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これからの為に欲しいものは

もうすぐこの章は終わりです。


次の章を書き始めてますがその前に閑話を1つだけ入れさせて下さい。


ではお楽しみ下さい(*´・ω・*)

「美味しいです!こんな味付けの料理は初体験です!」


「ど、どうも」


僕の料理を食べてとても感動しているリングさんがそこには居た。


「そうだろう、美紅の料理は最高だ。だが美紅を嫁にはやらないぞ!」


「美紅様はまだ嫁入り前なのです!」


なにわけのわからない事を言い出してるのこの二人・・?


「あ、あの、美紅さんは男の方では?もしかして私は騙されていたのですか?確かに外見にこのこの料理の腕、とても男性とは信じられませんが」


「男です!この二人の言っている事は無視でお願いします!」


「は、はあ、わかりました」


「だがリングワット。お前はこの料理をこれからも食べたいと思っただろ?そうは行かんぞ」


「美紅様は貴方に食べさせるために花嫁修業したわけじゃないのです」


「待ってハレンちゃんそんな修行したことないよ僕!リングさんが困惑してるからやめて!」


なんで二人してでまかせを言うの!本当にやめて!


「確かにもっと味わいたいですが、私なんかには美紅さんは勿体無いです」


「私なんかには?お前今少しでも美紅に対して何か思ったな?」


「いえそんなことは!」


「美紅様はあげないのです!」


「なんでそんな話になってるの・・?僕は物じゃないよ!?」


そんな会話をしていると近くの茂みからゴソゴソと音がして人影が現れた。


「リングワットのせいで全然気づかなかった。失態だ」


「ハレンもなのです」


「わ、私のせいですか!?」


いや・・リングさんのせいにするのそろそろやめましょう?ね?


「あ・・すいません、俺です!敵じゃないです!」


「あ・・貴方は」


茂みから出てきたのはナンパブロンズ冒険者のリーダーだった男だった。


「お前生きてたのか?」


「すっかり忘れてたのです」


「申し訳ありません、私も責任がある立場なのに貴方を置き去りにしてました。正直に言うと忘れてたんです」


みんな正直に言うのが正しい事じゃないよ?僕も忘れてたけど。


「丁度いいです、助けていただいてありがとうございました」


「助けたわけじゃない。こっちにも事情があったんだ」


「そうですね、偶然ですよ」


「なのです」


「でも俺は生きてます。ありがとうございました」


そう言いながら僕達3人を見る。

そしてリングさんを見て怯えたように震えだす。


「あ、あのここには殿下、貴方の仲間を殺して貴方を殺そうとした人はいませんから!私もあの方の仲間で当事者ですが、今は事情がありこの人達と一緒にいます。貴方に危害は加えません。もちろんあの時の事は憎んで下さって結構です」


「リングワットを憎むのは悪いとわ言わないがその権利がこいつにあるとは思えないな」


「そうですね、でも僕もちょっと責任を感じてるんです。あの時僕達の都合であの新人さん達をこの人達に押し付けなければこの人達があんな酷い事をしなかったかもしれないし」


「美紅様、確かにハレンもその事は責任を感じているのです。でもその事とこの人達が行った事は別問題なのです」


「そうだけど、やっぱり・・ね」


「申し訳ありませんでした!!」


「何故私達に謝る?自己満足で私達に謝っているなら筋違いだ、お前が謝るのは利用した新人3人の冒険者だ。死んだ仲間は私から言わせてもらえば自業自得だな。名声とディット達より先駆けたいという思いからだろうがお前達はやりすぎた」


「・・・そうです、俺はおもう冒険者は辞めます」


「辞めるだけですか?」


「へ?」


「あの新人さん達にも家族とかいたんじゃないんですか?」


辞めればいいというものではない。


「そ、そうですね」


「ならわかってますよね?」


「お、俺のした事を全部正直に組合に・・は、話します。そして罪を償います」


「それがいいのです」


「本当にご迷惑をかけました。貴方達にもお礼がしたのですが、生憎俺には何も残ってないので・・あぁ、お金なら多少はあります」


「そんな物私達が欲しいと思うか?」


ヒルマさんの言葉にブロンズのリーダーはうつむいてしまう。


「待ってください。この人にして欲しい事があります」


「美紅様お金が欲しいのです??」


「いや、そんなわけないから・・えっと、僕達より先に町に戻ってちょっと確認して欲しい事があるんだよ」


「そういうことか美紅」


「美紅さんそれって・・」


「はい、ディットがまだ町にいるかどうかです」


「・・・・ええええ!」


「なんだ嫌なのか?」


「で、でもディットってその・・王子ですよね?」


「そうですけど?」


「ハレン達はディットさんを追い詰めて逃げられたのです。でも町に戻ったとかなら会いたくないので貴方に確認してほしいのです」


「お願いいたします!」


リングさんまでお辞儀して頼んでいた。

やっぱりまだディットに会う勇気がないのね。


「・・やらせていたいただきます」


「そうか、さっそく行って来てくれ」


「今すぐですか!?」


「問題があるのです?」


「つ、疲れて・・それに多少怪我も」


「軽傷っぽいですし治せますよ?お腹が空いてるならほら、パンとスープがありますし食べていって下さい。でも食べたらすぐお願いします」


「み、皆さん?ちょっとぐらい休ませてあげても・・」


休ませてあげてもいいけどそれはそれでこの人決心が鈍りそうなので却下で!


「何を言ってるリングワット、美紅の料理を食べてからいけるんだぞ?私達に恩を返すどころかむしろこっちが恩を売っているようなものだぞ?」


「そうなのです。美紅様の料理はお金には変えられないぐらいの価値があるのです」


いやいやいや二人とも言いすぎだから、ないからね。

しかしリングさんまでも・・。


「それはそうですね、すみませんが食べたらすぐにお願いします」


そんな馬鹿な!そんなんだったら僕料理屋に転職するし!


「うっめ~!なんだこれ!凄い美味いです・・はぁ~美味かった~。よし元気でたんで行って来ます!すぐ確認して戻ってくるんで待ってて下さい!」


「任せたぞ」


「期待してるのです」


「お願いします」


・・・何この状況おかしいでしょ。


「イッテラッシャイ」



そして半日が経った、次の日の昼過ぎ頃に町にディットを確認してブロンズのリーダーは戻ってきた。

ただ少し顔色は悪かった。


「戻りました、ディットは宿の荷物をお付のデカイ男に持ちに行かせたあとにすぐに町を出たらしいです」


「そうですか、ご苦労様でした」


「朗報だ、よくやってくれた」


「でもどうしたのです?お疲れなのです?お顔の色が悪いのです」


「はい、実は組合にも寄って来まして・・俺の、俺達のしたことを全部話してきました。戻ったら拘束されて組合の決まりに乗っ取って判決を受けなきゃいけないです」


「そうですか、慰めの言葉をかけてあげたいですがそれが正しいと思います」


「はい、では組合にも必ず戻ると言って最後の我儘と言ってこちらに来たのですぐ戻ることにします」


「そうか、頑張れよ」


「確認助かったのです」


「当時者の私が言うのもなんですがこれから頑張って下さい」


「ありがとうございます、では失礼します」


最後に丁寧に僕達に向かってお辞儀をするとブロンズのリーダーはどこか寂しそうに町に向かって歩いていった。



「それじゃ僕達も準備してゆっくりと町に戻りますか」


「そうだな」


「やっとベッドで寝れるのです」


「わかりました」



僕達は急ぐ必要はないのでリステインにゆっくりと戻った。

そして町に入ってすぐにリングさんに僕はこれからどうするかを聞いて見た。


「そうですね、とりあえず私も宿に戻ります。殿下は恐らく私なんかの為には戻ってこないでしょうから私はこのまま報告もありますし、国へ一度戻ろうと思います。どうなるかはわかりませんが・・もしかしたら私は何かしらの罰則を受けるかもしれません」


「誰に話すかは知らないが、今回の事を全部正直に話すのか?」


「それはまだ考えが追いつかないのでわかりません。シュッペルさんに聞いた事もありますし」


ああ、なんか記念館に何かあるとか聞いてたね。


「なんか大変そうですけど頑張ってなのです」


「そういえば、ディットも国へ戻ったんですかね?」


「それはどうでしょうか、殿下の考えは正直あれだけ長くいてもわかりませんでした」


「それでいいだろ、あいつの考えなんかがわかったらまともじゃない証拠だ」


「ヒルマさん一応リングさんはディットに仕えてるのでそれは同意しずらいと思いますよ?」


「あはは、美紅さんお気を使っていただかなくて結構ですよ。ヒルマさん貴方の言うとおりです」


「ちょっとは成長したか?」


「単にディットと比べられるのがリングワットさんも嫌なのです、たぶん」


「どっちも・・にしておきます。それではここで失礼しますね」


「はい、また会いましょう」


そう言って僕達はリングさんと手を振って別れた。


そして僕達は宿に戻った。


「さあ!美紅お風呂だ!」


「美紅様お風呂なのです!」


「おやすみなさい、僕は朝入ります。体中痛いんです」


僕は即答してベットに横になった。

この会話を早く切らないと二人ともしつこいのはわかってるからだ。

睡魔よ、僕の負けでいいのでさっさと襲って下さい。


「美紅、湯船で体をほぐして寝たほうが疲れはとれやすいんだぞ?」


「その通りです美紅様、僭越ながらお背中をお流しするのです」


「おやすみなさい」


「よし、ハレン先に入って来い。私は美紅とここでしばらくゆっくりしてはいるから」


「ヒルマさんこそお先にどうぞなのです。ハレンは美紅様をマッサージするという使命があるのです」


「嘘をつくな子猫!そんな事今まで一度もした事ないだろ!」


「ヒルマさんこそなのです!ヒルマさんなんかといたら美紅様はさらに疲れがたまって疲労でお倒れになってしうのです!」


二人がうるさくて倒れそうなんですが?


「さっさと風呂に入って来い子猫、それとも風呂に一人で入れないのか?」


「入れるのです!ヒルマさんこそお肌が褐色なのでもっと洗ってきたほうがいいのです!」


「おまっ!これはダークエルフ特有の肌の色だ!汚れているような言い方はやめろ!」


「ヒルマさんこそハレンをいつも子猫呼ばわりして!この前なんかよくも猫じゃらしをハレンに向けてからかってくれたのです!」


「反応してただろうが!」


「し、してないのです!」


寝れない・・ダンジョンであんなに息ピッタリで心配しあったのになんでこうなるの・・?


「美紅!この子猫は普段意識して止めてるっぽいがな、実は油断すると『にゃー』とか言うんだぞ!」


「い、言わないのです!それにそれは言わない約束なのです!」


「そんな約束はこれっぽちもしてない!」


「にゃーー!」


「ほら言った!」


「い、今のはいやーー!と言ったのです」


「にゃーだったね!」


「違うのです!」


子供の喧嘩か!!てか知ってるし!ハレンちゃん寝言で『美味しいにゃー』って聞いた事あるし!

あとヒルマさんも寝言で『・・光栄ですわ』とか言ったの聞いた事ありますからね!

ん・・僕寝言で変なこと言ってないよね?言ってても二人に聞かれてないよね?

そんなくだらない事を考えていると僕は二人がうるさくても疲れからか、やっと眠気に負けることが出来た。


「美紅聞いてるか?」


「美紅様?」


「おい子猫」


「なんなのです?」


「美紅が寝てしまったじゃないか。仕方ない私が先にお風呂に入る」


「いえ、ヒルマさんはあとにどうぞ。ハレンは一人では入れる事を証明するために先に入らせていただくのです」


「お前があとだ!」


「ヒルマさんがあとなのです!



そうして・・僕が目覚めたのは次の日の早朝だった。



「ふぅ・・いいお風呂でした」


二人が寝ている事を確認、そして素早く入浴!


というかこの二人・・いつまで言い争ってたんだろう。

寝る向きが反対だし・・なんか荷物も散らかってるし・・確実に投げ合ったな。


「・・・にゃ~、そこです」


ハレンちゃんの寝言だ、そこ?どこだ?


「・・もっと遊びましょうね」


こっちはヒルマさんの寝言・・。

うん、これは弱みにならないね。


「あ・・おはよう、二人とも」


「ああ、おはよう美紅」


「おはようございますなのです、美紅様。くんくん」


朝一番でハレンちゃんが鼻を鳴らしている。


「どうしたの?いきなり」


「美紅様お風呂に入ったのですか!?いい匂いがするのです!あ・・でも美紅様はどんな時もいい匂いなのです!」


そんなフォローはいらないから。


「何!?なぜ起こしてくれなかったんだ美紅!」


「わざとです」


「ヒドイのです!」


「ひどいぞ美紅!」


一体何が・・??


さて、昨日の続きをされるわけには行かないので僕は話題を変えた。


「これから朝食を食べたら組合に行きませんか?もちろん商人のですけど」


「賛成だ。素材を売りに行かなきゃいけないしな」


「ご飯なのでーす」



朝食を終えると僕達は商人組合のダッシムさんの部屋にいた。

普段通される接客用の部屋ではなくダッシムさんの事務所に通されたのは担当が組合支部長のダッシムさんだと言う事とそれなりに待遇が上がったと言う事だろう。


目の前にはニコやかな笑顔なダッシムさんが座っている。


「ようこそ蒼の商会の皆様、しかし本日はお売りきたとということであってますか?」


「正解です」


「そうですか、商談の前にこの情報は知っておりますか?どうやらダンジョンが攻略されたそうですよ?今朝冒険者組合から情報が来ました。今日中には町に噂ともに真実が発表されるでしょう」


「そうなんですか?凄い人がいたものですね」


「さらにここ1ヶ月町に滞在してダンジョンにずっと潜っていたナディガムの王族の方が町を出て行ったそうです。そしてこの町では有名なブロンズ冒険者、一度は喋る魔物を最近捕まえたチーム『大地の旋風』が1名を残して全滅したそうです」


「それはそれはさらに凄い情報だな?そのどちらかが攻略したと言う事か?」


「さて。それがそうでもないようなのです」


「なぜなのです?」


「大地の疾風が攻略したのなら冒険者組合は組合の知名度とその冒険者チームが例え1名しか生きておらずともの名声を上げるために大々的に発表するはずです」


「それをしないからそのブロンズチームではないと?」


「おそらくですよ、そしてナディガムの王族の方が攻略者であってもです。一度私はあの方を見ております。あの方は攻略しておいて何も言わず町を去るタイプではないですね。高らかに宣言するタイプの人間です。攻略した事によってナディガム国の名声も上がるはずですし」


「それはわかららないんじゃないですか?何か事情があって攻略しても言わずに去ったとかありますよね?急いで国帰らなきゃいけないとか」


「それも考えられますが王族の方は3人でこの前に来て2名で出て行っております。急いでおられるならそれもおかしいと考えられます」


「おかしくないだろ?美紅が行ったように国に帰る理由が出来たので2人は先に帰った。1人は残って攻略したことをこれから発表するのかもしれない」


「なるほどその考えもありますな。ですが私共の入手した情報ですとあの殿下はこれまでに規模はこの町ぐらいですが主がいない2つのダンジョンを攻略しております」


「それがどうかしたのです?」


「宣言してるのですよ、高らかに。『俺様を称えろ、俺様がこのダンジョンの攻略者だ。情けなくはないのかこの町の冒険者どもは』っと攻略した町で組合に乗り込んで罵ったのです」


あのアホディットめ・・せっかく攻略者にしたてあげてあげようと思ったのにありえないくらい馬鹿な行動で不可能っぽくなっちゃったし。


「そうか、しかし凄いな、そこまで情報がはいってくるなんて」


「情報は命です」


「そうか。で?その情報を知りたいんだろ?何が知りたいんだ?」


「話が早くて助かります。もし攻略者を知ってらしたら教えていただきたいのです。貴方達は本日素材を売りに来たと言う事は昨日または2日前ダンジョンに潜っていたのではないですか?」


「えっと、情報は命なんですよね?」


「その通りです」


「なら僕達がそれを知っていたらダッシムさん、いえ、組合はその情報にいくら払っていただけるんですか?」


「ほほほ、まさに商人ですな。貴方達は本当に冒険者組合の方ではなくこちらに来ていただいたことに感謝せねば」


「お褒めに預かり光栄です」


「ふむ、交渉してくるからには攻略者を知っている。っと捉えても?」


「さあな?それは交渉次第で答えも変わるものだろ?」


「これはこれは分は悪いと言わざるえませんな」


「ダッシムさん僕達も別に意地悪する気はありません。だけどそれはダッシムさんが何を知りたいかによります。攻略者を知ってどうするんですか?冒険者組合の代わりに発表でもするんですか?」


「場合によってはですな。それに攻略者を冒険者組合に教えればそれなりの報奨金がでるでしょう。それよりです、10年以上攻略されていないダンジョンです、攻略者の方と接点を持てればそれなりに儲けられると思いまして」


「そういうことですか」


僕達は顔を見合わせて相談した。

これをどう言うかでこのあとの状況が決まってくると思ったからだ。


「どうする美紅?」


「えーと、僕に任せてもらっていいです?」


「わかった、いいぞ」


「ハレンも問題ないのです」


「ダッシムさん先に言っておきます。僕達は攻略者を知っています」


「ほっほー、やはりそうですか」


「そちらに情報を提供する代わりにこちらも報酬を下さい」


「どのような?」


「情報には情報です」


「つまりどうしろと?」


「ダッシムさんほどになれば商人組合と関係なしに独自の情報網があるんじゃないですか?」


「・・・ありますね」


「それを僕達にも使わせてください」


「情報によりますな」


「もちろんわかってます。聞いてから判断されても僕達はまったく困りませんから」


「わかりました、では聞かせていただけますか?」


「はい、では。攻略者はいません」


「今なんと?実際確認した情報ではダンジョンの中の魔物が統率を失っていて強い魔物も上層まで出てきているのですよ?これは主がいないダンジョンにありがちの現象です」


「嘘は言ってませんよ、主を見ましたが逃げました。主は非常に知能の高い魔物でした、戦いより逃走を選んだんです。ちなみに僕達はちょっとディット、あの殿下とダンジョンで揉めてしまいましてね、僕達と殿下は争って傷を負ってディットは攻略には届きませんでした。そしてその争いに気づいた主は逃げたんです」


「つまり貴方達やディット殿下に勝てないと思いダンジョンの主はせっかく統率したダンジョンを捨てて逃げたと?」


「それは違いますね、主の姿さえ僕達は見てません。先ほども言いましたが非常に知能が高い魔物だったんでこちらに接触してきたのは声だけでした。『私は戦う意思はない、好きにしろ』だそうです。ちなみにディットは会う前に僕達と痛み分けで逃走済みの出来事です」


「それは貴方達が攻略者と言う事になりませんか?」


「なりませんね。実際僕達は主と戦っていないですし、ダンジョンで主から大した物も手に入れてません。僕達もディット達との戦いで消耗していたので主の提案に従って戦わない道を選んだのです。逃げた者を攻略者と呼びますか?僕達は呼んで欲しくないですね」


「なるほどなるほど、しかしその情報ではこちらも貴方の望む対価はお支払いできませんよ?」


この回答にはヒルマさんが反応した。


「ここまで聞いておいてか?これだけでも十分な情報だろ?」


「確かにそうですが、私の情報網は自慢ではありませんが個人としては組合に関係なく相当なものと自負しております。なんの情報をお望みかは知りませんがやはり対価としては足りませんな。なので今の情報と同等の金額でお支払いしたいと思います」


流石は一流の商人だ、この程度では欲しいものはくれない・・か。


「ダッシムさん僕はまだ手札を全部だしてませんよ?」


「ほう?ではそれを出していただけますか?」


そう言われて僕は指輪を前に向ける。

そして中から予め皆で決めていた物を出す、どうせ売ると決めていたのだ。

交渉の方法を多少変えたけど材料としては有効、むしろこの展開はこっちに好都合だ。


「これは・・!!」


「僕達は主とは戦っていません。しかしこの魔物は小規模ダンジョンの主並みの強さと聞きました。情報と素材これでは足りませんか?」


僕が出したのは僕がインプもどきによって呼ばれたゴーレムコンゴの素材。

硬過ぎて完全に剥ぐのが難しい表皮、牙もある。


「ゴーレムコンゴですな?」


「その通りです」


「す、素晴らしい。どれも上質・・ここまで完璧な状態のゴーレムコンゴは滅多に出回りません!特に表皮や牙!どうやって摂取したか聞きたいぐらいですよ!さらに背中の棘、爪、目玉どれでも大変貴重なしなです」


「ダッシムさんの情報網使用料に足りませんか?」


「ほほほ、嫌味ですかな?これを私共に譲っていただけると?もしそれで足りないなどと言うなら3流、いや4流の商人ですよ」


「では交渉成立を思っていいですか?」


「はい・・と言いたいところですが、私の情報網をどういう風に使いたいのですかな?」


「そうですね、とりあえずはナディガム国の現在の状況、理由はわかると思いますが僕達はディットと争ってしまったので知っておくに越した事はないと思うからです。命に関わるかもしれませんし」


「なるほどなるほど、それだけでございますか?」


「まさか、使用料と行った筈ですよ?いつでも使えるのが使用ですよね?つまりその情報網を僕達が情報が欲しいときに仕える様にして欲しい。もちろんこの町から出て行っても・・です。その代わりにこちらもその都度教えてもらう情報に対する対価はお支払いします」


「承知しました。これは組合と言うより私個人で取引させていただきます」


「そこはお任せします。とりあえず素材の代金はいらないので交渉成立ということで」


「良いのですか?この素材はとても貴重ですよ?」


「情報のが貴重でしょ?」


僕は笑顔でそう言った。


「まさにそうですな」


ダッシムさんも笑顔でそれに答える。


「あとは僕達が知りたい情報とかは他に漏らさないでください」


「それは勿論でございます。ではこれをどうぞ」


そう言ってダッシムさんが出してきたのは金色の小さなコインだった。


「これは?」


「私の個人の商店の紋章でございます。商人組合のある町に行かれましたらそれを組合の副支店長以上にお見せください。そうして戴ければ私と情報を共有している同志の商人が貴方達に個人的にご協力させていただきます」


「会員の証みたいですね」


「そうですね、まさにその言い方が正しいと思います」


僕はコインを受け取った。


「では頂きますね。そう言えば農場はどうですか?」


「もうすぐ軌道に乗りますね」


「そうですか、僕達は農場出来次第で緑のダンジョン石を返却してもらってこの町を出発するつもりですのです」


「承知しました。本日はとてもいい取引ありがとうございました」


「ではダッシムさんまたです」


こうして僕達は組合での交渉を終えて外に出ていた。


「勿体無かったですかね?」


「美紅が倒した魔物の素材だ、何に使おうと自由だ」


「でもなんの情報が欲しかったのです?」


「色々かな?やっぱり行く場所行く場所で個人で何かを知るには限界があるしね」


「そうだな、私もあれでよかったと思うぞ」


「ありがとうございます」


「それよりこれからの予定はどうするのです?」


「そうだな、ダンジョンでもう少し稼いでもいいが美紅はあのダンジョンはもう潜りたくないだろ?」


「そうですね、あのダンジョンはもう入るとちょっと辛いかもですね」


「でも農場の完成まで時間もあるのでまだこの町にいなければいけないことは確かだ」


「そうだ、ヒルマさんの剣を探しませんか?折れちゃいましたし」


「それがいいんのです!お金も結構あるのでいいのが買えるのです」


「なるほど、ではお言葉に甘えて剣探しに付き合ってもらうかな、ないと困るしな」


「せっかくだから3人で色々な物を見ましょう」



そう言うわけで僕達は町にはまだ滞在しなければいけないので次の旅まではまだかかりそうだった。


ふぅ・・忙しすぎる。

色んな場所に行かなきゃだし、情報の整理もあるし、カナじいは引きこもりだし!

・・・あれやるか、許可貰ってるし。


というわけであれやります!あれ何かって?今まではカナじいと女神だけでこの世界の運営はできてたんだけどフレアナのお馬鹿のせいでそれも追いつかなくなってきてる。

というわけでカナじいと話したのが女神の下僕・・じゃなくて!


あたし専用の使徒を作っていいとさ!ただし1人?1体?1名?1匹?

まぁ呼び方はなんでもいいや!楽しみだし!何が楽しみって?ふふふ・・。


どんなのを造ろうっかな~って事だよ!

女神のお力で生命誕生だ!これが女神の力だ!みたいのができちゃうんだよ!

どうしようかな~、性別とか~種族とか~どうしようかな~。


何にしようかな~!



蒼は一体何造るんだろう(*゜ω゜)

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