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剣(つるぎ)

ちょっとペースが遅くなってるかも。


文字数は多いけど・・どんどん増えてる(*゜ω゜)

僕達はモブキャットレースの配当金を貰う為に胴元の下まで来ていた。

横には今だ呆然としているフリスさんがいた。


「こちら配当金の1050万カナリでございます」


「どうもー」


「そちらの方もどうぞ」


「え?あ?ああ、感謝します」


え?フリスさん口調が丁寧になってますよ、金額の大きさでテンパってます?


「じゃあ、行きましょう」


「美紅、ハレン、ちょっといいか?」


「何です?ヒルマさん」


ヒルマさんが僕とハレンちゃんに小声で話しかけてくる。


「なるほど・・後味悪いですし何とかしましょう」


「ハレンもちょっと責任感じるので何とかしたいのです」


「聞こえてしまったからには流石に放置できなくてな」


「何言ってるんですか、ヒルマさんの耳には感謝してかしてないのでそんな言い方しないで下さい」


そしていつか触らせて下さい。


「フリスさん僕達は用が出来ましたのでここで失礼しますね」


「あ?なんだい、いきなりあたしはまだあんたらに・・」


「すまないフリスさん急ぐ用なんだ」


「またどこかでなのです」


そう言って僕達は小走りで目的の場所に向かう。

向かう場所はレース場の後ろにあった小さなテント。


「ちょっと待って下さい!」


そこに居たのは帽子を被っていた猫の獣人の男、おそらくこの人がこのレース主催者だったのだ。

僕は大きな声を出して目の前の男達の行為を止める。


「誰だお前は?ここは関係者以外立ち入り禁止だ」


「勝手に入ったのは謝罪します。でもまずは今貴方達がやろうとしてる事をやめてくれますか?」


「これのことか?俺達がどうしようと勝手だろ?」


「目の前でそんな酷いことをしようとする人がいれば普通はとめるのです!」


そうハレンちゃんが叫ぶ。


「俺達が所有物をどうしようと勝手だろうが!」


そうこの人達がしようとしたことは処分。

9番のモブキャット、今回僕達を勝たせてくれたモブキャットをナイフで切り刻もうとしていた。


猫の獣人の男の横にいた子分のような人族の男が耳打ちをする。


「はは~ん、あんたらこいつが勝って大儲けした奴等か、自分達を儲けさせたモブキャットが可哀想になったわけだな?どうやってこの事を知ったかしないがな、こいつは今日のレースはたった1勝しかしてない役立たずだ。しかもその1勝がとんでもない大損をもたらした。処分されて当然なんだよ」


「ギャンブルで商売してるんだ、リクスがあって当然だろ?」


そうヒルマさんが言うと。


「そうだな、だがこのモブキャットも俺達がレースに使うために養ってるんだ。リスクがあって当然だろ?」


「な、何を言ってるのです!インんん~~~」


ハレンちゃんがインチキだと叫ぼうとしたので僕は後ろから口を押さえる。


「ハレン・・ちょっと黙っているんだ」


ヒルマさんも流石に感情に任せた説得は無理とわかっているのでハレンちゃんを小さい声で説得する。


「・・・ゴメンなのです」


「なにが言いたい?」


「えっとですね、こうしましょう。そのモブキャットを買わせてください」


「うちはレースで商売してるんだ。ペットショップじゃないでね」


「売ってくれないんですか?」


「金額によるな~」


「500万で買うよ!」


「「え???」」


「「はああ?」」


後ろからかけられた声に僕達は驚き振りむき、レース業者の男達も驚き声をあげる。

その声の主はあろうことがさっき別れたはずのフリスさんだった。


「なんだい?不服かい?猫1匹500万も払うっていうんだ、満足だろ?」


「おい・・ばあさん狂ってるのかい?」


ダメだよそこはご婦人って言わないと!怒られるよ!


「人間なんて狂ってナンボさ!売るのか売らないのかはっきりしな!」


あれ・・ご婦人っていいな!って怒らないの?


「・・・なんでこんな猫にこだわるんだ?」


「その猫はあたしを儲けさせてくれたんだ、ここで殺されたら目覚めが悪いだけさ。さあ!売りな!」


「いいだろう、500万だしな」


そしてフリスさんは500万を出すと猫の獣人の男のからモブキャットを受け取った。


「あくどい商売しやがって、せっかく来てやったのに汚いもの見せてがっかりさせんじゃないよ」


「あ?なにわけのわからない事言ってやがるんだ?ばあさん」


「ご婦人っていいな!行くよ3人とも!ここは空気だ最悪だよまったく!」


ここで言うんだ・・。


「え?はい、わかりました」


そう言われて僕達はフリスさんの後に続いてテントを出た。


「まったくあんた達は!なんでこう言う事が起こってると知ってたらあたしにも言わないんだい!?お礼も言えなかったから追いかけたら目覚めの悪いことが起こっているし最悪だよもう!あたしもこのモブキャットに儲けさせてもらったんだから当事者だろ!」


「ごめんなさい、でも500万も良かったんですか?」


確かにその通りだと思ったので僕は素直に謝った。


「心配してくれるのはいいけど金の問題じゃないよ。でも感謝するよ。このモブキャットも助けれてあんた達のお陰で長年の願いが叶った」


「願い?」


「ああ、それはこっちの話さ」


「それよりフルスさんとやら、その猫はどうするんだ?」


「うちで飼うさね。モブキャットは見た目があれなので人気はないが別に人間に懐かないわけじゃないからね」


「可愛がってあげてほしいのです、その子もフリスさんが好きみたいのです」


「なんだいあんた、この子の言う事がわかるのかい?」


「ち、違うのです、雰囲気でわかるのです」


「なるほどね、安心しな。ここの生活よりずっと良い暮らしをさせてやるさ」


「よかったのです」


そう言ってハレンちゃんが9番のモブキャットを撫でると気持ち良さそうにビャーと泣いた。

・・ビャー?泣き声気持ち悪っ・・いや変だった。


「色々言ってしまったけど美紅とかいったね、ちょっとぶつかっただけなのに世話になったね。感謝するよ。何か礼もしたいがあたしもそろそろ時間がないし、たぶんもあんた等にももう会えないかもしれない、何か出来る事があればいいんだがね」


それを聞いて僕はダメ元で聞いてみる事にした。


「あのフリスさん、僕達実は今日この国に来たばかりで泊まる場所を探してたんですけどどこか知ってる場所ないですか?実は観光客とかでもうどこもなくて・・いやまだ探せばあるかもしれないですけど」


「なるほどね、そりゃいっぱいさね。3日後にはお国をあげての大行事だ。今泊まる場所なんて見つけるのは大変だよ、普通なら城壁の外でテントでも張るしかないだろうね」


「やっぱりですか」


「だがあんた等たちは世話になったからね、これを持ってここにいきな。そいでそこにいる奴にその紙をみせな」


そう言うとフリスさんは紙に地図と変なサインを書いて僕に渡す。


「これは?」


「いいからそれ持ってそこへ行くんだよ。泊まる場所があるはずさ」


「本当ですか!?」


「ああ、こう見えてもあたしはこの国出身さ、顔は広いほうさ。おっと時間がない、じゃあ行くよ」


「ありがとうございました。また会えたら会いましょう」


僕達はフリスさんに手を振るとフリスさんは後ろも振り向かずにモブキャットを抱いて人混みに紛れて見えなくなった。


「ここに行けば泊めれるのか?」


「さあ?でもフリスさんも信じるしかないですし」


「なんというか、変わった方だったのです」


「「同感」」


フリスさんの地図に従って歩く事数十分。


そこは1件の小屋だった。


「え?ここ?」


「ここだな」


「でもここ小屋ですよ?」


「でも・・地図だとここだよ?」


「とりあえず入るか」


「ですね」


僕達は小屋にはいる。


「何か御用ですか?」


そこには小柄なおばさんが椅子に座って本を読んでいた。


「あの~ここって宿じゃないですよね?」


「もちろん違うけどあんた等お客さんじゃないの?」


「宿じゃないのか?」


「あんた等何者?ここが宿に見えるなら頭がおかしいとしか言ってあげられないんだけどね」


「じゃあ、何屋さんなのです?」


「事務所だよ、事・務・所!」


「事務所?なんの?」


「あんた等さー、こっちに質問する前にどうして宿と間違えてここに来たのかを言ってくれないと」


「あ、ゴメンなさい実はですね」


そう言って僕はここに来た事情を話して、フリスさんに言われたとおり地図の紙を渡す。


「あの女~」


だ、ダメですよ!ご婦人って言わないと!


「で?事情を話したんだが宿ではなく事務所というのはどういうことだ?泊まれると聞いて来たのだが」


「はあ~泊まれるよ、泊まれる」


「本当なのです!?でもここに泊まるのはちょっと3人じゃ狭いかもなのです」


「誰がここって言ったのさ、まずこっちも質問に答えるとここは管理事務所だよ」


「管理事務所?」


「そうさ、別荘持ちの奴等のね、そいつ等が別荘を使ってないときとかに掃除とか色々な事をする事務所!」


「へー・・ってつまり僕達は別荘に泊まれるの?」


「察しがいいね、あんた等に別荘を貸してやってくれってさあの女がね」


「フリスさんって何者なんですか?」


「あたしの昔馴染みだよ、借りがいっぱい有りすぎてね、断れないのさ」


「じゃあ私達の貸してくれるんだな?いくらだ?」


「いくら?何言ってるんだい。タダだよ、ここは別荘を管理してる場所!貸し別荘屋ではないよ!売られた別荘を管理してる場所!あんた達に貸すのはあの女の別荘だよ」


「えええ!フリスさん別荘持ってるの!?使っていいんですか?」


「いいよいいよ、あんた達にココを紹介した時点でそういう事しか考えられないしね、壊さない限り好きにしな、むしろ壊れてくれたほうがあの女が困っていいかもしれないけどね」


「借りがあるんですよね?」


「あるねいっぱい」


なら困る事を願っちゃいけないでしょ・・。


「案内するからついておいで」


「はい、それであのフリスさんって何者なんですか?」


「何度も聞かないでおくれ。あたしも古馴染みってだけで知らないよ。大体あたしに聞かないでおくれ、本人に聞きなよ」


「はぁ・・すいません。でも別荘か~」


羨ましい!!


そして案内されたのは・・海が見える位置にある木造の建物だった。


「美紅、凄いなこれは」


「綺麗ですね」


「ほ、本当に泊まっていいのです?」


「好きにしな~、食事の世話はしないよ、というか基本こっちは何もしないよ。出て行くときだけ言ってくれればいいよ。じゃ、あたしは戻るから」


そういうと事務所のおばさんはだるそうに戻っていった。


「いいのかな・・こんな豪華な場所」


「いいって言われたしいいだろ」


「美紅様このベット凄い大きいのです!一緒に寝るのです!」


「却下だ子猫」


「ヒルマさんには言ってないのです」


「とりあえず、宿じゃないですし食料だけ買出しにいきません?」


「そうだな」


その日の夜僕達は夕食をとりながらこれからの事を話し合った。

まずは観光をしながらヒルマさんの剣を探す。

そして3日後の国で行なわれる行事に備えての情報収集。


「やることはそれくらいか?」


「ですね、じゃあ今日は休みましょうか」


「わかったのです。では美紅様今日はハレンと入浴を・・」


「おやすみなさい、お風呂は明日の朝入ります。」


そう言って僕はすぐにベットに向かう。

1ヶ月ぶりのちゃんとした寝床に僕は気持ちよさを感じてすぐに眠れた。


「ヒルマさんは2番なのです!」


「子猫は私の後に入れ!」


と思ったがうるさくて眠れなかった。


そして早朝お風呂にはいって朝食の準備をして僕達はすぐに別荘を出て町へ向かった。

別荘の周りには他にも別荘が何件もあり明らかに富裕層とわかる人達を見かけた。

なんか場違いかも・・・。


さすが貿易で発展した国だ。

店の数、出店の数が半端じゃない。


色々なお店を回り話を聞いてドワーフがやっているという魔道具屋に向かった。


「美紅にハレン、先に言っておくがドワーフを近くで見るのは初めてでもあまりジロジロ見るなよ?ドワーフは気難しい種族だ。まぁどの種族というか普通はジロジロ見られたらいい気持ちではないしな」


「そうですね、わかりました」


「はーいなのです」


そしてドワーフのお店にやってきた、大きい・・相当儲けてるねこれは!


「いらっしゃい」


迎えてくれたのは当然ドワーフ。

あれ毛深くない?もっと全身毛深いと思ってたのにそんな事はなかった、毛は多いけど毛髪だけかな。

でも岩のようにガッチリしてて小さいのは想像通りかな。


「何をお探しで?」


「えっと僕じゃないんです、こっちの青い鎧の人の剣が欲しいんです」


「いい鎧だな」


「ありがとう、剣を探しているんだ」


「どんな剣がお望みで?」


「そうだな、別にどんなのでも・・」


「耐久力のあるやつで!」


「カッコイイのがいいのです!」


ヒルマさんは自分の物の大してあまりにも雑でなんというか要望がないので僕とハレンちゃんが急いで最後まで言う前に注文をだした。


「耐久力があってカッコイイ剣ね・・・なんて抽象的な注文だ」


ゴメンなさい、でもヒルマさんよりマシだと思います。


「あんた達は魔道具の剣は初めてかい?もっと細かく言ってもらわないとこっちも困るんだがな」


「すいません、貴方の言うとおり初めてなのでどんなのがあるんですか?」


「そうだな、まず剣の長さや大きさの指定、種類は普通の武器屋とかわらねえがな、問題は魔道具特有のダンジョン石との相性だ。どのダンジョン石用の魔道具がいいかが一番大事だ。あんた達が何かはめたいダンジョン石や使いたい属性のダンジョン石があればそれに合わせてこっちでお勧めできるんだがな」


「なるほど~、ヒルマさん何かあります?」


「ないな」


はい、そう言うと思っていましたー。


「ヒルマさん・・もっと真剣に考えて欲しいのです」


「そうは言われても私はこういう事は苦手でな」


「鎧の時はどうしたんですか?」


「これは涼しいのをくれといったら持ってきたのですぐ買った」


「はぁ・・なのです」


「子猫・・に飽きられただと・・」


ハレンちゃんわかるよその気持ち・・。


「うーん・・あ!そうだ!あの雷の剣というか雷の魔道具とかないですか?」


「雷か、あるにはあるがダンジョン石はあるのかい?」


「それはまだないです」


「まぁそれは宝石屋にいきゃあいいか。待ってな、何本かあるから持ってきてやる。あとは握った感じの重さとかフィーリングで決めな」


「いいですか?ヒルマさん」


「・・任せる」


ハレンちゃんに飽きられた事を気にしてる!?


そしてドワーフさんが何本も剣を持って戻ってくる。


「どうだ?持ってみな」


ヒルマさんはそう言われて次々に剣を握って振ってみたりしている。


「どうですか?」


「うーん、なんというか軽いな」


「軽いとダメなんですか?」


「私は美紅と違ってあまり早さはないからな、多少剣に重量感があったほうが補正できていいんだ」


「なんでもいいっていう割りに結構こだわってるのです」


「そうしたほうが良いといったのは二人じゃないか!」


「ハレンちゃん、ここぞとばかりに仕返ししちゃダメ」


「はーいなのです」


「もっと他にないですか?」


「今はそれだけだな、他のがよけりゃオーダーメイドも出来るがその場合先に魔法を込めたダンジョン石を用意してもらいたい」


「何故ですか?」


「そりゃその込められた魔法用に作るからさ、それがオーダーメイドってもんだろ?」


「そ、そうですね」


って言われてもわからないけどね。


「まぁ、別に急ぎではない。少し考えさせてもらっていいか?」


「構わんよ、また来て・・赤い人族の娘さんアンタ俺に嘘ついたな?」


「え?いきなりなんですか?」


な、なんでいきなり嘘つき呼ばわりするの?


「美紅は嘘などついてないぞ?」


「美紅様は嘘つきなどではないのです!」


そうだそうだ!みんなもっと言ってやって!僕は嘘なんか・・ちょっとつくけど。


「いーや、アンタはさっき魔道具の剣は初めてと言ったな、なのにそりゃなんだ?その剣だ、そりゃ魔道具だろうが」


「へ?ああ、そうですよ?」


「そうですよじゃねー!それが何か知ってて言ってるのか!?」


大声出さないで下さいよー。


「良い剣なんですか?」


「ふざけてるのか?あんたもしかして本当に知らねえのか?」


「だから何がだ、いきなり大声で、この店は客に大していきなりわけの分からない文句をいうのか?」


「そんなつもりはねー、まぁ知らないんじゃ嘘ついてたってのは謝る。だが知らないのも悪いぞ」


「だからなんの話だ?」


「赤いお嬢ちゃんその腰の剣見せてくれるかい?」


お嬢ちゃんじゃないけど剣ぐらいいくらでもみせますよ?はいどうぞ。


「やっぱりか、これを見たのは何十年ぶりだ」


「あの~一体なんなのですか?」


「ああ。すまね、おーい!ちょっと店番頼むわ」


ドワーフの店主がそう言うと奥から若いドワーフが出てきた。


「こっちに来な、お茶出すからよ」


僕達はよくわからないまま奥にある木の椅子に座って出されたお茶を飲む。


「おい、店主。私達は魔道具屋にお茶を飲みに来たわけではないんだが?」


「そう言うなや、俺も親切で言ってやるんだ。赤いお嬢ちゃんあんたこれ何処で手に入れた?」


「えーと、オストピアって場所の武器屋です、ずっと売れない売れ残りだったみたいで」


「あそこはドワーフは歓迎されないはずだがな・・もっとも歓迎されても行きたくねーが」


知ってるのね!歓迎されても行きたいとか・・そこにはスラビーさんという素晴らしい人がいるんですよ!他は別ね。


「そうですね、お金に困ったドワーフさんが武器屋で捨て値で売って町からすぐに逃げたすように出て行った・・って言ってました」


「なるほどな、相当金に困って追い詰められてたか?他にも理由があるのか?わからねえがそうじゃなきゃこれを手放すわけねえ」


「おい店主いい加減にしろ、遠まわしな言い方をしてこっちに分かるように説明しろ」


「これから話す、その前に赤いお嬢ちゃん、アンタこれで物を斬ったことあるかい?」


「勿論です。魔物や・・人も斬りました」


「すまねえ、変な意味できいたんじゃねえんだ」


「ではどういう意味で聞いたのです?」


「アンタが斬ったってのは魔道具をハメてだろ?」


魔道具だから当然でしょ?


「そうですけど?」


「どんな魔道具ハメてるかはわからねーがな、この剣を魔道具なしで使った事は?」


「そういえばないですね?魔道具だったのでワクワクして買ってすぐにダンジョン石持ってたので頼んで魔法を込めてもらってすぐに魔道具として使いました」


「そっか、じゃあダンジョン石をはずしてこの剣を使ってみな。そうだなこの紙を斬ってみな」


ドワーフの店主は1枚の注文書と書いた紙を渡してくる。


「何を試させるつもりだ?美紅の剣ははっきり言って別格だぞ?試させるなら鉄でも持ってこい」


「いいからやってみな」


「はあ?」


僕は鞘から剣を抜くと紙をヒルマさんに持ってもらって紙に向かって斬り付けた。


結果・・斬れなかった・・あとすらついていない。


「え?」


「どういうことなのです!?ダンジョン石をはずしたとはいえ美紅様の剣はすごい名剣のはずなのです」


今度は紙に向かって突きを放つ・・しかし刺さりもせず紙に止められた。


「なんで・・・」


「わかったか?その剣はな・・完全な魔剣だ」


「どういうことだ?ダンジョン石をはめた魔道具の剣を魔剣というのはわかるが完全という意味が分からないぞ」


「その柄の部分にはめてたのは土の魔道具だな?素晴らしいもんだ切れ味をあげる硬質の魔法を込めたんだろう?その剣の事を知らずにその魔法を込めてたんだな?なのにその魔法を選ぶ時点でアンタは運がいいというかたぶんその剣はアンタが来るのを待ってたといってもいいかもな」


「あの~分かるように説明を・・まず完全ってのを」


「そうだな、その剣はな、ダンジョン石がなきゃ切れ味はその辺の木の棒にすら劣る、折れはしないがな。試した通りなにも切れない剣だ、しかしダンジョン石をはめればそのダンジョン石に込められた力を100%以上引き出す魔道具だ」


「まだよく分からないんですけど・・」


「完全にダンジョン石に依存する魔道具って意味だ。例えば炎が出るダンジョン石をはめた場合その剣は尋常じゃないほどの炎をだして切れば敵を焼き斬るだろうな」


「待て店主。この剣はダンジョン石を選ばないのか?属性は決まっていないのか?」


「決まってねーな」


「でも決まってない場合って多角的になって力が分散して魔道具はたくさんの属性をはめれるほど弱くなるって聞きましたけど?」


「普通はそうだな、俺も魔法具は作れるが言ったとおり2つ以上の属性の魔道具にすると力の方向を分散するので弱くなっちまう。しかしその剣は違う」


「ど、どういうことですか?」


「恐らくだがな、ダンジョン石をはめてない状態の時の剣としての機能を0にしてるから全ての属性のダンジョン石をはめれるんだ。もちろん他にもなんらかの製造方法を使ってるんだろうな」


「恐らくとかどういうことなのです?」


「わからねーって事だ、その剣・・完全な魔道具は俺らドワーフの間じゃ良く思われてないからな」


「魔道具はドワーフしか作れない、製造方法もドワーフは他の種族には絶対教えない。ならばその完全な魔道具もドワーフ製だろ?なぜ良く思われてないんだ?」


「その横に3本そして縦の線が1本の印はドワーフ1の変わり者の作品だ。伝説の名工『モルク』の作品だ」


「伝説?名工?なら凄い人じゃないんですか?」


「凄いさ、過去に何個も作品は世に出てるしな。どれも名に恥じない変わった力を持ってる」


「それぞれ力が違う?」


「そうだな、そして良く思われてないのは自分の作品の製造方法を同胞にすら教えない事だ」


「それって当たり前じゃないんですか?自分で必死に考えたものをいきなり教えろとか言われたら普通は嫌がりません?」


「そうだな、俺もそう思う。しかしそれだけじゃねえんだよ。変わり物って言ったろ?モルクはドワーフ種族の許可なしにドワーフの国を出て行ったドワーフで魔道具造りの道に入るものは作れるようになって王に認められると印を残せるのを知ってるか?」


「知ってますよ。さっきもこの横3本に縦の1本の線がそうだって言ってたじゃないですか」


「そうだな、だがなモルクのドワーフの王に与えられた印な横3本だけだ」


「じゃあ・・でも縦の1本は?」


「モルクの技術はドワーフが培ってきた技術を一新した、その技術をこれからもドワーフの国の発展の為に使ってくれと国の技術者がみーんな願った。しかしモルクはそれを嫌がったんだ。それはまだいい、誰も束縛はされなくないからな。だがなモルクは王が最後に作って欲しいと注文した剣を作ったが献上せず持って逃げた。そして逃げる前反抗して目の前で決別する意味としてに王に与えられた印が描いてある剣に自分で縦に1本傷をつけたんだ。王は怒り、モルクを追放した。逃げたモルクの作品にはそれ以降3本線に縦の1本の印がつけれらている、反抗だろうな。それが200年前の話だ。」


「凄い話ですけどドワーフの寿命っていくつですか?モルクさんって人もう死んでますよね?」


「俺達の寿命か?150年ってとこだな?」


「じゃあ、もうモルクさんはこの世にいないかもです?きっと美紅様の剣も偶然手に入れた別のドワーフさんが売ったのかもです」


「ところがな、モルクの作品の目撃情報は今もあるんだ。奴は生きてる、どうやってるかは知らんがドワーフの寿命を超えて奴は今も行き続けている。ちなみに俺は103歳だがな」


「確かに貴重な話だな。つまり店主、お前は美紅の剣は色んな意味でドワーフ達の中でも特殊な存在である伝説にすら歌われる者の作品で貴重な物だと言いたかったのか?」


「そういうことだ。こんな話をしておいて勘違いしてないでほしいが俺はモルクを嫌ってねえ。むしろ大好きだ。生まれる前から物語に聞き憧れた、何個か作品も見た。そして文献も調べたいつかモルクのような作品を作りたいと思って国を出てこの町にきた。いやもう国か店を出したんだ」


「うぅ~いい話なのです。頑張ってモルクさんを越えて欲しいのです店主さん」


ハレンちゃんが感動して泣いてるし。


「そうしたいがな、今日自信が喪失しちまったよ」


「え?どうしてですか?」


「その剣だよ」


「その剣を見て自信を喪失してと言う事か?」


「ああ・・ドワーフに伝わる話を普通は種族以外には話さなねえ、いや話した俺も変わりもんかな」


「なぜ話した?」


「その剣のせいだって言ったろ?それは今話してやった200年前にドワーフの王の為にモルクが作って持って逃げた剣だよ」


えええぇぇぇぇぇ!?


「じょ、冗談ですよね?」


「おい、流石にそれはないだろう?店主、お前の生まれる前の話だろ?それにそんな貴重な物を辺境の武器屋に売るわけないだろ」


「言っただろ?俺はモルクに憧れて生涯をかけて調べてる、何個か作品も見てきた。その剣がモルクの作品なのは俺の魂に誓ってまちがいねえ。ドワーフには有名な剣だが人間にとっては知られてないしな」


「でもその王の剣って言うのはちょっとありえないというか・・200年前ですよ?」


「証拠がある」


「証拠?」


「モルクは印を与えられてから作った初の作品が王の剣だ、王の前でその印に傷をつけたんで王の与えた3本だけのモルクの作品はない。以降国をでて見つかるモルクの作品は全部縦に線が入ってる」


「美紅様・・ハレン達のあの入り口の岩の魔道具、あれもモルクさんの作品ならたしかに縦線1本あったのです」


「なんだ?お前達も他の作品を見たことあんのか?」


「はい、たぶんですけど1個だけ」


「なら丁度いい、その作品の印は何で描かれてた?」


「どういう意味ですか?」


「ペイントって意味だ」


これにはハレンちゃんがすぐに答えた。


「銀色で擦っても消えない塗料で描かれていたのです」


「だろうな、ドワーフはその塗料で印を記す。俺も印をつけて良いと認められて1人だ。その塗料を使う、色は違うがな見ろ」


店主さんの近くにあった斧を見ると四角の中にさらに四角がありその四角のの中に黒い点が1つある模様の印だった。


「だからそれがなんだというんだ。全然美紅の剣がその昔話の剣だという証拠になってないぞ」


「なってるだろ!お前達その剣をよく見ろ!」


そう言われて僕たち3人は剣をよく観察する。

そしてあることに気づいた。


「わかったようだな」


「これ・・ペイントじゃない?」


「美紅、これは傷だ」


「その通りなのです、古くなって分かりづらいですがこの縦の線だけ傷なのです」


「剣の柄の部分が銀なので分かりづらいがそれは傷だ、さっきの話してやったのを思い出せ」


僕は店主さんに言われた話を必死に思い出す。


「モルクは王の前で3本の線に縦に1本の傷をつけた」


「確かにつじつまは合うな」


「でも本物とは・・・」


「本物だ!俺の目に賭けて!何より文献にあった剣の性質そのものだ!そんな剣が他にいあるか?明らかに見た目は鋭利でちゃんと剣としての機能がありそうなのに紙すら斬れねえ、そんな不思議な剣は他にみたことねえ」


そう言ってこっちを見る店主さんの目は真剣そのものだった。


「店主お前はこの剣が欲しくないのか?伝説の剣なんだろ?ドワーフの王族だって未だに探してそうだしな」


「あ?舐めてもらっちゃ困る。お前達が持ってるのも吹聴する気もないし欲しいとも思わなねえ、思うことがあるならここで剣に出会えた事が幸せくれーだな」


「この剣を調べたいと思わないのです?」


「調べたいと言ったら売ってくれんのか?大体なちょっと調べたぐらいでモルクの技術がわかるならどんなに話が簡単か。同胞にゃモルクの作品を手に入れて分解した奴もいる」


「どうなったんですか?」


「あとの祭りよ。何も分からずに芸術を一つ失わせただけだ。言っておくぞ赤いお嬢ちゃん。その剣はな、たぶんまだなにかあるぞ?俺にはわからんがな」


「え?どういうことです?」


「モルクがその剣をドワーフの王に献上したくなくなった理由がその剣にはあるってこった」


「なんだそれは?知らないのか?」


「知らんね、そんなの知ってるのはドワーフの王族くらいだ」


「この剣がドワーフの名工とドワーフの王の確執の理由ですか~」


「そういうこった。見た目はただの地味な骨董の魔道具だがな。見る目のあるやつにとっちゃそれは危険な品に変わる。悪いことは言わんから印の上に布でも巻いておけ」


「助言ありがとうございます。そうします」


「あとなモルクの熱狂的なコレクターもいるしな、気をつけな。時間をとらせて悪かったな、アンタ達にわかって欲しかったんだ。それがとんでもない物だってことをな」


「そうですか、でも貴重なお話ありがとうございました」


「アンタ人族にしては礼儀正しい奴だ、その剣大事にしてくれや」


「勿論です、この剣は気に入ってますし、何度も助けて貰ってます」


「・・・青い鎧の人」


「なんだ店主」


「本当はこれはドワーフだけの入って来た情報なんだがな、教えてやる」


「何か分からないが良いのか?」


「他の奴らに取られる可能性を1%でも減らすという意味でもある。3日後のこの国の催し物の賞品にな剣があるらしいぞ。勿論魔道具だ」


「良い物なのです?」


「モルクの作品って噂だ」


「そ、そんな情報言っていいですか!?」


「言ったろコレクターがいると、使いもしないで部屋に飾りやがる人族共だ。武器は使ってこそだ!もちろん俺達ドワーフの同胞も出て手に入れるチャンスを掴むらしいがアンタ等も出てみたらいいさ」


「貴重な情報感謝する」


「ああ、俺も貴重な剣を見せてくれてありがとよ。さて仕事に戻る、若い奴に任せっぱなしじゃ心配だしな」


「また来ますね」


「ああ、出来れば剣を手に入れたら見せに来てくれや」


「あはは、そうします」


笑顔で手を振りながら僕達は気の良いドワーフの店主から凄い話を聞いて店を出た。


「なんか凄い話を聞いちゃいましたね」


「というより美紅の剣が凄い気がするんだが・・」


「王に献上するはずの剣・・なぜモルクさんは献上しなかったのでしょうか」


「さっぱりわかないな」


「もったいなくなったんじゃないのです?」


「そうかも?」


「それより最後の情報も凄かったのです。あの店主さんちょっと無愛想ですけどとても良い方だったのです」


ハレンちゃん、無愛想は余計だよ?


「そうだね、僕の剣の事ばかりじゃなくてまさかドワーフにしか回ってない剣の情報までくれるなんてね。自分で変わり者って言ったしいい意味でそうなのかもしれないね」


「名工モルクの剣が賞品か絶対手に入れたいな」


「あれ?ヒルマさんどうしたのです?剣に執着はあんまりないって言ってなかったのです?」


言ってたね。


「わかってないなハレン、その剣を手に入れる意味を」


「どういうことなのです?」


「手に入れてば私の剣はモルク製。つまり美紅とお揃いだ!!!」


「にゃっ!?」


「悪いなハレン!」


「どんな行事かわからないですが賞品は渡さないのです!」


「邪魔する気か子猫!」


「ヒルマさんは剣に執着ないのでその辺の木の棒でも使ってればいいのです!」


「それは剣じゃないだろう!」


「ハレンが削って剣の形にしてあげるのです!」



もうお昼か・・お腹すいたなー。

この二人の喧嘩が終わったらなにか食べに行くかな。


にしてもこの剣凄いのか、買った値段はあのドワーフさんには言わないで置こう。

40万で買ったとか言ったら腰抜かしそうだし。


でもなんでこんな良い剣を売っちゃったんだろう。



うん、とんでもない悲しい話を聞いてしまった。

このドラゴンさんは過去に女神に酷い目にあったらしい。


「そんなことが・・わかりました」


「変わってくれたのか女神様よ、では帰ってく・・」


「では魔力のこもった貴方の1部を下さい」


「話を聞いていたのか?女神という奴は全部そうなのか?魔力のこもった物が手に入れば他はどうでもいいのか?」


「そういうわけではありません」


「ならわかるだろ!帰ってくれ!」


あーー!このドラゴンめんどくさいな!


「やめやめ!はっきり言うね、あたしは別に貴方を傷つけに来てないの!ちょっと一部がほしいだけ貰ったらすぐ帰る!心臓はいらない、過去に何があったかは知らないけど男がグチグチ言うな!いい?」


「あの、口調がおかしいんだが女神様・・」


「そんな今問題じゃないでしょ?別に丁寧な口調で話さなきゃいけないって強制されてないしね。威厳ある口調って言われただけだし!ほらほら渡すの渡さないの?」


「い、いやでもまた騙されるかも知れないし・・」


「却下!!騙さないしあたしは歴代最高に良い女神!オッケー?」


「しょ、証拠がないし・・」


「めんどくさっ!ドラゴンのくせに細かいよ!」


「それはドラゴン関係ないかと・・」


「あ~!もうわかったわかった!決めた決めた!素材はドラゴンさんそのものにするよ」


「何!?やっぱりお前は悪い女神だな!?帰れ!」


「えいやっ!」


あたしはドラゴンの腹に一撃を叩き込んで気絶させると掴んで神殿にワープした。



(((i;・´ω`・人・´ω`・;i)))

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