策略
ストックがなくなったきたー!
このままじゃ1日1話が・・。
評価、感想本当にお願いします・・モチベが・・(*´・ω・*)
「貴方は『風』ではないでしょうか?」
ハスさんに呼び止められてそんな事を言われました。
きっと風邪ではないでしょうかと言われたんだと思います。
体の調子を心配してくれてるんだと思います。
「なんの事でしょう?」
「おや?違いました?」
「美紅、何をしている?ここはうるさいのでさっさと退散したいんだが・・ん?どうかしたか?」
「そちらの青い鎧の貴方も人族ではありませんよね?」
「なぜその様な事を?先ほど私を人族と呼んでいたではないか」
「先ほどは皆がいたのでそう呼んでいたのです」
「ふむ、そうだ私は人族ではないな」
ヒルマさんそんな正直に秘密じゃないの!?
「ヒルマさん!?」
「いいんだ美紅、このお方にはたぶんごまかしは聞かないぞ?それに嘘をついてもいいがさっきのを見ると嘘を見抜かれそうだ」
「おほほ、先ほどの力を恩人には使いませんよ、でも使わなくても多少の嘘ぐらいなら見抜けますよ。これでも350年生きております」
「350年!?見えないですよ!」
「おほほ、ありがとうございます。でも怒るとどうしても歳相応の言葉言葉使いにしまいますけどね」
「それで、そちらの方は『風』であっておられますか?」
「何?美紅・・」
「えっと~、すいませんここではちょっと~」
「失礼しました、もう少しお話したいので場所を変えましょう、私の部屋に来てもらってもいいですか?もちろん静かな場所ですよ」
僕はヒルマさんに頷いたあとに返事をした。
「はい」
「いいでしょう」
長い廊下を歩くと小さいがとても静かな部屋に案内された。
「凄い本の数ですね」
「たしかにこれは凄いな」
「趣味なので」
そんな事言ってたな~。
閉じこもるほど本が好き・・か。
「それで先ほどの問いには答えていただけるのでしょうか?」
「その前に何故僕が『風』だと?」
「私もそれが聞きたい」
「そうですね、匂いです」
「匂い・・そう言われるとハレンちゃんを思い出すんですが」
「貴方も鼻が良いのですか?」
「もうハレン程ではないですがこの村ではかなり良い方ですね」
「ハレンちゃんの嗅覚はハスさん似でしたか」
「余計な物が似たな、そのせいで美紅が・・」
「それは違いますよ、ハレンのは別です」
「どういうことですか?」
「追々話しましょう、話を戻すとそちらの青い鎧の方からは人族とは違った匂いがしました」
「私がか?」
「はい、なんというか森と魔素の混ざった匂いがしました、昔会ったことのある種族の匂い」
「何!?会ったことがあるのですか!?」
「もし貴方がダークエルフなら私は昔数人ほど交流したことがあります」
「いつですか!何処で会ったのですか!」
ヒルマさんが前にでて責めるように問いただす。
「ヒ、ヒルマさん気持ちはわかりますけどちょっと正気に!」
「あああ、すまないハスさん貴方の言った通り私はダークエルフだ、何か知ってるならできれば教えてほしい」
「貴方の慌てようでわかりました、ダークエルフは・・失礼かも知れませんがまだ数が減っていっているのですね」
「ああ、私は母以外のダークエルフには会った事はない」
「そうですか、私も200年程前に会った程度です、その時は魔物の土地の少し手前にあるダンジョンでしたか?何分記憶が曖昧でして、3人程とてもよくして頂きました」
「3人・・魔物の土地か」
「はい、すみませんね、あまり情報をあげれなくて」
「いや、会った事のある人物に会えただけ嬉しく思う。貴重な情報を感謝します」
「いえ、こう言ってはなんですがダークエルフはもはや幻獣種などよりさらに希少な種族となっています。こうしてまたダークエルフの方に会えたのは嬉しく思います」
「え?やっぱりダークエルフって幻獣種の方より少なくなってるんですか?」
「おそらく・・私達は遠い祖先が幻獣種の場合には血が薄まっても後にキャッブ殿の様に幻獣種が生まれる場合があります。ですがダークエルフにはそのようなことはないでしょう?」
「ないな、先祖返りなど聞いたことはない、人族と片方がダークエルフなら平気らしいが好き好んでダークエルフと一緒になる人族はいないからな」
幻といわれる獣族より希少・・同じ種族は母親しか会った事がない、深く考えなかったけどそれはどれだけ寂しいんだろうか、いつの間にか僕はヒルマさんを横で見つめていた。
「なんだ美紅、そんな目で見るな。考えていることが丸わかりだぞ?確かに寂しいと思った時期はある、だが私は私なりに色んな出会いをしている。同じ種族じゃなくても対等に分かり合えるのはとっくに学んだ、だから寂しくはないぞ」
なんか強がって言ってるように見えてしまう。
同情は失礼かもしれないけど、そんな事言われるとこっちが泣きそうになるんですけど・・。
「まさにその通りです、種族が違うからと言って差別するなと言って来たのにあのクソジジイ共が!!」
「ハスさんハスさん!地が出てますよ!」
「はっ!失礼、私も長く生きたので結構苦労が夫・・あの小僧は私を口説く時に『一緒にさえ居てくれれば本だけ読んでてもいいから!うちの種族は秘伝の書物があるから』と口説きおったのです、本に釣られて嫁いでみれば意見は聞かないわ、好き勝手にやるわで最悪じゃまったく!!!」
ダメだ思い出し怒りですねこれは・・。
「私も先祖返りでこの村の出身ではないのですが、今カイユウがやっている配達の仕事を昔していた夫が村で私に惚れたらしく『君は幻獣種だきっといつか人族に危険にさらされる』と・・私はお前なんかより長く生きて色んな場所を旅をしてるのに!上から意見を!・・あー!考えただけでもなぜ本に釣られたのじゃ私!」
本以下か長老・・そしてハスさん貴方も本以下の長老をよく選びましたね、そこまで本が好きなのですね。
「そ、そんなに本が好きなのですか?」
「はい、昔の文献を調べる事が好きなのです、でもここに来てハレンの母やハレンが生まれたのですからこの様なことは言ってはいけませんでしたね、聞かなかったことにしてください」
聞かなかったことにします、だって・・だって・・カイユウさんの名前出てないし!もしかしてカイユウさんって拾ってきたとかじゃないよね!?
「とりあえず情報は感謝する、昔の話のようだが幸い貴方のようにダークエルフの寿命は長い、もしかしたら会える可能性もある。希望を捨てずにいることにします」
「いえ、こちらも途中愚痴になってしまって失礼、同族の方に会えることを願っております」
会えるといいね!ヒルマさん!
そういえば・・気になることが1つ・・。
「そういえばヒルマさんって言葉使い使い分けてますよね?失礼かもしれませんが普段は不遜というか遠慮しない言葉使いなのにハスさんにはなんか丁寧じゃないですか?」
「たしかにな、でも美紅、私だって誰にでもこんなのじゃないぞ?思い出してもらえばわかるだろうがスラビー副聖堂長だってちゃんと敬意を払った言葉使いだっただろう?私はちゃんと敬意を払うべき人物はちゃんとした言葉使いをするさ」
「そうだったんですね」
「美紅・・私はショックだぞ、私をどう見えてんだ」
「変な意味じゃないですよ?ヒルマさんは頼もしいですし、今のもちょっとした疑問ですので気にしないで下さい」
「わかった、一緒に寝てくれるということで手を打とう」
「・・・確かに失礼な事を聞いたので膝枕で負けてください」
「手を打とう」
交渉成立!ってなんの交渉なのこれ!?言わなきゃ良かった!
「で?僕の事はなんでわかったんですか?あ・・僕はハスさんの思った通り『風』です。もしかして過去に『風』に会ったことが?」
「いえ、残念ながら『風』には会った事がないですね」
「え?じゃあ何故わかったのです?」
「ハレンのせいです」
「え??余計わからないんですけど??」
「おほほ、そうでしょうね。ハレンが貴方の匂いを気に入っていたのが原因です」
「どう言う事だ!やはりあの子猫やましい気持ちで美紅を!!」
ヒルマさんさっきのヒルマさんに戻って下さい、そして話がそれるで少し黙って下さい。
「あの~、ハレンちゃんが一体何なのでしょう?」
「あの子は貴方の匂いが好きなのでしょう?」
「え・・あ・・はい・・たぶん」
それってハレンちゃんに聞いてね、嗅がれる方が答えるとなんか嫌だ。
「たぶんそれは貴方が『風』だからなのですよ」
「え?ハレンちゃんって僕が『風』ってこと気づいてるんですか?」
「いいえゴメンなさい、言い方が悪かったですね。ハレンは気づいていないです、ですがハレンは貴方が『風』だからいい匂いと感じているのでしょう」
「『風』に匂いってあるんですか?つまりハレンちゃんって他の『風』のの匂いも感じたら抱きつきたくなるんですか?」
「ハハハ・・とんでもない子猫だな!」
ヒルマさん嬉しそうに言わないで・・一応前にいるのはハレンちゃんのお婆様ですよ!
「これはこれは、また失言を。どう言えばいいでしょうか・・ハレンは『風』の匂いを『風』と知らず感じることができます、ですがすべてが良い匂いと感じることはないでしょう。たぶん貴方に抱きつくのは貴方の元の匂いと『風』の匂いが混ざってそれがハレンの一番好きな匂いになっただけでしょう」
「ちっ!」
ヒルマさん舌打ちやめて!舌打ちはあの町を思い出すから!せっかく忘れ始めてたのに!
「えーと、つまりハレンちゃんは『風』の匂いと僕の匂いが混ざってそれが好きな匂いで、でも『風』とは気づいてないであってます?ごちゃごちゃしてきた感じがするけど」
「正解だと思われます」
わーい!正解!嬉しい!でいいのかな?
「ちょっと待て!根本的な事がわからない。なぜハレンは『風』の匂いがわかる、そしてハスさん貴方もだ、なぜそれに気づいた」
それそれそれが言いたかったの!
「それは私達も『風』だったからです」
「え!!?」
「何!!?」
衝撃の事実じゃないですかそれ!!!
「驚かれました?そうですよね、私は本が趣味、先ほど言ったように古い文献を読むのが趣味なのです。この村に・・あのクゾジジイに嫁いで良かったのは幻獣種の古い文献を読む権利が得られたことです」
「そこに書いてあたっと?」
「はい、解読が必要でしたが何十年と時間をかけて読み続けました」
「なんと書いてあったか聞いてもいいのか?」
「もちろんです、ここまで話したのですから」
「お願いします」
凄く聞きたいです!
「全部は解読出来ておりませんが簡単に言うとこうです『我が部族は神によって選ばれ違う世界から呼ばれ選ばれた種族である、誇りを持ち忘れることなく健やかに過ごせ、ここに由来を記載し残す』と」
「短いですね」
「短いな」
「はい、ですが間違いないことは確かです。食べられたと思いますが米や味噌は昔の祖先が違う世界から持ってこれた物、そして建物も外の世界とは違ったと思います。これは祖先代々の知識が残って作られた建物なのです」
「確かに不思議な形の建物が多いな、納得がいく」
「僕の世界と似ているんですよ」
「あら?そうなのですか?」
「はい、地球って場所じゃないですよね?」
「申し訳ありませんが違うかと、女神様は同じ場所からは『風』を連れて来ないとあります、恐らく似た文化や考えの世界だったのでしょう」
「なるほど・・」
「でも貴方達の祖先が『風』だとしてハレンがそれをわかる理由は?」
「そこです、ハレンはこの村で一番の嗅覚の持ち主ですが才能も特別です、おそらく祖先と同じ『風』である美紅さんの匂いを本能で感じ取ったのでしょう」
「また本能!?」
「・・なんなんだ貴方達の一族は」
「おほほ、たぶんそこが私達がこの世界に連れて来られた理由かと、『風』はこの世界に影響を与えるために知識や性質を求められるのでしょう?なら私達に求められたのはたぶん珍しさと幻獣としての特性かもしれませんね」
「たしかに不思議な力を持ってますしね」
「魔法とは違う力か・・似て比なる物だな」
「ちなみに私も美紅さんからはいい匂いがいたします」
ビクッ!
僕は少し後ろに下がった。
「おほほ、心配しないで下さい。抱きつきませんよ。ヒルマさんも怖いですしね。私も若くないので参戦はいたしません」
参戦は意味がわからないけど若かったら抱きつくのね!やめて!
「あの、ハレンちゃんは他の『風』の場所がわかるのですか?」
「難しい質問ですね、たぶん・・一番は距離の問題で無理かと思います。それに『風』とはわかるかもしれませんが、美紅さんと別の『風』の方がいたとしても嫌な臭いに感じるかもしれません」
「え?なんでですか?」
「混ざるからです、美紅様ハレンの好きな匂いと『風』の匂いで混ざってさらにいい匂いになっております、他の方の場合『風』の匂いは感知できてもその方の臭いがハレンの嫌いな匂いの場合は混ざって不快に感じるかもしれません」
「つまり、美紅にハレンの嫌いな匂いをつければもう抱きつかないんだな?」
ヒルマさん、何の解決法を聞いてるんですか?そんな嫌がらせはさすがにヒドイのでやめてくださいよ?
抱きつかれなくなるのが寂しいとかじゃないよ?もふもふ。
「それは無理ですね、ハレンの嗅いでるのは美紅さんの表面の匂いではないはずです、言葉では表現できないでしょうが・・中の匂いと申しましょうか、すみませんこれは私達幻獣種しかわからないかもしれません」
「気にしないで下さい、わかりやすかったです」
「猫の嫌がる匂いだけでも教えてほしいのだが・・」
ちょっとヒルマさん!だからハレンちゃんのお婆様に聞くことじゃないですって!
「ゴメンなさいね、それはちょっと教えれません」
「・・・残念だ」
何その凄い悔しそうな顔・・。
拳を握り締めるのはやめて!
「あの、他に『風』についての情報とかありませんか?」
「他にですか?なにせクソジジイの親族が文献を整頓しておかなかったのでそこから始めたものでまだ手を付けてない物もありまして、なかなか新しい事実は・・まったくあんな貴重な物をホコリだらけに・・やっぱりこれを気に離婚を・・」
「あ、あの!気にしなくていいですから!」
「え?ああ、わかりました」
危険なことを呟き始めたのでこの話はやめておくに限る。
「あ!ですが1つだけわかったことがありますよ」
「なんですか?」
「ほう?」
「女神と呼ばれる神の力を持つ者は複数いると言う事です」
「何!それは本当か!」
「へ、へー・・」
ヒルマさんが食いつく、たぶん女神の上の存在がいるかも知れないとわかるかもと思ったのだろう。
教えた上げたいけど秘密なんだよね・・ゴメンね、いつか言えるといいけど。
「はい、女神は交代したします、私が生きてる間だけで今回のをあわせて2回も交代いたしました。その交代は誰が決めているのでしょう?女神達が相談で?その時点で女神が複数いることは確実ですが、この世界を管理するのは1人です。でも同じ力を持った女神がいるとしたらそれより力を持ったものが女神に命令してないとは誰が言えるでしょう」
「そうでしょう!そうでしょうとも!」
「ソウカモデスネ」
「文献が古くそこまでは詳しくは書いてありませんでしたがそれを示唆するのがいくつか見つかりました。でもその反応だとヒルマさん貴方は気づかれていたのですか?」
「そうだな・・貴重な情報をもらったのですし言わなくてはならないな。私は、いや私達は女神の上の方の可能性を信じ信仰するものだ」
「あ、僕は違いますのね」
「なるほど、色々な方がいらっしゃいますしね、良いと思いますよ」
「軽蔑しないのですか?」
「人の信じるものを偏見で軽蔑してたら関係を気づけませんよ」
「本当にハスさんが最初からいてくれれば・・」
「それについては本当に申し訳ありません」
はっ!つい本音が!
「ゴメンなさい!ついですね」
「安心しろ美紅、私も同意権だ」
「約束します、クソジジイ共は隠居させカイユウやキオウに村を運営させますのでお許しを」
「カイユウはやめた方がいいと思うぞ?」
さっきからヒルマさん言いにくいことを!一応カイユウさんもハスさんの孫よ!
「ですね、あの子には走ることより勉学を学ばせましょう、遅いかもしれませんが」
肯定されただと・・。
「さて、そろそろ暗くなってきましたね、今日はゆっくりお休み下さい」
「はい、そうさせてもらいます」
「貴重な情報を感謝する」
「こちらこそ、楽しい時間でした」
そして僕達は部屋をでて用意された部屋へ向かおうとする。
「美紅さん」
僕だけハスさんに呼び止められた。
「え?何ですか?」
「明日もう少しだけお話をいいですか?」
「別にいいと思いますけど?」
「ありがとうございます、ではおやすみなさいませ」
「はい、おやすみなさい?」
何だろう?嫌な予感じゃないけど凄い気になるんだけど。
僕は案内された部屋でゆっくり休んだ。
まだ体も痛いし、完全じゃなかったので。
そこでヒルマさんがやっぱり神はいるんだな!と興奮気味で話しかけてきりした。
カナギウス様・・教えたあげたいんです。
「美紅様美紅様!起きてほしいのです!」
「え?は?おはようハレンちゃん!」
いきなり寝起き抱きつかれる。
「くんくん、おはようなのです」
「子猫!朝からいい加減にしろ!」
「いたのですか、ヒルマさん」
「その喧嘩買ったぞ」
「はいはい!二人とも止めてください、ハレンちゃん何か用事があったんじゃないの?」
「はいなのです、美紅様達を呼びに来たのです」
「朝ごはん?」
「なのです」
「お腹も空いたしいくか美紅」
昨日と同じ部屋に行くとほぼみんなが揃っていた。
カイユウさん、キオウさん、馬・・キャッブさんのお父さん、最後にハスさん、あれ隅っこで正座させられてるのって長老・・?隔離されたはずじゃ・・。
「おはようございます」
「おはよう」
僕とヒルマさんが挨拶をするとみんな挨拶を返してくる。
「おはようございます美紅さんヒルマさん」
「起きたか二人とも」
「おはようございますお二人共」
「やっと起きたか人族の御仁達!我など夜明け前に起きて体を鍛えておったぞ!!」
うるさい黙れ馬、ヒルマさんが鎧越しでもわかるように耳の部分を押さえてるんだよ!
「おはようございます美紅さん、ヒルマさんお座り下さい」
「はーい」
「座らせてもらう」
「さっそくですが美紅さん、食べながらで良いので昨日話したいこと言ったことを聞いてもらえますか?」
「え?ここですか?」
「ええ、早めに言わないと貴方達は今日村を出て行くつもりだったのでしょう?」
僕はそれを聞いてヒルマさんを見る。
そしてヒルマさんが。
「その通りだ、この村の状況で私達が長居しても気を使わせて邪魔なだけだ」
「そんなことはないのです!」
「いいのですよハレン、確かにその通りかも知れませんし」
「ゴメンねハレンちゃん、昨日ヒルマさんと話して決めたんだよ」
「そんな・・」
仲良くなったせいがとても寂しそうだ。
というかいつも立ってる耳が垂れているのでわかりやすいくらい落ち込んでる。
「ですのでここで話させてもらいます、丁度皆もいるのでいいでしょう」
「なんだ?まだ話があったのですか?」
「はい、昨日美紅さんには少し話したいとお約束を」
ヒルマさんがこっちを見てきたので肯定する。
「で?なんの話なんですか?」
「はい私達種族、というかこの村の者だけしかない由来を教えようと思いまして」
「え?なんですかそれ?」
「まだ隠し事があったのか?」
「隠し事・・隠してませんが隠してると同じですね、言わなければわかりませんし」
「待て!ハスまさかそれは!ダメじゃ!それは我が幻獣種が口伝で伝えてきた由緒ある伝統だぞ!外の者はおろか人族に教えるとは!やめるのじゃ!」
「うるさいクソジジイ!こんな物秘密にして何になるのじゃ!姿形とは違い珍しいからと言って取って食われるものではなかろう!むしろ私は自慢したいくらいじゃ!ここに嫁いで良かったのは本とこの名を貰ったことぐらいじゃ!今回の事ほどお前と結婚したことを後悔したことはないわ!」
ガーーーンという音が聞こえるほど長老は落ち込んでうなだれた。
ハレンちゃんとは違った意味で耳が垂れる。
ご飯を貰い損ねた犬っぽい感じだ。
「なんなんですか一体?」
「そこまで慌てることなのか?」
「いえ全然、外の世界に触れることがなかったので教える機会がなかっただけの秘密ですよ、私なら面白いので自慢したいぐらいです。ハレンもキオウもカイユウも知っております、そうですね貴方達」
「お婆様の仰りたいことがあの事ならハレンは言っても全然構わないのです」
「俺も全然問題ないな、知られたところで村には何の影響もない、秘密にする意味もわからん」
「え、えっとなんのことでしょう?」
カイユウさんが聞き返す。
ハスさん1名だけ理解してない人がいまーす!
「まったくあのジジイ達を見ていてよく柔軟な考えが出来るように育ってくれたものです、キオウにハレン」
おーい!カイユウさんの名前がないですよー!もしかして理解してなかったからですかー?
「一体何なんだ?」
「さあ?あとカイユウさん落ち込まないで下さい、耳を垂らすとあっちの長老にそっくりなんですよ」
同じ狼だし。
「ただの自慢ですよ、私達の村全員持っております」
「持ってる?」
「何か統一された者でもあるのか?」
「近いですね、それは名です」
「名前?統一されてないですよね?」
「違うな」
「私達の名は変わってると思いませんか?」
「え・・」
「確かに少し変わってるな」
え?全然そう思わなかったんだけど!そうなの!こっちの名前よく知らないし!
「美紅さんはやはりですか」
「え・・?」
「私達の名前には外の世界おとは違った幻獣種のみの特殊な文字があるのです、これは生まれて名を付ける子供に与えられます。そしてこの村に嫁いだ者にも与えられます。つまり私ですね、昔はアハスと言う名でした、この村に来てハスと言う名を貰いました。最初は少し嫌でしたがこの村の文字で書いてもらったときに凄く嬉しかったのを覚えております」
「どんな文字なんですか?」
そう言うとハスさんは紙を持ってきてそれに名を書いた。
『蓮』と。
漢字!!
「これは変わった言語だな」
「でしょう?美紅さんどうですか?」
「い、いい文字ですね」
やっぱりこの幻獣種の人達はどうやら僕の世界とは違うけど凄く似通った場所から来たとわかる。
「ハレンやキオウもあるのか?」
「はいなのです」
「あるぞ」
ヒルマさんカイユウさんにも聞いてあげて!
そう言うとハレンちゃんもキオウさんもついでにカイユウさんも書いてくれる。
『羽連』
『鬼翁』
と・・あれカイユウさん書いてよ!
「カイユウさっさと教えろ、お前も秘密派か?」
「・・・いえ」
「まさかカイユウさん・・忘れて書けないんじゃ?」
「カイユウお兄様!!」
「カイユウお前!」
「馬鹿孫が・・」
ああ・・ハスさんまでに言われてる。
「カイユウお兄様はこうなのです!まったく!」
『櫂勇』
やだ・・カイユウさんカッコイイ文字じゃん!ゴメンねこういうの想像してた『怪友』怪しい友と書いてカイユウ!
「ほほう!これは面白いですな!父上!」
「まさに素晴らしい」
「つまり我がハレン殿を振り向かせればこの文字で名が与えられると!ますます頑張らなければ!」
「ううぅ」
想像したのかうるさいのかハレンちゃんが耳を押さえて唸る。
仕方ないのでキャッブさんに僕が与えよう。
『駄馬』でどう?きっと気に入ってくれるはず。
「キャッブ殿」
「何ですかな?ハス殿」
「丁度いいのでその話を、悪いのですがいくら努力してもハレンの心は掴めないかと存じます」
「何を!?努力して手に入らぬものなどない!」
凄くいい事言ってるけどうるさいから!あと人の心は努力で手に入らないことあるからね!
「ハレンの嫁ぎ先はもう決めておりますので」
「え?お婆様?」
ハレンちゃんが戸惑っているのがわかる。
「何!?我以外どこに!他に幻獣種で優秀な者がこの村にいるのですか!?」
「いえ、獣人ではありませんが、血で言うなら幻獣種よりもっと相応しい方を昨日見つけました」
「お婆様!ハレンは決められた結婚は嫌なのです!!」
「その様なこと言ってもよろしいのですか?」
「はいなのです!ハレンは自分で決めると今回の件で固く誓ったのです!」
「俺達もハレンに決めさせてやりたい」
「お、俺も賛成です」
「あの~部外者ですけど僕も賛成です」
「その辺は私もだな、さすがにあの馬だったら私は世界の反対側まで逃げるているぞ」
「お前達!我を何だと思っておるのだ!」
駄馬・・。
ハスさん以外の全員がハレンちゃんを守るように賛成した。
「そうですか、残念です」
「ゴメンなさいなのです、お婆様」
「相手は美紅さんだったのですが・・」
「お受け致します!!!!!!」
はぁぁぁぁ???何言ってるのこの人?そしてハレンちゃんも即答やめてくれる!?
「ハスさん何言ってるんですか!?」
「ど、どういうことですか?」
「ハスお婆様説明を!」
「我を差し置いて人族ですと!幻獣種でもなく!獣人ですらないではないか!さすがに我も馬鹿にされてるとしか思えませんぞ!」
「座れ馬鹿息子!」
「ハス殿・・貴方には昨日お世話になったのでこんな事を言いたくないがちゃんとした理由があって言っているのだろうな?さすがにいきなり相手が美紅などと軽はずみな気持ちで言ったのなら私は許さんぞ」
「ハス!!お前は何を考えておる!名の事といい!今度はハレンを人族に嫁がせるだと!狂ったか!」
「黙れクソジジイ!狂ってるのはお前達じゃ!虚勢されたいか!」
こわっ!ハスさんこわっ!
そしてヒルマさん庇ってくれるのはすごい嬉しいんですが怖いです。
あと断る権利は僕にあるのでそこまで脅さなくても・・。
「理由ならありますとも」
「なんだ、教えてもらおう」
「詳しくは言わなくてもヒルマさんならわかると思いますが美紅さんの故郷のお話です」
「ちょっとそれは!!」
「おい!ハス殿それは!」
「大丈夫ですよ、肝心な事は言いませんし言わせません!皆さん美紅様の名前も変わってると思われませんか?」
「「「「「え?」」」」」
ヒルマさん以外の全員がこっちを見る。
「実は昨日美紅さんに聞いたのですが美紅さんも私達の祖先と似たような場所の出身だそうです」
「え?そうなのです美紅様!」
「え?えっと・・」
「悪いが美紅は美紅の事情がある、言うわけにいかん!」
「もちろん恩人を美紅さんの事を吹聴するようなことはしません。昨日聞いた時も私も詳しくは教えてもらえませんでいたしね。ですが美紅さん名前を聞いたときこう思ったのです。『似ている』と!美紅さん貴方の故郷も私達と似たような文字があり美紅さんの名前もその文字でかけるのではありませんか?」
「えぇぇぇぇぇ・・」
何でわかるの?この人怖い・・。
「美紅言いたくないなら言わなくていいぞ?こう言っては何だがハメられたようだ」
「あら人聞きの悪いことを」
「そうだろう?ハス殿はハレンが美紅の事を気にいっているのを知っていて、孫の為を思いこの場を利用した。皆がいるところで獣人よりも幻獣種よりも美紅の名はハレンの婿にふさわしいと知らしめるためにな」
やっぱりそうなんだ・・嘘つきたい・・。
「さすがですねヒルマさん!その通りです。これも可愛い孫を思う年寄りの姑息な手口です、今日出て行かれる美紅さんにハレンは気持ちを伝えることは出来なかったでしょう。どうか愚かな者の馬鹿な行動と思って下さい」
「お婆様・・」
「あの~ここで嘘つくのも違うと思うので言いますけど・・でも僕の故郷については言いませんよ?あとその辺も質問されても答えないのでそれなら教えます」
「もちろんです、私も昨日の事は墓まで持っていくのでご安心を」
僕は観念して紙に自分の名前を書いた・・・はぁ・・。
『美紅』
「なんて可愛い文字だ!」
何故怒ってたヒルマさんが一番に喜ぶ・・。
可愛い文字って一体・・全国の美紅さん歓喜だよ・・。
「綺麗な文字なのです」
「ほう」
「こ、これが美紅さんの文字ですか」
「我も欲しい!!」
やるよ『駄馬』
「たしかに気品を感じるな」
みんな褒めすぎ・・。
はぁ・・このあとどうなることやら・・。
蒼「そうだそうだ!お土産あげる」
スィーニー「おお!久しぶりの地上の品じゃな」
蒼「はい、カナじい」
カナじい「なんじゃこれは?」
蒼「最近出た一番面白い食べ物を探して買った来たよ」
カナじい「・・普通は一番美味しいものをかってくるじゃろ?」
蒼「はあ?それじゃ面白くないじゃん」
カナじい「・・・しかし青い菓子とは」
蒼「平気だってさあ!食べて!」
カナじい「ちなみにお主は食べたのかのぅ」
蒼「ううん、だってまずそうだし」
カナじい「そう思うならなぜわしに買ってきたのじゃ!?でもまぁ食べるわぃ」
蒼「どう!美味しい?不味い!?」
カナじい「・・・トイレじゃ!!!」
吐くの?それともお腹壊したの?(*´・ω・*)