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開催

ちょっと期間あいちゃいました。


では感想、評価お待ちしております(*´・ω・*)ドウゾ


たまたま行った魔道具屋さんの店主のドワーフさんから僕の剣の事を聞いてから2日経過した。

僕達は特になんの進展もないまま国をぶらぶらと歩いていた。


「美紅様あっちから良い匂いがするのです、あっちへ行きたいのです」


「美紅あっちに美紅に似合いそうな服があったんだ、買いに行かないか?」


僕は左右から腕を引っ張られてます。


「美紅様はハレンと甘いものを~~!」


「美紅には常に可愛くいてもらいたいだろ!」


「痛いんですけどー!」


あとハレンちゃんさっき食べたばかりでしょ!そしてヒルマさんが選ぶ服って女性物だよね?なんで自分はラフな格好しか部屋でしないのに人を着飾ろうとするの?


「オイ!急げ急げ!」


「始まるぞ!とうとうきたんだ!」


ん?なんか周りが騒がしい。


「どうかしたんですかね?みんな同じ方向に走っていってますけど」


「どうやら美紅とうとう国を挙げての行事と催しとやらが何か公表されると騒いでいる」


「おー!ついになのです」


「僕達も行きましょう。この方向だとお城前の広場ですね」


「そうだな」


「急ぐのです」


城を囲み人が集まっている。

凄い人数だった何千という人がいるかもしれない。

そして城のエントランスから数人の人影が現れた。

あの一番奥の人が王様かな?なんかでっぷりしてて王冠被ってるし。


「あれが王だな、贅沢してますっていう体型だ」


ヒルマさん流石です、そんなはっきりと・・。


そしてちょっとハゲた豪華な服装の人が一番前に出てきた。

そして魔法か何かだろうか大きく拡張された声がまわりに響く。


「国民の皆様方!そして今回の為に我が国まで来訪された方々!我が国の建国から10周年の祝いの為に集まっていただき感謝しております。この様な素晴らしい日が晴天に恵まれた事とともにこれから行う催しが成功する事を願って最初の挨拶とさせて頂きます。では初代国王であられるワグル=モガル1世より皆様にお言葉が与えられます」


そう言うとやはり王冠をかぶった体型いい男の人が前に出てくる。


「ご紹介に預かりましたワグル=モガル1世で・・ある。今日この日を迎えれたことを女神様に感謝しま・・する。私が言う事は1つだけだ。明日開催される我が国の大会は平等である!今この国にいる者はそれぞれ立場があると思う!他国の商人、他国の貴族、王族もいるかもしれま・・しれん!この国で立場がある者いるであろう!しかし我が国は自由を目指す国です・・ある!明日の大会は立場など権威などとは無縁のもので・・ある!そんな凝り固まった物を捨て明日は頑張ってくだ・・くれ!再度言おう!明日は皆この国では平等である!」


「「「「「おおおーーーーーーーーー」」」」」


王の演説に答えたのか国民、その場にいる人達から歓声が上がる。

それを見て聞いて満足したのか王様はにっこりと笑って後ろに下がった。

そして最初に挨拶した人がまた前に出てくる。


「では皆様が待った明日開催される催しについてご説明します。皆様待ったことでしょう!不思議に思った事でしょう!なぜ国を挙げての催しなのに内容がまったく公開されないのか?なぜ今日まで公開されなかったか?それには当然理由がございます!単純な理由でございます!できる限り対等、平等にするためなのです!前もって内容を公表してしまえば当然差が出ます!力のある者、財力のある者!そういった人達が先に準備して差をつけてしまうからです!しかし我が方にも多少の情報漏れもあったことでしょう!それは申し訳ありません!しかしそれは運で跳ね返していただきたい!」


長い前置きだけど言いたい事は凄くわかった。

王といい、この行事への意気込みといい、この国は平等ということに拘っている。


「先に断っておきます!運と言ったのはこの大会参加には運が必要不可欠だからです!そして一切の批判や文句は受け付けません!それがどんな立場にいる者であろうとも!それではご清聴ありがとうございました!」


え?終わり?大会とやらの内容は?

そう思っていると今度は別の男が前に出てきた。


「皆様私が大会を仕切らせて戴くこの国の将軍を拝命している者です。それでは大会の詳細を発表いたします。明日の内容はお知らせできません、しかし参加者だけは発表させていただきます」


その言葉に再び周りがざわめく。


「参加者?どういうことだ?」


「全員参加できるではないのです?」


「なんかもう決まってるみたいな言い方じゃなかったですか?」


「そんな言い方だな」


そして続きを話しはじめた。


「皆様はすでに参加資格を持っております。いえこちらで選別させていただきました。思い出していただきたい。この国入国される時に皆様には記念品を渡したと思います。それが参加資格になります。しかし全員ではありません。あの木彫りの人形の中に赤い玉が入っております。それが参加証明になるです。つまり当たりというわけです。中に何もない者は参加すら出来ません!」


これを聞いた周囲のもの達の反応は様々だった。

当然物凄い批判の声が飛ばされたりもした。


「不満な方もいるでしょう!すでに捨ててしまったと言う方もいるでしょう!それは自業自得と言うしかない!探して拾いに行くといいでしょう!そして一つ注意しておきましょう、人形は割ってはいけません!明日大会受付に割らずにご提出ください。中から音がするのが当たりです。そして他人への譲渡も不可です!記念人形には一緒に見せた身分証の名前をドワーフが使うインクで小さく書かせて頂きました。つまり人形と身分証が参加資格になります!これが運なのです!最後に宰相様の言葉をもう一度言いましょう!苦情!批判!一切受け付けません!それでは皆さん大会は明日の早朝開催です!言い忘れました、1つの参加資格に付4人まで参加可能です。当たらなかった方も参加資格がある方のチームに入る事も可能なのです!ではこれにて説明は終わります!」


そう言うと歓声とともに怒号が飛んだ。

参加資格がその場であるとわかったものは喜び。

ないとわかったものはふざけるな!と叫ぶ。


しかしそんな事は意に介さず王様や宰相は城の中に戻っていった。


「とんでもないな」


「そうですね、参加するため何日も前からにここまで来たのに普通に参加できないとわかったら普通は怒りますね」


「美紅様が貰ってた記念品って音がしてませんでした?」


「してたね、なんかカラカラいってたね」


「うわ、では当たりなのです!ハレン達は参加できるのです!」


「そうだね、運が良かったね」


「いや、そうでもないぞ?」


「え?どういうことですか?」


「そうか・・二人は聞こえてなかったか、小声だったしな。あの門番はわざと当たりを選んで美紅に渡したんだ。門番は人形に身分証と一致する印を記載するから詳細を知らされていたんだろうな」


「え?あの門番さんたちは僕にわざと当たりをくれたんですか?」


「そうなるな」


「なるほどなのです」


「何がなるほどなの?」


「美紅様、あの門番さん達は美紅様が好みだったのです」


「そういうことだ、美紅がタイプだったから職権乱用して当たりを渡したんだ」


「・・・ヘーー」


複雑すぎる!蒼の体じゃなかったら絶対ありえない出来事だし!


「美紅の可愛さで運を掴んだというわけだ」


「さすが美紅様」


不正みたいで喜べないんですけど!!


「・・・とりあえず僕達は参加できるみたいですし戻りますか」


「そうだな、これから国は荒れるからな。見ろこの町の兵士が城からいっぱいでてきた」


「本当なのです」


「なるほど・・さっき言ってた普通に捨てた人とか当たらなくて普通に不正を考えたりする人が国の治安を悪くしないように兵士の人達が出てきたわけですか」


「そういうことだな」


「でもなんでこんな方法を取ったんでしょう」


「たぶんだけど人数を絞るためと本当に運試しだよ、つまり遊び心も入ってるんだよ。この国は貿易の商売で出来た国だからね。城に勤めてる人の中に元商人とかいそうだからね」


「美紅の言う通りかもな」


「と、とりあえず別荘まで戻りませんか?本当になんか荒れてきたんですけど!」


周りでは何人もの人がすでに兵士に押さえつけられていた。


別荘に戻り僕は参加資格の人形を振って遊んでいた。


「こんな木彫りの人形が参加賞だなんてわからないですよね」


「そうだな、貴族なんかはみすぼらしいと言ってすぐに捨てそうだな」


「ありえそうなのです」


「それにしても結局参加資格だけで大会ですか?そっちの情報はまったくでしたね」


「それだな、明日にならないとわからない時点で困るな」


「何を用意していけばいいのかさっぱりなのです」


「そうですね、まぁダメもとですし適当に行きましょう」



次の日僕達は大会受付が国の東門にあると聞いてそこにいた。


「まったく、何時間待たせる気だ」


「まあまあ、参加者人数を絞ったといってもそれでも相当数ですし」


待つこと2時間近く、まだ行列が出来ていて順番は回ってこなかった。


「やっとなのです」


参加資格を見せると承諾されて人数分の番号が書いてあるバッヂを渡される。


「あれ?すいません僕達3人なんですけどバッヂが4つあるんですけど」


「ああ、人数は最大4人までですから途中で補充が認められるんですよ。でも何度も補充は認められませのでご注意を減ったらそのままです」


「わかりました」


減ったらとかなんか嫌な言い方だね、危険な大会なのかな?


「あとこちら誓約書です。代表の方のサインをお願いします」


「誓約書?ってなんですか?」


「参加者の方に何があってもこちらでは責任は取らないって誓約書ですよ」


あー・・危険な大会決定!


「ヒルマさんハレンちゃん、ここまで来てなんですけど、なんか物騒っぽいですけどどうします?」


「命の危険があるかもしれないといっても所詮記念の大会だろ?私は別にいいぞ」


「ハレンもせっかく出場できるのにここで参加しないのはないのです」


「おっけー・・書きました」


僕は誓約書にサインすると受付の人に渡した。


「確かに、ではもうすぐ開催されますのでお待ち下さい」


「まだ始まらないのか・・」


ヒルマさんが嘆く。


しかしそのあと派手な服を着た男が大会本部っぽい場所からすぐに登場した。


「お待たせしました。これよりキューベレ建国10周年記念大会を開催いたします。参加者は1349組まで確認されました。運がなく参加できなかった方もいらっしゃるでしょうがまだチャンスもあるでしょう!我が国の王や宰相様も見ておりますので頑張って下さい」


貴賓席っぽい場所を見ると昨日見た王や宰相らが手を振って応えていた。


「では皆さんお待ちかね!本大会の賞品を発表します。本大会は10位まで賞品が与えられます。10位から5位までは賞金1000万、5位から1位までは賞金に加え希少な品をご用意しております。まず5位の方には賞金1500万とダンジョン石を2つ差し上げます。そして4位の方は2000万とダンジョン石を3つ差し上げます。しかし属性は選べませんのでご容赦を!」


「凄いですね~、入賞したらそんなにたくさんもらえるなんて」


「だが美紅、参加者多すぎないか?1349組だから1組4人参加可能なので最大5400人近くも参加者がいると言う事だぞ」


「ヒルマさん5396名なのです」


「う、うるさい子猫!」


ハレンちゃん細かいよ、さすがにヒルマさん恥ずかしがってるし。


「まぁ、僕達みたいに3人しかいない組とかもしかしたら1人で参加とかいるかもしれないですしもっと少ないかもですし」


「まぁな」


進行役の人が続きを話す。


「さて続いて3位です、賞金は3000万にダンジョン石を3つ、さらに我が国の魔道具屋提供の杖の魔道具を1つ差し上げます。そして2位は賞金4000万ダンジョン石3つ、魔道具はなんと2つ、これも我が国産の魔道具屋から槍の魔道具、そして大盾の魔道具を差し上げます」


「2位か3位でも魔道具がもらえるみたいなのです」


「そうだね、でもハレンちゃんちょっとこれは厄介かも」


「どうかしたのです?」


「わからないのかハレン、まだアレが出てないんだ。剣がな」


「さあ!!お待ちかねの1位の賞品ですよ!なんと賞金は5000万カナリでございます!ダンジョン石は1つ、しかし希少な光のダンジョン石!さらに魔道具も1つ、こちらは剣の魔道具で伝説のドワーフの作品との事です!さらにもう2つあるのですが~~!これは優勝された方のみその時に発表いたします!」


「うわー・・やっぱり1位でしたね」


「剣より光のダンジョン石のが私は欲しいな」


「ヒルマさんって結構目移りするタイプなのです?」


「なっ、言っておくがハレン、光のダンジョン石はなかなか出回らないので希少なんだぞ」


「美紅様持ってるのです」


「話してなかったか?あれは美紅がピンク馬鹿から奪った者だ、それに光のダンジョン石はあと1つ欲しいと思ってたところだ」


「ん???」


「さて、賞品の発表も終わったところで大会1回戦の詳細を発表させて頂きます」


「やっとか」


「やっとですね」


周りの参加者もそう思ってる人が多かったらしく歓声とざわめきが起こる。


「ではご説明いたします。実は思ったより参加者が多くて大変我が国は嬉しい悲鳴をあげております。なのでここで一気に参加者を減らしたいと思っております」


なに言ってるのこの進行役の人、嬉しいのに一気に減らすとか言わないでしょ。


「1回戦はこの国から東に行くと高原の先ちょっとした山脈地帯があります、その手前に森がありますのそこにある木の実を取ってきた欲しいのです!実の名前は『ホッカの実』です、それを取って戻ってくるだけです、たったそれだけで2回戦に進出できます!制限時間30時間です!では30分後に東門からスタートです!質問などは一切受け付けませんので準備だけして下さいね。以上!あ・・もちろん1組で1つでけっこうですよ」


説明が終わったと同時に怒号が飛んだ。

何をそんなに怒るのかわわからないけど参加者達はかなりの不満があるようだ。


「美紅、ここはうるさくて耳がいたい。それに話したい事もある。あっちへ行こう」


「そうですね、わかりました」


僕達は比較的に静かな場所に移動して計画を練ることにした。


「ヒルマさんホッカの実って知ってます?」


「その事だ美紅、こは相当数減らされるぞ」


「うーん、そうなりそうなのです」


「ん?ハレンちゃんも知ってるの?」


知らないの僕だけか・・いやもう慣れたけど。


「ホッカの実は美紅、一定の気温でしか実らない希少な果物だ。しかも1つの木に実る数もそんなに多くない。しかも売れば結構な値段だ。たしか酒作りにも使われる実だったかな?だがさすが貿易で成長した国だな。参加者に取らせて売りさばくつもりなんじゃないか恐らく」


しっかりしてらっしゃる。


「制限時間もあるので急がないとかもです」


「30時間か、情報が実の名前だけみたいなものだね、成ってる場所も言ってたけどそこがもしかしたら危険地帯かもしれないし」



「参加者の皆様スタート5分前ですのでお集まり下さい!」


「ああー、時間みたいです行きましょう!」


スタート位置は1000組以上、5000人の人間、色んな人がいる。

違う種族、明らかに変わった人、しかしそれよりも・・。


「ねぇ、二人とも・・アレってありなんですか?」


「周りにいるこの国の兵士に何も言われてないって事はいいみたいだな。思えばこの1回戦制限時間と目的だけ知らされてルールみたいのはほとんどなかったしな」


「で、でも馬や馬車に乗るのがいいってさすがにちょっとなのです」


「私達も馬で行くか?今からじゃ流石に無理か。でも馬もいいと気づいた他の参加者は慌てて乗り物を用意してる奴等もいるな」


ハレンちゃんが言ったとおりだ、馬や馬車にのってスタート位置にいる人が結構いる。

馬じゃない動物を乗り物にしてる人もいるし。


「1組の参加人数は4人・・・匹や頭は人じゃないから良いってわけですか。謎かけみたいですけどよく試す気になりますね」


「言われたら降りる気だったんだな」


「なるほどなのです・・・ん?美紅様凄い人達がいるのです!気合というか熱気がここまで届くのです」


「お、おい・・美紅・・あ、あれは・・」


「ヒルマさんぼ、僕、優勝の可能性がますます減った気がします。というかちょっとここから離れたいです」


「ど、どうしたのです?お二人共?」


「ハ、ハレンあれは危険だ。出来るだけ離れるぞ!」


僕とヒルマさんが怯えているのをハレンちゃんは不思議に思っている。

まぁそうだろうね・・あんな参加者見たら!!!



「「「「オッス(メン)--------ファイッ!オーーーーーーーーー!!!!!」」」」



視線の先にはどいつも身長2メートル超えの男性。

オレ達の鎧は筋肉だ!と言わんばかりの盛り上がった肉体、まだ始まってもないのにほとぼしる汗!

僕の脳内の不吉な思い出が蘇る4人組、違ったらいいけどなにより証拠は言葉使いだった。


「行くわよぉぉぉぉ!オストピア姉妹都市の宣伝!そしてオス(メン)の美しさを世界に知らしめる為にぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


「任せてぇぇぇぇぇ!たぎるわぁぁぁぁぁ!あまりの大舞台に筋肉がピクピクいってるぅぅぅぅ」


「あらら、やっぱり貴方も?アタシなんかさっきからあっちのダーリン候補がアタシを狙ってる感じがするのよぉ、この大会の1位のシークレット賞品ってもしかしたらアタシなんじゃないかしら?だから熱い視線を送ってきてるのかもぉぉ」


「「「ありえるわ」」」


ないないないないないないないないないないから!!!

言いたくないけど暑苦しさと珍しさと気味の悪さで見られてるからね!

なんでこんな場所にオストピアの人がいるのさ、まったく!

あ・・やばい!ちょっと見すぎて目があっちゃった!


「ちっ!いい男の視線かと思ったらメスか!」


「ちっ!見てんじゃないわよメス!


「ちっ!メスの分際でアタシ達の筋肉に憧れるなんて29年早いわ!」


「ちっ!メスか!!」


元祖舌打ち・・最悪だこの人達!たった4人なのにあの町を思いっきり思い出させる存在感。


「み、み、美紅様、ハレンはここからちょっとだけでもいいので、は、離れたいのです」


横では初めて遭遇したオス男にハレンちゃんがぶるぶる怯えてる。


「み、美紅、私もちょっと頭が・・移動しよう」


「そ、そうですね。できるだけ近づかない方向で・・」


「メスが逃げていくわぁぁ」


「なんか回りにメスがいなくなるだけでちょっと空気が美味いわぁ」


「そうねぇ、よしみんなぁ、開始まであと2分ね、軽くスクワット100回は出来るわねぇ」


「それいいわぁ、考えてみれば筋肉をほぐす準備運動してなかったしぃ」


僕達が離れる間際に聞こえる地獄の会話・・オス男達よ・・スクワット100回は準備運動じゃない。

あと2分でそんな回数をやるな!



「それでは参加者の皆さん開始しますので集まって下さい!!!」


アナウンスが響くと1000を超える組がスタート位置に集まる。


「それではスタートです!ご無事をお祈りしております!!」



係員の声に合わせて参加者全員が反応して走り出す。


乗り物で行くもの、自分の足で行くもの様々だがさすがにこれだけの人数が走り出すと圧巻だった。

そして僕達3人も走り出す、しかし僕達は普通に駆け足で出発した。


大群に飲み込まれはぐれない様に固まって駆け足で走り出していた。


「このペースでいいでしょうか?」


「焦っても仕方ないからな、様子見を兼ねてペース配分はしっかりしていこう」


「はーいなのです!」


走る事2時間ほど大分ばらけてきた。

僕達はペース的には遅いほうらしく後ろの組にいた。

なんかマラソンみたいだ、走った事ないけど。


「貴方達そんなペースで宜しいの?」


え?いきなり横から声をかけられて振り向くとそこには2人組の戦士がいた、ただし女の人。

露出が高い鎧を着ていて、結構筋肉質で凄い強そうな感じの人達だった。


「どういう意味ですか?」


「このペースで行って目的の実を採れると思っているのかと聞いたのよ」


「失礼だがお前達もここにいる時点で同じペースだろ」


「よく見なさい、私達は2人。もう2人は先行してます」


「二手に分けてるのです?」


「なるほど、でもさっきの指摘はどういう意味ですか?」


「ふ~、ホッカの実は実る数も決まっています。でもこの時期で豊作なら1組に1つなら行き渡るかもしれません。ですが参加者全員が1つだけしか採らないと思ってる?」


「あ~、なるほど!何かあった予備とか考えて多めに採る可能性もありますね」


「半分正解、予備で採る場合もありますが・・他にもあります」


「他?」


「参加者を減らす目的に余分に採ったり減らしたりする連中がいると言う事です」


「なるほどなのです!」


「なるほど!じゃありません。スタートから貴方達を見ていましたが3人組ですよね?それとも実は4人で1名先行してるの?」


「してないですね」


「ならこの話を聞いた時点で3人でペースを上げるか誰か先行させるかするべきではなくて?」


「そうしたいがなぜそんな事を親切に私達に教えてくれるんだ?」


それそれ実はちょっと勘ぐって躊躇してます、はい。


「なるほど、怪しまれたわけね、当然ね、理由は単純よ。貴方達が女性の3人組だからよ」


ちがーう!1名は実は男ですよ!!


「あの意味が・・」


「こういうことよ。私達も女4人組、同じ境遇だから親近感が沸いたのよ。それにそっちの赤い貴方」


「僕ですか?」


「チラッと素顔が見えたけどタイプだったからね」


!!!???


「何を言ってるんだお前は!」


「美紅様は渡さないのです!」


二人とも守ろうとしてくれるのは嬉しいけどまず確かめないといけないから!僕を女と勘違いしてる時点で!


「あ、あ、あのぅ・・貴方そっちの趣味の人ですか??」


「そっち?ああ勘違いしないでね。私は男が好きよ。でもなんて言うのかしら貴方からはこう守ってあげたい感じがしたというかなんというかそんな感じよ」


よかった!よかった?でも女同士がいい人じゃなかった!


「そ、そうですか。ご親切にどうも」


「美紅はやらんぞ」


「やらないのです」


「そう警戒しないでよ、私達は女には優しい種族なだけ。別にどうもしない」


女に優しい種族?


「そうか、お前達はアマゾネスか」


「知ってるの?そうよ、女の戦士の種族よ。実は嫌な物をさっき見ちゃって貴方達を見てたら癒されたので優しくしたくなっててのもあるわね」


「嫌な物です?」


「汚物よ、暑苦しい筋肉をまとって私達を見た瞬間睨んで舌打ちをしてきた肉達磨(だるま)4人組よ」


オストピアのオス(メン)だ!


「ご愁傷様です・・」


「き、気持ちはわかるな」


流石にあの生物にはヒルマさんまで同情してる。


「と、とりあえず敵になるかもしれないのにご親切なアドバイスありがとうございます」


「気にしないでいいわ。わかったなら急ぎなさいな」


「そうだな、急いだほうが良さそうだな。どうする美紅」


「えっと~、また頼っちゃうけどハレンちゃん頼んでいい?」


「それしかないか、ハレンが最適だしな」


「お任せをなのです!美紅様の為ならハレンは火の中水の中なのです!」


いや、そのセリフを女の子に言わせちゃうと僕自信なくすんだけど・・。


「じゃあ、ハレンちゃん水と食料をちょっと渡すので先行してくれる?」


「はいなのです!」


僕は指輪から水と食料を渡した。


「その小さい子が先行するの?大丈夫なの?」


心配なのかアマゾネスの人が問いかけてくる。


「平気なのです、では美紅様、ヒルマさん行ってくるのです。ヒルマさんは美紅様と二人きりだからと言って抱きついたり匂いを嗅がないようにするのです。あとアマゾネスさん達ありがとうなのです」


そう言うとハレンちゃんは残像を残こすんじゃないかと思えるような恐ろしい速さで飛んでいった。

なんかもう見えなくなりつつある。


「あいつ・・抱きついたり嗅いだりするのはお前だろ」


横でヒルマさんが言い返そうとしたのに間に合わなかったのが独り言を呟いていた。


「な、何者ですか?あの子は・・」


「あれか?ただの匂いを嗅ぐのが大好きな大食い娘だ」


ヒルマさんそれただの悪口、説明になってない。


「人間のスピードじゃないわ、もしかして獣人の子だった?」


「その辺は本人に聞いて下さい」


一応誤魔化しておく。


「あら、私達は差別主義者じゃないわよ?」


「ゴメンなさい、別に疑ってるわけじゃないんです。本人のいないところでそう言う事を言うのはどうかと思ったんです。気に触ったらゴメンなさい」


「貴方いい子ね、いつか私達の町に来ない?歓迎されるわよ?」


「却下だ!」


なんで僕より先にいつも否定するの?


「あら、貴方もいいわよ?」


「大体アマゾネスの村男子禁制と聞いたぞ」


「そうよ、だから貴方達は入れるから平気よ」


「いや、僕は・・」


「ダメだ!そんな女しかいない危ない場所に美紅は連れて行かない!」


男ですから・・と言おうとしたのにヒルマさんの大声で止められる。


「失礼ね、そんな危ない場所じゃ・・危ないかもしれないわね」


え?否定しようとしてのに肯定?危ないの?


「どっちなんだ?」


「まあ、来る事があればわかるわ」


「機会があれば行くかもです」


一応礼儀としてそう答えておく。


「期待してるわ、それじゃ私達はそろそろ少しペースを上げるから頑張ってね」


「はい、ご親切どうもでした」


アナゾネスの2名は手を振ってペースを上げて去っていった。


「美紅、アマゾネスと言うのはな、女しかいないが種族繁栄の為に気に入った男がいたら力づくで攫う一族だぞ。そして異様に一途な部族らしい」


攫う・・それが危険の正体か。


「なるほど、気に入られるかどうかとして男としての自信を最近無くしてるのであんまり行きたくないです」


「み、美紅は男らしいぞ?可愛いし優しいし料理も美味いし健気だしな!」


違うから!その褒め言葉は男らしいと一つも相容れないから!

あと僕が自信を無くしてるのは回りの女の人が強すぎてたくましいせいだからね!


「あ、ありがとうございます」


僕がお礼を言ったのでヒルマさんは笑顔だったが僕は心の中でそっと涙を流したのだった。


「ここはどこだ??」


「気が付いた?」


「誰?って女神!?」


「一応ここでは様をつけてくれると嬉しいんだけど。まぁあたしとしては様とかつけなくていいんだけど形式的立場って物があるらしいし」


「ふ、ふざけるな!いきなり攻撃しておいて様をつけろだと!やっぱりお前もあの女神と一緒か!あと口調も砕けてきてる時点でおかしいだろ!」


「口調は気にしないで、こっちが地だし。でもね・・貴方を騙した女神なんかと一緒にするな!!」


あたしは後半の部分は強い口調で言うとドラゴンはビクっと身を振るわせるのがわかった。


「気絶させてここに連れてきたのは謝るけど、貴方を騙した女神と一緒にされるのだけは嫌かな。とりあえず冷静になってほしいかな」


ドラゴンはあたしの目をじーと見て様子を伺っていた。


「ここから無事に帰してもらえるのですか?女神様」


「なんで棒読みみたいな口調になってるの?うーん身の安全は保証するけど無事かどうかは貴方次第かな~」


「うえ・・やっぱり我は食われるんだぁぁぁ」


なんか泣き始めた・・食べないし。

確かにちょっと強引だったかもしれないけどゆっくり話したかったので来てもらったんだけど。


「食べないし!とりあえず簡潔に言うね、あたしはちょっと理由があって部下?手駒?言い方悪いな・・そうだ仲間?いやこれも・・ああ使徒だ使途!女神の使途を作るつもりで貴方の一部を貰いに言ったわけよ!」


「やっぱり・・心臓を・・」


「ちっがーーう!だから~!貴方の境遇を聞いて考えたわけよ!」


「殺さない?」


「こ・ろ・さ・な・い!!!!」


「じゃあ我どうなるの?」


「あたしの使徒にならない?」



ドラゴンさんが可愛ええ(*´・ω・*)


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