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ダンジョン石

お待たせして申し訳ありません。


1話1万文字がきつくて・・。


それでは感想、評価、ブックマークをよろしく(*´・ω・*)

僕達は商人組合員登録をしてそのまま宿に戻っていた。


「美紅にハレン話があるんだがいいか?」


「なんでしょう?」


「なんなのですか?」


「ダンジョンでこのまま3人で稼いでいくなら必要な物が1つあるんだが」


「なんですか?必要な物って」


「黒のダンジョン石に闇の魔法を込めた物だ」


「ゴメンなさい・・詳しく教えて下さい」


さっぱりわかりません!


「ハレンもよくわからないのです」


「わからなくても恥ずかしいことじゃないので心配するな。黒のダンジョン石は闇の魔法が込めれる石だな、それに特定の魔法を込める。この場合は吸収の魔法と言うべきがな。これを込めると物を吸収できさらに出すことも出来る」


「あ!つまりダンジョンで取った素材をダンジョン石に吸収させて荷物にならずに運べるんですね!」


アイテムボックス!収納ボックス!きたーーー!


「そんな物があるのです?」


「ああ、あるんだ。ただし・・恐ろしく高い!」


「だと思いました」


「おいくらぐらいなのです?」


「私も特に必要なかったので手に入れなかったのだがな。たしか4、500万はくだらない品物だった気がするな」


「高い!!」


「高級品なのです!」


「仕方ないな、ダンジョン石+魔法代でそれ位が相場になる。もちろんダンジョン石の質や込めた魔法士の威力によって収納できる重量や数が全然違うので相場も様々だ」


「高いですけど手に入れたいですね、ダンジョンじゃなくてもこれから便利ですし」


「そうだな、さらにそれをはめる魔道具があれば最高だな」


「ヒルマさんの鎧につけちゃえばいいのです」


「私の鎧を収納代わりにするな!それにこれは水タイプと言っただろ!」


「物は試しなのです」


「荷物は全部これからお前が持て馬鹿力」


「ハレンはか弱いのです!」


「どの口がそれを言う!」


「この口です!」


始まった・・もはや名物。この二人は無視するとしてヒルマさんの提案は考えなきゃいけない。まさかアイテムボックスがダンジョン石でできるとは思ってなかった。

ダンジョンで地道にお金を稼ぎながら買うとか?いや400万だと結構稼がないと・・いくらダンジョンが儲かるといっても暮らすのにもお金がいるしね。


さて考えるのは明日にして・・うるさいし寝るか。



「今日はダンジョンには行かないのです?」


次の朝僕達はダンジョンには向かわずに商人組合の建物に向かっていた。


「昨日は話しただろう?収納のダンジョン石を手に入れると」


「でもお金の問題があると言ってたのです」


「うん、だからいくらぐらいなのかを知りたくて、ダッシムさんならわかると思うし、いちいち町のお店を回るよりも組合にいけばもしかしたら直接あるかもだしね」


「さすが美紅様なのです!」


「ゴメン・・ヒルマさんの考えなの」


「なんだ・・なのです」


「子猫!なんだその反応は!」


はいはーい!騒がないでね~目立つのが嫌いな僕たちが目立ってるよ~周りの人の視線が集まってるよ~!


商人組合の建物に入ると入り口にいたのは若い男の人だった。

昨日は本当に偶然ダッシムさんが入り口の近くを通りがかっただけなわけね。


「いらっしゃいませ、何か御用でしょうか?」


「あのこれを」


僕は組合員証明書を見せる。


「美紅様・・組合員の方でしたか、本日はどのようなご用件でしょうか?」


「えっとダッシムさんいらっしゃいますか?」


「組合支部長ですか?お待ち下さい。恐らく事務所にいるので呼んで参ります」


「ありがとうございます」


僕達は昨日とは違う部屋に通された。


「これはこれは蒼の商店の方々、昨日の今日でどうかなされましたか?」


「少しお伺いしたいことが出来たんですけどよろしいですか?」


「私にわかることなら」


ヒルマさんが前に出て言う。


「収納魔法を込めたダンジョン石が欲しいんだがないだろうか?」


「なるほど、これからダンジョンに本格的に挑むのですね?」


「それもそうだがこれから必要だと思ってな」


「あれも貴重なものですからね、在庫はあると思うのですが少しお時間を頂いても?」


「勿論です、すいませんわざわざ」


「いえいえ、気にしないで下さい。では失礼します」


ダッシムさんが部屋を出て行く。


「あるといいですね」


「あってもまだ買えないがな」


「でもお金が貯まるまで取り置きとかをお願いするのです」


「そうだねそれができるといいかも」


暫くしてダッシムさんが部屋に戻ってきた。


「お待たせしました」


そしてダッシムさんは小さな箱を何個もボク達の前の机に置く。


「開けてもいいのか?」


「どうぞ手にとって見て下さい」


中には黒いダンジョン石が入っていた。

ただ僕にももうわかるようになったがダンジョン石の質が違うのがわかる。

多少曇っている物、澄んでいるものと色々ある。


「どれも収納ですがやはり質によりお値段が違います。箱の裏には込めた魔法士の名も記載しております」


「一番安いのはこれか?」


ヒルマさんは明らかに曇っている物を取ってそう言った。


「そうですね、それに魔法を込めた者は冒険者組合のシルバーランクですね。ダンジョン石も込めた魔法の威力共に並と言った所でしょうか」


「これでいくらだ?」


「組合員相場で380万になります」


やっぱり高い!全然買えない!ちなみに僕たちに今の所持金は3人で54万です。


「380か・・」


「その様子ですと今日は品を見にいらしただけですかな?」


「え?わかるんですか?」


「ええ、商人ですから買う気のあるお客様とそうでないお客様の判断はなんとなくですがわかります」


「すいません、実はまだお金がなくて商品があれば取り置きしてもらおうと思いまして」


「もちろんそれは構いませんよ」


「聞きたいんだが、商品はこれで全部か?」


「ヒルマ様はお目が鋭いですな」


「ん?どういうことなのです?」


「恐らく最初から私達は今日は買い物に来たのではないと気づいていた。だから一番の商品は出さなかった。だろ?」


「ほほほ、半分当たりですな、別に貴方達が買えないと思いださなかったわけではありません。そちらの指定した品と違っただけですよ」


「どういうことですか?」


「こういうことです」


そういうとダッシムさんは一回り大きな黒い箱を目の前にだす。


「見ていいですか?」


「どうぞ」


「これは・・」


「凄いな」


「魔道具なのです!」


中に入っていたのは指輪型の魔道具、宝石の部分には机の上にあるダンジョン石など比べ物にならない位に透き通った黒いダンジョン石が入っている。


「それはこの支店で一番の収納系の品です、貴方達が指定いたしましたのはダンジョン石そのものだったので、ですが一応持ってこさせていただきました」


「なんだ自慢か」


「ヒ、ヒルマさん!」


「ほほほ!いいですよ美紅様、ヒルマ様の言うとおりです。コレクターも商人もですが集めた物や自分の持ってる自慢の商品を友人やお客様に見せて驚かせるのに優越感を感じるのですよ」


まさかのヒルマさんの正解・・。


「これはおいくらなのです?」


ハレンちゃん無邪気に聞かないで絶対買えないしあんまり聞きたくないの!


「こちらは魔道具が200万、ダンジョン石が700万そして魔法を込めたお方は魔道都市と呼ばれるスージャンに仕える高名な神官の方です、その方のこの吸収の魔法の評価価格は150万といったところでしょうか」


「え?つまり1050万カナリ?」


「そうですね、組合員価格で1000万カナリというところでしょうか」


「絶対買えないのです」


「無理だな、だが相当いい物だ収納に際限も見当がつかない」


「はい、テストをしましたが大抵のものなら際限なく収納できるでしょう」


「良い物を見せてもらったが、確実に買えないな。恐らくそちらの机の上にあるダンジョン石のどれかを買うことになるだろう、取り置きをお願いできるか?」


「わかりました、ですがリステインのダンジョンに潜るのなら一穫千金もございましょう。主が変わりかなり踏破されておりませんし」


「やはりか相当強い主のようだな」


「はい・・ここだけの話まだ主が変わったばかりの頃に浅い階層に主が現れてシルバーの冒険者が10人以上殺されたそうです」


うわ・・聞きたくなかった。シルバーがそれだけ強いか知らないけど10人って・・。


「見た人はいるのです?」


「私も詳しくはないですがその後に主は深層に篭ってしまい自分のダンジョンを支配することに専念したので姿はわからないと言われております」


「なるほどな、貴重な情報感謝する」


「いえいえ、では資金が貯まり次第いらっしゃって下さいませ。それといい素材や商品が入りましたらぜひお持ちを、しっかり買い取らせてもらいます」


「ああ、高値で頼む」


「ほほほ、勉強させてもらいます」


「ではいくか美紅、ハレン」


「はいなのです!お邪魔したのです」


「はい、ダッシムさん組合長自らありがとうございました」


「いえいえ、管理職というのは実は暇なのでいつでもお越し下さい」


いい人だ・・とてもいい人だ。


それにしてもお金か・・。

あ?そうだ!

僕はあることを思いついて立ち止まった。


「どうしたんだ美紅?行かないのか?」


「美紅様?」


「ゴメンね、ちょっと待って。あのダッシムさんいいですか?」


「なんでしょうか?」


僕は腰につけた皮袋から1つの物を出した。

異世界に来た時に貰った3つのダンジョン石の最後の1つで緑色の透き通ったダンジョン石を。


「これ見てもらっていいですか?えっと価値とかわかれば教えて欲しいんですけど」


「拝見いたします」


「なんだ?」


ヒルマさんまで興味を示して覗いてくる。


「美紅様これをどこで手に入れたのですか!?」


「こ、これは緑石か!?」


「綺麗なのです!」


3人とも凄い反応だ、たしかスラビーさんもいい物dだからあんまり見せないほうがいいって言ってたしな~。


「えっとヒルマさんに会うちょっと前に偶然手に入れました」


「美紅!これはとんでもない物だぞ!私も始めてみる物だ!」


「ええぇ・・」


「美紅様これは凄い物です。か、価値を知りたいのなら暫くお待ち頂けると助かります」


「え?別にいいですけど」


「少し失礼します!」


あの冷静なダッシムさんが動揺して部屋を出て行ったし。


「で?ヒルマさんそれって凄い物なんですか?」


「ハレンも教えて欲しいのです」


「やはり知らずに出したか・・」


「スラビーさんには聞いてたんですが詳細までは聞いてないんです」


「そういうことか・・これは緑のダンジョン石で緑石と呼ばれるものだろう、さっきも言ったが始めてみた。これは魔法を込めれるものがとても少ないダンジョン石だ」


「ん?それじゃダメなんじゃないですか?」


「いや、これはな美紅エルフ専用と言っていいダンジョン石だ」


「エルフ専用!?」


まさかこの世に耳の感触が味わえる石があったなんて・・まさか蒼ちゃんは僕のためを思って・・なんて兄思いな妹。


「つまりどう言う事なのです?」


「エルフの魔法で精霊魔法と言うものがある。それを込めれることできるダンジョン石だ。とても希少でなかなか手に入らず、さらに込めるエルフを探さないといけないという石だ」


「やっぱりそれって使い道ないんじゃ・・だってヒルマさんの種族ほどじゃなくてもエルフもなかなか見つからないんですよね?」


「そうでもないんだ美紅、たしかにエルフは見つかりにくいがいないわけじゃない。大聖堂にも何人かいると聞くし、それにその緑のダンジョン石は個人で使うより国で使用される事が多いらしい」


「国ですか?」


「どういうことなのです?」


「精霊魔法には草木を生やす物や植物を復活させるものがある。それを込めたらどうなると思う?」


「し、自然の回復ですか?」


「そうだ、草木、植物のが育ちにくくなった土地に精霊魔法を込めたそのダンジョン石使う。当然1個の石くらいでは効果はたかが知れているがそれでも植物の回復は確実にするんだ。それにその石に魔法を込める事を断るエルフはあまりいない。理由はそれの使い道が草木の回復だからだ。自然を愛し守るエルフに取って断る理由はない。だから貴重なんだ」


「素晴らしいダンジョン石なのです!」


「凄いものだと言う事はわかりました」


「ああ、個人では使い道があまりないが草木があまり生えない土地や国では喉から手が出るほど欲しい物なんだ」


そんなすごい品だったんだなんて驚きだよ、なんて物をくれたの蒼ちゃん!あれ?でも風全員が貰ってそうだから結構数増えたんじゃない?


「し、失礼お待たせいたしました。これだ」


ダッシムさんがかなり歳を取っている職員を連れて戻ってきた。


「おおお、これは」


「どうだ?」


老齢の職員が顕微鏡のようなものでダンジョン石を調べている。


「間違いなく本物です。それにこの質、最高の品だといってもいいでしょう」


「そうか!」


「美紅様!」


ダッシムさんが興奮した顔で僕に向き直した。


「な、なんでしょう?」


「これを売っていただけませんか!?」


「え?これを?」


「はい!言い値で買い取らせていただきますので」


「えぇぇ・・」


どうしよう・・正直売りたくない。これは蒼が僕にくれた最後の品だし。

それがこの世界に来て困らないよう売っても問題ないからと言ってくれたものでもこれは妹がくれた最後の品。

1つは売らなければ生活できなかったし、1つは剣のはめて使っている。まともな物はこれだけなのでそのまま持っておきたいのが僕の気持ちだ。


「ちなみにおいくらで買い取ってもらえるのです?」


ハレンちゃんが疑問に思って聞く。


「はい、実はこの町の東に農園を作る計画があります。ですがやはり植物がすぐには育たず難航しておりまして、それを譲っていただければ種を成長させる魔法をこめる事が出来れば計画が大幅に早まります。エルフの方を連れてくるなど不可能に近い、ですが組合の情報と力ならば多少費用がかかってもエルフの方に精霊魔法を込めてもらえる可能性もあるでしょう」


「つまり組合が買い取るのか?」


「いえこの町が買い取ると言う事です」


「そうか、でいくらになるんだ?」


「わかってらっしゃると思いますがそれは1つでは効果は少ないですが農園ぐらいならば一ヶ月もあれば全ての種を発芽させることが出来る品です。発芽さえさせてしまえば農園はそのあとも豊かになっていくでしょう。そしてそのダンジョン石はまた別のところで仕えます」


「つまりいくらだと聞いている」


「5000万でどうでしょうか?」


「ご、5000万!?」


「さっきの収納5個分なのです!?」


「ダメだな、少なすぎる」


「えええ!?ヒルマさん!?」


「美紅、話しただろ?このダンジョン石は便利すぎるんだ。しかも美紅の奴は質が良すぎる。見ろこの透明感をダッシムは農園の種は1ヶ月で発芽できるといったが規模にもよるが精霊魔法を込める者によってはもっと早くなるだろう、それにその農園だ。組合が関わっていると言う事は収穫の作物でもうけるつもりだろう?」


「ヒルマ様は大変賢い、まさに商人顔負け・・失礼もう商人でしたな、その通りでございます。そのダンジョン石は金の卵でございます、ですが信じて欲しいのですが私達の今の願いは農園なのです。この町の町長を組合が力を入れて特産物を作ろうと計画しておりますがなかなか作物が育たないのです。その石の力で発芽作業さえ終わればあとは専門科に任せることが出来るのです」


「そうか、でも5000万では売れないな」


「おいくらならよろしいのでしょうか?」


「知らないな、それにこれは私のじゃない美紅の物だ」


「えっとですね、お世話になっておいてこんな言い方は失礼かもしれませんがこれは売る気はありません」


「そうですか・・」


気まずい雰囲気が流れる、売ってあげたいけど僕にはこれは大切な物だ。

できればずっと持っていたいのが僕の正直な気持ちなので変えるつもりもない。


そんな事を考えているとヒルマさんが寄ってきてこっちに来いと手を振っている。


「美紅・・ちょっといいか?」


「なんでしょう?」


「ハレンも来い」


「はいです?」


「実はな・・」


「えええ?出来るんですか?」


「ああ、すまない内緒にしていて」


「いえいえ、全然いいですよ。そんなことで謝らないでください」


「つまり、それで手に入れるのですか?」


「そう言う事だな、おそらくのってくるだろう」


「ヒルマさんがいないと出来ない事なのでお任せします」


「いいのか?美紅はこれを渡したくないのだろう?」


「いいですよそのくらいならそれに困ってるみたいだし、ヒルマさんの言った方法が最善ですよ」


「ハレンも大賛成なのです」


「そうか、ならこの方法で行く」


話し合いが終わるとヒルマさんが落ち込んでいるダッシムさんともう一人の職員のほうに向かって言う。


「提案があるんだが」


「提案?ですか?」


「ああ、仮ににだこれを組合が手に入れた場合魔法を込めるのにどの位の日数がかかるんだ?」


「そうですね・・恐らく1ヶ月・・いや長くて2ヶ月はかかることでしょう。エルフの方にに精霊魔法をこめて頂くのはそれだけお時間がかかるのです」


「なるほどな、お前達は農園が最優先といったな?ならばその2ヶ月は惜しいだろう?」


「勿論です、時は金なりです。2ヶ月も経てば季節も変わりますし、発芽できても育つのもさらに難しくなるでしょう」


「これも仮の話だがその時間がかからないと言ったらどうする?」


「エ、エルフの方の伝手があるので?」


「仮の話だ」


「そうですね、正直に言うと非常に助かりますな」


「なるほど、ではこちらからの提案を言わせて貰う。この美紅の緑のダンジョン石をレンタルでそちらに貸し出すというのはどうだ?」


「レンタル・・ですか?」


「そうだ、しかも精霊魔法を込めた形でだ」


「なんと!!やはり伝手があるのですか!?」


「ああ、ある」


「そ、そうですか、しかしレンタルとは期間はどのくらいでしょうか?」


「そちらの農園がの作物が発芽して軌道に乗るまでだ。そちらは農園が優先と言った、それが終われば返してもらいたい。これは大切な物だ」


「・・・話はわかりました。ですが肝心なことがまだあります」


「価格か?」


「そうです、おくらでしょうか?」


「わかっているだろう?」


「先ほどの収納の魔道具でしょうか?つまり1000万相当」


「そうだ・・と言いたいところだが違うな」


「どう言う事でしょうか?」


「先ほどの魔道具と500万カナリだ」


「それはそれは・・少々欲張りすぎでは?」


「それはないだろう?2ヶ月だぞ?それにお前達は農園ができればこの町から相当な収入を見込んでいるのだろう?さっきも言っていただろう、時は金なりと。わかっていると思うがこちらは妥協する気はないぞ?」


ヒルマさんさっきの話し合いで魔道具と交換って言ってませんでした?+500万の話は僕たちも聞いてませんよ?後ろでハレンちゃんがオロオロしてますよ?


「ふう、わかりました・・その条件を呑みましょう。ですが魔道具と500万カナリは精霊魔法を込めたそのダンジョン石を確認してからです」


「当然だな」


「いつ頃確認できるのでしょうか?あまり遅くなるようならこちらも先ほどの金額より安くレンタルさせていただきます、時は金なりなので」


さすが商人だ、ここぞとばかりに値引きしようとしてくる。


「そうだな、明日までには込めさせて持ってこよう」


「あ、明日ですか?」


「そうだが?都合でも悪いのか?」


「い、いえ、わかりましたお願いします」


「交渉成立だな、ではこれで失礼する。明日のこの時間にまた来る」


僕達は挨拶をすると組合の建物を出た。


「では先ほど話したとおりだ。今から馬を借りて近くの森へ向かうぞ」


「わかりました」


「美紅様、ヒルマさん。ハレンは走って行きたいのです」


「え?馬に乗らないの?」


「走りたいのです」


「美紅、許可してやれ。子猫なのではしゃぎたいんだろう」


「違うのです!久しぶりに全力で走りたいだけなのです!」


その答えだとはしゃぎたいも半分正解な気がするよハレンちゃん。



そして僕達は馬を借りて誰もいない近くの森に来ていた。

ハレンちゃんはと言うと・・2人乗りの馬より早かった・・。


「ハレン・・お前カイユウの変わりに配達の仕事をすればよかったんじゃないのか?」


「何故なのです?」


「いや、いい」


ハレンちゃんは可愛く首を傾げる、本気でわかってないようだ。


「それではやるぞ、美紅ダンジョン石を」


僕は緑のダンジョン石をヒルマさんに渡す。


「どうぞ」


ヒルマさんはダンジョン石を握ると目をつぶり小さな声で何かを唱え始めた。


「地を守りし数多の精霊よ清き精霊たちよ私の声が届くなら盟約に従い私に力を貸せそして存在を示せ」


ヒルマさんが呪文を唱え終わるとヒルマさんのダンジョン石を握っている左手に眩しいほど大きい緑色の光が灯るそしてだんだんと光が収縮されるダンジョン石に光が吸収されるようになくなっていく。


「ふぅ・・成功だ」


「今のが精霊魔法ですか?」


「カッコイイのですヒルマさん」


「そうだ、久しぶりなので緊張したな」


「でもヒルマさんが精霊魔法を仕えると言った時は驚いたのです」


「ハレンはダークエルフは仕えないと思っていたか?」


ヒルマさんが少し悪戯っぽく笑いながら言う。


「違うのです、ヒルマさんは雷の魔法を使っていたので雷系だと勘違いしたのです」


「そう思うだろうな、精霊魔法は精霊と幼い時にエルフが契約する物だ。勿論ダークエエルフもエルフだ。契約はできるさ・・私も幼い時に契約させられた。美紅お前は見ただろう?私鉄針を操ってキャッブやゴルゴアに攻撃していたのを」


「はい、僕はゴルゴアと一緒であれは磁力で操ってるのだと思いました」


「半分正解だ、両方だよ。磁力で操ってると見せかけて精霊魔法の風の力で方向を自由に変えているだけだ。あの位の力なら契約の呪文を唱えなくても簡単にできる」


「なるほど、だからゴルゴアの雷も貫通したんですね」


「そういうことだ」


「でもこれで収納の魔道具が手に入るのです」


「そうだね、ヒルマさんありがとうございます」


「何を言っている?美紅が緑色のダンジョン石を持っていなかったらこの取引は成立しなかったぞ」


「それでもヒルマさんが精霊魔法を使えると教えてくれなかったら無理でした」


「べ、別に本当に隠そうとしたわけじゃないぞ?一応切り札だっただけだ」


「わかってますよ」


僕は信用してると言う意味を込めて笑顔で答えた。


「美紅!」


「うわっ!」


「離れるのです!ヒルマさん!」


「お前が言うセリフじゃないな子猫!」


「美紅様が潰れるのです!」


「私が重いみたいな言い方をするな!」


「重いのです!ハレンより重いのです!鎧も重いのです!」


「こ、子猫!失礼だぞ!」


「二人ともそこまでですよ、準備もできましたし、このダンジョン石を明日ダッシムさんに渡しましょう」


「そ、そうだな」


「そ、そうするのです」


「というわけで離れてね」


また僕がロストで消えるとでも思ったのか結構すんなり離れてくれた。



次の日僕達は再び商人組合のダッシムさんの事務所にいった。

今日はダッシムさんと昨日いた老齢の職員も最初からいた。


「約束のダンジョン石だ」


「確認させていただいても?」


「もちろんだ、するといい」


「おい!」


ダッシムさんがそう言うと昨日ダンジョン石を鑑定した職員は鉢植えを持ってきた。

そしてダンジョン石を手に取り鉢植えにかざす。


緑の光が放たれると鉢植えからは何の花かはわからないが数本の芽が出てきた。


「間違いありません」


「そうかそうか」


確実にダンジョン石に精霊魔法が込められていることを確認して満足したのかダッシムさんが笑顔になる。


「どうだ?」


「はい、間違いないようです」


「では商談成立か?」


「もちろんです、ですが詳細を詰めませんといけませんね」


「詳細ってなんですか?」


「レンタル期間ですよ」


「あ~なるほど」


「それなら私達はこの町には暫くダンジョン狙いで滞在する。もちろんそちらの農場が軌道にのるまでか貸すつもりだ」


「おー!ありがとうございます」


「どのくらいで軌道にのるんだ?」


「そうですね、この素晴らしいダンジョン石の力もそうですが込められている魔法の力にもよりますね。1月以上はかかるかと思われます」


「了解した、美紅いいか?」


「いいですよ?それが契約ですし」


「ありがとうございます。ではこちらも約束の商品をお渡しします」


そう言うとダッシムさんは黒い箱と札束をまとめた物を5束、金額にして500万を目の前においた。

おー!大金だ!


「お確かめ下さい」


僕たち3人は箱の中身を確かめる。

そこには綺麗な細工をされた黒い指輪が入っていた。ダンジョン石もしっかりはまっている。


「美紅、指輪をはめてみてくれ」


「え?僕でいいですか?」


「当たり前だ、あのダンジョン石は美紅のだからな」


「わかりました」


僕はダンジョン石のついた指輪をはめる。


「あれ・・これってどの指にはめれば?」


そういうとダッシムさんが答えてくれる。


「その指輪のサイズ以下の指なら何処でも大丈夫ですよ。指の細さにあわせて魔道具は小さくなり丁度良いサイズに変わるでしょう」


「へー」


僕は右手の中指にはめてみる。


シュッを音がしたと思うと、指輪は僕の中指と同じサイズになった。


「おーー!凄いのです!」


ハレンちゃんが素直に驚く。


「美紅それでそこの500万を収納してみてくれ、テストだ」


「はい」


僕は机の上の現金500万に右手を近づける。

そして指に力を込めると指輪から小さな黒い光が放たれると・・。


500万の現金が小さくなったと思うとあっという間に指輪に吸い込まれた。


「す、すごい」


「不思議なのです!」


「いい品だな」


「これ出すときはどうするんですか?」


「同じだ、力を込めて魔力を流してイメージするだけだ」


僕は先ほど吸い込んだ500万を頭の中で出すイメージをする。

そうすると今度は小さいものが急に大きくなった感じで現金がでてきた。


「どうでしょうか?ご満足頂ける品でしたか?」


「凄いです、ありがとうございます」


「お礼はいりませんよ。これは正当な取引ですので」


「ではこれで取引終了だな」


「そうですね、失礼・・・おい!これをすぐに農場に」


「はい」


ダッシムさんがそう言うと精霊魔法のこもったダンジョン石を持って老齢の職員が急いで出て行く。

すぐに使うらしい。


「さっそく使わせていただきます」


「どうぞ、農場うまくいくといいですね」


「ありがとうございます。時に少し聞いてもよろしいですか?」


「なんですか?」


「昨日はああ言ってましたがこんなに早く用意していただけるとは思いませんでした。お知り合いにエルフの方がこの近くにいらっしゃるのですか?」


僕はどう答えようかと思って思考したがここはヒルマさんが答える場面かな思った。

案の定ヒルマさんが口を開いた。


「企業秘密だ」


「なるほど、情報は商人の生命線。わかります」


その時ダッシムさんの目線が一瞬ヒルマさんを見た気がした。


「もういいかな?」


「もちろんでございます、本日はいい取引をありがとうございました」


「こちらこそ」


ダッシムさんが手を差し出してきたので僕とダッシムさんは握手をする。


「それでは失礼します」


「またなのです」



そして組合の外にでるとヒルマさんが・・。


「恐らく気づいていたかもな」


「ヒルマさんの正体ですか?」


「ああ、3人のうち1人だけ鎧を脱がない奴がいたらそいつが精霊魔法を使えるんじゃないかと普通は怪しむだろうからな」


「それでもエルフと予想するだけでヒルマさんがダークエルフを言う事までわからないと思うのです」


「そうだな、ハレンの言うとおりだ。それに私は正体を隠してはいるがどうしても見られたくないというわけじゃないからな」


「そうなのです?」


「ああ、見られたら見られたで別に構わない。見た奴がどう思うかは別としてな」


ダークエルフは忌み嫌われてる。理由は魔物と一緒と判断する人達がいると言う事。

ヒルマさんはそれを言っているのだと思う。


「あ!そういえばヒルマさん、指輪は本当に僕がはめててもいいんですか?」


「もちろんだ!私と美紅の共同作業だ!私だと思って持っていてくれ!


ヒルマさん・・言い方がエロいです。あと私だと思ってとかいうセリフはお別れの時に使う言葉ですよ?


「ハ、ハレンも美紅様に何かあげたいのです!」


「ハ、ハレンちゃん・・別に何かあげるとか貰うとかじゃないから、ヒルマさんの冗談だから」


「でもあげたいのです」


「子猫、人の真似をするな」


「真似じゃ・・あ!美紅様ハレンを貰って下さい!」


「えーー!」


「ドサクサに紛れて何を言ってるんだこの子猫は!」


「美紅様ご遠慮せずに!」


「遠慮とかじゃないから!さっきも言ったけどヒルマさんの冗談だから!」


「ハレンは冗談じゃないのです!どうぞ貰って下さい!」


「いい加減にしろ子猫!美紅はいらないと言ってるんだ!」


「そんな事いってないです!」


1日何回喧嘩するんだ?この人達は・・勘弁して下さい。


「ところでヒルマさんハレンちゃん、今日はこの後は何もせずに町を見て回りませんか?それに結構お金も儲かったので美味しいものでも食べに行きましょう」


「いいな、賛成だ」


「わーい!行くのです!」


「食べ過ぎるなよ子猫」


「いっぱい食べるのです!」


「開きなおったな」


「ヒルマさんこそ最近鎧がキツいって言ってなかったですか?」


「なっ!そんな事言ってないだろ!美紅の前で変な事を言うな!」



さて・・予定変更、二人は無視して町を見て回ろう。


「待て!美紅どこへ行く!」


「ハレンを置いてかないで欲しいのです!」




僕は歩く速度遅くして追いかけてくる二人を待ちながら町の中心街へ歩き出した。





蒼「ねぇ、カナじい」


カナじい「なんじゃ?」


蒼「これまで発現したギフトってどんなのがあるの?」


カナじい「なんじゃ、気になるのか?」


蒼「そりゃそうだよ!生産系とか面白いじゃん」


カナじい「確かに人をや生物を傷つける攻撃系より実は生産系のほうが生物の役に立つ、発現した者は面白くないかもしれないが重宝されるのはそっちなんじゃがのう」


蒼「あたしもそう思う」


カナじい「過去一番面白かったのはのぅ、好かれる力じゃ!」


蒼「好かれる?」


カナじい「そうじゃ、あれは笑ったのぅ。どんな仕組みがわからんが好かれまくりじゃ」


蒼「好かれるって異性に?凄いじゃん」


カナじい「甘いわぃ、全部じゃ!異性同姓異性物!全てじゃ!しかもそれを発現させた奴は制御できておらんかったから周り全部に好かれまくってな。精神がおかしくなっていった。あれはすごい力じゃった」


蒼「気の毒に・・」


カナじい「見てる分には退屈せんかったがのぅ」


こわっ!(*´・ω・*)

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