宿から宿へ
ちょっとだけ早く書けました。
前話ちょっとだけ説明しましたがわからない事があれば感想、評価などで質問受け付けます。
出来るだけ前書きでネタバレにならないものはお答えします。
ブックマークよろしくね(*´・ω・*)
「素晴らしい!これはこれは!」
目の前には普段あげないような声をあげる紳士なダッシムさんがいた。
「どうですか?」
「下位下層素材ですがこの量は素晴らしいですよ、このような素材は普段冒険者組合の方に流れてしまう為に私共はそこから買うのですが貴方達のお陰で助かりますよ」
「安く売るつもりはないぞ?」
「もちろんでございますよ、ちゃんと冒険者組合と同等のお値段で買い取らせてもらいます。それでも十分儲けはあるので」
「そんなことを言っていいのです?それにダッシムさん自ら鑑定とかダッシムさん組合支部長じゃないのです?」
ハレンちゃんは不思議に思ったのかそんな事を聞く。
「前に言いましたが管理職は暇なのですよ、それに最初に対応したものがその方の担当になるという決まりもありますので、貴方達を担当したのは私と言う事になります」
「なるほどなのです」
「そういえば農場はどうなんですか?まだ3日ほどしか経ってませんけど」
「順調すぎますよ。このまま行けば予想通りの利益になるとこの町の上層部や私共も大喜びですよ。貴方達に会えて良かったですよ」
「そうですか、それは良かったです」
「では全部で290万カナリでどうでしょうか?」
「それでいいです」
「300万にしてもらおう」
「そうなのです、キリがいいのです」
ええぇぇぇ・・二人ともなんでここだけ意見が一致するの・・・。
「ほほほ、わかりました。300万カナリにいたしましょう」
「いいんですか?ありがとうございます」
「感謝する」
「ありがとうなのです」
「いえいえ、次回もぜひお願いいたします」
「あ・・あのちょっと聞きたいんですけど」
「なんでしょうか?」
「この町に王族というか偉そうな人が入ってきている情報ありません?」
「・・・なぜそのようなことを?」
「その様子だと知ってるな?言いにくいのか?ナディガムの王位継承権第4位とかいう馬鹿だ」
「なるほど・・そこまで知っているならいいでしょう」
馬鹿をスルーした!さすが商人!
「私共の組合にも介1度だけここにいらっしゃいました。ナディガム大国の王子にして王位継承権第4位のディット様ですね、どうやらお会いになられたようですね」
「はい、物凄く不遜な態度でした」
「王族とはその様なものですよ」
「あれはなんなんだ?なぜ王族がこんな場所にいる」
「すみませんが理由はわかりません。ですがこのダンジョンになにか使命があるとか。騎士団の方を護衛に連れて1ヶ月程前にいらっしゃいました」
「ダンジョン攻略が目的なのです?」
「すいませんがそれもわかりません。本当に1度だけ会ったのですがこの町の一番いい宿とダンジョンに行く為の情報と多少お買い物をされただけなので」
「なるほどな。まぁ、気にしないで欲しい。ちょっとこちらも会ったので気になっただけだ」
「何か情報が入りましたらお教えしましょう」
「いいですか?相手は王族ですよ?」
「王族より貴方達の方が私共には利益がありそうなので」
「さすが商人さんなのです」
「お褒めに預かりまして」
「では、そろそろ失礼しますね。ありがとうございました」
「いえいえ、またお願いします」
組合を出てヒルマさんから提案があった。
「もうかなりお金も貯まったので宿を変えないか?」
「いいですけどどこか泊まりたい場所があるんですか?」
「ハレンも賛成なのです!」
「風呂がある宿に泊まりたい。できれば個室に!」
「賛成なのです!凄く賛成なのです!」
ああ・・なるほど二人とも大浴場というか共用のお風呂だと目立つから入れないので体を拭くだけだったしね。入れても最後の時間とかに入ってたしね、女の子だしずっと気にしてたのね。
「いいですよ、お金もありますし。でもそうなると結構いい宿ですよね」
「そうなるな、だが平気だろう。すでに所持金は800万カナリを超えている」
「お金持ちなのです!」
「わかりました。ちょっと組合で聞いてます」
「大丈夫だ、実はさっきもう聞いておいた。すぐに向かおう」
「お風呂なのです」
僕達は町の高級街というか富裕層がいるような場所にいた。
心なしか周りがいい匂いがする気がする。
ついたのは4階建て位ある大きな宿。
「凄いですね、ここに泊まるんですか」
「楽しそうなのです!」
「見てないで入るぞ」
中に入ると若くて可愛い女の子の店員さんが案内してくれた。
「いらっしゃいませ、お泊りですか?」
「そうだ、3人部屋で個室にお風呂がある部屋をお願いしたい」
「あの・・僕だけ別の部屋を・・」
「3人部屋を10日ほどお願いしたいのです」
「あの・・僕だけ・・」
「いくらになる?」
「3名様で375000カナリになります」
さすが高級宿屋!高い!
「それでいい、では3人で頼む」
「あの・・」
なぜ僕の意見を聞いてくれない!
「では、お部屋までご案内いたします」
案内された部屋は3階の一番奥の部屋だった。
2つ部屋があり広い。
ちゃんとバスルームがつけている。
よかった・・本当によかった。
2つ部屋があるならお風呂場に行く部屋にいなければなんとかなる。
「広い部屋なのです」
「じゃあ僕は剣とか装備の整備をしてますね」
「美紅そんなのは後でいいだろう?早速お風呂にはいるぞ?」
「そうです美紅様お風呂なのです」
「うん、そうだね。入ってきていいよ二人とも」
「何を言っているんだ?」
「美紅様お風呂ですよ?」
「わかるよ、むしろ二人が何をいてるの?お風呂でしょ?二人とも入ってきていいよ」
「一緒に入らないと意味がないだろう?」
「なのです」
「なんで!?何でそうなるの!?」
「せっかくお風呂があるんだぞ?」
「見て来たのですけど3人ぐらい一緒に入れるのです」
「お風呂が大きいのはわかったよ!でも3人で入る理由にはならないよね?」
「先ほどハレンとも話し合ったんだが美紅と二人で入るのはダメらしいが3人で入るなら別に問題ないらしい」
「なのです、ハレンも入るので問題ないのです」
「・・・おかしいよね?その話し合いに僕がいないのは」
「確かに仲間はずれにしたのは悪いと思うが美紅のためを思ってだ」
「いや、二人とも根本的な事知ってるよね?僕男だよ?」
「知ってるのです。でもハレンには全然問題ないのです」
「僕が問題あるから!」
「私も問題ないぞ?むしろ旅をしてて私が体を拭いたり着替えている時に美紅がなぜか見えない場所に移動するので迷惑をかけていたと思ってたくらいだ。ここで一度全部見せ合えばこれからそんな気を使うことはない!だから気にせず入ろう」
「たしかにハレンもそれは思ったのです。一度見せあってしまえば何の問題もないのです」
「あるから!絶対あるから!それに別に見せ合う必要ないよね!?」
「なぜそんなに嫌がるんだ?」
「美紅様はハレン達が嫌いなのですか?」
何その嫌がる理由が本当にわかってないみたいな顔は!
わかるでしょ?僕男だよ?二人の裸なんか見たら我慢できなくなってもしらないよ?
これ蒼の体だけど一応ちゃんと男についてるものはついてるんだからね?
「嫌いじゃないよ、むしろ好きなの方だけどそれとこれとは違うと思うよ?」
「好きなのか!じゃあ入ろう!」
「好きなら入ってもいいはずなのです」
言い方を間違えた・・。
「好きでも裸を見せ合ってお風呂に入るのは違います」
「なぜだ?」
「おかしいでしょ!こっちの世界ってそうなんですか!?」
「ハレンは小さい頃からおばあ様やお母様と一緒にお風呂に入っていたのです」
「ハレンちゃんそれは家族だからだよ。カイユウさんとも入ってた?」
「そういえば一度もないのです、入りたくもないのです」
カイユウさん今頃絶対くしゃみしてるよ。
「でしょ!異性とは入らないんだよ!ヒルマさんもですよ!」
「私も小さい頃は母と入っていたぞ?」
「だから異性は!」
「ないな」
「というわけで入るのはなしで!僕はお二人の後にゆっくり入ります」
「美紅と一緒に入らないならこの子猫と一緒に入る理由がなくなるんだが・・」
「ハレンも美紅様と一緒じゃないなら別にヒルマさんと一緒に入る理由がなくなるのです」
・・・何故だ!
「とりあえず入るのはなしで、二人とも入るなら順番はお任せします。僕は後でいいのでちょっと買い出しに行ってきます」
「なっ!待て美紅!」
「美紅様一緒に!」
「いってきまーす」
僕は部屋から出ると後ろから二人の言い争う声が聞こえてきたけど心配ないと思った。
二人ともよく言い争うけど結構仲がいいしね。
うまく逃げれたしこのまま次の為に色々なもの町に見に行こう。
う~~~ん!僕は両手を組んで腕を上げなから背伸びをする形で体を伸ばした。
なんか久しぶりに一人になった気がする。
二人と一緒に居るもの楽しいけど、基本一人が好きなので何の問題もない。
やっぱり大きな町は色々な物があるな。
しかもこっちの方は来たことはなかったので余計かな。
お!魔道具屋さんかな?
うわー結構色々な魔道具があるな。
「いらっしゃい、赤いお嬢さん何かお求めですか?」
お嬢さん・・。
「あ・・いえ、ちょっと見てるだけなので気にしないで下さい」
「そうですか何か気にいった物がありましたら仰って下さい」
「はい、ありがとうございます」
うーん、お金がもうちょっと貯まったら回復のダンジョン石をはめる魔道具が欲しいかも。
「おい!この魔道具をよこせ!」
どこかで来たような声が・・うわっ!
「はい!お待ちを!」
「これだ、この収納の指輪だ!まったくこんな汚い町には碌な魔道具がないな」
「申し訳ありません、これは当店で一番良い収納の魔法が込められた指輪なのですが」
「これがか?持っていたのが壊されて町に戻ったのにこんな物しかないなんてな。いくらだ!」
「ダンジョン石と合わせますと・・」
「違う!魔道具だけよこせ!壊れたのは魔道具だけだ!」
「そうなりますと・・230万カナリになります」
「安物だな!おいクソ騎士!」
そう呼ばれると後ろにいたリングワットさんが支払いを済ませる。
「毎度ありがとうございます」
「いくぞ!役立たず共!」
「ゼーガス!殿下に付いていけ。私は次ダンジョンに潜る為に補充する物がある」
「はっ!」
「おい!遅いぞ、さっさと荷物を持て!」
「申し訳ありません!殿下!」
ディットとゼーガスさんは宿に行ったようだ、良かった接触しなくて。
一人の時にあんなのに会ったら僕はたぶん耐える自信がない。
「お買い物ですか?」
後ろから声をかけられた。
「昨日は情報をありがとうございました。お陰で助かりました」
リングワットさんだった。
地上で見るとこの人の白い鎧目立つな。
それに兜を取ってるとわかる、美女だ!
「いえいえ、見たものを教えただけですから」
「そうだとしても感謝させて頂きます。お陰で目的の魔物には会えましたから」
「会えたんですか?あの変な奴に」
「ええ、でも不意打ちを食らってしまって不覚を取りましたが・・」
「それは残念ですね」
「ダンジョンでは仕方ないことですよ。そういえば貴方はお一人で何をなさっているのですか?」
「買出しです。次にダンジョンに行くために色々買い足しで置かなきゃいけないものありまして」
「そうだったんですか、丁度いいので一緒に行きませんか?私も買い足すものがありますから」
うーん・・買出しはしたいけどこの人の関わってディットに会いたくないしどうしよう。
「あの、嫌ならいいんですけど・・」
「えっと、嫌なわけじゃないんですけどリングワットさんの方がいいのかなって思って・・そのディットさんとか来るとちょっと・・」
「それは平気です。あの方は一度泊まっている宿の部屋に戻ると外にはでませんから」
「わかりました。それなら一緒に行かせてもらいます」
「すみません、なんか殿下のせいで・・」
「いえ、確かにああいう人は苦手ですけどリングワットさんは良い人そうですから大丈夫です」
「ありがとうございます。それとリングで構わないのでそう及び下さい。実はワットの部分があまり好きではなくて」
「そうなんですか?わかりましたリングさんと呼ばせていただきます」
「はい、それでお願いします」
名前が嫌いらしい。
それにこの人・・仕えてる人を目の前で苦手な人と言われてもこの反応、つまりリングさんがディットをどう思っているかわかる。
「それでは行きます?」
「そうですね、あのでもその前に貴方の名前を教えていただけえると嬉しいのですが」
「あ!すみません気が付かなくて美紅と言います」
「美紅さんですか、女性の方ですよね?」
やっぱり外套を来てて外見が見えなくても女の子に間違えられるのね。
でも今は違う!ヒルマさんもハレンちゃんもいないので僕を邪魔する者はいない!
「違いますよ、男です!」」
「えー!?だ、男性の方なんですか?本当に?からかってませんよね?」
何故僕自身が男と言っているのに信じない!
「男です!紛れもなく男です!も、もしかして男と一緒に買い物とかは嫌でした?だったら・・」
「い、いえ私も騎士に所属しておりますので別に男性の方だろうと問題ありません。むしろ周りは男性が多かったので、でも美紅さんは体型といい声といい男性には・・あ!失礼な事を言ってまいました」
「いえ・・全然問題ないです。むしろ言われなれてますので」
「そうですか、でもそうでしょうね。なんかすみません」
そうでしょうねとか・・。
「本当に気にしないで下さい。では行きます?」
「そうですね、行きましょう」
僕とリングさんはとりあえず町でダンジョンに必要な物を色々買った。
リングさんは大国の騎士と言う事でもっと硬いイメージだったけど結構話しやすかった。
「美紅さんこの先に美味しいスイーツを出すお店があると聞いたのですが一緒に行ってくれませんか?」
「いいですけど行ったことのないお店なんですか?」
「実はそうなんです、一人で入る勇気がなかったというか・・というか久しぶりに一人になったので」
「あ・・なるほど!じゃあ行きます?」
久しぶりに一人とか僕と同じだ。
「ありがとうございます!私も一応女なので甘いものは嫌いではないので!」
「あははは、リングさんは一応言い方はしなくても女性ですよ。凄く綺麗ですし」
「いえ、私なんか・・騎士をやってるせいで筋肉だって付いてるし・・腹筋も割れてきちゃったし・・」
たしかにちょっとたくましいけど肉付きもいいし別に筋肉質ってわけじゃなさそうなんだけど気にしてるらしいのでこれ以上は突っ込まないでおこう。
そして僕達は女の子しか入れないような雰囲気のお店にいた。
「美紅大丈夫ですか?なんかこの店女しかいませんね」
「平気ですよ?こういう場所は気にしたら負けです」
「私もこういうお店初めてなので緊張してしまって」
僕とリングさんはお店のお勧めのケーキを注文してから席についた。
そして僕は注文したケーキが来たので外套のフードを脱いだ。
「!!?」
「どうかしました??」
「あ?え?あの美紅さん?本当に男性なんですよね?」
「そうですけど?あ!これ美味しいかも!」
「本当に男性ですか!?」
なにこの人しつこい・・。
「ですけど・・?」
「す、すいませんしつこく聞いて。全然男性に見えなかったもので・・」
「気にしないでいいですよ。言われなれてますので」
「やっぱり言われなれてるんですね」
「はい・・」
「美紅さんみたいな男性の方に初めて会いましたので・・」
「なんとなく何が言いたいかはわかります。それより食べたほうがいいですよ?美味しいですこれ」
「そ、そうですね!あ!本当に美味しいですね」
「ところで聞いてもいいですか?」
「なんでしょうか?」
「なんで王族の方とその御付の騎士の方がこんな所にいるんですか?」
「申し訳ありません、不思議に思うかもしれませんがあまり大声では言えないんです」
「だと思いました、ダメ元で聞いたんで気にしないで下さい」
「すいません」
「いえ、本当に気にしないで下さい」
「美紅さん達は何故このダンジョンに?」
「僕達は生活のためです」
「冒険者組合の方なんですか?」
「違いますよ?ただの旅人です」
「そうなんですか?ダンジョンに入るような方は組合に所属したほうが色々楽だと聞きましたので」
「そうらしいですね、でも僕達は全員で決めて別に入る必要はないとなったので」
「そうなのですか、ではこのダンジョンも攻略目的ではないのですか?」
「そうですね~、別にどっちでもいい感じですね」
「なら良かったです。私達は一応攻略目的なので競争になったかもしれません」
「へ~そうなんですね」
さっきはここにいる理由は言えないと言ってたけどこれだけでもう目的がわかったような・・。
とりあえずこの人達はダンジョン攻略をしに来ている。それに恐らく他にもなにかある。
「ふー、美味しかったです。あ・・他に食べたいものがあればどんどん頼んじゃって下さいね。こんな機会ないんじゃないですか?」
「お気遣いありがとうございます」
「いえいえ、僕も楽しいですし」
僕は笑顔で答えた。
「楽しい・・」
「どうかしました?」
「いえ、美紅さんが男の方とわかってよく考えれば私は男性の方とこうやって二人きりでプライベートで話したことはなかったと思いまして・・」
「ゴメンなさい、もしかして悪いことしちゃいました?」
「いえ違います!勘違いしないで下さい!誘ったのは私ですし!こんな男のような私と一緒で美紅さんが楽しいと言ってくれたのが意外だったのでそう言っただけですので」
「あのリングさんは綺麗ですよ?男だなんてとんでもないです」
「綺麗・・ですか?先ほども言いましたように騎士として男だらけの世界で暮らして来たので・・」
「ああ、そういう意味じゃないです。僕は会ったばかりで内面まではわかりませんがリングさんは顔立ちも美女の部類だと思うんですけど」
「あ、ありがとうございます」
「いえ、思ったことを言っただけですよ?」
「み、美紅さんだってもの凄く可愛いと思います」
「ソーデスカ」
「あ!すいません男の方でしたね!可愛いだなんて失礼だったですね!」
「いえ嬉しいですよ。気にしないで下さい」
「美紅さん達は明日もダンジョンに行くのですか?」
「たぶんですけど行くと思います」
「そうですか、気をつけてくださいね」
ん?ダンジョンで気をつけるのは当然だと思うけどこのタイミングで言われると違和感を感じる。
「リングさん達も行くんですか?」
「私達は殿下次第です。でも恐らく行くと思います、やることもありますので」
「やること?」
「あ・・攻略って意味です」
「なるほど」
怪しい・・。
「ゴメンなさい、私もそろそろ戻らないとお付き合い頂きありがとうございました」
「こちらこそ楽しかったです。またどこかで会えたらよろしくお願いします」
リングさんは笑顔で笑うと騎士らしく整ったお辞儀をすると去っていった。
そしてリングさんと別れて僕はすぐ宿に戻った。
部屋に入ると扉のすぐそばに二人がいた。
「おかえりなのです美紅様。あの女の匂いがするのです」
「え?」
「ダンジョンであった白い騎士の臭いなのです」
「本当かハレン!美紅あいつに何をされた!」
なぜ僕が何かをされた前提で聞くの?
「別に何もしてないですよ?町であったのでちょっと買い物を一緒にして少し軽食をしただけです」
「ハレンお前は夜目は効くか?」
「はいなのです、ハレンは虎なので猫科なのです。だから夜目は効くのです」
「そうか、今から寝て夜の備えるぞ!」
「わかったのです!」
何をする気なの!暗殺!夜に行動するって事は暗殺だよね!?
「嫌な予感がするのでやめてください!何もなかったですし!そんな事よりお風呂は二人とも入ったんですか?」
「本当に何もなかったのか?仕方ない美紅がそこまで言うなら今回は許そう」
今回・・。
「ハレンも今回は爪を収めます」
だから今回って何!?
「では僕もお風呂に入りますね。あ・・これ買った物です」
僕は荷物を渡した。
「わかったあとで支度をしておく」
「しておくのです」
え?何故今しないの?
まぁいいか、お風呂お風呂!
「・・・なんで付いてくるんですか?」
「2度風呂だ」
「2度風呂なのです」
「そんな2度寝みたいな言いかたしても無駄ですよ!」
「いいじゃないか!別に一緒に入っても!」
「この件だけはハレンもヒルマさんに賛成なのです!」
なぜ出かける前の振り出しに戻るのか・・・。
「わかりました!でも僕はロストを発動して入ります!いいですね?」
よく考えるとそれでも二人の裸を見てしまうことになるけど、できるだけ目をつぶって入ろう。
「それでは意味がないじゃないか!」
「それじゃあ、またヒルマさんと一緒なだけなのです!」
「嫌ならここにいてください!」
待てよ・・ロストは覗き放題な能力じゃ・・いやしないよ?・・しないって!たぶん。
「最後に念を押しておきますけど僕は男でヒルマさんとハレンちゃんは女の子!そういう理由でお風呂には一緒にはいるつもりはありません!いいですね?」
そう僕が言うとすごい恨めしい目で睨まれる・・しかも二人して。
え・・なんでそんな目で見られるの僕・・。
僕のほうが正しいよね?絶対正しいよね?
「返事は!!」
「・・わかった」
「わかったのです」
「あと覗きもなし!」
「・・わかった」
「・・わかったのです」
なぜ二人ともすぐ返事をしないの?もしかして覗くつもりだった?
「よろしい!」
てかなんで男の僕がこんな事を言わなきゃなんないの?普通逆じゃない?
まぁいいか・・お風呂入ろう。
「ふぅ~!気持ちよかったです」
「・・そうかよかったな」
「・・よかったのです」
なぜテンションが低い二人とも・・そこまで一緒に入りたかったのか!
「はいはい!二人ともいい加減にして下さい!それより考えなきゃいけないことがあります!」
「なんだ?」
「何かあったのです?」
「ダンジョンです!ディットとリングさんにゼーガスさんの3人組のことです!」
「ああ、あいつ等か」
「あの人達がどうかしたのです?」
「あの人達が王族の人間でダンジョンを攻略目的だと言う事です」
「言っていたな?」
「ハレンはよくわからないのです。ナディガムというお国はどういったところなのです?王族の方々はダンジョン攻略とか良くするのです?」
「その辺は僕もわからないんだよ」
「うーん、私もあまり詳しくはないがナディガムは有名だぞ。本当に大国だ、軍事的にも魔道的にも一目置かれている国だ。歴史もあるしな、だがたしか今の国王は前も言ったが平和路線だ。だが悪い国王ではないがいい国王でもない、至って普通らしいぞ。ただ側室はたくさんいるとかなんとか」
ハーレム!?うらやま・・しくないよ!全然!
「僕が気になってるのはなぜ王子が危険なダンジョンに挑戦してるかって事ですね」
「すまないがそれはさっぱりだ。私にも全然わからない」
「ダンジョン好きとかです?」
「うーん、でもあの態度だとダンジョン好きとか思えないんだよね、むしろ嫌いとかめんどくさいとかいう雰囲気を感じた。しかたなく来てるというか」
「たしかにな」
「そう言われるとハレンもそう感じたのです」
でもなんか目的がある感じなんだよね。
できればあんまり関わりたくない雰囲気を出してた・・関わればなにか問題を抱えている、そんな雰囲気をだしてた。
「美紅にハレン。たしかにあいつらは気になるが私たちの目的はダンジョン攻略ではない。嫌な言い方になるが金稼ぎだ。堅実に階層を重ねていくだけでいいと思うぞ?」
「ヒルマさんに賛成なのです」
「そうですね、僕の考えすぎだったかもしれません。たしかに同じダンジョンに潜っているとはいえあの人達とは関わろうとしなければ関わることもありませんしね」
「その通りだ美紅。たぶん美紅はこっちに来て変なことに巻き込まれすぎてるせいだな。少し考えすぎだ」
「そうですね、たぶんそうなんだと思います。僕達は僕達なので気楽に行きましょう」
「気楽なのです!」
「よし次のダンジョンに備えるぞ!」
しかし数日後・・僕の心配は違う意味で当たることになる。
「なんだ?あの騒ぎは?」
「何でしょう?見世物ですかね?」
「また大道芸とかなのです?凄い人が集まってるのです」
僕たち3人はその人の集まりの輪に近づく。
「どけどけ!俺たちは組合に用があるんだ!」
そこにいたのはあのブロンズのナンパ冒険者4人組だった。
だがその4人だけではなかった・・車輪付きの檻を引いて進んでいた。
「ニンゲン!ニンゲン!ニンゲン!ニンゲン!ニンゲン!」
檻の中にいたのはあのダンジョンにいたインプもどきだった。
カナじい「奪われた力の解析が終わったぞぃ」
蒼「そんな大事な事普通にいきなり言われても・・」
カナじい「深刻に言っても仕方ないじゃろ、いずれは言わなきゃいかんしのぅ。向き合う事なのじゃ」
蒼「そうだね。で?どうなの?」
カナじい「詳しく話はあとで説明するが大まかに言うぞ」
蒼「うん、お願い」
カナじい「数値で表すとこうじゃ。私の厳重管理していた神の源、力を100をするなら持って行かれた量は42%というところじゃった」
蒼「多くない?」
カナじい「はっきり言うのぅ、そうじゃな多い。多すぎじゃな、だが半分以下なのが救いじゃ」
蒼「でも慰めになってないよね、そんなの」
カナじい「まったくその通りじゃ。やはりスィーニーは優秀じゃのぅ。これだけでわかるか」
蒼「一応ちゃんと勉強してるし」
カナじい「残りの力はこれから隔離してわし自信が手の届く場所で一切目を話さずに管理する。この意味がわかるか?」
蒼「うん、これから本当にカナじいは本当に身動きが取れなくなることだよね?」
カナじい「見事じゃ、フレアナが残りを狙う可能性がある限りわしは動けんのじゃ」
蒼「狙ってたのかな?」
カナじい「わからん、だがそうだとしたら見事に術中にはまったのぅ」
蒼「笑えないよ」
カナじい「じゃな、だからスィーニーお主が便りじゃ」
蒼「任せて!」
任せた!(*´・ω・*)