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うまく行けば次も近日中に早く投稿できそうです。


評価、ブックマークお願いします(*´・ω・*)

「本当にご迷惑をお掛けしました」


リングさんは気絶していた時の出来事を一部始終を僕達から説明を聞いた開口1番の言葉はそれだった。


「まったくだ、ちゃんと飼いならしておかないからこうなるんだ」


「凄い気持ちの悪い人だったのです」


「二人とも!」


僕が強く言うとヒルマさんとハレンちゃんはピタっと黙る。

この二人はなんかリングさんにちょっとキツイ気がするのは何故だろうか・・。


「も、申し訳ありません・・」


「いえ、もう済んだことですからいいですよ」


「美紅の優しさに感謝しろ、しかし本当にアレの正体を知らないのか?おぞましい事この上なかったぞ、あれに比べたら私が今まで会ったことのある魔物のほうがよっぽど人間らしいといえる」


「美紅さん達が今言った殿下の状態は1度だけ見たことがあります。第4騎士団長と揉め事を起こした殿下が騎士団長を惨殺した時です。でも今聞いた様に手足や、ましてや首が切断されたのに元に戻るなんて事は知りませんでした。本当です」


「ディットさんとゼーガスさんがご兄弟だった事は?」


「すいません、それも・・」


「何も知らなかったのです?」


「はい、ここまで話したので正直に言いますが王のお子は4人です。その1人1人に護衛兼世話係として2名選出されてます。私は宰相様に言われてディット殿下にお仕えする事になりました」


「2名?ゼーガスも宰相とやらに言われたのか?」


「いえいえ、ゼーガスに関しては私の騎士団の一兵卒ですので直接指名などはなかったです。ゼーガスは殿下自らが適当に荷物持ちはデカイ奴が良いと言う理由で選んだはずです」


「ちょっと待って下さい、一兵卒?ディットの兄なら王子じゃないんですか?」


「そんな話は聞いたことありません。実際に王位継承候補は後3人いますがゼーガスは入っておりません。・・あ!」


「どうしたのです?」


「で、殿下の母親・・は王は最後に見初めた人なのですが庶民の出身・・です」


「そう言う事か、王に見初められる前に出産していた。ゼーガスとディットは母方の方で血は繋がっているがゼーガスは王族の血脈とはまったく無関係、しかしディットとゼーガスは自分達が兄弟だと言う事を隠している可能性が高いな。おいリングワット、これを国に帰ったら発表しろ、スキャンダルであいつを次の王候補から落としてやれ」


ヒルマさん、よくそんな事を考えつきましたね。でもちょっとやりたいけど・・。


「そ、そのようなことは出来ません。私はこれでも国に忠誠を誓った身です」


「柔軟な考えも大事なのです」


ハレンちゃん?君も賛成なの?だんだんこういう時だけヒルマさんと意見が合うようになってない?


「ま、まぁその事は僕達がとやかく言う事じゃないですからいいじゃないですか」


「ありがとうございます美紅さん」


「・・・まぁいい、それで?リングワット、お前はあのスライム殿下に置いてけぼりにあったわけだが追いかけるのか?」


「そう・・ですね、そうしたいところですが美紅さん達はこのまま下へ向かうつもりならついていっていいですか?」


「何のつもりだ?スパイか?」


「い、いえ違います。そんなつもりはまったくありません」


「では何故だ、置いていかれたとはいえ国忠誠を誓ってその国から命じられた殿下の大事な大事な護衛をほったからしにして何故私達についてこようとする?ま、まさか仲間になりたいのか!?」


「却下なのです!!」


「二人とも極論を・・まず理由を聞こうよ」


やっぱりこの二人なんかリングさんに冷たい。


「聞いてやるから言ってみろ」


「じ、実はこのダンジョン巡りは殿下が言い出した事でして、このダンジョンに来る前も主の居ないダンジョンを2つ程回りました。ですが殿下は何かを、何者かを探しているようでした、だから・・」


「それが今回こそこのダンジョンにいるかもしれない?」


「そうです」


「ならディットさんの為じゃないのです?」


「そうだ、それにお前はそれが何か知らないんだろ?行っても意味ないじゃないか」


「・・・それは」


「何か知っているな?もう隠し事はしないと言ったのにこれか。お前の国は隠し事が美徳なのか?」


「リングさん、僕達はちょっとこのまま下に行く理由がもう1つ増えましたのでもちろん行くつもりです。でもしついて来たいならちゃんと理由を仰って下さい」


「はい・・殿下が探していた物は戦力だと思います。あの鎧をさらに強化する為の手段です」


「知ってるじゃないか。もしかしてやっぱりあの鎧の事も知ってるのじゃないのか?」


「そ、それは本当に知りません!この旅に出発したすぐの事です。旅の目的を聞いたときに殿下が少し口を滑らしたのです」


「何て言ったんですか?」



『あ?何でお前にそんな事を言わなきゃならないんだ?お前は俺の世話だけしてりゃいいんだ。と言いたいがな少しだけ教えてやるそれで納得してもうこの質問はするな。探すのは(ちから)だ!他の邪魔者共を超えるな!今のままじゃ互角・・いや不利だからだ』



「力・・(ちから)ですか。ディットの力はあの気持ちの悪い鎧・・確かにその言葉で予想はつきますね」


「はい、それにもう1つ殿下は人の事をゴミとかクソとか揶揄(やゆ)しますが邪魔者と呼ぶのは数人だけなんです」


「誰だ?」


「殿下の腹違いのご兄弟、つまり他の王位継承者の方々です」


「その力がもし今回ここにあるなら見てみたい。つまりお前の好奇心か」


「はい」


「あのなのです、もしその力がここに本当にあったらどうするのです?ディットさんに報告するのです?」


「そうだな、それを考えたらお前を連れて行くなど論外だな」


「そんなことはしません!」


「信用できない」


「ハレンもできないのです。リングワットさん自身というよりリングワットさんの国、周りの方々のせいでなのです」


「う~ん、リングさん確認してどうするつもりですか?」


「え?」


「もしディットの目的の物があったらどうするつもりですかと聞いてるんですけど」


「・・・壊します」


「壊すんですか?報告してその力をディットが手にすればリングさんのお手柄になってディットが王になった時に出世できるかもしれませんよ?」


「私はそんなのには興味がありません!あの力は!あんな力を強くするのは反対です」


「お前の国の物だろう?」


「そうですけど・・あれのせいで・・私の同僚が」


「第4騎士団長・・ですか?」


「とてもよくして下さった先輩でした。友達でした・・男性でしたが」


「仕えると決まった奴に惨殺されたのか、確かに恨みに思うだろうな」


「わかりました、リングさん一緒に行きましょう」


「美紅信じるのか!?嘘かもしれないぞ!?」


「み、美紅様それに何故惨殺されたのかとかまだ色々疑問が残っているのです!」


「それもそうだけど思い出させたくない事まで根掘り葉掘り聞くのもどうかと~、話してるリングさん辛そうですし」


「ヒルマさん・・ハレンはもっと聞いた方がいいと思うのです」


「奇遇だなハレン、この際私もあのリングワットが恋人がいるかどうかまで聞くべきだと思うぞ」


何かヒルマさんとハレンちゃんがしゃがんで顔を近づけて何か相談しだした。


「あの~聞いてる?二人とも」


「あ?ああ、ハレンと相談した結果美紅が言うなら仕方ないという結果になった」


「でもなのです、武器、荷物、もちろんあの危ないダンジョン石を預からせてもらうのです」


「もちろんまだ私達に隠してる危険物があったらそれもだ」


「えっと・・いいですか?リングさん」


「そんな事で信用していただけるなら勿論構いません」


そしてリングさんは全ての荷物を僕達に渡してくれた。


「何をしているんだ?その白い鎧もだ」


「「ええ?」」


ヒルマさんの言葉に僕とリングさんの声が重なる。


「あの、この鎧の下はその、肌着のみになってしまうというか・・いささか露出的に・・、それ以前この鎧は危険物ではありませんし」


「何を言ってるんだ?ディットの鎧みたいにグニャグニャボコボコと変態する可能性だってあるかもしれないだろ脱ぐんだ」


「ディットさんみたいにならなくても鎧自体魔道具という恐れもあるのです」


「これは騎士団長のみに与えられるただ多少いい金属を使っている鎧で・・・」


「そうだな、でも脱げ」


「脱ぐのです」


「でも脱いだら・・ほとんど下着で・・うううぅぅぅ」


二人の気迫に押されたのか本当に鎧を脱ぎ出し・・はっ!!


「ちょっとヒルマさんハレンちゃんそこまでしなくてもいいんじゃないですか!?」


「何を言ってる美紅、こいつらの国の鎧は信用できない。むしろ武器より警戒するべきだ」


「なのです」


「違いますって!ダンジョンで脱がしてどうするんですか!武器を預かるだけでも危険なのに防御力まで奪ってどうするんですか!リングさんちょっと泣いてますし!」


「どうするハレン?」


「考えてみればこのままじゃ美紅様にリングワットさんの下着姿を見せる事になるのです」


二人は再びしゃがみながら小声で話し出す、会議・・?


「判決が出たのです、鎧は勘弁するのです」


「あ、ありがとうございます!」


裁判長から無罪を勝ち取った被告人のように感動してお礼を言うリングさんがそこにはいた。


「はぁ・・行きましょうか」


なんか疲れた。



そして僕達は4人でダンジョンを降りていった。


僕の手の中には・・インプもどきの遺体があった。


「そういえば美紅はどこまで飛ばされたんだ?」


「16階らしいです、小さな地底湖みたいのがありました」


「でもあの魔方陣が3回目が正解なんて驚いたのです」


僕はインプもどきが言ってた情報をすでに二人に進みながら話していた。


「しかしまったく魔物がいないな。あの扉を抜けてから一度も出ていないぞ」


「あの扉から1匹も出てないなのです」


「僕が両扉のところまで来るときも魔物はいなかったですよ。この・・インプもどきと一緒にいたからかもしれませんが」


「その魔物は美紅さんを殿下から守ったのですね」


リングさんが僕にそう聞いてくる。


「ええ、助けてくれました」


「人を助ける魔物なんて始めて聞きました。そんなに・・優しい魔物だったのですね。でもそれは美紅さんだから優しかったのかもしれませんね」


「そんなことないですよ、本当対した理由はなかったんです。僕は優しくないですよ」


「いえ!美紅さんはお優しいです!」


「は、はい。それでいいです」


凄い強い口調で言われて僕は思わず認めてしまう。


「リングワット、鎧没収」


「没収なのです」


「何故なんですか!?」


「リングさん・・鎧に手をかけないでください。ヒルマさんもハレンちゃんもたぶん冗談で言ってますし」


「そうですか・・良かった」


「本気だったのに」


「だったのです」


「あ・・ここですここ、ここが僕が飛ばされた地底湖です。綺麗ですよね」


「美紅なんだこれは?」


「地底湖ですよ、飲めるって言ってましたよ」


「違う!この死体だ!」


「それですか~、灰色ゴリラです。大変だったんですよ~、いきなりここで遭遇したインプもどきと和解というか会話で説得する暇がなくてその魔物を呼ばれて仕向けられたんです。硬いはデカイはで死ぬかと思いました」


「美紅様これゴーレムコンゴなのです」


「へーそんな名前なの、意外とカッコイイ名前なんですね」


「美紅さん知らないんですか・・?」


はっ!リングさんもいるんだった!僕が物をあんまり知らない人だとバレる!


「いや、は、初めて見る魔物だったんで」


「美紅、教えるがこいつは喋る事はないが知能も高く非常に硬く危険な魔物だ、喋れはしないがな。シルバー冒険者数人でやっと倒せる魔物だぞ」


「ハレンもお婆様にその様に教えていただいた事があるのです」


「美紅さんやはり・・お強いのですね」


僕は冷や汗が出てきた。

知らないって怖い!そんな魔物だったの!?


「ハハハハ・・ボクヨクタオセマシタネ」


本当に!


「流石だ美紅!早速コイツの牙と皮膚を剥ぎ取るぞ!美紅の剣ならできるはずだ!」


「え?」


「美紅さんの剣はそんなに切れ味がいいのですか?確かにこの魔物は倒しても皮膚が剥ぎ取るのが難しく素材はなかなか出回らないレア素材ですけど」


「確かお婆様から聞いたお話ではゴーレムコンゴは打撃や剣での攻撃に強いですけど魔法による攻撃が有効なので時間をかけて魔法で倒すことが多いと聞いたのです。なので魔法士か攻撃魔法のダンジョン石が必須らしいと効聞いたのです。しかし魔法で攻撃するためにゴーレムコンゴ自体綺麗に倒せない事が多いらしいのです」


「ヘー」


普通に剣で刺して倒しましたが?スラビーさんのダンジョン石は無敵か?スラビーさんあなたがこめた魔法が一体なんなのですか??


「凄い・・なんですかその剣」


僕がゴーレムコンゴの皮膚と牙をあっさり剥ぐのを見て後ろでリングさんが驚いている。


「普通の剣ですよ?」


「美紅、さすがにそれは誤魔化し以前に通用しないぞ」


「だってヒルマさん・・」


「いえ、別に追求してるわけではないので。素晴らしい剣ということだけわかりました」


「そう理解していただければ~」


だって説明とかメンドイし。


ゴーレムコンゴの素材を全て剥いだので先へ進むことにした。

ここから先はどうなっているか誰も知らないので慎重に進む。

しかし不思議な進むにつれて不思議なことが起こった。


「どういうことだ、魔物が現れるようになったが道を空ける様に逃げていくぞ」


「逃げるというかその場から立ち去る感じなのです」


「何故なのでしょう」


「理由は1つだと思いますよ」


「美紅様わかるのですか??」


「わかった!ハレンが恐ろしいんだな!!」


「ヒ、ヒドイ言いがかりなのです!」


「違いますよ・・このインプもどきのお陰です」


僕は両手で抱えているインプもどきを見た。

確かにちらほらと魔物は現れる、しかしそれは僕達の道をふさぐという風ではなく、どの魔物も姿を少しだけ見せて現れた方向に姿を消していく。

そしてそのどの魔物も一度僕の腕をの中の者を見るのだ。

まるでインプもどきの死を確認するように、そして何かを感じ取るように消えていく。


「ここで20階ですね」


「ダンジョンをただ降りるだけというのも貴重な経験だな」


「臭いが変わったのです」


「なんでこんな物がダンジョンに・・」


リングさんの呟きはもっともだった。

そこには『扉』があった。

人の世界に、家になら何処にでもありそうな『扉』だった取っ手がついてる白い扉。


「扉・・ですよね?」


「そうだな」


「どうするのです?」


「鍵・・とかかってますかね?」


「ぶち破るか?もしかしたらまた上の両開きの扉みたいにインプが鍵かもしれないしぞ?しかしもうインプは残念だかいない」


「そうですね、でもまずは・・・」


僕は扉の前に立つと・・コンコン。

扉をノックした。


「み、美紅さん流石にそれは・・いくら何処にでもありそうな扉といってもココはダンジョンですし」


「でも礼儀ですし」



『誰かね?鍵ならもうかかっていない。入りたければ入りたまえ』



「え?嘘!」


「人の言葉だな」


「流暢な感じなのです」


「返事がありましたね。入りましょうか」


「美紅さんって何者ですか・・。ちょっと警戒したほうがいいと思いますが」


「してますよ?でもここまで来たのに躊躇しても仕方ないですし」


「このダンジョン自体普通とは違うしな」


「入りましょうか、3人とも。失礼します」


僕は取っ手をひねって扉を開けた。

そこにはダンジョンとは思えない光景がいきなり目に入ってきた。


「なんだ・・これは・・」


「ここダンジョンではないのです?」


「そ、そのはずです」


「なんて表現すればいいんですかね?部屋?研究室?」


確かに壁は岩、でも十分なスペースに色々な道具があり、見たこともない物たくさんある。

しかし見たこともありそうな物もたくさんある。やはり一言で言うならこれだろう。


研究室。


「ようこそ、リステインダンジョン最下層へ。君達が攻略者か」


部屋の奥に立っている者がいた。

人型の魔物?かと思ったが見た目はほぼ・・人間だった。

男性で白いローブ、白衣にも見える服。年齢は40半ば、以外とガッチリしていて少し白髪はあるがまだフサフサな髪をしていた。


「人間・・なのです?」


「人に化ける魔物もいる、気をつけろ」


「貴方は誰ですか?魔物ですか?人間ですか?」


「一応まだ人間をやっているつもりだが?魔物に見えるかね?」


「最下層と言ったな。では人間のお前がダンジョンの主なのか?」


「人族が主?そんな事ありえるのです?」


「残念だが・・ん?」


何かを最後まで言おうとしたのに言葉は途中で止まりこちらをじっと見てくる。

というより僕達の内の1人を。


その視線を辿るとそれはリングさんだった。

そしてリングさんは何故か下を向いて震えていた。

そして・・。


「何故貴方がこんな場所に居るんですか!!」


「リングワットいきなり大声を出すな。というかコイツを知っているのか?」


「お知り合いなのです?」


「この方は・・この方は・・元我が国の魔術師団長様です!」


「へー偉い人なんですね」


「ほー、やはりその派手な鎧はナディガム騎士団長が与えられる鎧か。懐かしいな、見覚えがあるわけだ。しかし君には見覚えがないな、私を知っているのか?私を捕まえに来たのかね?」


「一度幼少の頃に宮殿の舞踏会にてお会いしたことが、ですが貴方はすぐそのあと・・10年近く前に国を捨てて出て行ったと聞きました」


「その通りだ。国が嫌になったのとあのすっとぼけ王が嫌いでね。サマン王はまだ生きているのかね?」


「サマ・・王はご健在です。とても素晴らしい王です。あの方が王位について12年間我が国は周辺国との小さな諍いこそありましたがかつてのような侵略や大きな戦争は一切起こっておりません。すっととぼけなどと言わないで下さい、間違いなく健君です」


「健君?」


「その通りです。あの方のお陰で我が国は大聖堂の建設を認められて世界にも大国としてしっかりと認められました」


「それは違うだろう?昔から大聖堂候補ではあった。サマンの功績ではない。ただ建てられる時に奴が王なだけだった、ただそれだけだ」


「ですが国を捨てた貴方が王を馬鹿にするのは違います」


「それも違うな、国を捨てたからこそ馬鹿に出来るんだよ。国の中であの王は馬鹿だ、嘘つきだなどと大声で言えるか?言えないだろう?これは国に不振をいだき出て行った者の特権だよ」


「極論です!」


「リングワット、悪いがお前達の国の状態や王の評判を口論する為にここまで来たわけじゃない。したいなら私達のする事が終わってからにしてくれ」


「す、すいません」


「ゴメンなさいリングさん、まず僕からお話をさせて下さい」


「こちらこそ感情的になってしまって、美紅さんどうぞ」


「ありがとうございます。えっと僕は美紅と言います。こっちはヒルマさんとハレンちゃん、さっき貴方といい争っていたのがリングワットさんです。僕とヒルマさんとハレンちゃんは同じパーティーで旅をしてこのダンジョンに着ました。リングさんは他のパーティーでしたがある事情で1人だけになってしまい今だけここに一緒に来ました」


「そうかね、私はそこの騎士が言ったように元ナディガムの人間だ、名前はシュッペル=ドレングという者だ。呼び方はシュッペルでいい」


「シュッペルさん先ほどの聞きたかった事ですが、貴方はこのダンジョンの主をしているんですか?」


「答えは違うだ」


「違うだと?お前は実際最下層にいてこんな怪しい部屋まで作って魔物に襲われずにのうのうと暮らしている。人間が主など聞いたことがないがな、なら何故ここにいる?このダンジョンには明らかに主がいるだろう?他にいるのか?」


「私はここに間借りしてるだけだ。確かにこのダンジョンのは主がいるな。いや居たというべきか」


「・・・いた?」


嫌な予感がした。


「そうだ、質問の答えは美紅といったな、君が腕に抱いてる者だよ」


「・・そうですか」


「このインプもどきさんが主だったのです?」


「おい!質問に全部答えろ!このインプが主ならお前は何なんだ?」


「やれやれ、まぁいいだろう。もうこのダンジョンにも居られない身だしな」


「居られない?どう言う事ですか?」


「それも含めて全部説明しよう、そこの岩にでも座りたまえ。悪いが客人をもてなす様に出来てないのでな。お茶も出せないが長くなる話なのでな」


そう言われた僕達は手頃な岩に腰を下ろす。


「私がここに来たのは9年ほど前だ、私は国を出てある研究をしたかった。しかし国を出た経緯もあり他の国や町にはいけなくてな、何より静かな場所で1人で研究したかった。そして考えたのがダンジョンだ。当時このダンジョンは攻略されたばかりで魔物が弱っていたので簡単に最下層まで着く事が出来たよ。そして私はここで研究する事にした、私はこれでも魔術師団の長をしていたし、この程度ダンジョンくらいの魔物なら何時襲ってきても撃退できたしな」


「それでこの部屋もわざわざ作ったんですか?」


「それは違う、事はここに来て1ヶ月程で動いた。ある日のことだ、1匹のインプが私に近づいてきた。このダンジョンでインプは始めて見たし何よりそのインプは変わっていた」


「何が変わっていたんですか?」


「他の魔物と違って殺気がなく、私に無造作に近寄って私の持ってる道具に興味があるように探り始めた。何日も何十日もずっと定位置から私を観察していたよ。私はずっと無視していたがね。しかしある日の事だ、私の道具やアイテムではなく私自身に近づいてきた。相変わらず殺気はなかった」


「それからどうしたのです?」


「私はどうもしない。というよりそのインプがどうかしたのだ。私の顔をジッと見つめ声にならない声をあげようとしてくる『ぎゃっぎゃ・・・ぎゃ』とね。何か必死に伝えようとしてくる感じだった」


「待ってください!そのインプってこのインプもどきですよね?喋ればいいじゃないですか?」


「君はせっかちだな・・まだ話は途中だ」


「すいません」


「続きを話そう、そしてその声を出す行為はまた数日続いた。私は別に害もなく研究の暇つぶしになったので適当に無視をしながらほおって置いた。そして私は地底湖に水と汲みに行ったりして戻って驚いたよ、インプは私の研究書の文字を真似て岩に彫っていた。私はこのインプが何をしたいかわかった気がした」


「何がわかったんだ?」


「成長だよ、インプは求めていたんだ。知識を、自分の知らない事を!その瞬間私はインプに親近感を覚えた、知らない事を求めるのは研究者にとっては当然だからね。・・が私にはやりたい事がありインプに対して真剣に相手をするつもりもなかったがね。だから適当に文字を書き、挨拶の言葉を交わす程度の相手をしてやった」


「それで言葉を喋れるようになったのですか?」


「そんなわけないだろう、知能を持つ魔物がどうやって喋れるようになるのかはまだわかっていない。生まれた時から喋れるのか後天的なのか。私はそっちの専門ではないのだからな」


「ならどうしたのだ?」


「その後の事だった。私の人生2度目の奇跡を目撃したよ。インプと会って1年だ。インプは知識を求めるとは別に趣味を持っていた。ダンジョン石集めだ。非常に質の悪い物、小さすぎる物、上質な物、何個かダンジョン石を持っていたよ。そしてある日私がいらない物をやるとお礼のようにある物を見せてきた」


「なんですか?ある物って」


「銀色のダンジョン石だよ」


「女神の雫・・」


僕は呟きながら思い出した。

だからあのインプは銀色が好きだったのか。


「まさか本当にそんな物が!?」


そしてリングさんが驚く。


「私も驚いたよ、人生で2度目だった。しかしその女神の雫はあまりにも小さすぎた」


「小さかっただと?」


「そうだ、小さく質も悪く偽者じゃないかと思えるくらいにな。だが私にはわかったよ、過去1度見ているからね。粗雑だか他のダンジョン石とは違うものが確かに感じられた。そうだな、まるで女神が実験の為にちょっと作ってみた。みたいな位に粗雑な石だったよ」


「それでどうしたんだ?奪ったのか?なんの研究をしてるかわからないが、そんな奇跡の石が目の前にあればお前みたいな輩は喉から手が出るほど欲しいだろ」


「そうだな、思ったよ。殺して奪ってしまおうとね」


「酷いのです!」


「お、落ち着いてハレンちゃん奪ってないから!インプもどきはさっきまで生きてたから・・」


「取り乱したのです」


「しかし私は奪わなかった、それより見たいことがあった」


「何をだ?」


「使う瞬間だ!それをまじかで見たかった!それにだ・・その拙い女神に雫で完全に願いが叶うかが心配だったしな、自分で使うのも躊躇したのも確かだ」


「本音は後半だろ」


「どっちでもいいじゃないか。だから私はインプの肩を捕まえて真剣に伝えた。このインプはこの1年で喋れこそしなくてもこちらの言葉は少しずつ理解はしてきていたしね」


「なんて言ったのですか?」


「こうだ、『お前が本当に欲しいものがあるならこの石を握って願ってみろ』と何度も教えた」


「で、インプはやったわけだな」


「その結果がそこにいるインプだ。願い、光に包まれ、力を貰った。しかし翼はなくなった。だが言葉を手にいれ、そして魔物としてのレベルも上がった。なぜ姿が変わったのかはわからない」


「わからないんですか?」


「私が見たかったのは使う瞬間、女神の雫の力の発動だけだ。喋れるようになった時に1度だけそのインプになんて願ったんだ?と聞いたら『ナイショナイショ』と言われたな」


「貴方でも教えてもらえなかったんですか?このインプもどきが慕っていたのは貴方ですよね?あの方とか言ってた人は」


「その話か、それは私だ。そのインプと長く暮らしてわかったことは義理堅いと言う事だな。言葉を手に入れれたのは半分は方法を教えた私のお陰と思っているようだった」


「そうですか」


「その後そのインプは知識と力でダンジョンの主になった。主の力を手に入れてダンジョンの形を変えて私にこの部屋を作ってくれたというわけだ」


「なるほどな、お前かあの魔方陣の知識を教えたのは」


「アレを見つけて使ったのか、そうだ。あとは16階の扉の知恵もそうだ。鍵を自分にすればここへ到達できるもの少なくなるぞとな」


「それであんな扉があったのですね」


「シュッペルさん」


「なんだい?美紅君だったかな」


僕は前にでて手に抱いていたインプもどきを渡たす。


「このインプもどきは僕を守って死にました。ごめんなさい」


「なぜそれをいちいち私に言うのかね?それに私に謝まる理由がわからないんだが?」




シュッペルさんからは僕が思っていたのと違う態度と言葉返ってきた。



あたしはオストピア支部から戻っていた。

美紅の情報を手に入れれたのが凄く嬉しかった。

もっと詳細に聞きたかったけど女神としてそれが出来ないのが辛かった。


「次行く場所は~~・・大聖堂?ああ、奏ちゃんが飛んだ場所か!会えはしないと思うけどどうなったかわかるかも!あの3人組は・・別にいいや」


えーと!オーキラスオーキラス!

呼ばれたわけじゃないからまず行く事を伝えないと!


あたしは祭壇に向かって念じる。

そうすると頭の中に向こうの映像が流れる。

慌てて人が入ってくるのが見える。

向こうの聖堂の人だろう、あんなに急がなくてもいいのに・・。


なんか涙を流して喜んでる・・。

うわー、なんかちょっと引く反応だし。


でもこれはカナじいに頼まれたスケジュールに入ってるから行かないとだし。

というわけで伝えたので出発!


結構大変女神のお仕事(*´・ω・*)




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