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ダンジョンと組合

遅くなってすいません。


ちょっと忙しくて・・でも出来るだけ1話を長くしておりますのでご容赦を!


ではお楽しみ下さい。


感想、評価、ブックマークお待ちしております。

僕達は町をリステインダンジョンへ向かっていた。

歩いて数時間のところにあるらしい。

別に急いでないので比較的にゆっくり進むことにした。


「良かったですね。ハレンちゃんの防具にフード付けてもらえて」


「店員も驚いていたがな。縫い込める防具などなかなかないぞ」


「さすがハレン用なのです」


ハレンちゃんはあまり素顔を出すためにはいかないのでヒラヒラした防具にフードを付けて貰えてご機嫌で歩いていた。


「やはり冒険者らしき者たちにすれ違うな」


「ダンジョン帰りの人達ですかね?」


「皆様お怪我をしてる方もいるのです」


「それはそうだろうな。無傷でダンジョンから帰ってくるなど普通の冒険者は無理だ」


「やっぱりドキドキしますね」


「大丈夫だ美紅は私が守る」


「美紅様はハレンが守るのです」


「・・二人ともありがとう」


女の子2人が守って見せる発言。

今の僕はこの世界で下から数えたほうが早いくらい情けないに違いない。



「おいおいおい、お子様2人連れでもしかしてダンジョンかい?」


「死んじゃうよー」


「俺がもう一度一緒に潜ってやろーか?」


「オレオマエマモル」


「漏らしちゃってもしらねーぞ!」


「子供は見学だけにしとけよな」


「オレオマエカナラズマモル」


すれ違う冒険者達に声をかけられる。


「気にするな、からかってるだけだ」


「そうですね」


最後変な片言のが混ざってるのが気になります。



歩くこと数時間僕達は地形が変わっていくのが明らかにわかる場所に来た。

人の足跡が残る森、道がないのに足跡で道がわかる森だ。


「ここだな、この足跡を辿っていけばダンジョンがある」


「楽しみなのです!」


「ハレンちゃん凄いね、僕はドキドキするよ」


「ハレンはダンジョンに入るのずっと止められてたのです」


「言ってたな、どうせあの長老だろう?」


「それもあるのですがお婆様もなのです」


「ハスさんが?」


「はいなのです、そんな暇があるなら本を読みなさい。稽古をつけますっと」


「なるほど・・言いそうだな」


「二人ともあれ」


「ダンジョンなのです?」


「そうだ、あれがダンジョンだ」


森のかなり奥、岩にぽっかりと空いた穴。しかし自然に開いた洞窟には見えず入り口もしっかりとしている。


「なんですかこれ?入り口が掃除されたみたいに綺麗ですよ?」


「組合の誰かだろうな、捜索できるようにしているのだろうな」


「そこまでするのです?」


「組合にとってダンジョンは飯の種だ、その位はする」


「でも所属してない者が入る分には問題ないんですよね?」


「まったく問題ないな、組合が勝手にやってるだけでダンジョンは誰のものでもない。いや違うな・・ダンジョンははっきり言って魔物の物だ。主がいれば主の城だ」


「主の城・・ですか?」


「そうだ城だ。私達は今から城にはいる侵入者だ、だが人が入ってくることで主にもメリットがある」


「メリット?なんなのです?」


「決まってるだろ?餌だよ」


「餌・・」


「主のいないダンジョンで死ねば魔物に食われる、主がいれば主の配下の魔物に運ばれ主食われる。魔物とって人間は敵であり餌であり贄というわけだ。ただそれは人側にも言えるがな」


「考えると嫌ですね」


「ちょっとだけ怖いのです」


「仕方ないだろう事実だ」


「・・・後ろから足音がするな」


「美紅様、ヒルマさん。昨日のお方たちです」


「臭い?」


「なのです」


ハレンちゃんやヒルマさんが感じた通り後ろから昨日あった4人の冒険者が歩いてきた。

人族の剣士らしきリーダー、犬の獣人族でナイフを大量に巻きつけている人、大きな盾を持っている人に明らかに魔法士とわかる三角帽子を被っている4人組。


「お?昨日の子達だよ」


「偶然だな」


「俺達を待っていたのかもしれないぜ」


「それはないのでお先にどうぞ」


僕はすぐさま答えた。


「赤い外套の子は相変わらずだな、昨日よりいい格好してるし」


「威勢はいいけど本当に今なら一緒に入ってやるぜ?俺達は昨日も言ったがここの常連だ」


「ご遠慮します、お先にどうぞ常連さん」


「取り付く暇ぐらい頂戴よ」


「やめとけお前だけ嫌われてんだよリーダー」


「お前らな・・」


「違います、別に嫌いでも好きでもないだけです、お先にどうぞ」


「・・・・・」


4人に沈黙が流れる。

それでもリーダーと呼ばれる人が口を開いた。


「な、なんでそこまで敬遠するの?」


「え?だって関わる必要ないですし」


「俺達さ、本当に親切で言ってるんだよ?初めての冒険者に死んでほしくないじゃん」


「そうそう、俺らは一応見本になるブロンズの冒険者だよ?君達組合に入ってないんでしょ?だから俺達としてはそう言った無謀な人達を守るのも使命だと思ってるわけよ」


「なるほどなのです」


「お!そっちの白い外套の獣人だっけ?わかってくれた?だったら考え直して一緒に行く?」


そう言われるとハレンちゃんがヒルマさんに後ろで耳打ちしている。

それを聞いてヒルマさんがニヤリと笑った。

何を話してるんだろう?

そしてヒルマさんが口を開いた。


「お前達はダンジョン初心者が危険な目にあわない様にするのも使命だといいたいので私達を誘うのだな?」


「だからー!そう言ってるじゃん!もちろん青い鎧の・・えーとヒルマさんだっけ?君の実力も期待してるよ?」


「そうか・・なら後ろを見ろ」


「ああぁ?何だって?」


僕は4人組の後ろから筋肉質の若い男達が3人現れるのが見えた。

続いて後ろを向いて冒険者4人組も後ろから来た3人を確認する。


そしてその3人は僕たち全員と目が合い、少し気まずそうにしている。


「美紅様・・」


ハレンちゃんが今だ!と言わんばかりに僕に耳打ちしてきた。

思わず僕は笑ってしまった。

先ほどヒルマさんがハレンちゃんに耳打ちされて笑っていた内容はこれだったのね。

耳がいいヒルマさんと鼻がいいハレンちゃんでなくては気づけない情報だ。


「すまないそこの3人の冒険者の方」


ヒルマさんが今来た筋肉質の3人の冒険者に話かける。


「な、なんでしょう」


ダンジョンの入り口の前にいきなり7人も他の冒険者らしき人がいて向こうも警戒しているのか、少し動揺して返事をされる。


「貴方達はこのダンジョンは初めてじゃないか?」


「え?なんでわかったんですか?俺らは組合ランクはアイアンで1ヶ月ほど前にパーティー組んでやっとダンジョンに挑戦するんですけどなんで知ってるんすか?」


「それはよかった、実に運がいいぞ」


「な・・なにがっすか?」


「ここに組合ランクがブロンズの4人組でこのダンジョンベテランがいる。なんでもダンジョン初心者が死なないようにするのが俺達の使命だと思っているそうだ。尊い志だろう?」


「そ、そうなんですか?」


「ああ、つまりわかるだろ?初心者の君達にこの同じ組合員で先輩でブロンズである人達が一緒にいってくれるそうだ」



「おい!なに言って・・」


「マジっすか!!」


「ああ、私達も実は初心者だが都合で断ってしまったんだ、だがどうしても彼らはしつこくしてでも初心者を守りたいそうだ。私達もその願いを叶えてあげたいと思っていたところに丁度君達がきたんだ、受けてくれるかな?」


「もちろんっす」


「やったぜ!」


「これで危険がずっと減ったな!」


物凄い喜んでる、良いことしたな~。


「お、おい勝手に話を進めるなよ!」


「え?何故ですか?貴方達4人の願いを叶えてるのに?」


「俺らは君達だから・・」


「貴方達の志は人を選ぶのですか?」


「「「うっ・・」」」


「さあ君達。先輩方に挨拶をしたほうがいいぞ」


「「「よろしくおねがいします先輩方!」」」


3人の初心者冒険者が体育会系のような気合の入った挨拶を4人組に放つ。


「まったく運のいい3人組だ」


「羨ましいのです」


「応援してるので頑張ってきて下さい」


「何から何までありがとうございます!」


「さあ!行きましょう先輩方!」


「勉強させてもらうっす!」


「お、おい待てよ」


「俺達はなぁ」


「さて、大勢で入るもの邪魔ですし僕達はその辺で遅めの朝食にしますか?」


「そうだなそうしよう」


「わーい、ご飯なのです」


「3人のお嬢さん方!俺ら先輩達と踏破してみせるっす!」


「期待してて下さい!」


「うおー!!がんばるぞー!」


「ああ、頑張れ」


「頑張って下さい」


「いってらっしゃいなのです」


「さあ!先輩方気合いれて行きましょう!」


「「うおーーーー!!」」


「あああああ!くそっ!!」


「なんで俺らがこんな・・」


「おめえ等が変な事言うからこんな・・」


「暑苦しい・・」


「「「魔物共待ってやがれ!!」」」


暑苦しい筋肉を持った3人のアイアンの冒険者に引っ張られベテランナンパ4組はダンジョンに引きずられてゆく。

さようならまた会う日まで!!!


「やっかい払いができたな、ハレンの鼻で来るのがわかったんだ」


「ヒルマさんがあの3人の会話を拾ったのです、初挑戦だ緊張するなって」


「なるほど、さすがです2人共」


「面白かったなあいつ等の顔」


「悔しそうだったのです」


「自業自得ですけどね、でも失礼ですけど笑っちゃいました」


「失礼なんかじゃないと思うぞ。では私達は本当に食事をして暫く時間を置いて出発だ」


「おー!」


「おー!なのです」



朝食を食べながら雑談をして目線をダンジョンの入り口に向けていると何人もの冒険者がダンジョンに入っていくのがわかる。みんなとても強そうな装備をしている。

そして周りにはテントとわかる物も多々あった。


「本当にダンジョンって凄いんですね」


「ハレンも驚いたのです」


「確かにな、このダンジョンは踏破されてないので賑わっているな。恐らく名を挙げようとする冒険者達だろうな。多少情報と違うじゃないか・・人気のあるダンジョンだ」


「踏破ですか~」


「でも人がいっぱいいてくだされば攻略も楽になるのです」


「その通りだな、分け前は減るがな。さてそろそろ私達も行こうか」


「はい」


「おー!なのです」


ヒルマさんの合図で僕達はダンジョンに足を踏みいれた。

ダンジョンの中は比較的に明るかった。

光を灯さなくても勧めるくらいに。


「わかっていると思うが360度気をつけておけ。天井に張り付いてる魔物や壁に偽装してる魔物もいるからな」


「はいなのです」


「わかりましたって魔物いませんよ?」


「当たり前だろう、入り口付近なんて私達より先に入った奴等が倒してしまっている」


「なるほどなのです」


「あの~?ゴブリンとかって出ます?」


僕は勇気を持って聞いた。自分の勝手な知識で恥をかいたこともあるので実はあんまり聞きたくないのだ。


「ゴブリンか?いるにはいるがダンジョンにはあまりいないぞ?」


「そうなんですか!?」


「奴等は亜人の部類だ。魔物にも分類されることが多いが地上でも生活は出来るからな、オークとかな、ダンジョンにいるのは異形や奇形が多い、ちなみに美紅、聖獣というものもいるのでそいつ等は地上にいるぞ?たまにダンジョンにもいる」


「聖獣ですか?凄そうですね」


「代表されるのは神聖なドラゴンとかなのです美紅様」


「べ、勉強になります」


やっぱり知らない事だらけだ!


「そ、その聖獣は倒していいですか?名前からして尊い感じがするんですけど・・」


「難しい質問だな・・地域によって崇められている奴等もいるしな。倒してもいいかもが強さが圧倒的だぞ?逆に魔竜とかもいるしな。大抵はに逃げるしかないんじゃないか?私も1度飛んでる竜を見たことがあるがアレはあまり戦いたくないな」


「ハレンも小さな竜様なら村の上空を飛んでいったのを見たことあるのです!」


「二人とも羨ましいです。僕もちょっと見てみたいです」


「いつか見れるさ、一緒に2人で見に行こう」


「なんでそこでハレンをのけ者にするのです!」


「お前は見たことあるだろう?」


「ヒルマさんもあるのです!」


喧嘩はもう慣れましたけど一応ダンジョンなので声を小さくお願いします。



「来たな」


「何か来るのです」


「え?音や臭いがするの?」


「ああ」


「はいなのです」


便利すぎる!そしてついにまともな初ダンジョンで出る魔物!きっとスライムだ!ぷるるん!


「グレースネークか、お約束だな」


「これがグレースネークですか、はじめて見たのです」


長さ2メートルくらいの太い灰色の蛇でした・・スライムは?


「毒ももってないタイプだな。頭を潰せば終わりだ」


「了解なのです」


そう言うとハレンちゃんは天井に届きそうなくらいジャンプしてグレースネークの頭に着地・・踏み潰しました・・あら頼もしい。


「やったのです!」


そこには2メートルの蛇の上で両手を上に挙げて可愛くポースを取る小さな子虎の獣人がいましたとさ。


「やるなハレン、そいつの皮はたしか生活品の素材になるから取っておくか」


「わかりました」


「了解なのです!」


「よし剥ぐぞ!」


「え?」


剥ぐの!!!?


倒したらこう・・都合よくドロップ品の剣とか持てる位の素材が都合よく出たりレベルアップの音楽が頭に流れる・・そんな風に考えてる時代が僕にもありました。

現実はそんなに優しくありません、皮を剥ぎ丸めて用意した皮袋に小さくして詰める。

そんな生々しい作業だ!!!


「魔物の肉は食べれないんですよね?」


「基本はな、さっきも言ったがダンジョンに住み着いてる魔物とは言えない生物もいる。そう行った奴らの肉は食べれることがあるな、滅多にいないが。だから食料は大事だ」


「大事なのです!」


「ハレンが言うと重く感じるな」


「どういう意味なのです!」


「たくさん食べるという意味だ」


「心外なのです!!」


この二人は言い争わないと前に進めないのかな・・でも最近思うけどハレンのお陰でヒルマさんが僕といた頃より柔らかく感じる。いや・・僕といた時から変わってないんだろうけど僕と二人っきりの時はなんというか僕に気を使って頼りがいのある人を演じてくれてる感があった。

そういう意味では感謝してるけどこうしてハレンちゃんと言い争ってるヒルマさんがもっと自分を出してくれたヒルマさんなんだなと感じることができる、なのでハレンちゃんには感謝しないと・・。


そう考えちゃうと僕は思う。もしかしてこの中で一番自分という物を表に出してないのは僕なのでは?っと・・・。


「ハレンいい加減にしろ、ほら複数の音がするぞ」


「ヒルマさんが先に挑発したのです!それに気づいてるのです!」


僕全然気づかなかったよ?喧嘩してる二人より遅いとか・・僕一人だったら不意打ちされてこれ終わりじゃない?


「大きい蝙蝠の大群が迫ってきてるんですけど・・」


「グレートバットの大群だな、無駄に回避能力が高い奴らだ」


「ああ、超音波で避けるんですね」


「超音波ってなんなのです?」


あ・・こっちの人は知らないか


「グレートバット?が避ける時に使う方法みたいな技だよたぶん」


「さすが美紅様なのです」


「おしゃべりはあとだ、美紅どいてろ。剣で倒してもいいがめんどくさいので一気にやる」


そう言うとヒルマさんの手から雷撃が前方に放たれる。


そこには大量の漕げたでかい蝙蝠の死体があった。


「臭いのです」


「こいつ等は羽はたしか塗り薬の素材になるらしいが売っても安値だし荷物の無駄だな」


「そうなんですか」


って僕何もしてない!ダンジョンに入ってから役に立ってないよ!?


「よし、このまま進むぞ」


「はいなのです」


「・・・はーい」


蒼ちゃん、女の子2人に守られる男の子ってどう思いますか?


『美紅だしね』


あれ!?今蒼の声が聞こえた気がした!幻聴!?暫く会ってないから幻聴を聞いちゃったの!?



「どうした美紅?いくぞ」


「美紅様進むのです」


「あ!ゴメンなさい、今行きます」


結局地下3階あたりまではスムーズに進めた。

出てくる魔物も大したものはいなかった。

僕もやっと剣を使って倒したのは大きなカエルのような魔物でジャンプしてマヌケにも天井にぶつかって落ちてきたのを一突きにしたくらいだった・・拍子抜けすぎる!


先に入った冒険者ともすれ違ったりもした。

やはりまだ弱い魔物が多いのかそんなに疲れている人や怪我をしている人もいなかった。


「やはり地下3階ぐらいでは雑魚ばかりだな」


「そういえばここってどの位下まであるんですか?」


「たしか情報では13階までは行った奴がいるとか言ってたな?」


「それって入り口であったブロンズの方々なのです?」


「そんなわけないだろう、あれが最高記録保持者だったら笑ってしまうぞ?」


「たしかのあの人達が最高記録だったらちょっと嫌ですね」


「塗り替えたくなるのです」


「今日は様子見だ時間も限られているもう少し経験して戻ろう」


「はい」


「はいなのです」


結局僕達は7階まで行って戻ってきた。

最初からヒルマさんは僕とハレンちゃんが慣れる為に経験を詰ませると言って初日はすぐ帰る予定だといっていたし。

それにある理由から僕達は町に戻ることになっている。


「しかしこれってどうなんですか?素材がたくさん過ぎて下に行くほど持ち物が増えるって」


「たしかにいっぱいなのです」


「上級者になると安い素材は取らないでいくな」


「もったいないけど一攫千金を狙うならそのほうがいいかもですね」


「とりあえず素材を売りに行くぞ」


組合の素材交換所は別になっていて組合の建物の横にちょこんと建っていた。


「やはり買い叩かれたな」


「おいくらになったのです?」


「えっとね、量はあったけど安い素材ばかりだったしね。21万ほどかな」


「結構大金な気もするのです」


「1日かけて3人でこれなら普通はは多いほうだ。実はこれは組合に3割引かれた値段だ。組合に所属してないというだけでここまで引かれるんだ」


「なんか納得いかないですね」


「組合は所属するものを増やしたいからこういう方法を取っているのだろうな、所属してくれればもっとお得ですよ?という感じだな」


「組合以外で売る方法はないのです?」


「あるにはあるがコネがないとな、町に着たばかりの余所者の私達にはそんなコネはない。商人組合にでも売れるが結局あっちでも加入してなければ一緒だ」


「なんですそれ?」


「教えて欲しいのです」


「ん?商人組合は文字通り商人の組合だ。商売をするにあたって入っておくと品物の情報や流通が楽になるからな、商人にとって情報は命だ」


「うーん・・ヒルマさん僕たちもその組合は入れませんか?」


「美紅は商人になりたいのか?」


「いや、冒険者組合と違う団体なんですよね?」


「そうだな、互いに協力はしてるかもしれないが直接の関係はないと思うぞ?私もそっちはあまりくわしくないんだ。すまないな」


「なるほど・・」


「美紅様?」


「やっぱり登録しましょう」


「何か考えがあるのか?」


「はい、別に商人の組合に登録しても商店や店を構える必要なんてないですよね?それにその組合なら素材も冒険者組合で安く売るより高く買い取ってもらえますし、何より冒険者みたいに強くなっても目立つ必要がないじゃないですか。儲けてる商人だからって顔を知ってるとかないと思うんですよ」


「その手があったか・・」


「凄いのです美紅様!」


「詳しくは聞いてみないとわかりませんけど、組合に直接いい素材を売る為に登録したいってのが通るかですけどね、他にも色々確認したいですけど」


「よしまだ時間もある、な場所を聞いてくる。待ってろ」


よし!冒険者組合は目立つのが嫌なので僕達は商人組合だ!え?商人になるわけじゃないよ?



「・・大きい建物ですね」


「冒険者より儲かってそうなのです」


「たしかに・・な」


ちょっとドキドキしながら僕達は建物に入っていた。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょう?」


口ひげを生やしたダンディーなおじさんが迎えてくれる。

執事?ねえ!執事なの?


「えっと少し聞きたいことがあってですね。その答えによって組合に登録したんですが」


「なるほど、わかりました。こちらの部屋にどうぞ」


なんか豪華な部屋に通されました!緊張する!


「お飲み物どうぞ」


「ありがとうございます」


「感謝する」


「ありがとうなのです」


僕たちがお礼を言うと目の前のダンディーなおじ様が口を開いた。


「さて、聞きたいこととはなんでしょうか?」


「えっとですね、まず組合登録って誰でも出来るんですか?」


「勿論ですとも、商人になるのは自由でございますから・・しかし!審査はさせていただきます」


「審査とは?」


「犯罪歴の有無ですよ」


「なるほど当然だな」


「細かく説明いたしますと、商人組合に登録するのはその商人のメンバーの数、代表者のお名前、犯罪歴の有無、簡単に何を取り扱うか、これは本当に簡単に言って頂けるだけでいいです。あとから扱うものや方針を変えるものもたくさんいますので。そして最後に登録料ですな。これらが全部通ればこちらで許可を出し組合員として迎え入れます」


「わかりました、もう1つ2つ聞きたいんですけどいいですか?」


「なんなりと」


「組合員になった場合顔を出す必要はありますか?」


「不思議な質問をなさる、そうですね・・大商人・・とまで行かなくてもそれなりに商人として大勢すれば顔を出すことも増えてきます。ですがそれも自由なことも確かですよ、人見知りで顔を出したくない者などたくさんいらっしゃいます」


「なるほど・・次はこちらの商人組合に入った場合身分証にはなりますか?実は1人身分証が必要でして」


「勿論でございます、私どもは各国各地に支部を置き、聖堂や冒険者組合と同じく信用を得ておりますので組合に入っていただければそれ自体が身分証になります」


「よかった・・」


「そうか、すまない気づかなかったハレンの分だな」


「そうです」


横でハレンちゃんはクエッションマークを浮かべている。


「すいません、もう1つだけいいですか?」


「どうぞ」


「貴方達は口は堅いですか?」


「どう言った意味でしょう?」


「すいません、失礼かも知れませんがこっちも事情がありまして登録するに当たってあまり口外されたくない者もあるのでできればここの責任者の方だけにお話したいのですが」


「なるほど・・それなら問題ありませんな。私はここリステイン商人組合の組合長のダッシムと申します。以後お見知りおきを」


「え?そんな偉い人がなんでいきなり来た僕たちを!?」


「丁度私が入り口にいたという単純な理由ですな」


「そ、そうなんですか、あ!僕は美紅と言います」


「ヒルマといいます」


「ハレンなのです」


「美紅様にヒルマ様にハレン様ですか、では失礼ながらこちらからも質問をよろしいでしょうか?」


なんだろう?


「えっと、どうぞ」


「貴方方は見たところ冒険者見えますが冒険者組合に所属はしてらっしゃるのですか?」


「いいえ、してませんし、する気も在りません」


「なるほど・・なぜ商人組合に所属しようと?」


「理由は1つです、僕達は旅をしています。これから色々な場所で魔物とか色々な素材を稼ぐつもりです。しかしある理由で冒険者組合には所属したくないの理由です」


「ある理由とは?」


「3人とも目立ちたくないのです」


「ふはははは!失礼しました。面白い理由ですね、たしかに冒険者は偉業をなしたりランクが上がると本人の意思とは別に噂されて嫌でも目立つ事になる。看板冒険者となって紹介されたりしますからな!しかし商人ならいくら上に言っても名前だけう売れるだけで顔までほかの者は見たいとは思わないですな!」


「その通りです」


「目立ちたくない理由を聞いても?」


「お話してもいいですがそれは僕たちを組合に所属させて貰えるのと交換でお願いします」


「わかりました、では身分証を持っている方は身分証をお見せいただけますか?先ほどの話だとお一人以外はお持ちのようなので。それで犯罪者などの通達に入ってないかは多少わかりますので」


「どうぞ」


「これが私のだ」


「えっと・・」


「あ、ハレンちゃんはいいからね」


「はいなのです」


「ほう!これはすごい!美紅様のは聖堂支部長直々の印が押してある身分証とは!」


「え?」


「なかなか素晴らしい物をお持ちで、この時点で資格をあげてもいいくらいですな」


え・・それってそんないい物だったの?スラビーさんにもらったのに、てかあの人って副聖堂長じゃ?今聖堂長って言った?あ!グラブがいなくなって聖堂長の席が空いたからか!


「登録都市は・・オストピア!?」


「・・・はい」


「よく貴方のような小柄な女性があそこの町でこの様な身分証を・・よほどのコネがあると見ました」


あーやっぱり知ってるのね!メスに優しくない町オストピア!あと僕は男・・じゃないやあそこじゃ女の子のフリしてたし・・。


「運が良かったんです」


「それでも大変だったでしょう」


はい・・物凄く・・舌打ちがトラウマになる位には!


「少々お待ち下さい、少し席をあけますので」


そう言うとダッシムさんは部屋を出て行った。


「あのハレンちゃん」


「なんです美紅様?」


「たぶん登録にあたってダッシムさんにはハレンちゃんの顔を見せると思うけどいい?ヒルマさんは身分証持ってるし顔を見せる必要はないと思うけどさすがにハレンちゃんはこれから身分証必要だし」


「構わないでのです、ハレンもずっと隠してるわけにいかないのでわかっているのです」


「出来るだけ見せないほうがいいのは確かだがな、でも外で生きていくには避けられないこともある」


「なのです」


「ありがとう」


「お礼を言うのはハレンなのです、お気を使わせてしまって」


「気にしなくていいよ」


「お待たせしました」


ダッシムさんが扉を開けて戻ってきた。


「美紅様とヒルマ様、問題ありませんでした」


「そうですか、では登録させてもらえるのですか?」


「そうですね、こちらとしては問題ないと判断いたしました・・が」


「が?」


「先ほどのこちらからの質問ですが失礼を承知でもう一度お聞きします、なぜ目立ちたくないかお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「質問を質問で聞き返すようですがそれは言わないと登録できないですか?」


「いえいえ、その様な事はございません。正直に申しますと貴方達のような魔物の素材を持ってここに売りに来てくださるという方は貴重でございまして、普通の冒険者は冒険者組合に所属してダンジョン石も聖堂所属の換金所やそのまま組合に売られます。私共はそこから買取を流通させて儲ける形のほうが多いのですよ。それが組合に所属せず直接持ってきていただける方が増えるならむしろこちらからお願いしたいくらいなのですよ」


「なら別に言わなくてもいいだろう?」


「そうですね、ですが・・商人に大切な物は信用!情報!助け合い!です残念な事に3つ目の助け合いはよく金銭が絡む事が多いのですが・・それでも私は信用と大切にしようと思っておりますので貴方方を信用させて欲しいのです」


「そうですか、僕もそう思います。ハレンちゃんいいかな?」


「はいなのです」


僕がお願いするとハレンちゃんは深く被っていたフードを取った。


「これは・・これは・・」


「これでいいですか?」


「結構です、理由がわかりました。美紅様も取っていただいても?」


「いいですよ?僕は普通ですよ?」


僕も外套のフードを取る。


「・・それで普通と仰ったら道を歩いてる女性の方々に斧を持って襲われますよ?」


え?世の中ってそんな物騒なの?


「悪いが私は見せないぞ?」


「結構です結構ですとも、正直ハレン様を見れただけでもとても驚きました」


「わかるんですか?」


「ええ勿論ですとも、希少種でしょうか?他の獣人にはない神々しさが感じられます」


「そんな感じです」


「お、お褒めに預かり光栄なのです」


ハレンちゃんが顔を赤くして照れている。


「ただの子猫だぞ?」


「ぷー!!」


ハレンちゃんが頬を膨らませてヒルマさんを威嚇した。


「ご冗談を私は商人です、見る目はあるつもりです。色々な獣人の方々を見てまいりましたが色や艶・・見たことがありませんし、猫ではないのもわかります」


「商人さん凄いのです!」


あ・・やっぱり猫に見られるの気にしたのね。


「あの~この事は」


「勿論です、私だけの秘密にして口外しないと約束しましょう。商人は先ほども言ったとおり信用第一でございます。ではこの紙に商人として登録される3人のお名前を記載して下さいますか?」


「はい」


「わかった」


「はいなのです」


「あ、そうです。代表者と商店名はどうなさいますか?」


「代表者はわかるんですけど商人名って?」


「商店名とは取引に使うときのお名前ですね、例えば美紅様が出している商品を欲しいと仰られる方がいらっしゃる場合に連絡に使ったりする名前です。これは○○商店の品ですとかですな」


「どうしましょうか?」


「代表者は美紅でいいと思うぞ?こう言ってはなんだが代表者は取引のときに顔を見せる事もあるのだろう?」


「そうですね、目立ちたくないのはわかっておりますが最低限だしていただきます。顔を見せない者を信用できないという者もおりますので」


「ならこちら出せるのはすまないが美紅ぐらいだ。美紅お願いできるか?」


「美紅様お願いします」


「わかりました。ダッシムさん僕が代表で」


「承知しました、代表者美紅様・・商店名はどうなさいます?」


「えっと・・」


それが一番難しいんですけど!


「美紅が決めていいぞ?」


「美紅様どうぞ?」


「なんでもいいですか?」


「ああ」


「はいなのです」


じゃあ・・。


「蒼の で!」


「蒼の でございますね?では蒼の商店で登録いたします」


「お願いします」


「なぜ蒼なんだ?」


「思いつきです」


「ハレンは美紅様が決めたならそれでいいのです」


「ありがとうね」


「お待たせしました。こちらが商店登録証と3人分の商人組合の身分証です。ハレン様はこれが身分証になりますので無くさない様にお願いします。無くした場合再発行にお金がかかりますので」


「あれ?あの~登録料はいくらでしょう?」


「いりません」


「どういうことだ?」


「ささやかな先行投資をさせていただきます。珍しい物や可愛いものも見せていただいたので」


可愛いものってハレンちゃんの事だよね?まさか僕はいってないよね?


「いいんですか?」


「はい、勿論です」


「ありがとうございます」


「感謝する」


「ありがとうなのです」


「それでは蒼の商店ご一行様、リステイン商人組合での組合員登録ありがとうございます。改めてよろしくおねがいします」


「「「こちらこそ」」なのです」」





そして僕達は目立ちたくないという3人一緒の理由で冒険者組合には入らず商人組合に入り商人になった。



蒼「ねぇ?地球の神様ってどんな姿なの?」


カナじい「ババアじゃ!」


蒼「いや・・姿ね姿!ババアじゃわからないから!」


カナじい「派手ババアじゃ!あと香水つけまくりのババアじゃ!」


蒼「なんで頑なにババアを主張するの??」


カナじい「向こうもわしをクソジジイ呼ばわりしておるのでいいんじゃ!」


蒼「それカナじいがババア呼ばわりしなきゃ向こうも変えてくれるんじゃ」


カナじい「断るわぃ!」


蒼「ねぇ、マジで何があったの???」


そのうち書くかもね(*´・ω・*)

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