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リステインダンジョン2回目

お待たせしました。


ここで説明を、話にセリフ以外の説明のような文章があると思いますが基本それは美紅が見た事を心の中で言っている感じです。(ツッコミとか)


ですが話の中の流れ的に美紅がその場にいない場合は美紅以外の誰かにその場の見た実況というか感想が変わります。美紅以外の誰に代わっているというのは話を読んでいれば普通にわかると思うのでそのつもりでお読み下さい。


あとは名前呼びとかですね。例えとして美紅はその人をセリフでは「さん付け」をしているのに対してセリフ以外では呼び捨てにしている。

読んでいるとそういう事があると思います。それは世渡り的なアレです、一応美紅は自称常識人なので言葉にする時は敬う様に世間体を気にして「さん付け」をしますが心の中ではこいつはあんまり好きじゃないなって人は基本呼び捨てにしてます。


つまり美紅の感情の変化と思ってお読み下さい。


長くなりましたがどうぞ。感想、評価待ってます(*´・ω・*)


「さあ、がんばるのです!」


ハレンちゃんが張り切っている理由、それはこのリステインに長期滞在が決まり本格的にダンジョンに挑戦することになったからである。


僕の緑のダンジョン石を商人組合にレンタルしたお陰で収納の魔道具も手に入れて荷物や素材で困ることがなくなったためにダンジョン攻略が楽になったのもある。


「ずいぶん張り切ってるなハレン」


「なのです、荷物がなくなったのでやっと自由に動けるのです」


「今まで自由に動いてなかったの?」


「なのです、やっぱり動きが制限されたのです」


あれで制限されてたのね、軽業みたいにヒラヒラ動いてたのに。


「なるほど子猫の本領発揮か」


「何とでもいうのです。ハレンは頑張るのです」


お、おー!珍しく喧嘩にならないだと!?

あれ?ヒルマさんが微妙な顔を・・張り合いがないのかな?


「じゃ、いきましょうか」


「いくのです!」


「そうだな、そろそろ出発しよう」


というわけで僕達はダンジョンに向かった。

前回通った道なので慣れてきた事もありすぐにダンジョンに付いた。


「美紅にハレンとりあえずまだすぐには下へ向かわずに経験を詰むのもかねて1階1階じっくりいこうと思うがどうだろう?」


「お任せします」


「ハレンはそれでいいのです」


「そうか、ではそれで行こう」


そして僕達はリステインダンジョンへ2回目の侵入を試みる。



「大分美紅も慣れてきたな。魔物相手でも剣の使い方がうまくなってきている」


「・・・ありがとうございます」


「ん?どうしたあまり納得のいかない顔をして、褒めてるんだぞ?」


「・・いや、あれを見ると」


後ろでハレンちゃんが小型犬ぐらいの口の裂けた体は犬で顔はワニみたいな生物が先ほど大群で襲ってきたのだが僕とハレンちゃんで対処、ヒルマさんはあえて補助に回るという作戦を取ったのだが・・」


「えい!なのです!」


小型犬の魔物数匹がハレンちゃんの蹴りによって吹っ飛ぶ。


「・・明らかに僕より多く倒してるもので」


「気にするな、こいつ等はミリオンガウと言って個の強さより大群で群れをなして責めて来る奴らだ。ハレンは私達より身軽で力があるから相性が良かっただけだ」


本当にそれだけですか!?あれはそれだけじゃないような大虐殺ですよ!?


「にしてもこれがミリオンガウですか」


「知ってるのか?」


「こいつらの皮を重ねると軽くていい防具になるって聞きました」


「ああ、なるぞ。だが見ての通り単価安いな。やはり数で儲けるタイプだ。倒すより剥ぐ作業が疲れる魔物だ」


間違いない!!


「美紅様終わりました」


「お疲れハレンちゃん」


「面白かったのです」


「・・よかったね」


魔物とはいえあれだけ大量に殺して感想が面白かったという年頃の女の子はどうなんだろう?

しかもあんな笑顔で・・いやあまり深く考えるとハレンちゃんに失礼だしやめておこう。


「にしても、5階とはいえじっくり行くと素材も結構貯まりますね」


「そうだな、指輪を手に入れてなかったら町へひきかえしてるところだ」


「美紅さま、ヒルマさん臭うのです。たぶん初日の人達です」


「流石だなハレン、私はまだ音も聞こえない」


「どうしましょう」


「ハレン方向はどちらからだ?会うのも面倒だ隠れてやり過ごす」


「後ろからなのです」


「わかったそこの左に分かれ道があったな、そこに入るぞ」


「はい」


「はいなのです」



僕たち3人は初日のナンパ冒険者から隠れるために横道の空洞に入った。


「たしかに来るな・・1・・2・・7人か」


「7人ですか?」


「美紅様、たぶんハレン達が押し付けた冒険者さん達も一緒なのです」


「あれから数日経ってるのにまだ一緒に行動してるのかな?驚きかも」


「気に入ったんじゃないのか?」


「それだったら笑えますけどね」


「来るのです」


ハレンちゃんがそう言うと僕でもわかるぐらいに足音と会話が聞こえてくる。


「しっかりついて来いよ」


「いやー先輩達にまた誘ってもらえるとは本当に驚きっす」


「そうだよな、初日に8階で俺達がへまして見限られたと思ったのに」


「あれは確かにお前達の失敗だが見たことない魔物だからしょうがない」


「その通りだ。今回君達を誘ったのは俺達は君達にやはり強くなってほしいという思いがチーム全員の意見で一致した」


「先輩達・・ありがとうございます!」


「そういえば組合で聞いたんですけど先輩達は『大地の旋風』っていうチームらしいですね。リステインじゃ有名なチームって聞きました」


「そうそう、このダンジョンのベテランって聞いたよな!」


「そうだ、俺達はずっとこのダンジョン制覇を狙ってる。だが最近になってちょっと厄介な奴らもいるからなかなかな」


「そうなんすか?厄介なのって魔物っすか?」


「それもあるがもう最近ちょっと変な奴らが来てな。そいつ等と張りあっている」


「へー、そいつは知らなかったなー」


「それで君達に強くなってもらって戦力に取り入れて攻略を手伝ってもらおうと思ってるわけさ」


「お、俺達にそこまで期待を」


「感激っす」


「ああ、期待している。今日は10階まで行こう。それぐらいは楽にいけるぐらいにはなってもらう」


「「「頑張ります」」」


「それにしても魔物に会わないな」


「恐らく先に入ってるものが根こそぎ倒しているんだろう」


「奴らかな?」


「わからない」


「考えても仕方ない!先に進むぞ!」



足音が遠ざかっていく・・。


「行きましたね」


「ああ、どう思った?」


「おかしいのです」


「あの人達が未だにあの新人さん達と一緒にいること?」


「そうだ、私達が面白がって押し付けた時はあれだけ迷惑な顔をしていたはずが今は戦力にしようとしてる」


「ん~、でも考えると理由も言っておりましたしおかしくないかもなのです?」


「奴らという奴か?」


「なのです」


「でもいくら考えてもわからないし先に進みません?本当に新人さんを育成してるならいいことですし」


「確かにそうなのです」


「そうだな、あいつ等は10階に行くと言ってたし、恐らく最短で進むはずだ。私達はゆっくり行こう」


「ですね」


「はいなのです」



そして前回と一緒の7階に来ていた。


「魔物の数は増えましたけど変わりばえしないですね」


「仕方ないさ、恐らく10階以降が強い魔物だ」


「10階にはいかないのです」


「ハレンは奴らに会いたいのか?私は10階手前で今回は引き返すつもりにしたい」


「賛成なのです。まだ行かなくていいのです」


「あはは、そうだね。ゆっくり行こう」


「しっ!何か来るぞ」


突然ヒルマさんが黙るように言う。


「左の穴だ・・こっちに来るわけではないが足音がする」


「複数ですか?冒険者では?」


「いいえ美紅様、嗅いだ事のない臭いなのです。それに2つの臭いはしないのです。というか・・臭い(くさい)のです」


「どうします?」


「見に行きたいのです」


「いいのか?知らない魔物かもしれないぞ?」


「行きましょう。僕も見てみたいです」


「行くなら早くなのです。匂いが遠ざかるのです」


「そうだな、だが警戒はしておけ」


そしてよくわからない物を追うために僕達はハレンちゃんの案内で進むことになった。



「こっちなのです」


「広い場所に出たな」


「ダンジョンってこんな空間もあるんですね」


「主がいればこうなることもあるらしい」


「そうなんですね」


「いるのです」


「いるな・・そこの岩の影だ」


少し先に大きな岩がある人が数人は隠れれそうな岩だ。


「どうしましょう」


「ハレンもう一度聞くぞ?人の臭いじゃないんだな?」


「人とは違うのです、獣に誓いのです。とても清潔とは言えない臭いなのです」


「そうか・・では」


ヒルマさんは手をかざすと岩に向かって直線状に走る雷撃を放つ。

ガァァァンと大きな音を立てて岩が削れる。


「どうだ?」


「・・・何か岩陰にいます」


「そこにいる方、出てくるのです!」


ハレンちゃん相手は魔物かもしれないので言葉は通じないよ?


「ヒヒ、ヒトダヒトダ」


「え?」


「お、驚いたなこれは・・」


「喋ったのです!」


いや、ハレンちゃんのせいで本当に出てきたんじゃ・・。


出てきたものは2速歩行の魔物、醜悪な顔に小さな角が生えており、手足が異様に長いが体躯は人間の子供より少し大きいぐらいだった。


「あれは・・インプか?」


「インプってなんですか?」


「そうだな、だが違うか?羽がないインプなら小さい羽がついてるアレに羽ないしな。強さで言うなら中級よりちょっと下だな」


「中級ってどのくらいですか?」


「ブロンズのチームが互角ぐらいだ」


「強いじゃないですか!」


「あれがインプならな、あれは羽がない。もがれたわけでもなさそうだ」


「ヒヒ、ヒトダ!ヒトダ!」


凄い喜んでない?挨拶したほうがいい?


「戦うか美紅?」


「そうですね・・とりあえず会話を・・・あの~こっちの言葉理解してます?」


「ヒヒヒ、ヒトダ!アノヒトがイッタトオリヒトダ」


うん、会話になってないね!よし倒すか!


「殺気がないな」


「なのです」


え・・わかるの?僕わからないよ?


「全然そんなのわからないんですけど・・」


「そのうちわかるようになる・・おい!お前喋れるなら反応しろ!」


「オマエラサンニン、デモイロガチガウ、サガシテルノトチガウ」


「探してるもの?それは人ですか?」


「イキモノ、アノカタガアブナイイッテタイキモノ」


「あの方?ってなんでしょう?」


「わからないな」


「微妙に会話になってないのです」


「話が通じそうで通じてないな。わけのわからないが知能のある魔物だ油断するな」


「オマエタチモアブナイキガスル、デモオレヤルコトアルカライク」


「今変な事言わなかったですか?」


「行くって言ったのです」


「その前だ、危ないとか言ったぞ」




「キキキギャギャキギャギャギャギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」




目の前のインプもどきがいきなり奇声をあげる。


「やばいぞ二人とも!魔物が集まる!」


「え?どういうことなのです?」


「あれは魔物の群れのボスが統率する時に出す雄叫びと同じだ!おそらく奴は呼んでいるんだ!」


「どうしましょう!戻るぞここは行き止まりだ!」


「はいなのです!」


「バイバイヒトヒト!」


「えええぇぇ!」


「まったく・・こういう時の魔物の動きは恐ろしいな・・」


「遅かったのです」


「インプもどきは物凄いジャンプ力を発揮して僕達の頭を超えて入って来た入り口まで飛んだ。そこには今まで倒した種類の魔物たちが大量に集まってきていた。


「ヒヒヒヒヒヒヒヒイヒヒヒ」


笑い声とともに魔物の中に消えていった。


「逃げられましたね。倒したほうが良かったですかね」


「わからないな、負けるとは思わないが正体不明の者とはあまり関わらないほうがいい」


「二人ともそれより前の大群を!」


「何匹ぐらいいますかね・・これ」


「70以上はいるな・・どこにいたんだ?こんなに」


「ミリオンガウなら楽なのですけど、ガントベアがいるのです。ハレンはあれ嫌いなのです」


硬いんだよ、あの熊。


「とりあえずやるぞ。この空洞に入らすな、入り口で前で戦うぞ、目の前の魔物は1匹1匹確実に倒していくんだ」


「なるほどなのです、それなら囲まれないのです」




どの位時間が経っただろう・・目の前の魔物をひたすら斬る作業。


「美紅大丈夫か?」


「はい・・はぁはぁ・・なんとか個が弱いのが幸いです」


「はぁはぁ、ハレンも疲れたのです」


ハレンちゃんも疲れてるようだった。

僕は幻獣村でキオウさんに言われたことを思い出していた。


『ハレンは強いが持久力がないんだ』


どうやら本当みたいだ。


「だらしないぞハレン!」


「申し訳ないのです」


いつも言い返すハレンちゃんも素直に謝っている、さすがに疲れているようだった。


「ハレンちゃん頑張ろう、奥を見なよ。ほらやっと魔物の順番待ちの最後の列が見えるよ」


「本当なのです」


「やっとか・・まったく雄叫びで呼ばれた魔物はなぜ敵わないとわかっていても最後まで戦うんだ?」


上官の為に命を投げ出すとか言う奴かな?



「終わった~のです!」


「終わったね・・」


「どいてろ二人とも」


ヒルマさんが手から広範囲に雷をだす。


「何をしてるんですか?」


「魔物を雷撃で灰にするんだ。このままだと血の臭いでまた集まるからな」


「はぁはぁ・・最初からヒルマさんの雷撃なら全部倒せたと思うのです」


「うん、でも僕達が強くなるためにヒルマさんはわざと使わなかったんだよ」


「さすが美紅私の事は全部わかっているな」


全部はわかってませんから・・意味深なこというのやめてください。


「な・・なるほどなのです」


「よし、これで平気だ。丁度いい今日はここでキャンプだ」


「え?ここでですか?」


「ああ、スペース的には十分だ。入り口も1つしかないから魔物が現れればすぐわかる」


「ハレンは賛成なのです!少しでも休みたいのです」


「そうだね、じゃあ準備をして休もう」



僕達は火を起こして焚き火を囲みながら話をしていた。

僕が料理を作り、みんなにパンとスープを配る。


「なんだったんでしょうかあのあの魔物」


「美紅様あれは敵なのです」


どうやらハレンちゃんは大群を呼びだされて仕向けられたことで怒っているようだ


「敵ではあると思うが何か目的を持っていたな。探してるとかなんとか」


「3人とかなんとか言ってましたね、でも片言すぎてあまり聞き取れない部分があってわかりませんでした」


「ハレンもなのです、でもあの魔物の臭いは覚えたので次あったら覚えてるといいのです」


死んだな・・あのインプもどき。


「それにしても便利ですね。この指輪はお陰でダンジョンでキャンプまでできるなんて」


「そうだな、深く潜る冒険者には必須なアイテムだしな。ここなら仮眠もできるし、見張りは交代ですればいいだろう」


「それには及ばないのです!」


「なぜだ?」


「3人寝ててもハレンは臭いが近づけば目を覚ますのでわかるのです!」


えっへん!という感じで胸を張りながらそういうハレンちゃん。


「本当に?凄いねハレンちゃん」


「お任せなのです!」


「本当かハレン、起きたら魔物に囲まれていたとかなったらお前は美紅に永遠に抱きつかせないぞ?」


「本当なのです!信じて欲しいのです!」


「ヒルマさん、ハレンちゃんに任せましょう。そうしてくれるならわざわざ交代で仮眠をとるより疲れが取れますし」


「わかった。しかし私も耳で一応注意はしておこう」


「ヒルマさんはいらないのです!寝てて欲しいのです!」


「い、いらないとはなんだ!」


「ハレンだけで十分なのです!」


「二人ともここはダンジョンですよ!」


「あ・・」


「ゴメンなのです。静かにするのです」



僕達はここで3人とも眠りにつくことにした。

魔物が来てもハレンちゃんの鼻とヒルマさんの耳があるという安心感からかすぐに眠りに落ちた。



「美紅様、美紅様」


「美紅起きろ」


ヒルマさんとハレンちゃんが小さな声で僕を起こしてくれたので目を開ける。

どのくらい寝たかわからない、けれどそんなに寝てない気もする。


「おはよう、もう出発?」


「違うんだ美紅、私もハレンに起こされた。時間で言うと3時間ほどしかたっていないと思う」


「知らない臭いがこちらに来るのです。人だと思うのです」


「人?じゃあ冒険者かな?」


「たぶんそうなのです」


「他の冒険者だとしても警戒は必要だ」


「ですね」


「近づいてくるのです」


僕はこの空洞の入り口である小さな穴を見た。

現れるならそこしかないからだ。



「本当に人がいるな。やるなクソ騎士」


「信じてなかったのですか?これでも何度もダンジョンには入ってるのですが・・気配を探る事に関しては殿下より達者です」


「そうみたいだな便利便利、これ口うるさくなけりゃ最高なんだがな」


「それは使命なので申し訳ありません」


「融通をきかせといってるんだよ」


「申し訳ありませんが私は貴方の監視および世話役です。口うるさいと思われるのは心外なのですが・・」


「あーはいはい!何度も聞いたよ」


「お二人ともそこまでです。向こうさんが警戒してますよ」


巨漢の男が2人を止める。


「そうだったそうだった!おー?小さいの2人・・青い鎧は体系からいって女か?あっちの小さいのも女っぽいし、女の3人チームか!」


「そのようですね」


「いきなり失礼、こちらはこのダンジョンを1月程前から攻略しているものです。決して危害を加えるつもりではありませんのでご安心を」


「そうそう!紳士よ紳士!」


「強調しないでください。怪しく見られます」


「うるせーな!どう見ても紳士だろーが」



騒がしい3人組みだった。

身長が高い緑の皮の鎧を来た30代くらいの貫禄のある男性。

眩しい位の白い鎧を来た凛々しい女騎士。

最後は銀色の鎧を着たこちらは騎士というより態度は傭兵みたいな戦士だった。だが着ている銀色の鎧は誰よりも立派で不思議な感じがした。


「紳士かどうかは別として私達は俗に言う冒険者ではありません。攻略者と言ったほうがいいのでしょうか、ある理由で各地の攻略されてないダンジョンを回っております」


「おいおい、なんでそこまで見ず知らずの奴らにいきなり説明するわけ?」


「必要なことでしょ、明らかに警戒されてますので」


「俺の容姿を見て警戒なんてするかよ、どう見ても身分が良いってわかるだろーが!な?そうだろ?そっちの3人の女チームさんよ」


身内でゴチャゴチャ話していたのに急にこちらに振ってきた。


「えっと、よくわからないですが敵意がないってことはわかりました。別にこちらに来たのは人がいる気配があっただけで見に来ただけど言うのも」


「その通りです。そちらは冒険者であっておられますか?」


白い女騎士が言う。


「そのようなものだ、しばらくこのダンジョンを回るつもりだ」


「そうですか、組合所属でしょうか?」


「そこまで言う必要が?」


「いえいえ、失礼しました。特に深い意味はありません」


「おいおいおいおい!なんでそんなにこっちが下手な感じで話してるんだ。相手は冒険者だぞ」


「相手が誰だろうと普通は敬意を払うのですよ。それに下手に出てません、普通です」


「あの~?」


「何ですか?赤い方」


「僕達ここでちょっと戦闘があって体を休めてたんです。まず何か用があるならそれを言ってほしいのですけど」


「その通りだな。いきなり来てそちらで変なやり取りをされても対応に困る」


「わかりました。実は・・」


「おい!なんだその言い草はこっちが下手に出てると思えば冒険者風情が俺様を誰だと思ってやがる」


知るか。


「ちょっと!その様な言い方は!」


銀色の人の横柄な態度を白い鎧の人が止める。


「え・・誰ですか?」


「そもそもお前だけ全然下手に出てないだろう?」


「えっと・・誰なのです?」


名乗ってもいないのに誰だと思っていると言われてもね~。


白い鎧の人が物凄く慌てて止めている。

しかし銀色の鎧の人は止まらずに不遜な態度で言った。


「俺はナディガム大国が王族!王位継承権は第4位のディット・ブガード・セルゲッティ・ナディガム様だ!」


ふ~~ん。


「ヒルマさん」


「何だ美紅」


「あれってどれが名前ですか?」


「何故私に聞くん・・はっ!もしかして私の時も美紅はそう思っていたのか!」


「あ・・え?ご、ごめんなさい!」


バレた!!


「ヒルマさんも無駄に長い名前なのです?」


「無駄とはなんだ子猫!私のは由緒正しき名であんな変な名前じゃない!それに美紅酷いぞ!」


「悪気はないんですよ。もうわかると思いますけど僕はあの時はまだ慣れてなくて・・」


「ああ、確かにな・・でもすまない。私にもあれのどれが名前かはわからない。というかどうでもいい!」


「ハレンも長い名前の方はさっぱりなのです」


普通わからないよね。でも王族とか言ってるから偉そうって言うのはわかるかも。


「聞いてないですな」


「聞いてませんね」


「お前ら下々の分際で!俺は王族でいずれ皇帝になるんだぞ!」


皇帝になる人らしい。

まぁ、どうでもいいけど・・。そもそも第4位って皇帝になれるの?


「あの~、皇帝とかどうでもいいのでどれが名前か教えてもらえます?さすがに全部言うのは疲れるので」


銀色の鎧の王子は物凄い形相で嫌そうに答える。


「ディットだ!ディット様と呼べ!」


「で?そのディットがなんの用だ?私達は疲れている。用がなければどこかにいってほしいのだが」


「様をつけろ愚民が!」


「ディット殿下、その様な態度では・・」


「うるさい!クソ騎士!」


「はぁ・・失礼しました。私はこのディット殿下のお目付け役をしておりますナディガム国第3騎士団の長を務めておりますリングワット=ケイワズと申します。リングで結構です。そして後ろの背の高い緑の物がゼーガスと言います。殿下が大変失礼しました」


「おい!下手に出るなと言っているんだ!相手は汚い愚民だぞ!」


僕達は汚いらしい。


「殿下、貴方はやることがあるのでしょう?ならばある程度は許容すべきです」


「やること?ああ、あるな。だがそんな事は俺ならすぐ終わる。それにそんな理由で俺が自分の事を妥協する理由にはならないな。俺以外は全て低脳な馬鹿どもだ」


初めて見た王族がこれか・・。

こいつが王様になったら国は滅びるね。


「で?何の用なんだいい加減にしてくれ」


「そろそろ教えて欲しいかと・・」


「ハレン達は休みたいのです」


「あん?お前達説明してやっただろ?俺は次期皇帝だぞ?口の利き方を教えてやろうか?」


「殿下!!」


「たしかナディガムとは西にある国だったな?ここはお前の国の領土じゃない。お前に媚びる事などする必要もないししたくもないな。さっさと用件を言え」


「殿下!!」


ディットという王子は額にピクピクと血管を浮かべたあとに剣を抜いて突っ込んできた。


「なぜ止めやがる」


「わからないのですか!?」


リングさんと言う騎士が物凄いスピードでその間に入り剣で止めた。


「ゴミを斬って何が悪い!」


「貴方は皇帝になられるんでしょ!?その様なこともお分かりにならないのですか!?」


「皇帝になるからこそだ!こういう奴らはいらんのだ!」


「とりあえず剣をお納め下さい!前に1人冒険者を斬った事で騒ぎが起こりました!これ以上は危険です!」


「俺を見下す奴は何匹でも斬ってやるさ!」


「ゼーガス!手伝え!」


「はっ!」


「おい!貴様!」


ゼーガスさんという大男はディットを羽交い絞めにして下がらせる。


「殿下が申し訳ありません!」


「大丈夫ですよ。リングワット・・さん・・でいいですか?あなたが止めてくれたので被害はないですし、それに変な人には最近慣れてますので、お守りも大変ですね」


「え?あ?あの、ありがとうございます、それとリングで結構ですよ」


「お守りだと!!ふざけるな!話せデカブツ!あの赤いゴミを斬ってやる!」


「1つ聞きたいリングワット殿と言ったか?あのディットとか言う王子は第4位なのだろう?ならかなり下だ、到底皇帝になれるとは思えないんだが?」


ヒルマさんそれ思ったけどそんなはっきり聞いていい事なの!?


「え?あの・・その・・」


さっきから僕達がとても答えにくい質問をしてるせいかさっきの騎士道精神から来たような立派な態度は薄れテンパっている。ちょっと可愛い。


「すまない答えにくいなら言わないでいい。できればもう要件だけ言ってくれないか?」


「は、はい!先ほども言いました通り我々はこのダンジョンを攻略する為に来ました。ある理由で魔物を探しております」


「魔物?魔物なんていっぱいいますよ?」


「違います、知識・・人の言葉を喋る魔物です。見たことはありませんか?」


あの片言で僕達をハメた奴かな?


それを聞いてヒルマさんとハレンちゃんが耳打ちしてくる。


「どうする美紅、たぶんあれだろう?」


「美紅様たぶんあれなのです」


「どうしましょう?」


「教えるのか?」


「うーん・・隠すことじゃない気もするし。それにあっちの偉そうなのは別としてこのリングワットさんは悪い人じゃない気もするし・・」


「ハレンもあっちの偉そうな人以外はまともな感じがするのです」


「私もだ、あの偉そうな奴以外はまともだと思う」


「ならちょっとだけ教える方向でいいです?」


「異議なしだ」


「それでいいです」


僕達はあのディットが変な奴ということで意見が固まった。


「リングさんの言ってるのがどの魔物かはわかりませんが喋る魔物なら見ましたよ?」


「本当か!それを言えゴミ共!」


聞いてたのか偉そうな王子・・。


「殿下は黙っていて下さい!!申し訳ありません。教えていただけますか?」


「えっとですね、インプっぽい奴がこの空洞にいました。それで僕達はそいつにハメられて魔物の大群に襲われてここにいるわけです。そいつなら魔物の大群に紛れて逃走した。3時間以上前ですね」


「3時間前・・」


「おい!クソ騎士!すぐに追うぞ!ゴミ共今回はその情報に免じて見逃してやる!次に俺様に会ったときに不遜な態度を取って見ろ?切り刻んで魔物の餌にするぞ!そろそろ離せデカブツ!」


そう言われるとゼーガスさんという人はリングワットさんを1度見る、リングワットさんが頷くとディットを放す。


「さっさと行くぞ!付いて来い馬鹿共!」


ディットは入り口の方に走っていって姿が見えなくなる。

それを追う様にゼーガスさんもいなくなった。


「大変貴重な情報に感謝を!次会うことがありましたら必ずお礼をいたしますので失礼します」


「次会ってもお礼はいいです、できればあのディットとか言う人を近づけないで下さい」


そう僕が言うとリングさんの綺麗な顔が苦笑いに変わりお辞儀をする。


「失礼する!」


そう言って二人を追っていった。


「あれがナディガム大国の王子か、終わったなあの国は」


「どんな国なんですか?」


「ハレンも知りたいのです」


「私も行った事はないが西にある軍事国家だ。だが今の王になってからはたしか穏健派で戦争もなくなり平和路線に向かっていると聞いたがな」


「あの王子はどう見ても穏健派じゃないのです」


「ははは・・確かにね」


「第4位じゃ皇帝になるのなんて難しいだろうがあいつが継いだらナディガムには行きたくないな」


「賛成なのです」


「僕もかな、でもどうして魔物を探してたんだろう?」


「さあな?考えても仕方ない」


「なのです、ハレン達には関係ないのです」


「だね、僕達は僕達で頑張ろうか」


「そうだな、少し休んだら捜索再開だ」


「はいなのです」


「予定通り10階までいけたらそのまま町に引き返す感じですか?」


「ああ、そうしよう、ゆっくり攻略だ。焦る必要はない」




そして僕達は10階まで行くことに成功、様々な素材を手に入れて1度町に戻った。




カナじい「スィーニーわしからも聞きたいことがあるのじゃが」


蒼「な~に~?」


カナじい「元お前達の世界の事じゃ」


蒼「地球?」


カナじい「そうじゃ」


蒼「え?カナじいのが詳しくない?一応神じゃん」


カナじい「一応じゃないんじゃが・・いやな、あのババアは世界の運営をどうしてたのかと思ってのぅ」


蒼「ん~、神様の事?地球の?そんな事聞かれてもね~。あたしたちの世界はココみたいに女神だけ信仰されているとかなかったし。国とか地域によって信じてる神とか本当にいっぱいいたよ?説明できないぐらいいっぱい」


カナじい「おかしいのぅ。地球は基本あのババア1人で世界を治めているはずじゃが」


蒼「たぶん人間が勝手に想像で作った神もたくさんいるはずだよ?ココみたいに女神光臨イベントなんてなかったし」


カナじい「なるほどのぅ」


蒼「てかさ!地球の神が女の人なんてカナじいに聞いて初めて知ったよ。たぶんあたしだけじゃないよ?誰も知らないと思う」


カナじい「信仰されておらんのか?」


蒼「知られてないし、たぶん?」


カナじい「ざまあみろ!クソババア!」


蒼「いや女神に任せてるせいでカナじいの存在も世界に認知されてないから!」


その通り!(*´・ω・*)

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