表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/93

後始末

用事で投稿遅れました。


時間は不定期になっているのですみません。


感想、評価お待ちしてます。(*´・ω・*)

戦いが終わって僕とヒルマさんは社にいた。


体中が痛くて動けません!スラビーさんダンジョン石の反動です!

ヒルマさんも魔力がなくなると疲労感が来て動けないまでも行かないけど精神的に辛いらしい。

なので二人とも1日中ずっと寝てました。


一人だけ動けたハレンちゃんが社と村を行ったり来たりしてたみたいだけどあんまり気にする事はできなかった。

だって動くと本当に体痛いし、怪我はないけどダンジョン石の反動が本当に大きい!せめてスラビーさんみたいな筋肉があれば・・いやあれはいらないな・・うん。



「う~」


「起きたか美紅、体は平気か?」


「まだ少し痛いですね、動かせないほどじゃありません」


「だから私と一緒に寝ろといっただろう」


一緒に寝たら治るんですか?絶対治りませんよね?だから?


「ヒルマさんも疲れてたじゃないですか~」


「私のは魔力の枯渇だ、寝なくても体が痛いとかはないからな。時間がたてばそのうち回復する」


「なるほどです」


「しかし、そこまで痛くなるとは、身体強化で相当無理をしたな?」


「素早く動いてからロストを使って速さで消えたように錯覚させました」


「いい作戦だが負担が大きい。気をつけろよ」


「もうあんまり使いたくないですね」


「あ!美紅様お気づきになったのです!」


社の入り口にいつの間にかハレンちゃんがいた。


がばっ!と僕は後ろに倒されて抱きつかれた!


「うわっ」


「美紅様心配したのです!くんくん」


痛い!体が痛い!


「おいこら!子猫!美紅はまだ本調子じゃないんだ!離れろ!」


「限界なのです!もう1日以上匂いを嗅いでないのです!」


「そんな事は理由にならない!私だって美紅が寝てるときに負担をかけない程度に抱きつくぐらいで我慢したんぞ!」


そんなことしてたのかヒルマさん!そして痛い!放してハレンちゃん!


「ずるいのですヒルマさんは!ハレンがいない間に嗅いだのです!くんくん!」


「ずるいのはお前だろ!美紅が痛がってるから離れろ!それに私は嗅ぐためじゃない!」


「お断りするのです!」


「いや!ハレンちゃん本当に痛いから離れてくれる!まだ動くと痛みが走るから!」


「では負担がない様に嗅ぎますので、くんくん、美紅様はじっとしていてくれればいいのです」


なんて無理な注文を・・負担がない嗅ぎ方とかわけわからないから。


「子猫!本当にいい加減しろ!美紅は本当に疲れているんだ、それともまた倒れさせたいのか?」


「ハレンちゃん今はやめて、本当に痛いから」


「・・わかったのです」


やっと離れてくれた、全身筋肉痛状態でやっと動ける状態なのに衝撃を与えないでほしい。


「まったく、この子猫は・・で?ハレン村のほうはどうなった?」


「あ!僕も気になります」


「村の被害は建物が大分燃やされて手・・あと数人の死者がでました。雷に撃たれて助からなかったり焼け死んだ人がいるのです」


「そっか・・」


「あの被害だ、それだけですんで幸運だったと言うべきなのかな・・」


「かもなのです」


「それでこれからどうするの?」


「それを決めるためにお前達が起きるのを待っていたんだ」


「お、おはようございます」


キオウさんとカイユウさんがそこにはいた。


「おはようございます」


「私達を待っていたとはどう言う事だ?」


「実は長老様達が会いたいと言っているのです」


「だが俺達・・いや長老達はゴルゴア達に騙されてお前達に酷い事をしたのでな。直接ここに来る事が気が引けるらしい。だから俺達がお前達に頼むために来たわけだ」


「僕達に何か用ですか?」


「私達は長老には用はないぞ?」


「で、でもお二人は村の恩人ですし、その歓迎したいそうです。長老達もそう言ってますし」


「なのです」


「ん~、どうしましょう?ヒルマさん」


「行く必要はないな、そもそも今日は婚礼の儀とかじゃないのか?」


「考えればわかるだろう、婚礼は延期・・というよりなしになるかもしれん」


「わからないな、お前達の考えはまったくわからん」


「そ、そんな言い方はないですよ、ヒルマさん」


「違うのか?私達を呼びつけるならなぜ長老達は自分達で来ない?気が引ける?そんなのは自分達の都合だろ?こっちの都合も考えろ」


「美紅様」


ハレンちゃんが困ったように僕の方を見る。


「ゴメンねハレンちゃん、僕達は確かに村が危険だったから協力したけど別に何かしてほしくて協力したわけじゃないから、むしろ何とかしないと命の危険があったので頑張っただけだし」


「そうだな、別に恩にきる必要もないし、長老達に会う必要もない。むしろ美紅が全快したら私達は出て行くぞ?カイユウさっさと入り口を開けるダンジョン石をよこせ」


ヒルマさんに睨まれてカイユウさんがびびっている。


「そんな村の恩人であるお二人をこのまま返したらハレン達が困るのです」


「その通りだ俺達はお前達がいなければたぶん皆殺しにされていたんだぞ」


「そっちの都合だな、私は別に村人全員で歓待されたいとは思ってない。むしろ目立つのは嫌いなんだ」


「僕も目立つのは苦手なんです」


「そんな~」


「ふう、なら俺達はどうすればいい?短い付き合いだがお前達の性格はわかったつもりだが、さすがにここまでしてもらって何もせずに返すわけにはいかないんだ」


「僕はここで米と味噌を食べてしまったのでまた少しでいいので分けてくれるだけでいいですよ?」


「私は望みはないな、欲しい物ない」


「お二人とも欲がないのです」


「そういうわけだから私達は出て・・・」


「ここにいると聞いたがいるか!!」


うるさいのが来た・・。


「人族のお二人!助けてもらったらしいな!感謝を伝えに来たぞ!」


「うるさい帰れ」


「我の命を救ってくれたこと、不肖の弟のを追い払ってくれた事、この村を救ってくれた事、お二人には返させないほど恩が出来てしまった!希少種を代表して礼を言う!」


「うるさい帰れ」


「というわけでここの長老達とも話したがお礼をしたい!村まで降りてきてもらえないだろうか!」


「うるさいと言っている帰れ!」


こっちの話を聞けよ・・。


「さあ!参るぞ!」


本当になんて話を聞かない人だ・・。


「話を聞け!まだ美紅は体が全快してないんだ帰れ!」


「何!それはいかんぞ!我などもう走れるのに!安静にせよ人族の御仁!」


貴方がいるとうるさいので安静にできません、帰って下さい。


「おい!ハレン達、あのうるさいのを何とかしてくれ、なぜここを教えたんだ」


「申し訳ないのです、カイユウお兄様が喋ってしまったのです」


「カイユウさん・・」


「カイユウ貴様・・」


「ヒィィィ、だって凄い勢いで問い詰められたから~」


「カイユウ義兄上を責めるなではない!何が悪いかわからないが責めるなら我を責めよ!」


何が悪いかわかってないのか・・。


「わかった、お前を責める。帰れ」


「ふっ、我の傷の事を思って帰れと気遣ってくれるのはわかるがさっきも言ったように我はもう7割方回復している」


「おい、私はさっき望みがないと言ったが望みが出来た、この馬をここから追い出せ。それが望みだ」


「・・・わかったのです」


「たしかに美紅の体に良くないな」


「ご、ごめんなさい」


「なんの話だ?」


馬鹿馬すぎる・・。


「キャッブ様、お屋敷に戻って下さい」


「なぜですかハレン殿!我はこの者にお礼をせねばならぬのです!」


「キャッブ殿・・とりあえず屋敷へ、俺達も戻るので」


「キャ、キャッブさん、俺達も戻るので一緒に戻りましょう」


「む、お三方がそこまで言うなら日を改めよう!だがお礼は絶対させてもらうぞ!また明日来るぞ!では!」


こうして最後までうるさい馬は帰って行ったとさ。


「ヒルマさん」


「言いたい事はわかるが聞くぞ美紅」


「はい、僕明日までに体を直して出て行きたい気分です」


「私もだ、あいつの音量は耳の良い私には苦痛以外の何者でもない」


「だろうと思いました」


「とりあえず美紅はもう少し寝たほうがいいな」


「そうします、すいませんが横になりますね」


「ああ、横になれ」


横になろうとしてヒルマさんを見るとなぜか自分の横の場所をトントンと叩いている。


「さあ!美紅!」


そこに寝ろって事かな?


「美紅!ゆっくり寝ていいのだぞ!」


諦めずに自分の横を指して誘おうとしている。

僕はそれを無視して・・。


「・・・おやすみなさい」


「何故だ!美紅!」


安静にさせてください、おやすみなさい。

一人で静かに寝ます、ごめんなさい。




「起きたか美紅」


「僕どの位寝てました?」


「半日時間ほどだな、やはりまだ相当疲労してたようだな、まったく動かなかったぞ」


「そうですか・・で?僕は何故ヒルマさんに膝枕されてるのですか?」


「美紅が勝手に私の膝に来たんだ、きっと安眠できる場所を探して寝返りをうったんだな」


いや、まったく動かなかったと言ってたよね?


「嘘はダメですよ?」


「すまない・・つい・・」


「まぁ、いいです」


僕は体を起こして調子を確かめる。

うん、大分いい!痛みは少しあるけど気になるほどじゃない。


「美紅、さっきの話どう思う?」


「村に来て欲しいって事ですか?うーん、ヒルマさんが言ってた目立つのが嫌だって言う理由であんまり気乗りしないかもです」


「私もそれが一番だな、種族的な理由もあるが私は基本人前には出たくないんだ。だから常にこの鎧を着ているんだしな」


「僕もフルプレート着ようかなー」


「却下だ!!」


「なんで即答なんですか!?」


「そんな事をしたら私が困る!美紅の可愛さを鎧なんてもので隠したら楽しみがなくなるじゃないか!」


「・・個人的な理由で僕の自由を奪わないで下さい」


「とりあえず却下だ!」


そんな馬鹿な・・。


「そういえばヒルマさん、全部終わってなら何ですけど、1つ解決してないことがあると思うんです」


「なんだ?」


「実は・・・・・・」


「なるほど、確かにな。私もすっかり忘れていた。よく覚えていたな美紅は」


「僕もさっきまで忘れてましたけど、まだ間に合いますかね?」


「どうだろうな、村の状況もあるしひょっとしたら遅いかもな」


「それだったちょっと困りますね」


「大丈夫だろ、ダメだったとしてもすぐにこの村が襲われる事はない。ゴルゴアも瀕死、馬鹿だったと言っても奴は村を襲う作戦を考えて仕掛けたんだ、真っ向から来るとは考えにくい」


「そうだといいですけど」


暫くヒルマさんと雑談していると社の両扉が開いた。


「美紅様、ヒルマさん、入ってもいいのです?」


「ん?ハレンちゃんどうぞ?」


後ろにはキオウさんとカイユウさん・・とキャッブさんもいる。


「入ってもいいが騒ぐなよ」


ヒルマさんが釘を刺す、たぶんキャッブさんに言ってるのだろう。

それを理解したのかキャッブさん以外の3人は苦い顔をする。


「失礼するのです、美紅様、ヒルマさん、長老・・おじい様とキャッブさんのお父様をお連れしたので会ってほしいのです」


僕とヒルマさんは顔を見合わせてすぐ頷いた。

了承する二人の獣人が入ってくる、1人は白い獣人だが年老いているせいであまり白さを感じさせない恐らくカイユウさんと同じ狼、もう一人は赤い猿のようだが少し普通のさるとはどこか違う感じがする。


「人族のお二人、この旅は私共の思い込みと勘違いのせいで多大な迷惑をかけたのに村を救っていただいたことに感謝の言葉もありません」


「わしも馬鹿な愚息が考えいることもわからずこの村にご迷惑をかけた事、さらに貴方方お二人がここにいなかったらわし達はとんでもない事をしてしまうところでした、改めてお礼を言わせていただきたい」


うん!言い回しが難しい!お礼なら5文字で一言「ありがとう」でいいんですよ。

どう返していいかこっちがわからなくなるし!

そういうわけでヒルマさんお願い!


「お前達の気持ちは受け取った、ハレン達から恐らく聞いているとは思うが私達は望んでこの村に来たわけでもない、カイユウから頼まれたので来て、そのまま巻き込まれた感じだ。だからこれ以上お前達獣人の問題に関わる必要はないので出て行くつもりだ」


「その事もハレンから聞いております、しかし恩人の貴方達を何もせずタダで返しては我々はさすがに夢見が悪うございます」


「ワシの方もここにはギャッブしかおりませんがいずれ部族をあげて貴方方をお迎えしたいと思います」


「悪いが断る、何度も言うがこの村を救ったのはついでみたいな物だ。それに少しだが敵に知ってる奴もいたしな。結果的にお前達の恩人にはなったが歓待とか宴とかそういった大きな物に出る気はない」


「しかしっ!」


「おじい様!美紅様とヒルマさんは恩人なのです、お二人の意思を先に尊重するべきなのです!」


「幻獣種の長老様、わしもそう思う。歓迎はしたいが無理矢理はよくない。感謝は伝わっていると言ってくれたそれだけでもいいのではないかと思う」


「わかり申した」


どうやら難しい話は終わったようだ。


「さあ!難しい話は終わったかな!?宴にしよう!我も腹が空いてきた!」


馬~~!お前は何を聞いてた!!


「馬鹿息子!話を聞いておったのか!お二人は大事おおごとにされたくないと仰っただろうが!」


「むっ!そうなのですか!?しかしそれでは我の気が・・」


「お前は村の外で一人で叫んでろ」


ヒルマさんが辛辣な言葉を投げつける。


「キャッブ様、少しお声を小さくしてほしいのです」


「ハレンの言うとおりだ、黙れ!」


「ハレン殿に言われたなら仕方ないな!少し静かにしていよう!ぐはははは!」


黙れ!その声も大きい!


「あのぅ、少しよろしいですか?」


僕は長老に向き合って話しかけた。


「なんですかな?小さい人族の御仁」


「この婚礼は貴方達、ご老人達が無理矢理進めたという話は本当ですか?」


「美紅様!」


ハレンちゃんが反応する、でも思い違いをしてるのでちょっと黙っててもらうように手で静かにしてと合図を送る。


「無理矢理・・そうですな、我々祖先の悲願の為、ここは祖先の土地ですが我々は外の世界を求めたにもかかわらずまたこの地に追いやられた。その悲願を今の若いもの達の為に外の世界を見せてやろうとして決めたことです」


「なるほど、確か祖先は幻獣種は珍しいので狩られたり捕獲されたりしたとかですよね?」


「その通りですじゃ、しかし我々は外の世界に憧れておりました。そして希少種の部族に我々の遠い祖先の血が入っていること、そしてその部族の長になる者が先祖返りで幻獣種が現れたとの情報が入りました。正直な話、奇跡だと思いました。血を重視する我々からすればその者達は外で地位を確立しており血を結べば後ろ盾なってもらい外の世界にでるチャンスだと思ったのです」


「我のことだな!ぐははははは!


黙れ!馬!


「それが村全体の相違でなくてもか?」


ヒルマさんが確信をついた質問をする。


「我々の祖先は世界を見て回るように言われたと言い伝えにはあります。ですがそれは我々の見た目のせいでダメになったのです、そう伝えられております」


「祖先か何か知りませんけど、若い方の意見も取り入れず聞かないのはどうかと~」


「今は反省しております、そのせいで同胞の命と村が被害を被りました。本当に軽率だったと思います」


「あのですね、責めているわけじゃなくてですね、僕が聞きたいのはこの婚礼を1番に言い出したのは誰ですか?って事です」


「それが何か関係あるのです?」


ハレンちゃんが?マークを浮かべてこっちを見る。


「さっき美紅が思い出してな、カイユウが襲われたときカイユウの動きやカイユウの特性、足の速さや鼻が効くことを馬3人組だな。ゴルゴアがここに運んできた人族の遺体だ、あいつ等は知っていたんだ、協力者がいたはずだ」


「なんとっ!!」


長老さんが思わず叫んだ。


「あ・・・」


カイユウさんがマヌケな声を出す。


「僕達も色んな事があって今思い出したんですけどね、カイユウさんも忘れてたんですね」


「え?ああ!そういえばなぜか俺の動きがバレてましたね、俺がマヌケだからかと思ってました」


それもある、むしろほぼそれかもしれない。


「それもあるな、だが向こうは魔法が使える奴がいても人族だった。そんなピンポイントに場所がわかる奴はいなかったと思う、誰かが情報を流して協力したはずだ」


ヒルマさんもうちょっと柔らかく・・。


「一体誰が!」


「1人しかいませんよ、希少種の村に行った人です」


「お待ち下され!あれはそんな男ではないです!ハレンの叔父で今回も村の事を第一に考えて何度も希少種の村に行きこの話を真剣に進めた功労者ですぞ!」


「・・怪しすぎますね」


「ああ、何度ももという時点でたっぷり時間があった筈だ」


「叔父様はお優しい方です!」


「ハレンちゃん・・」


「まったくハレンまでか、いいか?お前達が客観的に物を考えないから今回だってこうなったんだぞ?」


「お、俺も美紅さんやヒルマさんが言う事が正しいと思います」


「カイユウ!お前は叔父を売るのか!仲間を売る獣人などおらん!」


「ゴルゴアは売ったぞ?」


「うぐっ」


その言葉に長老とキャップさんの父親は苦い顔をして、キャッブさんも下を向いた。


「いいか?掟か何か知らないが変わり者やはみ出し者ぐらいいくらでもいる。信じる事は素晴らしいが疑うのをしない事とは違うぞ」


「あのですね、キャッブさんに聞きたいんですけどいいですか?」


「なんだ小さい人族の娘」


娘・・まぁいいか。


「キャッブさんは今回その叔父さんとこの村に来たんですよね?」


「そうだが?」


「その時その叔父さんってキャッブさんの村にずっといました?」


「うーーーーーーーーーーーーーーーん」


長いよ!すぐ思い出せ!


「ああ!思い出したぞ!我はすぐに村に行きたくてたまらなかったのだがな、たしかゴルゴアと叔父殿が止めてな!叔父殿を歓迎したいとゴルゴアとその側近達とで近くの人族の村に飲みに行くと言い出して帰ってこない時があったな!こんな事でもないと外の世界を拝む事はないので我侭を許してほしいと言ってな!なにせ叔父殿は世にも珍しい鳥の獣人だ!」


はいビンゴー!なぜそれを不思議に思わなかった馬ー!


「はぁ・・だそうだそ・・どうだ?さすがにマヌケすぎるだろう」


ヒルマさんが疲れた顔をして言う。


「つまり散歩に行くと言って上空からカイユウさんの事を監視してたんですよ、あの時も深夜でたしね」


「あの馬3人が言ってた『視野が広い』とは空から見た事をさしてたのか・・カイユウ!お前が先に気づくべきだぞ・・」


「す、すいません!」


「お待ち下さい!だからといって証拠がありません!」


これだけ言っても信じたくない長老は食い下がる。


「わかった、信じなくていいぞ。私達も可能性の話だからな、たしかに証拠はないが思い返してみると共犯者がいないとおかしい事が多々あったと言うだけだしな」


「その叔父さんは今どこにいるのですか?」


「叔父様は今回の騒ぎで怪我をおってしまって・・お屋敷で療養中です」


「怪我?」


「はいなのです、何でもゴルゴア達が暴れた時にお空から状況を見ようとして飛んだら雷が大量に降ってきて翼を焼かれてしまったのです」


「・・それって一人で逃げようとしてうっかり焼かれたとかじゃなくてですか?」


「いくら恩人と言えどもそれは聞き捨てなりませんぞ!あの者は村の為にずっと尽くしてまいりました、今回も事も命である翼を失ってまで村の為にあの時の状況を偵察しようとしての尊い行為です」


「し、失礼しました、ちょっと言い過ぎました」


怖い、素直に謝っておこう。


「美紅、謝る必要ないと思うぞ?」


だって怖いし・・。


「幻獣種の長老殿、わしもこのお二人の仰ることだ。疑いたくないのはわかるがちゃんと調べたほうがいいと思うが?」


おお!キャッブさんの父親とは思えないほどの常識人!これからなぜあの馬が生まれたんだろう・・。

ついでにゴルゴアも・・。


「しかしっ!」


「希少種に裏切者は出たが幻獣種にはいないとでも思ってるのか?今回の事は馬鹿のゴルゴアだけでやったとでも?村の情報が流れてたんだぞ?協力者がいると考えるのが普通だろ」


「おじい様・・私も調べたほうがいいと思うのです」


ハレンちゃんもちょっと残念そうだけどわかってくれたようだ。


「俺も美紅とヒルマに賛成だな。これから村は大変だ。この件はしっかり調べるべきだ」


「おじい様!俺からもお願いします!」


キオウさんもカイユウさんも賛成派らしい。


「こんなに言ってもダメなのか?わかった私が恩人だと言うならその恩人の願いを叶えてくれ、望みはその叔父の取調べだ」


「恩人の為とはいえ我々の仲間を売れと申されるか!これだから人族は!」


「おじい様!!!」


「ヒルマさん、僕も歩けるので行きましょう」


「美紅様そんな!」


「悪いけど気分が悪いです、ヒルマさんはわざと悪役になってまで村の為に言ってるのにそれで僕の恩人のヒルマさんが責められたら割にあいません。ハレンちゃん、カイユウさん、キオウさんお世話になりました、またどこかで会えたら会いましょう」


「美紅!そんなに私の事を!」


ヒルマさん反応する所が違って台無しです、さっさと正気に戻って行きましょう。


「ヒルマさん、感動はあとにして出発しますよ!荷物持って~」


「え?あ?うん、そうだな!抱きつくお楽しみはあとだな」


何の話だ・・。


「ヒルマさん待ってなのです!おじい様は必ずハレンが説得するのです!」


「ハレン殿、なんの話か知りませんがもう遅いと思われますぞ?」


「え?キャッブ様どういう事なのです?」


「先ほど長老殿が出かける時に我は叔父殿に会いましてな、怪我を負っているのに村の為に外へ行かねばならぬそうです、我は感動して入り口まで手を貸したぐらいですぞ」


この馬鹿馬・・今まで何を聞いていたんだ・・。


「この大馬鹿者が!今まで何を聞いていた!叔父殿の怪我はわしも見えおるが怪我を負った者に村の外まで行く使命を与えるわけがなかろう!」


もっと言え~!


「そういえばそうですな」


怒鳴ったのに聞いてないし効いてないだと・・。


「カイユウお兄様!叔父様は片翼を失っていて飛べないのです!追いかけてほしいのです!」


「わ、わかった!」


言われてカイユウさんが飛び出そうとする。


「ま、待てカイユウ!」


叫び声にカイユウさ何の足が止まる。

長老はまだ止めるつもりのようだった。


「いい加減にしてほしいのです!おじい様!この時期に怪我を負った者が村の外に?おかしいと思われないのです?それともおじい様はあの怪我を負った叔父様に村の外へ行って来いと用事をお申し付けになったのです!?」


「そ、そんなことはしておらんが・・」


「なら黙っててほしいのです!カイユウお兄様さっさと行って来るのです!」


「は、はい!」


「お、俺も行こう」


カイユウさんとキオウさんはハレンちゃんの勢いに押されて飛び出していく。

カイユウさんは足が速いから行くのは同然だとして、キオウさんはハレンちゃんが怖くて逃げたんじゃないか?


「美紅様、ヒルマさん、村の恩人であるにもかかわらず頑固で偏屈のおじい様が大変申し訳ないことをいたしたのです。どうかもう少しだかこの村にいて欲しいのです」


「わしからもお願いする」


そう言ってハレンちゃんとキャッブさんのお父さんは頭を下げた。


「ヒルマさん次第です」


「ふぅ・・仕方ないもう少しだけだぞ」


「はいなのです!」


「感謝する」


「お前達・・」


「おじい様!いい加減にして下さい!おばあ様に言いつけますよ!」


「なっ!それだけはやめておくれ!」


なんか子供の様に動揺しだした。

そんなにおばあ様とやらが怖いのね。


「キャッブ!ボーとしてる暇があったらお前も行け!カイユウ殿を手伝って来い!」


「おお!お任せを!我が行けば百人力ですぞ!見事叔父殿を捕まえてきましょう!うおおおおお!」


そして馬は走っていった。


「これでうるさいのは消えたな」


「ですね」


「馬鹿息子で申し訳ない」


「まったくだ」


ヒルマさんそこはフォローしないと!!


「しかしこれもわしは旅好きで村の外に出てばかりいたせいだ、責めるならわしを責めてほしい」


「いや無理だな、あの馬鹿さ加減はほっとかれた位でなったわけじゃないだろう、生来のものだ」


ヒルマさん!!・・話を変えないとキャッブさんのお父さんがトドメを刺される!


「そ、そういえばハレンちゃんのお婆さんって何をしてるんですか?ていうか話に出てきたの初めてですよね?」


「えっと、おばあ様はちょっと変わっていまして、あまり外に出てこないのです。体の調子が悪いとかじゃないです、むしろ元気すぎるのです。趣味が祖先の残した文献を調べることなので、ずっと書庫に篭っているのです。子供の頃聞いたのですがおじい様に嫁いだのも文献を見れるからと仰って・・あ!」


「なんじゃと~~~!」


純粋な顔してとんでもない爆弾を落としたハレンちゃん・・結婚何年目か知らないけど衝撃の事実。


「今回の騒ぎでも書庫にいたのか?」


「いえいえ、さすがに出てきて陣頭指揮をとってらっしゃたのです。でも落ち着くとすぐに書庫に戻ってしまったのです」


「それは、ちょっと変わってるね」


「はいなのです、でもハレンはおばあ様が大好きなのです」


「そうなんだ、いい人そうだね」


「はいなのです、今回の婚礼も1言しか頂けませんしたけど『ハレンが決めてハレンの好きにすればいい』と言ってくれたのです」


それって・・まぁ、僕が今言う事じゃないか。


バタン!と凄い勢いで扉が開いた。


「はあはあはあ、叔父様を捕まえました!今キオウが連行してる最中です」


早いな・・。


「連行?ということは抵抗したんですか?」


「は、はい、最初はどこに行くか知らないけど戻ってほしいと言ったのですが聞いてもらえず暴れたので追いついたキオウが取り押さえました」


「確定だな」


「ですね、出かけるなら暴れる理由がないですし」


「美紅様、ヒルマさんお屋敷まで来て来てほしいのです、別に歓迎の宴とかじゃなくて今回の事の最後の後始末になるかもなのでお願いするのです」


お辞儀をして僕達にお願いするハレンちゃん。


「いいよ」


「仕方ない、だがご飯くらい食べさせてくれ、もう1日近く何も食べてない」


「はいなのです!」



そうして僕達はハレンちゃんの屋敷に向かった。

思えば村に入るのってこれが初めてじゃない?





カナじい「それでは行ってきておくれ」


蒼「よくわからないけど見てくるだけでいいの?」


カナじい「そうじゃな、なにやら変な感じがするのじゃ」


蒼「わかった!行ってくるね!」


カナじい「頼んだぞぃ」


蒼「あ・・カナじい翼が欲しいんだけど?」


カナじい「何?」


蒼「ほら!女神って翼が生えてるイメージじゃん!だから頂戴!」


カナじい「どんなのじゃ?」


蒼「白くて大きい奴!広げるとこう羽がキラキラって飛び散るみたいな?」


カナじい「たぶん自分で出来るからいくらでもつけていいぞ・・」


蒼「いえーい!翼ゲット!」


カナじい「はよいけ・・」


いいなー(*´・ω・*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ