閑話(奏視点)
今回で3部は終わりです。
すみませんがストックを作るためにお時間を頂くかもしれません。
ではお楽しみ下さい。
この大聖堂に来て1ヶ月近くが立った。
オーキラス大聖堂。
最初はこの世界に送られてきた理不尽に思ったりして焦ったけど未知の知識や色々なことを知るのは悪くないと最近思い始めた。
ここの職員の人も親切な人ばかりで快適な暮らしを送っているといっても過言ではないと思う。
人見知りする妹もなんだかんだで馴染んできている。
最初は正直心配だったね。
ここに送られた12人のうちの3人が何をしでかすかわからないからね。
でもここの大聖堂長のバーザルさん。
この人が連れてきた人がとても優秀な人でなんとか3人組を押さえつけている。
ボク達が面倒を見なきゃいけないと思っていただけにとても助かる。
ボク達はボク達で覚えることややることが結構あるので正直なの3人には構っていられないんだ。
「奏ちゃん?ちょっとよろしいかしら?」
話しかけてきたのは副生徒会長だった木葉さん。
もうかなり仲良しになってきていると思う。
「なんでしょうか?」
「生徒会長・・いえ桃倉君が聞きたい事があると言うので呼びに、あら?慧ちゃんはいないのかしら?」
「慧ならずっと図書館だよ、あれは本が大好きなんだよ」
「またですか、よく飽きないものですね」
「うん、読んじゃいけない棚にある本を読もうとしてバーザルさんに怒られてたよ」
「それは大変でしたわね」
「それで生徒会長はなんの用なんだい?」
「ええ、ギフトが今だによく分からないらしくてアドバイスをしてほしいと」
「はぁ・・何度も言ってるのに、あれは個人個人まったく違うからアドバイスしても無理だと」
「それでもまさかあんなのが発現したら驚きますわ、私だってギフトは攻撃とか相手を傷つける者だとばかり思ってましたもの」
「魔法とは違う力・・か、ボクも驚いたのは確かだけどね」
「奏さんとわたくしはもっと大変ですしね」
そう言って木葉さんは含み笑いをする。
何を思っているが大体わかるがこっちの苦労の身にもなってほしい。
「魔法の事?」
「ええ、魔法があそこまで仕える方が少ないとは思ってませんでした。魔法の世界というからには日常かと思ってましたのに」
「日常だろ?努力すれば仕えるようになるって言ってたし」
「でもそれは威力も格段に低いとか、元から才能がある人に比べるとかなり劣るらしいですし」
「言ってたね、僕たち12人で調べた結果仕えたのは4人のみ、3分の1というわけだ」
「それでもバーザルさんは物凄く驚いてましたね」
「いかに最初から仕える人が少ないかとを熱弁されたね。僕はその話より3人組で1人適性があったことのが心配だったよ」
「・・鶴川君ですね」
「ああ、なんの魔法特性かは未だに言おうとしないけどね」
「彼1人だけギフトも魔法も隠してますよね、一体何故でしょう」
そう、アレからギフトの方は言わない人言う人に分かれた。
全員発現を確認して、恐らく理解したんだ。
言っても不利になるかならないかを。
ボクのギフトは言っても全然問題ないギフトだったけどね。
妹はあまり言わないほうがいいと思ったので内緒にさせている。
「それはわからない。考えて隠しているのか・・それともただの馬鹿なのか」
「馬鹿・・否定できないのが可哀想ですわ」
ちなみに魔法適性があった4人はここにいるボクと木葉さんと妹だ。
妹の慧はギフトより魔法に興味があるらしく文献を漁って色々調べている。
ここだけの話、妹のギフトもオリジナルの魔法系だったので妹は完全な魔法士というわけだ。
二人で長話をしながら歩いているうちに訓練場についた。
訓練場は2つある、攻撃魔法や攻撃系のギフトを使える様な大きい闘技場のような場所。
個人的に1人で使いたい場合の小さな訓練場がある。こちらは予約というか事前に言わないとダメみたいだけどね。
「あ!奏君来てくれたか!」
「生徒会長、何度も言うがボクに聞かれてもダメかと思うんだけど」
「こっちも何度も言うがその生徒会長はやめて名前で呼んでくれよ、そもそも僕は生徒会長なんてしたくなかったんだ」
「わかったよ桃倉先輩、で?今回は何が聞きたいんだい?」
「先輩もいらないのだが」
「それを言うならわたくしもですわ、さん付けじゃなくてちゃん付けで呼んでと何度もお願いしてるのに!」
「二人とも年上だから敬意をはらっているだけなんだけど・・」
「異世界に来てまでそんな事を気にする必要はないと思うよ」
「そうですわ」
そんな事を言われてもこれがボクの性分なのでなかなか治せないのだけど・・。
「まあそのうち頼むよ、聞きたいのはこのことだ!僕のギフトだけど攻撃にも使えると思うんだ!どうだろう!」
「無理だと思うな」
「はぁ・・またそんなことをたぶん無理ですわ」
「そんな二人して否定しなくても・・」
「桃倉君、貴方のギフトでどうやって攻撃をするの?そんな事で奏ちゃんを呼びつけるなんて」
「いや、奏君なら何かアイデアがあるかと」
「桃倉先輩、貴方がこっちに来てせっかくだから僕は冒険者になろう!とか言い出した時はギフトや魔法のともわかってなかったし賛成も応援もしました。でも今は悪いけど無理だと思います」
「そうですわ」
「うぐっ、僕はやっぱり冒険者は無理なのか」
ガクッとうなだれる桃倉先輩。
完全に文系で運動が苦手の彼はこっちに来て地球では出来ないことに挑戦したいと言い出した。
いいと思うと僕や木葉さん慧や他のみんなもその意思に賛成した。
でもギフトが発現して魔法が仕えないとわかったらその応援もやめた方がいいに変わった。
「そもそもですわ!いい加減現実を認めてギフトを正当な方向に使うべきですわ!」
「その通りだ、桃倉の先輩のギフトはバーザルさんを始め職員の人は大絶賛だったじゃないですか」
「確かにそうだったけど・・」
「聞いた話によれば貴族や王族に桃倉先輩のギフトを言えば遊んで暮らせるって言ってなかったかな?」
「私なんて貴族と結婚できるぞあの『風』の人は!とか噂をしてるのを聞きましたわ」
「それは凄いかも、ほら桃倉先輩。先輩のギフトで魔物なんか攻撃しても相手が喜ぶだけですよ」
「いえそれは違いますわ、もしかしたらフラフラになるかも・・でも周りも臭いで迷惑なので困りますわね」
「言いすぎだよ!二人とも!」
「現実を見ないからですわ」
「でも桃倉先輩の行動は尊敬できるものでした、リスクを省みずに『僕がまずギフトをみんなの前で発現させるので怖がらずにみんな頑張ろう!』って言った時はみんな大絶賛でしたよ」
「その後・・笑いに変わったのは同情しますわ」
「慰めなんかいい!想像できるかい!?手からお酒が出るなんて!!」
「できない・・ね」
「あの時は驚きましたわ、わたくし酔うというのを初めて体験いたしましたわ」
「何が名前を知れば自ずと力だよ!『はっこう』ってこっちの文字で書いてあったら普通発光とかだと思うだろ!」
「発酵だったね」
「発酵でしたわね」
「お酒でどうやって戦えばいいんだよ!戦えるわけないじゃないか!」
「分かってるならあきらめなよ」
「そうですわ、あれから出せるのはお酒なだけで素材に触れば色々な物が発酵できるとわかったのでしょ?もしかしたら桃倉君はこの世界で一番貴重な存在かもしれませんわ。触るだけで発酵食品ができるんなんて」
「二人に僕の気持ちはわからないさ・・」
「気持ちはわからないけど前向きに考えたほうが僕はいいと思うね」
「ええ、色々なお酒を出した時のこっちの世界の人の反応は素晴らしかったのですし」
「僕はお酒のサーバーか何かかい?」
「発酵食品人間・・ですわね」
「でも桃倉先輩のお陰で生産系ギフトがあることが分かったし」
「・・お役に立てて良かったよ」
桃倉先輩は落ち込んでいるけど他にもいろいろな人がいた。
木だけどんな形にも曲げれる人、熱でどんな物でも沸騰させる人や変わったのはネズミになれる人なんてのもいたし、オリジナルの魔法なのに使えないと言っていた人いた。たしか毒を30秒無効できる魔法がかけれるとか・・そういう人も何度が試してるうちに時間とかが延びてきてるらしいけど。
「桃倉君は贅沢なのですわ、他にもがっかりした方はいらっしゃいますし」
「そういった人も何かしら使い道を考えてこちらで生きていく為に元からあった知識をここの人に話して自分の道を決めていこうとしてるんだよ?」
「わかっているさ、でもこのままじゃ僕は宴会用のお酒人間だ」
「こちらにないお酒も出せるのだしいいんじゃないかな?ビールを出した時のあの驚きと言ったらなかったし」
「あんまり変わらないじゃないか!」
「それが贅沢なのですわ」
「君達はいいさ!戦闘向きだから!」
「わたくしは戦闘向きじゃないですわよ?完全に戦闘向きなのは奏ちゃんと慧ちゃんぐらいですわ」
「でも木葉君が一番この聖堂で崇められてないかい?」
「確かにそれはあるね」
「回復魔法にギフトまでオリジナル魔法じゃないのにそっち系じゃないか!」
「そんなに責められても・・わたくしのせいじゃないですし」
「神様も言ってたじゃないかギフトはその人の魂の資質みたいな事をだから木葉さんは回復系なんだよ」
「じゃあ・・僕の魂はお酒好きかい?」
「かもしれないね」
「・・・実家がたしか大きな酒屋じゃなかったかしら?」
「実家は魂に関係ないだろ!たしかに継ごうと思ってたさ!こっちに来てまで魂までお酒じゃなくてもいいじゃないか!」
「だからボク達にグチられてもどうしようもないよ、戦闘には向かないとしか言えない」
「ですわね、わたくしのギフトだって戦闘向きじゃないですし回復魔法ならお役に立てますけどね」
「でも木葉君は冒険者になれるだろ?」
「・・・奏ちゃんから誘われてはいますわね」
「やっぱり・・」
「ボクは色々見てみたいし探すものもあるんだ。魔法も使えるし丁度いい、剣術というか薙刀だけど多少覚えもある、慧も魔法士だしね。あとは回復役がいるといいと聞いたので木葉さんを誘ってるだけだよ。強制してるわけじゃない」
「お酒役はいらないかな?」
「・・・ゴメンいらない」
「・・お酒役ってなんの役にたちますの」
「やっぱりか~~!」
「そういえば桃倉君はお城の舞踏会に呼ばれてるとか言ってませんでした?」
「ああ・・でも君達もだろう?」
「ボクは断った」
「わたくしもですわ」
「何故だい!?僕はもう強制みたいな感じでバーザルさんに言われたよ!?」
「ギフトのせいだね」
「ですわね」
「そんな~」
「バーザルさんも言ってたじゃないか。桃倉君のギフトは『風』の皆と王族や貴族との架け橋になるって」
「お酒で架け橋ですか、なんというか微妙ですわね。期待してますわ」
「・・任せてくれ、なぜ僕は奏君みたいなカッコイイ風の魔法とか使えなかったんだろう」
「ない物ねだりはもうやめてほしいすわ」
「そうだね、相談というから来たのにグチばかりは困る」
「すまない」
ドンドンドン!
個人用である訓練場のドアを叩くものがいる。
一応秘密を守れるように鍵がかかる仕組みになっているらしい。
「誰かな?」
「どなたですの?」
「私です、バーザルです!少し来ていただけないでしょうか!闘技場まで!」
「どうかしたのですか?」
「あの3名が騒ぎを!」
「えええ」
「あの人はいないのですか?」
「今ちょっと出てまして、すいませんがお願いします」
「はぁ・・わかりました」
「行きますわよ、桃倉君」
「僕は役に立たない気がするんだけど」
「なに言ってますの、いざとなったらお酒ぶっかけて酔わせてしまいましょう」
「木葉君こっちに来てから性格変わったね」
大闘技場、大聖堂の隣にある大きな訓練施設だ。
魔法が使える者や武術を磨きたいものが使う場所。
個人の訓練場と距離が離れていないせいでそこにはすぐ着く。
だけどそこは・・火の海だった。
「見てよ!鶴ちゃん俺のカーペット!こんなにでかく出せるようになったよ!」
「すっげ~!仙ちゃんやっべ~!」
「たくっ!あのクソデブがいると力を制限されるからな、今のうちに本気で練習しとけよ」
「鶴ちゃんはやらないの?そろそろ俺らにも見せてよギフト、魔法は見せてもらったけどさ」
「そうだよ~!ギフト見せてよ~!カッコいいんでしょ~?」
「そ、そのうちな!魔法はお前らがしつこいから見せてやったんだ!それでいいだろ!」
「楽しみにしてまーす!」
「3人ともお止め下さい!その様な力を使われてはここは皆で使う場所です!」
「うるせー!俺のカーペットの最大威力を測ってんだ!黙ってろ!」
「にしてもすげーな仙田、お前のギフトは当たりだぜ。このデカイ闘技場半分が火の海だぜ!」
「あん??」
「あれあれ~」
「俺のカーペットが!!」
火の海だった闘技場に煙が上がり火が沈下していく。
「まったく君達は、慧をわざわざ呼びに行くこっちの身にもなってくれ」
「慧ちゃんごめんなさいね、あの3人に関わりたくないってずっと言ってますのに」
「・・・木葉ちゃんが謝る事じゃない」
自分のオリジナルの魔法が消されたのが悔しかったのか仙田君が叫んでいる。
「俺のカーペットォォォォ」
「一体どうやってあの火の海を消したの~?」
「見てなかったのか人志?水だろたぶん奏さんの妹の奴は水の魔法を使いやがった」
「あ!なるほど!じゃあこうすればいいわけだ!」
「カーペット!」
「なっ!奏君あれ!」
「大量の水ですわ!」
「やれやれ、カーペットというのは火だけじゃいわけか」
「すごいっしょ!俺のカーペット!火の敷物に水の敷物!2種類の敷物を操って敷くことが出来る!形も自由自在!空でも飛ばない限り対処不可能!」
「仙ちゃんやっべ~」
「おい、次はどうすんだ?奏さんよう」
その挑発を聞いて慧が前に出ようとする。
「いいよ慧、僕はやる。こんな奴らに慧の力をもう見せる必要はないよ」
そう言って僕は手を前に出すと・・。
「あ?あれ?なんで水がこっちに!?」
「おい!仙田!しっかり操作しろ!」
「してるよ!ちゃんと向こうに敷くように縦に長くなるようにしたよ!」
「せ、仙ちゃん解除~!このままじゃ俺らがやべ~よ~!」
「遅いよ」
そして大量の水に飲み込まれる3人組。
そのまま激流に飲み込まれて大闘技場の壁にぶつかる」
「ごほごほっ何しやがった!」
「俺泳げないのにヒドイし!」
「水着もって来ればよかった~」
あの状況で水着はあっても意味ないだろう。
「すごいですわ、奏ちゃん」
「・・お姉ちゃん流石」
「今のは風で水を押し返したの?」
「そうだね、うまく言ってよかったよ」
「はぁぁ?風そんなの使えるなんて聞いてねえぞ!」
「鶴ちゃん、俺水の飲みすぎで死ぬかも」
「仙ちゃんしっかりしろ~!」
「うるさい3人とも迷惑をかけるな」
「ふざけるな!こっちはあいつのせいでストレス溜まってんだよ!てめーらのせいで俺らのここの生活は最低なんだよ!!」
「・・・自業自得」
「ああ!いまなんつった!」
「貴方達のそんな態度のせいでそうなったのですわ」
「君達が暴れたりしないと言えば僕達みたいな待遇になるのにそれをしないのを僕たちのせいにしないでくれ」
「酒野郎は黙ってろ!!!」
「酒・・」
桃倉先輩はそう言われると目に見えて落ち込んでいく。
あの3人より桃倉先輩の力のほうが100倍くらい役に立つのに。
「・・お姉ちゃんあの3人やっていい?」
「慧は絶対やりすぎるからダメだ」
「・・・はい」
「け、慧ちゃん落ち込まないで奏ちゃんは慧ちゃんの為を思って言ってるのですわ!」
そう言って慧を撫でる木葉さん。
どうやら木葉さんは慧を気に入ってるようだ。
「おい人志!やれ!」
「あいよ~!サンインパクト~」
人志君が叫んだ瞬間、辺りが光に包まれた。
「なんですのあれ?」
「なんだろう?」
「こっちが眩しいのは一瞬だったね」
「・・・でも向こうはずっと光ってる3人組のところだけ」
「どうよ~俺のギフトのサンインパクト~!俺を中心にしてずっとばーと光り続ける魔法よ~!すごいっしょ!望み通りの魔法とか俺すげ~!」
「望み通り?」
「・・お姉ちゃんあのロン毛の馬鹿は神様に光がばーってギフトが欲しいとかアホな表現で言ってた」
「あー言ってたね!思い出した!」
「つまり、これが彼のの望んでた力?その通りの力が貰えたって事ですの?確かに思ってた力がそのまま貰えるって凄いことですけど・・でもこれって」
「「「何の意味があるの?」」」
全員同じ意権のようだね・・。
「はぁ~~?すげーし!ずっと光ってるのよ~!俺みたいに~!」
「人志ちゃん凡人にはこの凄さが分からないんだよ!」
「だべ~!」
たしかにずっと光ってる、眩しくて3人組が何処にいるか分からない。
「ハズレじゃないかな」
「・・・ハズレ」
「ハズレですわね」
「ハズレじゃねーし!鶴ちゃん!!」
「おう!!」
鶴川君が返事をした。
そして光の中から何かが来る。
黒い鳥?カラス?それが大量にこっちに向かって飛んでくる。
「あれに触れてはなりません!あれは闇系の魔法です!当たっても外傷はありませんが触れば身体能力が著しく低下します!酷いものだと数日は動けなくなります!」
「これが鶴川君の魔法か」
「わははは!当たって弱ったところを仙田のカーペットだ!」
「・・・闇魔法」
「しかし闇魔法はいいとして、やっぱりあの光は意味がないと思うんだけど」
「未だに光ってますわね、たぶん鶴川君の魔法の発動を隠すためにやってるのだと思いますけど意味がないですわ」
「意味なくねーし!!!」
いや、意味がないたぶんダントツで意味がない。
いや・・この世界には電気製品がないからあの光は暗い場所では役に立つかも?あの3人が人のために使うのはないからね。
「木葉さん頼めるかな」
「お任せを!聖域!」
木葉さんがそう叫ぶとボク達のの周りに白い球体が出現した。
そして黒い鳥は・・。
それにぶつかるとあっけなく消えた。
「なんだとぉぉぉぉぉ!俺の魔法が!」
「何あれ鶴ちゃん!」
「やべーかっこいい~!俺のサンインパクト並じゃん!」
未だに光り続ける3人組が感想を述べる。
「・・流石木葉ちゃん」
「助かったよ」
「お褒めに頂いて嬉しいのですけど、あの光と一緒にされると傷つきますわ」
「凄いね、聖堂の人達が崇めるわけだよ。回復魔法に、物理攻撃以外を無効にする球体のバリア・・羨ましい!」
「桃倉君そんな本気で言われても困りますわ。それにこれも数秒しか発動できませんし」
後ろでバーザルさんが木葉さんを見て手を組んで拝んでいる・・。
「バーザルさん拝むのはお止め下さい!職員の方にも止める様に言ってくださいと言ったのに代表の貴方がやらないで下さい!」
「す、すいませんつい・・素晴らしいお力な物で」
「そろそろ終わりにしてくれないか?」
「う、うるさい!」
「眩しいのでその光も止めてくださる?」
「やっぱり俺のサンインパクト効いてる~!
「・・・馬鹿すぎ」
「俺らにはなー!まだ鶴ちゃんのギフトがあるんだよ!」
「なら使えばいい、さっさとこの騒ぎを終わりにしたいんだよ」
「・・・もしそれが効かなかったら貴方達はあの人に言って罰を受けてもらう」
「はぁ!?あんな奴怖くねーし!」
「鶴ちゃん!やっちゃって!」
「鶴ちゃん・・?」
「使わないのか?使えないのか?」
鶴川君は他の2人に急かされているのに一向にギフトを使おうとしない。
そんなに使えないギフトなのだろうか?
生産系とか?だとしても人の為に使いそうにないので彼は意味ないけどね。
そのこの闘技場には2つの入り口があって時鶴川君達側にある扉が開いた。
「あ・・」
「・・・ああ」
「あら・・」
「この騒ぎも終わりのようだね」
「何いってやがる!!」
「終わりだ・・お前達ぃぃ!」
ドガっ!っと3人が吹き飛ばされる。
そしてあのうざい光も消えた。
やっぱりあの光意味ないね。
「なにをやってやがる!大人しく部屋で待ってろと言ったのに!勉強部屋を暗くしておけば何処に何があるかわからないと鍵を隠して安心して出かけて見ればこんな騒ぎを起こしやがって!無力の部屋に戻しておけばよかったわ!」
「あんなの俺のサンインパクトでよゆーだし~!」
知らないところで役に立ってたサンインパクト・・。
「まったく変な力だけ持ちやがって!お前らを管理する俺の身にもなれ!」
「ふざけんな!俺らはてめーの道具じゃねー管理されてたまるか!」
「「そーだそーだ」」
「お前らみたいな役立たずの道具などいらん!ゴミの管理だ!」
「ひどくね~?」
「ひ、ひどいっしょ!」
「いつか殺すからな!」
「今すぐやってみろ!!」
拳をボキボキと鳴らして3人組に近づいていく。
そして3人組はいつの間にか鎖で縛られていた。
「申し訳ありません!大聖堂長!そして『風』の方々!この3人組の管理を任せられているのにこんな失態を!」
「頭を上げて下さいコウナンさん、貴方には感謝しかボク達はないですから」
「・・・うん」
「そうですわ、コウナンさんがいなければわたくし達はこの3人組の対処に追われて普通に生活できておりません」
「その通りです、バーザルさんがコウナンさんを呼んでくれなければ僕達はどうなっていたか」
「そうだぞコウナン、『風』の方々の言うとおりだ」
「ありがとうございます」
この人の名前はコウナン、この国の元騎士団長で引退する歳でもないのに何故か大聖堂に仕えたいと言って大聖堂長付きになった人だ。この人は武術、魔法、剣術と3拍子そろって強く実際僕たちも訓練でお世話になっている。大聖堂長と同じくらいに感謝すべき人だ。
「俺らも『風』だぞ!!同じに扱え!」
「この国の宝だぞ!!」
「サンインパクト使っちゃうぞ!」
「うるさい貴様ら!最初はどんな者でも『風』と報告されていたので敬意を払おうと思ったが1日でやめたわ!お前らは『風』でもこの方々とは違う!性根が治るまで俺がしっかり管理してやる!お前らに自由はない!覚えておけ!」
「ふふふふざけるな!」
「この鎖をはずせ!」
「サンインパクト~!」
「無駄だこの鎖はこの大聖堂のお前達が暮らす無力の部屋と同じ効果だ!魔法とギフトを無効にする!光栄に思え国に3つしかない物に巻かれているんだ」
「この3人はすぐ無力の部屋のほうに連れて行き勉学と常識の方を引き続き学ばせます!」
「・・1ヶ月たっても変わってないのが驚き」
「申し訳ありません!」
「い、いや今の慧が言ったのはその3人に対してでコウナンさんを責めたわけでは」
「・・ゴメンなさい言い方が分か悪かったかも」
「いえいえ、私の努力も足りないわけですから」
「いえ、コウナンさんはすご~~くよくやられていらっしゃると思いますわ」
「うん、僕もそう思うよ」
「感謝します!」
元騎士団らしくお手本みたいな敬礼でお礼を言ってくるコウナンさん。
「ところでコウナン、お前がここを離れるとは珍しいなどうしたのだ?」
「それです大聖堂長、ご報告があるのですがいいでしょうか?」
「なんだ?言ってみてくれ」
そうしてコウナンさんが周りを見る。
あ・・ボク達邪魔なのかな?
「バーザルさんボク達は馬鹿3人の騒ぎも納まったし戻ります」
「そうですわね」
「・・読書の続き」
「発酵の利用方法」
「いえいえ、お気になさらずにコウナンここで言っても構わん」
「はい!では!報告いたします!ナディガム大聖堂のあるナディガム大国が周辺諸国に宣戦布告!ナディガム大聖堂は2つの大聖堂からの連絡及び通信を一切受信しないことを通達してきたと現騎士団長と宰相様から通達がありました!」
「・・・・何!!!!!!!!」
「ナディガムって他の『風』の12人がいるところだったね」
「・・・うん」
「たしかそうですわ」
「一体なにが起きてるんだ」
「ど、どう言う事だ!一体何がおきている!」
「申し訳ありません!通信はそれだけで他は一切聞けなかったと!」
「あの大聖堂はまったく!仮も『風』の方々を預かった時期に戦争とは!何を考えておる!ふざけるな!」
普段温厚なバーザルさんの口調が乱れる。
それだけ重大な事態と言う事だと思う。
「あの、向こうの『風』の人の情報はわからないのですか?」
「申し訳ない、元々あの大聖堂はごく最近、一番最後に認定された大聖堂でして遠いこともありあまり交流してこなかったのです」
「順番があるのですね」
「はい、こうなってはもう1つの大聖堂と積極的に連絡をして事態を調べねば、戦争に入れば情報は命です。おそらく苦労することと思います。申し訳ありません!『風』の方々のお仲間で知ってる方もいるかもしれないと言うのに」
「いえ、ボク達はあっちの『風』の方々は知り合いはいないみたいです。全員で話し合ったときに確認しました。もちろん『風』の仲間と言う意味では一緒ですが」
「そうですか、多少安心しました。ですが早く事態を把握しなければ・・コウナンお前はその3人を部屋に連れて行った後に私の部屋に!他の方々はいつも通りお過ごし下さい。酷な言い方かもしれませんが今は貴方達にも私にも出来る事は少ないんで」
「はっ!わかりました!いくぞゴミ共!」
「丁寧に扱えこら!!」
「いてーし!」
「サンインパクト食らわすぞ~!!」
鎖に巻かれ引きずるように引っ張られて連行されていく3人組。
「わかりました、でも何か手伝えることがあれば言って下さいね」
「・・何でも言って」
「そうですね、お手伝いすることがあれば言って下さい」
「ありがとうございます、では失礼します」
そう言って足早にバーザルさんは去っていく。
「みんなどう思った?」
「・・・向こうの大聖堂?」
「まったくわかりませんわ」
「僕も悪いが自分とこっちの事で精一杯で向こうの事はあまり気にしてなかった」
「ボクもだよ、こっちと同じだと位にしか思ってなかった」
「・・・心配??」
「そうだね、もしかしたら向こうにいるかもしれないし」
「話してくれた幼馴染の人ですの?1ヶ月前ここに連れて来られる前の騒ぎの中心にいた子ですわよね?」
「うん、こっちにいないてことは向こうかもしれないし」
「心配・・ですわよね」
「・・みっくん」
「僕たちに出来る事はあまりないね」
「そうだね今は情報を待とう」
「そうですわね、まず桃倉君は舞踏会頑張って下さいな」
「・・私は断った」
「慧君も!?僕だけかい!?いくのは!?」
「たしか他の人も数名行くとかいってなかったかな?」
「よかった・・」
「ふふ、頑張ってらっしゃって」
「緊張する・・」
「それにしても・・戦争か」
ボク達の世界では戦争はあったけど自分達の周りにはなったし他人事みたいな感覚だ。
美紅が巻き込まれてなければいいなっと思いながらボクは少し急ごうと思った。いずれこの大聖堂を出て行くために。
蒼「ね。報告したとおりでしょ?」
カナじい「そうじゃな」
蒼「これでも手は出さないの?」
カナじい「直接出すのは核心がもてたときだけじゃ」
蒼「わかった」
カナじい「すまんのぅ」
蒼「別にいいよ」
カナじい「とりあえずじゃ、まだ情報集めじゃな」
蒼「はーい!」
別に読まなくてもいいけどこれもちょっと本編に繋がってます(*´・ω・*)
忘れてました。次話まで時間かかるかもなので予告4部はダンジョン編です。