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ハレンちゃん

ストックが本当に少なくなってきました。


どこかで時間を頂いてストックを貯めるかもしれないです


つまり常時配信が出来なくなるかも・・。


評価やブックマークよろしくです(*´・ω・*)

僕が『風』と言う事を隠しハレンちゃん達の祖先が『風』だったという理由で僕とハレンちゃんとくっつけようとする画策するハスさん・・。


「納得いただけましたか?これがハレンの相手に相応しい証です!もしかしたら遠い祖先が同じ場所に住んでたかもしれないのですよ」


この人知ってるくせに・・。


「あ、あのお婆様」


「なんですか?カイユウ水を刺して・・いい所なのに」


「いえ、その、美紅さんがハレンの相手に相応しいのはわかりましたけど今般的なことが・・」


「はっきり言いなさい!!」


「はい!美紅さんが女性だと言う事です!」


「俺もそう思ってた」


「わはははは、そうだ!それだ!我もそれが言いたかった!さすがカイユウ義兄上だ!」


どうしよう・・ここで嘘をつけば回避できるんじゃ?スラビーさんの時みたいに。


「美紅ここは女のフリをしておくんだ」


ヒルマさんが耳打ちしてくる。


そうだね!ヒルマさんが言うんじゃ仕方ないか!そうしよう!え?逃げるんじゃないからね?

よし!!




「カイユウお兄様もキオウお兄様も何を言ってるのです?美紅様は殿方ですよ?」



「「「「「ええ??」」」」」



ハスさん以外の全員が驚く!

僕もヒルマさんも驚いて思わず、ええ!と叫んでしまう!ハレンちゃん気づいてたの?騙したわけじゃないけど!


ハレンちゃん知ってたの!?なんで言ってくれなかったの!?

いや僕も教えてなかったけど、正直もう体絶対女の子に勘違いされるから説明めんどくさいとかないよ?


「み、美紅さん男だったんですか!?」


「美紅は男だったのか!?」


「我はお前を女だと思っておったぞ!?」


「その姿で男とは人族は不思議だな」


うん!こういう反応になるよね!この世界に来て僕が男って直接教えたのヒルマさんだけだしね!

でもね、いちいち説明するものめんどいんだよ!放置でいいと思い始めてる!

な・の・で・!


「そうですけど?」


こういう返し方をします!


「な、なんで言ってくれなかったんですか!?」


と返してくるカイユウさん。


「え?だって聞かれませんでしたし、言おうとも思いましたけどね。よく考えると自己紹介で、美紅といいます男です。とか言う人いませんよね?」


「た、たしかに」


「言われてみればそうだな」


「こっちがただ勘違いしただけであるな!」


「でしょ!!」


ふっ!勝った!!


「というかお前達、何をそんなに慌てておるのだ?美紅が男でも別にどうでもいいだろ?可愛いが全てだぞ?そんな些細なことでいちいち反応するな」


その理論は恐らくヒルマさんと一部の人しか通用しませんよ?


「ハレンちゃんは僕が男と言うのはいつ気づいたの?」


「最初に美紅様の匂いを近くで嗅いだ時なのです」


「性別が匂いでわかるのか?」


「はいなのです、でも美紅様の場合ハレンの鼻でも相当近くに寄らないとわからなかったのです」


「なるほど、だが一体どういう匂いで性別がわかるんだ?私も美紅に抱きついたとき匂いを嗅いでみたがいい匂いしかしなくてそんなのはわからなかったのに」


ヒルマさん貴方もそんなことしてたのか!そんなカミングアウトはいらないから!


「なんというか匂いの説明はやっぱり難しいのです、でもハレンだけじゃなくてお婆様も気づいてらっしゃったのです」


「私は経験と匂いですね」


「流石なのです!お婆様!」


「というわけで僕は男です、改めてよろしく」


「おほほ、では合格ですね」


「え?」


「いやだ、婿の話ですよ」


ああ、そんな話してましたね~って!そんな場合じゃない!


「ハスさん僕は一応旅人やってますが、やることもあるわけで!それに結婚なんて考えてませんから!」


「・・ハレンは振られたのです」


やめてハレンちゃん!僕がヒドイ男みたいに言うのは!


「当然だな、それにハス殿。ハレンに選ぶ権利を与えたなら美紅にもその権利があるはずだ」


「それは当然存じております、ですが美紅様には悪いですがハレンにも選ぶ権利があると言うことなのです」


「そんなのはわかっている!しかし美紅が選ばなければ永遠にそこの子猫は嫁にはなれんと言う事だ!」


「ハレンは選ばれるように努力するのです!」


「頑張れ、村で祈りながら努力しろ」


「お婆様、ハレンは村を出ます!」


「わかりました、許可します」


「何っ!出てどうするつもりだ!」


「美紅様について行くのです」


「却下だ!」


「ヒルマさんに許可を求めてないのです!付いていくのは美紅様になのです!」


「私と美紅はお互い了承の上で一緒に旅をしている、そうすると当然私の許可もいるな」


ドヤ顔でハレンちゃんを見るヒルマさん。

どうでもいいけど僕を無視して話を進めないでほしいんだけど・・。


睨み合うヒルマさんとハレンちゃん。

それを無視してハスさんが笑顔で。


「どうでしょう美紅さん、ハレンを連れて行ってくれませんか?」


「えっとですね、正直に言っていいですか?」


「どうぞ」


「たぶんハスさんはハレンちゃんに昔の自分みたいに外の世界を見せてあげたくて僕を利用しようとしてませんか?」


「おほほ!さすがですね美紅さん、でも別の理由もありますよ」


「どんな理由だ?」


「ヒルマさんは黙っているのです!!」


「私は美紅と旅をしてる時点で関係者だ!」


そこの2人もっと離れて喧嘩してくれません・・?

でもやっぱりそれを無視して僕の方を真剣に見て話を進めるハスさん。

僕ももう無視しよう・・。


「私は昔ですが幻獣種でもちゃんと外の世界で暮らしてました、もちろん自分がそんな貴重な種とちゃんと認識してなかったのもありますが、なので私はハレンを使って村の者にわからせたいのです。幻獣種でもちゃんと外でやっていけると若い者に」


「でも今の若い人達はここの暮らしが好きで老人達に反対してたのでは?」


「それは違うぞ美紅!」


キオウさんが急に話しに入って来た。


「俺達は急に話を持って来てどんどん勝手に話を進める長老達に反対してただけで別に外の世界への進出自体反対はしてない、カイユウもそうだ。そういうものはもっとゆっくりやっていきたいというのが俺達村の若者の総意だっただけだ。もちろんハレンの結婚にも反対だったがな」


「そう言う事らしいですよ?美紅さん」


これが生きてる年数の違いか!言い包められる!


「それでも良いんですか?ハレンちゃんは珍しいらしいし、可愛いので外の世界では目立ちますよ?僕達と一緒に行っても守れる保証はありませんし」


「美紅様今の可愛いと言うのをもう一度言ってほしいのです!!」


ヒルマさんと喧嘩してたのにそう言う事だけはちゃんと聞いてるのね。


「お世辞だ子猫、お前を連れて行きたいくて美紅はああ言ったんだ」


「そんな事ないのです!本心なのです!」


・・・返事を聞く前に喧嘩に戻っていく二人。


「そうですね、それを言われると弱いですね。しかし美紅さんとヒルマさんはもしハレンを一緒に連れて行くとなったら見捨てないでしょう?」


「何故わかるんですか?」


「襲われていたからという理由でどうしようもないカイユウを助け村まで救ってくれるようなお人よしだからです」


お人よしなのはそうかもしれないけど、まず孫をどうしようもない呼ばわりした自分を反省しましょうかハスさん・・。


「それはカイユウさんに頼まれたからであって・・」


「それでもです」


ぐっ・・このままでは負ける!


「そ、それにハスさんは良くてもカイユウさんやキオウさんは!?ハレンちゃんは村で大事にされてると聞きました、可愛くて人気があるので村の若い人はハレンちゃんを狙っていると!その人達が許さないのでは?」


「美紅様!可愛くて人気があると言うのをもう一度!」


「黙れ子猫!言葉のあやだ!」


「本心なのです!美紅様は嘘を付かないのです!」


二人とも真剣な話してるから!あと僕は必要な嘘は結構ついていいと思ってる派だからね!


「そうなのですか?何分私は書庫に篭っていたのでハレンの人気までは知らないもので」


笑顔を絶やさずそういうハスさん。

嘘だ!絶対知ってる!この人知ってて知らないフリしてるよー!


「ですよね!キオウさん!」


「カイユウから聞いたのか?確かにハレンは人気があるが・・俺は妹としか見てないのでな。俺はお婆様やハレンが決めたことは逆らえないしな」


頑張れよ!キオウさん!


「どこの誰ともわからない人族に姫が持っていかられたらこの村の人は人族を恨む可能性も・・」


「み、見くびらないで下さい美紅さん!俺達はそんな風に思いません!村の恩人の美紅さんをハレンが選んだなら喜んで送り出すはずです!今回のことで人族にも素晴らしい人がいるとわかったのにそんな事で人族を恨むなんてないです!」


カイユウさん・・普段どうしようもなく頼りないくせに!しかもこんなタイミングでカッコイイセリフを!


「みたいですよ美紅さん、村の者はハレンの意見なら尊重するそうです」


「でもそれはカイユウさんの意見で村の総意では・・それに姫が出て行ったら村のその跡取り問題も」


「総意ですか・・確かに姫であるハレンが村の外に出て行くのは問題があるかも知れませんが、跡取り問題はカイユウが残りますので問題ないでしょう」


「え??」


「え?」


僕とカイユウさんが同時に疑問を浮かべる。


「カイユウは一応ですが村の長の一族なのでカイユウが嫁を迎えて曾孫でも生まれればその子に私が英才教育でもします、カイユウの様に勉強嫌いにならないようにしましょう、その位までは生きれるでしょうから」


「お婆様!俺頑張ります!」


決心を決めたところ悪いけどカイユウさん、今の説明だとハスさんはカイユウさんにさっさと嫁を連れてきて曾孫生めを言ってるだけだよ?期待してるのは曾孫でカイユウさんにはまったく期待してないって思いっきり言ってると同じだよ?


「そうなった場合俺も頑張って補佐しよう」


いつの間にかカイユウさんもキオウさんもハレンちゃんを喜んで送り出す派に・・馬鹿な!


「美紅さん、もしハレンが外の世界に出て行ってどうなろうとも私や村の者は貴方達を恨みませんよ?ハレンの意思を尊重しますので」


「ハレンちゃんが大事じゃないんですか!?」


僕は何故か怒鳴っていた。


「大事ですよ?目に入れても痛くないほどに」


「じゃあなんでそんなに出て行くことを勧めるんですか!?」


「何度も言ってるじゃないですか、ハレンが選んだ方と一緒に行かせたいからです」


「はぁ・・ハスさんの言い分はわかりました。でもまだ問題があります」


「あら?なんでしょう」


「ハレンちゃんの口からはっきり聞いてません、それにさっきハレンちゃんは僕について行くからヒルマさんの意見は関係ないと言いましたけどそれ違います。僕はこの旅でヒルマにはお世話になってます、僕と一緒に来ると言う事はヒルマさんとも旅をすると言う事です。彼女の了承がなくては僕も許可は出せません」


「なるほど、正論ですね。ハレン!喧嘩と止めて覚悟あるならそろそろ誠意を見せなさい」


ハスさんがそう言うとハレンちゃんがヒルマさんを見てその場で土下座した。

てかもっと早く喧嘩止めれるなら止めてよ。


「ヒルマ様!ハレンは美紅様と一緒に・・いえ本当はずっと外の世界に出てみたいと思ってたのです!ハレンはみんなに大事にされてきたことを理解してたのです。でもずっと屋敷の中は苦痛だったのです!お婆様に昔話を聞く度に外の世界に憧れてたのです、ご迷惑をかけるかもしれませんが旅の同行を許してほしいのです!」


ヒルマさんは何も言わずにずっと上からハレンを見ている。

ハレンちゃんは下からじっと目線を逸らさずにヒルマさんを見ていた。


「ふぅ・・ハレンお前はわかっているか?覚悟はあるのか?」


「な、何をでしょう」


「珍しい・・希少な種族が外で暮らすという苦労だ。周りには変わった目線で見られ、時には気持ち悪がられ蔑まれる。いい事などほとんどないぞ?お前はここの姫だ、苦難の道よりここで幸せに暮らせばなんの苦労もなく幸せに暮らせるだろう?」


「ヒルマ様の言いたい事はわかります!それでもハレンは外に行きたいのです!」


「いや、お前はわかっていない。そこの馬、キャッブか」


「我がどうかしたのか?」


「お前達なら多少わかるだろ?お前達も珍しい種族と聞いた。だがお前達は武力という武器で存在を示して自分達へ害を成せばどうなるかを見せ付けてきたんだろう?」


「確かにな!父上は今は旅好きだが現役の時は人族に我らの存在を認めされるまでかなりの苦労があった!正直攫われたもの達もいる!だが父の時代!その前の時代も我らは部族を守るために努力して傭兵部族として人族共に認めさせたのだ!もちろんこれからの我の時代もな!わはははは!」


「うるさいのでそれくらいでいい、どうだ?希少種でさえそれだぞ?お前はたしかに今は子猫に見えるが人族にも目の肥えたものが見れば絶対に貴重な種族とバレるぞ?珍しい者とわかればそれに理由に欲望のままに行動してくる者なと腐るほどいる」


「でもハレンは美紅様やヒルマ様と行きたいです!」


「ヒルマさん?」


ヒルマさんがこの村に来てから絶対取らなかったヘルメットに手をかける。


「ヒルマさん!?」


僕は驚いて止めようとする。


「いいんだ美紅、すこし静かにしててくれ」


「わ、わかりました」


そして素顔を見せたヒルマさんがハレンちゃんに再び向かい話し出した。


「どうだ?驚いたか?」


「・・エルフでしょうか?」


ハレンちゃんがそう答えた

ハレンちゃん以外の周りの人もやはり驚いている。


「違うダークエルフだ」


「ヒルマさんはダークエルフなのです?」


「そうだ、はっきり言うとハレン。今の時代お前より希少な種族だろう。私の種族は人族の敵にされ刈られ気持ちがられて滅びた。いや滅びつつあるかな、実際私は同族に会ったことすらない母のみだ」


「そんな・・」


「悪いが同情される為に見せたわけじゃない、私は母が死んで隠れて過ごしていた場所に出た。ダークエルフがどう思われているかは母から聞いていたがさすがに一人は寂しくてな。初めてみた世界は見るもの全部が新鮮で楽しかった。だがな初めて見たほかの種族は私の想像を超えた反応を見せた、捕獲など生易しいものじゃなかったぞ。いきなり武器を取って殺されかけた、小さい子供なのにだ」


ハレンちゃんは何も言わずにヒルマさんを見て涙を浮かべていた。


「泣くな、別にもうどうも思っていないしな。色々な出会いがあったお陰でこの村の老人達のようにはならなった事が私の運のいい所だな。他種族に良い者がいると早めに知れた。何が言いたかったというとだな。お前は私と違うが珍しい、おそらく蔑みや変な目で見られるぞ?勿論捕獲しようとする者も出る。耐えれるのか?私の素顔を見せたのでわかると思うが・・これは私の経験から言っている。もしこの素顔を見てこの話を聞いても来たいと言うなら私は止めない」


そう言ってヒルマさんは再びヘルメット被る。


「行きたいです!ヒルマ様!ハレンに外の世界で生きる(すべ)を教えてほしいのです!」


「そうか・・美紅、なら私にもう言う事はない、ってなぜ美紅まで泣いている!」


「え?ああ・・ゴメンなさい、同情とかじゃなくてヒルマさんがカッコよくてたぶん勝手に涙が」


いつの間にか涙が出ていたようだ。


「そ、そうか?抱きしめてもいいぞ?」


いえ・・遠慮します、3秒でいきなりダメな人になったし。


「言い忘れたハレン、様づけはやめろ、くすぐったいからな」


「わかったのです!ハレンも言っててくすぐったかったのです!ヒルマさん本当は嫌なのに素顔まで見せて頂きありがとうなのです!」


そこはハレンちゃん何も言わずわかりましたでいいんだよ?ハレンちゃんはくすぐったいはつけなくてもね。


「・・気にするな」


ほら、ヒルマさんもちょっと変な感じになってるし。


「では美紅さん、ヒルマさんも同行を許してもらえたようですしハレンの同行は許してもらえるのでしょうか?」


「1つだけ条件というか叶えれないかもしれない事あります」


「なんでしょう」


「ハレンちゃんの婿の件です、僕には僕の事情があります。ハレンちゃんの事は嫌いじゃないですが、僕にはその気ににはならないかもしれませんよ?まだ歳が歳ですし・・それでいいなら僕もハレンちゃんが一緒に来ても問題ないです」


「全然問題ないのです!」


「だそうですよ美紅さん」


「わかったよ、ハレンちゃんよろしくね」


「不束者ですがよろしくなのです!」


そう言って手を差し出すとハレンちゃんは両手で握り返してきた。


「ヒルマさんもよろしくおねがいするのです!」


「ああ、ついて来るなら厳しく行くぞ、まず美紅の匂いを嗅ぐのはなしだ」


「それは断るのです!」


「子猫お前!」


はいはーい!喧嘩再開はあっちでやってねー!


「別にハレンの婿に美紅さんがなる件は理想ですが強要はしてませんよ、それはハレンが頑張ることですしね」


嘘だ!絶対うまく行けば強引に行こうとしてた!


「ソウデスカ」


「あら、信じられてませんね、それにしても美紅さんはおいくつなのですか?男の人なのでお歳を聞いても構いませんよね?いくつになっても人族のお歳はわかりにくいのですよ」


「16です」


蒼の体年齢で!


「あら、結婚できる歳じゃないですか。この村も外世界もたしか大抵の国は15歳からですよ?」


そうだったのか!知らなかった!変に思われたかも・・。


「いえ、僕にはまだ早いという意味で言ったのです」


「なるほど」


笑顔で頷かれる。

ハスさん僕のこと『風』って知ってるし絶対わかってて納得してくれたよね?


「ん?ハレンちゃんっていくつなんですか?」


「ハレンは15なのです!」


「何!?見えないぞ子猫!」


「失礼なのです!もう大人なのです!」


危なかった、ヒルマさんが先に言わなかったら僕が叫んでいた。


「それは話もまとまった様なのでハレンにすぐに旅支度をさせますね、ハレン行って来なさい」


「はいなのです」


「お、俺も行きます」


「俺でも手伝おう」


ハレンちゃんとカイユウさんとキオウさんがそう言って部屋を出てこうとする。


「待ちなさい、それとここにいる全員ヒルマさんの種族については他言することを禁じます、理由は言わなくてもわかりますね?希少種の方々には命令する権利はないですが、他言しないことを願います」


「はいなのです」


「はい」


「わかった」


「我は平気だ!珍しい物同士気持ちもわかる!それに我の口は固い!」


「わしも墓まで持っていきましょう」


「感謝する」


ヒルマさんはお礼を言う。

だが僕は見逃さなかった!キャッブさんが珍しい物同士って言った時嫌な顔したよね?変わるけど。


「ところであそこで落ち込んでる人はいいんですか?何も言わなくなりましたけど」


僕はひどい扱いをされて部屋の隅で何か言いたそうだけど言えないという感じの長老を指差す。


「あれはいいのですよ、ハレンの事は私がこれからは後見人、もちろん村のこともです。長老を始め年寄りどもは村の隅で畑でも耕させます」


「そうですか・・」


「それと蚊帳の外にしてしまいましたが希少種の方々、そういうわけなのでご了承下さい」


「わかりました、わし達もゴルゴアの事もあり自分の村が心配なのでこれで失礼させて頂きます、ご温情をかけていただき感謝いたします」


「わははは!世話になった!美紅と言ったな!1つだけ言っておくぞ!今は何も言わんがいずれハレン殿を賭けて勝負を挑む!その時まで腕を磨いておれ!ではさらばだ!」


ヤダ。


「私もハレンを手伝いますのでこれで失礼しますね、ハレンの準備が出来次第村を出て行く時はお見送りしますので、申し訳ありませんが少しここでお待ち下さい」


そう言って僕とヒルマさんだけ残された。


「で?ヒルマさん良かったんですか?ハレンちゃんの同行の件」


「美紅もだろう?いきなり婿扱いだぞ?」


「あれはハレンちゃんに外を見せたいハスさんの計略です」


「本気な気もしたがな、でも完全に乗せられたな。孫を思うのはわかるがな」


「色んな物を見せたいって気持ちは僕もわかります」


「確かにな、まぁなんとかなるだろう。よく見ない限りは子猫だ。虎と気づくのは難しい」


ハレンちゃんに悪いけどそれは僕も同意です。珍しいかもしれないけど虎より猫に見えます。


「ところでいいのか?ハレンには美紅が『風』と言う事は言わないで、私は話の流れで正体をバラしたので言う手間は省けたが」


「うーん、そのうちと言う事で別に『風』とか関係なく僕は僕ですし」


「美紅がそれならいい、ん?誰か来るぞ」


「美紅さん、ヒルマさん、これを!」


カイユウさんが物凄いスピードで部屋に入って来た。


「うるさい、なんだ?」


「すいません、これです。米と味噌とこの村の特産物です」


「おー!ありがとうございます!」


「ありがたく貰っておこう」


「すいません、本当はもっとお礼をしたいのに」


「気にしないで下さいって」


「お前はそれよりやることがあるだろ?」


「え??」


「馬鹿か?ハレンがいなくなるんだぞ?先ほど言われただろう、お前は長の一族なのだから存続させるための嫁探しないとだろう」


「そ、そうでした」


「誰か宛はあるんですか?村で気に入ってる子とか配達で言った場所に好きな人がいるとか」


「実は・・」


「「実は??」」


「お、俺も何人か外や村で気にいった子はいて話しかけたんです!」


「おー!」


「なんだ意外と積極的じゃないか」


「で、でも何故か話して暫くたつと逃げるように話を終わらせようとするんです!何故でしょう!」


「あー・・」


「それは仕方ないな」


「なんでですか!?」


「僕達に聞くよりハスさんに聞いたほうがいいですよ?」


「そうだな、しっかり教えてくれる。勉学と一緒にな」


「ヒィィィィ」


「最後まで何を叫んでいるんだカイユウ。美紅、ヒルマ、そろそろ来てくれるか?」


「早いな」


「もう準備できたんですか?」


「・・・言いにくいんだがな、お婆様が昨日のうちに準備をしていてな」


「なっ!」


「やはり計画的犯行だったな」


言い包めれなかったらどうするつもりだったのあの人・・いや自信があったのか。


「さあ、来てくれ!村の入り口まで送ろう」


「お願いします」


「では、行こう」


「しかしお前達には本当に世話になった。村のこともそうだがハレンを頼む」


キオウさんは大きい体を折って頭を下げてきた。


「僕は役に立てるかわからないですけどわかりました」


「任せられてやるから猫が嫌いな匂いを教えろ」


「ハハハ、よろしく頼む。ヒルマそれは無理だ俺がハレンに殺される」


そんな冗談を言いながら僕達は村の入り口に向かった。

道中僕達の姿を見ると村の人達がこちらを見ながら頭を下げてくる姿が目に付いた。



「美紅様!ヒルマさん!これからよろしくなのです!」


そこには旅支度をしたハレンちゃんがいた。


「こちらこそよろしくねハレンちゃん」


「美紅とは3メートル以上離れて歩くのが外の世界のルールだ。覚えておけ」


「絶対嘘なのです!」


嘘ですね、それだとヒルマさんも離れて歩かなきゃいけないし、僕をボッチにする法律とか嫌だし。


「美紅さん、ヒルマさん。どうかハレンをよろしくお願いいたします」


「僕はまだヒルマさん頼りですけど出来る事はするつもりです」


「任せれたからには一応世話はするつもりだ」


「おほほ、お願いします。美紅さんハレンが気に入ったら手を出しても構いませんからね」


「お婆様!」


「き、聞かなかったことにします」


「美紅が襲われる前に手を打たねば!」


僕じゃなくてハレンちゃんが襲うのが前提なんですかヒルマさん?


「それではハレンこれを、なくしてはなりませんよ」


そう言って渡したのは入り口のダンジョン石。


「はいなのです!行ってくるのです!カイユウお兄様もキオウお兄様もお元気で!あとキャッブ様達もお元気で!」


「き、気をつけるんだぞ!」


「元気でやれ」


「我はまた会う気でいるのでお別れはしませんぞ!ハレン殿!」


ストーカーか?


「ハレン殿もお元気で」


「元気でやりなさい、泣いてすぐ帰るような事がないようにしなさいね」


「はいお婆様!」


そう言うとハスさんの胸に飛び込んでいくハレンちゃん。

お別れって寂しいよね。

でもお別れで抱きつく光景を見ると僕はスラビーさんに抱きつかれ・・さば折りをされたトラウマが思い出されるんだよ・・。


「忘れておりました。美紅さんヒルマさんこれを差し上げます」


「なんですかこの箱?」


「古い箱だな?」


中を見るとそこには・・。


「これって!!」


「これは!!」


「それはこの村の先祖の物で代々管理してきた魔道具の腕輪ですね」


「これってゴルゴアが使った奴にそっくりですよ!?」


「たしか神の贈り物とか言ってたな、だが色は違うな?あれは黄色だったがこれは赤だ」


「そうなのですか?私はその場にいなかったのでわかりませんがそれはたぶん婚礼の儀で使っているレプリカですね」


「え・・」


「あれが本物じゃないのか?」


「あれは婚礼の儀用にここの入り口である岩の魔道具を作ってもらったドワーフが作った物ですよ。出発の時に入り口の岩の魔道具を見ていただけると村の側の方には製作者の印がありますよ、そういえば美紅様の剣の印と似ていますね。もしかして製作者は一緒かもしれませんね」


「え?そうなんですか?」


「気づかなかったな、製作者が同じかも知れないといういことか?」


「そうかもしれないですね、ドワーフも長命な者がいる時来ますので、ゴルゴアが使った腕輪はこの腕輪を見てそのドワーフが作った物ですよ、あまりにも出来が良かったので婚礼の儀で使おうとなったのです。本物は大切に丘の上の社の奥に奉納することにして」


あの社にあったのか・・ゴルゴアじゃ見つけれないわけだ。

たしかに普通は婚礼の儀しか出さないって物に目をつけるしね。


「でもそんな大切なもの貰う以前に持ち出していいんですか?」


「構いませんよ、元々私は結構頻繁に持ち出してましたよ?昔のことを調べるのに手がかりになるかと思って」


何気に村のことに口を出さなかったくせにこの人やりたい放題だな・・。


「でも貰えませんってそんな大切なもの!」


「貰って下さいな、ハレンの嫁入り道具だと思って」


・・・余計貰いにくくなった。


「冗談ですよ、本当はここにあるより外に持って言った貰ったほうがいいのですよ。ゴルゴア達はこれを狙ってきたのでしょう?なら村にあるより外にある方がこの村を狙う理由がなくなるので」


絶対冗談じゃなかったよ、目が真剣だったもん。


「あの~、それだと僕達が狙われるんですけど?」


「その通りだな」


「いいじゃないですか、これは強力な魔道具らしいので戦力になりますよ?」


「いや・・狙われたら戦力もクソもないんですが?」


「美紅、貰っておけ・・この人は絶対持っていかせるつもりだぞ、それにスラビー副聖堂長のダンジョン石をはめる魔道具もいるだろう、これならアレに耐えれそうだしな」


「・・・わかりました、頂いておきます。でもハレンちゃんがこの村に戻るときが来たら返しますのでよろしくおねがいします」


「ハレンは帰らないのです!!」


「だそうですよ?」


「・・いただきます」


とんでもない物を貰ってしまった気がする・・。


「また村の長老達に何か言われても知らないですよ?」


「いいのですよ、あの者達はこれの存在を忘れてるほど愚か者ですよ、ゴルゴアが壊した偽者を本物を思ってる輩もいたんじゃないですかね、たぶん」


「あってもなくても同じか」


「そういうことです」


僕は腕輪を腕にはめる。

これ外れないとかないよね?古くて呪われてるとか。


「お似合いですよ」


「美紅様似合うのです」


「綺麗な腕輪だな」


「確かに綺麗ですけど、これゴルゴアじゃなくても狙いそうですよ。素人でも価値がわかりそうです」


「返り討ちにするので平気だろ」


怖いこと言わないでくださいヒルマさん。


僕は腕輪を外して箱に入れて荷物の奥にしまった。


「それじゃそろそろ出発しようか、ヒルマさんハレンちゃん」


「そうだな」


「はいなのです」


「それでは皆さんお世話になりました」


「また会おう」


「行って来るのです」


「いってらっしゃいませ」


「ほ、本当にお世話になりました!お元気で!ハレンもしっかりな!」


「ハレン!元気でな!


「そうだ!我達も途中まで一緒・・!」


「黙れ馬鹿息子!空気を読め!」


キャッブさんのお父さんありがとうございます、馬のお陰で感動の別れが台無しになるところでした。


僕達は洞窟に入り入り口の岩の魔道具に向かった。


「本当だ、僕の剣と刻印が一緒だ」


「間違いなく同じ印だな。村の側から見ないとわからなかったが」


「そうなのです?」


「うん、有名なドワーフの人なのかな?」


「ハレン知ってるか?」


「えっと、ハレンが生まれる前のことなのでゴメンなのです」


「いや、単なる興味だし気にしなくていいよ」


「そうだな、それにしてもハレン尻尾が動きすぎだぞ」


「嬉しいのです!初めてのお外なのです!」


「え?外が完全に初めてだったの!?ちょっとぐらい出たことないの!?」


「おじい様に止められてまして・・」


「どれだけ大事にされてたんだ、限度があるだろ。ハス殿の怒りもわかるぞ」


「なのです・・」


「じゃあ、いこうか!ハレンちゃんよろしく」


「はいなのです!!」


ハレンちゃんはダンジョン石を取り出すと洞窟の小さな岩にはめる。

岩が動き出して外の世界が見える。


ハレンちゃんを横目で見ると少しだけ涙を浮かべているように見える。


「よし!行くぞ子猫、外の世界のマナーその1はむやみに他人の匂いを嗅がないだ」


「つまり美紅様は他人ではないので良いのです」


他人じゃなかったのか・・。


「マナーを守れ!」


「嘘はよくないのです!」


はいはーい!二人とも行くよー!喧嘩はあとでねー!





そして僕とヒルマさんは新たにハレンちゃんを加えて旅を続ける事になった。

蒼「どころでそろそろ立ち直れそう?」


カナじい「な、なんのことかのぅ」


蒼「まだか!フレアナ!」


カナじい「・・もうちょっと時間をおくれ」


蒼「なんか会ったら許しそうだよね」


カナじい「それはないわぃ!もう会ったら奪われた力のみではなく女神の力も没収じゃ!」


蒼「そしてか弱くなったフレアナが目の前に」


カナじい「・・・・」


蒼「何か言ってよ!」


もう少しかな(*´・ω・*)

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