表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/93

単純な勝負

やっと5部を書き始めれそうです。


なんか絶対15話構成になっちゃうなー。


評価お願いします(*´・ω・*)

「ドウシタ?」


「閉めて!閉めて!」


「アケロトイッタイノニ」


なんか恨めしい目で見られた。


「シメロガ2ツメ?」


「それは駄目!そしていいから早く!そうしないと君も後悔するよ」


僕は開けさせた両開きの扉を完全に開く前に閉めさせる。

理由は嫌なものを見たからだ。


「ふぅ・・怖かった」


横ではインプもどきが不思議そうに見ている。

体は縄でぐるぐる巻きにされて自由には動けないようになっている。


「イウコトキイタ、ホドケ」


「まだダメ、約束の回数はまだ残ってるでしょ?」


「チッ」


魔物まで舌打ちするのか!マジで舌打ちはやめて!


「失礼なこと言わないでね、ここまで君の方が何度嘘ついたと思ってるの?」


「オレウソツイテナイ」


「それが嘘だからね」


「デモナゼシメタ?オマエナカマアウ。チガウノカ?」


「そのつもりだったんだけどね~。ディット・・いや君には銀色の鎧の男って言ったほうがいいかな?あれが見えたんだよ。ってコラ!!」


「ハナセ!スグニシラセナキャ!」


「だから誰に?そして離すと思うのが間違ってるよ」


「ヒトサライ!ヒトサライ!」


「君は人じゃないだろ!」


「セイレイサライ!」


「君が精霊だったら僕はゴブリンを見ることがあったら精霊と思わなきゃいけないのかな」


「メガ・・」


「女神攫いとか言ったら起こるからね?」


「ケッ」


なんだその態度・・。

にしてもこのインプもどきは実は結構面白い奴なのかな?結構冗談も言うし。ただ人をからかう様な冗談だけだけど・・でも本当の事も滅多に言わないし嘘つくから信用できないんだよね。


ここまで来るのに結構大変だったしね。





--------------------------------------------------------------------------------



この両開きの扉に着く2時間ほど前・・。


「ナニシテイル?」


僕は指輪から縄を出していた。

そして・・。


「ヤメロヤロメ」


「うるさい。じっとしてないと肩に刺さった剣はこのままにするよ?」


「ソレモヤダ!」


「我侭だな~、でも無理とりあえず縛らせてもらうよ。ハレンちゃんでもいれば君が逃げても追いつけそうだけど僕は君みたいに身軽じゃないから跳躍されたらダンジョン石の力を使っても対処出来そうにないしね」


「オボエテオケ、アカイニンゲン」


「恨み言を言っても無駄、これから色々質問させてもらうからね。地上の時と違って僕も切羽詰まってるから容赦しないからよろしくね?」


「ヒトゴロシ!ヒトゴロシ!マモノゴロシ!」


「殺さないってば、殺したら聞きたいこと聞けないでしょ。そ・れ・に!」


「ギャガーー!」


「まだ剣が刺さってるのを忘れてない?」


「イタイイタイイタイ!」


「はいはい、抜くからじっとしててね。これ以上暴れたら肩から先がなくなるよ?」


「ウギャッ」


僕は縄がで完全に捕縛したのを確認すると肩に刺さっていた剣を抜いた。


「これでよし、さて今から君にいっぱい質問するから正直に答えてね?」


「ヤダ」


即答かよ!


「拒否権はないよ」


「オレハナニモシラナイ」


「また嘘をつく」


「オレショウジキモノ」


「はぁ、君は自分で頭がいいとか思っているのにあんまり会話が成立しないね。取り付く暇がないっていうのかな」


「オレハオマエヨリアタマイイ」


「ふ~ん」


このインプもどきはたぶん拷問や言葉では何も答えてはくれない。

誰だかわからないけどこのインプもどきが敬っている者に対しての忠誠心は相当なものだと思う。

だから僕が取る方法は1つだと思った。


このインプもどきが信じている物、自身を支えているものを揺らせばいい。


「オマエバカ、オレアタマイイ」


「そっか、じゃあ勝負しようか?」


「ショウブ?」


「うん、勝負だよ」


「タタカウ?」


「違うよ、違う方法でね。でも勝った方がどんな事でも3つだけ言うことを聞くというのはどう?」


どうもこのインプもどきは頭が悪いと言われるということにコンプレックスがあるようだ。


「ヤーダネ!」


「逃げるの?君は頭良いんでしょ?僕に知能では勝てないと思って断るんだね。じゃあ不戦勝で僕の勝ちってことでいいね」


「オレハバカジャナイ!」


「もういいよ、君は逃げたしね。僕のほうが頭が良いってことだし」


「チガウ!オレハアタマガヨクナッタ!オマエヨリ!ダレヨリモ!」


「はいはい、でも逃げるんだよね。そんな弱虫の言葉は真実味がないよ」


「ギャー!ワカッタショウブスル。オマエノガバカ」


「逃げずにやるの?でも受けるなら僕が君より馬鹿かは終わった後わかるから騒ぐのをやめてね」


「ワカッタ・・・・・・・・・・・・・・・バーカ」


今、間を空けて小さい声で最後に馬鹿って言ったろ!聞こえたぞ!


「ならまず条件を飲むか了承してくれる?負けたほうは勝った人の言うことを何でも3つ聞くこと。なんでもね」


「ナンデモ?」


「うん、何でも。ああ、でも勝てないと思ってるなら受けなくても・・」


「ウケル!ナンデモ3ツキイテヤル!」


「そっか、じゃあ約束ね。君が信じている者に誓える?」


「アノカタニチカウ」


「僕も僕が信じてる者に誓うよ」


「オレガカッタラマズコレヲホドケ!ソシテオマエハギンイロノニンゲンヲハイジョヲテツダウ!」


「わかった」


「サイゴニオマエノナカマト、オマエハニドトココニハイッテクルナ!」


「それで3つ?」


「ソウダ」


「驚いた。僕達に死ねとか言うと思ったよ」


「オレイチドオマエタチニタスケラレテル、ダカラ1ドダケミノガス」


いや・・さっき灰色ゴリラを使って僕を殺しかけたよね?


「そっか、お礼を言っておくよ。ありがとう」


「ソンナコトイッテモショウブハテヲヌカナイ」


「それはこっちも同じだよ」


「オマエガカツコトハナイガ、オマエノノゾミハナンダ?」


「うーん、勝った時に言うよ」


「ジャア、キクコトハナクナッタ」


こいつ・・あんな簡単な挑発に乗ったクセに勝った気でいるのね。


「さて、どんな勝負にしようか・・何かなぞなぞとかクイズでもいいしどうしよっか」


勝負と言ったもののあんまり深く考えてなかったし。

こいつを精神的にへこまさないとこいつは負けを認めない。

しかもこいつは確かにかなりの知能がある。ちゃんと平等と思われる勝負にしないと納得しないだろう。


「ナニスレバイイ?」


「そうだね、こうしよう。君と僕で1つずつ何か問題を出してそれに答える。それで勝敗を決めるというのはどう?」


「ナンデモイイノカ?」


「いいよ。なぞなぞでもクイズでも何でもいいよ、ただ正解のあるものね。あと嘘はダメだよ?卑怯な真似は駄目だよ。あと魔物の常識とかも勘弁ね、人の僕がわかるだろう問題ね」


「ワカッタワカッタ」


このインプもどき、言葉を二回つなげて言うクセがあるのはわかるけど『わかった』を2回繋げて言うとこっちに対して呆れてる感じになるからやめて欲しい。


「オレカラダス」


「どうぞ?」


「ジャア、オレノスキナモノヲアテテミロ」


えぇ・・何それわかるわけないじゃん。知恵とかじゃないし、人じゃないけどインプもどきとはほぼ初対面なんだけど~。それにこいつの好きなものとか別に知りたくないし。


「ん~・・ヒントは?」


「ヒント?ナニソレ?」


「ヒントって言うのはその問題に対する手がかりかな。回答者に対する優しさみたいなものかな」


「ソンナノヤルワケナイダロ?バカナノカ?」


あーそうですか。


「でもヒントなしだと僕が出す番になったら君にも僕はヒントださないよ?」


「オレヒントダス」


答えれる自信ないのか!?


「ドンナヒントガイイ?」


「そうだね、食べ物とか無機物とか趣味とかジャンルを絞って欲しいかも。それくらいなら別にいいでしょ?絞っても答えはたくさんあるし」


「ムキブツ!」


・・・まったくわからねー。


「ドウシタ?サッサトコタエロ」


もう適当でいいや。


「ダンジョン石」


「ナ、ナニイロノ?」


「え?」


正解なの!?ねえ正解なの!?


「色?」


「イロアテナイトセイカイジャナイ!モウヒントナシ!」


ダンジョン石であってるとは・・ダンジョンにある無機物で適当に答えたのに・・。

色ね~、僕が知ってるのは茶色、赤色、青色、黄色、緑色、水色、黒色、白色、銀色。

どれだろう?僕が知ってるの以外も色はあるのかもしれないし、こんなことならヒルマさんにどんな色があるのかもっと聞いておけばよかった。

結局これも感で答えるしかないね、でも何となくだけどコレかも知れないってのはある。


「銀色?」


「・・・チガウ」


「不正解?」


「・・ソウダ」


「本当に?嘘ついてない?」


「・・オレショウジキモノ」


「もし嘘だったら自分に自信がなかったということだよ?」


「・・チッ!セイカイ!スキナノギンノダンジョンセキ!」


逆ギレかよ!嘘ついておいて!


「嘘は駄目って言ったよね?」


「ウソツイテナイ!」


確かに自白したけどさー。

まぁいいや、正解したし。全部適当に言って当たったしね。


「じゃあ、こっちの番でいい?」


「ハヤクシロバカ」


急に態度が悪くなりやがったコイツ!何!?気に入らなかったの?正解したのが!?


「これで答えれなかったら君のが馬鹿だけどね」


言ってやった!


「ギャギャギャギャギャーー!」


ふっ・・何か飛び跳ねて主張してるけど先に正解してるのでこっちは優位なんだよ!答えられても負けはない!あはははは!


「それでは問題、簡単なのにしてあげるよ。僕の好きな色は何色でしょうか?」


「ヘ?ソレデイイノカ?オマエバカカ?」


馬鹿馬鹿言うな!確かに選択問題だけど選択問題って結構難しいんだぞ!回答を限定されると言う事は結構辛いんだぞ!


「ヒント」


さっそく!?ちょっとは考えろよまったく、まぁ来ると思ってたけどね。

というわけで用意してましたヒント。


「茶、赤、青、黄 水、黒、白、銀、のどれかです。どれでしょうか?」


どう?これでまったくの平等でしょ?むしろ僕のがダンジョン石当てた分凄いでしょ?運だけど。


「モットヒント!」


「駄目ー、正直かなりのヒントだよ?頭良いなら僕の態度とかこれまで見た中とかにヒントがあるかも知れないし思い返してみなよ」


「8コオオイ!」


君は文句が多いよ。


「さあ、早くしてくれる?」


「キイロ・・チガウ・・アイツノナカマシロイタ、アオモイタ・・コイツアカイ」


「ま~だ~?」


「アオ?」


「青でいいの?」


「マテマテ!」


「え?変えるの?早くしてね。次は待たないよ?」


「キイロトクロトシロ?」


僕やっぱり舐めれててるの?なんで複数回答が通ると思われてるの?



「回答は1つに決まってるでしょ?むしろ3つだったら選択増やして逆に難しいよ?」


馬鹿なのか?


「ア、アカダ!オマエマッカ!」


「はい不正解」


「ウソツキ!」


なぜすぐ否定する!!


「正解は青ね」


「ヒキョウモノ!オレアオイッタ!」


「言ったね。でも変えたでしょ?」


「カエサセタ」


「でも決めたのは自分でしょ?自分に自信がなかったから変えたんでしょ?」


「フセイフセイ!」


不正とか心外な。確かに青って言われたときは驚いたけど疑問形だったじゃん。だから聞き返したんだよ!


「駄目だよ、僕の勝ち。それとも君は正々堂々とやった勝負なのに不正と言い訳してなかったことにするの?そっちの方が卑怯だよ?頭が良いならわかるでしょ?」


「クヤシイクヤシイ!」


悔しいのぅ。


「悔しいのはわかるけど結果は結果、約束は守ってくれるね?」


「3コ?」


「覚えてて偉いね、そう3つ何でも言うことを聞く。もちろん僕も君に死ねとか命にかかわることは命令しないよ。傷つけることもしない。君は君の尊厳にしたがって僕の言うことを聞くこと。嘘なしね」


「ギャギャギャギャギャギャギャー!」


うるさい、飛び跳ねるな。

不本意なのはわかるけど約束は守ってもらう。

あとその叫びはやめてね。最初に出会ったときそんな感じの雄たけび上げて仲間呼んだよね?

思わず何か来るかと思って振り返っちゃうでしょ。


「さてと、とりあえず1つ目ね。教えて欲しいことがあるんだ」


「・・・ナンダ?」


うん、明らかに警戒されてるね。


「僕の仲間がどこにいるかだよ、分かるならそこに案内して欲しい。それが1つ目」


「シラナ・・」


「嘘をついたら君はさっきの自分の尊厳をかけた勝負を侮辱するって事だよ?君は頭が良いんだからわかるよね?」


「・・・オマエタチ、マホウジンツカッタ?」


やっぱり嘘言おうとしてたな!


「使ったよ。君と最初にあった場所にあった大岩がずれる仕組みになってたのを見つけてずらして順番に入った」


「ヤッパリ!オマエタチカッテニツカッタ!」


責めるために聞いたの!?


「勝手もなにも見つけたから使ったんだよ。使っちゃいけないなら使えないようにしておきなよ。それに質問の答えになってないよ?早く1つ目の事できるなら答えてやってくれる?」


「ギャギャー!アノマホウジンツカイカタアル!」


「使い方?」


「ジュンバン!タイサク!」


「対策?順番?」


「1ト2ハトビラノマエニトバサレル。3ハトビラノムコウ、ココニトブ。3ガセイカイ」


「・・・つまり僕は3番目に入ったからここに来た?」


「ソウダ、イワズラス、ソレガカギ。オレツカウトキ、イシコロヲ1ツイドウサセ、モウイチドイシコロ1ツイドウサセ、ソシテオレガイドウスル」


「なるほどね、もしあの魔方陣が見つかった場合の安全策なわけね。大岩をずらしてから1回は扉の前?2回目も扉の前?そして3回目が正解、つまり僕達は順番に来てしまって僕だけ正解の番号でヒルマさんとハレンちゃんは不正解、違う場所に飛んだわけね」


「ソウダ」


「理由もわかったし、その場所に案内してくれるよね?」


「フホンイフホンイ!」


「はいはい、嫌々なのはわかるけど約束は守ろうね~」


「ギャギャギャギャギャギャッ」


うるさいさっさと案内しろ。




--------------------------------------------------------------------------------




という事が2時間以上前にありました。

そしてやってまいりました扉の前に。

半分開けたら変な感じになったディットが見えました、閉めました。もう開きたくないです。


「ドウシタ?」


横で首をかしげて話しかけてくるインプもどき。

このインプもどきによるとこの扉は向こう側から開けるにはこのインプもどきの魔力が必要らしい。

つまりこのインプもどきが鍵なのだ。


それを聞いたときに全部わかった、ディットはだからこのインプもどきを探していた。


で~もこの扉、こっち側からなら僕でも開けれるんだよね~。

マジでどうしよう・・ヒルマさんとハレンちゃん向こう側なんだよね。


「オイ!マッカドウシタ!」


あ、考えててインプもどき無視してた、あと真っ赤呼ばわりやめてね。


「う~ん、えっとね。君ってディットじゃなくて銀色の鎧わかる?アレから逃げてたよね?」


「ニゲテナイ、ケイカイシテタダケ」


何その俺は敵に背を向けないみたいなセリフは。君が言っても全然カッコよくないよ?


「その警戒してた奴がね。扉の向こういたんだよ」


「・・・オレヨウジデキタ」


逃げるのか!?


「待てぃ」


僕は縄を引っ張って逃走を阻止した。


「オレオナカスイタ!」


どんだけ下手な嘘だ。


「干し肉あるよ?」


「オレクサシカタベナイ」


まさかのベジタリアン発言。


「2個目の約束は一生お肉は食べちゃいけないにしていい?」


「・・ニクモキライジャナイ」


すぐに撤回するならくだらない嘘をつくなっ!


「ところで何かいい方法ない?あの様子だとこの扉を開けようとしてるよ?それに何かおかしかった。鎧の形状というかおかしな雰囲気があった」


「ナニイッテル?アホナノカ?」


馬鹿とかアホとかこいつ・・。


「君は見てないんだね。あの銀色の鎧の名前はディットって言うんだけどね。鎧がおかしかったよ、しかもなにかあぶない雰囲気がした」


「??ミテクル」


「え?扉開けたらたぶん襲ってくるよ?そんな雰囲気だった」


「ヘイキ、ミルダケナラミレル」


「どうやって?」


「ボドイテ」


「え?逃げるじゃん。嫌だよ」


「ヤクソクハマモル、コレオレノカワリ」


そう言うとインプもどきは尻尾を差し出してくる。尻尾は何かを握っていた。

僕は何かと思って尻尾からそれを受け取った。


「ダンジョン石・・それも青色の、くれるの?」


「バカ?ニゲナイシルシ。オレガニゲタラソレヤル。デモオレニゲナイカラアトデカエシテモラウ」


「つまり保険?担保ってこと?」


「ホケンホケン。オマエノスキナイロ」


わざわざ僕の好きな色のダンジョン石を、変なところで気がきくな。


「なるほど、僕の好きな色のダンジョン石を預けるから縄を解いて欲しいと。わかった信用するけど逃げたらこれ貰っちゃうよ?そしてもし逃げて次にあったら残りの2つはちゃんと聞いてもらうからね」


「アホメ、ニゲナイカラソレヤラナイ」


「はいはい、とりあえず見てきたいんでしょ?どうやるか知らないけどほどくよ」


僕はぐるぐる巻きになった縄を解くとインプは体の調子を確かめるようにぴょんぴょんと跳ねた。


「あ、ちょっと待って」


「ナンダ?ニゲナイゾ?」


「違うよ」


僕は回復のダンジョン石をインプもどきの肩に当てる。


「良かった。魔物でも効くんだね」


剣の刺さった肩の傷が治っていく。貫通していたので完全ではないが傷口はふさがっていった。


「オー!ヨクヤッタ!」


上から目線か!もう一度刺すぞこいつ。


「とりあえず応急処置ね。別に恩に着せるとかないから安心して、早く行ってきなよ」


「ギャッ!」


インプもどきは叫んぶと同時にジャンプした。

凄い跳躍力で天井にぶつかるほどだ。


「え?消えた?」


違う天井に小さい穴があった。

人間の子供ならギリギリで入れるくらいの穴。

恐らくアレにはいったのだ、どこにつながってるかは想像できる。

扉の向こう側の天井、インプもどきが見てくると言ったのはその穴の通路を使って向こうを確認できるからだろう。


「あんなのあるんだ。しかしこのダンジョン作った主は凄いな」


そして待つこと約1分。


ダダダダダと音が聞こえる。

どうやら急いで戻ってきているようだ。

天井の穴を見ているとインプもどきが出てきた。

そして飛び降りてくる、でも何か様子おかしい。



「どうし・・」


「ハハハハ・・」


笑ってる?


「ハハハハアハア」


違う。笑ってない怯えてる?

その証拠に体が震えている。


「ギャギャギャ!アレヤバイ!アレキケン!アレ!アレ!」


「落ち着いて!あれってディットの事?」


「ギンイロ!アアアアアレキケン!」


さっきまでのふざけた態度は皆無。

両手で体を覆ってブルブルと震えている。

野生の感かなにかだろうか?危険を感じ取っている?


「だから落ち着いてって、ディットが危険でも扉の向こうでしょ?この扉は君しか開けれないって言ってたじゃない」


「ソ、ソウダッタ」


ドゴッ!!


「何今の音?」


「ギヒィィィィ」


僕は叫ぶインプもどきを無視して後ろを向く。


そこには手があった。否、扉から手が突き出していた。


「何あれ?あの分厚い扉を貫通させたってこと?ねえ、あの扉って開かないだけでもしかして破壊は可能?

って逃げてるし!」


「ヒッ?ギヒィィィィィ」


「え?」


逃げようとしていたインプもどきが空中をすべるようにしてすごい速さで横を通り過ぎる。

そしてその先を確認すると。


手に掴まれていた。

頭をガッチリとつかまれて、さらに扉の向こうで手を引いたらしく扉にめり込む勢いだ。


そして手はせっかく捕まえたはずのインプもどきを離した。


「バギャギャギャァァァァ」


雄叫び、いや泣いていた。目の前のインプもどきは明らかに鳴くのではなく泣いていた。


そして次の瞬間、開かないはずの扉が開いていった。


そして話は扉の向こう側の出来事に戻る。



--------------------------------------------------------------------------------




「美紅様!」


「美紅!」


「駄目なのです、どうやらハレン達が見える意味にいなかったのとこっちの声は聞こえなかったようなのです」


「その様だ、だが美紅が扉の向こう側にいたと言う事はわかったし、しかも開けられるようだ。ただディットを見て閉めたということはアレがいなければ合流できるか」


「でもヒルマさんアレは危険な気がするのです」


そうだ。あんなのは見たことがない。

ディットの銀色の鎧は金属なのにうねるように形を変えまるで生き物の様に流動してまったく別の鎧になりディットを包み込んでいる。

鎧が形を変えただけと言うなら良かったが今の奴は明らかに変形前とは違う感じがする。


「殿下、それは国外の者の前では、人の前では使っては行けないと誓われたじゃないですか!」


「目撃者はいなくなるさ」


「ハレン、わかると思うがあの言葉。やる気だ」


「はいなのです、殺気が凄いのです」


「さっきのディットとは全然別物だ」


「それもわかるのです。毛が逆立つ感じなのです」


「ゴミ掃除にこれを使っちまうとはまったく俺も大人気ないかもしれないな。安心しろさっきも言ったが生贄用だ、1人は生かしてやる」


お前は元からガキだろうが。


「おい、リングワットとか言う奴」


「え?なんでしょうか?」


「お前保護者だろ、良いのかこいつは見せてはいけない力とやらを使ってるのに止めなくて良いのか?」


「それは・・・」


「そうか、使ってしまったからにはお前も目撃者がいなくなったほうが言いと言うわけか」


「違います!私は」


「同じだよ、本当に違うなら力づくでも止めるはずだ。お前も強いだろう?」


「・・・・・」


「ヒルマさん、前を見てください。それにその会話でディットさんが怒ってるのです」


「目の前のアホは元から怒ってるから今さらだな」


「確かにそうなのです」


「保護者?俺様はもう18だ!ガキじゃねぇぇ」


「精神的な話をいったんだがな・・ん?どうしたハレン」


ハレンが近づいて来て小声で私に語りかけてくる。


「ヒルマさん、ディットさん気づかれないように上を見てください。インプもどきさんがいるのです」


「何?」


ハレンに言われて私はディットから気づかれないように少し視線を上に向けた。丁度ディットの真上だった。

そこには普段は気づかないようなとても小さな穴があり顔だけ出して覗くものがあった。

それは間違いなくインプだった。


「なんだあれは観察か?」


「わからないですがディットさんが気づいてないのが幸いなのです」


「そうだな・・何だと」


視線を戻すとディットがこっちを見ていない、というより首を真上に向けている。

私は絶対気づかれないほどの動きで上を見たはずだった、私の視線で気づいたのでないなら何故ディットはインプもどきに気づいたのか?

そして視線の先のインプもどきを見ると明らかにビクっとした動きと共にそこからいなくなった。


そして目の前のディットは・・。


「プ・・ハハハハ。見つけたぞ!どうやら上の穴は扉の向こうと繋がってるわけかあいつの場所さえわかれば・・この状態ならこっちのもんだ。せっかくリスクを犯してまでこの状態になったんだ・・やってみるか?いややらなきゃ嘘だな・・」


目の前のアホは目的の者を見つけて興奮しているのか後半はただの独り言になっていた。


何かするのかブツブツと呟き下を向いている。

私は何が起きてもいい様に目の前のアホに集中する。


しかしそのアホは私達からは離れていくように歩き出した。

そして扉の前で止まる。


そして扉に向かって拳を構えた。


「何をする気だ?もしかして扉を壊す気か?」


「で、でもそんな事が出来たならインプもどきさんをずっと探してた意味がわからないのです」


「だが何かするのは事実だ」


「気になるかゴミ共、まあ見てろ」


そう言われたので私達は注意を逸らさずにディットを警戒する。

そして見ていると構えたディットの右腕が変わり始めた。


最初に鎧が変化した時のように右腕に部分に溶けるように鎧の一部分が右腕を覆う。

そして右腕だけ尖った太い槍のようになったのだ。


そしてディットはそれを振りかぶり、扉に向かって右腕をぶつけた。


鈍い音と共に、ディットの足元に破片がこぼれる。

よく見るとディットの腕は・・貫通していた。


美紅が開けたときに見た扉の暑さは50センチはあった。

分厚いと言ってもいいだろう、しかもインプしか開けられないと言う事は何か特別な力も働いている扉。

なのにそれを軽々と貫通させた。

正直な感想としては驚愕だった。一体あの鎧は何なのか。

そうこう考えているうちにディットが小さな声で呟いていた。


「・・・開けろ、じゃなきゃこのままお前の頭を握りつぶす。3秒以内だ、1・2・・・」


そして貫通させただけだと思っていた扉は・・開いていった。



「よう、赤いゴミ。さっきはよくも閉めたな。その猿魔物と仲良しか?」


「どうも、さっき閉めたのは景色が悪かったのが理由です」


「美紅様!」


「美紅!」


「あ、二人ともやっと会えたね。状況はよくわからないけど最悪?」


「俺は最高だ!!」


お前には聞いてない。



「ア、アトデ・・ツギアッタラヤクソクマモルカラニゲテイイ?」


「いいよ、早く行って」


「カンシャスル」


こういう時は素直なんだね。


「まだ何かあるかも知れねーのに逃がすかよ!」


ディットが右腕をインプもどきに向かってかざす。


「ヒッギャギャギャギャ」


見るとまたインプもどきが少し浮き上がってあの手に引っ張られようとしている。

しかし今度はさすがにインプもどきもわかったのが抵抗している。

地面を掴むようにして爪で踏ん張っていた、それでも駄目なようで爪のあとがつくように少しずつ引っ張られる。


「タタ、タスケテタスケテ」


「てっ!」


短いディットの声と共にインプもどきが不思議な現象から開放された。


「これでいいのだろう?美紅」


ヒルマさんが雷撃をディットの手に向けて放っていた。


「流石ですヒルマさん」


「タスカッタ、オンニキル、オレニゲル」


インプもどきは再度僕を見てそう言う。


「行って良いよ」


そう行ってやると跳躍しながら素早く逃げていった。


「おい、クソ騎士」


「・・なんでしょうか?」


「こいつ等は組合所属ではない、だから消えても不思議に思われないそうだな」


「その通りです、ですが!!」


続いて何かを言おうとしたリングさんの声はさらに続けて大声あげたディットに止められる。


「そしてなにより!こいつ等は魔物に加担した!これは理由になるよな?俺達は魔物を殺ろうとしたのにそれを邪魔したんだ。こっちに正義があるそうだろ!?」


「しかし!」


「お前の意見はどうでもいい!状況を覚えておけといっているんだ!」


じゃあリングさんに聞くなよ、と言ってやりたい。

あと正義とかどの口が言うの?


「ハレンはあの人の事が理解できないのです」


「理解しようとした努力は大切だぞハレン、例えそれがあんなのでもだ」


向こうは向こうで酷いことを口に出して言っている。

あの2人意見が合うと本当に仲いいな。


「というわけで判決だ、扉は開いたので用済みだしな。お前達は見てはいけないものを見た、魔物に加担した。俺様に対する数々の無礼!以上の罪によりナディガム王家の者としてお前達を処刑する」


「あのぅ、ヒルマさんハレンちゃん。合流したばかりでわからないんですけど・・罪の中にある見てはいけないものってなんですか?」


「そいつのアホさ加減だ」


「なのです」


なるほど!!


「じゃあ、見せなきゃ良いのに」


なんかディットがぷるぷる震えてない?図星で恥かしいのかな?


「・・お前から死ね!赤い奴!!!」


ディットが物凄い怒ってそう宣言してきた。



何故だ!!!!




あたしは地上に光臨したあと姿を消して地上を見て回っていた。

この世界の事は女神になって学んだけど実際あまり目で見てなかったので!


ふっ!上空から見物できるのは空を飛べる女神の特権!

適当に浮遊していると興味を引く集落というか村を見つけたので覗いて見た。

不謹慎?女神だから許される!


「だから何度も言っておるだろうが、お前はもう長ではない。村の代表ではない!勝手な真似はよせ!」


「父上!我は少しだけ思い人を見に行くだけなのです!村の事はしっかりやっておりますゆえ少しだけでも!」


「駄目だ」


上空を飛んでいたらすっごい大きな声が聞こえてきたので気になっちゃったのだ。

見ると人族ではなく獣人みたいだった。

大きな声を出してるのは・・馬かな?赤いな~。人参とか投げたら喜ぶかな?


「しかし寂しがっておられるかも知れぬ!我はに父上に村の長の権限を戻した!だからこそ自由な時間も増えた!一目でいいから見に行く許可を!」


「何度も言わせるな。村も例の件で統率を失い、迷惑をかけたあちらの村にも救援物資を運び、一度壊れかけた絆を結び努力を皆でしているのにお前個人の願いなど聞いておれるか!」


「うぬーー!我はちゃんとしておる!あの時は納得したが月日が立つにつれ思いは募るばかりなのだ!」


「迷惑だあきらめろ、それより弟を探せ」


「ぐぬぬぬ・・」


なーんか親子喧嘩?にしてもあの馬の人声大きいなかも・・丸聞こえだよ。好きな人に会いに行きたいのかな?それが誰だか知らないけどあんな暑苦しい人に思われてる子はちょ~と気の毒かな!


「さあ、西の争いを治めにいけ」


「ぐぬぬ!承知した!」


終わったみたいだった。

でも好きな人に会えないのはちょっとこの馬の人も気の毒かな?よし!


「ほれ!!」


あたしからの、女神からの贈り物だ!

投げたものは地面に落ちた。


「む!何故空から人参が!?」


あ!怪しかったかな?普通そんな物食べないか・・捨てられちゃうかも・・残念!


「こ、これは美味だ!生涯で一番の人参だ!」


え・・食べるの?もしかしてこの人単純馬鹿?


「我の日ごろの行いが良いのできっとこれは天からの贈り物に違いない!感謝する!」


あっという間に人参を食べて空に向かって叫ぶ赤い馬がそこにいた。


もう・・2~3本投げてみたいけど・・なんか暑苦しいし帰ろう。


未知(ギャップ)との遭遇(*´・ω・*)





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ