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どっちも会いたくなかった奴ら

お待たせしました。


評価お願いします。本当に励みになるので(*´・ω・*)

僕はダンジョンの7階の行き止まりの空洞にあった隠し魔法陣からハレンちゃんとヒルマさんと移動した。


そしてバラバラになってしまったらしい。

目の前にはダンジョンに似つかわしくない澄んだ水の小さな地底湖。


そして・・。


「アカイニンゲンミーケッ!」


一応僕はこのダンジョン的には侵入者なんだけど?何故嬉しそうに叫ぶ。


「やあ、久しぶりってそんなに時間はたってないか」


「ドウシテココニイル・・オマエチカミチツカッタ!?」


「何の事かな?僕は普通に進んで来たんだけど?」


やっぱりあの魔法陣近道だったのね、でも何故僕だけ?ハレンちゃんとヒルマさんは無事だといいけど。


「ウソツクナ!オマエイキナリアラワレタ!」


「気のせい気のせい。ところでここってダンジョンの何階?あ、もちろん上からって意味ね」


「エ?ココ?16階?」


「16階!?」


意外と下まで飛ばされてた。しかも素直に教えてくれるんだね。

このインプもどきって結構いい奴??


「そっか~、16階か~ところで僕と一緒にいた2人知らない?青い鎧の人と白い外套の人の事だけど」


「キョウボウトアオイヤツ?シラナイ、ソレヨリダイジナコトガアル」


「大事な事?」


「オマエココマデキタ」


「うん、来たね」


「シンニュウシャ」


「君達にとってはそうなるね」


「コロス」


「・・・そうなるよね」


「キシャシャシャシャシャ」


「・・うわ~」


これは前に魔物の大群をけしかけられた時と一緒かな?ちょっと叫び声も違う気もするけど仲間を呼んでるのには違いない気がする。


ビクッ・・背後から何か気配を感じた。


「キシャシャシャッ!」


目の前のインプもどきは大声じゃなくなっていた。

けど明らかに僕の背後の者に何かを語りかけている。


そして僕は向きたくないけどこのままじゃ危険なので後ろを向いた。


「ゴゴォォォォォ」


うわ・・後ろに居たのは灰色のゾウのような皮膚に覆われた大男・・いや人間じゃないから男じゃないね。


巨人・・そこまで大きくないか巨漢4メートル以上の筋肉質の全身灰色の巨大な生物。

ゴリラに似てるけど明らかに違う口が裂けてて爪がある。背中には刺もある。

口からは緑色の涎が垂れている・・あれどう見ても毒だよね?

尻尾もあるけど何あの太さ・・。恐竜並みだよ。


「インプもどきさん?あれ何?」


「オマエヲコロスモノ」


違う!そんな二つ名みたいなカッコイイ言い方の敬称は聞いてない!敵なのはわかるけどそう言う事じゃない!なんて生物か知りたいだけなの!あんな怖い生物初めてだし!こっち来てあんな魔物を意識する生物は始めてみたのでせめて名前を知りたかったの!


「君みたいに話せる?あれ・・」


「オレハツウジル。オマエムリ」


「へー・・ちなみに君はなんて言ったの?」


「オマエテキ、コロセ」


「一応町で助けてあげたのになんて事言ってるの!?」


「アキラメロ」


「無理でしょ!」


「ゴアアアアア」


「う、うわぁぁ」


巨大な灰色のゴリラは叫び声と共に突っ込んできた。

というよりジャンプした!?


反則でしょあのジャンプ力!


「やばいって!」


僕は身体強化のダンジョン石握って発動させるとジャンプして僕を踏み潰そうとした石の様な皮膚の灰色ゴリラを必死に避ける。


「ゴァ??」


灰色ゴリラは僕の動きが見えなかったのか?片足をあげて踏み潰したかどうかを確認している。


「ミギダ、キシャシャ!」


教えるな~~~~!!お前から始末するぞ!!


「ゴァ?ゴゴァ!!!」


どうやら教えてもらって気づいたらしい。

右を振り向いて僕を見つける。


「インプもどきさんちょっと黙っててくれる!」


「イヤダ」


「僕が敵だってのは仕方ないけど、さっきも言ったように1度は助けたんだからちょっと位優しくしてよ!」


「ココデトメナイトオレガコマル」


なんで?って聞きたいけどそんな場合じゃな~~~い!

またジャンプしてきた!


僕はまた同じ様に避ける。

しかし今度は見えていたのか学習能力なのか避けた方向に尻尾が振り払われる。


「うわっ」


それを僕もジャンプして避ける。

身体能力向上のダンジョン石のお陰でジャンプ力も尋常じゃないほど上がっているのであの太い尻尾も越えれるぐらいの跳躍で避けることが出来た。


「オマエスゴイナ」


「褒めてくれてありがとう。ついでにこの灰色ゴリラ止めてくれない?」


「モウムリ、オマエヲエサダトオモッテル」


「君だそう言ったんだろ絶対!」


「セイカイ!」


あとがあったら覚えてろ!


「石?岩!?」


「ゴァゴァ!!!」


灰色ゴリラは僕目掛けてその辺に落ちてた石を何個も連続して投げつけてきた。

というか石の大きさが半端じゃない。手の大きさが人間1人ぐらいなら掴んでひねり潰せる大きさなので掴む石の大きさもデカイ!


「ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!」


「1個1個掛け声と共に投げないでくれる!いやわかりやすいから避けるタイミングもとりやすいんだけど大きさが大きさなんで怖いんだって!」


「ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!ゴ!」


「いつまでやるの!?気に入ったの!ゲーム感覚か!!」


くそ!絶対このゴリラ楽しんでるし!

あっちで見ているインプもどきに至っては・・。


「スゴイスゴイ!ミギダ!ヨクミロ!キシャシャ!チガウ!キシャー!」


絶対あとで処す!


「あ~!もう!下手にインプもどきと結構会話が出来たからちょっと魔物に親近感沸いたのに!」


僕は腰の剣を抜いた。


「ゴッゴゴゴ!!!」


どんどん石を投げる速さが増してくる。


僕はそれでもそれを避ける。


「避けるのは得意だけど・・破片が当たってちょっと痛いの!」


タイミングを見計らい僕は石を避けてそのまま前に走った。


「ゴァ?ゴォォォ!!」


「それに反応したのか灰色ゴリラは持ってる石を投げずに僕を迎え撃とうとしている。


そして僕はスピードをあげる。


「イゴァ!!!!!!?」


「ゴメンね」


「イギ!ゴアアアア!!」


僕はゴリラの股の下をくぐって後ろから斬りつけた。

そしてそのまま剣を一振りして尻尾を切断した。


「ナニシテル!キシャシャーー!」


お前は黙ってろ・・。


「ゴガァァァ!」


どうやら痛みと怒りでキレたらしい。あとまた何かインプもどきに命令か何か言われたようだ。

僕のほうを振り向くと両手を組んで頭の上まで持って行きそのまま勢いをつけて僕に向かって振りかぶる。


僕はまたそれを避けることに成功する。

ここまででわかったことはこの灰色ゴリラは力は凄いけどまったく僕の速さについてきてない。

いや、たぶんだけどこのゴリラも今までの魔物に比べたら、この巨漢に似合わずかなりのスピードで動く。それでも僕のスラビーさんのダンジョン石の速さはそれを軽く凌駕する。まだ全然本気を出していないのに速さで勝っていた。


灰色ゴリラの両拳を組んでの一撃は地面に当たって空振り。

しかも地面を見ると・・


「うん・・地面岩なのにヒビが入ってるね。やったほうが痛いでしょこれ」


「ゴゴゴアアアア!」


「痛くないのね、次の一撃の準備してるし」


僕は次の一撃が繰り出される前に動いた。


横に回り剣で足を刺す。

大きすぎてたぶん致命傷にはならない、それでも何度か刺す。


「イギャゴゴアアア!!」


さっきと同じ様な一撃。

僕は避けて反対側の足を刺す、隙を見て何度も同じ位置を。


「ヒゴァガアアア!」


雄叫びというより悲鳴をあげていると思われる灰色ゴリラ。


「ナニシテル!バカヤロウ!キギャーー!」


だから黙っててね。


僕は諦めずに何度も足を攻撃していた。

そしてついに痛みで灰色ゴリラはよろけた。

執拗に足ばかり斬りつけられたせいで立っているのが辛くなったせいだ。

地面に手をついて息切れをしている。


「バア・・ゴアゴアゴア・・・」


「君も命令されて僕に襲い掛かったのかも知れないけど一応これは命の取り合いだから・・本当にゴメンね」


僕は自分の手の届く位置にきた灰色ゴリラの目の前に素早く移動すると・・剣を横一線に振りぬいた。


「本当にゴメンね」


灰色ゴリラの首が飛ぶ。

そしてドンっという音と共に体の方も地面に倒れこんだ。


「ウソダ!!!」


「本当だよ。さてと君にもお仕置しないとね。僕達敵だし」


「ギャギャギャ!カカッテコイ!」


あれ・・意外にも好戦的?


「じゃあいくね?」


僕はダンジョン石の力を使ってインプもどきに突っ込んで・・肩をぶっ刺した。


「エ?」


「え?」


「エー!?」


なぜ意外そうに驚く!?自信ある感じだったのであれ位避けると思ったのに!」


「イタイ!オマエハヤイ!」


「さっき散々見てたでしょ?避けると思ったのに」


「ユダンシタ」


「思いっきりね・・君頭いいのか馬鹿なのかわかんないね。抜けてるだけなのかな?」


「ダマレ!オレカシコイ!アタマヨクナッタ!」


「そんな主張より先に心配することあるでしょ?」


僕は肩に刺したをさらに前に押す!そしてそのまま自分自身も前に進む。


「イタイイタイ!クルナクルナ!」


「あの灰色ゴリラにけしかけておいて自分は痛いのがいやなんてダメだよ」


僕が前に進むとインプは肩を貫かれながら後ろに後退する。

そして・・後ろの岩の壁にぶつかる。


「これで逃げれないね。逃げるには肩を切り裂かれないといけないよ?」


「イタイイタイ!ヒキョウモノ!フイウチ!」


「どこが!?かかって来いって言ったよね!?」


なんて酷い言いがかりだ!


「抜いて欲しかったら知ってることを全部言って欲しいんだけど。僕の質問に答えてくれる?前は明確に敵同士じゃなかったから拷問みたいな真似はしなかったけど今は違うし遠慮はしないからね?」


「オレナニモシラナッ!」


「知らないって言いたいの?」


僕は剣に力を入れる。


「ギャーー!!イタイ!」


「僕は仲間2人と離れちゃっててちょっと焦ってるから時間ないの。だからあんまり悠長なことはしないからね」


「ワカッタワカッタスコシナラハナス!」


少しか・・。


「じゃあ、少しだけ力を抜いてあげる。でもこのままだからね?君素早いから逃げられちゃうから」


「ナニガシリタイ・・」


「じゃあ、最初は・・」





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「なぜ美紅とは離れてハレンと一緒なんだ」


「そのお言葉はそのままお返しするのです」


3人順番に移動の魔法陣に入った私達は気づいたら別の場所におり、隣にはきょろきょろしているハレンがいた。


「美紅様ぁぁぁぁ」


「大声を出すな!ここが何階かもわからないのに!そんな大声を出す暇があるならやることがあるだろう?」


「わかっているのです。ちゃんと美紅様の匂いをお探ししてるのです」


「で?どうなんだ?」


「わずかですが遠く・・下に美紅様だと思われる匂いがあると思うのです」


「だと思う?」


「遠すぎて確実ではないのです」


「役立たずな子猫だ、美紅と離れてもう2時間以上だというのに」


「にゃっ!酷いのです!これでも頑張っているのです!しかもまた子猫呼ばわりを!」


「にゃって言った時点で否定できないだろ・・前から思っていたがハレンもしかしてお前にゃーを使うのを意図的に止めてないか?」


「なんの事かわからないのです」


「あくまで否定するか」


「虎なのです」


「まぁいい、そのうち尻尾をだすだろ」


「尻尾ならもう出してるのです」


「視覚的な意味じゃない!・・それよりここの魔物は大型が多いな。結構強くなってきている。それでもてこずる程ではないが」


「美紅様が心配なのです」


「それは私もだ。ん、ハレン?」


「ヒルマさんこの先にあの人達がいるのです」


「あの人?ディットか?」


「それもあるのですが、あのブロンズの人達の臭いもするのです」


「わかった少し静かにしてくれ」


ハレンに静かにしてもらい耳に集中するとかすかに争う・・金属音が聞こえる。


「ヒルマさんどうなのです?」


「ハレン、血の臭いとかは臭わないか?」


「申し訳ないのです。魔物の血の臭いもするのでディットさんとブロンズの人が争ってどちらかが怪我をしてるかもしれないという答えならわからないのです」


「そうか・・ハレンお前の意見を聞きたい。美紅が下に居るというお前の嗅覚は信じている。だが急ぐなら前にあいつ等が居ること関係なく早く進むべきだと私は思うがハレンはどうしたい?」


「ハレンも賛成なのです。例えディットさん達に巻き込まれたとしても早く美紅様に合流したいのです」


「ならば行こう」


私とハレンは前に進んでいった。

ここが何階かはわからないが、ディット達がいると言う事で半日近く前に入った奴らに追いついたと言う事はあの魔法陣によってかなり下へ飛ばされたと思って間違いない。


そして奴らに会うことを覚悟して進んでいくと声が聞こえてきた。

たぶんまだ距離があるのでハレンには聞こえてはいないだろう。



「ふざけんな!俺らはここであいつを捕まえたってさっきから正直に言ってるだろ!」


「別に嘘ついてるとは言ってないだろ?あいつを呼び出す方法があったんだろ?それをさっさとやれと言ってる」


「そ、そんな方法はない!俺達は実力であの喋る魔物を捕まえたんだ!」


「そうだ!俺達の実力だ」


「それが一番信じれないんだよ。俺様だって奴の素早さに苦労したんだぞ?なんでお前たち程度で捕獲できる」


「あんたが弱いだけ・・」


「あ?今なんて言った」


「が・・がぁぁ」


「アンタなんてことを!!!!」


「ん?意味がわからないな?ダンジョンでの争いなんて日常茶飯事だろ?」


「だからって殺すことはないだろ!俺達の仲間だぞ!」


「俺様の仲間じゃないから関係ないな」


「殿下・・」


「黙れクソ騎士。お前は町で役に立たなかった時点でもう何も言うなといったはずだ」


「・・・申し訳ありません」


「さて、あと3人だな。喋ってもらうのは1人でいい、残りも殺るか」


「待ってくれ!」


「黙れ、俺様の質問だけ答えろと最初に言ったはずだ。今度勝手に喋ったら殺す」


「わかった!俺は喋る!喋らせて下さい!ぎゃーーー!」


「お前には聞いてない。勝手に喋って臭い口を開くな。唾まで飛ばしやがって」


「アンタ・・狂ってるのか?」


「わざわざ殺して欲しいような発言だな。一人いればいいしな、死ね」


「ぐはっ」


「・・・喋る。喋らせてください」


「そのつもりだといったろ?残りはお前1人だ。お前が喋らず誰が喋る?」


「・・はい」


「で?どうやってあの汚い魔物を捕獲した?」


「殿下」


「予想はついてるんだ!さっさと言え」


「殿下っ!」


「うるせぇ!本当に殺すぞクソ騎士!」


「黙っていろと言われたにもかかわらず申し訳ありません。気配がします。誰かこちらに向かってきております」


「あん?魔物か?」


「恐らく・・人です」


「ちっ!おい、デカブツ!来たら殺しても構わん。やれ」


「殿下!ゼーガスにそのような命令は!」


「お前もだクソ騎士。来たら相手をしろ」


「・・・わかりました」


「さて、俺達は続きをしようか」




などという会話が私の耳には聞こえてくる。

クズだな・・耳がいいと聞きたくない事まで知ってしまう。

この耳には助けられたことが数え切れないほどあるがこればかりはデメリットだな。


「ハレン」


「なんなのです?」


「向こうはやる気だ、恐らくあの美紅に色目を使っていた白騎士の女とデカイ槍を持った戦士が襲ってくるだろう、お前はでっかい方をやれ。お互い馬鹿力同士相性もいいだろう?」


「ハレンはか弱いので白騎士の方をお相手します。男みたいなヒルマさんはあのデカイ人の相手をよろしくなのです」


「私は女だ!」


「ハレンも馬鹿力じゃないのです!」


「まったく、わかった。臨機応変で行こう。戦う相手は向こう次第だ」


「はいなのです。でも戦うしかないのです?」


「聞こえた会話だとそうなると思うな」



そして私達は長い道を抜けてディット達がいる場所に追いついた。


白い騎士のリングとかいう女とゼーガスという巨漢の視線がこちらを見てくる。

ディットは首だけこちらを向き、興味なさそうに最後に残ったブロンズの髪をむしり掴んで顔を殴っていた。

そしてリングとかいう女は口を開いた。


「貴方達でしたか。ここまで来れるような方はこの町には数組の冒険者だけと情報にあったのですが貴方達なら納得です。ですが出来ればここで引き返していただけませんか?」


「いきなりだな。悪いがこっちは事情が変わった。進まなければならないのでな、その提案は却下だ」


「そうですが・・」


「どうする?やるか?そこに転がっている3人みたいに」


「言い訳のしようがありませんね。確かにあの人達は私達が殺しました。貴方達もああなりたくなければ引き換えしてください」


「リングとか言ったな、見直したよ。あの3人を殺したのはディットなのだろう?お前達2人は一切手を出してないが、力づくでも止めずに見ていた時点で同罪だな。それをわかってての発言だな」


「その通りです。だから引き返していただけると・・」


「無理なのです。進まないといけないのです」


「・・・そうですか。では」


リングが剣を抜くとそれに続くようにゼーガスが槍を構える。


「ハレン、どうやらお前がゼーガス相手だな」


「仕方ないのです」


「では行きます!!」


リングは剣を構えてこちらを攻撃しようとしたその時。




「フハハハハハハ!!そうか!そんな面白い事をしたのか!やるなお前達も。ちょっと見直したぞ!」


「殿下・・?」


「フハハハハ!おい!クソ騎士!命令は中止だ!そいつ等を生かしておけ!」


「殿下一体・・?」


「おい、青鎧と小さい白い奴。お前達はこの先に行きたいらしいがいけないぞ?ここは行き止まりなんだよ」


「ずいぶん親切に教えてくれるんだな。どう言う事だ?」


「知りたいか?教えてやるよ。ここはダンジョンの13階って事は知ってるよな?」


13階だったのか。飛ばされたのでまったくわからなかった。

いい情報だ。


「ああ、それがなんだ?」


「ムカつく口の利き方だ、まぁいいか。この先は鋼鉄より硬い素材で出来た両開きの扉がある、魔法も武器も弾く扉だ。おそらくここの主が設置したんだろうな」


「それが?」


「俺様達はこの扉が一度開いたのをずいぶん前に見たことがある。まさかこんな頑丈な扉とは思わなくてその時は様子だけ見て放置したがな。その時この扉を開けてたのがあの汚い猿の魔物だ」


インプもどきの事を言ってるのか?この扉をあけれるのがアイツだけだからディット達はずっとあの魔物を追っていたのか。


「だからあの魔物を探していたのか」


「その通りだ。それでこいつ等が捕まえたんで話し合いで譲ってもらおうとしたらこの様だ」


どこが話し合いだ。


「だが面白いことがわかった。こいつ等のお陰でな!」


「なんだ?」


恐らくあのことだろうがな。


「フハハハ!教えてやろう!この自称このダンジョンのベテラン冒険者はな、自分達に憧れる新人冒険者を魔物の餌にしてそれを見物しに来た猿の不意をついて捕まえたんだ!どうだ?面白いだろ!実に小悪党らしい行為だ!」


それを面白おかしいと思うお前も同類だ。


「笑う話じゃないと思うのです」


ハレンその通りだが口に出すとこいつはたぶん馬鹿な反応をするぞ?


「そうか?お前達にはわからないか?まあ許してやろう。所詮馬鹿だしな」


おかしい。もっと激怒すると思ったんだがな。

ああ・・なるほどな、恐らくこの後の事を考えて面白がっているのか。


「で?私達を攻撃してこないと言う事はそこの馬鹿なブロンズ達がとった行動を今度はお前が私達を使ってやるつもりか?」


「正解だゴミ!お前達を使って猿をおびき出す、喜んで魔物に食われろ」


「はぁ・・馬鹿はお前だ・・相手はあの知能のある魔物だぞ?2度も同じ手に引っかかると思う時点でお前はあのインプ以下だ」


「なんだと所詮魔物だ!適当に餌さえ置いておけば寄ってくんだよ!俺様の為に喜んで撒き餌になりやがれ!」


「殿下、私もそう思います。あの魔物は知能が高い。1度かかった罠にもう一度かかるとは到底思えません」


「試さないとわかんねーだろうが!」


わかるだろ・・こいつこれで本当に王になるつもりか・・。

まったく偉そうにする奴は皆こうなのか?


「ふぅ、悪いが撒き餌になんかになるつもりもない。抵抗はさせてもらうぞ」


「やるのです」


「お前ら息の根が止まるギリギリまでやってもかまわねー。さっさとやれ!」


「殿下っ!ゼーガスやめなさいっ!」


リングワットという奴はディットの命令がおかしいとわかっていて抵抗しているが、ゼーガスという巨漢は命令を聞いてこちらに突っ込んでくる。


「ハレン、いけるか?」


「平気なのです」


どうやらゼーガスも目の前の者をターゲットにしているらしくハレンに突っ込んでいっている。


「せいやっ!」


さすがは帝国の騎士団の兵士というべきか巨漢に似合わないスピードでハレンに向かってくる。そしてそのまま大槍を構えて突進の勢いを利用してハレンに向かって突きを繰り出してくる。


「とうっ!なのです」


ハレンが素早いと見抜いたのだろう、動きを止めるための1撃。

確実に足を狙っていたはずだった。だがおの1撃はハレンが軽くジャンプしただけで避けられる。


ゼーガスの顔は明らかに驚いている。

ゼーガスは兵士として帝国の騎士としての自分の一撃に相当な自信があったのだろう。

確かに正確で力強く早い一撃だった。だがハレンはその一撃を確実に目で捉えて最小限の動きで飛んで避ける。


大槍の一撃は相当な威力で石の地面が削れている。

ゼーガスも驚いていたがそれも一瞬、目の前でジャンプして避けたハレンは空中にいる。

空中では動きが取れないと見たのか大槍を持っていた両手のうち片手を離した。そして大槍を横に振るう。

大槍はハレンを狙って横に振るわれたのではなくそのままハレンとは逆に、まったく後ろに振り払われる。

ゼーガスはその大槍の反動を利用して未だ空中にいるハレンに向かって反動を利用した回し蹴りを繰り出したのだ。


「お見事なのです!」


だが・・ハレンはその回し蹴りを避けた。

空中でハレンは前方に一回転するように手を突き出してゼーガスの放ってきた回し蹴りに片手を乗せた。

そしてそのままゼーガスは片足で立ち、片足をまっすぐに蹴り放った体制で止まる。


ハレンはゼーガスの足首の先にいた。

体重感じさせない動きからゼーガスの足首を掴み、片手で逆立ちの格好で曲芸のように止まっている。


先ほどとは比べ物にならないゼーガスの驚愕の顔。

目の前で起こっていることへの驚きからくるものだ。


自分の渾身の大槍の一撃を避け、それを利用した回し蹴りの体術。

それなのに・・それさえも軽々と避けたハレンが自分の足に掴まり逆立ちでこちらを見ている。


「馬鹿な・・」


今度はさすがに驚きで次の反応が遅れたがゼーガスは足を振りハレンを振り落とそうとするが・・。


「遅いのです」


ハレンは片手に力入れてゼーガスの足から離れる。

そして掴まれていた足と片足で立っていたこともありゼーガスはよろけて体制が崩れる。


そして今度こそハレンはそのまま1回転するようにゼーガスに向かう。


「命中なのです」


ハレンは反動を利用して両足を揃えてゼーガスの顔面に蹴りを入れる。

ハレンは放った蹴りでそのまま離れず体制を崩しているゼーガスを押し込むように体重をかけてゼーガスを転ばす。


そしてそのままゼーガスは地面に倒れる。

ハレンの押し込むような蹴りで倒れたゼーガスは地面に後頭部をぶつけ動かなくなる。

その上にはゼーガスの顔面に立ったままのハレンがいた。


「勝ったのです!!」


両手を挙げて勝利のポーズを取るハレン。


「なっ!」


それを見ていたリングワットが驚いている。

自分の信用していた部下がたった一撃で、しかも小さな女の子にやられたという目の前の現象が信じられないようだ。


「どうなのです!ヒルマさん!」


「よくやったハレン、巨漢の騎士を体重を乗せた蹴りの一撃で倒すとは」


「そ、その言い方だとハレンが重いみたいに聞こえるのです!言い直しを要求するのです」


「言い直しも何もそのように言ったんだ」


「にゃーー!!」


またにゃーって言ったな。美紅の前じゃ言わないくせに・・合流したらバラそう。


「どうする?リングワットだったな?お前も向かってくるか?お前の相手は私だがな」


「わ、私は・・」


部下がやられたのは悔しいようだがそれよりもこの状況が彼女を混乱させているのか向かうのを未だ躊躇っているようだった。


「・・・このっ・・役立たずのデガブツがぁぁ!!」


「なんだ・・」


「なんなのです・・」


「殿下いけませんっ!それは国以外の者に見せてはっ!」


「うるせークソ騎士!命令違反ばかりしやがって!役立たず共が!俺様がやるどけっ!」


ディットの銀色の鎧が形を変える。

鎧には兜がなかったのに首から形状を変えて銀色の鎧が上に伸びてくるように顔を覆ってゆく。

他の部分も同じ様に形を変えてゆく。


ディットの鎧は確かに立派であったが鎧としては頭は出ていたし、下半身も覆っていたのは腿までで決してフルプレートとは言えなかった。

だが今は鎧が一度溶けてから形状を変えてディット一度覆ってからまったく違う鎧になっている。

隙の見当たらない鎧に。


多少腕のある者が見ればわかるだろうが形状を変える前と変えた後の鎧を見比べれば後の方が鎧としては素晴らしいと答えるだろう。


鎧の変化が終わったと同時ににディットが口を開く。


「まったく運がいいなお前ら」


「殿下、誓いをお忘れですかっ!」


「忘れると思うか?見られて困るなら目撃者が居なくなればいいのだろう?こっちはリスクを負ってんだよ!」


「ですがっ!」


「いい加減黙れ、お前は目的を成し遂げて国に帰ったら罰を受けてもらう」


「っ!」


そう宣言されたリングワットは悔しそうに顔を下にむけてうつむく。


「あの、ヒルマさんあれはなんなのです?」


「悪いがハレン、私にもさっぱりだ。あんなのは見たことも聞いたこともない。それよりいい加減その男の顔からどいてやれ」


あっ!と今気づいたようにハレンはゼーガスの顔から降りると同時に・・。


「役立たずなのです」


「なんだとっ!」


まったく失礼な子猫だ!


「さてお前等、半殺しの時間だ。最後に素晴らしいものまで見れたんだ抵抗せずやられろ」


「あれが何かは知らないが見たくて見たわけじゃないんだがな」


「別に見なくても良かったのです」


「愚民にはこれがわからんか、まあいい」


ディットは腰の剣を抜いた。


「殿下っ!」


「・・・・本当にいい加減にしろよ・・国に戻る前にお前から殺すぞクソ騎士」


「違います!アレを!」


「あ?」


リングワットは私達が争っている方向とは全然違う場所を指差している。

その方向にあるのは開かずの扉、のはずだった。


その両開きの扉がギィィっと音を立てて開いく。


「なぜだ!あの魔物がいないのに!?」


ディットの言う事が正しければ魔物しかあけれないはず。

考えれることはただ一つ・・。


向こう側から誰かが開けた場合。


4人共あまりの突然の出来事に動きが止まりの視線が扉に向く。


そして完全ではないが扉の向こうが見えるくらいに開くとそこには・・。



「え・・・?ディット?」



美紅がいた!

完全には空いてないので向こうから最初に見えたのは視覚的にディットだけだったらしい、美紅はディットを見つけて名を呼んだ。



「ドウシタ?」


「いや・・失礼しました~!」



そして扉が閉まった。

どうやら半開きで美紅の位置からは私達は見えないようだ。



「「美紅!」様!」



私とハレンの叫びが扉の前に響いた。


あたしは今女神としての仕事中だ。


「女神様。お会い出来て光栄です」


スィーニー「私もです。まだ女神としてはこの世界の者より新米ですのでご容赦を」


「このような田舎の出来たばかり聖堂支部光臨して下さるだけで光栄でございます」


スィーニ「まずはこれを」


「おお、これは!」


スィーニー「これからこの村に起こる事を3つだけ書したものです」


「か、感謝いたします」


スィーニー「それはあくまで大まかな予言、それを読み解き備えなさい。聖堂支部として民に忠告をし導きなさい」


「か、畏まりました」


「それではまた会う事もあるでしょう」


「も、もう行かれてしまわれるのですか!?」


スィーニー「さらばです」


あたしは営業スマイルでそう言った。


そしてその場から消える、文字通り。


「ふぅ・・言葉使い疲れる!甘いもの食べる!」


そして予定表を見る。


「破り捨てたくなる程ビッシリ!!」


捨てるなよ?(*´・ω・*)


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