった。


「あの方は何が言いたかったのです?」


「さあな、自分は胡散臭いって言いたかったんじゃないのか?美紅はどう思う?」


「うーん、わかりません。あの人は笑顔が嘘くさいので気にしても仕方ないかと思います。知りたい事は伝えました、明日また来ましょう」



--------------------------------------------------------------------------------



「それで調べて頂けました?」


「ええ、もちろんですとも。現在この大会の運営は穏健派と過激派の2つに分かれておりましてそれぞれが種目決めておりますね、決勝は過激派が仕切るので派手なものになると思われますよ」


「ふーん、商人共が集まって作った国のクセに過激派とかいちゃうのか」


「商人というのも色々なジャンルがございますので、それに全部が商人というわけではありませんよ」


「そうだったね。参加者に危険そうなのはいる?見た感じだと雑魚ばかりだったけど」


「そうですね、アマゾネスの一団が優勝候補に挙げられているそうです、もちろん貴方達も他には女の3人組がいますが小ざかしいだけですね」


「小ざかしい?」


「出場者の情報を集めているみたいです。まあ、適当な情報を流しておきますよ」


「なーるほど、でさ、お目当てのものだけど見つかったの?」


「はい、やはり優勝賞品の中にあると思われますね」


「やっぱりか、まぁそれしかないか」


「お役に立てず申し訳ありません」


「その辺は自分達でやるよ、君には情報面で役に立ってもらってるからね。あとは最後の事後処理をお願いするくらいかな」


「それは出来ますがどうか穏便にお願いします」


「穏便にする方法ってあるの?」


「ではお静かに」


「善処するよ、ではまた来るよ。仲間を待たせてるからね」



--------------------------------------------------------------------------------



次の日の朝僕達は再び商会の昨日通された部屋にいた。

目の前には支部長さんがいる。


「さっそくですが集まった情報をお渡しします」


「お願いします」


「まず1つ目この大会が行なわれた意図ですが10周年の祝いですね」


「いやそれは誰でも知ってますから・・」


この程度なの?この情報網って・・。


「勘違いしないで頂きたいまだ続きます。この大会は現在大会上層部で賭けが行なわれております」


「賭け?」


「はいギャンブルの賭けでございます。内容は誰が優勝するかでございますね。申し訳ありませんがなぜ賭けが行なわれているまではわかりません」


「え?国民は賭けてないんですか?」


「まさか、10周年記念でその様な事はしませんよ。賭けているのは王族とそのこの国を仕切る貴族達ですね」


「なんでそんな偉い人達が賭け事してるんですか?」


「申し訳ありませんが先ほども申したようにそこまではわかりませんでした。昨日言ったように1日では流石に・・」


「あ、気にしないで下さい。では続きをお願いします」


別に1個目はあんまり興味ない情報だしね、賭けは驚いたけど僕達に関係ないと思う。

問題は2つ目かな。


「2つ目は出場者についてですね、6組いますが優勝候補はアマゾネスの一団が最有力となっております。続いてリーダーが緑色の鎧のチームですね。そして魔法士の一団、続きまして貴方達が人気です。そして次が貴方達に負けたチームの方々、そして最後はこの方達はあまりパッとしないので調べるに値しないと判断しました」


「それだけですか?」


「それだけとは?」


「例えば使う武器とか技とか詳細はわからないのかと聞いてるんだ」


「そういうことです、あとはどこ出身とかがわかれば色々対策がうてるんですけど」


「なるほど、アマゾネスの方々は戦闘種族なだけあり優勝候補と言われる実力揃いです。生まれつき人種の中では女性とわ思えないぐらいに身体能力に優れ、幼少の頃から戦闘技術を培います。使う武器もさまざまなものがありますが何でも仕えるように訓練しているらしいよ。他は残念ながら細かい情報はわかりませんね、ただ緑の方のチームは若い方が多く不思議な雰囲気をしているらしいと報告が入っております」


「まぁ、一日じゃそんなところか」


「仕方ないのです」


「あの~これを調べたのって組合員の方ですか?」


「そうとも言えますしそうでないとも言えます。洩れるようのない様に細心の注意を払い、本当に何を調べているかは調べさせているものにもわからない様にカモフラージュして調べさせておりますのでご安心を彼も信用できますし良くやってくれました」


「彼ってナッハガイムさんですか?」


「ええ、彼は副支部長なので聞かれたら話さない訳には参りません。昨日聞かれましたので話して情報を集めさせました。もちろん口外するなと言い含めておりますのご安心を、守秘義務という奴です」


「そうですか、本当にたった1日で色々ありがとうございました。それではこれで失礼しますね」


「いえいえ、いつでもお使い下さい。それはそういう物ですので」


支部長は笑顔で僕達をお店の外まで見送ってくれた。


「あまりいい情報はもらえなかったと思うのです」


「そうだな、ダッシムさんには悪いがこの程度の情報網なのかと思ってしまったな」


「まぁたった1日ですし、適当な情報を求めただけですしね。お試しで使ってみただけですよ。でも知りたいことは知れました」


「え?何か肝心な事教えてもらってもらっていたのです?」


「何か違和感があったと思います。本当にちゃんと調べたの?みたいな感じでした」


「つまり調べた奴が悪かったと言う事か?」


「それはわかりませんけどね。でももうちょっとこっちがしっかりしないといけないのかもしれません」


「ハレンはちょっと意味がわからないのです」


「うーん、僕もうまく説明できないけどそのうちわかると思うから気にしなくてもいいよ」


「美紅がそういうならそうなんだろうな」


「美紅様を信じて待っているのです」


「それでお願いします。それより明日の決勝の事のが大事ですしね」


「それだな、ちょっと気になってることがあるんだが私達は3人だ、つまり一人少ない。もし決勝が4人有利だったらというのを考えていたんだ」


「それはハレンもちょっと考えていたのです」


それは僕も考えていた。

でも僕は信用できない人を仲間に入れる気はまったくないのでこの3人でいいと思っている。

正直僕って他人に心を開くの苦手だし、努力しても時間がかかる。


「平気ですよ、僕はヒルマさんとハレンちゃんを信用してますので3人ならなんとかなると思ってます」


「美紅・・抱きついていいか?」


「美紅様・・匂い嗅いでいいですか?」


「街のど真ん中でやる行為じゃないので却下です。というか街の中じゃなくても却下したいです」


「ところであれなんでしょう?」


ハレンちゃんが指を指すと人が集まっている場所がある。

誰かを囲んで丸い囲いのような物が出来ていた。


「はあはあはあ、少しでいいから!!お願いでござる!ちょっとだけ先っぽだけでいいから!」


なんだ・・気持ちの悪い不審すぎるセリフが聞こえてくる。


「ちょっと!やめておきなさいって!目立つなって言われてるでしょ!!」


「限界でござる!せっかくこの国には拙者の理想がたくさんいるのにずっと我慢してるのござる!もう禁断症状が出てるのでござる!理性という鎖などクソ食らえでござる」


「もう気持ち悪いな~、私が叱られるんだよ?怒ると怖いんだからね!あの人」


「少し少しだけ!本当に先っぽだけだから!」


「先っぽの意味がわからないから!本当に駄目だって!粛清されちゃうよ!」


騒ぎの真ん中には女の子と男の2名がいた。

女の子の方は地味目な感じでまともそうだ、でも男のほうは太っていて興奮している。


「ああああああ!行かないでほしいでござる!」


「ちょっと追いかけちゃ駄目だって!戻るよ~!」


その場から逃げだしたのは恐らく獣人の子供。

危ない目にあったのか凄い必死な形相で走り去る。


「あああ・・我輩の我輩のせっかく会えた心の安らぎぃぃぃぃ」


なんて大声だ。


「美紅様あれはなんなのです」


「美紅覚えているか?あれはあいつ等と一緒にいた奴等だ」


二人が僕に何故聞いたかと言うとあれの二人は見覚えがある、緑の鎧の人とそばかすの人と一緒にいたメンバー。つまりあの人達は緑の人のチームだと言う事だ。


「信じたくないですけどあの人達も『風』かもしれません」


「あの男はなんで興奮いるんだ?そして逃げた獣人を追いかけようとしているんだ?」


「しかも後ろから連れの人に服を引っ張られているのに這ってでも追いかけようとしてるのです。怖いのです」


「・・・たぶんですけどあれは獣人好きの人です、ケモナーという奴です」


「ケモナー?なんだそれは?」


「僕の元世界の言葉です。僕のいた世界にはハレンちゃん達みたいな獣人はいませんでした。でもそういった種族がいるかもしれないという概念はありまして・・いない獣人を想像して求めすぎて大好きになった・・いやいないからこそ愛しているまでに昇華したと申しましょうか・・こっちの世界のお二人には何を言ってるかはたぶん理解できないと思いますが、獣人に全ての理想を勝手に押し付けて愛してる人達をケモナーと言うらしいです」


「・・そうか美紅の世界も大変だな。よかったなハレン、お前達獣人は存在しない世界にも大人気だ」


「そ、そんな人気はいらないのです」


ハレンちゃんはちょっと嫌な顔をして動揺している。


「遠慮するなハレン、あの獣人に逃げられて残念がっている変態に愛を与えてやってはどうだ?」


「絶対嫌なのです!」


「ちなみにヒルマさん、サモナーみたいな特別な言葉は存在しなかったと思いますがダークエルフ好きも結構いたと思いますよ?」


「み、美紅の世界は変わっているな」


「ヒルマさん愛を与えに行ってはどうなのです?」


「行けるか!!」


どうやら二人にいらない情報を与えてしまったようだ。

そして騒動を起こしていた二人はどうやらやっと静かになったようだ。


「ほら帰るよ!明日は本番なんだから!」


「クソ~!絶対願いを叶えるでござる!待っていろ我輩の愛する獣人達よ~」


なんて危険な奴がいるんだ・・最後発言でハレンちゃんが怯えているじゃないか。


「あの人と戦う事になったらハレンは初めて人を殺めてしまうかもしれないのです・・」


「「いいと思うよ?」ぞ」


僕とヒルマさんの回答が重なった。

あれは殺めた方がこっちの獣人の人の為になるに違いない。


その夜は明日の準備をしっかりしてから過ごした。

そして決勝の朝になった。


決勝会場、国の中央広場。

お城の前にある大きい敷地に1つの武舞台が用意されていた。

どうやら3日かけて準備したらしい。


そして開始のアナウンスが流れる。


「さて皆さんついに決勝戦でございます!決勝は6組のトーナメントで行なわれます!シードが2組ありますので4組の試合つまり2試合ほどが先に行なわれます!只今チームの代表がくじを引きましてトーナメント表が完成いたしました!1回戦はBのステージを1回目で勝ち上がったチーム青と同じくBステージ1回目では負けたが2回目で勝ち上がったある意味雪辱戦になりますチームの対戦になります!2回戦はこちらも同じAステージの1回目と2回目で勝ち上がったチームの対戦になります!どちらも雪辱戦そして勝ち上がった方がシードチームとの対戦!になりますのでお楽しみ下さい!ではさっそく1回戦を始めたいのでルール説明をさせて頂きます!」


最終日のせいか観客もさらに多い感じがする。

大歓声、それで人の多さがわかる。


「ルールは簡単!実力を全て出していただきたい!それだけです!武器防具ともの制限はありません!魔法もダンジョン石も制限がありません!強いて言わせていただければさすが回りを巻き込むような魔法、国を破壊するような技は禁止ぐらいです!己の対戦相手を倒す事に集中していただきたい!もちろん生死は問いませんが審判がおりますので危ない場合は試合を止めるのであしからず!もちろん参ったをしていただいた場合も止めさせていただきます!そしてその他のルールですが勝ち抜き戦にさせて頂きます!1チーム4人ですが試合を進めるごとに戦えないメンバーも出てくるでしょう!4人いないメンバーもいるでしょう!それを考えての勝ち抜きにさせて頂きます!ルールは以上!ルールはそれだけでございます!それでは頑張って下さい!」


再度大歓声が起こる。

僕達はそんな中で1回戦になってしまったので準備と作戦を話し合っていた。


「勝ち抜きらしいです。どうしましょう?」


「ハレンが全部勝ち抜いてくるのです」


「いや私が行こう」


「ハレンが」


「私が」


もうすぐ試合なのに目の前ではハレン、私の言い合いが開始された。

なぜここまできて喧嘩を・・。


「ハレンはまだ体力がないだろう!」


「ヒルマさんこそ魔法を使いすぎてあとの試合で使えなくなったらどうするのです?」


「調整すれば問題ない!」


「ハレンも体力を調整すれば問題ないのです!」


・・・どっちも譲る気がないのね。

まぁここでどっちか味方をしても角がたつしなー。

いやジャンケンという方法も・・の前のこの世界ジャンケンあるのかな?


「ヒルマさんはハレンが負けたらお願いするのです!」


「ほう、負けるつもりなのか?ならすぐ出番だな」


「違うのです!つまりヒルマさんの出番は永遠に来ないと言う事なのです!」


「そんなわけあるか!美紅何とか言ってくれ!美紅?」


ヒルマさんに呼ばれたけど僕はもうそこにはいなかった。


「美紅様!」


僕は武舞台の上に立っていた。


「み、美紅!?」


「お二人が争っているうちに選手は上がって下さいって言われたので上がりました」


「美紅危ないぞ降りて来い!」


「美紅様そこは危険なのです!」


二人共これから試合だし危険なのは当たり前だよ、なんか二人の言い方は危険な高い場所に上がっちゃった子供に注意する感じなんだけど・・恥かしいからやめてねその言い方。


「オイ!あの青い鎧の奴を出せ!」


後ろの二人の僕を心配する声を背中で聞きながら対戦相手が声をかけてくる。

対戦相手はヒルマさんにバトルロイヤルで負けた魔法士の人。


「いや出せって言われても困るんですけど、勝ち抜き戦なので僕を倒せばヒルマさんとは戦えると思いますけど・・」


「それもそうだな、おい審判!さっさと始めろ!」


いやまだ待ってよ、心の準備が・・。

そしてアナウンスが流れる。


「さて決勝1回戦の最初の2名の選手が武舞台上に現れました!バトルロワイヤルで素晴らしい魔法を見せた魔法士の選手と~、こちらは出てくるのは初ですね!顔は残念ながら見えませんが赤い小さな選手!女性の方でしょうか?しかしここまで勝ち進んできた選手!最初の出てきた信頼されている選手!弱いわけがありません!それでは審判の合図で始めていただきます!どうぞ!」


いや・・信頼はしてくれてると思ってます。

でも出てきた理由は仲間が喧嘩してたのでです。

そんな事を思っていると審判の手が上がる。


「それでは~!始め!!!」


その始めの合図と共に観客も沸きあがる。

思えばこんなたくさんの前で戦うのは始めてた。

まぁ、僕はこういうので緊張するようなタイプじゃないので問題はないけどね。


「死ね!!!」


死ぬか!

目の前の魔法士からはヒルマさんがよく使いヒルマさん線でも使っていた直線上の紫電。

来ると思っていたので避けることに成功。


僕はそれを避けて剣を抜いて魔法士に向かって走り出す。

僕は一応遠距離攻撃がない事になっているので接近しないと勝ち目がないと言う事になってるしね。


「やはり剣士か!馬鹿め近づかせると思うか!」


そのセリフと共に距離を取るように魔法士の女は後ろに下がる。

そしてローブの袖から杖をだした。


「美紅気をつけろ!さっきと違う魔法だ!」


後ろでヒルマさんが助言言ってくれる。


今度僕を襲った魔法は同じ雷だったが杖から広範囲に発射される魔法だった。

僕は魔法士に向かって走りながらその魔法をスライディングで潜って回避する。


「素晴らしい選手です!相手の魔法士が繰り出す魔法をことごとく避けて距離を詰めております!」


会場では解説のようなアナウンスが流れていた。


「お前この魔法を見たことあるな?」


僕が避けるタイミングを見たせいか敵はそんな事を言ってきた。


「えーっと疲れるのであんまり戦いながら話したくないんですけど、貴方の使ってる魔法はヒルマさん、貴方を倒した僕の仲間が使ってるのを何度も見ているので」


「あいつの方が強いとでも言いたいのか!?」


何を今更言ってるんだろう。


「貴方負けたじゃないですか」


「あれは油断したんだ」


「そうですか・・」


会話しながら僕はかなり距離を詰めていた。

僕あと少しで剣が届く距離まで詰めてきている。


そして遂に僕は剣が届くと判断する距離にまで迫ったと確信した!

相手は魔法士、僕より早さも体裁きも遅いし下手だ。

僕は剣を振り上げ攻撃する。

しかし剣は受け止められた、杖によって。


「よく頑張ったな。しかし杖ので受けとめたのに杖に傷すらつけれてないぞ?ナマクラかその剣は!そして私の勝ちだ!」


勝ち誇ったセリフと共に魔法士の体が光る。

体から電気を放出させている。

その電気が接触している僕の剣を伝わり僕も感電する・・予定だったらしい。


カラン・・と地面に何かが落ちる音がした。

落ちたのは剣。

僕は杖で剣が受け止められてから相手の言葉を聞いてすぐに剣から手を離していた。

目の前には僕が感電すると思って笑顔で両手で杖を前に出して防御体制で固まっている魔法士。


「へ?」


僕はゆっくりと魔法士の体が電気で光らなくなったのを確認してお腹に拳を叩き込んだ。


そして魔法士の女の人は苦痛の表情を浮かべてドサっと前方に倒れこんだ。



「蒼のチーム!1人目勝ち抜き!!!」



それを見た審判がそう叫んだ。


「おーーーー!」


光納まった。

あたしより少しだけ小さいかな??って感じの子がそこにはいた。


「うう・・我はどうなったのだ?なんか体も軽いし違和感が凄い」


そりゃそうだよ、わたしの思い通りに転生させたんだし。

それにしても・・1つだけ思い通りに・・いや思い違い?予定外があったみたい。


「ねぇ、メスだったの?思いっきり胸あるんだけど!!」


「メスで悪いのか?というか女神様なのに気付いてなかったの?それより我はどうなったのだ?」


「ドラゴンの生態とか雌雄の見分け方とかなんて知らないし・・あ、ゴメンゴメンこれどうぞ」


あたしはドラゴンさんの前に鏡を出現させた。

ドラゴンさんは鏡を見ると・・。


「誰だコレ・・」


「貴方だよ」


「嘘・・」


「本当本当可愛い可愛い」


「何て事をしてくれたんだ!人間じゃないか!」


「え?違うよ~、羽あるじゃん?角あるじゃん?尻尾あるじゃん?ちっこいけど牙もあるじゃん。あと胸もちゃんと膨らんでるし」


「そういう意味じゃない!我はここまで変わるとは思ってなかったのだ!」


「まぁ転生だからね。こう新たな生物に変わる感じ?よくわからないけど新たな人生のスタートおめでとう?あ・・元には戻れないからね?戻せても戻さないけど」


「簡単に言うなぁぁぁぁ!こんな小さく弱そうになってしまってこれから我はどうすればよいのだ!それに我は一体何にされたのだ!」


「どうすればって、あたしの使徒生活の始まりだよ。あとどうなかったって?ドラゴンをベースにして色んな種族の細胞を混ぜました~。一番多く混ぜたのが人種、次に獣人を少々、あとはあたしの使徒だからあたしの素材をサービスで入れておいたかな。あとは細かいので言うと魔物系?」


「そんなわけのわからない物をいっぱい・・我は一体何にされたのだ・・色もなんか黒じゃなくなっているし・・」


「黒じゃん」


「髪だけだろ!!」


「まぁ、ちょっとしか入れてないあたしの素材が強かったのかな~さすが女神!青い肌とかカッコイイじゃん!あたしの目論見通り!」


「お前のせいかぁぁぁ」


「イエス!!」


「うわ~~~ん」


「そうだな~、種族的に名前をつけるなら竜神?一応神の使徒だからそれで行こう!」


「カッコイイ名前をつけても騙されないぞ!我はごちゃ混ぜの混ぜ混ぜだぁぁ」


小さく可愛くなったドラゴンさんはうえんうえん泣いている。

しかし、何か違和感があるな。


「そうだ!名前だ!」


「・・・名前は竜神って言ったじゃないが」


泣きながらいじけている元ドラゴンさんはそう答えた。


「違う違う。貴方の名前だよ!名前なかったみたいだし新たな人生の門出にあたしはつけたげるね!喜べ!」


「いやいいです。変なのつけられそうなので」


ドラゴンさんは一瞬で泣き止みお断りの返事をした。




無駄だ、蒼は絶対つけるよ(*´・ω・*)

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